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元スレ新ジャンル「近づくと小さくなる男」
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女「……」
男「……」
女「……ねえ」男「……なあ」
女「何?」
男「そっちこそ」
女「男君からどうぞ」
男「そうか。女。今日はとても楽しかったよ」
女「……それだけ?」
男「悪いかよ」
女「……んー。ねえ男君」
男「なんだ?」
女「キスしようか」
男「ブッ!!」
男友「キタ―――!」
女友「ああ来たね」
男「な、なんだよいきなり!」
女「……嫌?」
男「そんなことは……」
男友「どうした男! お前に選択肢はないぞ!」
女友「うん、ないね」
女の上に飛び乗れば抱きしめられなくても一応触れるだろ
どこまでちいさくなってるかしらないけど
どこまでちいさくなってるかしらないけど
男「でも、どのみち……」
女「無理なんかじゃないよ」
男「え?」
女「知ってる男君? 王子様の呪いはキッスで解けるんだよ?」
男「いや、王子様て」
男友「それはないわ」
女友「うん、ないね」
男友「お前、返事が適当すぎね?」
女友「そんなことないよ」
女「いいから! 私とキスしたいの!? したくないの!?」
男「いや、したいけど……」
女「なら決まりね!」
男友「強引な女もいいな!」
女友「そうだね」
男「……」
女「何固まってるの。こういうのは男の子がリードするものだよ」
男「あ、ああ」
女「それじゃ……んー」
男「……ん」スッ
男友「いけるか……?」
女友「……」
女「……」
男「………………だめか」
女友『男君はゼノンの呪いに――』
女「……う」
男「ど、どうした?」
女「……なんでもない。じゃあね!」タッタッタッ
男「あ、女……!」
男「女……」
男友「……」
女友「……」
男友「……解散だ」
女友「……そうだね」
<次の日>
女友「おはよう女」
女「……あ、おはよう女友ちゃん」
女友「どうしたの、元気がないね」
女「……女友ちゃん」
女友「うん」
女「……私、自信なくしちゃった」
女友「……うん」
女「最初は大変になるってことは承知の上だったよ。でもどこかで何とかなるって思ってた……」
女友「うん……」
女「でも、駄目みたい。私どうしよう……」
女友「……」
女「私……私……」
女「男君と手を繋ぐことも出来ないんだ……」
女友「……」
女「どうしよう……」
女友「……」
女「……」
女友「……女、ちょっといいかな?」
女「……何?」
女友「私、前にゼノンのパラドックスの話をしたよね」
女「……うん」
女友「あれをもう一度考えて欲しいんだ」
女「……どういうこと?」
女友「あれがなんでパラドックス、つまり矛盾というかわかる?」
女「……」
女友「現実にはそんなことは起きないからだよ。アキレスが亀に追いつけないなんて有り得ない」
女「……!」
女友「――大丈夫。いつかきっとアキレスは亀を追い越すよ」
女「……」
女友「……」
女「……う」
女友「……」
女「うぇっ……ヒック……グス……」
女友「……」ギュッ
女「ヒック……ヒック……」
女友「……そのときは男をしっかりと抱き締めてあげなさい」ナデナデ
女「グス……分かった……」
男友「よう、男!」
男「……」
男友「お・と・こ、ってば~」
男「……ああ、おはよう」
男友「なんだ、えらくテンション低いじゃねえか。何かあったか?」
男「……俺」
男友「おう」
男「……女と上手くいかないかも」
男友「そりゃまたどうした」
男「俺、こんな体質だから女と手を繋ぐことさえできない……」
男友「おう」
男「抱き合ったりも出来ないし、関係が深くなっても、その……『する』こともできないだろうな」
男友「ふむふむ」
男「これじゃあ駄目なんだ……。俺はあいつと付き合う資格はないのかも……」
男友「んー……」
男「……」
男友「ナンッセンス!!」
男「!?」ビク
男友「おめーよ、彼女できたからって調子乗ってんじゃねえの?」
男「え?」
男友「体質がどうとか、セックスがどうとか、そんなの関係あるか!」
男「朝の往来でなんてこと叫んでんだ!?」
男友「いいか男、お前は女が好きなんだよな?」
男「そ、そりゃもちろん……」
男友「だったら問題ねえ、それが全てだ!」
男「……!」
男友「お前はあいつのことが好きで、あいつはお前のことが好き。それでいいじゃねえか」
男「でも実際問題……」
男友「うるっせえ!」
男友「大体よ、お前は忘れてる」
男「え?」
男友「お前が『助かる』可能性のことだよ」
男「……!」
男友「女友も言っていたな? お前は自分で『助から』なきゃならない」
男「何でそれを……」
男友「いいから。お前は自分が『助かる』可能性を忘れてる。だったら『助かりゃ』いいんだ」
男「でも、今までずっと探して見つからなかったんだぞ?」
男友「だからって諦めんじゃねえよ。……青い薔薇の話を知っているか?」
男「は?」
男友「いいか? 今まで青い薔薇はなかった。どんな交配を試しても咲かせることは出来なかった」
男「……」
男友「青い薔薇は不可能の代名詞だとまで言われた」
男「それが、どうかしたか?」
男友「咲いたんだよ」
男「え?」
男友「不可能の代名詞とまで言われた薔薇が開発されたんだ」
男「……!」
男友「大丈夫だ男」
男友「――お前たちの青い薔薇はいつかきっと咲くよ」
男友「俺が保証する」
男「…………男友」
男友「なんだ?」
男「……ありがとうな」
男友「おうよ!」
男「……でも、お前が保証しても信用ならねえw」
男友「うるせえよw」
<放課後.誰もいない教室で>
男「……」
女「……」
男「なあ」女「ねえ」
男「……どうぞ」
女「……そっちから言ってよ」
男「前は譲ってもらったから今度はお前からだよ」
女「……そうだっけ? ……じゃあ男君」
男「……ああ、なんだ?」
女「私ね……今日は、別れてくださいって言いにきたの……」
男「っ……」
女「私、ちょっと甘かったみたい。覚悟が足りなかったっていうか……。こんな私には男君と付き合う資格はないんだって……」
男「……」
女「だから今日はそう言おうとして……」
男「女がそう言うなら……」
女「……!」
男「俺には、無理やり止める権利はない……」
女「……」
男「……」
女「……でも」
女「やっぱりそんなのいやだ……」
女「私、男君のことが好き……前よりもずっとずっと好き……」
男「……俺だって別れるのはいやだ。女ともっともっと一緒にいたい」
女「……。女友ちゃんが言ってた。男君はゼノンの呪いにかかってるって……」
男「ゼノンの、パラドックスだな」
女「……知ってるんだ?」
男「まあな」
女「男君はすっごく厄介なハンディキャップをもってるかもしれない。でも……」
女「私はずっと、ずっと傍にいる……! いいよね……!?」
男「……俺は今日は、お前の意思を聞きに来た」
女「……」
男「もし、一緒にいっしょにいることが重荷になるなら別れてくれって」
女「……」
男「……正直、怖かった。女が別れるって言ったらって……」
女「……」
男「……でもよかった。女がそう言ってくれるなら俺も言える」
男「女、ずっと俺の傍にいてくれ……!」
女「うん……!!」
女「……」グス
男「……女これを見てくれ」スッ
女「糸……?」
男「そうだ。今日の家庭科の時間にとっておいたんだ。そっちの端を小指に巻きつけてくれ」
女「あ……」
男「……そういうことだ」
女「……ん、OK 出来たよ」
男「こっちも完了だ」
女「……」
男「……」
女「……運命の赤い糸」
男「……そうだ。これは俺と女を結ぶ赤い糸だ」
女「ちょっと恥ずかしいね……」
男「そうか?」
女「うん……。でも……いいかも」
男「だろ?」
男「俺は、俺達は決して触れ合うことは出来ない」
女「うん……」
男「……でも、こうして赤い糸で繋がることは出来る」
女「うん……!」
男「……セックスなんか目じゃない、本当の心と心でのつながりだ」
女「うん……!」ポロポロ
男「だから女……!」
男「いつかきっとアキレスは亀を抱き締める。そう、信じてくれ……!」
女「うん……!!」ポロポロ
男友「……」
女友「……」
男友「……これで、大丈夫だな」
女友「……そうだね」
男友「はっ、二人ともくせーっての」
女友「じゃあその涙は何かな?」
男友「男汁だ馬鹿野郎」
女友「……まあそういうことにしておこうか」
男友「さ、覗きも野暮だ。行こうぜ」クル スタスタ
女友「同感だ」クル スタスタ
男友「……そういや頼まれたあれ、分かったぜ」
女友「聞かせてもらおう」
男友「男の過去だ。男が小学校一年のときだがな、あいつの両親が離婚したらしい」
女友「……へえ」
男友「小さなあいつにゃこたえたみたいだな。その時期、一種の自閉症になっちまったらしい」
女友「……ふむ」
男友「だが、それだけだ。他にあいつが特殊体質になっちまうような事件はなかったみたいだ」
女友「いや十分だ」
男友「分かったのか? あいつがああなっちまった理由が」
女友「ああ」
女友「これは推測だ。本当だという証拠はないし、確かめようもない」
男友「ふむ」
女友「男君は両親が離婚したとき、誰にも会いたくない、誰にも触れて欲しくないと思ったんだろうね」
男友「ふむ……いや待て。確かにそうかもしれないがまさかそれが原因なのか?」
女友「察しがいいね。そう、そのときの男君の願いが何故か叶ってしまったとすれば、これは説明がつくんだ」
男友「何故かって何故なんだよ?」
女友「さあね。偶然かそれとも必然か……」
男友「でも、それじゃあ……」
女友「そう、彼は今人に触れたいと再び思っている。大丈夫だ。彼は『助かる』よ」
男友「……本当だな?」
女友「ああ、きっと、ね」
>>147
気にすんなwwwwwwwwwwすまんwwwwwwwwww
気にすんなwwwwwwwwwwすまんwwwwwwwwww
――これは二人の物語――
女「男君、おはよう!」
男「……おう、悪いな。遠回りまでして迎えに来てもらって……」
――二人が触れ合うまでの物語
二人が手を繋ぐまでの物語――
女「いいんだよ! グリーンだよ! 低血圧な彼氏のためだもん」
男「……はは、サンキュ」
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