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元スレ朝倉「キョンくん起きて、はやく服着ないと妹ちゃん来ちゃうよ」
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俺は朝倉が座るのを待ち、対面を避けて座った。
もちろん湯のみには手をつけない。
「今度は、質問に答えてくれるんだろうな」
「ええ。わたしの答えられる範囲内でなら」
「どうして朝倉がここにいる?」
「長門さんの代わりよ」
「代わり?」
「長門さんが涼宮さんとその環境の観測手であることは知っているわよね」
頷く。
「長門さんはプールした観測データを、高度に暗号化して情報統合思念体に送信していたの。
でも、彼女がいくら複雑なアルゴリズムを構築したところで、傍受されるリスクは常にある。
その問題を、彼女は、彼女自身が暗号鍵となることで解決しようとした。
あのね、キョンくんはここまでの話に着いてこれてる?」
俺は正直にかぶりを振った。
長門が暗号鍵になってそれがどんな風に長門の不在に繋がるんだ。
「分かりやすく言うとね、長門さんは自分を、データを復号するためのブラックボックスにしたの。
ある値を代入すると、定められた法則性に従って、別の値が出てくる関数を想像してもいいわ。
長門さんが自らの意志で復号しようとしなければ、データは無意味な情報素子の山でしかない」
朝倉は美味しそうにお茶を啜り、
「実は二週間前から、長門さんはプールしたデータの復号作業をしているの。
復号中の長門さんは最低限の機能を除いて停止するから、観測手の役割は別の端末に一時交代する。
そして、その役目を任されたのが、わたしというわけ」
もちろん湯のみには手をつけない。
「今度は、質問に答えてくれるんだろうな」
「ええ。わたしの答えられる範囲内でなら」
「どうして朝倉がここにいる?」
「長門さんの代わりよ」
「代わり?」
「長門さんが涼宮さんとその環境の観測手であることは知っているわよね」
頷く。
「長門さんはプールした観測データを、高度に暗号化して情報統合思念体に送信していたの。
でも、彼女がいくら複雑なアルゴリズムを構築したところで、傍受されるリスクは常にある。
その問題を、彼女は、彼女自身が暗号鍵となることで解決しようとした。
あのね、キョンくんはここまでの話に着いてこれてる?」
俺は正直にかぶりを振った。
長門が暗号鍵になってそれがどんな風に長門の不在に繋がるんだ。
「分かりやすく言うとね、長門さんは自分を、データを復号するためのブラックボックスにしたの。
ある値を代入すると、定められた法則性に従って、別の値が出てくる関数を想像してもいいわ。
長門さんが自らの意志で復号しようとしなければ、データは無意味な情報素子の山でしかない」
朝倉は美味しそうにお茶を啜り、
「実は二週間前から、長門さんはプールしたデータの復号作業をしているの。
復号中の長門さんは最低限の機能を除いて停止するから、観測手の役割は別の端末に一時交代する。
そして、その役目を任されたのが、わたしというわけ」
「どうしてお前が選ばれたんだ?」
「手っ取り早くて、確実だったからじゃないかしら。
新しい端末を配備するには、それなりの準備と労力が要るの。
その点、わたしならほんの少し情報操作するだけで、
自然に、涼宮さんの環境に溶け込むことができるわ」
「長門はいつ戻ってくるんだ」
「ふふ、長門さんがいないとそんなに寂しいのね?
でも、ごめんなさい、それはわたしにも分からないの。
キョンくんが心配しているほど長い時間はかからないと思うけど」
「俺の記憶が二週間分なくなっていることについて、何か納得のいく説明ができるか?」
朝倉はぴくりと翠眉を傾け、
湯のみを両手で回しながら、しおらしく呟いた。
「わたしの仕業じゃない、ということしか」
「口止めされて言えないのか。それとも、本当に知らないのか」
「本当に知らないのよ」
俺はがっくりと肩を落とした。
朝倉の話を全面的に信頼するなら、二週間分の記憶を失ったところで、今後の生活に大した影響はないだろう。
そのうち長門が帰ってきて、朝倉はお役御免、俺は平穏な日々を取り戻す。
しかし、ハルヒの不思議パワーを二年間間近で浴び続けていたからかもしれない、
放射能を浴びて突然変異した動植物が如く、とまで言うと大げさだが、
異変察知能力、第六感とも呼ぶべき直感が、この二週間の記憶を取り戻せと警鐘を鳴らしていた。
「質問はこれで終わり?」
「いや、まだだ」
記憶の復元にあたり、避けては通れない道がある。俺は聞かなければならない。
朝方スウェットの下に足を通してからというもの、俺が自分が自分であることに自信を持てなくなった原因を。
「手っ取り早くて、確実だったからじゃないかしら。
新しい端末を配備するには、それなりの準備と労力が要るの。
その点、わたしならほんの少し情報操作するだけで、
自然に、涼宮さんの環境に溶け込むことができるわ」
「長門はいつ戻ってくるんだ」
「ふふ、長門さんがいないとそんなに寂しいのね?
でも、ごめんなさい、それはわたしにも分からないの。
キョンくんが心配しているほど長い時間はかからないと思うけど」
「俺の記憶が二週間分なくなっていることについて、何か納得のいく説明ができるか?」
朝倉はぴくりと翠眉を傾け、
湯のみを両手で回しながら、しおらしく呟いた。
「わたしの仕業じゃない、ということしか」
「口止めされて言えないのか。それとも、本当に知らないのか」
「本当に知らないのよ」
俺はがっくりと肩を落とした。
朝倉の話を全面的に信頼するなら、二週間分の記憶を失ったところで、今後の生活に大した影響はないだろう。
そのうち長門が帰ってきて、朝倉はお役御免、俺は平穏な日々を取り戻す。
しかし、ハルヒの不思議パワーを二年間間近で浴び続けていたからかもしれない、
放射能を浴びて突然変異した動植物が如く、とまで言うと大げさだが、
異変察知能力、第六感とも呼ぶべき直感が、この二週間の記憶を取り戻せと警鐘を鳴らしていた。
「質問はこれで終わり?」
「いや、まだだ」
記憶の復元にあたり、避けては通れない道がある。俺は聞かなければならない。
朝方スウェットの下に足を通してからというもの、俺が自分が自分であることに自信を持てなくなった原因を。
「お前は昨日、いつ俺のベッドに忍び込んだんだ?」
「あら、忍び込んだだなんて心外ね。
キョンくんがお夕飯を一緒に食べていかないかって誘ってくれて、
一度家に帰るフリをして、またこっそりキョンくんの部屋に戻って、そのまま一緒に眠ったのよ」
待て待て待て待て。
それじゃあ何か、俺は自分の意志で朝倉を家に請じ入れ、
自分の意志で朝倉と寝床を共にしたというのか。
そんな馬鹿な。
朝倉が復活してから二週間、いったいどんな心境の変化が俺に訪れたんだ?
「本当に全部忘れちゃったのね……」
「その同情するような目をやめろ」
「キョンくん、落ち着いて聞いて。
何も不思議なことじゃないわ。
だってわたしたちは、秘密で付き合ってるんですもの」
絶句した。次いで、乾いた笑い声が漏れてきた。
危険な状況下では恋愛感情が芽生えやすいというが、
危険の元凶が相手の女でも吊り橋効果は働くらしい。
「あら、忍び込んだだなんて心外ね。
キョンくんがお夕飯を一緒に食べていかないかって誘ってくれて、
一度家に帰るフリをして、またこっそりキョンくんの部屋に戻って、そのまま一緒に眠ったのよ」
待て待て待て待て。
それじゃあ何か、俺は自分の意志で朝倉を家に請じ入れ、
自分の意志で朝倉と寝床を共にしたというのか。
そんな馬鹿な。
朝倉が復活してから二週間、いったいどんな心境の変化が俺に訪れたんだ?
「本当に全部忘れちゃったのね……」
「その同情するような目をやめろ」
「キョンくん、落ち着いて聞いて。
何も不思議なことじゃないわ。
だってわたしたちは、秘密で付き合ってるんですもの」
絶句した。次いで、乾いた笑い声が漏れてきた。
危険な状況下では恋愛感情が芽生えやすいというが、
危険の元凶が相手の女でも吊り橋効果は働くらしい。
下手に警察等に事件の解決しようとされると
被害者の身が危険に晒されるので
被害者が加害者の心情的な味方についてしまう現象?
銀行強盗に優しく扱われた人質が警察が突入することを拒み
解放後嘘の情報を警察に流したり
事件後強盗と人質が結婚した事件あったよね
被害者の身が危険に晒されるので
被害者が加害者の心情的な味方についてしまう現象?
銀行強盗に優しく扱われた人質が警察が突入することを拒み
解放後嘘の情報を警察に流したり
事件後強盗と人質が結婚した事件あったよね
「俺達は、その、どういった経緯で付き合いだしたんだ?」
「わたしがカナダから帰ってきて、偶然席が近くになって、
それから涼宮さんも交えてよく喋るようになって……一週間前に、わたしがキョンくんに告白したの」
フラッシュバックする。
西日に満たされた静かな教室で、両手の指を胸の前で絡ませ、
潤んだ眼差しで思いの丈をぶつけてくる朝倉の姿が。
「ハルヒが、そんなことを認めるわけがない」
「だから、秘密で付き合ってるって言ったじゃない。
涼宮さんを含めたSOS団やクラスメイトの前では、わたしとキョンくんは、ただのお友達よ」
「俺はお前と、何度寝たんだ?」
「女の子にそんなことを言わせる気?」
「あ、いや……、すまん」
無意識に尋ねた内容が、著しくデリカシーに欠けていることに気づき、反射的に頭を下げる。
朝倉は頬をほんのり桜色に染め、
「四回よ」
と呟いた。俺は自分自身に幻滅した。
朝倉と付き合い初めて一週間以内に四回。
まるで猿だ。性の乱れ甚だしい。
「わたしがカナダから帰ってきて、偶然席が近くになって、
それから涼宮さんも交えてよく喋るようになって……一週間前に、わたしがキョンくんに告白したの」
フラッシュバックする。
西日に満たされた静かな教室で、両手の指を胸の前で絡ませ、
潤んだ眼差しで思いの丈をぶつけてくる朝倉の姿が。
「ハルヒが、そんなことを認めるわけがない」
「だから、秘密で付き合ってるって言ったじゃない。
涼宮さんを含めたSOS団やクラスメイトの前では、わたしとキョンくんは、ただのお友達よ」
「俺はお前と、何度寝たんだ?」
「女の子にそんなことを言わせる気?」
「あ、いや……、すまん」
無意識に尋ねた内容が、著しくデリカシーに欠けていることに気づき、反射的に頭を下げる。
朝倉は頬をほんのり桜色に染め、
「四回よ」
と呟いた。俺は自分自身に幻滅した。
朝倉と付き合い初めて一週間以内に四回。
まるで猿だ。性の乱れ甚だしい。
>>62 それはストックホルム症候群
間違った>>64です
俺は朝倉とまともに視線をあわせることもできずに、湯のみに向かって宣言した。
「交際は、解消だ」
「いいわよ」
面を上げる。意外なほどにあっさりと認めてくれるんだな。
「あなたと別れたくなくて、だだをこねると思った?
ふふ、うぬぼれ屋さんなのね」
朝倉は悪戯っぽく笑い、それから、寂しそうな顔をして言った。
「今のキョンくんにとってわたしは怖い殺人鬼。
そんなわたしが交際継続を迫っても、余計にキョンくんの心象を悪くするだけ。
だから、また一からやりなおさなくちゃ」
間違ったことをしたわけでもないのに、罪悪感が胸に去来する。
「わたし、もう教室に戻るね。
キョンくんは少し遅れて来てもらえる?
わたしたちが授業室の教室に一緒に入っていったら、色々と問題があると思うから……」
「そういえば、朝倉はなんと言い訳して教室を出てきたんだ?」
朝倉はくすりと苦笑して、
「秘密。キョンくんは本当に、わたしを恥ずかしがらせるのが好きなのね」
ああ、そうかい。
訊いた俺が野暮だったよ。
「交際は、解消だ」
「いいわよ」
面を上げる。意外なほどにあっさりと認めてくれるんだな。
「あなたと別れたくなくて、だだをこねると思った?
ふふ、うぬぼれ屋さんなのね」
朝倉は悪戯っぽく笑い、それから、寂しそうな顔をして言った。
「今のキョンくんにとってわたしは怖い殺人鬼。
そんなわたしが交際継続を迫っても、余計にキョンくんの心象を悪くするだけ。
だから、また一からやりなおさなくちゃ」
間違ったことをしたわけでもないのに、罪悪感が胸に去来する。
「わたし、もう教室に戻るね。
キョンくんは少し遅れて来てもらえる?
わたしたちが授業室の教室に一緒に入っていったら、色々と問題があると思うから……」
「そういえば、朝倉はなんと言い訳して教室を出てきたんだ?」
朝倉はくすりと苦笑して、
「秘密。キョンくんは本当に、わたしを恥ずかしがらせるのが好きなのね」
ああ、そうかい。
訊いた俺が野暮だったよ。
役入れ替わった途端キョンの貞操を持っていったことを知った長門さんの心境
>>83
心配すんな長門なら俺の横で
心配すんな長門なら俺の横で
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| .__ | __| |__ |____ ,____| ,! / | l´ く`ヽ ___| ̄|__ r‐―― ̄└‐――┐
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| |_| | _| |_| |_| |_ | | | r┐ r┐ | | | / | | レ'´ / く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
| r┐| |___ __|. | | | 二 二 | | |く_/l | | , ‐'´ ∨|__ ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
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`´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'  ̄ ` `´ `ー' `ー───-
二限目と三軒目の休み時間を見計らって教室に戻ると、HR前の騒ぎが響いているのか、
クラスメイトから若干の距離を取られているような気がした。
が、唯一の例外は淀みない足取りで俺のところへ一直線にやってくると、
唇を開き、閉じ、開き、閉じを繰り返し、微かに火照った顔で俺を睨みつけ、
「…………」
まったく、言いたいことがあるなら言えってんだ。
「朝は怒鳴って悪かった。俺がどうかしてたんだ」
「いきなりわけわかんないこと言って、どっか行っちゃって……!
あたしに偉そうな口きいた罪と、あたしを心配させた罪、しっかり償わせるからね」
「はいはい」
「はいは一回!」
お前は俺のおふくろか、と思う。
席に着くと、朝倉は体調の優れないクラスメイトを気遣う模範的な態度と声音でもって、
「気分はもういいの?」
と尋ねてきた。文芸部室の時間が嘘のようだ。
クラスメイトから若干の距離を取られているような気がした。
が、唯一の例外は淀みない足取りで俺のところへ一直線にやってくると、
唇を開き、閉じ、開き、閉じを繰り返し、微かに火照った顔で俺を睨みつけ、
「…………」
まったく、言いたいことがあるなら言えってんだ。
「朝は怒鳴って悪かった。俺がどうかしてたんだ」
「いきなりわけわかんないこと言って、どっか行っちゃって……!
あたしに偉そうな口きいた罪と、あたしを心配させた罪、しっかり償わせるからね」
「はいはい」
「はいは一回!」
お前は俺のおふくろか、と思う。
席に着くと、朝倉は体調の優れないクラスメイトを気遣う模範的な態度と声音でもって、
「気分はもういいの?」
と尋ねてきた。文芸部室の時間が嘘のようだ。
「マシになった」
「あんた朝倉さんにもきちんと謝りなさいよね」
「……悪かったよ」
「いいのよ、涼宮さん。キョンくんも、わたしは全然気にしていないから。ね?
疲れているときって、自分でも思ってもみない行動をとってしまうもの。
わたしにも似たような経験があるわ」
それから朝倉は、他の女子グループに呼ばれて、嬌声の輪の中心に入っていった。
「なあ、ハルヒ」
「なによ」
「俺は朝倉がカナダから戻ってきてから、どんな風にあいつと接してた?」
ハルヒは隙あらば悪態をつこうと尖らせていた唇をすぼめて、
「どんな風にって……キョンのことは、キョンが一番よく知っているでしょ?」
「いいから、教えてくれ」
「あんた朝倉さんにもきちんと謝りなさいよね」
「……悪かったよ」
「いいのよ、涼宮さん。キョンくんも、わたしは全然気にしていないから。ね?
疲れているときって、自分でも思ってもみない行動をとってしまうもの。
わたしにも似たような経験があるわ」
それから朝倉は、他の女子グループに呼ばれて、嬌声の輪の中心に入っていった。
「なあ、ハルヒ」
「なによ」
「俺は朝倉がカナダから戻ってきてから、どんな風にあいつと接してた?」
ハルヒは隙あらば悪態をつこうと尖らせていた唇をすぼめて、
「どんな風にって……キョンのことは、キョンが一番よく知っているでしょ?」
「いいから、教えてくれ」
みんなの評価 : ★★
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