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元スレキョン「ハルヒ、金貸してくれよ」
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ハルヒ「――――なによ、キョン」
キョン「金だよ、金。今月こづかいがピンチなんだよ。貸してくれ」
ハルヒ「…………………………」
ハルヒ「……いくら」
ハルヒ「いくらいるのよ」
キョン「とりあえず、1000円あれば足りるかな」
ハルヒ「…………………………」
ゴソゴソ、スッ
キョン「おう。それじゃあ俺、今日は団活でないで帰るから」
ハルヒ「……キョン……」
キョン「あ?」
ハルヒ「お金……お金、何に使うの……?」
キョン「 ハァぁっ!? 」
ハルヒ「っ!」 ビクッ
キョン「おいおいハルヒよ、俺はお前にそんなことまでいちいち報告せにゃならんのか?
俺にいつ、借りた金の用途をお前に明かす義務が課せられたんだ?
そんな記憶、俺のちっぽけな脳みその中をいくら探ってもとんと見当たらないんだがな」
ハルヒ「っ、キョン…………ごめ……もう、いいわ……この話、もういいから――」
キョン「 もういいじゃねーだろうがッ!! お前から話振ってきたんだろッ、なにめんどくさそうな言い方してんだよオイ!!」
ハルヒ「ち、ちがっ……あた、あたしはッ――」
キョン「どうせアレだろッ、また俺が金返さないとか思ってんだろッ!? だったら使い道くらい把握しておく権利がある、とか思ってるんだよなぁ!? なぁ、そうだよなぁ!」
ハルヒ「っ……ちが、違うのッ、キョン……あ、謝るっ。謝る、からぁ……お願いだから、怒鳴んないで――」ジワ...
キョン「ハハッ、アレですか。また団長お得意の泣き落としですか。女の子はいいなー、いつでも誰かが守ってくれるもんなぁー!」
ハルヒ「――っ、ぅくっ……ぅふぅっ……!」
キョン「なんてな。嘘だよ。ちょっとしたジョークだろハルヒ。なに本気で泣いちまってんだよw」
ハルヒ「っ、っ……ぇ……うぐっ……ひくっ……」
キョン「まぁでも、金返さないのは本当かもな」
キョン「なんせ、“バ イ トも出来ない”学生の身だからな。まったく、ハルヒへのツケは増えていく一方だぜ。ハハッ」
ハルヒ「っ! ……ひくっ、ひっ――ふ、うぅううぅうぅぅぅぅっ……!!」 ペタン
キョン「それじゃまた明日な、ハルヒ。朝比奈さんたちによろしく言っといてくれ」
ガラガラッ ピシャン
古泉「……………………」
キョン「おお古泉。なんだよ、HR終わってたんだし、廊下で待ってることもなかったろうに」
古泉「……あなたと涼宮さんのやりとりが、聞こえたものですから……」
キョン「なんだよ、気を使うようなことでもあったか? 別に聞かれて困る話じゃなかった気がするが」
古泉「……涼宮さん、泣いてませんでしたか……?」
キョン「あー。そのうちケロっと治るだろ。図太さだけが取り柄みたいな奴だしな」
古泉「……確かに、私がとやかく口を出せる問題ではありませんが」
古泉「ですが、あなたは――」
キョン「古泉」
古泉「ッ――」
キョン「俺、今日はこのまま部室に顔出さないで帰るから」
古泉「………………」
キョン「朝比奈さんと長門に、よろしく言っといてくれ」
古泉「…………わかりました」
キョン「ああ。それじゃあな」
かつっ、とっ……
かつっ、とっ……
かつっ、とっ…………
古泉「……………………」
古泉「うまいものですね……もうあんなに遠くまで……」
古泉「人間の慣れというものには、つくづく驚かされますが……」
古泉「……彼の胸中を察すれば、『こんなことに慣れても嬉しかねーよ』、でしょうか……」
――キョン宅――
ガチャ
キョン「ただいまー」
ピョコ
妹「あ……キョンくん! ……お、おかえりっ」
妹「えとえと……キョンくん、大丈夫だった?」
キョン「え? ……ああ、別に。坂道ももう慣れたしな。心配してるのか、ありがとうな」
妹「ううんっ……! あ、わたしカバン持つよー」
キョン「ああ、すまん。どうにも靴脱ぐにも手間取ってな……」
妹「……? キョンくんこの袋なにー? お買い物してきたの?」ガサゴソ
キョン「ちょっとな。編み物でも始めようかと思ってな」
妹「わぁ、もじゃもじゃ毛玉だー。青いのと白いのとあるね」
妹「そっかぁ。うん、わたしも編み物するの、いいと思うよー」
キョン「とりあえず最初はマフラーからだな。
それからニット帽、靴下、手袋と、徐々にスキルアップを図って――」
キョン「っと」
キョン「靴下はいらない、かな」
妹「っ……!!」
キョン「いや、編んだらお前にやろう。そうだ、それがいい。
学校に履いていきなさい、きっとあったかいぞ」
妹「……うん……ありがとー……」
キョン「さて、部屋に戻るか……っと」
キョン「そういや、この家リフォームするって話、父さんから聞いたか?
まさかそんな金がうちにあったとは、思ってもいなかったが」
妹「…………」
キョン「別に俺は、このままの家でもいいと思うんだがなー」
キョン「まぁ、建て替えるわけでもなし、そっちの方が安上がりなのかもな。
詳しいとこは俺にもよくわからんが」
妹「……キョンくん……」
キョン「まぁ、購入したときでもう築20年とか言ってたしな。いい機会といえばいい機会で――」
妹「キョンくんっ……!!」
>>10予想とかマジで書き手がやりにくいからよそうぜ
キョン「ん? ……どうした、妹よ?」
妹「……べ、勉強」
妹「わかんないとこ、あるの……キョンくん教えて……」
キョン「なんだ、そんなことか。もちろんいいとも」
キョン「それじゃ、部屋で先に待っててくれ。トイレ済ませてくるから」
妹「……うん……」
妹「気をつけてね……」
とんっ……
とんっ……
とんっ……
妹「………………」
妹「……キョンくんかわいそう……」
>>12
ハルヒからカツアゲした金でハルヒにプレゼントとか感動でもなんでもないよねってツッコミを頂きたかった
ハルヒからカツアゲした金でハルヒにプレゼントとか感動でもなんでもないよねってツッコミを頂きたかった
――部室――
ガチャッ
古泉「こんにちは、お二人とも」
みくる「あ、古泉くん。今日は遅かったですねぇ」
古泉「ああ……ちょっと、担任の先生から頼まれごとがありまして……」
みくる「お疲れ様ですぅ。あ、いまお茶を淹れますね」
長門「……………………」ペラッ
古泉「……………………」
みくる「はい、どうぞ」コトッ
古泉「ああ、いつもすみません。今日はダージリンティーですか、良い香りです」
みくる「今日のはちょっと、お茶っ葉を奮発してみちゃいましたぁ。とってもおいしいですよ?」
古泉「ええ……いただきます……」ズズッ...
長門「……………………」ペラッ
みくる「…………………………」
みくる「……涼宮さん、遅いですねぇ……」
みくる「早く来ないと、紅茶、風味が飛んじゃいますよ、ふふ」
古泉「……………………」
古泉「……朝比奈さん……何も聞かないんですね……」
みくる「? なにがですかぁ?」
古泉「……彼の……彼が、今日ここに――」
古泉「いえ。毎日、この部室に顔を出さないことを、です……」
みくる「……………………」
長門「……………………」ペラッ
みくる「仕方ないですよ……ここからキョンくんの教室まで、結構ありますから……」
みくる「キョンくん、人に手を借りて歩くの、嫌がってますし、それに……」
古泉「それに、教室以外の場所で、いまさら彼女に会いたくはない、と……」
みくる「そんなんじゃないと思いますっ……キョンくん、本当に本当に優しい子なんですよ……」
みくる「でもまだなんていうか、その……」
みくる「……心の折り合いが、付けられないだけなんだと思うんです――」
みくる「涼宮さんをかばって、右足を失ったことに」
長門「……………………」ペラッ
古泉「……彼女の行動が予測不可能なものとはいえ、あれは完全に僕の油断が招いた結果でした。
彼女の身の安全を確保するのも、僕の役割だったはずなのに……」
みくる「古泉くんのせいじゃありませんよ……」
みくる「涼宮さんが赤信号に飛び出したのも、年上の私がしっかり注意してなきゃいけなかったんです……」
みくる「それなのに、キョンくんと追いかけっこしてるのを見てて、微笑ましいなーなんて、のん気なことを考えてて――」
みくる「っ、ダメですね、こんなの。誰のせいか、なんて、それこそ言っててもしょうがないです」
みくる「今はとにかく、キョンくんと涼宮さんの間の溝を埋めないと……」
古泉「……………………」
みくる「って言っても、私にできることなんて、少しでもおいしいお茶を淹れることくらいですけど……」
みくる「ホぉント、頼りにならない先輩ですぅ、私……」
古泉「……彼だって、心から涼宮さんを憎んでいるはずはありません。
それなのに、自分の負うことになったハンデを前に、不安や苦悩を彼女にぶつけてしまう」
古泉「荒んだ言葉を発しながら杖をついている姿は、正直僕も見ていられませんよ……」
長門「……………………」ペラッ
古泉「しかし今ひとつ不可解なのは、なぜ長門さんにさえ、彼の失われた脚を復元することが出来ないんでしょうか?」
古泉「それにあの事件以来、閉鎖空間がまったく発生しなくなったのも気にかかります。
正確には、最後に発生したのが事故の日の三日後でしたが……」
みくる「それは、私も……あれだけショッキングなことがあったら、前みたいなことが起こってもおかしくないのに……」
古泉「彼のあの姿を目にして、彼から毎日のように罵倒を浴びて……」
古泉「涼宮さんにとって、これほどの地獄はないはずですが、一体……」
長門「……………………」パタン
長門「……それについては、統合思念体によって、ある一つの仮説が導き出された」
みくる「長門さん? 本当ですかぁ?」
古泉「仮説――というのは、彼の脚を治せないことについてですか? それとも、閉鎖空間の件について?」
長門「結論を言えば、その二つの要素はお互い関連し合っている」
長門「『彼の脚が復元できない』という事実は、閉鎖空間が発生しないための条件のひとつに含まれている」
みくる「???」
古泉「彼の脚の欠損が、閉鎖空間の発生を抑制している、ですか――?」
古泉「閉鎖空間は、本来、涼宮さんのストレスによって発生するもの……
しかし、涼宮さんは彼の右足が無いという現状を、ストレスとして捉えていない……?」
長門「加えて、涼宮ハルヒは自らの持つ願望を可能性として引き寄せる力がある」
長門「そしてあまりにも強い願望によって引き寄せられた未来は、そこに情報の改竄を加えるのは極めて困難」
古泉「ということは、つまり――」
古泉「ッ!!」
古泉「――そ、それは、なんというか……いやまさか……」
みくる「ふぇぇ? 二人とも、一体どういうことですかぁ?」
長門「そう」
長門「涼宮ハルヒは、彼の右脚の欠損を心から望んでいる」
――キョン宅――
カリカリ...カリカリ...
妹「……ねぇキョンくん……」
キョン「んー? どっかわからないとこでもあったか?」
妹「あのね、昨日ね……」
妹「えとね……えと……」
キョン「こら。もじもじ喋るのはやめなさいって、お兄さんいつも言ってるでしょう。
言いたいことがあるならはっきり言いなさい」
妹「う、えとね、えと……」
妹「昨日、キョンくんがお夕ごはん食べてね、お部屋に戻ったあとでね……」
キョン「ああー……昨日は少し疲れてたから、その後すぐに寝ちまったな……」
キョン「何か用事でもあったのか?」
妹「ううん、ちがくてね、その……」
妹「……キョンくん寝た後にね、ハルにゃんが、家にき――」
バンッ!!!!!!!!!!!!!!
妹「っ!!」ビクッ
私が守ってあげるキョンは私だけの物うふふふふふとかやってんのか
キョン「今は宿題やる時間だろう。おしゃべりはやめなさい」
妹「……でも」
キョン「ほら。ここ、計算が間違ってるだろ。集中してないからこういうことになるんだ」
妹「でもね、キョンくんっ――昨日、ハルにゃんが」
キョン「 余計なことはいいから、早く勉強しなさいッッッ!!!! 」
妹「っ、っ……! うぅぅっ……………………ひくっ」ジワ...
キョン「っ」
キョン「ああぁぁ、ごめんな? 怒鳴ったりして悪かったよ……。怖かったか? ごめんな……」
キョン「でも、今はお勉強をする時間だろう? だったらきちんと集中しなきゃだ、な? そうだろ?」
妹「ひ、グシュ……」
妹「ぐすっ、ごめっ――ごめん、なさいっ……ひくっ――ふっ……」ゴシゴシ...
キョン「ほらほら、こっち向きなさい。鼻でノートが汚れるから……」
キョン「それじゃこうしよう。宿題終わったら、なんでもご褒美をあげるぞ」
キョン「だからな、今は泣くのもおしゃべりもやめて、お勉強するんだ。な?」
妹「ぅくっ、ひっく……」
キョン「な?」
妹「っ……な、なん、でもぉ……?」
妹「ほんとに、ほんとになんでもごほうびぃ?」
キョン「ああ、なんでもだ」
キョン「一緒にゲームやるか? それともお菓子買いに行くか? ん?」
妹「っ、ひっく……ひっく……」
妹「それ、じゃぁ……それじゃぁ、ねぇ……っ……ひっく」
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