元スレ新ジャンル「堂守」
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151 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.4--096-023
*** 頭の中の映像 *** 023+9
< 1 >
どのような話題に興味を持つのだろうか、こちらの方から話を振って、もしも、
失敗したらと思うと取りあえず様子を見て、今後の成り行き次第にしようと思う。
それにしても中々の家で驚いた。部屋もそれなりに整理され、結構まめな人
なのか。見た目も清潔感が溢れる身なりで、部屋も同じように何処からも気持が
いい感じに成れる造りで色彩も豊か、調度品や美術品もいい感じで申し分が
ない、こんな空間で生活するなんて羨ましいと思った。
「自分なりに用意したもので、口に合いました」
「驚きました。家でこんなに美味しいものが造れるんですね」
「お世辞が上手いですね」
「お世辞だったらすみません。本当に美味しいと、余り料理の味を理解して
いない人間が言っても駄目ですよね。でも、僕は美味しいと」
「私が悪かったわ、素直に喜べばよかった」
「料理の味は本当に難しいと思います。同じ料理でも家によって調味料の量が
違う訳で、初めて、食べる料理が美味しいと感じるのは奇跡に近いと思います」
「色々と失敗を重ねながら、料理の味を見つけるの、自分だけの味では何か
満足できない。だから、誉められるより、何か意見を言っていただくと料理を造る
側に取っては嬉しい。厳しい意見は歓迎するわ」
「そうですか、確かに、でも、それは難しいですね。美味しいものは美味しいと
しかいいようがない」
152 = 151 :
< 2 >
「無理に言わなくてもいいですよ。でも、美味しかったと言ってもらえればそれに
越した事はないです」
「例えば、次があったとして、この味を覚えていれば更に美味しくなっていれば」
「次があったとすれば、多分、別な料理を作ると思う」
「なるほど、それも楽しみですね」
「招待するとき、何を食べたいか聞かない事にしているの、味覚をその人の
人格や雰囲気から判断して、その人に合った料理を考えるのが楽しいわね。
肉とか魚、野菜もその人が好きそうなものを工夫する」
「料理によって、人格が分かる」
「人格によって、料理が分かる。料理によって、色々なことが分かると思う」
「なるほど、それでは今日の料理で、私の性格が分かる訳だ」
「大体、分かるわね。生ものの好きな人と焼いたものが好きな人では違うわね
でも、外れることが多いの、人間の性格って千差万別よ」
「料理って奥が深いですね。驚きました」
「薬剤師と料理の話聞きたい」
「聞きたいですが、そろそろ帰らないと」
「え、そんな時間」
153 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.5--097-023
*** 頭の中の映像 *** 023+10
< 1 >
職業は薬剤師で料理が得意で、気の利いた家に住み、家族も居る。こんな人を
どう扱えばいいと言うのだ。一つ間違えば全ての歯車が狂い身の破滅ではないか。
自分自身も家庭があり、不満もなく満足している生活を送っているのに、今置
かれている状況は非常に危険であり、この状況から逃げることが一番懸命であり
それ以外の選択は考えられない。
「これが最後なの、ケーキとコーヒーよ、ケーキは手作りで口に合えばいいけど」
「もう、満足です。これ以上の食事はこれまでもこの先もないと思います。ご家族
が羨ましいです」
「アルコールを出せなかったのが残念ね」
「アルコールはいけません。それは正しい選択と思います」
「もっと、色々な話がしたかったけど」
「人生ってこんなものでしょう。最初は何となく断ることを考えたけど、今は断らなく
でよかったと思っています」
ケーキとコーヒーを持ってきた幸恵はこれまで縛っていた髪の毛を肩まで下ろし、
更に、女の魅力を増した。
もう限界だった。これは妻からの試練なのか、それとも罰ゲームなのか、男と
してここで立たなくて、何処で立てというのか、全く、いかれている、なぜ、美紀は
夫にこんな試練を与えるのか。
美紀と幸恵はタイプは違うが本質は同じとすれば、正に、服従してもいい女で
あり、服従する事で、更なる喜びが得られるとすれば、服従せざるを得ない。
服従するは我にありってなものだ。
154 = 153 :
< 2 >
欲望から愛情に変わり、そして、信頼へと辿る男と女の人生は欲望だけでは
犯罪であり、欲望の無い愛情は偽りであり、そして、本来最も必要とする
ものは信頼であり、信頼のない欲望も愛情も中身の無いプレゼントのような
もので、見た目は美しいが結局、心のない人形でしかない。
欲望を満たすだけでは収まらないのが人生であり、欲望だけで終わる人生
なんて何処にもない。
欲望を満たす為に愛情を語る事は余りにも簡単なことではなるが、欲望を
満たす事で愛情を育む労力は並大抵ではない。愛情が得られた後の後始末は
信頼へと発展し、切っても切れない関係がそこで生まれる。
もし、そんな事になれば、妻である美紀の運命はどうなってしまうのか。
155 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.8--098-023
*** 頭の中の映像 *** 023+11
< 1 >
生きていく上で障害は沢山あり、それをどのように処理するかによって、人格は
形成され、人生に深みを与え、自らの知識となり、歴史になって存在するとすれば
何事も経験であり、経験しない限り、新たな知識は生まれない。
人を愛することは人格を形成する中では大きな試練であり、それを経験する事で
得られる知識は非常に重要であり、貴重と言える。
問題は目の前にいる幸恵さんに愛情を感じているかだ。確かに男として女に
対する感情は存在するがそれは愛情ではなく欲望でないか。ふくよかで温か
そうな白い肌と若々しく整った顔は多分、誰でも抱きしめたくなり、その肉体に
体をうずめたくなるだろう。そして、それによって得られる快楽はそれまで形成
した人格を破壊する喜びと満足を与え、生きている証明を強く印象付けるので
はないか。
欲望は人間に取って必要であり、欲望が無ければ強い意志と幸運を掴むことは
出来ない。
ただ、愛情に対する欲望は単なる生理現象であり、欲望では在るが理性のない
欲望になったとき、それは犯罪であり、ただ、人を傷つけるだけの存在であり、
そして、自らの人格さえも破壊しかねない。簡単に言えば、トイレを求めるときは
トイレ以外はトイレにしてはいけないと言う事だ。
妻である美紀に対する最初の感情は欲望だった。それは正に男として異性で
ある女の肉体を求めた欲望であり、一人の人間として必要な愛情へと進む道を
切り開く上での生理的現象であり、経験すべき人間の道程と言えた。
156 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.3.26--099-024
*** 月影 *** 024+1
< 1 >
夜も深まり月の光が強く、長い影を作っていた。信夫は月に背を向け自分の
影をじっと見ていた。
風が吹いて来た。月の光に照らされた木の枝の影が風に吹かれて揺れた。
その中で信夫の影は微動ともしない。じっと動かない影を見詰めたその目は
死人のように動くことは無かった。
耳に風の音が微かに聞こえだし、風が強くなって来たようだ。突然、突風が
吹き目には見えないが土ぼこりが顔を襲い、微動だもしなった信夫の体が大きく
揺れた。
風の音に混ざり、明子の声が月の方から聞こえた。信夫は振り返った。月の
光は強く、信夫は明子の体の輪郭しか見えなかった。月に照らされた信夫は
明子からよく見えたが月を背にした明子の顔は暗く何も見えなかった。
明子は信夫に小走りで近づいて来た。信夫は僅かに後ずさりをした。
「信夫さん待った」
「いいえ、そうでも」
「家に入ろう」
月明かりが二人の影を映し、二人はその影を追うように牧場の作業場に急いだ。
157 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.11--100-024
*** 月影 *** 024+2
< 1 >
古びた牛舎にある作業員の仮眠室が二人の密会の場で、ここで二人はしばし
昆虫のように狭いベットの上で蠢き、絡み合い命を作り出す生き物としての姿を
繰り返した。理性を持った人間としては考えられない動物のように欲望を隠さず
お互いの肉体を求め合う姿は人であって人とは思えない、二人の体が一つに絡み
在ったその姿は月明かりの中で人ではない別な生物のように息づいていた。
狭い部屋を月の光がうっすらと照らし、蠢いていた生物は姿を消し、信夫の胸の
上に興奮から醒め始めた心臓の音を聞いている明子の体が覆い被さっていた。
明子の肌は僅かに汗で濡れて、信夫の指がその肌を欲望から醒めて行く気持
を羨むようにその余韻を感じながら蠢いていた。
「信夫さんはいつも満足させてくれる」
明子は満足そうに言った。体中から染み出した汗がほてった体を冷やし、
よく張った肉付きのいい明子の肌が信夫の肌に張り付いた。
月明かりの中で、明子は信夫が求めるままに体を許した。そして、それが明子の
心を癒したのだ。
ほんの僅かな時間の間に凝縮される喜びを教えてくれたのは信夫をだった。
158 = 157 :
何一つ纏わない二人の肉体が生み出す喜びによって、苦しみから開放される
喜びを知った明子はこの喜びが永遠に続く事を願っては居るが、今の二人の
関係からはそれは叶わぬもので、また、新たな苦しみを抱えたのも事実だった。
太陽が沈み、月が上がり、夜の闇に光る月が異様に明子の体を興奮させ、
その興奮した体を癒してこれる信夫を失う訳には行かなかった。
それは今夜のように月が全ての物に影を落し、物静かな夜のことだった。
信夫は慣れない牧場の仕事に疲れ、牛舎の前で月夜を見上げていたときから
この二人の関係は始まった。
159 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.12--101-024
*** 月影 *** 024+3
< 1 >
夜の闇の中に月明かりで大きな影を作る林の太い幹の大木の根元で何かが
動くのを信夫は見た。
月の光は闇の中では全てのものの色彩を奪い、知識の目が識別する事でその
存在を捕らえる。目で見えるというより感じるということか、夜の暗闇の中で月
明かりの見辛さが五感を敏感に働かせ、色彩の無い闇の中で、変化をする影を
信夫は感じ取った。
じっとその影を見詰めた。そのとき、なぜか信夫は体が興奮してくることに
驚いた。何で在るかも分からないのになぜか見詰められているような、何かが
自分を狙っているような、そんな気持がしたので、確かめる事にした。
以前、牧場主人が家畜泥棒のことを話していた事を思い出した。ここは少し民家
から離れているし、主要道路にも近いので、油断は出来ない。ただ、実感としては
泥棒ではないように感じた。
信夫はあの林の中で動く月影は人かそれとも動物か、確かめる為に、まず、
牛舎に入り、それから牛舎を抜け出し、その月影に気付かれないように後方に
回って、確認することにした。
160 = 159 :
< 2 >
もしものことを考え、仮眠室にある素振りようの棒を持って行こうとしたが何かの
間違いでも起こしたら大変なので、武器は持たない事にした。何となく、子供の
頃のことを思い出したのだ。夕方、犬と散歩するとき、祖父の杖を持って行かないと
散歩が出来なかった。杖は夜の闇が子供ながらに怖かったのだ、しかし、怖がる
ことで、益々、武器になるものを求める自分に気付き、このままでは暗闇を歩けなく
成るのではないかと思い、杖を持つのを止めて、犬と共に散歩を始めた。最初は
怖かったがなぜか、武器になる杖を持たなくなった開放感の方が心地よくなって
いる自分に気付き、夜の闇が怖くなくなり、犬の散歩が楽しくなったのだ。
今、まだ、慣れない土地で在るが、ここで武器を持ってしまったら、自分の弱さを
表す事になるので、何も分からない今は不必要なものになるかもしれない武器を
持つ事を止め、懐中電灯をもって、仮面室の窓から外に出た。
161 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.16--102-024
*** 月影 *** 024+4
< 1 >
暗闇の草むらを注意深く、月明かりを頼りに、未確認の人間らしきものに気付
かれないようにまだ不慣れな地形の中を急いだ。
牛舎から一旦、反対側に行って、それから、裏手を回り、動く未確認物体が見える
ところまで来た。身を隠しているので、向こうからは見えないはずだ。
林の暗がりの中をじっと見詰めた。中々、見えない、月の光は木々の葉に光が
遮られ、全てが大きな闇の塊となって、その未確認物体は塊の中で牛舎を見定めて
いるのだろうか、信夫はもう少し、近づいて見る事にした。そして、二三歩いた
とき、大きな闇の塊の片隅からその未確認物体が月の光を受けて確認できる
位置に立っているのに気付いた。
その姿を見る限り、人間であるのは間違いなく、斜め後ろから見ているので、
誰なのか定かではない。もう少し近づき、その人が後ろを向けばある程度は
検討が付きそうだ。しかし、月明かりでは難しいかも知れない。
信夫は息を凝らし、身をかがめて更に近づいた。僅かな音でさえ。気付かれ
そうなところまで来た。ここだったら、何となく、誰であるかは分かりそうなところまで
来た。
そして、信夫はその姿に驚いた。それは顔を見るまでもなく、その人は牧場主の
妻である明子婦人だった。
信夫はこの牧場で働き出して、まだ、僅かで、色々と仕事を明子から教わって
いる最中で、明子の姿を間違えることは無かった。
162 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.18--103-024
*** 月影 *** 024+5
< 1 >
はっきりしたのは確かにあの陰は動き、信夫の姿を見ていたのだ。その未確認
物体が明子婦人とは思わなかったが、現実に目の前に立っている訳で、どのよう
な理由で暗闇の中から信夫を見ていたのかと考えると何となく分かるような感じが
するがあくまでも推測であり真実は分からない。それにしても動く陰を確認して
から時間は大分経ったのではないか。
明子婦人は牧場の仕事は素人の信夫に熱心に教え、早く成れて欲しいと言って
信夫の体を手のひらで叩いた。その手の感覚は何処か親近感を感じるもので、
暖かく、何故か、明子婦人の態度から信夫に好意を擁いているように感じていた。
暗闇の中で明子婦人は何を思い信夫がいる牛舎を見ているのか、信夫は
明子婦人に声を掛けるべきか悩んだが、信夫は声を掛けないで、このまま
牛舎に戻ることにした。ここで声を掛けてもどのような展開が起こるのか予測も
付かないし、明子婦人の気持も理解していない今は明子婦人の行動を見守った
ほうが自然のように思った。
信夫は仮眠室に帰り、ビールとラジオを持って牛舎の外で夜空でも見ながら、
明子婦人の出方を見ようと思った。
ラジオのボリュームを少し抑えて、いつも天気のいい夜にビールを飲みながら
夜空を見上げ、星を見ながら色々な事を考える事が信夫は好きで、この牧場に
来た当初から、外でラジオを聞きながら、ビールを飲んでいた。
もしかすると明子婦人はそんな信夫をいつも見ていたのかと思ったがそれは
ない筈だ、信夫はあれこれ考えてみたら今日は牧場主が突然、他県の友達
から連絡があり、出かけた事を思い出した、それに牧場主と明子ぶじんが少し
口争いをしていたようだった。
163 = 162 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.19--104-024
*** 月影 *** 024+6
< 1 >
信夫は明子夫人の潜む林の方は見ないように星空を眺めながらビールを
飲み終わった。信夫はビールを飲むと決まってする事は広い草原に向かい
子供のように放尿した。これが結構開放感があり、たまらなく気持のいいもで
誰も見ていない夜にする放尿は男の特権とも言える思っている。
信夫は酔っているほどではないが、今日はどっちを向いて放尿をしようか
それとも、近くの簡易トイレでしようか迷った。なぜなら、明子夫人が夜の闇の
中でこちらを見ているのに違いないと思った。
信夫は考えた所詮この世は男と女がいて、お互いが好意を持ってば求める
ものは同じ、そして、求める者が放尿する姿を見ることも好意を持っている
者と何も感じない者の放尿では天と地ほどの違いがあり、好意を持っている
者がする放尿は底知れない興奮をするのではないか。ただ、それも人による
とは思うが少し酔った信夫には明子夫人は多分、興奮し精神的に理性を失う
のではないかと思った。
かれこれ考えているうちに放尿と明子夫人を思う男の性によって、昭夫の陰茎は
限界に達したようだ。信夫を明子夫人が見ているであろう方向に向けて、自慢
出来るほどの陰茎ではないがズボンのチャックを外し、放尿を始めた。
164 = 162 :
< 2 >
信夫はこんなに放尿に興奮したことはこれまで無かった。正に興奮そのもので
あり、このままで、明子夫人の所に突撃したい気分だ。
興奮と生理現象とで、はちきれんばかりの陰茎が放尿により、落ち着きは
したが、興奮は未だに収まらず、まだ、スボンに納めるには少し、大きさが治
まっていない、信夫はまだ納まっていない陰茎が良く見えるように月明かりが
照らすかもしれないので、90度、体を回転させ体から突き出た陰茎の大きさを
見せるように放尿の残りの水滴を陰茎を指で勢いよく上下に左右に振り回し
残留する尿を陰茎の尿道から振り飛ばした。
陰茎もスボンに収まる大きさになり、満足した思いでおもむろに収め、チャック
をして、なんとも言いがたいこどものような経験をした信夫はこれで明子夫人が
どう出るか全ては明子夫人に任せることにした。
165 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.22--105-024
*** 月影 *** 024+7
< 1 >
仮眠所には簡単なシャワー施設があり、作業で汚れた体と家畜の匂いを消す為に
備えてあり、ここで仮眠するときはいつもシャワーを浴びて、仮眠室でごろ寝をして、
夜を過している。
ビールで少しほてった体と今日の作業による体の汚れ、そして、もしかして、
現れるであろう明子夫人を受け入れる体にする為に、信夫は衣服を脱ぎ
シャワー室に入った。
家畜の世話による匂いは明子夫人も同じであり、多分気にはならないはず、
でも、出来れば明子夫人を受け入れるのに相応しい香りを体に付けておきたくて
女と過すときにいつも使っていた石鹸を思い出し、荷物入れを探して見た。
普段は石鹸なんてどうでもいいのだが、女と会うときは特別な空気を吸いたくて
ほのかに漂う香水の香りのする石鹸を使っていた。特別な香りに包まれ体で
女を抱きしめる心地よさはなんとも表現しがたい満足感を味わえた。
信夫はシャワーを体に当て、肌を濡らし、その肌の上にいい香りのする高給な
石鹸を滑らせた。いい匂いが狭いシャワー室に漂い、気分はもうその気十分で、
今まで、静かに収まっていた陰茎は心のままに勃起した。
勃起した陰茎は信夫に取って特別な状態ではなく、男なら誰でもシャワーを
浴びながら嫌らしいことを考えれば起こる生理現象であり、当然なことだ。
166 = 165 :
< 2 >
信夫は勿論、勃起した陰茎にも石鹸を塗り、手で陰茎を握り、石鹸を泡だたせた。
この石鹸はあわ立ちもよく、タオルに石鹸を塗り込み体中を泡だらけにした。
石鹸が泡立ち、いい香りがシャワー室に充満した。
体を早々と洗い、シャワーでその泡を洗い流し、タオルで体を拭き、新しい
タオルを腰に巻いて、シャワー室を出た。
そのとき、何となく、第六感に人の気配を感じた。
167 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.24--106-024
*** 月影 *** 024+8
< 1 >
シャワー室から出て、牛舎の家畜たちに飼料をやる通路を覗いてみた。
腰にタオルを巻まいたままの姿で、夜の保安灯に照らされた薄暗い通路を
見ると、長い通路の出入り口を塞ぐように人がこちらの方に歩いてくるのが
分かった。
信夫は素早く、仮眠室に戻ろうとしたが、信子夫人の方が早く、信夫を
呼び止めた。
「信夫さん、います」信夫はとっさに答えてしまった。
「はあ、なんですか、今、シャワーを浴びたところで、着替えさせてください」
「そっちに行っていい。行くわね」明子は信夫を無視し、仮眠室に入って来た。
「あら、シャワーだったのごめんなさ」信夫は急いで、パンツを穿き、スボンを
穿くところだった。
「今、着ますから」
「こんな時間にごめんなさい」
「いいですよ。なんですか」
「きよう、渡し忘れた健康診断の結果を持って来たの」
「そうですか」
「明日でも、よかったわね」
「いいえ、ありがとうございます」
「診断書見ないの」
「そうですね、見ますか」
168 = 167 :
< 2 >
明子は健康な男を求めていた。今日は覚悟を決めて来たのだ、ただ、健康な
肉体が条件であり、自分の体を自由にされる限りは健康で逞しい肉体でなけ
れば成らなかった。
「健康そうね。どこか悪いところはないの」
「何となくこの診断書分かりずらいな、明子夫人、見て貰えます」
「いいわよ、貸して見て、どれどれ」
なんだ、簡単に信夫の健康状態を知ることが出来たので、少し、嬉しくなって
しまった。
信夫の体はいたって健康そのもので、特に問題はなかった。
「大丈夫そうよ、健康そのもの」
「そうですか、それは良かった」
明子は健康かどうか確かめに来た訳だ。取り合えず体に関しては合格という事か。
信夫も明子夫人の診断を聞きたくなった。
「明子夫人はどうでしたか」
「大丈夫だった。信夫さんと一緒で健康そのもの」
169 = 167 :
< 3 >
確かに、見るからに健康そうな人で、もう、我慢の限界に近いわけで、どうすれ
ばいいのか。自分から迫るべきなのか、それとも、流れを見るのか。
切っ掛けだけなのにその切っ掛けを作るべきか、それとも、様子を見る冪なのか。
それは簡単だった。切っ掛けは明子の方から作った。
「信夫さんはどんな人が好きなの」
信子は早く、進めたかった。もう、体から分泌物が溢れ出しそうで、これ以上
は肉体的に持たない。
信夫ももうどうでもいいと思った。男と女、ここまでくれば、もうどうでもいいの
ではないか。
二人の健康を確かめ合い、こんな時間に女が尋ねて来て、こんなむさくるしい
仮面室に推し掛けて来た女を黙って帰す訳にはいかない。
「例えば、例えばですよ。明子夫人のような人は好きですね」
「嘘でしょ、嘘よ」
「嘘じゃないですよ。明子夫人だったら何でもできますよ」
「本当に」
「任せてください」
「任せるって、何を」
「それは明子夫人の体、なんて、言ってまったりして」
「本当に、私は何をすればいいの」
二人の探りあいはお互いの心を開き、そして、肉体を快く開く為に順調に進んだ。
170 = 167 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.24--107-024
*** 月影 *** 024+9
< 1 >
大問題なのは明子は人妻ということだ。信夫は独身だ、明らかに明子に取って
不倫で夫に対して不貞を働く事になる、それは姦通罪ではないか。
信夫は少し、怖いと思った。不倫ということで事は重大と思う。
「明子夫人は」と信夫は名前を言って尋ねようとしら、明子が突然、信夫の
口を手のひらで抑えた。
「明子夫人じゃなくて、明子か明子さんでいいわ」
「明子さんにします。明子さんは僕のことを好きですか」
「そうね、どうかしら、好きじゃなければだめなの」
「好きなのかなって思ってみたりして」
「好きじゃなければ、ここにこないと思わない」
「僕は男で独身です。明子さんは女で人妻、もし、男と女の関係に成れば、
明子さんの方が大変なことになる」
「詰まらない話ね、そんなことは分かっている。でも、来てしまったのよ」
「遊びですよね。好きと言っても」
明子は信夫の口を自らの口で塞いだ。力強く抱きしめた。
「遊びよ、遊びにきまっているでしょう」と明子は言って二人は信夫の万年床
に倒れ込んだ。
171 = 167 :
< 2 >
信夫はある程度観念した。男と女ただそれだけだ。別に特別なことは一つも
ない。ただ、本当に好きになり、愛情を感じるようになることが怖いのだ。
肉体を求め合えば必ず愛情が芽生え、相手を独占することになり、もし、障害が
あれば、その障害を取り除こうとするか、その障害から逃れようとして、本来の
人生から外れることになる。
どんな人生もその人に取っては本当の人生であり、本道もわき道もないのかも
知れないが、他人の強い意志により、人生が曲げられるのは耐えられないと
信夫は思っている。
明子は遊びというが、この関係は遊びでは済まされない。
「遊びじゃ駄目でしょう。遊びだったら明子さんが傷付くと思う」
「もう遅いでしょう。もう、遊びじゃなのよ。でも、遊びじゃなければいけない、
遊びじゃなければ、信夫さんの負担に成ってしまう」
172 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.25--108-024
*** 月影 *** 024+10
< 1 >
女の体はいたってふくよか、抱き締めれば締めるほど陶酔の世界に吸い込まれ
て行く。二つの肉体が合わさる事で生み出される神秘な世界は時には未来の
生命すら生み出す訳で、生物が生きて行く上に必要な底知れないエネルギー
が存在する訳で、だから、男と女が抱き合う事は人間に取って特別な行為と
成り得る訳だ。
「好きに成った理由は」信夫は唐突に聞いた。
「信夫さんは、どうして、受け入れるの」明子も聞いた。
明子は運命と思った。ただ、体が燃え上がったのだ、誰でもよかったのかも
知れないし、信夫じゃなければいけなかったのかもしれないが、信夫に会った
ときから、心と体には大きな渦となって支配する異性への欲望が次第に現実感
を帯びて襲いかかる日々に耐えられそうもない自分と葛藤していたのだった。
信夫はいたって冷静だった。明子の目の輝きを何となく気付いてはいた。そして、
いつしか、その目の力に押し切られるときが来るのではないかと思った。
毎日の仕事の中で家畜たちの糞尿との戦いを制し、牧場の利益を生み出す
力強い肉体は強さだけではなく、女としての美しさを備えていた。確かに、一緒に
仕事していて、明子の後ろ姿を見て、どれほど、嫌らしいことを想像したか
分からない。しかし、それはあくまでも男としての助平な目線であり、それを実現
にしようなどということは一度も思わなかった。明子は雇い主であって、欲望の
対象には成りえなかった。
173 = 172 :
< 2 >
男の嫌らしさは明子の作業着に包まれた肉体と家畜たちの無防備な肉体を比較
することだ、比較するのもおかしいが明子と家畜が並んで尻を信夫を方に向けて
いるときなど、嫌らしい想像をしない男なんていない訳がないのだ。
明子は信夫の陰茎が既に十分に勃起していることを確認した。それと共に
自分の膣口に分泌物の存在を感じている。
「もう、こうなったら仕方ないわね」と明子は期待感で満足そうに言った。
「あまり、期待しないでください」信夫は明子の目に圧倒される自分を感じた。
「別に期待なんかしないわ、私は未経験者じゃないのよ」
明子は洗い立ての作業着を脱いだ、抱きしめたときから、信夫とは違う少し
香りの強い香水が明子の体から発せられていた。作業着を信夫にまたがった
ままで脱ぎ捨てた明子の体から更に強い香りが信夫を襲った。
「いい匂いだ。この香り好きです」信夫は明子の腰に腕を回して、体に鼻を
押し付け、強くその香りを吸い込んだ。
「特別なときに着ける香水なの、いい香りでしょう」
「こんなに強いと何日も残らない」
「残ってもいいでしょう」
次第に、二人の肉体は特別な雰囲気に包まれ、誰にも邪魔される事の無い
野生の生き物へと変容して行く人間の性を感じながら、安らかで力強い
エネルギーを秘めたお互いの肉体が求める未知なる世界を堪能し始めた。
174 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.26--109-025
*** 月影 *** 024+11
< 1 >
狭い仮眠室を月明かりが窓ガラスを通して、僅かな光りが男女の肉体を闇の
中に浮かび上がらせ、その僅かな光を頼りにお互いの肉体を確かめ合いながら、
想像と現実の狭間の中で知識を持った生物たちの欲望を達成する為の営みが
開始された。
信夫は明子の僅かな動きで体から発せられる体臭が空気の流れに漂い信夫の
鼻腔に達し、その体臭によって信夫は女の持つ肉体の匂いを楽しんだ。
どんな物にも匂いは存在し、女の体が発する匂いを嗅ぐ機会はこんなときで
無ければ味わうことは出来ない。信夫は鼻を明子に擦り付け、明子の体臭を
吸った。その匂いは複雑な匂いを発し信夫の神経を刺激する。瞼を閉じ明子の
体に自分の鼻を押し付けた肌感覚と鼻腔から感じる女の匂いを十分に吸い込む
ことで、信夫は今の現実を十分に堪能している自分に満足した。
明子は信夫が自分の体をどのように思っているか知りたかった。明子は自分の
体に自信がある訳ではないが、女の肉体としての美しさは持っていると思って
いる。
女に取って、美しさを保つことは非常に大変なことであり、生活の豊かさや
楽しい人生から男に求められる肉体美を維持する事は普通では出来ない。
肉体美を維持する事は女でも男でも望むところではあるがそれはあくまでも
願望で、現実にそれを達成する為にはその肉体美を必要とする状況を作り、
その肉体美を自らの努力で作り上げなければ成らない、その努力はいたって
苦痛であり、肉体美を維持することで何の利益もない女や男たちは肉体美を
肉体を備蓄する肉体備に変えて、人生を楽しみ、その緩んだ生活に甘ん
じているのだ。
175 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.27--110-024
*** 月影 *** 024+12
< 1 >
明子は久々に女を感じていると思った。多分、この喜びはほんの僅かなひと時
であり、また、直ぐに現実に帰ることは分かっている。それだからそこ、今が大事
で、得られるものは全て得て、与えられるものは全て与えなければと思った。
明子はあらゆる場所で信夫に素肌の自分を表現し、信夫を験して来た。勿論、
信夫には分からないように、それは体全体でテレパシーを発するように試みた。
人はよく背中を見てその人の思いを感じたと言うので、信夫が自分の背後に
回り、明子の背中を見ているとき、自分の思いの全てを全身に表現し、自分が
如何に信夫を欲しがっているかを体で表現した。
歩く姿やこごんでお尻を強調し、信夫の目に入り易いところで、それとなく、女の
下半身に物を言わせてもみた。
下半身が物を言う訳ではないか、自分の気持を理解しているのは下半身であり、
そこを使って表現することで、自分自身も自分の気持を確認できるのは確かだ。
男が女の体を見るとき、衣服を着ていようが衣服を着ていまいがそこに女として
感じる肉体が存在し、その肉体を思うがままにできると感じさせることが出来れば
女としては男の心を奪ったことになり、心を奪った男は自らの肉体を与えることで
支配することが出来、男は女の奴隷になるという訳だ。
176 = 175 :
< 2 >
女は男の金によって支配される女と自分の肉体によって男を支配する女に
大雑把に別けることが出来るが明子は後者であり、誰でもいいと言う女では
無かった。
信夫の容姿と性格、そして、健康状態をトータルに評価算定を繰り返し、
自分の肉体を与えることが出来る逸材かどうかを常に思い、今日に至った。
明子は自分の肉体で蠢く信夫が間違っていなかった男と確信しつつ、これから
どのように支配し、奴隷として扱うか、信夫が齎す肉体の歓喜の中で、月影と
共に女の喜びが尽きないことを願い、笑いが止まる事がなかった。 (おわり)
177 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.5.2--5.2--111-025
** 縞模様 *** 025+1
< 1 >
時計を気にしながら待ち続けたが結局、妙子は来なかった。会おうと言ったのは
私で予想はしていたが折角時間を空けたのに無駄足だった。
約束はするがいつも無駄骨になるけど、それは思いを寄せる人だから仕方ない、
意志を通す為には決して諦めないで、我慢強く思いを伝え続けるしかない。
何回も妙子に振られることで、心が折れそうになるが、思いを寄せる人は妙子
だけ、振られても諦めるつもりはない、妙子が存在する限りこの気持は変わらない。
それにしてもなぜ妙子なんだ、他の女では駄目なのか、それとも他の女でもと
思うのだが、気持はいつも妙子を求めてしまう。
妙子があるときこんな事を言っていた。
「人間を愛するのとペットを愛するのとどう違うの、貴方はいつも私を求めるけど、
それは本当の愛と言えるの」
私は答えに困った。ペットを愛する事が分からなかった。ペットを愛している
人がいるのは分かるが、その愛は人間を愛すること同じなのか。
人間とペットは違うだろう。例え、ペットを愛していたからといって人間を愛する
ことと同じとは思えない。
178 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.5.2--5.3--112-025
** 縞模様 *** 025+2
< 1 >
実際、愛を告白しても、愛を現実にするには数々の障害があり、愛は障害に
よって砕け散る。何回も砕け、そして、また、結集し強くなりながら、愛という
精気は肉体に宿り、肉体を操りながら、あらゆる障害に立ち向かわせる。
妙子は中々、私を受け入れようとしない。あるとき、こんな事も言った。
「貴方がいう愛ってなんなの。私には理解出来ない。愛はどんなものなの。
感じるものなの、それとも、与えられて理解するものなの」
なんだか、非常に時間が掛かりそうだ。愛を妙子に理解して貰うにはどうすれば
いいのか。それとも、理解させるものではないのか。
人には一目惚れという精気を表現する言葉があり、一目見ただけでその人を
好きになると言うときに使われる。
ただ、それは愛とは言えないのか。一方的に好きになるだけであり、見る
だけだから、その人の肌にも触れていないし、その人の人格も分からないが
その人の概観だけで、その人を好きになることでも愛なのだろう。
考えてみれば、妙子からの愛を感じたことがない。相手の愛を感じなければ、
本当の愛と言えないのか。
179 = 178 :
< 2 >
そんな事はない。愛にはこれといった決まりはなく、愛と自分自身が感じれば
それが愛だろう。
自分に取って特別な感情として存在し、自分の想像を超越した自分にも理解
出来ない感情を感じたとき、その感情を自分ではコントロールできないとき、
自分でも驚く変化が肉体に感じるとき、例えば、胸を締め付けるような痛みを
感じるとき、息が苦しくなり強い不安や喜びを感じたとき、それが愛なのかも
しれないが、その感情は非常に儚く、脆い感情であり、自分ではコントロール
出来ない厄介なもの、それが愛なのか。
180 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.5.2--5.18--114-025
** 縞模様 *** 025+4
< 1 >
生きること、それは運命と思う。毎日を生きている自分を見詰めて、目的を
持って生きようとする自分に疲れたとき、ふっと目の前に現れたのが妙子だ、
そのときの心の動揺は生きていることを幸せと感じさせ、生きていることの
意味を理解させられた。
会うといつも妙子との温度差を感じる。妙子は生きることについてこんな事を
言った。
「私は女だから、美しく生きたいの、楽に美しく生きていける方法を知りたいわ。
何か、知らないかな。貴方は私を美しいと思う。多分、思っているでしょうね。
でも、私は満足してない。もっと、美しく成りたい」
妙子は美しかった。どれほど美しいかと言えばいいのか、私は非常に
繊細で、美しい女を見ても直ぐにその美しさを否定する見る角度を見つけ、
美しい女を美しくない女に変えてしまうが、妙子にはそれがない。どの方角
から見ても美しい。
私は美しいものを見ると嬉しくなり幸せを感じる。多分、誰でも同じように美しさ
には自分なりの基準があり、自分の美しさの基準を超えた美しい女を見たとき
その美しさによって人生に明るい光が差し込み、自然に心の底から喜びが
湧いてきて、嬉しくなる。
余りに美しく自分の基準を超えてしまうとその美しさは芸術の領域に達し、
自分には手が届かない存在になってしまう。異性である女性を異性として
感じる為には欲望を駆り立てる美しさでなければ成らない。
181 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.10.4--10.4--115-026
** 鼓動 *** 026+1
< 1 >
いつもより、小走りに階段を登った。好きな人がいるということがこんなに
自分を変えるなんて思わなかったが、今の自分は完全にあの人の虜になって
しまったようだ。
最初は何とも思わなかったのに、突然、好きになってしまった。それからと
いうものこの思いをどのようにあの人に知らせればいいのかと思う日々が続き、
毎日を悶々として過した。
もう若くないのは分かっているが、この思いをどうしても達成したかった。
184 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.11.12--10.4--117-026
** 鼓動 *** 026+3
< 1 >
何名かに分かれて作業が始まった。草取りや枝集めが主な作業で皆楽しそうに
話しながら作業をした。
「加藤さん、昼食はどうします」
「弁当ですよ。愛妻弁当、いらないと言ったのに作ったと言うから」
「羨ましい」
「山城さん、食べますか、実は山城さんのも作ったと言うので」
「本当ですか、それは嬉しい」
「山城さんも来るって言ったら、作るって言うので」
「申し訳ない。内のはそういうことはしないな、でも、加藤さんにはよろしくって」
「奥さん、最近はどうです」
「ええ、何とか最近は体調がいいんです」
「また、奥さんに会いたいな」
「けっこう、話が合ってましたね、妻もあの時は喜んでました」
「内のも加藤さんを気に入ったようで、自分から弁当を作るって」
加藤と山城の妻同士は幼友達だった。
185 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.11.17--10.4--118-026
** 鼓動 *** 026+4
< 1 >
加藤の妻と山城の妻は今も連絡を続けている。加藤の妻、加藤淑子は夫の
加藤信也にいつも申し訳けないと思っていた。夫を嫌いではないが病弱な体は
夫を満足させることが出来ず、自分を責め続け、毎日が辛かった。
一方、山城の妻、山城登喜子は夫である山城治夫の体調が悪く、十分な
肉体的な関係が得られず、精神的に晴れない日々を過していた。
淑子と登喜子が幼友達であると言う事を夫たちには言ってなかった。ある日、
山城が加藤を家に連れて来たときは驚いたがそのとき、どう言う訳か登喜子は
淑子の事を話さなかった。その事を淑子に話したら、淑子も夫には言わないで
いようということだった。
186 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.11.22--10.4--119-026
** 鼓動 *** 026+5
< 1 >
仲原章子は寺の階段を駆け上がり、息を弾ませながらサークルの集団に
入った。
「遅れてすみません」章子はタオルで額の汗を拭きながら、徳寺利夫に囁いた。
「まだ、始まってないよ。走って来たの、汗なんかかいて」利夫は汗を拭く章子に
射抜くような眼差しを向けた。章子の肉体は利夫の眼光に晒され輝いた。利夫は
章子の手から小さなタオルを奪うように取り、章子の額の汗を拭いた。突然の
利夫の行動に章子は戸惑ったが利夫のするがままに、目を閉じで汗を拭かせた。
「作業の前に汗はないよな、それともどこかで作業でもしてきたの」
「時間に遅れそうなので、そこの階段を走って上がって」
「誰かに会いたくて、走った訳ではないよね」
章子は目を閉じたまま、無言で唇を動かした。
「聞こえないけど、言いたくないんだ」しかし、章子は「あなた」と唇を動かした
のは明らかだった。
187 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.11.23--10.4--120-026
** 鼓動 *** 026+6
< 1 >
歳を取る事で家族の居ない山辺幸生は家族の中での生活を夢見るように
なって来た。自由な生活と思った一人の生き方が歳を取る事で自由ではなく
なったのだ、何でも自分が出来たのに肉体的に老いると何をするにもおっくうに
なり、その結果、全てのことが不自由に成ってしまった。
「良美さん、今日は娘さんの美奈ちゃんはどうしたの」
「ああ、山辺さん、良く来ましたね。美奈は預けて来ました」
「どこに」
「友達の所に」
田代良美は娘の奈美と2人で大きな家に住んでいた。山辺幸生は田代良美の
家に下宿出来ないかと良美に頼んでいた。
188 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.11.25--10.4--121-026
** 鼓動 *** 026+7
< 1 >
田代良美は以前、山辺に金銭的に困っていると話したことがあった。突然、
夫が事故で無くなり、幼い娘と大きな家を残し、天国に行ってしまい。自分の
収入では先行き困るのではないかと思っていると話したことがあった。
「どうしたらいいかしら、もう、再婚するつもりはないんです」
「その歳でそんなことを考えなくても、時間を掛けても再婚も考えてもいいと
思うけどね」
「問題があるとすれば、私の収入かな計算するとほとんど余裕が無くて、
将来が心配でならない」
「だから、再婚すれば」
「収入の為に再婚ですか、もう、男はいいと思っている」
「その歳では」
「余裕がないでしょう。娘と生きて行くだけで精一杯」
「まあ、男女の関係は何が起こるか分からないから、何とも言えない」
「山辺さんはどうなんです。一人でしょ」
「そうなんだ、最近、何となく一人が寂しくて」
「そうでしょうね。どうします」
「田代さんの所に下宿させてくれないかな、そうすれば、少しでも収入の足しに
なるよ」
山辺は何も考えないで、気軽に話した。良美は驚いたような顔をして、山辺を
見て笑い始めた。
189 :
「「 自由な人たち 」」 2012.24.12.30--10.4--122-026
** 鼓動 *** 026+8
< 1 >
山辺は年老いてはいるが何となく男を感じる老人で、下宿させるには不安が
あった。
「山辺さんは自宅で仕事をしているのでしょう」
「仕事というほどのものではないですよ」
「下宿なんて考えたことも無いし、どうすればいいか分からない」
「下宿に対する制約をこれから決めませんか」
「話し合いで色々なことを決めてからならば、少しでも収入が増えればいいと
思うけど」
「私は田代さんの条件に従いますよ。他人が家に入る訳だから十分に考えて
から決めれば何事も解決しますよ」
良美は何となく、山辺の下宿を喜んでいるのではないかと感じた。老人では
あるが男には違い無い訳で、そのことが何となく気になるが収入の為に割り
切って考えてもいいと思おうとしている自分がいるのだ。
190 :
「「 自由な人たち 」」(123) (026)--(2012.24.10.4)--(2013.25.1.31)
** 鼓動 *** 026+9
< 1 >
加藤と山城は草むしりをしながら、話していた。
「そろそろ終わりますかね」と加藤が言った。
「どうでしょう。大分経ちますね」と山城は辺りを見ながら答えた。
「終わってからどうします」
「どこかで休んで行きますか」と山城は加藤を誘った。
山城は加藤に頼みたいことがあった。
「そうしましょうよ」と加藤は嬉しそうだった。
191 :
「「 自由な人たち 」」(124) (026)--(2012.24.10.4)--(2013.25.6.12)
** 鼓動 *** 026+10
< 1 >
昼食を挟んで3時間程度の清掃作業は終わった。代表者が参加した人たちを
労った。
「ありがとうございました。日ごろ、使わして貰っている寺の境内に感謝の
つもりで、住職に申し出ました。今後も続けたいと思いますのでよろしく
お願いします。この清掃作業も心身の鍛錬と皆さんと共同して行うので人と
人との連帯感を感じ、精神的に有意義な時間を過ごす事が出来ると思います。
何事も、参加する事が大事と思います。疲れた体と心をこの自然豊かな寺で
汗を流すことは決して、無駄ではありません。どうです、何となく、いい気分では
ありませなんか。それでは最後に住職から一言いただきたいと思います。住職
お願いします」
「いや、私はいいですよ」
「いいじゃなんですか、適当でいいですよ。皆さん、何か聞きたいですよね」
「皆さん、お疲れ様でした。境内がこんなに綺麗になり、墓で眠る人たちも
感謝していると思います。掃除は毎日行っているのですが十分に出来ません。
代表がこれからも、続けたいというので大変嬉しいです。寺を守る住職としては
皆さんの清掃により、寺の威厳が増し、人々が集う場所として私も面目が
立ちます。皆さんの健康と繁栄を仏様に祈願したいと思います」
「結構なお言葉を住職から承りました。ありがとうございます。それでは
これで解散します」
山城と加藤は一緒に帰ることにした。
193 :
「「 自由な人たち 」」(126) (026)--(2012.24.10.4)--(2014.26.10.1)
** 鼓動 *** 026+12
< 1 >
仲原章子は徳寺利夫に溺れている自分を抑えきれないと思った。もし、徳寺に
付いて行ってしまったら私はどうなってしまうのか不安が体を過ぎる。今の私には
愛する対象が確かに存在し、その愛は日々育まれ満足な生活を送っている。
「秘密って、守れるのかしら」章子は言った。
「秘密は守れないと思った方がいいな」徳寺は笑みを浮かべながら言った。
「秘密でしょう。秘密でないと」章子は愛される事を望んだ。でも、秘密でないと
大変なことになることも分かっている。
「僕を好きということ、そして、秘密にする訳だ」
「そうでしょう。それしか方法はない」
「無理だな、止めた方がいいよ。結局、遊びでしかない。危険すぎる」
「遊んではいけないわけ、そうよね、遊びなんて出来ない」
「男と女、することは一緒だ、単なる快楽でしかない。愛じゃないよ」
「愛よ。私の心の中では愛」
「簡単に愛されても困るよ。家族を愛している奥さんが別の男を愛するわけだ。
それは無理だ。家族の愛が壊れると思うけど」
「だから、秘密でしょう。秘密にすればいいのよ」
「遊びならいいけど、君の目は遊びには見えない。だから、秘密は守れないよ。
頭を覚ませよ」
「駄目なんだ。いいと思ったけど、徳寺さんはそういう人なんだ」
「仲原さんとはいつまでも友達でいようよ。僕には君の愛を受け止めることは
できない」
「真面目そうな、そうでもなさそうな」
194 = 193 :
< 2 >
「真面目じゃなくて、愛を受け止めることができないからさ、生活を送る上で
愛が全てだろう。別な女を愛したら、今の愛は壊れる。秘密にすれば秘密に
するほど、愛は壊れる」
「家族を愛しているのね」
「まあ、そういうことかな」
徳寺は用心深い男だった。愛することと欲望は別で、章子に自分の欲望を
満たさせるには余りにも幸せな家庭を持っていると思っていた。
195 :
「「 自由な人たち 」」(127) (026)--(2012.24.10.4)--(2014.26.10.2)
** 鼓動 *** 026+13
< 1 >
境内の人目の付かない所で滝本静子と加藤洋介は清掃作業をしながら
話していた。
「洋平君、今日どうかな」滝本は加藤洋介の家主だ。加藤は滝本静子の
アパートを借りている学生、滝本静子は加藤が好きだった。
「今日ですか、今日は少し忙しくて」
「どうしてよ、家賃は払ってもらわないと」加藤は何回か家賃が遅れ、滝本に
頼み込み家賃の支払いを遅らしてもらっていた。
「家賃遅れて、すみません」加藤は静子の手を握って、謝った。
「何するのよ。だから、今日はどうって言っているのよ」
「明日にでも家賃は入金します」
「お金あるの、だから、今日話し合いをしましょう」
「今日は論文を書かないと、提出日に間に合わないので」
「論文も大事と思うけど、家賃も大事よ」
「家賃、もう少し、待ってもらえると」静子は洋介の手を握り返し。
「家賃は少し待つけど、今日はどうかな」
「今日ですか」加藤は考え込んでしまった。滝本静子が自分を好きということは
分かっているが、加藤は何も感じていない振りを続けていた。
196 :
「「 自由な人たち 」」(128) (026)--(2012.24.10.4)--(2014.26.10.17)
** 鼓動 *** 026+14
< 1 >
滝本静子は人生を楽しみたかった。その為には犠牲もしかたないと思っている。
夫や家族との生活だけでは物足りないのだ。
「人生をどう思う」静子は加藤の耳元で囁いた。
「人生、そんなことを考えても」静子の息が加藤の肌に掛かった。大人の女の
匂いだろうか。加藤の神経が少し危険信号を感じた。
「あなたは私に借りがあるのよ」静子は加藤にのめり込んで行く自分を感じた。
「分かってますよ」加藤は静子の顔を見た。静子は笑っている。家賃を大家が
催促するのは当然で、悪いのは自分だ。
「少し話し合いをしない」静子には時間の余裕が十分にある。有り余る時間を
何に使うか。人生を楽しむ為にはどのように使えばいいのか。
「家賃は払います。話し合いをしなくても」加藤は静子をアパートの部屋には
入れたくなかった。以前、家賃が払えず、大家である滝本に電話すると静子が
直ぐにアパートに来て、部屋に上がり家賃が払えない理由を聞き、どうすれば
いいか、加藤と話し合った。その時から静子は大家らしくなく、加藤に好意を
感じさせる態度だった。それから、加藤は何となく逃れられない身の危険を
感じたのだ。
人生を楽しみたい静子と人生を歩み始めた洋介、洋介には静子の好意を
受け止めるだけの人生の経験も余裕も無かった。
197 :
「「 自由な人たち 」」(129) (026)--(2012.24.10.4)--(2014.26.10.24)
** 鼓動 *** 026+15
< 1 >
死者が葬られる寺は何百年もの歴史を経て現在に至り、そこに存在する
数え切れない機運の思いが何故か心に染みて来るようで、何となく落ち着く
ような落ち着かないような空気を感じる。
「ねえ、お寺って好き」佳代が聞いた。吉田佳代も寺の清掃作業に参加して
いた。ふくよかな体と何となく美しい顔立ちをしたいい女風の女だ。
「特に好きじゃない、好きな人いるのかな」少し若い新藤利夫が答えた。
「こないだ言っていた尻を洗う話、どうなった」
「今、試験中ですよ。まあ、合格かな。佳代さんもどうです」
「上手く行くようだったら、やってみようかな」
「佳代さんの所は便座に尻洗い付いていましたね」
「そうよ、必要ないけど、面白そうだから」
「面白くなんか無いですよ。ただ、紙を節約できるし、少しでもきれいな方が」
「綺麗にして、どうするつもり」
「綺麗といっても、尻ですからね」
「お尻はきれいな方がいいでしょう」
「100円ショプで見つけましたよ。押すと水が出るですよ」
「100円なの、安い」
「安いでしょう。ホースの曲がり具合がよくて、便座に座って出来るし」
「今度、見せてくれる」
二人の下らない話が寺で続いている。周りの人たちもそれぞれ適当に清掃活動を
行っているので、佳代と利夫が何を話しているのか興味を持つ人はいない。
198 :
「「 自由な人たち 」」(130) (026)--(2012.24.10.4)--(2014.26.10.26)
** 鼓動 *** 026+16
< 1 >
時間が過ぎ、肉体が老化し、全ての万物が朽ち果ても、人の心は変わる事が
なく、ただ、過ぎ去って行く空間の中で、もがき苦しみ心と体が剥離する現実に
戸惑うだけ。
「寺に葬られる人々のことを考えたことがある」佳代にとって、老いは絶えられ
ない心の苦しみであり、衰える肉体は恐怖でしかない。
「考えたことはないですね。死ぬのはやだけど、仕方ないこと、死なない
訳には行かないでしょう」利夫は佳代を見て、いい女が言う言葉ではないと
思った。
「勿論、人は死ぬわよね。その人たちがこのお寺に葬られている。
何となく、考える訳よ」
「どうでも、いいでしょう。寺に眠る人たちは過去に生きた証明だけで、
死んだ人たちはこの世に存在しない。考えれば人々の心には存在
するのかな。死んだ人も永遠に誰かの心に存在すると考えると、
人は死なないのかもしれない」
「肉体は朽ちても、永遠に人の心の中で生き続ける」
「そんなことも無いでしょう。人は直ぐに忘れますよ。それに間違う。
全ては妄想でしかない。全ては過去に置き去りになる」
「お寺って、何となく、気が重いわね。それも仕方ないか」
「それより、尻の洗浄の方が大事ですよ」
「そんなことを言って、罰が当たるから」
二人に取って、寺の清掃は心の清掃には成らず、結局、尻の清掃の方が
大事のようだ。
199 :
「「 自由な人たち 」」(131) (026)--(2012.24.10.4)--(2014.26.11.14)
** 鼓動 *** 026+17
< 1 >
沢山の樹木が佳代の目の前に在る、静寂な空間の中を漂っているような
気持だ。樹木をじっと見詰めているとその中に顔らしき形状が浮かび上がった。
「あの木の幹の所を見て」佳代は指差した。樹木が重なり、その一部が佳代には
顔に見えたのだ。
「あそこ顔に見えない」佳代は利夫に言った。利夫は指差す佳代の方を見た。
「どんな顔に見える」無邪気な佳代の姿を見て、利夫は微笑んだ。
「顔に見えないの。そうだな、どんな顔でもいいのよ。顔に見えるけど」
人は何かを見て、何かを感じそれを擬人化し、人の顔や姿に例える。壁の
染みや絨毯の柄の中を見て、それが人の顔などに見えることは良くあることだ。
「見えないな。どこを見ている」俊夫は佳代の体の後ろから佳代の指差す方を
見た。佳代の肩に手を置き少し興奮した体を擦り寄せた。
「何するのよ。近づき過ぎよ」佳代は肩に触れた俊夫の手を握って言った。
「どこが顔に見えるの」俊夫は佳代の耳元で囁いた。
「そうね。顔じゅなくてもいいかな。でも、顔に見えるのよ」利夫に触れられ、
利夫の体の温もりが佳代の体を支配し、佳代の脳裏に別な思いを齎した。
「今日、この清掃が終わったら、どうするの」佳代は利夫の手を強く握った。
「ゆっこりしよう。体も疲れたし、何か美味しい物でも食べて、精力付けよう」
「精力ね。そうしよう。見えないかな顔に」
「見えるよ。でも、木でしょう。そうだな、写真に取って」
「ここ、お寺よ、木でいいわ。何となく、別な物に見えて来た」
200 :
「「 自由な人たち 」」(132) (026)--(2012.24.10.4)--(2015.27.7.21)
** 鼓動 *** 026+18
< 1 >
静かな所から少しにぎやかな所に来た。利夫は佳代の後姿を見ながら歩いた。
街の色に溶け込むよう佳代の姿が揺れた。いつもの休日と少し違う感じだ。
利夫は佳代の体を頭から肩へそして尻と足、全身を透かすように見詰めた。
「ねえ、どうする私の所にこない」佳代は歩きながら振り返って言った。
「ええ」利夫は驚いた。
二人は食べ物を買って佳代の所に急いだ。
「汗をかいたでしょう。体洗ったら」佳代は台所で料理を始めた。
「何だか、変な感じ」利夫は佳代の後に立った。
「何立っての」佳代はわざと無防備を装った。
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