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    101 = 100 :

    < 2 >
     武雄とは子供のときからの知り合いで、親しいと言えば親しいし、そうでないと
    言えばそうでもないけど、親の代からの付き合いは長く、気の知れた人では在るが
    素性はそれほどいいとは言えず、うわさ話では在るが多くの借金を抱えている
    と聞いていたが定かではない。

     「一杯どうです。少し飲みたくなって、一緒にどうかと思って」 武雄を手に
    ビニール袋が下げられ、何やらビールのような物が入っているようだ。

     「どうしました。かまいませんが、今日は何も無いかもしれないな。缶詰ぐらいは
    あるかな、酒も在るな」

     「酒は持ってきたよ」 武雄はビニール袋を観鳳の顔の前に突き出し、月明かりの
    中で笑った。

     「用意がいいね。じゃ、中に」 

     二人は家の中に入っり、観鳳は台所に行って、ある物をお盆に載せ、武雄が
    座っている前に置いた。

     「こんな物しかないけど、一人暮らしなもので恥ずかしいよ」

    102 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.5.30--071
    *** 美しく、清潔 *** 016+2
    < 1 >
     人を好きになってその人に夢中になる。人生それで終わりなのか。燃え尽きて
    しまうのと燃え続けいるのと、どちらを選べばいいのか。選ぶ事が出来るのか。

     人を好きになって分かる事は汚いものが美しく、清潔に成るということ。昨日まで
    何も感じなかったのに、今日はその人の全てを受け入れる事が出来る。

     話をしたときは何も感じなかった。何も感じなかったのは嘘で、こんな子は
    どうなのかなって思っていた。下心があったけど、それが好きってこととは
    思えなかった。

     隣にいる人を何とかしたいけど、どうすればいいか分からない。顔も体型も
    それなりに気に入っている。話してもなぜか気を引くし、退屈はしない。みんなの
    手前話し辛いけど、機会があったら気持ちを話したいと思っている。

     別に今日でなくてもいいけど、でも、隣にいるのに今日じゃなければいつなんだ。
    考えてもしょうがないか。手でも握ったらどうなるだろうと思って手をテーブルの
    下に持っていき、何となく、相手の手に近づけてみた。そして、触ろうとしたら、
    突然、その人が手を握ってきた。そして、「好きって」言った。よく分からなかった。
    隣に座って、他の人と話していたと思っていたのに、耳元で囁くように言われたので、
    何が起こったのかと思い。その人の顔を見た。

    103 = 102 :

    < 2 >
     酔っているようなので、握られた手を解こうとしたら、更に強く握り返して来た。
    なぜと思った。誰かに見られたら誤解されると思った。
     
     「あの、酔ってます。酔ってますよ」 手を離して言った。そして、今度はこちらから
    手を握り返した。柔らかい手だ。その人は言った。
     「なんだか、気持ち悪い」 どうしたんだ。気持ち悪いと言われても困るけど。

     「どうします。送りましょうか」 結局、会社の人に言ったら送って欲しいとの
    ことだ。送ることになってしまったが、どうすればいいのか。さっぱり分からない。

     荷物を持ち、酔った人を支えながら、外に出た。少し、重く感じるが何かが
    起こりそうな予感がする。問題は起こしたくないので、極力体には触れない
    ように注意をしたが、耐えられそうに無い。

    106 = 105 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.6.17--072
    *** 記憶の中の少女 *** 017+2

    < 1 >
     確かに母は女だった。しかし、雑誌で見る女とは違い。何も着ていない裸の体で
    笑いながら目の前にいる。どう表現すればいいのか迷った。父とは違うし、自分とも
    違う。どこともなく体の中に不思議な変化を感じつつ、母の体から目をそらした。

     「お父さんとは風呂に入るけど、お母さんとは久しぶりね。赤ちゃんのことは
    いつも入っていたのに」

     母はシャワーで体を洗い。湯船に入って来た。節目がちでは在るが良く母の
    体を見た。脇の毛は良く剃られていたが下半身の毛はそのままだった。湯に
    濡れた陰毛は肌に張り付き、恥丘が良く見えた。男と女の違いを気にする頃の
    子供に取っては興味深々で妖しげな体感が体中を走った。

     「少し狭いわね。友彦も大きななったわね。こうして、だっこして二人で入った
    あの頃が懐かしいな」

     母に後ろから抱きしめられ、母の母乳が体に押し当てられ、母の手が僕の
    腹部に触れた。そして、その手は下半身を優しく握ったのだ。不思議な感じ
    だった。そして、子供の体は反応してしまった。

    107 = 105 :

    < 2 >
     「大きくなった。もう大きくなるんだ。友彦も大人ね。これからする事は誰に
    話してはだめよ。これはお母さんの役目ね。友彦が大人になる為には必要な
    こと」

     母は優しく膨張させた子供の体を湯船の中で立たせた。

     「お母さん、何するの」

     少し抵抗したが言われるままに従う事にした。そのときは体中を熱い電流が
    走り回るのを感じたが子供ながら平静を保ち、母の大人としての役目を見届ける
    為に感情を押し殺し母に従った。

     母の目の前に立った。母は湯船に母乳を半分沈め、乳首が出たり入ったり
    している。

     「これね包皮って言うのよ。ここが大きくなったら、この皮は剥がれていないと
    ここにゴミが溜まるの、ここにゴミが溜まると汚いでしょう。だから、ここが大きく
    なったら、こうして、剥がしなさい」

     母は強引に包皮を剥がそうとした。

     「痛いよ」

     「痛くても、剥がすの、大人になる為にはしょうがないのよ」

     急にいつもの母に戻ってしまい。子供の体は急激に小さくなってしまった。

    108 = 105 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.6.17--073
    *** 月明かりの訪問者 *** 019+2
    < 1 >
     井村観鳳と武雄はグラスにビールを注ぎ笑いながらグラスを合わせた。武雄は
    観鳳に言った。
     「一人で詰まらなくないか」 観鳳は頷いた。でも、別に詰まらないとは思って
    いなかったが、詰まらないと言った方がいいと思ったので、こんな事を言って
    しまった。
     「いい人はいないかな。夜になるとここは寂しくてね」 武雄はそれを聞いて、
    持っているカバンから写真を出した。
     「この写真の女どう思う。綺麗だろう」

     その写真には武雄と若い女が写っていた。観鳳はそれを見て、美しい女と
    思った。
     「付き合ってみる。いい子だよ。でも、結婚はどうかな、観鳳さんの腕次第」
     「なんだよ。腕次第って」 
     「少し好き者なんだ。紹介するよ。俺とは関係ないよ。知り合いに頼まれて
    たまたま一緒に写真を取っただけ、今、仕事を止めて家にいるんだ。ここなら、
    一人ぐらい住まわすことはできるだろう」

     観鳳は突然、思いも掛けないことを言われたので驚いた。

     「冗談でしょう。そんなことを突然言われても、困るよ」

     武雄はビールを注ぎながら、観鳳に言った。

    109 = 105 :

    < 2 >
     「今、外に居るんだ。呼んで来るよ。いいだろう」 観鳳は驚いた。急に酔いが
    醒めてしまった。酔いが回って来たときに、何を言い出すかと思えば、若い
    女を連れて来て居るなんて、
     「どんな理由があるんだ。何となく、変な感じはしたが余りにも急過ぎるよ」
     「分かっている。でも、今日だけでもいいから、会ってくれよ。恩に着るよ」

     武雄は何を考えているのか必死に頼むので、観鳳も醒めかけた酔いが少し
    回って来たのと平凡な生活を繰り返していたので、今日ぐらいはいいかと
    思ってしまった。
     「連れて来たのであれば、仕方ないか。でも、自分の所に連れて行けば
    いいだろう」
     「俺のところは駄目だ。家族も嫁もいる。子供もいるし、若い女を連れて
    行ったら、どうなると思う」
     「ホテルでは」
     「そんな事を言わないで、いいだろう。外に居るんだ、暗い中可哀想だろう」
     「分かったよ」

     武雄は直ぐに女を呼びに外に出って行った。しかし、しばらく経っても武雄は
    帰って来ない。観鳳は酒を飲みながら、思わぬ展開に何となく不安を感じたが
    美しく若い女が来ると思うと少し嬉しかった。
     それにしても、武雄は帰って来ない。観鳳はその間酒を飲み続けてしまい。
    いつしか酔いが回り、寝込んでしまった。

    110 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.7.24--074
    *** 記憶の中の少女 *** 017+3

    < 1 >
     風が吹いているのだろうか。風に揺れる木の葉の音が聞こえる。友彦は母の
    事を考えた。母は何を言いたかったのか。何を求めていたのかよくは分からない
    が、女により男の体が興奮し、そのとき大きくなった男の体の一部は包皮が
    剥けていなければいけないと母は言いたかったのだ。

     こんな子供に自分の裸体を露にして教えたかった事が包皮の事だった。男は
    清潔にしていなければ行けないので、包皮が剥けていないと体の滓が溜まって
    不潔になるというのだ。

     「男のここは清潔にしておくのよ。理由は大きくなってから分かると思うけど、
    好きな女の子を見たとき、ここが大きくならない」

     小さくなった子供をさわり始めた。後ろから抱き抱え、母は湯船の中で、被った
    包皮を剥こうとしているのだ。

     「これはね。小さいとき剥くのよ。こうすればいいわ、いたくなんでしょう。
    大きくなったとき、むくと痛いから、いつも被ったら剥くのよ」

     確かに、小さいとき剥くと痛くなかった。しかし、触られることで何となく変な
    気持ちになり、そこは大きくなり痛みが走った。

     「痛いよ。大きくなって痛く成った」

    111 = 110 :

    < 2 >
     母と言えども、裸で触られればこどもとは言っても反応し、そこは大きくなり
    だしたのだ。

     「いたいよ。どうすればいいの」

     痛いので湯船の中で子供は立ち上がり、母の目の前に大きくなって、包皮が
    剥け大きいといってもなんだか可愛い感じで、母に取っては小さかったのか。

     「痛くても、我慢しなさい。ここはこうなっていないとだめよ。小さくて可愛い」

     その痛さは締め付けられる痛さと大きくなったことで包皮が伸びる痛さなのか、
    複雑な痛さを感じた。

     「大丈夫、痛いのね。痛いのならこしてあげる」

     結局、あれから、母に言われたように、包皮を剥く日々が始まり、女を見ると
    大きくなり痛みを感じる日が続いた。

    112 :

    創作発表@2ch掲示板
    創作物全般を作って発表し感想を貰う板です。
    オリジナル、二次創作、競作等幅広く受け入れています。
    ※エロ・18禁等の作品はお絵描き・創作板、エロパロ板へお願いします。
    板に関することは自治スレッドまでどうぞ。

    113 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.7.26--075
    *** 月明かりの訪問者 *** 019+3
    < 1 >
     暗闇の中で、かすかな寝息と甘い女の匂いを感じ、観鳳は目を覚ました。
    目は開いているが何も見えない。かすかな寝息と甘い匂いを頼りにその方に
    手を差し伸べた。そして、直ぐに手を引いた。確かに、手は何にか触れた。

     観鳳は誰かがいる、それも女だ。確か、昨夜、武雄と酒を飲み、武雄が
    若い女が外にいて、武雄がその女を呼びに行ったまま、帰ってこないので、
    観鳳はそのまま酒を飲み続け、そのまま寝てしまったのだ。

     「と言う事は、武雄は女を呼んで来て、俺はその女と寝ている訳か」

     しかし、何も覚えていない。観鳳は衣服を確かめ、下半身を触って見た。
    あれっと思った。何となく、衣服が乱れ、下半身がおかしい。

     「おきました。突然、お邪魔してすみません」

     真っ暗な中から女の声が聞こえ、立ち上がったのか甘い香りと共に声の位置
    が変わった。

     「はあ」

     観鳳はただ、あっけに取られ、言葉に詰まった。

    114 = 113 :

    < 2 >
     「明かりを付けますね」

     観鳳は電気を付ける為に立ち上がろうとすると、見知らぬ女はすかさず、

     「出来れば、まだ、このままでいたいのですが」

     女は暗闇のままで居たいというのか、電気を付けないで欲しいと言うのだ。

     「私、今、何も着ていないのです」

     「何も着ていない、それはどうしてです」と聞こうとしたが声が出ない。

     「そうですか。そうですよね。裸では」

     「服を着ますね。真っ暗なんで、良く分からない」

     真っ暗な中で、女は服を探した。何で、服を着ていないのか。その訳は
    一つ、しかし、記憶がない。記憶が一つもないなんて事があるのか。

     「あの、一つ聞いてもいいですか」
     
     「何で、私が裸なのかと言う事ですか。それは、あなたが知っている筈です。
    私の服を返して貰えないでしょうか」

     観鳳は改めて下半身を触った。なぜだ、なぜ思い出せないのか。

     「あなたの服をどうしたと言うのです、私があなたの服を奪った」

    116 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.8.1--076-020
    *** 何をしているのあなたたちは *** 020+1
    < 1 >
     昼を少し回った頃だった。太陽の日差しが強く、少し動くと汗ばむような日で、
    暑さをしのぐ為に何か器具が必要な日だったが、古びた時代を感じさせる家屋
    は、ほど良い風を外から入れる事で何とか過ごすことが出来た。

     「おかず持って来たけど、もう、食事は終わった」

     近所の農家の門田真希さんがお昼を過ぎて、お昼のおかずと言ってサトイモの
    煮っ転がしを持って来てくれた。

     「まだ、食べてないんだ。丁度良かった。サトイモ、いつも、ごちそうさま」

     「良かった。こんな物だけど」

     「サトイモか、何かに似ているね」

     「そう言えばそうね」

     吉川良はデザインの仕事をしていて、昼は作業場で自分の作った弁当を
    食べていた。
     作業場は古い民家をリサイクルした建物で、結構いたんでいたので、
    リサイクルの費用はそれなりに掛かった。

    117 :

    < 2 >
     「この家に住んでいた前の人を知っているの」

     「ここは知り合いの紹介で買う事にしたんだ。住んでいた人を知っている」

     「知っているよ。いい人たちだった。子供の所に行くって言ってた」

     「ここに座れば」

     「そお、そおする。食べさせてあげる。少し甘いかな、甘くしたの」

     「甘いの好きだよ。真希さんと同じくらい」

     「私はサトイモと同じ。食べてくれる」

     「サトイモを食べてから、まきさんも食べよ」

     門田真希はサトイモを口に含み、それを吉川良に口移して食べさせた。
     
     「真希さん、最高に美味い」

     「一味違うでしょう」

     「真希さん、お返し」

     吉川は真希から口移しされたサトイモを口の中で半分にして、真希に口移しした。

    118 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.8.3--076-020
    *** 何をしているのあなたたちは *** 020+2
    < 1 >
     街の中心から離れたところまで散歩に来て、辺りを見ると農地も大分あるのに
    気付いた。遠くを見ると山もよく見え、街中とは違った風景があった。
     休日には散歩するときが最近増え、当てもなく歩き、家に帰ってから、地図を
    パソコンで開き、何処を散歩してきたか調べ、その地図に日付を付け、散歩した
    道路を色分けして楽しんでいた。

     「吉川デザイン事務所か、こんな所にデザイン事務所があるんだ」

     琴美は美しく、聡明で誰からも好かれるタイプで、男に取っては申し分のない
    女と言える。何と言ってもスタイルがいい。何処から見ても、バランスが取れた
    体は何を着ても男に取ってはその中身を想像させる色気を持っていた。
     散歩の時は清潔な感じの服装で、白を基調にした薄での布でその魅力的な
    体を覆っている。誰でも、そばに寄りたくなるような雰囲気のある女だった。
     散歩すると汗もかくので、香りのいい汗止めを脇の下に付けているので、
    ほのかな香りを漂わせている。
     
     「ああー」

    119 = 118 :

    < 2 >
     琴美は吉川デザイン事務所を見ていて、足が縺れ転んでしまった。

     「痛い、手首を痛めたかな」

     転び方はそれほど派手ではなかったが、転んだときの手の付き方が悪かった
    ようで、手首を少し痛めたようだ、でも、痛いが医者に見せるほどではなく、手の平を
    閉じたり、開いたりしても特に違和感は無かった。ただ、手首を少し回すと痛みが
    あるがそれほどでもなかった。

     「あら、派手に転んだわね。手首を捻ったでしょう。大丈夫」

     吉川の事務所から出て来た門田真希の目の前で塩田琴美は美しくそして
    無様に転んでしまった。

     「何だか、足が縺れてしまって」

     「立てる。膝から血が出てる。ここ私の知り合いなの、応急手当して行きなさいよ」

     「本当だ、血が出てる。でも、かすり傷ですよ」

     「消毒ぐらいはしないと、行きましょう」

     真希は立ち上がった琴美の手を取って、吉川の事務所に行った。

    120 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.8.4--078-020
    *** 何をしているのあなたたちは *** 020+3
    < 1 >

     真希は琴美の手を握り、その手の柔らかさと肌の感触に自分にない女の
    肉体の神秘を感じた。

     「あなたの手、柔らくて綺麗ね」

     「ここの方にご迷惑ではないでしょうか」

     「大丈夫よ。気にしないで」

     二人は事務所に入った。

     「良さん、この人が家の前の歩道で転んで、膝を擦りむき血がでているの
    消毒してやって、それに手首を少し捻ったようでシップしたいの」

     「塩田琴美です。突然、お邪魔して、申し訳ありません」

     吉川は琴美を見た瞬間、驚いてしまった。目の前に立っている琴美が余りにも
    美しく、清らかな感じで、この世の者とは思えない女だったからだ。

     「良さんどうしたの、何か持ってきてよ」

    121 = 120 :

    < 2 >
     真希は吉川の顔を見て直ぐに分かった。吉川が琴美を気に入ってしまったことを、

     「綺麗な人でしょう。見とれている場合じゃないの、早く、薬持って来て」

     「分かった」

     突然の訪問者に何が何だか分からないが言われるままに救急箱を探しに奥の
    部屋へ向かった。

     「あの人、吉川良って言うの私より少し若いけどもう結構歳よ。あなたを見て
    驚いていた。あなた、本当に綺麗ね。私も驚いたわ。この辺では見かけないわね」

     「ええ、散歩していたら、何となく来てしまいました。こんな事はよく
    あるんです。そんなに遠出はしないけど、道を決めないで、歩くんです」

     「へー、面白そう、私、門田真希、よろしく」

     「私、塩田琴美です。お世話になりました。こんな事はなんですが、この家を
    見ていたら、足が縺れてしまって」

     「お待ちどう様、擦り傷と捻挫、これとこれ、真希さん付けてやって」

     真希は膝の擦り傷を見て、履いているズボンを脱がないと消毒できないと思い、

     「ズボン脱がないと膝は消毒出来ないわね。それにズボンの血も早めに
    洗ったほうがいいわね。良さん、大き目のタオルと洗面所を借りるわね」

     吉川は真希の言うままに大き目のタオルを取りに行ったが、何となく、不思議な
    感じがした。美しい女が突然来て、自分が使っているタオルを腰に巻くと考える
    と頭がぼーとする感じになった。

    123 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.8.5--079-020
    *** 何をしているのあなたたちは *** 020+4
    < 1 >

     吉川は考えた。自分が使っているタオルでいいのだろうか。洗濯はされていても
    自分が使ったタオルを使わせる訳にいかないと考えた。
     新しいタオルでなければ失礼と思い、新しいタオルを出す事にした。

     「良さん、どうしたの」

     門田真希が突然、吉川良の寝室に入ってきた。

     「今、持って行く。やっぱり、新しいタオルがいいと思って、これだ」

     吉川は箱に入っているタオルを出して、真希に渡した。真希は無表情でタオルを
    受け取った。左手でタオルを受け取り、右手で吉川の股間を握った。
    吉川は真希の顔を驚いた表情で見た。そして、
     
     「何と」

     と言って、声を詰まらせ、少し呆れ顔になり、

     「何で」

     と言った。

    124 = 123 :

    < 2 >
     「やっぱり、無理はないわね。当然よ。良さんも男ね」

     不覚にも、吉川はタオルを探している時から、塩田琴美のタオルを巻いた姿を
    想像をしてしまい、体が男前に成り、自らのズボンで隠す事が難しいほどに
    なっていたのだ。

     「良さんもタオルが必要なようね。そんな状態で、あの人の前に出たら、
    犯罪者になるわよ。良さんはいいから、呼ぶまで、仕事していて」

     「そうだね、別に、変な事を考えていた訳ではないだけどな、おかしいな」

     吉川は真希にタオルを渡し、事務所で仕事をしながら、持つ事にした。

     「琴美さん、これ使って、ズボン脱いだら、血を落としてあげる。消毒は自分で
    出来る」

     「ズボンは私が洗濯します。そこまでして貰っては申し訳ないです」

     「タオルを巻いて、洗濯するつもり、私がしてあげる」

     琴美は、真希の言う通りと思い、タオルを腰に巻き、血の付いたズボンを脱ごうと
    したが手首が痛いので一人では脱げない。

     「駄目だわ、手首が痛くて」

     「そうか、手首があったわね。手伝うわ、消毒もしてあげる」

    125 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.8.8--080-020
    *** 何をしているのあなたたちは *** 020+5
    < 1 >

     塩田琴美と門田真希はお互いを見つめながら、琴美は申し訳なさそうに、
    そして、真希は全て私に任せてというように頷きあった。

     琴美は真希にタオルを渡し、自分では何も出来ないと思った。

     「ごめんなさい。手首が痛くて、タオルも巻けないようです」

     真希はタオルを受け取り、琴美の腰に巻き付けた。そして、どのように
    ズボンを脱がせばいいか考えたが結局、タオルを巻いたらスボンを脱がす
    事は出来ない。

     「困ったわ、これではズボンを脱がせない」

     「かまいません、気にしないでください。真希さんは女ですから」

     「そうよね。私は女、琴美さんも女、気にするほうが可笑しいわ。でも、
    一人、男が居るわよ」

     真希は吉川良が突然入って来たら困るので、良に一言言っておかないと
    いけないと思い、仕事をしている良の部屋へ急いで行って、良に言った。

    126 = 125 :

    < 2 >
     「良さん、分かっていると思うけど、私が終わったと言うまで、来ないでね。
    琴美さん、手首がまだ痛いので、タオルを自分で巻けないのよ。だから、
    少しの時間、下着になるのよ。私がスボンを脱がさなければ成らないの。
    分かった。お願いね」

     「分かってますよ。早く、消毒しないと」

     良は呆れるように言った。良は仕事が手に付かない状況で、琴美と真希が
    何をしているのか気になって仕方が無かった。
     確かに、手首が痛ければ、タオルなんか腰に負けないし、タオルを巻いた状態で
    スボンを脱ぐ事は出来ない。
     タオルを巻いた姿を想像しただけで、頭の中に物語が進行し琴美さんと自分が
    主人公になって、どたばたした物語が浮かんだと言うのに、今度は琴美さんが
    手首が痛いので自分ではスボンを脱げないということだ、良の頭はパニックに
    成ってしまった。どうすればスボンを脱がす事が出来るのか、良の頭の中は
    美しい琴美のスボンが真希によって脱がされるシーンを既に作り出していた。

     真希は直ぐに琴美の所に戻り、琴美のスボン脱がし、膝の傷を消毒しないと
    思い、急いで、琴美のところに戻った。

     「琴美さんごめんね」

    127 = 125 :

    < 3 >
     と言って真希は部屋に入った。そこにはタオルを巻いた琴美が膝の消毒を
    していたのだ。真希が良の所に行っている間に、琴美は自分でズボンを脱ぎ、
    タオルを腰に巻いていた。

     「一人で出来たの」

     「スボンを脱いでから、タオルを巻いたら手首も痛くなかった。消毒もしました。
    もう大丈夫です。洗濯も出来ますよ」

     「洗濯は私がしてあげる」

     真希は少しがっかりした。琴美がどんな下着を着ているのか見たかったのだ。

    129 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.8.10--081-020
    *** 何をしているのあなたたちは *** 020+6
    < 1 >

     鏡が外の空の雲を美しく捉え、うつろなまなざしで鏡に映る空を眺める
    吉川にその鏡はつまらないおとぎ話を提供してくれた。

     誰でも美しい人を見ると脳細胞が活発に働き出し、どうでもいいおとぎ話を作る。

     吉川も仕事に集中出来ないで、頭が無意識の内に作り出す、おとぎ話を楽しんで
    いた。

     「美しい人に取って、自分自身をどう思うの」

     「美しいからといって、何も変わらないと思うけど」

     「でも、見る方としては何か特別な事があるのかなと思うよ」

     「特別なことなんてない。私も美しい人を見ると何か特別なことでもあるのか
    と考えるけど」

     「美しい人が美しい人を見たときの気持ちとしては、美しくない人が美しい人を
    見たときと同じ事を想像する訳だ」

    130 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.8.11--082-020
    *** 何をしているのあなたたちは *** 020+7
    < 1 >

     頭の中の会話は吉川良が作り出した。デタラメな会話でそのときの気分で
    自由自在に話が進み、それは何の意味もなさない作業だった。

     「私は美しいですか。美しいと何がどうなるのか、知りたい」

     「人間は美しいものを見ると脳が活性化して、体中の血が燃え上がり、
    生きる意欲が増し、全ての力が普段の何倍にもなる」

     「本当かしら、そんな経験はないけど」

     「それは美しいと感じた事がないか、まだ、体が成長していないか、不感症
    かもしれない」

     「不感症ね。不感症かな」

     「そんな事はないよと思うよ。不感症は治るよ。ただ、治す方法には
    色々なると思うけど」

     「どんな方法がある訳」

    131 = 130 :

    < 2 >
     別に変な方向に話を持って行くつもりはないが。人間として生きて行くことを
    考えると肉体と精神の葛藤により理性を維持する方法を追求すると何となく、
    肉体と精神の神秘的な関係を男女の肉体で表現したくなるのだ。

     「そんなに難しいことはないと思うけど、ただ、多少の我慢は必要と思う、
    学ぶと考える事も必要で、人間が成長する上で、大事なことは予習、復讐かな」

     「勿論、何も努力しないで、成長することはない筈ね。でも、不感症は病気
    なの」

     「それは病気でしょう。何も感じない訳だから、生きて行く上に必要な感動が
    無いなんて、寂しいことと思わない」

     「思う。でも、考えてみれば何も感じないわけではないわ」

     「感度の問題かな、感度を良くする事で、人生を楽しく出来る訳だ。

     「確かに感度良好のもうがいいわね」

     「ただ、それを知ることが大事なんだ。ただ、感じるのではなく、感度を
    上げられることが出来る」

     「感度が上がれば、いい訳だ」

    134 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.8.26--083-021
    *** 芽生え始めた感情 *** 021+1
    < 1 >
     芝生に寝転び通り過ぎる人々を眺め、何となく生きている自分を動物に
    例えると何かなと考えながら、目の前に次々に現れる人々の下半身を
    チックしている自分が既に動物のように感じていた。

     動物たちの目線は多分こんな風景を見ていると思うと何となく、その風景が
    気になりだした。

     よく見れば、公園の中の芝生に寝転び、行き交う人々を結構観察ている人が
    いる事に気付いた。

     確かに、何となく、楽しい感じがする。色々な人々が何も疑いなく、自分が
    寝ている目の前を颯爽と歩く人や何処となく寂しそうに歩く人、何人かで
    話しながら歩く人々が自分が見られていることも知らないで、何の防御もなく
    通り過ぎて行くのを見つめることがこんなに不思議なこととは思わなかった。

    135 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.10.27--084-022
    *** 時計を気にする少女 *** 022+1
    < 1 >
     私、朝が弱いの、朝の姿は誰に見られたくないわね。自分でも何で、こんな
    姿で寝ていたのかと思うよな姿勢で目が醒める時がある。

     目覚まし時計がけたたましく成った。時間に弱い乙女早苗は時計に管理される
    可愛い女の子なのだ、人一倍時間を気にするので常に時計が目に入るところに
    ないと不安になり、時計は最も大事な存在だった。

     「えーと、何時だ。6時32分、2分か」

     目覚まし時計は6時30分に合わせあるが、いつも、何分かは目は覚めて
    いるが起きる事が出来ない。

     一人暮らしも半年が過ぎ、6時30分に起きて、食事の用意をして、食事して
    会社に行く。

     時間を気にする早苗は家を出るまで、全てを時計に従い行動する。ベットから
    転がるように起きる。そして、立ち上がり、箪笥の上の時計を持ち、目覚めの
    悪い目で時計の文字盤を確かめる。

     「なんだ、6時33分、よーし、何とか成る」

     パジャマから半分尻が見える状態で、洗面所に向かった。

    136 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.10.31--085-022
    *** 時計を気にする少女 *** 022+2
    < 1 >

     朝の顔は全くの無防備なのになぜか自分の顔は気に入っている。

     「おはよう。今日もがんばるね」

     顔を荒い、口を漱いだ。朝食の前に口を漱ぐと気持ちよく食事が出来るので、
    鏡を見ながら、顔の運動を兼ね、色々な顔をしながら、口を漱いだ。
     口に水を含み頬を膨らました顔は自分でも可愛いと思った。唇をつぼめ、
    キスをするようにしたり、口の中の水を右に移動したり、左に移動したりして
    楽しんだ。
     口を漱ぎ、洗い立てのタオルを顔に押し付け、顔を包むように顔に付いている
    水を拭いた。洗い立てのタオルの香りは早苗に幸せを送ってくるように感じた。

     「気持ちいい、タオルはやっぱ、洗い立てね」

     鏡は早苗の胸の下まで、腹の上まで映している。顔を洗い、口を漱ぎ終わると
    次に始めるのは少しセクシーな体操だった。誰も見いてない早苗の洗面所は
    何でもありの場所でもある。鏡をじっと見詰め、気持ちを高めた。

     パジャマのボタンが外れているので少し乳房が見える。早苗は胸が良く見える
    ようにボタンを外し、乳首を摘んでみた。上下左右そしてくるりと回し、朝の乳房
    体操を始めた。洗面所にも時計があり、6時40分を指していた。乳房の体操は
    1分程度で最後に乳房を手のひらに載せ、セクシーホーズを決める体操で、これは
    決して人には見せる事が出来ない姿なんだが、早苗は少し気に入っている時間
    だった。形のいい乳房は何かをまとめ初めているに早苗の手のひらの中で
    ぷるんと悶えた。

     朝食は前の晩に作り、朝暖めて食べるようにしている。

    137 :

    「「 自由な人たち 」」 2011.23.11.11--086-022
    *** 時計を気にする少女 *** 022+3
    < 1 >
     朝食を作るときはパジャマのままだ、はだけた胸のボタンはそのまま、
    尻が見えていた、ずれたズボンは上げてはいるが、少しだらしなく尻の
    膨らみに掛かっている程度で、一人暮らしだから出来るあるがままの
    感じで、一人暮らしの女の無防備な匂いがぷんぷんする感じだ。

     昨日の晩に作った肉と野菜炒めのパックをレンジに入れ、暖め直す。
    最近、肉が多く、少し体重を気にしているが、肉は大好物でつい使ってします。

     「サラダとお米と味噌汁、それと牛乳、いつもの品はそろったね」

     小さなテーブルに朝食を並べ、その時間を計り、制限時間通りかいつも
    気にしながら、朝の朝食の支度をするのが早苗は好きだった。

     レンジが時間通り切れる音がし、肉と野菜炒めが温まり、皿に盛り付け、
    食卓に並べた。
     結構、見た目は豪華な感じで、早苗は満足したがよく見れば、大したものは
    なかった。

     「今日も一人か、話す相手がいない。知恵に電話しようかな、でも、
    止めよう。まだ、寝ている」

     早苗は中々男友達が出来ないで、最近悩んでいた。

    138 :

    さげ

    139 :

    どういうジャンル?

    141 :

    「「 自由な人たち 」」 2012.24.3.26--087-023
    *** 頭の中の映像 *** 023+1
    < 1 >
     現実と頭の中の映像を同時に見て生きている男が自転車で街の中のいつも
    の道を通って、今日の仕事を終えて家に向かっていた。

     目に見える現実と頭の中で作り出された映像が常に頭の中を巡っているので、
    男の精神状態はいつも不安定であり、的確にものごとを判断出来ない。
     現実の映像が自分の脳に入る事で自分の意志とは違う映像が頭の中で作ら
    れる、現実と非現実の中でいつも戸惑って生きているのだ。

     いつも通る薬屋の前で、いつものように店の中を見て、店員の幸恵さんを探し
    ガラス越しに挨拶をした。少し会釈をして笑った。店の前で止まって商品を見て
    いる振りをして幸恵さんの姿を見ていた。

     幸恵はこちらに気付き、手を上げて待ってと言っているように口を動かした。
    幸恵は急いで、外に出て来た。

     「今、帰ったの、奥さん実家に帰ったは」
     「お世話に成りました」
     「奥さん何か言っていなかった」
     「いえ、別に何も言ってなかったです」
     「そう」
     「昭夫さん、食事どうするの、奥さんが心配していたけど」
     「何とか」
     「もし、良かったら、私のところで食べない。奥さんもそんな事を言ってたわ」

    142 :

    「「 自由な人たち 」」 2012.24.3.27--088-023
    *** 頭の中の映像 *** 023+2
    < 1 >
     幸恵は薬局で薬剤師として働いている少し年上の感じのいい女性で、妻の
    美紀がよく子供の薬と生理用品などを買うので友達になった人で、見た目は
    清潔でふくよかな感じの素敵な人だ。

     「ご迷惑ですよ。二日間ですから、何とかなります」
     「そう、かまないのに、奥さんからもそうして欲しいって言われたのよ」
     「でも、それは」
     「迷惑じゃないの、私もそうしたいの、おかしいかしら」
     「そんな事もないと思うけど、ただ、幸恵さんの家族に悪いですよ」
     「大丈夫、誰も気にしないし、食事は大勢の方が楽しいわよ」
     「悪いですよ。今日は一人で何とかします、大丈夫です」
     「もう直ぐ、交代だから、後で電話するから、じゃね」

     昭夫は突然、話を打ち切られ、唖然としながら、幸恵の目がキラリと鋭く刺すように
    昭夫の脳を刺激した。

     「私はもう決めたの、パスタは好きでしょう。奥さんがよく言っていたわ」
     「バスタですか。食べたいな」
     「クリーム味ですっきりまろやか、麺に纏わり付くクリーミーの味でどうかしら」
     「そうですか、美味しそうですね、クリーム味、早く食べそせてください」
     「一時間後に来て、一緒に作りましょう」
     「え、一緒に」

    143 = 142 :

    「「 自由な人たち 」」 2012.24.3.27--089-023
    *** 頭の中の映像 *** 023+2
    < 2 >
     白い白衣の後ろ姿が昭夫の目の前を嬉しそうに遠ざかって行く。昭夫の脳は
    明らかにこれから起こるであろう映像を映し出し、昭夫は憂鬱に成った。

     白い白衣の後姿から浮かぶ体のライン、そのラインを辿る目線、スロー
    モーションの映像がいつしか野原を追いかけている映像に変わり、白衣が
    羽衣ように薄くなり、包まれた女体が野原を飛び回り、その後をただ追い
    駆けながら、羽衣を掴もうとするが中々掴むことが出来ない。

     「待ってください。話があるです」
     「話なんか無いわ、付いて来れるの」
     「少し止まりませんか」
     「それは出来ないわ」
     「なぜです」
     「楽しいからよ。捕まえなさいよ」
     「捕まえていいんですか」
     「勿論よ、捕まりたいの」

     幸恵の後ろ姿が店の中に消え、昭夫の脳の映像も消えた。昭夫は思った。
    これまでも脳に浮かんだ映像が現実になったことはないが、映像を作り出す
    切っ掛けは自分が感じる思いと相手の思いがなぜか、刺激し合い、思わぬ
    思いを映像として見えるのではないかと言う事だ。多分、幸恵さんの思いは
    羽衣をまとった女体であり、その映像から想像すると男から追い駆けられる
    ことを期待している。

    144 :

    「「 自由な人たち 」」 2012.24.3.28--090-023
    *** 頭の中の映像 *** 023+4
    < 1 >
     難しい選択を迫られている感じがする。白衣に包まれた清潔感のある女性から
    食事に誘われると言う事は平凡な生活を送っている昭夫に取って、一生の内に
    在るか無いかのことであり、無いのが当然であり、在ったらそれは人生を天秤に
    駆けるほどの出来事になるに違いない。

     妻である美紀が薬屋の店員である薬剤師の幸恵さんに本当に自分の食事を
    頼んだのか、それは冗談で、そんな話になっただけで、本当は妻である美紀は
    そんな事は望んでいない。

     妻である美紀に対しては絶対服従であり、如何なるときも逆らったことはなく、
    学生のとき、家庭教師のバイトで知り合って以来、美紀は昭夫を支配して来た
    のは間違いなかった。

     「やあ、どうそちらは」
     「どうしたの、寂しくなった」
     「まあ、そんなところかな、何かあったら連絡待ってる」
     「ありがとう」
     「そうだ、薬屋の幸恵さんに食事を頼んだ」
     「頼んだわよ。幸恵さん、いい人よ。お世話に成ったら、何となくそうなったの」
     「言ってくれればよかったな、突然、薬屋の前でそんな話になって」
     「驚いたの、でも、冗談のつもりだったけど、本気だったんだ」
     「断ってもいいかな、どうもおかしいよ」
     「どうして断るの、断らなくてもいいでしょう。帰るとき、お土産を買って渡すから」
     「本当にいいのかな」
     「また、連絡するから、何も無ければ連絡はしないけど、子供も元気よ」
     「そうか、分かった」

    145 :

    「「 自由な人たち 」」 2012.24.3.30--092-023
    *** 頭の中の映像 *** 023+5
    < 1 >
     夕日が落ちて、何十分か過ぎただろうか。家の近くの公園のベンチの背に
    体を寄せて夜空に輝く星を眺めた。星は何も語らないが星を見ることで星が
    語りかけてくるように感じるときがあるが今夜がそんな感じだ。

     「何かある筈だ。薬屋の幸恵さんは何かを期待していると思うよ」と星が言った。
     「だろうね。でも、分からないよ。妻美紀との成り行きで食事をつくることになった」
     「相手は塾女だ」
     「塾女と言うほどでもないと思うけど」
     「そうか、顔は幼顔というか非常にあどけないけど、眼差しは鋭いように感じる」
     「確かに、目から伝わる女の気持は熟しているようないないような」
     「お前も何か期待している。してないなんてことはないよな。それは失礼だ」
     「失礼の無いようにするけど、男と女の関係になるとすると」
     「ほら、男と女の関係を望んでいるな」
     「それは仕方ないと思うけど、ただ、それはどうかな」
     「それしかないだろう。食事が終わり、食事の後始末で台所で急接近する」
     「台所で、それはないだろう。台所では難しい」
     「そんな事は無いさ、台所でも可能だろう。経験済みってことは知っている」
     「それはどこでも可能だけど、確かに体が接近したときが一番その感覚は伝わる」
     「だろう。それしかないよ」
     「でも、全てはそのときが来ないと、もし来たら」
     「来ると言う前提で行かないといけない。まずは家に帰り、身を清めないと」
     「清める。ただの食事だけでか」
     「そうだよ。正にただの食事だろう。ささと家に帰り、身を清めろ」と星は言った。

    146 :

    「「 自由な人たち 」」 2012.24.3.30--093-023
    *** 頭の中の映像 *** 023+6
    < 1 >
     ベンチから腰を上げたとき、携帯がなった。胸がどっきんとした。

     「はい、川辺です」
     「中西です。薬屋の幸恵です。今、家に着きました。これから造りますから
    良かったら、直ぐに来て貰ってもいいでよ。造るまで、休んでいてください」
     「はい、えーと、20分、いや、30分かな、それぐらい後でいいですか」
     「はい、いいです。いつでもいいです。でも、遅くなるときは連絡ください」
     「30分前には必ず、20分は無理だな、早く行きます。出来るだけ、そうします」
     「焦らなくても」
     「ではまた、そうだ、本当に失礼ではないのですか」
     「本当になんて、本当に失礼ではないです。余りに期待しないでくださいね」

     何でだ。なぜか焦った。おかしな感じ、精神に異常来たしたような、何となく
    幸恵さんのところで失敗しそう。

     「清めると言っても、30分じゃ無理だ。行くのに10分は掛かる。自転車で5分、もし、
    酒が出たら、自転車では違反になる。歩けばいいか」と独り言を言った。
     「清めるって、どうする訳だ」
     「食事だけならいいが、もし、何か別な方向に進んだとすると」
     「別な方向って、私と何か起こるというの」と頭の中で、想像人間の幸恵が言った。

    147 = 146 :

    < 2 >
     「勿論、何も無いとは思うけど」
     「私の体はそのままよ。働いたままで、昭夫さんを待っている。清める時間なんて
    ないわ。働いて汗を欠いたわ、汗をかいた体は不潔なの」
     「そういう意味で言った訳ではない」
     「汗をかいた塾女は不潔だわ」なぜか、想像人間の母親が現れた。
     「汗は刺激的で魅力的な物質で、汗は異性を感じさせる要素だ」
     「汗は汗よ。人間が出す不純物でしかないないのでは」
     「求める対象としての異性の汗は別段気にならない」
     「汗は臭いわ」
     「臭い汗はシャワーで洗えばいいだろう。シャワーの後の新鮮な汗ならいいよ」
     「好きにしなさい。私の夫は汗臭い私を好きじゃなかった」

    148 :

    「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.3--094-023
    *** 頭の中の映像 *** 023+7
    < 1 >
     生活の中に締める異性への欲望は大きいがその欲望を満たす機会はほんの
    僅かであり、ほとんどは日々の生活の中で埋没し、生きる為に如何に生活費を
    稼ぎ、家族の願望を満たす為の時間が過ぎ去っていくだけで、異性への欲望
    を達成する為の努力は気薄になり、当然では在るが欲望の捌け口は妻である
    美紀と言う事になり、いつのまにか美紀の体の全てを知り尽くしてしまった。

     知り尽くしたとはいえ、欲望を満たす秘めたる技は発展途上であり、真新しさは
    無くなっても意外性は存在し精神的にも肉体的にもまだ美紀で満足している。
    勿論、他の人に異性を感じない訳ではないが、その異性と無理に関係を持とう
    としていないのは事実だ。

     中西幸恵の家に近くに来たので、確認の為電話を掛けて着いたことを知らせた。

     「もしもし、川辺です。これから伺います。よろしいですか」
     「はい、いつでもいいですよ」
     
     思いのほか、幸恵の声が明るく感じた。何となく、不思議な感じだ。なぜか、
    この場に及んで断ればよかったと思った。でも今更どうにもならず、恐る恐る
    インターホーンを押した。玄関のドアが押すと同時に開き、そこには幸恵が
    満面な笑みを浮かべて立ってた。服装は白衣ではなく黄色いタイトな上着と
    下は紺色のパンツ姿で髪をポニーテールに束ね意外に若く感じだ。

    149 = 148 :

    < 2 >
     「本当にお邪魔ではないですか。図々しい感じがして」
     「まだそんな事を言っているですか。娘も居るんですよ。那美さん、川辺さんよ」
     「いらっしゃい」幸恵の長女で薬学科の学生だ。
     「しばらく、また、美しくなったね」那美さんも感じがいい人で何回か会っている。
     「美しいですか、何処がって聞きたいけど、止めておきます」
     「美しいのならそれでいいでしょう。川辺さん、どうぞ」
     「那美さんとは半年振りぐらいかな、お母さんの店の前で、少し話したね」
     「そうですね。あの時は楽しかったです」
     「何が楽しかったの、そんなに話した」
     「何を話したか忘れたわ。川辺さん覚えています」
     「僕も忘れたな、特に大した話はしなったかな、うちの妻とお母さんの話を
    聞いていただけだったような」
     「私は食事の途中で失礼するかも知れませんが」
     「これから、学校の寮に帰るです」
     「これからですか」
     「いつもこんな時間なんです。でも、十分、門限には間に合います」
     「門限があるんですか」

     三人は食事をしながら取り止めの無い話をして、楽しいひと時を過した。

     「そろそろ帰るわ。川辺さんも一緒にどうですか」
     「そうですね。私もそろそろ帰ります」
     「冗談ですよ。まだ、食事終わってないです」
     「川辺さんに冗談なんて言うものではないでしょう」
     「川辺さんゆっくりしていってくださいね」
     「送らないで大丈夫ですか」
     「送って貰いたいけど、でも、今日は一人で帰ります」
     「これ寮に帰ったら食べて、サンドイッチよ」

    150 = 148 :

    「「 自由な人たち 」」 2012.24.4.4--095-023
    *** 頭の中の映像 *** 023+8
    < 1 >
     女は怖いと思った。幸恵さんの異様な色気はなんだろう。自分の家で安心して
    いる感じと自分の姿に自信があるのか、人生が満たされている感じで、何となく
    女力に魅了される。食事に招待されたことで思いがけない経験が出来るかも
    しれないと思うとラッキーと思わざるを得ない。

     「びっくりするようなご馳走なんで、驚きました」
     「娘がいて驚いた。娘が会いたいって言い出して、疑いの目で見られちゃた」
     「それはそうでしょうね。少し無理があったような、お断りすれば、ただ、努力は
    したつもりなんですが」

     なんだろう。方向性は見えているがその方法が定まらない。妻の約束を安易に
    考えて、それに少しは興味深い人でもあったのは事実で下心は無かったと思う
    けど、確かに勝手におかしな映像が頭の中を流れたのは間違いないが、それは
    成り行きであり、現実ではないが、今となっては目の前に現実が存在する訳で、
    その現実を如何に頭の中の映像に近付けるか。

     「色々と用意はしておいたの、私、誰かを呼んで食事をする事が趣味なの」
     「そーですか」
     「でも、男の人は少ないのよ。親戚ぐらいかな、ほとんど女友達よ」


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