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    元スレ超王道ジャンル「思い出の鎖」

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    1 :

    -11月22日昼 自宅-

    「ふいー、こっちの荷物もだいぶ片付いたな」

    「…結婚、か。まさか俺にもそんな時が訪れるなんてな」

    「………いいのかな、結婚して」

    「いかんいかん!結婚する直前になると不安になるってホントだな!?
      ったく、今からこんなんでどーするんだよッ!?」

    「うし!とっとと、この荷物片付けて―――ん?」

    「この…手紙は…?」



    ―――人は、誰しも忘れられない思い出がある。

    2 = 1 :

    「なんだろ…?えらく大事にしまっておいたみたいだけど…あ!」

    「これ…あの時の…」

    「あの…少女からもらった…手紙」



    ―――しかし、失われた時間を取り戻すことは出来ない。

    3 :

    拝啓、この手紙~

    4 = 1 :

    「あの『観覧車』…毎年通ってたなあ…結局、あの少女に会うことはもうなかったんだっけ…」

    「ずっとずっと…大好きだったあの少女…」

    「今もどこかで元気にしているのかな?」

    ―――僕は、その忘れられない思い出がまだ手放せない…。


    ―――――
    ―――

    5 = 1 :

    -18年前 某遊園地-

    少年「わあー、夜になるとすっごくキレイだなぁ」

    少年「でも人が多くて歩き辛い…わっぷ!痛いっ!」

    少年「ふう…びっくりした。ねー、そろそろショーの会場に行こうよ父さ―――」

    少年「…あれ?」

    少年「父さん…母さん…どこ?」

    6 :

    7 = 1 :

    少年「父さーん!母さーん!どこー!?ねえー!?」

    少年「う、ウソッ!?ま、迷子になっちゃったの!?ぼく…」

    少年「ど、どうしよ…こんなに人が多いんじゃ探すなんて…あ!」

    少年「そういえば母さん、もし迷子になったら大観覧車の前に来なさいって…。
        あそこなら僕でも行けるからって…」

    少年「…よし!」

    8 :

    9 :

    様子見

    10 = 1 :

    少年「ふう…やっと観覧車まで着いた。父さんや母さん…もう来てるかな?」

    少年「…で、でもどこにもいない」

    少年「ま、まさか僕を置いて帰ったんじゃ…?」

    少年「グスッ…そ、そんなのヤだよー!父さーん、母さー…」

    「…ねえ、君も1人なの?」

    少年「…へ?」

    11 = 1 :

    「君も迷子になったの?」

    少年「え、えっと…君も?」

    「うん…私も。迷子になったら観覧車の前に来なさいって」

    少年「ぼ、僕も同じ。あれ、大きいから僕たちでも分かるもんね」

    「うん…でもなんだか安心しちゃった」

    12 = 1 :

    少年「安心…?」

    「だって君みたいな男の子が泣いてるんだもん」

    少年「えっ!?べ、別に泣いてなんかないよッ!」

    「へえ~?ふーん?ほーお?」

    少年「ほ、ほんとだもん!もうッ!」

    「クスッ…まあそういうことにしといてあげる♪」

    14 = 1 :

    「ねえ、観覧車に乗ってみない?」

    少年「えっ?でも母さんと父さんが…」

    「大丈夫だって!上からの方が分かるかもしれないし」

    少年「ま、まあ…そうかも」

    「ん♪じゃあ、一緒に乗りましょ?ね?」

    少年「う、うん」

    ―――そう、こうやって僕は見ず知らずの女の子と観覧車に乗ることになった。

    ―――――
    ―――

    15 = 1 :

    -11月22日昼過ぎ 自宅-

    「懐かしいな…そういや初めてのデートだった気がする」

    「手紙…なんて書いてあったんだっけ―――」

    ピンポーン♪

    「はーい!っとヤベッ!婚約者が来たみたいだな」

    17 = 1 :

    ガチャッ

    「おう、早かったな。まあ入ってくれ」

    婚約者「お邪魔しまーす。だいぶ片付いたみたいね」

    「そりゃあ明日式挙げて明後日新居に引越しだからな」

    婚約者「ふふっ♪結婚する気持ちは固まってるんでしょうね?」

    「そりゃあそうだろ」

    婚約者「そうよね♪この時になって実は好きな人が!なんて言われたらたまったもんじゃないわ」

    トクン…

    「あ…う、うん…もちろんだよ―――」

    ―――――
    ―――

    19 = 1 :

    -18年前 観覧車-

    「すごーい!高―い!」 ユッサユッサ

    少年「ちょ、ちょっと…観覧車揺らさないでよ」

    「ふっふっふ…怖がりなんだね君は♪」

    少年「普通揺らさないし!」

    「ゴメンゴメン♪何だか…楽しくて」

    21 = 1 :

    「私ね…学校で友達いないんだ…」

    少年「そ、そうなの?」

    「転校多いから…なんか友達作るの怖くて…」

    少年「あ…ぼ、僕も同じっ」

    「そうなんだ?じゃあ…似た者同士だね」

    少年「だね」

    22 = 1 :

    少年「あ…そろそろ観覧車終わっちゃうね」

    「う、うん…」

    少年「………」

    「ねえ、私と一緒にこのまま遊ばない?」

    少年「…えっ?」

    24 = 1 :

    「私、君ともっとお話がしたいな」

    少年「で、でも君のお母さんやお父さんが…」

    「…だ、ダメ?///////」

    少年「…あ、遊びたい、カモ」

    「このまま悪い子になっちゃってしまうのも」

    少年「悪く、ないかもねっ」

    ―――今から思えば青臭い青春の1ページだった。

    ―――――
    ―――

    25 = 1 :

    -11月22日夕方ごろ 自宅-

    婚約者「こっちの荷物終わったよ」

    「すまんな、手伝ってもらって」

    婚約者「ふふっいいの!だって…手伝えば結婚式が…早く来るような気がするし//////」

    「…な、なに言ってんだか////////」

    婚約者「ふふっ」

    TV『次のニュースです。取り壊しが決まっている○×遊園地の解体作業が明日から始まります』

    28 = 1 :

    婚約者「へえ…あの遊園地、閉演してからほったらかしだったけど明日から取り壊すんだ」

    トクン…トクン…

    「あ…」

    婚約者「大きな遊園地だったからなんか寂しいよね」

    「そう、だな…」

    ―――どうしてこういうことは続くのだろう。
       手紙が出てきたその日、思い出の場所が失われるニュースを僕は聞いた。

    ―――――
    ―――

    29 = 1 :

    -18年前 遊園地-

    少年「ぐふっ…ジェットコースターはもうダメ…」

    「きゃははははは♪苦手なんだねー、こーゆうのっ」

    少年「目が心なしか喜んでるような気が…」

    「そう?ふっふっふ、あー面白い♪」

    少年「い、いじめっ子だ…」

    30 = 1 :

    「…なんかさ」

    少年「ん?」

    「こんなに楽しい気分になれたのは本当に久しぶりかも」

    少年「僕も」

    「君といると何だかすごく楽しい気分だよ」

    少年「ぼ、僕も!」

    33 = 1 :

    「私たち、なんかすごく合ってる気がする」

    少年「うん、まるでずっと昔から友達だったみたい」

    「だね♪…ねえ」

    少年「ん?なに?」

    「このままずっと一緒にいたいね」

    少年「…そうだね」

    ―――その時は、この時間がずっと続けばいいと思っていた。

    ―――――
    ―――

    35 = 1 :

    -11月22日夜 駅前-

    婚約者「じゃーねー!お見送りありがとっ」

    「おう!じゃあな」

    「………」

    「帰ったか…俺も帰るか」

    37 :

    なんかオチ読めなくもないけどなんかジーンと来た
    きたいほしゅ

    38 = 1 :

    カンカンカンカン…

    「あっちゃー!この踏み切り長いんだよな…」

    「………」

    「俺って…あの少女のこと、未だに好きなのかな?」

    「何年引きずってるんだよ女々しい…」

    「はあ…」

    ―――――
    ―――

    39 = 1 :

    -18年前 遊園地-

    ピンポンパンポン♪

    『ご来場のお客様にお呼び出しを申し上げます―――』

    「あ…私が呼び出されてる…」

    少年「き、きっと君のお父さんとお母さんだよ!は、早く…その…帰らないと…」

    「…帰りたくないな(ボソッ)」

    少年「えっ…」

    「君と…もっと遊びたい」

    41 = 1 :

    少年「そ、それは…僕もだけど…でも…」

    「分かってる…でも…だけど…!」

    少年「また、会おうよ。この場所で」

    「えっ…?」

    42 = 1 :

    少年「うん!そうだよ!またこの場所で君と会えばいいんだよ」

    「…会ってくれるの?」

    少年「うん!じゃあえっと…また来年のこの日に観覧車で」

    「で、でも…来年の同じ日にこの遊園地に来れるとは…」

    少年「じゃあその来年!毎年僕はここに来るよッ!そしたらいつかは必ず会えるっ!」

    43 = 1 :

    「ほ、本当に?」

    少年「うん!必ず!約束だよ」

    「じ、じゃあ『しょーこ』を作りましょ!さっき私ゲームコーナーでレターセットもらったから…はい!」

    少年「これは?」

    「君と私の『けーやくしょ』!毎年必ずこの遊園地の観覧車の前に来るっていう約束!」

    44 = 1 :

    少年「ありがと…必ず約束は守るよ!」

    「う、うん!絶対だよ!絶対絶対絶対だよっ!!」

    少年「絶対!必ず約束は守るから!」

    「グスッ…じゃあ…また来年」

    少年「うん…また来年…―――」

    ―――この観覧車の前で…。

    ―――――
    ―――

    46 = 9 :

    47 :

    休憩かな

    48 = 1 :

    -11月22日 踏み切り-

    カンカンカンカン…

    「思わず持ってきちゃったけど…そうか、これ契約書だったんだっけ」

    「ははっ…懐かしいな。あれから毎年遊園地に通ったんだっけ」

    「………」

    「でも…結局一度もあの少女に出会うことはなかった…」

    「転校したのかな?それとも…」

    49 = 1 :

    「いつだったけ…通うのを止めたのは。
       そういや通うのを止めた時に今の婚約者と付き合い始めたんだったな」

    「ってことはかれこれ、14年は通い続けたわけだ」

    「…懐かしいなあ。この4年間は通ってなかったんだ…そういえば遊園地が閉園したのは確か…」

    ―――――
    ―――


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