私的良スレ書庫
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元スレ吹雪「新しい司令官? はぁそうですか・・・」
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摩耶「と、ゆーわけで」
夜になって……準備も整い、皆が席に着いてそう切り出したのは、摩耶さんでした。
メインはカレーだけど、こんな色とりどりの料理が食卓に並んだのはこの鎮守府では初めて見る光景です。
それはきっとみんなも同じでしょう。
山城「……」
五十鈴「……」
曙「……」
吹雪「……」
お酒の入ったグラスを持ち、音頭を待ちますが。
摩耶「んっんっ」
見かねた摩耶さんが、顎をくいくいして促します。
提督「ん? 私か?」
摩耶「そうだよ。冷めちまうだろ、早くしろ」
提督「ああ……みんな聞いてくれ。今回の作戦は――」
曙「それだらだら続けるつもりなら、このグラスのビールぶっかけるからね」
五十鈴「気の利いた言葉で短くお願いね」
神妙な顔で口を開いた司令官に、曙ちゃんと五十鈴さんが釘を刺しました。
提督「皆の勝利を祝して、乾杯」
かんぱーいと、みんなでグラスを合わせます。もちろんクラッカーも使われました。
質素だけれど、華やかな祝賀会。それでも私たちにとっては十分過ぎるほど豪華でした。
山城「私は……私はお姉さまにも……このカレーを食べさせてあげたかった……」
曙「げぇ、あんた泣いてんの?」
摩耶「こいつ飲むと泣くんだよなあ」
私も……気分が高揚するのは久しぶりです。いつもは食事を楽しむ余裕も、こうして談笑するゆとりもありませんでした。
娯楽というのは素晴らしいものだと……そんな当たり前のことを、この日私たちは改めて実感したのです。
でも、司令官が居たのは最初のほうだけでした。
摩耶「おい提督、どこ行くんだよ?」
提督「私の役割を果たしに行く」
曙「はぁ? あんたまさか、これから仕事しに行くんじゃないでしょうね?」
提督「ずっと出ずっぱりだったからな。ここでやらないといけないことがまだ残っている」
五十鈴「明日にすればいいじゃない。今回の作戦、新聞にも載ってたわよ。どこもお祝いムードで、お偉さん方も仕事なんかしちゃいないわよ」
提督「だからこそ他と差を見せるんだ。お前たちの働きをきちんと報告しないと。
心配せずとも、しっかり上から金を搾り取ってやる。今回お前たちは、命がけで本当によくやってくれた。だからここからは私の戦いだ」
皆の視線が司令官に集まりました。それを居心地悪く思ったのか
提督「ただ……この酒は貰っていこうか」
弁明するようにそう言って、司令官は普通のお酒を一本持って食堂を後にしました。
翌朝、私は早くに目が覚めました。昨晩みんなから酒攻めに合い、早々に酔いつぶれたためです。
勝利の余韻も、娯楽の享受もどこへやら……頭痛というものは本当に度し難いものです。
外に出て新鮮な空気吸っていると、執務室の窓からちかちかと明かりが漏れているのに気がついて……私は執務室へ足を向けていました。
吹雪「司令官、居ますか?」
返事はありません。失礼しますと断りを入れてから私は中に入りました。
執務屋は前に来た時よりも片付いていました。空いていた穴も提督が補修したのでしょう。電球は相変わらずでしたけど……
司令官は机に突っ伏していました。仕事の途中で眠ってしまったんでしょうか。傍らには書きかけの報告書と山積みの書類……そして完食したカレーのお皿と、酒瓶がありました。
吹雪「……」
きっと司令官も楽しんだのだと思います。
私たちが色とりどりの料理に舌鼓を打ち、暴れまわった一方で……彼はひとりこの質素な部屋で、ちかちか点滅する電球のもと祝杯を挙げたんでしょう。
そして私は今更気が付いたのです。
昨日、司令官が仕事が残ってると言ったのは嘘ではないと思います。けどあんなに早く立ち去ったのは、上司が居てはやりにくいだろうという彼の配慮だということに。
司令官の寝顔を見ます。死んだように眠るその横顔は心なしかうれしそうに見えましたが、その目元には濃い隈と、隠し切れない疲労が残っています。
あれからずっと働き詰めで、本当は祝賀会を開く余裕も無かったのかもしれません。
私は……ようやくこの司令官という人がどういう人なのか、分かってきたような気がしました。
なんか所々にいるけど提督を褒める為に他を扱き下ろすのは何か違くね?
>>64
すまんな、ちょっと過剰反応だったわ
すまんな、ちょっと過剰反応だったわ
>>66
愛とは相手を信じ、待ち、許してやる事なんだなぁ(スクールウォーズ並感)
愛とは相手を信じ、待ち、許してやる事なんだなぁ(スクールウォーズ並感)
西方泊地奪還作戦からしばらく経ち……その貢献が評価され、私たちの鎮守府には予算が下りてきました。
言葉通り軍からもぎ取ったものを、司令官は有効に使ってくれました。
まずは私たちの旧式装備の一新と予備弾薬の補充。私たちの装備は骨董品から一気に最新鋭の装備へ……とはいかなかったけれど。
少なくとも、他の鎮守府に比べて見劣りする装備ではなくなりました。そして壊れかけていた修理ドックも補修され、劣悪だった食料事情も多少は改善されたのです。
出来れば使われていなかった工廠を再び開きたいとも、新しい艦娘を配備したいとも言っていましたが、流石にそこまで予算は回らなかったそうです。
そして私たちも個別に報償を受け取ることになりました。
ということで、最近の私たちの話の種といえば、もっぱら貰った報酬をどう扱うかについてでしたが……
五十鈴「正直持て余すわね」
山城「ですよね……」
喜びよりも困惑のほうが大きいというのが本音でした。
私たちはいつも生きることにいっぱいいっぱいで、急に懐に入った自由に戸惑っていました。
曙「吹雪はどうすんの? もう何に使うか決めた?」
吹雪「まだ。無難に貯金でもしようかな……」
摩耶「貯金って……こんな場所で、あたしたちはいつ死ぬかもわからないんだ。いくら懐に金抱えたってあの世には持っていけないぜ?」
吹雪「……そうですよね」
摩耶さんの言う通りでした。
前回の作戦もぎりぎりで、援軍の到着が少しでも遅れていたら私たちは今頃海に沈んでいたかもしれません。
それにこの鎮守府に来てから、私は何人もの沈んでいく同僚たちを目にしてきました。貯め込んだところで、先はないのかもしれません。
ならば、刹那的にぱぱっと使ってしまったほうがいいのかもしれませんが……
吹雪「料理……」
曙「ん?」
吹雪「私、前はよくお菓子作りしてたんだ。もう一度やってみようかな……」
五十鈴「ああ……打ち上げの時、吹雪料理の手際よかったわよね」
摩耶「いいじゃねえか。味見ならあたしに任せな」
山城「あなただと味見じゃ済まなそうね」
摩耶「へへっ残念でした。こう見えてもあたしだってお菓子の一つや二つくらい作れるんだぜ」
五十鈴「はいはい嘘嘘」
お昼休憩中……そんな話をしていると、窓越しに司令官の姿を見かけました。
吹雪「あ、司令官……」
皆も司令官のほうを見て……山城さんが口を開きました。
山城「あの方向は……出撃ドックね。遂に提督も出撃する時代になったのね」
五十鈴「艦娘ならぬ艦息ってところね。……これ、字面じゃないとわからないわね」
曙「はんっ。クソ提督が出撃するっていうなら、真っ先に先頭に立たせて背中を撃ってやるわよ」
摩耶「あー駄目だな曙。甘い甘い。あたしなら弾除けに使うね」
なんて、いつものように皆で軽口を叩きますけど……
摩耶「ん……」
曙「……」
五十鈴「……」
山城「……」
不思議な沈黙が流れました。
皆、この時間に司令官が何をするのか知ってるのです。
それは彼がここに来た当初からずっと続けてきたことで、私たちもその姿をからかい続けてきました。
私は……思い切って口を開きました。
吹雪「そんなに悪い司令官じゃないって……思うんです」
摩耶「……まあ、今までの屑共に比べれば……な」
吹雪「司令官、いつも掃除してるじゃないですか。それ……手伝ってあげませんか?」
曙「はぁ? なんであたしたちが家政婦の真似事なんてしないといけないのよ。あたしたちは艦娘で、戦うことが仕事なのよ。掃除をすることじゃないわ」
曙ちゃんの言うことはもっともだけれど……
五十鈴さんが窓の外を眺めながら、ぼんやりと言いました。
五十鈴「でも掃除だって、提督の仕事じゃないのよね……」
山城「私たち、前と比べて今はちょっとだけならゆとりあるけど……」
予想通り、司令官は出撃ドックに居ました。
袖をまくり汗を流しながら、黙々とデッキブラシで床をシャコシャコと磨いています。
集中しているからでしょうか、近づいても私たちの姿には気がつきません。
その様子を見た曙ちゃんはイライラした足取りで司令官に向かっていき、その手からブラシを奪いました。
提督「ん? お前ら……」
曙「言っておくけど、今回だけだからね!」
吹雪「手伝います司令官」
私たちの姿を見た司令官は、しばらく放心した様子を見せましたが。
摩耶さんが続けました。
摩耶「だから、あたしたちもやってやるって言ってるんだよ。ここはあたしたちがいつも使ってるんだ。好き勝手いじられたら不安だろ?」
五十鈴「ま、ちょうど良い腹ごなしの運動にはなるかもね」
山城「うえ……ここ……蒸し暑いわ……」
提督「いや、待ってくれ」
曙「はぁ? 何? 文句でもつけようっての!?」
提督「そうじゃない。役割分担をしよう。数日跨ぐつもりだったけど、この人数ならすぐに終わる」
普段あまり目に留めていなかったけど、ドックはかなり汚れていたようです。
熱い汚い最悪だの……あーだこーだと軽口を叩きながら、ふと五十鈴さんが司令官に尋ねました。
五十鈴「ねえ提督……あなた、どうして掃除なんてやりだしたの?」
山城「もしかして、私たちの印象を良くしたかったり?」
それは私も気になっていたことです。
確か司令官が掃除をする姿を見かけるようになったのは、初めて世間話をした頃ぐらいだったでしょうか?
提督「どうしても何も、どうせ長く居るなら綺麗なほうが良いだろう」
司令官はあっけらかんとそう言って、再びシャコシャコと床を磨きだしました。
私たちはぽかんと顔を見合わせて……摩耶さんが苦い笑みを浮かべました。
摩耶「ここにいる全員、あんたが長く居るとは思ってなかったよ」
ひと段落ついて、出撃ドックは前と比べて見違えるほど綺麗になりました。
摩耶「でも、なんつーか……こざっぱりするほど、ここのしょぼさが浮き彫りになるな……」
曙「いっそ掃除しないほうが良かったかもね」
流石にそこまでは言いませんけど……それでも、私も摩耶さんと同じ感想を抱いたのは確かです。
改めて自分がこの辺境の寂れた鎮守府にいることを再確認したようなものです。
提督「いや、良いドックだ」
感慨深げに言う司令官に、摩耶さんは疲れたように言いました。
摩耶「ハッ……あのなぁ提督。ここが良いドックだって言うなら、あんた他のところに行ったら腰抜かしちまうぞ……?」
提督「摩耶は……他の鎮守府のドックを見たことがあるのか?」
摩耶「ああ、あるよ……ここにいる奴らはみんなあるさ。他の鎮守府から飛ばされた連中だからな。でも、どこもかしこも……この鎮守府に比べたら天国に見えるぜ。
ここは何から何まで、すべてが最低だよ。ごみ溜めみたいなもんさ……もちろん、あたしたちも含めてな」
自嘲籠めて言いますが、私たちは反論しません。
事実、ここはそういう場所なのです。命令無視や敵前逃亡をした問題児、他にもいろいろな不祥事を抱えた艦娘や、司令官に不要と判断された艦娘がここに飛ばされます。
そんな艦娘にふさわしい環境が、ここには整っているのです。
司令官はかぶりを振るいました。
提督「でも、今は違う」
摩耶「あん?」
提督「今違う……私たちが皆で磨いた。ここは良いドックだ。きっともっと良くなる……日本一にだってなれる」
出撃ドックから覗く海を眺めながら、彼はつぶやくように言いました。
私たちはしばし言葉を詰まらせて……
曙「はっ……」
曙ちゃんが司令官の言葉を笑い飛ばしました。
曙「あっはは、ばっかじゃないの!? 日本一? あんたこのみすぼらしい出撃ドックを見た感想がそれっ!?」
五十鈴「まあ……下から数えれば一番なのは固いわよね……ほぼ間違いなく」
山城「提督も冗談を言うのね……知らなかったわ」
摩耶「ま、つまらない世間話よりは、こういう冗談のほうがまだ良いかもな」
提督「私は本気だ」
その顔があまりにも大真面目だったので、私も少し笑ってしまいました。
皆、司令官が本気で言っていたのは分かっていたでしょう。
彼はまだ新米で、希望を持ち甘い夢を見る事が出来る。それはかつて私たちが持ち、今は捨ててしまったもの……
こんな場所で持つ希望は毒でしかありません。それがたとえ他人のものであっても。でも……不思議と悪い気はしなかったのです。
その頃にはもう……司令官を家政婦と揶揄する人は居なくなっていました。
将来有望そうな将官を真っ先にリストラする無能大本営
実際の戦争でもありそうだから困る
実際の戦争でもありそうだから困る
それから私たちはゆっくりと、それでも確実に戦果を挙げていきました。
元より練度は低くなかったのです。
何度も司令官の頭が変わっては無茶な命令に身を投じ、時には仲間の死を見つめながら……希望を捨て、夢を忘れてなお生き残ったのが私たちです。
十分な装備と設備があれば今まで以上の活躍ができるのは当然でした。
加えて、かつては深海棲艦と同じくらい脅威で疎ましかった存在がまったく別のものになりました。
今回来た司令官は新米だったけれど、彼は実戦に出るや否やめきめきと力を伸ばして……奪還作戦以降は自信を付けたのか更に実力をつけていきました。
今では旗艦の摩耶さんも普通に助力を求めます。曙ちゃんは相変わらずクソ提督と呼ぶけれど、もう無能呼ばわりすることはありません。
噛み合って居なかった歯車が噛み合うように……私たちは着実に前に進んでいったのです。
なので、疑問は当然でした。
摩耶「提督、なにやったと思う?」
曙「セクハラ」
山城「横領」
五十鈴「命令無視」
一言でいえば司令官は優秀でした。この鎮守府に似つかわしくないくらいに。
なぜ司令官がここに来ることになったのか……それは当然の疑問で、私たちの関心事でした。
五十鈴「あれ? でも提督って新人よね。となると いままでとはケースが違うのかしら?」
摩耶「まあまあ、とにかく賭けようぜ。前回は無効試合だったけど、今回は外さねえ」
曙「ははん、いいじゃない。望むところよ」
吹雪「私、前に司令官に聞いたことあります」
摩耶「お、ほんとか?」
吹雪「はい……なんでこんなところに飛ばされたんですか? って」
五十鈴「提督は何て?」
吹雪「自分は飛ばされたとは思ってないって、その時は……」
摩耶「なんだ。いつものやつじゃねえかよ」
山城「てことは、なんかやらかしたってことよね……まさか望んでここには来ないだろうし」
私たちは司令官の経緯について好き放題言い合いましたが……
それから数日間、任務が立て続けに舞い込んできて尋ねる機会を逃しました。
摩耶「んー、今回の遠征も楽勝だったなー」
五十鈴「やっぱ装備って大事よね。私、ほんと思い知らされたわ」
曙「むしろあんなポンコツ背負って今までよくやってこれたって話じゃない? やっぱ実力よねー」
山城「入渠施設も治って怪我を押したまま出撃することもないし……でもこれが普通なのよね……」
吹雪「私はおいしいご飯が食べられるのが一番うれしいです」
一連の任務を無事消化し、ちょうど修復も終えた私たちは食堂に向かっていました。
その途中……
摩耶「さてこれから昼飯だけど、作戦報告がてら提督も誘ってやるか」
吹雪「そうですね。いいよね、曙ちゃん?」
曙「吹雪……なんであたしに聴くわけ? 勝手にすればいいじゃない」
摩耶「お~い! 提督~!」
と、摩耶さんは外から二階にある執務室の窓に向かって大声をあげました。
しばらくして、司令官が慌てた様子で窓をあけて外を見まわし……私たちを見つけました。
私はふりふりと手を振っておきました。
提督「お前たち、戻ってたのか!」
摩耶「昼にしよーぜ、提督!」
すぐ行くと告げて、司令官は姿を消しました。
摩耶さんも大胆というか……こんなことが許される鎮守府は他にあるのでしょうか。
しばらくして姿を見せた提督は、なぜか埃をかぶっていました。
曙「あんた、どうしたの?」
提督「……こけた」
曙「うわー……だっさ」
山城「足……くじいた?」
五十鈴「なにー提督、そんなに五十鈴たちに会いたかったの?」
提督「そんなところだ」
摩耶「あはは、素直でいいじゃねーか。ほら、肩に掴まれよ」
提督「大丈夫だ。それより迎えに行けなくてすまなかったな。つい忙殺されてしまって……」
摩耶「いいっての。そもそも作戦終了報告も帰投する旨も通信で伝えてたんだし、必要ないだろ」
提督「まあ、そうなんだがな……ともあれ、任務ご苦労だった。大事なくてなによりだ。子細な報告はあとで頼む」
西方泊地奪還作戦以降、司令官は必ず私たちを迎えに港に来ていました。
あの作戦でボロボロになった私たちの姿がショックだったのかもしれません。でもまあ、私たちもそこまでやわじゃありませんから……
一瞬、ふらりとよろめいた司令官に気が付いて、私は尋ねました。
吹雪「あの司令官、大丈夫ですか?」
提督「ありがとう吹雪、平気だ」
吹雪「そうじゃなくて……疲れてません?」
提督「それはお互い様だ。昼を食べれば活力も湧くさ」
今思えば……私はもっと追及すべきだったのです。
そうして昼食を食べ終えた私たちは、ゆっくりとした時間を満喫していて……
提督が穏やかな口調で言いました。
提督「いい報告があるんだ」
摩耶「なんだ?」
提督「ここ最近、お前たちにはがんばって貰っていただろう。おかげで資材と資金も溜まって工廠を開くことができそうだ」
五十鈴「ほんと?」
提督「ああ。工事の目途もついて、近日中には使えるようになるはずだ。
今回は建造ドックには手を付けないが、これで装備開発や弾薬はわざわざ上に頼らなくて済むようになって、資材も有効に使えるようになる」
山城「へえ。提督……やるわね」
提督「お前たち働きあってのことだ。それと人員の補充についてだが……これはもう少し待ってくれないか。
今上に話を通しているんだが、思いのほかうまく進まなくてな……本当は私としては工廠より先に人員を補充したかったんだが……」
五十鈴「いいわよ、別に。いままでこの面子でやってきたんだから。それにいまこの鎮守府に新しい娘が来たって、その娘が可哀想なだけだわ。ここ、最低限の設備もないんだから」
提督「む、そうか……いや、そうだな……」
五十鈴「だから工廠を先に使えるようにしたのは正解だったんじゃないの? なんなら近代化改修もできるようにして欲しいわね」
提督「ふむ……」
五十鈴「ま、あくまで艦娘の視線での話よ。あなたが提督なんだから、好きに考えなさい」
提督「いや、ありがとう……参考になった。人員は補充は早めにしたいが……もう少し考えないとな。あとお前たちに聞きたいことがあってだな……」
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