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元スレハルヒ「みて、キョン!ここ家賃が1万円だって!!」キョン「……!」
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キョン(土曜日。俺の気分は下り坂ながら、本日は文句なしの晴天だ)
キョン(そもそも、不思議探索をする日が雨だった記憶があまりないのだが)
キョン(これもハルヒの為せる技なのかね。そういえば長門も天候を操れるんだっけか)
長門「……」
キョン(土下座すれば呆れながらもやってくれそうだが、生憎と数百万年後の生態系を崩す理由は今のところない)
キョン(などとくだらない考え事をしている余裕がある、というのが既に異常の始まりを告げている)
朝比奈「遅いですね……」
古泉「ええ。何かあったのでしょうか」
キョン(二人が不安になるのも分かる。かくいう俺だって流石に心配のひとつぐらいはする)
キョン(いつもの待ち合わせ時間から10分が経過しているのにも関わらず、ハルヒの姿がなかった)
キョン(谷口や国木田が10分ぐらい遅刻したところで何とも思わないが、ハルヒだけは別だ)
朝比奈「電話、してみましょうか?」
キョン(朝比奈さんの提案に頷こうとした瞬間、俺は安堵と共に恐怖を抱いた。何故なら――)
ハルヒ「みんなー!!! 不思議をみつけてきたわよー!!!」
キョン(年中不発弾だった奴が、とうとう導火線に火をつけながら満面の笑みで走ってきやがったからだ。今日は何が起こるのか。想像などできるわけもない)
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1487240762
キョン(そもそも、不思議探索をする日が雨だった記憶があまりないのだが)
キョン(これもハルヒの為せる技なのかね。そういえば長門も天候を操れるんだっけか)
長門「……」
キョン(土下座すれば呆れながらもやってくれそうだが、生憎と数百万年後の生態系を崩す理由は今のところない)
キョン(などとくだらない考え事をしている余裕がある、というのが既に異常の始まりを告げている)
朝比奈「遅いですね……」
古泉「ええ。何かあったのでしょうか」
キョン(二人が不安になるのも分かる。かくいう俺だって流石に心配のひとつぐらいはする)
キョン(いつもの待ち合わせ時間から10分が経過しているのにも関わらず、ハルヒの姿がなかった)
キョン(谷口や国木田が10分ぐらい遅刻したところで何とも思わないが、ハルヒだけは別だ)
朝比奈「電話、してみましょうか?」
キョン(朝比奈さんの提案に頷こうとした瞬間、俺は安堵と共に恐怖を抱いた。何故なら――)
ハルヒ「みんなー!!! 不思議をみつけてきたわよー!!!」
キョン(年中不発弾だった奴が、とうとう導火線に火をつけながら満面の笑みで走ってきやがったからだ。今日は何が起こるのか。想像などできるわけもない)
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1487240762
古泉「不思議、ですか?」
キョン(古泉の顔が引きつっている。無理もない。ハルヒが見つけたという不思議は、物理法則を軽く無視してくれるからな)
ハルヒ「そうなのよ!! で、ちょっと遅刻しちゃったの。ごめんね。あと、おはよー!!」
キョン(いかん。今までに見たことのないぐらい上機嫌だ。閉鎖空間は完全に出現しないだろうな)
古泉「それはそれで困ったものです」
キョン「仕事が減ってよかっただろ」
古泉「慣れている仕事のほうがまだ楽という場合もありますが」
朝比奈「あの、えっとぉ、す、涼宮さん……ど、どんなふしぎをみつけてきちゃったんですかぁ……」
キョン(その言い回しだと「なに余計なことしているんだ」という風にしか聞こえません、朝比奈さん)
ハルヒ「ふっふーん。今日はクジなんかしなくてもいいわ。みんな、あたしについてきて」
キョン(ハルヒは鼻息を荒くさせ、歩いていく。朝比奈さんの言葉の裏には気づいていないようだ)
キョン「どこに行くつもりだ」
ハルヒ「いいから、ついてくる」
キョン「やれやれ……」
キョン(しかしまぁ、背中にも表情というのはあるんだな。あいつの背中はとても楽しそうである)
キョン(古泉の顔が引きつっている。無理もない。ハルヒが見つけたという不思議は、物理法則を軽く無視してくれるからな)
ハルヒ「そうなのよ!! で、ちょっと遅刻しちゃったの。ごめんね。あと、おはよー!!」
キョン(いかん。今までに見たことのないぐらい上機嫌だ。閉鎖空間は完全に出現しないだろうな)
古泉「それはそれで困ったものです」
キョン「仕事が減ってよかっただろ」
古泉「慣れている仕事のほうがまだ楽という場合もありますが」
朝比奈「あの、えっとぉ、す、涼宮さん……ど、どんなふしぎをみつけてきちゃったんですかぁ……」
キョン(その言い回しだと「なに余計なことしているんだ」という風にしか聞こえません、朝比奈さん)
ハルヒ「ふっふーん。今日はクジなんかしなくてもいいわ。みんな、あたしについてきて」
キョン(ハルヒは鼻息を荒くさせ、歩いていく。朝比奈さんの言葉の裏には気づいていないようだ)
キョン「どこに行くつもりだ」
ハルヒ「いいから、ついてくる」
キョン「やれやれ……」
キョン(しかしまぁ、背中にも表情というのはあるんだな。あいつの背中はとても楽しそうである)
ハルヒ「じゃじゃーん!! ここよ!!」
キョン「は?」
キョン(俺はてっきり空間にぽっかりと穴が開いていたり、落書きのような暗号が書かれている看板などを想像していたが、全く予想とは違っていた)
キョン(ハルヒが嬉しそうに指を差している場所は、駅前になら必ず一店舗は存在する不動産屋である)
キョン「ここにどんな不思議があるっていうんだ?」
ハルヒ「なんでも人に聞くんじゃないわよ。まずは自分で考えなさい」
キョン(そう言われてもな。店の中では若い男性がパソコンとにらめっこしているだけで、変わった様子はない。店も至って普遍的だ。場にそぐわないアンティークがあるわけでもない)
キョン「全く分からん」
ハルヒ「はぁーあ。キョンはあれよね。すぐにネットで検索して答えを調べちゃう派だから、思考力が身につかないのよ」
キョン(自分で調べるだけマシだろうが。と心の中で反論する)
古泉「まさか……」
キョン「何か気が付いたのか」
古泉「物件広告をみてください」
キョン(古泉の視線の先にあるのは、貼り出されている物件の間取りを記したものだった。一人暮らし用から分譲マンション、戸建てまで多種多様。長門や朝倉もこういったものを見て住む場所を決めたのだろうか)
キョン「別に不思議なことはないだろ。不動産屋にとっての商品だし、無い方が不思議だぞ」
キョン「は?」
キョン(俺はてっきり空間にぽっかりと穴が開いていたり、落書きのような暗号が書かれている看板などを想像していたが、全く予想とは違っていた)
キョン(ハルヒが嬉しそうに指を差している場所は、駅前になら必ず一店舗は存在する不動産屋である)
キョン「ここにどんな不思議があるっていうんだ?」
ハルヒ「なんでも人に聞くんじゃないわよ。まずは自分で考えなさい」
キョン(そう言われてもな。店の中では若い男性がパソコンとにらめっこしているだけで、変わった様子はない。店も至って普遍的だ。場にそぐわないアンティークがあるわけでもない)
キョン「全く分からん」
ハルヒ「はぁーあ。キョンはあれよね。すぐにネットで検索して答えを調べちゃう派だから、思考力が身につかないのよ」
キョン(自分で調べるだけマシだろうが。と心の中で反論する)
古泉「まさか……」
キョン「何か気が付いたのか」
古泉「物件広告をみてください」
キョン(古泉の視線の先にあるのは、貼り出されている物件の間取りを記したものだった。一人暮らし用から分譲マンション、戸建てまで多種多様。長門や朝倉もこういったものを見て住む場所を決めたのだろうか)
キョン「別に不思議なことはないだろ。不動産屋にとっての商品だし、無い方が不思議だぞ」
ハルヒ「物わかりの悪い鈍感なキョンのために答えてあげるわ」
キョン(本当は言いたくて仕方ない癖に)
ハルヒ「みて、キョン! ここ家賃が一万円だって!!」
キョン「……!」
ハルヒ「ワンルームのアパートだけど、ここの相場からいって1万円は安すぎると思わない!?」
キョン(みなさん。事故物件という言葉を聞いたことはあるだろうか。幾度となくテレビなどでも特集されているから耳にした人は多いだろう)
古泉「……」
長門「……」
キョン(古泉は恐らく、9割以上は察しているはずだ。長門は最初から全てを知っていたと考えたほうがいい)
朝比奈「わー、とっても安いですねぇ。すごーい」
キョン(朝比奈さんは可愛らしい瞳をキラキラさせて広告を眺めている。この人は本当に愛らしい)
ハルヒ「でっしょー?」
朝比奈「確かに不思議ですね。あとのお家は安くても5万円ぐらいからなのに」
ハルヒ「ふっふーん。そうなのよ、みくるちゃん。これはまさに不思議でしょ」
キョン(今、世界では幽霊なるものが量産されているのだろうか)
キョン(本当は言いたくて仕方ない癖に)
ハルヒ「みて、キョン! ここ家賃が一万円だって!!」
キョン「……!」
ハルヒ「ワンルームのアパートだけど、ここの相場からいって1万円は安すぎると思わない!?」
キョン(みなさん。事故物件という言葉を聞いたことはあるだろうか。幾度となくテレビなどでも特集されているから耳にした人は多いだろう)
古泉「……」
長門「……」
キョン(古泉は恐らく、9割以上は察しているはずだ。長門は最初から全てを知っていたと考えたほうがいい)
朝比奈「わー、とっても安いですねぇ。すごーい」
キョン(朝比奈さんは可愛らしい瞳をキラキラさせて広告を眺めている。この人は本当に愛らしい)
ハルヒ「でっしょー?」
朝比奈「確かに不思議ですね。あとのお家は安くても5万円ぐらいからなのに」
ハルヒ「ふっふーん。そうなのよ、みくるちゃん。これはまさに不思議でしょ」
キョン(今、世界では幽霊なるものが量産されているのだろうか)
ハルヒ「と、いうわけで、今日はこのアパートを見に行くわよ!!」
朝比奈「はぁーい」
キョン(朝比奈さんの中では、家を見に行くだけなら安全ですねぇ、ということで片付いてしまっているようだ)
キョン「まて、ハルヒ」
ハルヒ「何よ」
キョン「築年数によっても家賃ってのは変わってくるはずだ。そこのところはどうなんだ。築40年以上で今にも崩れそうなボロアポートなら1万円でも納得できるだろうが」
ハルヒ「ちゃんと見たわ。築10年よ」
キョン(まだ新しいほうなのか?)
古泉「あなたの自宅は貴方の年齢以上のはずです」
キョン「そう考えると、家としてはかなり新しいな」
ハルヒ「こっちのアパートは築15年だけど6万円だし、こっちのマンションは築20年だけど10万よ。やっぱり、このアパートだけおかしいわ」
キョン(おーおー。ハルヒさんが輝いていらっしゃる)
古泉「最寄り駅までの距離、または工場や交通量の多い道路が傍にあると家賃が変わるといいます。騒音等の問題で下げざるを得ないと不動産を経営する友人から聞いたことがあります」
キョン(新川さんのことだろうか)
ハルヒ「住所をネットで調べてみたけど、住宅地っぽいわ。あと、駅まで徒歩15分ってあるし、まぁ、遠いって思う人もいれば、それぐらいならいいかって思う人もいる距離ね。ちなみにあたしは、徒歩20分圏内ならオッケーだから」
朝比奈「はぁーい」
キョン(朝比奈さんの中では、家を見に行くだけなら安全ですねぇ、ということで片付いてしまっているようだ)
キョン「まて、ハルヒ」
ハルヒ「何よ」
キョン「築年数によっても家賃ってのは変わってくるはずだ。そこのところはどうなんだ。築40年以上で今にも崩れそうなボロアポートなら1万円でも納得できるだろうが」
ハルヒ「ちゃんと見たわ。築10年よ」
キョン(まだ新しいほうなのか?)
古泉「あなたの自宅は貴方の年齢以上のはずです」
キョン「そう考えると、家としてはかなり新しいな」
ハルヒ「こっちのアパートは築15年だけど6万円だし、こっちのマンションは築20年だけど10万よ。やっぱり、このアパートだけおかしいわ」
キョン(おーおー。ハルヒさんが輝いていらっしゃる)
古泉「最寄り駅までの距離、または工場や交通量の多い道路が傍にあると家賃が変わるといいます。騒音等の問題で下げざるを得ないと不動産を経営する友人から聞いたことがあります」
キョン(新川さんのことだろうか)
ハルヒ「住所をネットで調べてみたけど、住宅地っぽいわ。あと、駅まで徒歩15分ってあるし、まぁ、遠いって思う人もいれば、それぐらいならいいかって思う人もいる距離ね。ちなみにあたしは、徒歩20分圏内ならオッケーだから」
キョン「どうでもいい」
ハルヒ「あやしいわ。この物件から、とてつもない不思議を感じるわ」
キョン(ここまできてハルヒを止められた試しがない以上、覚悟を決める必要がある。とはいえ、前情報は持っていたい)
キョン「長門。ハルヒの所為で地球が逆回転しても発生しそうにないことが、この世に現れてないか?」
長門「ない」
キョン「え?」
長門「涼宮ハルヒによる情報改竄、並びに情報改変に類する事象は確認できない」
キョン「そ、そうなんか」
キョン(今までのセオリーとしてはこうなったとき、ハルヒの力で世界の均衡が崩れているのが常だったのが)
キョン「とりあえず、危ないことはないってことか」
長門「ない」
古泉「長門さんがこういうのであれば、心配は必要ないでしょうね」
キョン「そうだな」
キョン(現在まで長門の言うことが外れたことはなかった。異常があるときはいつも忠告してくれるのが長門だ。今回もそれは一緒のはずだ)
ハルヒ「さぁー、いくわよー!!」
ハルヒ「あやしいわ。この物件から、とてつもない不思議を感じるわ」
キョン(ここまできてハルヒを止められた試しがない以上、覚悟を決める必要がある。とはいえ、前情報は持っていたい)
キョン「長門。ハルヒの所為で地球が逆回転しても発生しそうにないことが、この世に現れてないか?」
長門「ない」
キョン「え?」
長門「涼宮ハルヒによる情報改竄、並びに情報改変に類する事象は確認できない」
キョン「そ、そうなんか」
キョン(今までのセオリーとしてはこうなったとき、ハルヒの力で世界の均衡が崩れているのが常だったのが)
キョン「とりあえず、危ないことはないってことか」
長門「ない」
古泉「長門さんがこういうのであれば、心配は必要ないでしょうね」
キョン「そうだな」
キョン(現在まで長門の言うことが外れたことはなかった。異常があるときはいつも忠告してくれるのが長門だ。今回もそれは一緒のはずだ)
ハルヒ「さぁー、いくわよー!!」
キョン(鼻歌を歌いながら進むハルヒ。その隣で物件見学ときいて安心しきっている朝比奈さん。二人の背中を眺める俺と古泉、長門が後に続く)
キョン「しかし、不動産屋を通さずに見学なんてできはしないんじゃないか」
古泉「コンピ研部長氏宅を訪問した際も、鍵などは必要ありませんでした」
キョン「あれは長門のおかげだろ」
長門「……」
キョン(後ろからトコトコとついてくる寡黙な少女がそれを成したわけだ。といってもあの一件は宇宙人勢がハルヒを退屈にさせないために画策したんじゃないかと思っているが)
古泉「あるいはそうかもしれませんね」
キョン「待てよ。だったら、今回も長門や喜緑さんが……」
古泉「なるほど。故に長門さんは涼宮さんによる情報改変は行われていないと回答した」
キョン「そう言えなくもないよな」
古泉「だとしたら、長門さんに質問してみるべきですね。この一件は、長門さんが計画したのですか、と」
キョン(古泉の言うことも尤もだ。ここで長門にズバリ、ドッキリ大成功のプラカードでも持ってきてもらえれば、気が楽になる)
長門「わたしは何もしていない。無関係」
キョン(訊くよりも早く、長門から返答が届いた。古泉も呆気にとられ、言葉を失っている様子だ)
ハルヒ「ここだわ! このアパートね!!」
キョン「しかし、不動産屋を通さずに見学なんてできはしないんじゃないか」
古泉「コンピ研部長氏宅を訪問した際も、鍵などは必要ありませんでした」
キョン「あれは長門のおかげだろ」
長門「……」
キョン(後ろからトコトコとついてくる寡黙な少女がそれを成したわけだ。といってもあの一件は宇宙人勢がハルヒを退屈にさせないために画策したんじゃないかと思っているが)
古泉「あるいはそうかもしれませんね」
キョン「待てよ。だったら、今回も長門や喜緑さんが……」
古泉「なるほど。故に長門さんは涼宮さんによる情報改変は行われていないと回答した」
キョン「そう言えなくもないよな」
古泉「だとしたら、長門さんに質問してみるべきですね。この一件は、長門さんが計画したのですか、と」
キョン(古泉の言うことも尤もだ。ここで長門にズバリ、ドッキリ大成功のプラカードでも持ってきてもらえれば、気が楽になる)
長門「わたしは何もしていない。無関係」
キョン(訊くよりも早く、長門から返答が届いた。古泉も呆気にとられ、言葉を失っている様子だ)
ハルヒ「ここだわ! このアパートね!!」
キョン(ハルヒの声の方向へ視線を向けると、問題の物件が聳えていた)
キョン(白い外観は真新しさの残っている。築10年とは思えないほどだ。リフォームでもしたのだろうか)
古泉「まぁ、造りにもよりますが10年では早々粗は出ないでしょう」
キョン「巨匠が建てたのか」
古泉「分かりかねます」
朝比奈「写真でみるより綺麗ですねぇ。本当に1万円で住めちゃうんですかぁ?」
ハルヒ「広告にはそう書いてあったから、住めるわね」
朝比奈「いいなぁ。ここに引っ越そうかなぁ」
キョン(未来では決められた経費しか落ちないのだろうか?)
ハルヒ「みくるちゃん。家は即決しちゃだめよ。ちゃんと内装も見て、近隣住民も観察して、周囲の環境も自分の目で確かめるのが大事なのよ」
朝比奈「そうなんですかぁ。勉強になります」
キョン(これで部屋も完璧なら本当に引っ越すかもしれん)
古泉「涼宮さん、中に入るのですか」
ハルヒ「当然じゃない。行くわよ」
キョン(これでもし侵入したらただの空き巣集団だな、俺たち)
キョン(白い外観は真新しさの残っている。築10年とは思えないほどだ。リフォームでもしたのだろうか)
古泉「まぁ、造りにもよりますが10年では早々粗は出ないでしょう」
キョン「巨匠が建てたのか」
古泉「分かりかねます」
朝比奈「写真でみるより綺麗ですねぇ。本当に1万円で住めちゃうんですかぁ?」
ハルヒ「広告にはそう書いてあったから、住めるわね」
朝比奈「いいなぁ。ここに引っ越そうかなぁ」
キョン(未来では決められた経費しか落ちないのだろうか?)
ハルヒ「みくるちゃん。家は即決しちゃだめよ。ちゃんと内装も見て、近隣住民も観察して、周囲の環境も自分の目で確かめるのが大事なのよ」
朝比奈「そうなんですかぁ。勉強になります」
キョン(これで部屋も完璧なら本当に引っ越すかもしれん)
古泉「涼宮さん、中に入るのですか」
ハルヒ「当然じゃない。行くわよ」
キョン(これでもし侵入したらただの空き巣集団だな、俺たち)
キョン(アパートの敷地内へ進むと、まず各部屋の銀色のポストが目についた)
キョン(全部で6部屋あるようだが、どこにも名前が書かれていない。住んでいないのか、つけていないだけなのか)
古泉「ベランダは丁度反対側ですから、入居しているのかはわかりませんね」
キョン「ポストはここから見る限り空っぽだな」
ハルヒ「一万円の部屋は201だったわね」
キョン(躊躇いも迷いもなく、ハルヒは階段をのぼっていく。少しは遠慮を持ってほしい)
朝比奈「このお部屋ですか」
キョン(扉を前にすると、不安が押し寄せてきた。長門の言葉を信じていないわけではないが、ハルヒが絡んでいるだけに言いしれない恐怖ってはやっぱりある)
ハルヒ「む。鍵がかかってるじゃない」
キョン「当たりまえだろ」
ハルヒ「仕方ないわね。管理人に頼みましょうか」
キョン「順序が逆だ」
長門「開いてる」
ハルヒ「え? あら、ホントね。気が付かなかったわ。ドアノブの回し方が悪かったのかしら?」
キョン(長門さん。随分と積極的だな。おい)
キョン(全部で6部屋あるようだが、どこにも名前が書かれていない。住んでいないのか、つけていないだけなのか)
古泉「ベランダは丁度反対側ですから、入居しているのかはわかりませんね」
キョン「ポストはここから見る限り空っぽだな」
ハルヒ「一万円の部屋は201だったわね」
キョン(躊躇いも迷いもなく、ハルヒは階段をのぼっていく。少しは遠慮を持ってほしい)
朝比奈「このお部屋ですか」
キョン(扉を前にすると、不安が押し寄せてきた。長門の言葉を信じていないわけではないが、ハルヒが絡んでいるだけに言いしれない恐怖ってはやっぱりある)
ハルヒ「む。鍵がかかってるじゃない」
キョン「当たりまえだろ」
ハルヒ「仕方ないわね。管理人に頼みましょうか」
キョン「順序が逆だ」
長門「開いてる」
ハルヒ「え? あら、ホントね。気が付かなかったわ。ドアノブの回し方が悪かったのかしら?」
キョン(長門さん。随分と積極的だな。おい)
ハルヒ「おじゃましまーす」
朝比奈「お邪魔します」
キョン(住人のいない部屋に不法侵入する高校生。こりゃ、新聞に実名が載っても文句はいえないぜ)
ハルヒ「ふーん。なるほどねー」
朝比奈「随分と広いんですねぇ。私の部屋よりも広いですぅ」
キョン(家具が一切ないからでは? という言葉をぐっとこらえながら部屋を見渡す)
キョン(なんというか、和室のワンルームを想像して欲しいと言えば10人中、6人くらは一致しそうな部屋だ)
キョン(玄関とキッチンが一体化しており、その先には畳が敷かれている部屋がある。収納スペースはきっちりと締められた襖の奥以外に見当たらない)
キョン(部屋にテレビやタンスやテーブルなどを置けば、すぐに手狭になるだろう)
古泉「お風呂とトイレもありますね。ユニットバスではありますが」
キョン「上等だな」
古泉「ええ。状態の良さと周辺物件の相場からいっても5万円以上はなければおかしいでしょうね」
キョン「それでも安いぐらいじゃないのか」
古泉「はい。ここまで価格を下げる理由というのは、一体なんでしょうか」
キョン(そういう質問には不動産屋ってのはちゃんと答えてくれるもんなのかね。よくわからんが)
朝比奈「お邪魔します」
キョン(住人のいない部屋に不法侵入する高校生。こりゃ、新聞に実名が載っても文句はいえないぜ)
ハルヒ「ふーん。なるほどねー」
朝比奈「随分と広いんですねぇ。私の部屋よりも広いですぅ」
キョン(家具が一切ないからでは? という言葉をぐっとこらえながら部屋を見渡す)
キョン(なんというか、和室のワンルームを想像して欲しいと言えば10人中、6人くらは一致しそうな部屋だ)
キョン(玄関とキッチンが一体化しており、その先には畳が敷かれている部屋がある。収納スペースはきっちりと締められた襖の奥以外に見当たらない)
キョン(部屋にテレビやタンスやテーブルなどを置けば、すぐに手狭になるだろう)
古泉「お風呂とトイレもありますね。ユニットバスではありますが」
キョン「上等だな」
古泉「ええ。状態の良さと周辺物件の相場からいっても5万円以上はなければおかしいでしょうね」
キョン「それでも安いぐらいじゃないのか」
古泉「はい。ここまで価格を下げる理由というのは、一体なんでしょうか」
キョン(そういう質問には不動産屋ってのはちゃんと答えてくれるもんなのかね。よくわからんが)
長門「……」
キョン(長門は長門で一点を見つめて、置物と化している)
ハルヒ「うーん。普通ね」
朝比奈「あ、こっちから駅がみえますよー」
ハルヒ「二階なのが惜しいわね。これが30階建てとからな方角的にも眺めは最高なのに」
朝比奈「わぁ、それいいですね」
ハルヒ「花火大会とか見れるんじゃないかしら」
朝比奈「素敵ですねぇ」
キョン(新居選びでウキウキしているようにしか見えないな)
古泉「どうやら、杞憂でしたね。長門さんの言葉通り、危険は何もないようです」
キョン(ここでようやく、古泉も肩の力を抜いたようだ。やはり、根っこの部分では長門の言葉に全幅の信頼は置けないんだろうな)
古泉「不快な気分にさせてしまったのなら謝罪します。何分、僕と長門さんはまだまだ味方とまでは言えませんので」
キョン「分かってる。いちいち、弁明しなくてもいい」
古泉「ありがとうございます」
ハルヒ「うーん。変わったところなんて何もないじゃない。全く。つまんないわね」
キョン(長門は長門で一点を見つめて、置物と化している)
ハルヒ「うーん。普通ね」
朝比奈「あ、こっちから駅がみえますよー」
ハルヒ「二階なのが惜しいわね。これが30階建てとからな方角的にも眺めは最高なのに」
朝比奈「わぁ、それいいですね」
ハルヒ「花火大会とか見れるんじゃないかしら」
朝比奈「素敵ですねぇ」
キョン(新居選びでウキウキしているようにしか見えないな)
古泉「どうやら、杞憂でしたね。長門さんの言葉通り、危険は何もないようです」
キョン(ここでようやく、古泉も肩の力を抜いたようだ。やはり、根っこの部分では長門の言葉に全幅の信頼は置けないんだろうな)
古泉「不快な気分にさせてしまったのなら謝罪します。何分、僕と長門さんはまだまだ味方とまでは言えませんので」
キョン「分かってる。いちいち、弁明しなくてもいい」
古泉「ありがとうございます」
ハルヒ「うーん。変わったところなんて何もないじゃない。全く。つまんないわね」
キョン「部屋に異常がないってことは、近隣住民に問題があるんじゃないか」
古泉「あとは周辺に暴走族のような輩がいるかもしれません」
ハルヒ「周辺に問題があるならこの部屋だけの価格が下がるわけないじゃない。きっと何かあるのよ」
キョン「例えばなんだ」
ハルヒ「壁を剥がすと、釘で打ち付けた扉があって、その先には死体があったり……」
朝比奈「ひぇ……」
キョン(マイエンジェル朝比奈さんが涙目になった。これ以上、ハルヒの暴言を許してたまるか)
キョン「変なこと言うんじゃねえよ、ハルヒ。都市伝説じゃあるまいし」
ハルヒ「そうだわ! この襖を開けると、お札がびっしりと貼ってあるんじゃない!?」
朝比奈「おふだですか?」
ハルヒ「えーいっ!」
キョン(勢いよく開け放たれた襖の奥にはお札を剥がした後すらもなかった。割と奥行があるし、収納スペースとしては優秀だな)
ハルヒ「むぅ……」
キョン「ほら、何もないんだ。これで満足だろ」
キョン(渋々と言った感じにハルヒが襖を閉めるのを見届け、俺たちは部屋を後にしようと玄関へ向かった)
古泉「あとは周辺に暴走族のような輩がいるかもしれません」
ハルヒ「周辺に問題があるならこの部屋だけの価格が下がるわけないじゃない。きっと何かあるのよ」
キョン「例えばなんだ」
ハルヒ「壁を剥がすと、釘で打ち付けた扉があって、その先には死体があったり……」
朝比奈「ひぇ……」
キョン(マイエンジェル朝比奈さんが涙目になった。これ以上、ハルヒの暴言を許してたまるか)
キョン「変なこと言うんじゃねえよ、ハルヒ。都市伝説じゃあるまいし」
ハルヒ「そうだわ! この襖を開けると、お札がびっしりと貼ってあるんじゃない!?」
朝比奈「おふだですか?」
ハルヒ「えーいっ!」
キョン(勢いよく開け放たれた襖の奥にはお札を剥がした後すらもなかった。割と奥行があるし、収納スペースとしては優秀だな)
ハルヒ「むぅ……」
キョン「ほら、何もないんだ。これで満足だろ」
キョン(渋々と言った感じにハルヒが襖を閉めるのを見届け、俺たちは部屋を後にしようと玄関へ向かった)
長門「……開いた」
キョン「長門?」
キョン(変わらず一点を見つめ続ける長門がそこにいた。何を見ているんだと長門の視線の先を見てみる)
キョン「ん? おい、ハルヒ」
ハルヒ「んあ?」
キョン「お前、襖を閉めなかったのか?」
ハルヒ「は? あら、開いてるわね。閉めたつもりだったけど」
キョン(ハルヒが再度襖を閉めに行く。だが、俺も確かに襖が閉まるところを見ていたはずだ。なのに、襖は5センチばかり開いていた)
ハルヒ「よいしょっと。ちゃんと侵入した形跡は消しておかないとね」
キョン(罪を犯している意識は一応あるらしい)
ハルヒ「さ、行きましょ。不思議探索の続きよ」
朝比奈「はぁい」
キョン(ハルヒを先頭に俺と古泉と朝比奈さんが外へと出る。しかし、長門がついてこない)
キョン「長門、なにしてるんだ? いくぞ」
長門「……開いた」
キョン「長門?」
キョン(変わらず一点を見つめ続ける長門がそこにいた。何を見ているんだと長門の視線の先を見てみる)
キョン「ん? おい、ハルヒ」
ハルヒ「んあ?」
キョン「お前、襖を閉めなかったのか?」
ハルヒ「は? あら、開いてるわね。閉めたつもりだったけど」
キョン(ハルヒが再度襖を閉めに行く。だが、俺も確かに襖が閉まるところを見ていたはずだ。なのに、襖は5センチばかり開いていた)
ハルヒ「よいしょっと。ちゃんと侵入した形跡は消しておかないとね」
キョン(罪を犯している意識は一応あるらしい)
ハルヒ「さ、行きましょ。不思議探索の続きよ」
朝比奈「はぁい」
キョン(ハルヒを先頭に俺と古泉と朝比奈さんが外へと出る。しかし、長門がついてこない)
キョン「長門、なにしてるんだ? いくぞ」
長門「……開いた」
キョン「なにを言って――」
キョン(長門の視線の先には、10センチ以上開いている襖があった)
キョン(いくらなんでもここまで開いていれば思い違いということはない。確かにハルヒは襖を閉めた。しかし押入れと部屋を隔てる壁は、何故かスライドしている)
キョン「おい、ハルヒ」
ハルヒ「どうしたのよ」
キョン「お前、襖、閉めたよな」
ハルヒ「はぁ? あんたも見てたじゃない」
キョン「なら、あれはなんだ」
ハルヒ「え? な、なんで、あいてるのよ」
キョン(流石の団長も、目を丸くしていた。超常現象が発生しているのか、これは)
ハルヒ「古泉君。あたし、閉めたわよね」
古泉「はい。間違いなく」
朝比奈「どうしたんですかぁ?」
ハルヒ「みくるちゃんも見たでしょ。あたしが襖を閉めたところ」
朝比奈「へぇ? はい。みましたけどぉ……」
キョン(長門の視線の先には、10センチ以上開いている襖があった)
キョン(いくらなんでもここまで開いていれば思い違いということはない。確かにハルヒは襖を閉めた。しかし押入れと部屋を隔てる壁は、何故かスライドしている)
キョン「おい、ハルヒ」
ハルヒ「どうしたのよ」
キョン「お前、襖、閉めたよな」
ハルヒ「はぁ? あんたも見てたじゃない」
キョン「なら、あれはなんだ」
ハルヒ「え? な、なんで、あいてるのよ」
キョン(流石の団長も、目を丸くしていた。超常現象が発生しているのか、これは)
ハルヒ「古泉君。あたし、閉めたわよね」
古泉「はい。間違いなく」
朝比奈「どうしたんですかぁ?」
ハルヒ「みくるちゃんも見たでしょ。あたしが襖を閉めたところ」
朝比奈「へぇ? はい。みましたけどぉ……」
ハルヒ「ま、まぁ、あれよ、閉めたってみんなが思い込んでいたかもしれないもの。もう一度、ちゃーんと閉めましょ」
キョン(そういってハルヒが襖をしっかりと閉め、全員に目配せをした)
ハルヒ「見たわね? みんな、証人よ」
古泉「はい。見ました」
朝比奈「閉まってます」
キョン(俺も確認したという意味で頷いた)
ハルヒ「有希、今、この押入れは?」
長門「視覚的には閉鎖されている」
ハルヒ「よし! 完璧ね。行くわよ!」
キョン(そういってハルヒは足早に部屋を出る。その様子に怖さを抱いたのか、朝比奈さんが慌てて出ていく)
キョン(俺だって気味が悪い。これまでとは違う怪異ってところが余計に薄気味悪い)
古泉「僕たちも参りましょう」
キョン(古泉に同意して退室するも、やはり長門だけが出てこようとしなかった)
キョン「長門、もう行くぞ。ここには用はない」
長門「……開いた」
キョン(そういってハルヒが襖をしっかりと閉め、全員に目配せをした)
ハルヒ「見たわね? みんな、証人よ」
古泉「はい。見ました」
朝比奈「閉まってます」
キョン(俺も確認したという意味で頷いた)
ハルヒ「有希、今、この押入れは?」
長門「視覚的には閉鎖されている」
ハルヒ「よし! 完璧ね。行くわよ!」
キョン(そういってハルヒは足早に部屋を出る。その様子に怖さを抱いたのか、朝比奈さんが慌てて出ていく)
キョン(俺だって気味が悪い。これまでとは違う怪異ってところが余計に薄気味悪い)
古泉「僕たちも参りましょう」
キョン(古泉に同意して退室するも、やはり長門だけが出てこようとしなかった)
キョン「長門、もう行くぞ。ここには用はない」
長門「……開いた」
キョン(長門が俺を見つめてそういう。叫びそうになる自分を抑えながら、和室を見る)
キョン(やはり、襖が開いてる。なんだこりゃ。ハルヒ、お前の仕業なのかよ)
古泉「勝手に開いてしまう襖、ですか」
キョン「随分と落ち着いてるな、古泉。神人よりはマシか」
古泉「いえ。とんでもありません。姿の見えない脅威ほど、恐ろしいものはないでしょう」
キョン(同感だ)
ハルヒ「キョン! 有希! 古泉くん! もう行きましょ!」
朝比奈「ひぃぃ……こわいぃ……」
キョン「あ、ああ。そうだな」
キョン(朝比奈さんが生まれたての小鹿のように震えている。ここにいる理由は完全になくなった)
キョン「長門、早く来い」
長門「……」
キョン「おい、長門」
長門「収納スペースの封鎖が視覚的になされていない。これでは侵入の痕跡を残すことになる。あの扉は閉鎖するべき」
キョン(おいおい。長門。新聞に実名が記載される可能性を考えているのか? お前ならなんとでもなるだろうに)
キョン(やはり、襖が開いてる。なんだこりゃ。ハルヒ、お前の仕業なのかよ)
古泉「勝手に開いてしまう襖、ですか」
キョン「随分と落ち着いてるな、古泉。神人よりはマシか」
古泉「いえ。とんでもありません。姿の見えない脅威ほど、恐ろしいものはないでしょう」
キョン(同感だ)
ハルヒ「キョン! 有希! 古泉くん! もう行きましょ!」
朝比奈「ひぃぃ……こわいぃ……」
キョン「あ、ああ。そうだな」
キョン(朝比奈さんが生まれたての小鹿のように震えている。ここにいる理由は完全になくなった)
キョン「長門、早く来い」
長門「……」
キョン「おい、長門」
長門「収納スペースの封鎖が視覚的になされていない。これでは侵入の痕跡を残すことになる。あの扉は閉鎖するべき」
キョン(おいおい。長門。新聞に実名が記載される可能性を考えているのか? お前ならなんとでもなるだろうに)
長門「情報操作は極力避けるべき。意図しないイレギュラーの発生もありえる」
キョン「そ、そうなのか」
長門「そう」
キョン(なんだろうか。今日の長門はいつもと様子が違うように思える。なんというか、目に力があるというか。こんな長門を見たのは、コンピ研との対決以来かもしれん)
キョン「もしかして、調べたいのか」
長門「……」
キョン(すごく見つめられている。多分、調べたいんだろうな。だが、1を聞けば1000まで知ってしまう長門が調べたいってことは……)
キョン「なあ、長門。これは宇宙的なパワーをもってしてもすぐには分からないこと、なのか」
長門「……」
キョン(僅かに小さな頭が上下する)
キョン「確認するぞ。危険はないんだよな」
長門「我々に対して物理的に危害を加える方法は一切ないと判断。だから、安全」
キョン「……」
キョン(そういうことか。実際に怪我はしないから、何も怖くないってことかよ。ああ、長門らしいぜ)
長門「どうかした?」
キョン「そ、そうなのか」
長門「そう」
キョン(なんだろうか。今日の長門はいつもと様子が違うように思える。なんというか、目に力があるというか。こんな長門を見たのは、コンピ研との対決以来かもしれん)
キョン「もしかして、調べたいのか」
長門「……」
キョン(すごく見つめられている。多分、調べたいんだろうな。だが、1を聞けば1000まで知ってしまう長門が調べたいってことは……)
キョン「なあ、長門。これは宇宙的なパワーをもってしてもすぐには分からないこと、なのか」
長門「……」
キョン(僅かに小さな頭が上下する)
キョン「確認するぞ。危険はないんだよな」
長門「我々に対して物理的に危害を加える方法は一切ないと判断。だから、安全」
キョン「……」
キョン(そういうことか。実際に怪我はしないから、何も怖くないってことかよ。ああ、長門らしいぜ)
長門「どうかした?」
キョン(不思議そうに小首を傾げられた。幽霊的な怖さってのは、長門のボスでも教えられないんだろうなぁ)
長門「許可を」
キョン「ハルヒ、長門はもう少し調べたいらしいぜ」
ハルヒ「有希、正気なの!?」
長門「今のところ、致命的なバグは見つかっていない」
ハルヒ「勝手に開く襖なんて、危ないじゃない! 呪われたらどうするのよ!?」
長門「言語によって肉体が物理的ダメージを負う可能性は皆無」
ハルヒ「そーじゃないの!!」
朝比奈「な、ながとさぁん……かえりましょう……あとでパフェごちそうしますからぁ……」
長門「調査後でも問題ない」
朝比奈「ひぃぃん……」
古泉「ふふっ」
キョン「何笑ってやがる、古泉」
古泉「いえ。微笑ましいと思いまして。あの涼宮さんが、こういったことで狼狽するのは本当に予想外で」
キョン「言われてみりゃ、そうだな。あいつが望んでいた現象に直面してるっていうのに」
長門「許可を」
キョン「ハルヒ、長門はもう少し調べたいらしいぜ」
ハルヒ「有希、正気なの!?」
長門「今のところ、致命的なバグは見つかっていない」
ハルヒ「勝手に開く襖なんて、危ないじゃない! 呪われたらどうするのよ!?」
長門「言語によって肉体が物理的ダメージを負う可能性は皆無」
ハルヒ「そーじゃないの!!」
朝比奈「な、ながとさぁん……かえりましょう……あとでパフェごちそうしますからぁ……」
長門「調査後でも問題ない」
朝比奈「ひぃぃん……」
古泉「ふふっ」
キョン「何笑ってやがる、古泉」
古泉「いえ。微笑ましいと思いまして。あの涼宮さんが、こういったことで狼狽するのは本当に予想外で」
キョン「言われてみりゃ、そうだな。あいつが望んでいた現象に直面してるっていうのに」
古泉「ですが、冷静に考えれば当然なのでしょう」
キョン「なんでだ」
古泉「思い出してください。孤島に行き、殺人事件が発生したときの涼宮さんを」
キョン(酷く混乱していたな。ハルヒの新しい一面を見たときだ)
古泉「何度も言っていることですが、涼宮さんは至って普通の思考をする女子高校生に過ぎません」
古泉「宇宙人、未来人、超能力者、異世界人なるものが存在してほしいと望む一方で、そんな人種は存在しえないとも思っている」
古泉「故に、目の前に空飛ぶ円盤が飛来したり、机の引き出しから未来人が出てきたリ、超能力者を名乗る人物が現れたり、何もない空間から人が出てきた場合、涼宮さんはどうなるか」
キョン「今と同じようなリアクションをとるってことか」
古泉「僕はそう思います。それに、宇宙人、未来人、超能力者、異世界人は願っているのに、心霊なる超常現象を願わないのはおかしな話です」
キョン「もしかして、あいつ……」
古泉「怖い夢をみたときに小規模な閉鎖空間を発生させてしまう理由はここにあったのかもしれませんね」
キョン(うちの妹といい勝負だぜ)
ハルヒ「有希! わがままいわないの!! ほら、バリューセットも奢ってあげるから!! きなさいってば!!」
長門「……」
キョン(必死に長門の腕を引っ張るハルヒだが、微動にしないようだ。宇宙人ってのは人力でどうにかなるほど柔じゃないからなぁ)
キョン「なんでだ」
古泉「思い出してください。孤島に行き、殺人事件が発生したときの涼宮さんを」
キョン(酷く混乱していたな。ハルヒの新しい一面を見たときだ)
古泉「何度も言っていることですが、涼宮さんは至って普通の思考をする女子高校生に過ぎません」
古泉「宇宙人、未来人、超能力者、異世界人なるものが存在してほしいと望む一方で、そんな人種は存在しえないとも思っている」
古泉「故に、目の前に空飛ぶ円盤が飛来したり、机の引き出しから未来人が出てきたリ、超能力者を名乗る人物が現れたり、何もない空間から人が出てきた場合、涼宮さんはどうなるか」
キョン「今と同じようなリアクションをとるってことか」
古泉「僕はそう思います。それに、宇宙人、未来人、超能力者、異世界人は願っているのに、心霊なる超常現象を願わないのはおかしな話です」
キョン「もしかして、あいつ……」
古泉「怖い夢をみたときに小規模な閉鎖空間を発生させてしまう理由はここにあったのかもしれませんね」
キョン(うちの妹といい勝負だぜ)
ハルヒ「有希! わがままいわないの!! ほら、バリューセットも奢ってあげるから!! きなさいってば!!」
長門「……」
キョン(必死に長門の腕を引っ張るハルヒだが、微動にしないようだ。宇宙人ってのは人力でどうにかなるほど柔じゃないからなぁ)
長門「許可を」
ハルヒ「却下!!」
長門「何故」
ハルヒ「呪われたり、憑りつかれたりしたらどーするのよ!!」
長門「……」
キョン(長門の視線が突き刺さる。「この人は何を言っているのですか?」と問われているようだ)
朝比奈「こわいぃぃ……かえりたいですぅ……キョンくぅん……」
キョン(朝比奈さんは玄関の扉にしがみつき、部屋の中へは入ろうとしない。だが、そこにいれば、外からは丸見えになるわけで、俺たちが新聞の小さな記事になる確率が徒に上がっていく)
長門「……開いた」
ハルヒ「ひっ!?」
キョン(長門の一言に、皆の視線が襖へと移る。確かにさっきよりも数センチほど開いている)
ハルヒ「有希!! いい加減にしなさい!! あたしたちは不法侵入してるのよ!?」
長門「扇動したのは貴方」
ハルヒ「ぅぐ……そ、そうだけど……でも、ほら、たぶん、壁が薄くって隣の声が丸聞こえなんだろうなってオチだと思ってただけで……」
キョン(あの傍若無人が萎んでやがる。ハルヒの自業自得ではあるが、また珍しい一面を垣間見たな)
ハルヒ「却下!!」
長門「何故」
ハルヒ「呪われたり、憑りつかれたりしたらどーするのよ!!」
長門「……」
キョン(長門の視線が突き刺さる。「この人は何を言っているのですか?」と問われているようだ)
朝比奈「こわいぃぃ……かえりたいですぅ……キョンくぅん……」
キョン(朝比奈さんは玄関の扉にしがみつき、部屋の中へは入ろうとしない。だが、そこにいれば、外からは丸見えになるわけで、俺たちが新聞の小さな記事になる確率が徒に上がっていく)
長門「……開いた」
ハルヒ「ひっ!?」
キョン(長門の一言に、皆の視線が襖へと移る。確かにさっきよりも数センチほど開いている)
ハルヒ「有希!! いい加減にしなさい!! あたしたちは不法侵入してるのよ!?」
長門「扇動したのは貴方」
ハルヒ「ぅぐ……そ、そうだけど……でも、ほら、たぶん、壁が薄くって隣の声が丸聞こえなんだろうなってオチだと思ってただけで……」
キョン(あの傍若無人が萎んでやがる。ハルヒの自業自得ではあるが、また珍しい一面を垣間見たな)
朝比奈「うぇぇん……こわいぃぃ……」
長門「理解した」
キョン「何をだ?」
キョン(長門は部屋の奥へと進み、襖の前に立った。何をするつもりなんだ?)
長門「貴方達が畏怖しているのは襖が開いていくためと判断した」
キョン「まぁ、そうなるか」
長門「なら、こうすればいい」
キョン「な……!?」
キョン(いきなり襖を取り外し、壁に立てかけやがった)
長門「これなら、冷静な判断力も回復する」
古泉「なるほど。確かに誰も触っていない襖が動くという現象そのものを失くしてしまえば、恐怖感は薄まる効果があるかもしれない」
キョン「根本的な解決にはなってねえだろ」
古泉「んふっ。そうですね」
ハルヒ「有希、どうしても調べたいのね」
長門「許可を」
長門「理解した」
キョン「何をだ?」
キョン(長門は部屋の奥へと進み、襖の前に立った。何をするつもりなんだ?)
長門「貴方達が畏怖しているのは襖が開いていくためと判断した」
キョン「まぁ、そうなるか」
長門「なら、こうすればいい」
キョン「な……!?」
キョン(いきなり襖を取り外し、壁に立てかけやがった)
長門「これなら、冷静な判断力も回復する」
古泉「なるほど。確かに誰も触っていない襖が動くという現象そのものを失くしてしまえば、恐怖感は薄まる効果があるかもしれない」
キョン「根本的な解決にはなってねえだろ」
古泉「んふっ。そうですね」
ハルヒ「有希、どうしても調べたいのね」
長門「許可を」
キョン(戸そのものがなくなり、見通しがよくなった押入れを見てみるも、やはりおかしなところは何もない)
キョン「なんで、勝手に開くんだろうね」
古泉「ふむ……」
ハルヒ「みくるちゃん、ドアを閉めて、こっちにいらっしゃい」
朝比奈「ひえぇぇ!! い、いやですぅぅ……!!」
長門「視覚的に脅威となるものは排除した」
朝比奈「なかに、なかに、います!」
長門「存在は確認できない」
朝比奈「ひぃぃん……」
ハルヒ「諦めなさい。襖を完全に取り外したことで、もう手遅れよ」
朝比奈「そ、それってぇ……どういうことですかぁ……」
ハルヒ「だから、せめて一緒に居ましょう。離れたら守れるものも守れなくなるわ」
朝比奈「う……うぅぅ……すずみやさぁぁん……こわいですぅ……」
長門「……?」
キョン(三者三様とはまさにこのことだな)
キョン「なんで、勝手に開くんだろうね」
古泉「ふむ……」
ハルヒ「みくるちゃん、ドアを閉めて、こっちにいらっしゃい」
朝比奈「ひえぇぇ!! い、いやですぅぅ……!!」
長門「視覚的に脅威となるものは排除した」
朝比奈「なかに、なかに、います!」
長門「存在は確認できない」
朝比奈「ひぃぃん……」
ハルヒ「諦めなさい。襖を完全に取り外したことで、もう手遅れよ」
朝比奈「そ、それってぇ……どういうことですかぁ……」
ハルヒ「だから、せめて一緒に居ましょう。離れたら守れるものも守れなくなるわ」
朝比奈「う……うぅぅ……すずみやさぁぁん……こわいですぅ……」
長門「……?」
キョン(三者三様とはまさにこのことだな)
キョン「何か分かりそうか、古泉」
古泉「この家屋そのものが傾いている場合でも、襖は人の力を借りることなく開くことはあるかもしれません」
ハルヒ「それよ!! 流石、副団長ね!! それで間違いないわ!!」
朝比奈「ふぇ? そうなんですか!?」
ハルヒ「幽霊の正体見たり枯れ尾花っていう言葉があるぐらいだもの。世の中の心霊現象なんてのはね、科学の力で証明できるものなのよ」
朝比奈「そうなんでかぁ?」
ハルヒ「そう。たとえば、心霊写真ってあるじゃない? あれってデジカメになった途端、全然撮れなくなったって知ってた?」
朝比奈「しりませぇん。そういう話をきくと、夜お手洗いにいけなくなりそうで……」
キョン(かわいい!!)
ハルヒ「フィルムの使うと前に撮ったものが稀に映り込んじゃうこときがあって、それがよく心霊写真って言われていたのよ」
ハルヒ「だから、心霊写真を見て悪霊がーとか怨念がーとか言っている自称霊能力者のことなんて鼻で笑ってたわ」
朝比奈「へぇー」
キョン(何が何でも幽霊だけは否定したいようだな)
キョン「だが、このアパートは襖が滑るほど傾ているのか?」
長門「この家屋の傾斜は0.005度。扉が滑ることはありえない角度」
古泉「この家屋そのものが傾いている場合でも、襖は人の力を借りることなく開くことはあるかもしれません」
ハルヒ「それよ!! 流石、副団長ね!! それで間違いないわ!!」
朝比奈「ふぇ? そうなんですか!?」
ハルヒ「幽霊の正体見たり枯れ尾花っていう言葉があるぐらいだもの。世の中の心霊現象なんてのはね、科学の力で証明できるものなのよ」
朝比奈「そうなんでかぁ?」
ハルヒ「そう。たとえば、心霊写真ってあるじゃない? あれってデジカメになった途端、全然撮れなくなったって知ってた?」
朝比奈「しりませぇん。そういう話をきくと、夜お手洗いにいけなくなりそうで……」
キョン(かわいい!!)
ハルヒ「フィルムの使うと前に撮ったものが稀に映り込んじゃうこときがあって、それがよく心霊写真って言われていたのよ」
ハルヒ「だから、心霊写真を見て悪霊がーとか怨念がーとか言っている自称霊能力者のことなんて鼻で笑ってたわ」
朝比奈「へぇー」
キョン(何が何でも幽霊だけは否定したいようだな)
キョン「だが、このアパートは襖が滑るほど傾ているのか?」
長門「この家屋の傾斜は0.005度。扉が滑ることはありえない角度」
キョン(長門の計測は正確無比だろうぜ)
古泉「ペンを置いてみましたが、転がるようなことはないですからね」
ハルヒ「だったら、この押入れのところだけ立て付けが悪くて、勝手に動いちゃうんじゃない?」
キョン「残念だがら、それもない」
ハルヒ「どうしてよ」
キョン「俺らがこの部屋に入ったとき、襖はしっかりと閉まっていた。勝手に開くなら、入ったときに開いてなきゃおかしい」
ハルヒ「ぐっ……キョンのくせに……よくみてるじゃない……」
キョン(よく見なくてもそれぐらいの違和感は誰だって感じ取れるだろうぜ)
朝比奈「あのぉ、どういうことですか?」
ハルヒ「見えない6人目が、いるかもしれないわ」
朝比奈「ひぃぃ……」
キョン(この場を即退去したら丸く収まるんだが)
長門「……」
キョン(普段、我を表に出さない長門がこれだからな。ハルヒはその長門を心配して付き添うわけだし、朝比奈さんは一人じゃ逃げ出すこともできそうにない。どうにか長門には納得してもらないとな)
古泉「一つの仮説を立てたのですが、聞いていただけますか?」
古泉「ペンを置いてみましたが、転がるようなことはないですからね」
ハルヒ「だったら、この押入れのところだけ立て付けが悪くて、勝手に動いちゃうんじゃない?」
キョン「残念だがら、それもない」
ハルヒ「どうしてよ」
キョン「俺らがこの部屋に入ったとき、襖はしっかりと閉まっていた。勝手に開くなら、入ったときに開いてなきゃおかしい」
ハルヒ「ぐっ……キョンのくせに……よくみてるじゃない……」
キョン(よく見なくてもそれぐらいの違和感は誰だって感じ取れるだろうぜ)
朝比奈「あのぉ、どういうことですか?」
ハルヒ「見えない6人目が、いるかもしれないわ」
朝比奈「ひぃぃ……」
キョン(この場を即退去したら丸く収まるんだが)
長門「……」
キョン(普段、我を表に出さない長門がこれだからな。ハルヒはその長門を心配して付き添うわけだし、朝比奈さんは一人じゃ逃げ出すこともできそうにない。どうにか長門には納得してもらないとな)
古泉「一つの仮説を立てたのですが、聞いていただけますか?」
キョン「聞いてやる」
古泉「ありがとうございます。超常現象なるものがこの世に存在しない前提で話します」
キョン(よく真顔でそういうことが言えるな。俺なら笑ってしまうかもしれん)
古泉「我々がこの部屋に入った際、襖は閉じられていました。なのに一度涼宮さんが開けた途端、自然に開くようになった」
古泉「となれば、襖の溝部分に欠陥があり、一度開けたことで閉まりづらくなってしまった。というのはどうでしょうか」
ハルヒ「それね!! 絶対にそれよ!!」
キョン「見てみないことにはわからんだろうが」
ハルヒ「だったら、キョン! 見なさい」
キョン「はいはい」
キョン(立てかけていた襖を古泉と持ち、上下の溝を確認する)
古泉「どうでしょうか?」
キョン「特別気になるところはないぞ」
ハルヒ「何かあるでしょ!? 割れてるとか!!」
キョン「ねえよ。あったら、襖が開くどころかとっくに外れて倒れてるぞ」
ハルヒ「くっ……キョンのくせに……」
古泉「ありがとうございます。超常現象なるものがこの世に存在しない前提で話します」
キョン(よく真顔でそういうことが言えるな。俺なら笑ってしまうかもしれん)
古泉「我々がこの部屋に入った際、襖は閉じられていました。なのに一度涼宮さんが開けた途端、自然に開くようになった」
古泉「となれば、襖の溝部分に欠陥があり、一度開けたことで閉まりづらくなってしまった。というのはどうでしょうか」
ハルヒ「それね!! 絶対にそれよ!!」
キョン「見てみないことにはわからんだろうが」
ハルヒ「だったら、キョン! 見なさい」
キョン「はいはい」
キョン(立てかけていた襖を古泉と持ち、上下の溝を確認する)
古泉「どうでしょうか?」
キョン「特別気になるところはないぞ」
ハルヒ「何かあるでしょ!? 割れてるとか!!」
キョン「ねえよ。あったら、襖が開くどころかとっくに外れて倒れてるぞ」
ハルヒ「くっ……キョンのくせに……」
古泉「違いますか。残念です」
キョン(そもそも、その程度のことであれば、長門がここまで食いつくわけがないんだ)
キョン「長門からは何か考えはあるか?」
長門「ない」
キョン(まだ何も掴めていないってことか)
ハルヒ「そういうキョンはちゃんと考えてるわけ?」
キョン「そうだなぁ……」
キョン(襖が勝手に開いて行く現象を科学的に答えろってのは、物理の授業中に寝息を立てている男には無茶なんだよ、ハルヒさん)
キョン(俺はハルヒの頭から発生した幽霊の仕業ってのに一票と投じたいがな)
古泉「幽霊はまず存在しないと思います」
キョン「何故、言い切れる」
古泉「涼宮さんが完全否定している時点で、この世に心霊は存在しないからです」
キョン「確かに……」
キョン(だったら、どうして長門があんなにも興味を示しているんだ? 科学的に解明できないからじゃないのかよ)
古泉「もう一つの仮説があります。貴方だけに伝えます。これは涼宮さんの耳に触れたらまずいような気もしますので」
キョン(そもそも、その程度のことであれば、長門がここまで食いつくわけがないんだ)
キョン「長門からは何か考えはあるか?」
長門「ない」
キョン(まだ何も掴めていないってことか)
ハルヒ「そういうキョンはちゃんと考えてるわけ?」
キョン「そうだなぁ……」
キョン(襖が勝手に開いて行く現象を科学的に答えろってのは、物理の授業中に寝息を立てている男には無茶なんだよ、ハルヒさん)
キョン(俺はハルヒの頭から発生した幽霊の仕業ってのに一票と投じたいがな)
古泉「幽霊はまず存在しないと思います」
キョン「何故、言い切れる」
古泉「涼宮さんが完全否定している時点で、この世に心霊は存在しないからです」
キョン「確かに……」
キョン(だったら、どうして長門があんなにも興味を示しているんだ? 科学的に解明できないからじゃないのかよ)
古泉「もう一つの仮説があります。貴方だけに伝えます。これは涼宮さんの耳に触れたらまずいような気もしますので」
キョン(和室の真ん中で身を寄せ合う三人を見ながら、キッチンのほうへと移動した)
古泉「そもそもこの部屋の価格が何故、一万円なのか。ここから推理しなければいけません」
キョン「事故物件って知ってるよな、古泉」
古泉「はい。心理的瑕疵に該当する案件を抱えている物件のことです」
古泉「何らかの原因で前入居者が死亡している場合、事故物件として扱われる場合があります」
キョン「ここの家賃が安いのはそういうことだろ」
古泉「築10年でガタも来ていないアパートが1万円ですよ。事故物件にしても安すぎます」
キョン「なに?」
古泉「借りる者が全く現れない。あるいは入居者がすぐに転居してしまう。それもこの部屋だけ。だから、価格が崩壊し、1万円という破格の家賃になっていると僕は考えますが」
キョン「事故物件じゃないっていうなら、なんだよ」
古泉「超常現象は起こっているのですよ」
キョン「ハルヒの願いでか」
古泉「長門さんは言ってたはずです。涼宮さんによる情報改竄はないと」
キョン(まてよ……それって……)
古泉「三年前からここでは謎の現象が頻発していたということになります」
古泉「そもそもこの部屋の価格が何故、一万円なのか。ここから推理しなければいけません」
キョン「事故物件って知ってるよな、古泉」
古泉「はい。心理的瑕疵に該当する案件を抱えている物件のことです」
古泉「何らかの原因で前入居者が死亡している場合、事故物件として扱われる場合があります」
キョン「ここの家賃が安いのはそういうことだろ」
古泉「築10年でガタも来ていないアパートが1万円ですよ。事故物件にしても安すぎます」
キョン「なに?」
古泉「借りる者が全く現れない。あるいは入居者がすぐに転居してしまう。それもこの部屋だけ。だから、価格が崩壊し、1万円という破格の家賃になっていると僕は考えますが」
キョン「事故物件じゃないっていうなら、なんだよ」
古泉「超常現象は起こっているのですよ」
キョン「ハルヒの願いでか」
古泉「長門さんは言ってたはずです。涼宮さんによる情報改竄はないと」
キョン(まてよ……それって……)
古泉「三年前からここでは謎の現象が頻発していたということになります」
キョン(ハルヒにトンデモ能力が備わる前から、不思議は転がってたっていうのかよ)
古泉「情報統合思念体は涼宮さんが生み出したものではありませんし、朝比奈さんの組織も涼宮さんによって生まれたわけではありません」
古泉「僕が所属する機関だけが涼宮さんによって誕生したのですから」
キョン「そういえばそうなるよな」
古泉「故に、この部屋が異空間化していても何も不思議ではありません」
キョン「異空間化されている時点で不思議なんだがな」
古泉「申し訳ありません。こうした能力を手に入れた所為で価値観が麻痺しているようです」
キョン「ついていけないぜ」
キョン(しかし、長門でもここまで解明できないことってなると、本当になんだ?)
キョン(ハルヒによって心霊の類が否定されているなら、幽霊ってわけでもない)
キョン(心霊以外に何かあるのか……)
キョン(視線を床に向け、思案しているとトイレから水の流れる音が聞こえてきた)
キョン(異常事態に5秒ほど時間がかかっちまった。和室を見ると、三人がトイレのほうをみている)
キョン(俺の横には古泉がいる)
キョン(なら、誰がトイレを使ったんだ?)
古泉「情報統合思念体は涼宮さんが生み出したものではありませんし、朝比奈さんの組織も涼宮さんによって生まれたわけではありません」
古泉「僕が所属する機関だけが涼宮さんによって誕生したのですから」
キョン「そういえばそうなるよな」
古泉「故に、この部屋が異空間化していても何も不思議ではありません」
キョン「異空間化されている時点で不思議なんだがな」
古泉「申し訳ありません。こうした能力を手に入れた所為で価値観が麻痺しているようです」
キョン「ついていけないぜ」
キョン(しかし、長門でもここまで解明できないことってなると、本当になんだ?)
キョン(ハルヒによって心霊の類が否定されているなら、幽霊ってわけでもない)
キョン(心霊以外に何かあるのか……)
キョン(視線を床に向け、思案しているとトイレから水の流れる音が聞こえてきた)
キョン(異常事態に5秒ほど時間がかかっちまった。和室を見ると、三人がトイレのほうをみている)
キョン(俺の横には古泉がいる)
キョン(なら、誰がトイレを使ったんだ?)
朝比奈「うぅぅ……」
ハルヒ「ちょっと、キョン。トイレ、見てよ」
キョン「わかった」
キョン(内心、かなりビビッているが、震える朝比奈さんを抱きしめるハルヒを見て、俺が怖気づくわけにもいかない)
キョン(扉を開けると風呂と便所が一体化している部屋が視界に入る)
キョン(変わったところはない。今、流したとばかりにトイレの水が僅かに動いているだけだ)
ハルヒ「だれかいたー?」
キョン「居たら怖いだろうが」
ハルヒ「そ、そうよね」
長門「……」
キョン(長門と目が合う。まだ答えを聞けそうにはない)
古泉「この場を離れて一度、情報を収集したほうがいいかもしれませんね」
キョン「長門はどうするつもりだ。あいつ、動きそうもないぞ」
古泉「では、僕だけでも外へ行きます。何か分かればご連絡いたします」
キョン(古泉を止める理由はない。この部屋で何が起こっていたのかも知りたいところだしな)
ハルヒ「ちょっと、キョン。トイレ、見てよ」
キョン「わかった」
キョン(内心、かなりビビッているが、震える朝比奈さんを抱きしめるハルヒを見て、俺が怖気づくわけにもいかない)
キョン(扉を開けると風呂と便所が一体化している部屋が視界に入る)
キョン(変わったところはない。今、流したとばかりにトイレの水が僅かに動いているだけだ)
ハルヒ「だれかいたー?」
キョン「居たら怖いだろうが」
ハルヒ「そ、そうよね」
長門「……」
キョン(長門と目が合う。まだ答えを聞けそうにはない)
古泉「この場を離れて一度、情報を収集したほうがいいかもしれませんね」
キョン「長門はどうするつもりだ。あいつ、動きそうもないぞ」
古泉「では、僕だけでも外へ行きます。何か分かればご連絡いたします」
キョン(古泉を止める理由はない。この部屋で何が起こっていたのかも知りたいところだしな)
古泉「それでは」
キョン「頼むな、古泉」
古泉「はい。涼宮さん、僕は一度この部屋のことを外で調べてみます」
ハルヒ「わ、わかったわ。気を付けてね」
朝比奈「あ、あのぉ……私たちもそとに……」
ハルヒ「そうしたいけど、有希が動かないし……」
古泉「おや……」
キョン「どうした?」
古泉「参りました」
キョン「何がだよ」
古泉「扉が開きません」
キョン「何言ってやがる?」
古泉「ドアノブは回るのですが。何者かによって外側から力を加えられているかのように扉が開かないのです」
キョン「な……」
キョン(それってよくある心霊現象じゃねえかよ!! おい!!)
キョン「頼むな、古泉」
古泉「はい。涼宮さん、僕は一度この部屋のことを外で調べてみます」
ハルヒ「わ、わかったわ。気を付けてね」
朝比奈「あ、あのぉ……私たちもそとに……」
ハルヒ「そうしたいけど、有希が動かないし……」
古泉「おや……」
キョン「どうした?」
古泉「参りました」
キョン「何がだよ」
古泉「扉が開きません」
キョン「何言ってやがる?」
古泉「ドアノブは回るのですが。何者かによって外側から力を加えられているかのように扉が開かないのです」
キョン「な……」
キョン(それってよくある心霊現象じゃねえかよ!! おい!!)
朝比奈「え……え……?」
ハルヒ「こ、古泉君……冗談、でしょ……」
古泉「……」
ハルヒ「嘘よね? キョ、キョン!! 古泉君と一緒にドアを破壊して!!」
キョン(不法侵入しておいて器物破損か。相当な不良グループだな。が、そうも言ってられん。壊した後は長門になんとかしてもらうか)
キョン「古泉、蹴破るぞ」
古泉「やってみましょう」
キョン「せーの!」
キョン(タイミングを合わせて渾身の蹴りを安っぽいドアに叩き付けるも傷一つ付きやがらない。どうなってやがる)
古泉「体当たりでどうにかしましょう」
キョン「お、おう」
キョン(何度も男二人の全体重をぶつけてみるが、扉が壊れることはなかった)
長門「……」
キョン(長門、そろそろヒントのひとつぐらいは出してくれないか。俺だってこの状況で冷静でいられるほど強くはないぞ)
朝比奈「わ、たしたち、どうなっちゃうんですか……ここで……うぅ……こわい……」
ハルヒ「こ、古泉君……冗談、でしょ……」
古泉「……」
ハルヒ「嘘よね? キョ、キョン!! 古泉君と一緒にドアを破壊して!!」
キョン(不法侵入しておいて器物破損か。相当な不良グループだな。が、そうも言ってられん。壊した後は長門になんとかしてもらうか)
キョン「古泉、蹴破るぞ」
古泉「やってみましょう」
キョン「せーの!」
キョン(タイミングを合わせて渾身の蹴りを安っぽいドアに叩き付けるも傷一つ付きやがらない。どうなってやがる)
古泉「体当たりでどうにかしましょう」
キョン「お、おう」
キョン(何度も男二人の全体重をぶつけてみるが、扉が壊れることはなかった)
長門「……」
キョン(長門、そろそろヒントのひとつぐらいは出してくれないか。俺だってこの状況で冷静でいられるほど強くはないぞ)
朝比奈「わ、たしたち、どうなっちゃうんですか……ここで……うぅ……こわい……」
ハルヒシリーズの設定はいいな読んでいて引き込まれる
原作者はなんで続編を書けないのか
原作者はなんで続編を書けないのか
>>40
素人にネタバレ長編書かれて筆を折らない作家がいるなら連れてきてほしい
素人にネタバレ長編書かれて筆を折らない作家がいるなら連れてきてほしい
風呂敷畳めなくなったのが原因なら起承転結くらい考えから長編書けよと原作者にいいたい。
ハルヒシリーズは元々憂鬱で完結してる
最後ハルヒに全部教えてるしな
最後ハルヒに全部教えてるしな
>>48
後日談長すぎて草
後日談長すぎて草
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