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    元スレ女「私、今日からイケメンくんと付き合うことになったの…」

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    101 = 1 :

    ×××

    転校生「…」カキカキ

    転校生(ホントは男くん、私のことどう思ってるんだろう…)カキカキ

    転校生(嫌われてはない…よね…多分…)カキカキ

    転校生(なんかこうやってると振られたこと、忘れちゃいそう…)

    転校生(今、もう一回告白したら、今度は付き合ってくれないかなぁ…)

    転校生(なんて…そんなことないよね…)カキカキ

    転校生(でも、こんな中途半端なままじゃいられないよ…)

    転校生「男くん…」

    102 = 1 :

    ×××

    転校生(お母さん、今日は遅いな…)

    転校生(明日はテストだし、私も今日はもう寝よう…)

    ポチッ

    転校生「おやすみなさい…」

    103 = 1 :

    2組教室

    教師「では、開始」

    転校生「…」ペラッ

    転校生「…」カリカリカリ

    転校生「…」カリカリカリ

    転校生(男くんとやったところばっかだ…)カリカリカリ

    転校生「…」カリカリカリ

    転校生(これなら、男くんもちゃんとできてる…よね…)カリカリカリ

    ×××

    教師「では今日はこれで終了です。明日に備えて速やかに帰宅するように」

    104 = 1 :

    男宅

    転校生「…」カキカキ

    「…」カキカキ

    転校生「…」カキカキ

    「…」カキカキ

    転校生「…今日のテスト、どうだった?」カキカキ

    「…びっくりするくらいできた」カキカキ

    転校生「一緒にやったとこ、けっこう出てたよね」カキカキ

    「そうだな…」カキカキ

    転校生「明日もそうだといいね…」カキカキ

    「ああ…」カキカキ

    105 = 1 :

    帰り道(※)

    転校生「ねぇ、見て…」

    「ん?」

    転校生「天の川…キレイ…」

    「ああ…」

    転校生「…男くん、全然興味なさそう」

    「…いや…」

    プルルルルルルル…

    「電話だ…」ゴソゴソ

    転校生「誰から?」

    「…」

    転校生「…男くん?」

    「…いや、なんでもない」ピッ

    転校生「?」

    「いいからいこうぜ」

    106 = 1 :

    転校生宅 前

    転校生「いつもいつもありがとね…」

    「いや、俺もお前に世話になりっぱなしだからな」

    転校生「そうだね。男くん、もう私居ないと生活出来ないんじゃない?」ニヤニヤ

    「ははは。遠まわしに告白のリベンジしてる?」

    転校生「うっ…」(///)

    「悪い…意地悪だったな…」

    転校生「…」

    「…帰るわ」

    転校生「…好きだよ」

    「…」

    転校生「私、男くんが好き。男くんと女さんの間に何があったかは知らないけど、それでも好き」

    「…」

    転校生「おやすみ…また、明日ね…」

    107 = 1 :

    転校生宅

    転校生「ただいま…」

    転校生「はぁ…」

    転校生(何言ってんだろ…私…)

    転校生(振られたばっかなのに…)

    転校生「…お風呂入ろ」

    ×××

    転校生「…」カキカキ

    転校生「…」カキカキ

    転校生「…」カキ…

    転校生「…」

    転校生「男くん…」

    108 = 1 :

    学校

    教師「今日の試験はこれにて終了です。最終日の明日に備えて、しっかりと勉強しておいてください」

    ×××

    転校生(男くん、まだ教室にいるかな?)

    転校生(あ…)

    「あ…転校生さん…」

    転校生「こんにちは」

    「男くん?」

    転校生「うん…いる?」

    「うんん…今日はもう帰っちゃったみたい…」

    転校生「…そっか…ありがと…」

    「あの…」

    転校生「ん?」

    「…」

    転校生「・・・」

    「…ごめん、なんでもない…」

    転校生「…」

    「…」

    転校生「…女さんは知ってるの?男くんのこと…」

    「…」

    転校生「…そっか」

    「…夏祭りに…」

    転校生「え!?」

    「…夏祭りに…来て…男くんと…」

    転校生「…どうして?」

    「…それがきっと大事なことだと思うから…男くんにとって…」

    転校生「…」

    「ごめんね…変なこと言ったね私…帰るね…」タッタッタ…

    転校生「…」

    109 = 1 :

    男宅

    転校生「…」コンコン

    転校生「男くーん?」コンコン

    転校生(いないのかな?)ピピピ…

    ケイタイ「留守番電話サービスセンターに……」

    転校生「…」ピッ

    転校生「…」

    110 = 1 :

    ×××

    転校生「…帰ろうかな…」

    「…どうして」

    転校生「男くん!」

    「…」

    111 = 1 :

    ×××

    転校生「…」

    「…」

    転校生「…」

    「…」

    転校生「今日は勉強しないの?」

    「…」

    転校生「明日もテストあるよ?」

    「…」

    転校生「ご飯食べる?…外行こうか?」

    「…」

    転校生「…」

    「…」

    転校生「…帰った方がいいかな…私…」

    「…勉強、教えてくれないか?」

    転校生「…うん…」

    112 = 1 :

    帰り道(※)

    転校生「…」

    「…飯、一緒に食わねえか?俺出すよ」

    転校生「うん…でも、私も払うからダイジョブだよ…」

    「そっか…何食べたい?」

    転校生「なんでもいいかなぁ…男くんは食べたいものないの?」

    「…ファミレスでいいか?」

    転校生「うん…」

    113 = 1 :

    商店街 ファミレス

    転校生「いただきます」

    「…」

    転校生「…」モグモグ

    「…」

    転校生「…」モグモグ

    「…」

    転校生「…男くん?食べないの?」

    「…食欲ないんだ」

    転校生「え?」

    「なんか、食う気しない…」

    転校生「…どうしたの?また体調悪くなった?」

    「…」

    転校生「…男くん?」

    「…なんか、ダメだな…俺…」

    転校生「?何がダメなの?」

    「…ありがとな…」

    転校生「…??どうしたの?なんか変だよ?」

    「…」

    転校生「…」

    「…明日で、テスト終わりだな」

    転校生「…そうだね」

    「学校終わったら、午後どっか遊びに行かないか?」

    転校生「…私と?いいの?」

    「…ダメか?」

    転校生「うんん…私は嬉しいけど…」

    「そうか…なら行こうぜ。どこか行きたいとこあるか?」

    転校生「うーん…どうしよう…」

    「俺も考えとくから、お前も明日の昼までに何か考えといてよ」

    転校生「うん。分かった」

    「ああ…」

    転校生「びっくりしちゃった…男くんがこういうの誘ってくれるなんて…」

    「…」

    転校生「…これって、デートだよね?」

    「…」

    114 = 1 :

    転校生宅

    「じゃあ、帰るな」

    転校生「うん…ありがと…気をつけてね」

    「…」クルッ

    転校生「男くん…」

    「ん?」

    転校生「…明日、楽しみにしてるね」

    「…ああ」

    115 = 1 :

    ×××

    転校生(びっくりしちゃった…男くんがあんな風に誘ってくれるなんて…)カキカキ

    転校生(…でも私、振られたんだよね…男くんは何考えてるんだろう?)カキカキ

    転校生(嬉しいけど…私って尻軽なのかのなぁ…)カキ…

    転校生「…」

    転校生「…寝よう」

    116 = 1 :

    学校 

    教師「ではここまで。3日間お疲れ様でした」


    校門

    転校生「男くん!」

    「ああ…お疲れ」

    転校生「ごめんね…待った?」

    「別に。どこ行くか決めた?」

    転校生「うーん…とりあえず、ご飯食べに行かない?」

    「そうだな」

    117 = 1 :

    商店街 ファミレス

    「…どうすっか」

    転校生「何が?」

    「これから。せっかく時間あるんだし、久々にちょっと遠出してみたい気分なんだよな」

    転校生「…私、こうして男くんと一緒にご飯食べてるだけでも楽しいよ?」

    「…お前なぁ…そういうの言ってて恥ずかしくならんのか?」

    転校生「…恥ずかしい」

    「ならいちいち言うな。俺の方も恥ずかしいんだから…」

    転校生「…だって、わかんないんだもん…」

    「何が?」

    転校生「男くん、私のこと振っておいて、デート誘ってくるし…前より優しいし…」

    「…」

    転校生「…ねえ、ホントは私のことどう思ってるの?」

    「…嫌だったか?」

    転校生「嫌な訳ない。嬉しいよ。…でも、わからないから知りたい。男くんが思ってること」

    「…」

    転校生「…」

    「…」

    転校生「私、行きたいところあるよ」

    118 = 1 :

    夏祭り 会場

    「…どうして」

    転校生「…」

    「帰る」スタスタスタ

    転校生「待って!」

    「…お前、何考えてんだ?知ってたのか?」

    転校生「…知らないよ。何にも知らない。ただ、女さんが連れてきてって…お祭りは明日だけど…」

    「…あの女か」

    転校生「怒ったなら、ごめんなさい。でも、男くんのこと知りたい。どうしてここに連れてくるのが大事なのかも男くんが嫌がる理由も…私、本当に何にも知らないから」

    「…」

    転校生「…男くんが…どうして女さんを気にするのかも…」

    「…やっぱ帰るわ」スタスタスタ

    転校生「男くんっ!!」

    「…」スタスタスタ

    転校生「男くん!!私、明日もここに居るから!!男くんのこと待ってるから!!」

    「…」スタスタスタ

    転校生「きてね!!ゼッタイにきてね!!待ってるから!!」

    「…」スタスタスタ

    転校生「…うぅっ」ジワッ

    119 = 1 :

    ×××

    転校生「…」グズッ

    転校生(…帰ろう)

    転校生(嫌われちゃったよね…きっと…)トボトボ

    転校生「…ん?」

    転校生(…お財布だ)キョロキョロ

    転校生「…あ」

    転校生「すみません」

    A「はい?」

    転校生「あの…財布、落としませんでしたか?」

    B「ああ…私のだわ。ありがとうございます」

    転校生「あ…いえ…」

    B「…その制服…」

    転校生「…はい?」

    B「家の子と同じ高校の制服だわ…」

    A「…そうか?」

    B「間違いないわよ。校章もほら…同じじゃない」

    A「…よく分からんな。そうだったけか」

    B「そうよ。もう、昨日見たじゃない」

    A「そうだったかなぁ…」

    転校生「…あの」

    B「ああ、ごめんなさいね。うちの子、男の子なんだけど、あなたと同じ高校なのよ。2年生の男っていうんだけど、知らない?」

    A「おい…」

    B「あら、いいじゃないの別に」

    転校生「え…男くん…の?」

    B「…知ってるの?男のこと」

    転校生「はい…あの、男くんのお父さんとお母さんですか?」

    「ええ、そうよ。男の…お友達かしら?」

    転校生「あ…はい…」

    「あらびっくり。女ちゃん以外で女の子の友達がいたなんて…しかも可愛い子よ。ねえ?」

    「…男が今どこにいるか知らないか?」

    転校生「…え?」

    「実は今日、会う約束をしてたのよね…あ、私たちが別々に暮らしてるのは知ってる?」

    転校生「はい…」

    「それなのに、男ったら電話にも出ないし、部屋にも居ないもんだから困ちゃって…」

    転校生「そうだったんですか…」

    「それでもしかしたら、ここに来てるんじゃないかと思って…」

    転校生「あの…」

    「どうしたの?」

    転校生「教えてくれませんか?男くんのこと…」

    120 = 1 :

    転校生宅

    転校生「…ただいま」

    転校生母「おかえり」

    転校生「お母さん…今日は早いんだね」

    転校生母「うん、夜の方の仕事はお休みだったの」

    転校生「そっか…ご飯作ってるの?」

    転校生母「ええ」

    転校生「手伝うよ…」

    121 = 1 :

    ×××

    転校生母「いただきます」

    転校生「いただきます…」

    転校生母「そういえば、今日でテスト終わりよね?どうだった?」

    転校生「うん…いつもどおりだよ…」

    転校生母「そう?最近ずっと男くんと一緒だったみたいだから少し心配だったんだけど…」

    転校生「…ずっと一緒に勉強してたもん」

    転校生母「ならいいんだけど…」

    転校生「…」モグモグ

    転校生母「…」モグモグ

    転校生母「…どうかしたの?」

    転校生「うん…」

    転校生母「男くん?」

    転校生「…さっきね」

    転校生母「うん」

    転校生「会ったんだ。男くんのお父さんとお母さんに…」

    転校生母「あら…離れて暮らしてるっていう?」

    転校生「うん…この時期になると帰ってくるんだって…」

    転校生母「そうなの…」

    転校生「…ねえ、お母さん」

    転校生母「何?」

    転校生「もし、男くんの為になることが男くんに嫌われるかもしれないようなことだったとしたら、私はどうしたらいいと思う?」

    転校生母「…」

    転校生「…それでも、私は男くんの為になることをするべきかな?」

    転校生母「…あんたは、男くんが好きなのよね?」

    転校生「うん…」

    転校生母「…私には、男くんがどういう事情を抱えてるか分からないけどそれでもやっぱり、一人はさみしいと思うな」

    転校生「どういうこと?」

    転校生母「何にも知らない私が言えることなんてこれくらいしかないってこと。後は一番悩んだ人が答えを出しなさい」

    転校生「…」

    転校生母「あなたが本当に男くんの為を思ってしたことなら、いつか必ずそれを分かってくれるわよ」

    転校生「…そうかな」

    転校生母「いつになるかは分からないけどね」

    転校生「…」

    転校生母「…また家に呼びなさい」

    転校生「うん…」

    122 = 1 :

    学校

    「…おはよう」

    転校生「おはよう…」

    「…男くんはどう?」

    転校生「夏祭りのこと?」

    「うん…」

    転校生「…昨日ね、会ったんだ。男くんのお父さんとお母さんに」

    「そっか…聞いたの?」

    転校生「うん…」

    「…」

    転校生「ごめんなさい、女さん…私勘違いして八つ当たりみたいなことしちゃって」

    「私は別に…」

    転校生「このこと、お兄ちゃんは知ってるの?」

    「うんん…だから、イケメンくんのこと不安にしちゃってると思う…」

    転校生「…話さないの?」

    「今日、全部話すって約束してるの。男くんが来ようと来まいと…」

    転校生「そっか…」

    「うん…」

    転校生「…いままで、話さなかったのは男くんのため?」

    「…自分ではそのつもりだったんだけど、本当は嫌だったんだと思う」

    転校生「お兄ちゃんに嫌われることが?」

    「じゃなくて、自分が薄情者だと思われることが…」

    転校生「…」

    「…転校生さんはどう思う?私のこと」

    転校生「…わかんない」

    「そっか…」

    転校生「でも、お兄ちゃんは凄い女さんに支えられてるって言ってたよ」

    「そっか…」

    転校生「…私は今日、男くんを連れていくよ」

    「…」

    転校生「女さんにお願いしたいことがあるの」

    123 = 1 :

    体育館

    校長「以上にて終業式を閉幕します」

    ×××

    イケメン「…男、今日は休みなのか?」

    転校生「みたいだね…」

    イケメン「お前も何も聞いてないの?」

    転校生「うん…」

    イケメン「そっか…」

    転校生「お兄ちゃん」

    イケメン「だからお前、その呼び方は…」

    転校生「女さんのこと、ちゃんと支えてあげてね」

    イケメン「はあ?」

    124 = 1 :

    夏祭り 会場

    人々「ワイワイガヤガヤ」

    転校生「…」

    125 = 1 :


    ×××

    人々「ワイワイガヤガヤ」

    転校生「…」

    ×××

    人々「ワイワイガヤガヤ」

    転校生「…」

    ×××

    人々「ワイワイ…」

    転校生「…」

    ×××

    転校生「…」

    転校生「男くん…」

    126 = 1 :

    ×××

    転校生「…」

    「お前…」

    転校生「…」

    「そこまでして…俺をここに呼びたかったのかよ…」

    転校生「…夏祭り、終わちゃったね」

    「…」

    転校生「遅いよ…男くん」

    「…」

    転校生「場所、変えようか…」

    127 = 1 :

    ×××
    ×××


    -10年前-
    夏祭り

    幼女「はやくしないとなくなっちゃうよー」

    「女ちゃん、もっとゆっくり行こうよ。ゆかただから走ると危ないよ」

    幼女「だってはやくいかないとなくなっちゃうもん…」

    「危ないから、手つなごうよ。幼ちゃん」

    幼女「うん!」

    128 = 1 :

    幼女「すごーい!いっぱーい!」

    「何からするの?」

    幼女「わたあめ食べたい!」

    「だったら、あそこにあるよ」

    幼女「ホントだー!食べたい!」

    「じゃあ、行こうか」

    幼女「うん!…あ…」

    「どうしたの?」

    幼女「りんごあめ…美味しそう…」

    「買うの?」

    幼女「うん!」

    129 = 1 :

    幼女「ねぇ、むこうに射的があるよ!わたしあれやりたい!」

    「女ちゃんに出来る?あのピストルけっこう重たいよ?」

    幼女「うーっ…出来るもん…」

    「何か欲しい景品あるの?」

    幼女「えーっとね…あ!あれほしい!!あのキラキラしたゆびわ!」

    「じゃあ、やってみる?僕が教えてあげるよ」

    幼女「うんっ!!」

    「すいませーん」

    店員「はいらっしゃい」

    幼女「一回おねがいします」

    店員「お嬢ちゃんやるのかい?重たいけどダイジョブかな?」

    幼女「ダイジョブです!」

    店員「はいよ。じゃあ、3発で300円ね」

    幼女「はい」チャリーン

    店員「はい、気をつけてね」

    幼女「…あのゆびわをねらうの?ちっちゃいよ…」

    「その下の台をねらうんだよ。上の方に当たればたおせるよ」

    幼女「わかった!」

    「まず、このレバーをカチッっていうまで引くんだよ」

    幼女「んーっ…んーっ…かたくてできないよぉ…」

    「貸して?」

    幼女「はい…」

    「こうやって、お腹に力を入れて、グッってやると…」カチッ

    幼女「ホントだー!男弟くんすごい!力持ち!!」

    「次に、弾をココに入れて…」

    幼女「あっ!わたしやる!」

    「じゃあ、ぎゅーって押し込んで…」

    幼女「ぎゅーっ!!」

    「そうそう。そしたら、右手で引き金のところをもって…」

    幼女「こう?」

    「うん。次に、前の部分を左手で持つんだよ…で、目の高さまでピストルを上げてごらん…」

    幼女「んっ…重い…」

    「それで、ピストルの上のくぼんでるところから的をのぞくんだ。そうすると上手くねらえるよ!」

    幼女「うん!」

    「女ちゃん、頑張って!」

    幼女「…」スパーンッ

    スカッ

    幼女「…」スパーンッ

    スカッ

    130 = 1 :

    幼女「…」スパーンッ

    スカッ

    幼女「…全然当たらない…」

    「ピストルが重いから、ずれちゃうんだよね…」

    幼女「もう一回…あ…」

    「どうしたの?」

    幼女「…もうお金ないよ…」

    「女ちゃん、食べてばっかりだったからだよ」

    幼女「うぅー…ほしい…」

    「すいません…」

    店員「はいよ」

    「もう一回お願いします」チャリーンッ

    店員「はいよ」

    「…」スパーンッ

    カツッ

    幼女「あっ!…」

    「うーん…当たったんだけどなぁ…」

    「でも、多分、あと二発当てればとれるよ…」

    幼女「…男弟くん…今、ゆびわねらって…」

    「うん…ぼくももうお金ないから、取れなかったらごめんね?」

    幼女「いいの?」

    「うん!」

    131 = 1 :

    幼女「あーっ!」

    「落ちた」

    幼女「やったー!!すごい!!じょうずだね!」

    「はい、やったよ!幼ちゃん!!」

    幼女「うん!ありがとう!大切にするね!!」

    「本当は幼ちゃんが自分で取れれば良かったんだけどね…」

    幼女「ううん、うれしい!ゆびわもらったからわたしのことお嫁さんにしてくれるんだよね!」

    「えっ…」

    「…」(///)

    幼女「お母さんが言ってたもん!おとこの人からゆびわもらったら、その人と結婚するんだって」

    「それは…」

    幼女「ちがうの?」

    「…そうだよ!」

    「男弟…」

    「幼ちゃんは…僕と結婚してくれる?」

    幼女「うんっ!やくそく!おとなになったらわたしのこと、ぜったいにお嫁さんにしてね!」

    132 :

    男弟?

    133 = 1 :

    -7年前-

    クラスメイト「あー!また男弟と女が手繋いでるぜー!」

    クラスメイト「ひゅーひゅー!アツアツだねー!!」

    クラスメイト「もうチューしたのかよ!?」

    「…」(///)

    幼女「…」(///)

    クラスメイト「おい、どうなんだよ!」

    「…してないよ…そんなの…」

    クラスメイト「ホントかよ!?」

    クラスメイト「嘘じゃねえの?」

    幼女「行こ…男弟くん…」

    「ホントだよ!!」

    クラスメイト「ムキになるのが怪しくねー?」

    クラスメイト「なー。怪しいよなー」

    「…おい、いい加減にしろよお前ら」

    クラスメイト「…っち…いこうぜ」

    「ありがと…兄ちゃん」

    「お前らも、学校ではあんまりそういうことするなよな」

    幼女「どうして?」

    「クラスの奴らにバカにされてんじゃねえかよ。いいのかよそれでも」

    幼女「…だって、男弟くんと一緒にいたいもん…」

    「幼ちゃん…」

    「…俺まで一緒にバカにされるんだぜ」

    幼女「…」

    「…」

    「…別にいいんだけどさ」

    「ごめん…」

    「お前らは辛くないのかよ…」

    134 = 1 :

    -5年前- 夏祭り

    「なあ…」

    「何?兄ちゃん」

    「今日の夏祭りは女と二人で行ってこいよ」

    「…どうして?」

    「どうしてって…俺はいない方がいいだろ。邪魔になるし」

    「でも…」

    「俺のことは気にしなくていいんだよ。お前らが楽しめればいいんだ…」

    「兄ちゃん…」

    幼女「男弟くん!男くん!迎えにきたよ!はやく行こう!!」

    「幼馴染…」

    「女…ごめん、今日は俺、学校の友達と行く約束なんだ。だから男弟と二人で行ってくれ…」

    幼女「えっ…そうなの?」

    「ああ…」

    幼女「そっか…じゃあ仕方ないね。行こ。男弟くん!」

    「うん…」

    135 = 1 :

    ×××

    幼女「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!男弟くーん!!!」ボロボロ

    「男弟!!男弟!!しっかりして!!目を覚まして!!」

    「男弟…」

    「…」

    ×××

    医師「ええ…トラックに撥ねられて…即死ですね」

    「そんな…」

    医師「苦しまずに逝けた分…まだ…」

    「うぅっ…男弟ぉ…」ボロボロ

    医師「現場に居合わせた女さんの方も、精神的にかなりのショックを負っています。ご家族の方はしっかりと支えてあげてください…」

    「はい…」

    「…」

    136 = 1 :

    ×××

    「あら、男くん…今日も来てくれたの?」

    「はい…あの、女ちゃんは…」

    「ごめんなさいね…まだ、男くんとは会えないみたい…」

    「無理もないですよね…」

    「…男くんは偉いわね…」

    「どうしてです?」

    「男弟くんが亡くなって…辛いのはあなたも同じはずなのに…」

    「…」


    ×××

    「いらっしゃい、男くん…上がって」

    「…お邪魔します」

    「女ー!!男くん、今日も来てくれたわよー!」

    「…」

    「…ごめんなさい、まだダメみたい」

    「いえ…」

    「晩ご飯、食べてく?」

    「…いえ、お構いなく…」

    「遠慮しないでいいのよ。…あ、冷蔵庫空っぽだわ…何か買ってくるから、ちょっと待ってて」

    「…」

    「…幼馴染?いる?」

    「…」

    「入ってもいいかな?」

    「…入ってこないで」

    「幼馴染…」

    「…その呼び方やめてっ!男弟くんでもないくせにっ!!」

    「…」

    「…どうして?」ガチャッ

    「やめてっ!入ってこないでっ!!」

    「…俺じゃダメかな?」

    「えっ…」

    「俺が、男弟の代わりになるよ…」

    137 = 1 :

    -3年前-

    「ねえ…」

    「…何?」

    「…もう、大丈夫だよ」

    「何が?」

    「…男弟くんの振りをしなくても、もう大丈夫」

    「幼馴染…」

    「…その呼び方も、男くんは一度もしたことなかったよね」

    「…」

    「長い間、無理させちゃってごめんね…男くん…」

    「…」

    「…でもね、もう私は大丈夫だよ」

    「そっか…」

    「…うん…本当にありがとう。私を支えてくれて…」

    「…」

    「男くんがいなかったら、私、きっと立ち直れなかった」

    「…」

    「感謝してもしきれないくらい…」

    「…」

    「…だから、これからはもう男弟くんを演じなくていいよ。普通の男くんに戻って?」

    「…」

    「…私は男くんに居て欲しいの。男弟くんじゃない、男くんに…」


    ×××

    「…だから、お前が高校に上がるのと同時に引っ越そうと思うんだ」

    「ね、男…分かってくれるわよね?」

    「…」

    「父さんたちはお前のためを考えて言ってるんだ…」

    「あなたが心配なのよ…」

    「…」

    138 = 1 :

    -3ヶ月前-

    「…」

    「ごめんね…急に呼び出して」

    「別に…」

    「…なんだか、こうやって二人で会うのって久しぶりだね」

    「…」

    「最近、全然話さなくなっちゃったもんね…私たち…」

    「…用事ってなんだよ」

    「…うん、あのね」

    「…」

    「私、今日からイケメンくんと付き合うことになったの…」

    「えっ…」

    「だからもう、男くんとは一緒ではいられないんだ…」

    「一緒って…どういう…」

    「…私、知ってるよ?男くんが今でも一番、男弟くんのこと思ってるんだって」

    「…」

    「多分、その原因は私のせいなんだと思うけど…」

    「…」

    「だから、男くんにはちゃんと言っておかなくちゃいけないと思ったんだ…」

    「…」

    「…ごめんね」

    「…なんでだよ」

    「…」

    「なんで、そうなるんだよっ!!」

    「ごめんなさい…」

    「くそっ…」

    139 = 1 :

    -現在- 弟の墓

    「…それでその時、弟が射的で取った指輪を女に返されたんだ」

    転校生「…」

    「ホントは女は自分で捨てようとしたみたいなんだけど、貰いものとはいえ遺品を自分が勝手に捨てるわけにはいかないと思ったらしい…」

    「俺も…」

    「俺も…捨てられなかった」

    転校生「男くん…」

    140 = 1 :

    「分かってるだろうけど、あの写真に写ってたのも、女のことを好きだったのも、俺じゃない…双子の弟だ…」

    「俺が、女をオカズにシコってたのも…そうしなきゃっていう脅迫観念みたいなものなんだ…」

    「俺がそうやることで…なんていうか…弟の存在を俺の中でつなぎ止められる感じがしたんだ」

    転校生「そっか…」

    「…でも、最近は全然できなくなって…どうしようもなくて…焦ってた」

    「本当は分かってたんだ…俺がどんどん弟の死を受け入れてったことも、弟の存在が俺の中からどんどん消えていくことも…」

    「でも…それを認めるのは怖かった…」

    「俺は両親のことも、女のことも、弟を忘れた薄情者だと思ってたから…あいつらと一緒になるのが怖かったんだ…」

    転校生「…」

    「分かってる…本当はみんな、現実と向き合って前に進んでただけなんだって…足踏みしてるのは俺だけなんだって」

    「でも、怖くて…足が竦んで、動けなかった…一番血の通った存在だったから…俺の中からあいつがいなくなるのは、イコールで俺が俺じゃなくなる気がしたんだ…」

    転校生「…」

    「それでも、実際は全然抑えられなかった…俺のなくなってく弟の部分にはどんどん…お前が…転校生が、入ってきてた…」

    転校生「えっ…」

    「…それが許せなくて、一生懸命、幼馴染でシコろうとしたんだ…でも、ダメだった…どうしても、お前の顔が浮かんできて…」

    転校生「…それって…」

    「…」

    141 = 1 :

    転校生「…」

    「…」

    転校生「…それって、私をオカズにしようとしてたって事?…男くん、最低…」

    「…おまっ!!今、すげえ重い話してるのによくんなこと言えるなっ!?」

    転校生「だって、キモチワルイんだもんっ!」

    「…ちげえよ馬鹿!お前の顔が浮かんじゃってシコれなくなるんだよ!!」

    転校生「何それ!?私じゃヌけないってこと!?こんな美少女をオカズにしといて、そんな贅沢言う訳だ…」

    「うおっ…なんか久々に聞いたなそれ…」

    転校生「信じらんないんだけどー」

    「いや、だからそうじゃなくて…って、お前、さっきと言ってること全然違くねえかっ!?オカズにされんのは気持ち悪いんだろっ!?」

    転校生「っ…オカズにされるのはキモチワルイけど、それでヌけないとか言われると悔しいのっ!!それとこれとは話が違うのっ!!」

    「…いや、だからな…その…」

    転校生「何よ…」

    「…恥ずかしいけど、本当に大切にしたい存在ってのはオカズにできないもんなんだよ!!…まだ、自分の想いを伝えてなかったらなおさら…」

    転校生「えっ…」(///)

    「…なんか、不誠実な感じがするじゃねえかそれって」

    転校生「…そ…そうなんだ」(///)

    「ああ…くっそなんだこれ。めちゃくちゃ恥ずかしいな」

    転校生「そっかぁ。男くん、私が本当に大切だったから…へへへ…」ニヤニヤ

    「…なんか、キモいな…お前」

    転校生「えへへへ…そんなに照れなくていいんだよ?」ニヤニヤ

    「いや…なんか、お前の変顔見てたらむっちゃ冷めたわ。なんかもうマジになって話してるのが本当にバカらしくなってくるな…」

    転校生「うっ…ごめんなさい…」シュン…

    「…まぁ、いいんだけどな。正直、ちょっと前にはもう俺の中で整理付いてたんだと思う」

    転校生「え?」

    「だから、要は、あとはそれを自分に納得させる為のきっかけが必要だったってだけなんだよ、ホントは…」

    転校生「…そう、なの?」

    142 = 1 :

    「ああ。だから、正直、あんな回りくどい…お母さんや女まで使ってお前を行方不明に仕立て上げて、俺を無理矢理引きずり出そうとしなくても、案外俺はココに来たんじゃねえか?」

    転校生「うそ…」

    「まぁ、やってみなきゃ分からんがな。正直、女から連絡もらった時にはもう俺を呼び出すための口実だってだいたい想像してたけどな」

    転校生「うっ…」

    「でも、お前のお母さんの迫真の演技には完全に騙された。連絡きてそっこー飛び出しちゃったもんな」

    転校生「…え???」

    「ん?お母さんもサクラだろ?」

    転校生「…お母さんから、連絡あったの?」

    「…ああ?」

    転校生「…男くん」

    「ん?」

    転校生「…お母さんには話してない」

    「…何??」

    転校生「…お母さんは、このこと、知らない」

    「…は?」

    転校生「だって、まだ仕事中だと思ってたから…」

    「…」

    転校生「…」

    「…ってことは、お前のお母さんは、本当にお前が行方不明だと思ってるのか?」

    転校生「…多分」

    「携帯は!?電話出なかったのかよ??」

    転校生「だって…男くんから連絡くると思ってたから…電源切って…」

    「馬鹿、お前!!急いで連絡しろよっ!多分、まだ探してるぞ!?」

    転校生「う、うんっ!そうだねっ」ピピピピ…

    転校生「…あ、お母さん…うん…えっ!?…ああ、大丈夫です…はい…男くんといます…ごめんなさい…」

    「…」

    転校生「あの…すいません…お母さん、仕事中だと思いまして…はい…いや、ちゃんとあとで説明します…はい…はい…ご心配おかけしました…はい…すいません」ピッ

    「…ばーか」

    転校生「…男くんが私を見付けたときに、ちゃんと連絡してくれなかったのが悪い」

    「…うっ…まあ、確かにそれは思ったけど、お前のお母さんの後に女からも連絡きて俺をここに呼び出すための作戦だと考えたから、知ってるもんだと思ったんだよ」

    転校生「…そっか」

    「ああ…」

    転校生「…ごめんなさい」

    「別にお前が謝るようなことじゃねえよ。元はといえば俺のせいなんだし」

    転校生「…」

    「…」

    転校生「…さっきの話」

    「ん?」

    転校生「…3年前に男くんに戻ってって言われて、女さんに告白されたとき…なんで断ったの?そこがよくわかんない」

    「…」

    143 = 1 :

    「…前にも言ったけどさ」

    転校生「うん」

    「結局、女のこと好きだったのは俺じゃないんだよ。俺の中にそんな気持ちがあるんだとしたら…ヘンなこと言うけど、それはきっと俺の中の男弟の部分なんだと思う」

    転校生「…」

    「…だから、男弟を真似てた俺じゃなくて、俺そのものを好きになった女に、俺は同じ好意を返せなかった…んだと思う」

    転校生「なんか難しいね…」

    「そうだな。当時の俺からしたらきっと、男弟として俺を見てくれなかったことへのショックが大きかったんだと思う。やっぱり女も男弟のこと忘れていくのかって…」

    転校生「…」

    「だから、そこからはもう女のこと避けまくってたもんな…避けまくってるつもりだったもんな…」

    転校生「つもりって?」

    「いや、なんか…自覚はなかったけど端から見たら俺、女のストーカーみたいになってたらしいんだよ…だから、多分、無意識にはずっと追ってたのかなってさ」

    「きっと、信じたくなかったんだろうな。女が男弟のこと忘れてくの…信じたくなくて、信じたくて、そうやって無意識に意識してたんだと思う…」

    転校生「お兄ちゃんと…イケメンくんと仲良かったのは知ってたの?」

    「いや全然。だから完全に寝耳に水状態だった。あの時は本当に焦った。まさか女が男弟以外の男と付き合うなんて考えもしなかったからな…」

    転校生「そっか…」

    「ああ。もうあの前後は荒れまくってたね。女のこともかなり軽蔑してた」

    転校生「…そこだけ聞いてると、ただの嫉妬だよね」

    「自分との関係に関しての嫉妬だったらまだよかったけどな。死んだ奴の想いに対しての嫉妬とか訳分かんねえよ…どうすりゃいいんだよって話だよな」

    転校生「それもそうだね…」

    「はあ…俺も弟のこと、死んだ奴とか言えるようになっちゃったのか…」

    144 = 1 :

    転校生「…ねえ、男くん?」

    「ん?」

    転校生「亡くなった弟くんのこと、忘れるのとそこから前に進むことは違うよ?」

    「…」

    転校生「男くんはだって、一生弟くんのこと、忘れたりはしないでしょ?」

    「…」

    転校生「それは男くんのお父さんもお母さんも、それに女さんだって一緒だよ」

    「…」

    転校生「でも、忘れないことと、その思い出に囚われて生きていくことは違うんじゃないかな…」

    「…」

    転校生「きっと、そんなこと誰も望まないんだよ…女さんも、男くんのお父さんとお母さんも、弟くんだってそうだよ。」

    転校生「…それに誰より、男くんが」

    「…」

    転校生「だからずっと苦しかったんじゃないかな?」

    「…そう…なのかな」

    転校生「…今だったら私、分かるよ。男くんの部屋があんなに空っぽだった理由」

    「え?」

    転校生「あれって、男くんが自分を持たないようにしてたからじゃないの?自分の中を出来るだけ男弟くんの居るための場所として開けておきたかったから…」

    「…考えたことなかった」

    転校生「そうなの?」

    「ああ…でも確かに、そうなのかもな。言われてみれば…うん、その通りな気がする」

    転校生「うん…そうだと思うな。だって、私もそうだったもん」

    「そっか…」

    転校生「うん…」

    「…」

    転校生「やっぱり似てるよ。私たち」

    「それはねえよ…」

    転校生「どうして?」

    「やっぱり俺はお前ほど、立派じゃないからな…」

    転校生「…私だって、全然立派なんかじゃないよ?」

    145 = 1 :

    「…なあ」

    転校生「なに?」

    「お前は、自分の父親と会ってその後、やっと自分の人生を始められるって、そう言ってたよな」

    転校生「うん…」

    「だったら、今日が俺のその日だな」

    転校生「そうだね…」

    「転校生、俺はこれから、俺を生きるよ。そう決めた。今日がそのスタートだ」

    転校生「うん…」

    「俺はこれからの俺の人生にお前がほしい」

    転校生「うん…」

    「転校生のことが好きだ。俺と付き合ってくれないか?」

    転校生「…」

    「…」

    転校生「…」ポロポロ

    「…転校生?」

    転校生「ははは…男くん、カッコワルイ…」ポロポロ

    「え?」

    転校生「…だって、それ、私の告白のパクリじゃん…ホント、信じらんないよ…」ポロポロ

    「うっ…すまん…」

    転校生「でも…嬉しいな…やっと想いが伝わった…」ポロポロ

    「ごめんな…」ナデナデ

    転校生「ホントだよ…バカ…」ポロポロ

    「転校生…俺の彼女になってくれるか?」

    転校生「うんっ!!」ニコッ

    146 = 1 :

    ×××

    「…考えてみたら、弟の墓来たのなんて葬式以来なんだよな」

    転校生「本当に全然きてなかったんだね…」

    「ずっと逃げてたからな…」

    転校生「…よかったの?」

    「何が?」

    転校生「ここで告白しちゃって…弟くんの命日に…」

    「…」

    転校生「…辛くならない?」

    「…辛くないときなんてないからな」

    転校生「そっか…」

    「ああ…」

    転校生「そろそろ帰ろうか…」

    「そうだな」

    147 = 1 :

    ×××

    「男…」

    「…」

    「父さん…母さん…」

    「…墓参りしてたのか?」

    「ああ…」

    「そう…ちゃんと男弟にお話できたの?」

    「ああ…したよ…」

    「そうか…」

    「うん…」

    「…」

    「…」

    「…」

    転校生「…じゃあ、私は帰るね…お母さんも心配してるだろうし…」

    「あっ…」

    「女の子をこんな時間に一人で出歩かせるもんじゃないぞ、男」

    「男、送ってあげなさい」

    「…わかった」

    「転校生さん」

    転校生「はい?」

    「ありがとう」

    148 = 1 :

    転校生宅

    転校生「ありがとう…でもよかったの?話しなくて」

    「…正直、何話していいかよく分かんねえや。あの二人からも、長い間、逃げてたからな」

    転校生「そうだね。その気持ち、わかるな。…上がってく?」

    「迷惑じゃないか?」

    転校生「私だけお母さんに怒られるの、納得いかないもん。男くんのせいなんだから、男くんも一緒に怒られてよ」

    「おまっ…なんだそりゃ…」

    転校生「ただいまー」ガチャッ

    149 = 1 :

    ×××

    「ごちそうさまでした!」

    転校生母「はい、おそまつさまでした。お茶どうぞ」

    「あっ…すいません」

    転校生母「転校生も飲む?」

    転校生「熱いからいい」

    転校生母「そ」

    「あの…改めて、今日はすいませんでした。俺のせいで、迷惑かけちゃって…」

    転校生母「もういいのよ。二人とも無事だったんだから。それより、良かったわ。男くんが転校生と付き合うようになってくれて」

    「はは…親公認ってのも、なんかやりづらいですね…」

    転校生母「悪いことできないものね」

    「そうっすね…」

    転校生母「まあ、そんなに肩肘張らないで?…また3人でご飯食べましょうね」

    「はい、ありがとうございます」


    ×××

    「…じゃあ、帰るな。今日はホントありがとう」

    転校生「うんん、こっちこそ…嬉しかった」

    「…そっか」

    転校生「うん…」

    「…じゃあ、また」

    転校生「うん…おやすみ」

    「ああ、おやすみ…」

    150 = 1 :

    県選抜試合日
    スタジアム

    「…なんかさ」

    「どうしたの?」

    「いや、完全に俺の感想の問題なんだけど…」

    転校生「何?」

    「キーパーって、なんかあれだな…」

    「あれ?」

    「いや…地味っつーか、なんつーか…華がないような…」

    転校生「まあ確かにね」

    「俺はてっきりイケメンはMFかなんかかと思ってたよ。エースストライカー的な存在を考えてたから、正直、ちょっとがっかりだ…」

    「ははは…酷いよ男くん…あとでイケメンくんに言っちゃうよ?」

    「好きにしてくれ。俺はあいつの好感度なんて求めとらんからな」

    転校生「あれ?女ちゃんとの問題が解消されても、まだ仲悪いの?」

    「うーん…そうみたい…」

    「女は関係ねえよ。俺みたいな男からすれば全イケメン男子は敵なの」

    転校生「うっわ…醜い嫉妬だ…」

    「ほっとけ…」

    転校生「でも私、お兄ちゃんのこと、別にイケメンだと思わないけどな…」

    「それは兄妹だからじゃねえの?」

    転校生「そうかな?…女ちゃんはやっぱりイケメンだと思う?」

    「うーん…正直、私のタイプではない…かな?」

    「うわっ…これは流石にイケメンが可哀想…自分の彼女にタイプじゃないとか言われてるぞあいつ…」

    転校生「あーあ…ゴールの前で一生懸命突っ立てるのに…お兄ちゃん…不憫っ!!」

    「…転校生ちゃんの言い方もどうかと思うけどな…」

    「あ、シュート止めた…」

    転校生「…なんか、シュートみたいにイマイチ盛り上がらないね…」

    「うん…私も応援のとき、ちょっと困ってる…」

    転校生「だよね…」

    「まあ、県選抜に選ばれてるだけすごいんだけどな…」


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