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元スレ億泰「幻想御手…? こいつぁ違うぜぇ~」

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みんなの評価 : ★★★
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1 :

立つのか?

2 :

ザ・ハンド
ジ・エンド

3 = 1 :

学園都市。

それは総人口約230万を誇る超巨大都市の通称である。
最先端の科学技術に支えられたその都市にはひとつの目的があった。
それは『超能力』の開発。

その事実を知った『とある』財団は、事態を重要視。
幹部による会議を重ねるうち、財団の重要幹部である一人の学者がひとつの解決策を提示。

それは…学園都市に学生を一人送り込み、どこまでが真実なのか確かめてもらうという単純でありながらも効果的な妙手。

かくして、その学者がもつ独自の交友関係から選ばれた一人の男が学園都市に訪れる。
到着早々巻き込まれた爆弾事件に首を突っ込み、爆発寸前の爆弾を『削りとり』、そのまま犯人を一蹴。
非道なスキルアウトを完膚無く叩きのめし、絶望しかかっていた少女の心に爽やかな風を吹かせた男。

科学でも魔術でもは測定できない謎の能力を持つその男の名は…
虹村億泰といった。

4 = 1 :

■とある学生寮・虹村億泰の部屋

備え付けられた家具以外は何も無いガランとした部屋に朝日が差し込む。
ベッドの上ではガーガーと大きなイビキをたてながら眠りこける男が一人。
枕元の目覚まし時計が甲高い音をたてるまで後30分ほど猶予はあった。

だが。

その目覚まし時計は何者かの手によりその機能を停止させられる。
音を立てないよう、そろりそろりと男に近づく小さな影。
男の耳元に手を当て、静かに大きく息を吸い込み…


「おっはよ―――うっ!!!」


鶏も逃げ出すような大きな声でまどろんでいた男の意識を無理やり引きずり起こす。

億泰「おおおっ!? なんだなんだぁ~!?」

突然の大声に跳ね起きる億泰。
そんな姿を見て面白そうに笑っていたのは一人の少女。

5 :

待ってました

6 :

面白そうじゃん

7 = 1 :

佐天「おおっ! 起きた起きた!」

初春「こ、これはヒドいですよ佐天さーん」

慌てふためく億泰を見てニヤニヤと笑う佐天涙子。
そしてその横にはすまなさそうに肩を竦める初春飾利がそこにいた。

事態を察した億泰はそんな二人を見て恨みがましい目で見つめる。

億泰「………とりあえずよぉ」

ガシガシと頭をかきながら続ける億泰。

億泰「なんでオメェらがここにいんのか… キッッチリと! 説明してほしいんだけどよぉ~」

睡眠を邪魔され不機嫌そうな目付きの億泰だったが、佐天はそんな億泰の視線も何処吹く風で受け流していた。

8 = 1 :

佐天「まーまー 恩返しってやつ…じゃない?」

ニヤニヤと笑いながらも疑問形で答える佐天。

億泰「…恩返しだぁ?」

腑に落ちない表情のままオウム返しをする億泰。

初春「えっとぉ…虹村さん、先日怪我したときに学校おやすみしちゃいましたよね?」

そんな億泰に助け舟を出したのは初春だった。
それはスキルアウト『トリック』を億泰がとっちめたときに負った傷のこと。

9 :

待ってたよ。

11 :

涙子って呼んで黒子と初春がキャイキャイ騒いだ続きか?

12 = 1 :

初春「ですから、虹村さんの体調が万全になるまで私たちがサポートましょう って。 そう佐天さんと話してたんですー」

独特の甘い声でそう億泰に説明をする初春だったが、当然億泰は納得のしようがなかった。

億泰「…っつってもよぉ~ 別にオレァんなこと頼んじゃあねぇーんだけどよぉ~」

そうグチグチと文句を言う億泰だったが、それは佐天の快活な声で遮られた。

佐天「いいからいいから! 早く顔洗って着替える着替える! あ、あたしたちは部屋の外で待ってるから急いでよねー」

バサリと億泰の抱えてる毛布を引っペがしながら笑う佐天。

初春「す、すいませーん」

毛布を部屋の隅におき、さっさと部屋から出て行く佐天を横目で追いながら謝る初春。

億泰「……」

ベッドの上に取り残される億泰。

あぐらをかき、頬杖をつきながら不満げな声をあげた。

億泰「これ…これから毎朝続いたりしやしねーだろーなぁ~…」

13 = 1 :

>>10
うん
避難所に最初っからのスレたてようとしたんだけど全然つながらないんだ
復活したらスレ立てるつもり

>>11
それ

14 :

億泰かわいいよ億泰

15 = 1 :

■学園都市・通学路

夏の日差しが照り返す通学路を歩くはアンバランスな三人組。

億泰「ったくよぉ~… あと30分は寝れたはずなのによぉ~」

大きなアクビをしながらそうボヤく億泰の背中をバシバシと叩く佐天。

佐天「そんなこと言っちゃってー ほんとは嬉しいんじゃないのー?」

ウリウリと億泰の脇腹に肘をいれる佐天。

億泰「……はぁ? 嬉しい…だぁ~?」

佐天「あったりまえじゃない? なんせ現役女子中学生が朝起こしに来るんだよー?」

肘で突付いてくる佐天の攻撃を受けながら億泰が呆れきった声を出す。

億泰「ハッ! ンなわきゃねーだろがよぉ~」

16 = 11 :

>現役女子中学生が朝起こしに来るんだよー

ギギギ・・・・・

17 = 1 :

億泰「中ボーなんざガキに興味なんかあるわきゃねぇーだろがよぉ~」

佐天「ガ、ガキィ!?」

億泰「おおよ! …こう足がスラーッとして胸とか腰とかボインボインのオネーチャンなら話は別だけどなぁ~」

憤慨する佐天を放っておいて空中にボンキュッボンなラインを描く億泰。

佐天「うーわ… 今の聞いた初春? こりゃもう初春のパンツでその認識をぶち壊すしかないね!」

初春「へ? えっ? だっダメですぅ! 何考えてるんですか佐天さんっ!」

突然矛先がこちらに向かい、焦る初春。

佐天「えーい! しのごの言わずにおとなしくめくられなさーい!」

初春「やー! ダメですダメです! こんな往来でめくるのはやめてくださいって言ってるじゃないですかー!」


クルクルと億泰の身体を盾にしながら佐天の魔の手スカートめくりから逃げようとする初春。
手をワキワキさせながら初春を逃すまいとする佐天。
キャーキャーとはしゃぎだす二人の少女に挟まれて心底めんどくさそうな顔をする億泰。

18 :

19 = 1 :

億泰「…オメーらってよぉ~ 仲いいのか悪いのかわっかんねーなぁ~」

そんな億泰の声を聞いて二人の足がピタリと止まる。

佐天「へ? なーに言ってんの? あたしと初春は大親友だよ。 ねー?」

初春「そうですよー 大大親友ですもんねー」

顔を見合わせ、符丁のように首を傾けて笑いあう二人。
と、遠くからチャイムの音が鳴りだした。

佐天「げっヤバッ! このままじゃ遅刻しちゃうじゃない! 急ご初春!」

初春「ま、待ってください佐天さーん!」

パタパタと軽い音を立てて走りだす少女たち。

佐天「そんじゃああたしたち先に行くからねー アンタも急ぎなさいよー!」

初春「で、ではお先に失礼しますー またジャッジメントでー」

そう言葉を残し走りゆく二人の少女。
遠ざかっていく背中を見つめる億泰は、ふと何かを思いついたように空を見上げた。

億泰「………元気にしてっかなぁ~」

億泰の呟きは誰の耳に届くこともなく真っ青に晴れ渡った空に吸い込まれていった。

20 = 1 :

■とある学校・教室

ガラリと戸を開けた億泰を見て、ざわついていた教室が静かになる。
周囲の空気を気にしないまま億泰が自分の席につく。

短期特別留学生という珍しい肩書きをもった転校生ならば物珍しい野次馬が集まってきてもおかしくはない。

しかし、転校そうそうに二人の教師に楯突いたガラの悪い大男に話しかけるほどの根性をもった野次馬いなかった。
再び雑談で賑わいはじめる教室。

そんな億泰の席の前に二人の少年が立つ。

土御門「元気してるかにゃー?」

青ピ「何だかテンコーセーの顔見るのが久しぶりって感じやね」

席についた億泰に話しかけたのは金髪サングラスの土御門と青髪ピアスだった。

21 = 1 :

億泰「よぉ~ えーと、土御門と……なんつったっけ?」

青髪ピアスの名前が出てこずに頭をひねる億泰。

青ピ「なっ! 名前忘れとるんかい! ええかーボクの名前はやね」

そう億泰に自己紹介をしようとする青髪ピアスだったが。

億泰「ところでよぉ~ 『アイツ』は一緒じゃあねぇのかぁ~?」

今まさに口を開かんとした青ピに気付かずに疑問の声をあげる億泰。
きょろきょろと辺りを見回す億泰に飄々と答えたのは土御門だった。

土御門「にゃー。 上ヤンなら休みだぜい?」

億泰「へぇ~ 休みねぇ~ そりゃまたいったいなんでだよ?」

土御門「なんでもなにも上ヤンは子萌せんせ…風邪かなんかじゃないかにゃ~?」

口を滑らせかけた土御門に気付かない億泰。

22 :

さてんさんが毎朝目覚めのフェラだと……

23 = 1 :

億泰「風邪ねぇ~ そいつぁ大変なこったなぁ~」

土御門「なんか用でも……あったんかにゃ?」

サングラスに隠された土御門の視線が鋭くなる。

億泰「いや、そーゆーわけでもねぇーんだけどよぉ~ …なーんか気になんだよなぁ~」

うまく言葉にできずにガシガシと頭をかく億泰を見てボソリと土御門が呟く。

土御門「……気になるっていうのはこっちのセリフなんだけどにゃー」

だが、その土御門の呟きはカラカラと教室の扉が開く音と、子供のような可愛らしい声にかき消された。

24 = 1 :

子萌「はーいみなさーん! おはようですー! 今日も元気にがんばりますよー」

声の主は教室に入ってきた担任の月詠小萌。
テキパキと授業の準備をしだす担任の姿を見て、雑談に興じていた生徒たちがゾロゾロと自分の席にもどっていく。
その様を横目で見て、これ以上の会話は無理だと判断する土御門。

土御門「けどにゃー 上ヤンなら心配はいらないと思うぜいー? なんてったって上ヤンだからにゃー」

青ピ「なんや、ボクの自己紹介はまた今度かいな。 ま、どーせなら上ヤンと一緒の時がええかもしれんね」

ニャッハッハと笑いながら自分の席に戻る土御門と青髪ピアス。
無人の隣の席、上条当麻の机を見る億泰。

億泰「ふぅ~ん… まぁズル休みしたくなるときなんざ誰にだってあるだろうしなぁ~」

専用のお立ち台を準備して黒板に板書をはじめだした小萌を見ながら呟く億泰。

・・・
・・


虹村億泰は知らない。
上条当麻が魔術結社から送り込まれた魔術師を相手に意地を張り通したことを。

虹村億泰は知らない。
上条当麻が月詠小萌の家で銀髪のシスターに看病をしてもらっていることを。

虹村億泰は知らない。
次に再開したとき、上条当麻の記憶がすべて焼き尽くされていることを。

25 = 1 :

■繁華街

授業が終わり、学校から開放された億泰はジャッジメントの支部に向かっていた。
一日一回、ジャッジメントに顔を出すこと。

億泰は事情を知る由もないのだが、それは学園都市の上層部からくだされた遠まわしの監視命令。
されとて、わざわざそれに逆らう気もない億泰はのんべんだらりと目的の場所へ歩みを進めていた。

そんな中、学生で賑わう繁華街を歩く億泰の視界に見覚えのある少女が飛び込んくる。
そこには大きな花飾りを頭にのせた少女、初春飾利が手持ち無沙汰にポツンと立っていた。

億泰「よ~ぉ初春ぅ~」

後ろから声をかけられ驚いたように振り返るのも束の間、すぐにほんわかとした笑顔を浮かべる初春。

初春「わっ 虹村さんじゃないですかー」

子犬のようにパタパタと虹村の元に駆け寄る初春。

26 = 1 :

初春「虹村さんは今からジャッジメントですか?」

億泰「あぁ、メンドくせーけどなぁ~ ところでよぉ、オメェは何してんだぁ~?」

初春「あ、私は佐天さんを待ってるとこですー」

億泰「待ち合わせぇ? 待つもなにもよぉ~ 一緒の学校に通ってんじゃあなかったっけかぁ~?」

キョトンとした顔で初春に確認をする億泰。

初春「あ、はい。 それはそうなんですけど佐天さんは今日掃除当番なんですよ」

初春「それにウチの学校はいつまでも残っていると先生に怒られちゃうんで、外で待ち合わせをと思いましてー」

億泰「ほぉ~ なんだかそっちもそっちでメンドくせーんだなぁ~」

初春「アハハ そうかもしれませんねー」

身も蓋もない億泰の感想を聞いてふんわりと笑う初春。

27 = 1 :

そんな初春を見て、何かを思い出したように手を叩く億泰。

億泰「おっ、そういえばよぉ~」

初春「はい?」

億泰「ちっと頼みがあるんだけどよぉ」

初春「はぁ… 私に出来ることならお手伝いしますけど…」

頭の上に疑問符が浮かんだかのようにキョトンとした顔で首を傾げる初春。

初春「あっ、でも今日は時間があまりないので前みたいにケーキ屋さんはちょっと…」

億泰「あー違ぇ違ぇ 今日のはよぉ~パフェじゃあねぇんだよなぁ~」

そこまでいって億泰が目を向けたのは立ち並ぶ近代的なビルの一角。

億泰「昨日帰るときに見つけたんだけど今のオレじゃあどうにもならなくてなぁ~」

億泰の視線の先を追った初春が呟く。

初春「あれって…レンタルショップですよね?」

29 = 1 :

■学園都市・風紀委員第一七七支部

ツインテールを揺らしながら小柄な少女が真剣な表情で携帯電話を耳に当てていた。
少女の名前は白井黒子。

黒子「もしもし? 木山先生ですの? …そうですの。 やっとレベルアッパーを入手しましたので連絡をと思いまして…」

電話の相手は大脳生理学の第一人者、木山春生だった。

黒子「えぇ波形パターンを分析したデータは既に送らさせていただきましたので、後日見解を…」

ひょんなことからレベルアッパーのデータを手に入れ、その解析を依頼するという大事な電話。

黒子「……明日には結果が出る? それは有難いのですけどそちらのお仕事に差支えは…」

想像していたよりも早い回答が返ってきたことに驚きを隠せない黒子だったが。

黒子「えぇ… それは本当に助かりますの。 …はい。 それではよろしくお願いしますわ」

すぐさま驚きを飲み込み、丁寧に礼を言ってから電話を切る。

これでやっと大きな一歩が前進できたと内心喜びながら背伸びをする黒子。


そんな黒子の背後ではグスグスと奇妙な音が鳴っていた。

30 = 1 :

億泰「くぅぅぅ~… やっぱよぉ~…こいつぁいつ見ても泣けるぜぇ~ なぁ? オマエもそう思うだろぉ~?」

ボロボロと大粒のナミダを流しながら感動した声をあげ、誰かに同意を求める虹村億泰。
そんな億泰の問に答えたのはやはり涙声の佐天だった。

佐天「うん…正直あなどってた… はぁ~… いーい話だったぁ~」

ピクリと黒子の眉が動いた。
ギギギと錆び付いた蝶番が立てるような音と共に振り返る黒子。
そこには小さなモニターに流れるエンドロールに釘付けになりながらボロボロと涙をこぼしている億泰と佐天がいた。

黒子「あの……大変盛り上がってるところ悪いのですけども」

そう黒子が言葉を発しても億泰と佐天には届かない。

31 = 1 :

億泰「涙が止まらねぇぜぇ… なぁ~ちょっとハンカチ持ってっかぁ~?」

佐天「グスッ……ハンカチくらい持ってなさいよねー」

佐天から渡されたハンカチで涙を拭く億泰を見て、黒子がプルプルと震えだす。

黒子「どうやら…ここが何処だかお忘れのようですわね」

そう黒子に言われ涙にまみれつつもキョトンとした顔で億泰が返事をする。

億泰「…なぁ~にボケたこと言ってんだぁ白井ぃ~? ここはジャッジメントの支部だろ~がよぉ~?」

その間延びした呆れ声を聞いて黒子がキレた。

黒子「その通りですの! ここはジャッジメントの支部! 映画館でもネットカフェでもありませんのよ!」

ムキーと怒りだす黒子。

黒子「いくらなんでも映画を丸々一本鑑賞ってありえませんの! まったく! 初春もこういう時はしっかり注意しないとダメじゃないですの!」

憤懣やるかたないといった黒子が同僚である初春飾利に話を振るが…

初春「……め、名作ですぅ~」グスッ

黒子「……なーんで貴方まで号泣してるんですのー」

感涙にむせぶ初春を見てガクリと肩を落としながら腹の底から呆れ声を出す黒子だった。

32 = 1 :

黒子「まったく…どうしたっていうんですの?」

腰に手を当てた黒子にガミガミと説教される初春。

黒子「ボンヤリしてるのはいつものことですけど今日は特にヒドいですの!」

初春「あううー… すいませんー」

そんな初春を見て困ったように続ける黒子。

黒子「頭の中身までお花畑になっちゃったんですの? ましてや今更こんな古臭い映画なんて…」

何気なくそう呟いた黒子だったが。

初春「白井さん! それは違います!」

黒子「はい?」

思わぬところで初春に反論を返されポカンとする。

33 = 1 :

初春「親と子の絆を描いた感動のストーリー! これは歴史に名を残した見事な感動巨篇なんですよ!」

黒子「は、はぁ…」

ふんふんと鼻息を荒くしながら映画の解説をしだす初春。
初春の勢いにタジタジとなった黒子が、机の上に置かれていたパッケージを手にとる。

黒子「…そんなに面白いですの? この[チャンプ]っていう映画は?」

懐疑的な口調でそう呟く黒子に返ってきたのは…

初春「それはもう!」

億泰「オメェ~それ見てないっつーのはよぉ~ 人生の8割損してるっって言っても過言じゃあねぇぜぇ~?」

佐天「面白さはあたしも保証しますよ! かなり大号泣!」

返ってきたのは自信満々なそれぞれの肯定の声だった。

付き合っていられないというように頭を振る黒子。

黒子「はぁ……頭お花畑は初春一人で充分ですのに…」

35 = 1 :

■とある通学路

歩道を赤く染める夕日の中、佐天と初春がテクテクと歩いていた。

佐天「へー 初春は明日ダイノーセーリガクの先生のとこにお使いかー」

初春「えぇそうなんです。 佐天さんが持ってきてくれたレベルアッパーのデータですよー」

佐天「…ふーん まっ、初春や白井さんが喜んでくれたならなによりだよ」

何かを思い出したかのようにワンテンポ遅く返事を返す佐天。

ふと初春は気になる。
佐天涙子が後悔しているのではないか?と。

佐天涙子が持つ能力への憧れを一番知っているのは初春飾利だった。
もし、レベルアッパーを渡してしまったことを悔やんでいたら…

不安になって佐天の顔をチラと盗み見るも、そこには初春が危惧していた表情はいっさいなかった。

36 = 1 :

晴れ晴れとした表情の佐天を見て嬉しくなる初春。

現場にはいなかったものの先輩である白井や佐天から話を聞いている。
窮地に陥った彼女たちを助けたのが虹村億泰だということを。

笑っている佐天が隣にいることが嬉しくて、初春はなんとなく疑問に思っていたことを口にした。

初春「あ、そういえば佐天さん?」

佐天「ん? なーに?」

初春「佐天さんは虹村さんのことをどう思ってるんですか?」

佐天「うえええっ!?」

思ってもいなかった質問に驚き慌てふためく佐天。

37 = 1 :

>>34
あ、そうなんだ。
これパートスレだしあっちでやったほうがいいとは思っていた。

糞スレたててすまん
後日パー速で建てることにするわ。

38 = 34 :

今すぐ止めろって言ってるんじゃないぞ
アナウンスなしでいきなり移住したら難民も出る

ここ書ききってからあれこれきっちり決めて移動するといい

39 = 1 :

>>38
把握した

40 = 1 :

>>36

佐天「どっどっどう思ってるって!?」

質問の意図が掴めずワタワタしだす佐天の問いかけに済ました顔で答える初春。

初春「だって佐天さん、最近よくジャッジメントの支部に顔出すじゃないですかー?」

佐天「う゛」

初春「それに虹村さんとも仲がいいみたいですしー」

佐天「いやあの仲いいっていうか…そっそんなことよりさ!」

自分でもいまだ理解しきれていない心を指摘され戸惑った佐天が無理やり会話の流れをそらす。

佐天「そっそんなこと言う初春はどうなのよ?」

初春「へ?」

キョトンとする初春。

41 :

パー速にSSってダメだろ

42 = 1 :

初春「えーと… 私ですかー?」

佐天「そうそう! あんなスキルアウトみたいなガラの悪い格好してるのに初春はもう全然気にして無いでしょ?」

初春「? 見た目はもう慣れちゃいましたよー 佐天さんだってそうじゃないですかー」

当然のようにそう答えられ、言葉が詰まる佐天。

佐天「で、でもさ? それにしたってさ? 初春だって仲いいじゃない?」

初春「はぁー… そう言われるとそうかもしれないですねー」

ポヤポヤとした表情いまいち理解してない様子を見て、ここぞとばかりに畳み掛ける佐天。

佐天「ほらね? 別にあたしに限った話じゃないじゃない?」

苦し紛れに放たれた佐天の言葉を聞いて、にわかに眉を寄せて考えこむ初春。

初春「んー… 私が虹村さんをどう思ってるですか… うーん」

十数秒考え込んでから口を開く初春。

初春が何を言い出すのか?
気がつけばなぜか緊張して初春の答えを待っていたことを自覚する佐天。

43 = 1 :

初春「虹村さんは……」

佐天「…虹村さんは?」


初春「お兄さんって感じが一番近いんじゃないですねー」


佐天「へ?…お兄さん?」

予想だにしなかった単語を聞いて呆気にとられる佐天。

初春「はいー。 私一人っ子なので昔から兄弟が欲しかったなーって思ってたんです」

そんな佐天の表情に気づかずとくとくと説明しだす初春。

初春「虹村さんはぶっきらぼうな人ですけど…ああ見えて面白いですしー。 それにいざという時頼りになる人って感じがしませんか?」

佐天「そ、そうきたかぁー…」

ニヘラと笑う邪気のない初春の顔を見て肩を落とす佐天だった。

44 :

億泰は良い兄貴になれそうだ

45 = 1 :

■翌日 AIM解析研究所


初春「じゃあすぐに戻ってくるのでここで待っててくださいねー」

佐天「はいはーい ごゆっくりー」

ヒラヒラと手を振って初春を見送りながら待合室のソファに身を沈める佐天。

レベルアッパーの解析結果のデータを受け取りにきた初春に同行した佐天。
なぜ佐天涙子がここにいるのか?

それは佐天の主張だった。
レベルアッパーを使わなかった佐天だったが、事件の進展が遅れたのは自分の責任だと初春と白井に訴えでたのだ。

最初は拒否していたものの、頑なな佐天に根負けした白井が許したこと。
それが初春と同行して木山からデータをもらってくるというお使いだった。

佐天「私だって関わったんだもん…ちょっとくらいは責任負わないとね」

そう呟きながら天井に向けて右手を伸ばす佐天。

しかし、部屋の奥では佐天の想像もつかない事態が進展していた。

46 = 1 :

■AIM解析研究所・木山春生の研究室

初春「これって…」

驚きに目を見開く初春。
ほんのちょっと席を外し、部屋の奥に向かった木山。

椅子に座ったまま素直に待っていた初春だったのだが、ふと書類棚からはみ出していた書類に目をひかれたのが原因だった。
初春の手の上で複雑な文字列を並べる研究書類。

常人が見たのでは理解できそうにない数字の羅列。
しかし、情報処理に聡い初春は幸か不幸かその書類が指し示すものが何かということに気づいてしまっていた。

初春「これ…[音楽を使用した脳への干渉] それにこっちのデータは…幻想御手のオリジナル…」

驚愕する初春の肩にポンと小さな手が置かれた。
硬直した少女に囁きかける美しい造形をした女性。

木山「いけないな…他人の研究成果を勝手に盗み見しては」

47 = 1 :

■AIM解析研究所

木山春生の研究室の前で初春を待っていた佐天の耳にドアが開く小さな音が届く。

佐天「おっつかれー! ういは…」

立ち上がってそう語りかけた佐天の声は途中で掠れて消えていった。
佐天の目に飛び込んできたのは木山春生と両手を拘束された親友の姿。

木山「…おや? 君は確か」

初春「逃げてください佐天さんっ!」

事もなげにそう呟く木山と友人の身を案じて叫ぶ初春。

木山「どうやら…少々無用心だったみたいだな」

木山が視線を走らせると同時に身動きできなくなる佐天。

佐天「えっ? なにこれ… 能力?」

硬直した佐天の両腕に拘束錠をかける木山。

木山「仕方ないな、君も一緒に来るといい」

淡々とそう呟きながら駐車場直通のエレベータのボタンを押す木山の瞳には不可思議な色が映っていた。

48 = 1 :

■風紀委員第一七七支部

御坂「佐天さんも初春さんも行方不明?」

なんの気なしにジャッジメントに立ち寄った御坂美琴の驚いた声。
そんな御坂に眉をひそめながら答える黒子。

黒子「…ええ。 あまりにも連絡が遅いので現地のアンチスキルに確認をお願いしたのですが…」

御坂「ど、どうすんのよ?」

黒子「今は…アンチスキルからの連絡を待つしか打つ手がないですの…」

歯噛みしながらそう呟く黒子を見て何かを決心したように御坂が立ち上がる。

黒子「お姉様? どうなさったのです?」

そんな御坂を見て不安げな声をあげる黒子。

御坂「私も出るわ。 ジッとしてんのは性にあわないしね」

黒子「なっ! お姉様っ!?」

予想だにつかなかった御坂の言葉を聞いて慌てる黒子。

49 = 1 :

黒子「ダメですの! お姉様は一般の学生ですのよ!?」

御坂を止めようとする黒子だったが。

御坂「でもさ、佐天さんだって一般の学生じゃない?」

そう返されグッと言葉が詰まる黒子。
しかし、すぐに己が本分を思い出す。

黒子「ならなおのことジャッジメントのわたくしがっ!」

そう息巻く黒子の肩を優しく抑える御坂。

御坂「アンタがここを離れて誰が情報を取りまとめるのよ?」

黒子「ですけど…」

それでも食い下がる黒子を見て優しく笑う御坂。

50 :

製作行けと思ったが今落ちてたな

期待しとこう


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