元スレ美琴「何? 私が弱いですって!?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
252 = 179 :
一通「おォし、てめェら帰れ。時間だ」
上条(美琴……)
土御門「かみやん、心当たりはどうだったにゃー」
上条「いや……ん?」
美琴「……」
上条「……美琴」
美琴「……確かめに、きたの」
上条「……なにをだ?」
253 = 184 :
おかえり④
254 :
紫煙
255 = 179 :
美琴「神裂さんは、いる?」
上条「……」
美琴「五和さんは、どうしてる?」
上条「……」
美琴「吹寄さんは? ……姫神さんは?」
上条「……」
美琴「銀髪のシスターの娘は、元気?」
上条「……!」
――消えた。
美琴「私が……」
美琴「ごめんっ、もう帰るね!」
上条「……あっ! 美琴!」
256 = 184 :
④ 先が読めない
257 = 179 :
街灯の下には、やはり金髪長身の男が佇んでいた。
また現れると、少女は確信していた
「ようやく茶番劇は終わりのようだな」
「……アンタは、どうしてこんなことをしたのよ」
「おや、聞いてなかったのか? 興味本位だ。アレイスターには秘密だがな」
「みんなを巻き込んで!」
「心外だな。私は場を提供しただけだ」
「この舞台の配役は、君が決めたのだよ。……もっとも、一部は違うようだが」
「っ!」
少女の前髪からバチバチと火花が散る。
「幼稚な八つ当たりは感心しないな」
「ここで私に何をしようと無駄なのは、聡明な君ならわかっているだろう?」
「幕を降ろすためにはどうすれば良いか、ということも」
「……!」
すべて図星。反論の余地などなかった。
「君は最初から知っていたはずだ」
男はまた、虚空へ消えた。
258 :
エイワスって男でも女でもなくね?
259 :
土御門「はぁ……昨晩のメモがあってよかったにゃー」
上条「おかげで話を戻さなくて済んだな」
上条「それすらも、忘れたり気付かなかったりする可能性もあったけどな」
御坂妹「使える女、ミサカ10032号をよろしくお願いします、とミサカは熱くアピールしておきます」
土御門「で……話ってのは?」
上条「ああ。やっぱり……」
御坂妹「……ズズ」
上条「夢だよな……? 誰かの」
御坂妹「……ボリボリ」
土御門「……」
上条「…………?」
御坂妹「……ズズ」
土御門「かみやん……」
上条「あれ? もしかして……」
土御門「まぁ……みんな薄々は気付いていると思うにゃー」
御坂妹「ええ。おそらく誰も恥ずかしくて口にしないだけです……とミサカは……ボリボリ……煎餅うめえ」
上条「いいもんっ!ちょっと鈍いくらい全然気にしないもんっ!」
260 :
エイワスが出てきた禁書SSは初めて見た
261 = 259 :
土御門「呆れたような話だが……」
土御門「俺たち超能力者が力を使うには……〝自分だけの現実《パーソナルリアリテイ》〟が必要にゃー」
土御門「他人の夢の中には、〝自分だけの現実〟がない。そりゃあ能力が使えるはずがない」
土御門「これが一番納得できてしまうにゃー」
土御門「で、もしここが他人の夢だとすれば……〝本人〟がいてもいいはずなんだにゃー」
上条「そして……その〝本人〟だけは」
御坂妹「能力を使えるのでしょうね、とミサカは先回りします」
土御門「何せ夢だから自由自在にゃー」
上条(美琴……)
土御門「そもそもの原因は知る由もないが」
土御門「まぁ、状況はホストコンピュータとクライアントコンピュータの関係が近いかにゃー」
御坂妹「あるいはチャットサーバとクライアント、だと、わかりやすいでしょうか」
上条「俺たちは、他人の夢にログインしてる状態ってわけか……」
263 = 259 :
土御門「俺はこれ以上他人の夢に付き合っていられないにゃー」
上条「……」
土御門「俺たちが夢から覚めるには……」
土御門「〝本人〟を見つけて目覚めさせれば万事解決……のはずにゃー。たぶん……」
上条「……」
土御門「ただし」
上条「……権限、か?」
土御門「妙に察しが良いにゃーかみやん」
土御門「おそらくだが……〝本人〟はこの状況を望んで作っている」
上条「……」
土御門「不用意に接触しても、システムをシャットダウンさせることができない可能性が高いにゃー」
土御門「下手をしたら、全て忘れるように記憶をリセットされてしまうかもしれないにゃー」
上条「……それは、たぶん」
上条「大丈夫だ」
264 = 259 :
権限なら……ある。
おそらく。
最初から与えられている。
いつも、どっちの手を握っていた?
俺の右手を、避けていなかったか?
そして、消えた少女たちの代わりに、この舞台に上がってきた人たち。
彼らはきっと、〝誰かが足りない〟という不自然な状況を取り繕うために……引きこんだのだ。俺が。
そして、そもそも少女たちは何故消えた?
もう、わかっている。
御坂妹「……ズズ、そういえば」
御坂妹「昼間、お姉様がこの部屋を尋ねてきました」
御坂妹「あなたに会いに来た、というわけではなさそうでしたが……」
御坂妹「様子が変でした。何かあったのでしょうか? とミサカは少し心配します」
だとすれば……考えたくはないが。
次は御坂妹の番なのかもしれない。
消えるとは限らない。
無害で無邪気な理由だ。
だが、自分が行った仕打ちに、彼女は……美琴は耐えられるだろうか?
265 = 259 :
月明かりが差し込む教室で、少女は窓を開け放ち、ぼんやりと外を眺めていた。
少年は、散乱する改装資材を慎重に避けながら、少女へ近づく。
美琴「……あの時と、なんだか似てるわね」
上条「……今度は、電撃は勘弁してくれよな」
美琴「馬鹿」
軽口を叩く少年に、少女は疲れたように苦笑を漏らす。
美琴「その顔。もう、全部わかってるんでしょ?」
上条「……」
インデックス。
姫神秋沙。
吹寄制理。
五和。
神裂火織。
美琴「本当、私の醜いところ、見せちゃったわね」
美琴「自分に愛想が尽きたわ」
美琴「アンタの言ったとおりだった」
美琴「私は……やっぱり、弱い」
美琴「嫉妬なんて、つまらない理由で」
美琴「消しちゃうだなんて」
266 :
今北産業
267 = 259 :
美琴「私はきっと、薄々は気付いていた」
美琴「自分が消したんだ、って」
美琴「だって……都合が良すぎるでしょ?」
美琴「私にとって邪魔な人だけが、消えるなんて」
美琴「でも、言えなかった」
美琴「アンタを……独り占めしたかったから」
美琴「アンタと一緒にいるのが、楽しかったから……」
美琴「アンタといつまでも、二人きりでいたかったから」
美琴「アンタを誰かに奪われるのが、怖かったから!」
美琴「軽蔑、してもいいのよ」
上条「しない」
美琴「だって、私は……!」
上条「お前は何もしてない」
美琴「でも消したわ!」
上条「死んじゃいない」
美琴「簡単に許さないでよっ!」
美琴「私は!」
上条「うるせぇ!」
美琴「……!」
268 = 259 :
親に悪戯を見咎められた子供のように、少女は身を竦ませる。
それを見た少年は、痛みを堪える子供のような顔を見せた。
上条「嫉妬なんて、誰だってするだろ」
上条「そんなのは、弱さじゃない」
上条「本当に弱いのは、俺だ」
美琴「……」
上条「俺の右手は、お前も知ってるだろ?」
上条「こいつが、俺に与えられるはずの幸運を、片っ端から消しちまうらしい」
上条「根っからの不幸体質。疫病神ってわけだ」
美琴「……」
上条「敵だったら倒せばいい……どんなやつからだって、守ってみせる」
上条「だけど、それだけだ」
上条「この右手は、何も掴めない。何も築けない」
上条「守ろうと思ったものを、壊してしまうかもしれない」
上条「大事にしたくても、傷つけてしまうかもしれない」
美琴「……っ」
この少年は、ひどく重いものを背負っている。
いつも、平気な顔をして。
少女は胸が押し潰されそうになる。
269 = 259 :
上条「だから、怖くて、逃げていた。気付かないふりをして」
上条「本当は気付いていたのに。逃げた」
上条「御坂美琴に……触れられなかった」
上条「お前を、安心させてやることができなかった」
上条「これは……俺の弱さが招いた結果なんだ」
美琴「……。それでも、私は……」
上条「それでも自分が弱いと思うなら、強くなればいいだろ!」
美琴「そんな、簡単に……!」
上条「俺も強くなるから」
美琴「……」
上条「俺とお前とで一緒に、少しずつ、強くなればいいだろ」
上条「二人なら、大丈夫だ」
上条「俺はお前一緒となら、強くなれる」
美琴「……っ」
270 = 259 :
美琴「……」
美琴「……許せない」
上条「お前、まだ……!」
美琴「違うわよ」
美琴「そこまで、言ってくれちゃって……だから」
上条「?」
美琴「……馬鹿ね」
美琴「当麻。手」
上条「あ? ああ……」
美琴「右手っ!」
上条「はいっ!」
美琴「今から、ここが私の居場所よ」
上条「え……?」
美琴「本当に馬鹿……だけど。当麻らしくて安心したわ」
272 = 259 :
両手で優しく、包み込むように。
美琴「私はもう、大丈夫」
美琴「だから……当麻」
美琴「私の幻想を、消してちょうだい」
上条「美琴……」
少女は、少年の右手を握りしめる。
少女の身体が、少年の身体が、教室が、月と星が。
静かに、儚く、消えてゆく。
上条「美琴! 俺は、お前が」
咄嗟に、少女は人差し指で少年の口を押さえた。
美琴「駄目よ。私から先に言わせなさい。あっちに帰ってから、ね」
273 :
いいとこで追いついてしまったなァ
274 = 259 :
いつもの時間、いつもの場所。
平日の朝、あの少年は必ずこの道を通る。
少女は少し早めに寮を出て、少年を待っているつもりだった。
けれど、どうやら時間を少し間違えたらしい。
少年は既にそこにいた。
近寄る少女に向き直り、右手を差し伸べる。
――毎日一緒に、って、約束だったろ?
胸が詰まり、心の中でさんざん練習してきた台詞が出てこない。
溢れようとするものを必死で抑えるが、碌に前が見えない。
声が漏れないよう、少年の胸に顔を押しつける。
悔しくて仕方がない。
この唐変木は、何故こうも私を泣かせるのが上手いのか。
結局、私はまだまだ弱い。
276 :
まぁ、ありじゃないか貴様
乙!!
277 :
乙。面白かった。
美琴可愛い
279 :
乙
おもしろかったよ!
280 :
おもしろかった
281 :
乙
インポさんはそのまま帰ってこなくていいよ
282 :
久々にハイレベルな話を見た
乙
283 :
乙
ところで、五和さんって何巻から出てくんの?
アニメも原作も未見なのに、VIPのSSで惚れてしまった
284 = 271 :
お疲れ様
286 :
乙
無邪鬼の美しい夢でしたなぁ。
288 = 283 :
>>287
ありがと
明日買ってくる
292 :
乙乙
297 :
乙すぎる
美琴愛してる
298 :
乙
なかなかの良作
299 :
乙!
最初はよく分かんなかったけど
読んでったら理解出来た
みんなの評価 : ★★
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