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元スレ勇者「パーティーの中で、俺が一番弱いんだよな……」
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宿屋、風呂。
僧侶「んー、気持ちいいー、っていうか、お風呂広い!」
戦士「そうだな」
僧侶「もう、戦士さん、どうしたんですか?」
戦士「いや、魔王に許された町っていうのもな」
僧侶「正直、信じられません……」
戦士「どうかな。魔王だって、人間を絶滅させるのが目的ではあるまい」
僧侶「じゃ、じゃあ、その、こうやって人間を服従……!」
戦士「本人たちは命を助けられて喜んでいるんじゃないか」
僧侶「そんなこと……あ、実は脅されてたり……!」
戦士「脅されていようが、生かされていようが、命をかけて抵抗するにはそれなりに理由がいる」
戦士「まして、それが自発的に服従しているとなれば、厄介のきわみだ」
僧侶「でも、実際には魔物に殺されている人も大勢います!」
戦士「どうだろう。抵抗するからやられるんだ、と考えているかもしれない」
僧侶「それに、全部の国を攻め落としたら、牙をむくのかも……」
戦士「……今の生活には関係がない、と思っているんだろう」
僧侶「んー、気持ちいいー、っていうか、お風呂広い!」
戦士「そうだな」
僧侶「もう、戦士さん、どうしたんですか?」
戦士「いや、魔王に許された町っていうのもな」
僧侶「正直、信じられません……」
戦士「どうかな。魔王だって、人間を絶滅させるのが目的ではあるまい」
僧侶「じゃ、じゃあ、その、こうやって人間を服従……!」
戦士「本人たちは命を助けられて喜んでいるんじゃないか」
僧侶「そんなこと……あ、実は脅されてたり……!」
戦士「脅されていようが、生かされていようが、命をかけて抵抗するにはそれなりに理由がいる」
戦士「まして、それが自発的に服従しているとなれば、厄介のきわみだ」
僧侶「でも、実際には魔物に殺されている人も大勢います!」
戦士「どうだろう。抵抗するからやられるんだ、と考えているかもしれない」
僧侶「それに、全部の国を攻め落としたら、牙をむくのかも……」
戦士「……今の生活には関係がない、と思っているんだろう」
僧侶「そんなぁ……」
戦士「まあ、私達にとっても、そういう態度なら、利用するだけさせてもらうのでいいさ」
僧侶「な、そんなこと!」
戦士「おそらく、ここが最後の補給地だ。いざこざを起こしても仕方があるまい」
戦士「それに、魔物が冒険者との接触を禁じていないのも、魔王側がよほど自信があるということだろう」
戦士(その方が好都合だがな)
僧侶「でも、ひどすぎます! 魔物に襲われた村もあるのに!」
戦士「ふうーっ」
僧侶「戦士さん!」
戦士「自主的に生贄を捧げてる村だってあったんだろう。人間もひどい奴はひどいもんさ」
僧侶「そ、それは……」
戦士「それより、体を洗ってもいいかい?」
僧侶「むう~っ!」
戦士「まあ、私達にとっても、そういう態度なら、利用するだけさせてもらうのでいいさ」
僧侶「な、そんなこと!」
戦士「おそらく、ここが最後の補給地だ。いざこざを起こしても仕方があるまい」
戦士「それに、魔物が冒険者との接触を禁じていないのも、魔王側がよほど自信があるということだろう」
戦士(その方が好都合だがな)
僧侶「でも、ひどすぎます! 魔物に襲われた村もあるのに!」
戦士「ふうーっ」
僧侶「戦士さん!」
戦士「自主的に生贄を捧げてる村だってあったんだろう。人間もひどい奴はひどいもんさ」
僧侶「そ、それは……」
戦士「それより、体を洗ってもいいかい?」
僧侶「むう~っ!」
ザバーッ。
僧侶「……うーん」
戦士「……なんだ?」
僧侶「本当だったらここで、『わあ~、戦士さんの肌って綺麗ですー!』とか『戦士さんってやっぱりグラマーなんですねー!』とか」
戦士「傷だらけだろう?」
僧侶「そうですねぇ、やっぱり、前線で戦ってるから……」
戦士「ああ、まあな。それほど胸も大きいわけじゃないし」
僧侶「おっぱいというより大胸筋ですもんねぇ」ニコニコ
戦士「……」
僧侶「あ、disってるわけじゃないんですよ!?」
戦士「まあ、僧侶もあまり無いものな、おっぱい」
僧侶「あ、ありますよ!」
戦士「幼児体型とは言わんが……」
僧侶「ななななに言ってるんですかー!」
僧侶「私は、その、ちょっと小さい頃、栄養不良でぇ!」
僧侶「……うーん」
戦士「……なんだ?」
僧侶「本当だったらここで、『わあ~、戦士さんの肌って綺麗ですー!』とか『戦士さんってやっぱりグラマーなんですねー!』とか」
戦士「傷だらけだろう?」
僧侶「そうですねぇ、やっぱり、前線で戦ってるから……」
戦士「ああ、まあな。それほど胸も大きいわけじゃないし」
僧侶「おっぱいというより大胸筋ですもんねぇ」ニコニコ
戦士「……」
僧侶「あ、disってるわけじゃないんですよ!?」
戦士「まあ、僧侶もあまり無いものな、おっぱい」
僧侶「あ、ありますよ!」
戦士「幼児体型とは言わんが……」
僧侶「ななななに言ってるんですかー!」
僧侶「私は、その、ちょっと小さい頃、栄養不良でぇ!」
宿、女性部屋。
戦士「ん……?」
娘「こんばんはぁ~」
僧侶「えっと、あ、マッサージの方ですか?」
娘「そうですぅ~」
戦士「私は別にいい。体を見られたくもないし」
娘「え、え、でも……」
僧侶「あ、じゃあ、私が受けますよ! お願いしまーす!」
娘「本当にいいんですかぁ~?」
戦士「……」
娘「じゃあ、せめてこの安眠のお香でもぉ……」
戦士「ふーっ」
娘「あ、あのう……」グスッ
僧侶「別にいいんですよぉ、ぶっきらぼうですけど、優しいんですから」
娘「そ、そうですか~」
戦士「ん……?」
娘「こんばんはぁ~」
僧侶「えっと、あ、マッサージの方ですか?」
娘「そうですぅ~」
戦士「私は別にいい。体を見られたくもないし」
娘「え、え、でも……」
僧侶「あ、じゃあ、私が受けますよ! お願いしまーす!」
娘「本当にいいんですかぁ~?」
戦士「……」
娘「じゃあ、せめてこの安眠のお香でもぉ……」
戦士「ふーっ」
娘「あ、あのう……」グスッ
僧侶「別にいいんですよぉ、ぶっきらぼうですけど、優しいんですから」
娘「そ、そうですか~」
僧侶「ん、んー」
娘「どうですかぁ~、気持ちいいですかぁ~」
僧侶「あー、う、ん、んー」
僧侶「ふあ……」
僧侶(眠くなってきちゃった……)
娘「眠くなったら、そのまま寝ちゃってもいいですよぉ~」チラッ
戦士「……」
娘「ちゃんと、ベッドまで運んで上げますからね~」
僧侶「ん、ふぁ、あー、あ、あー」
娘「……」
戦士「……」グーグー
娘「……大丈夫ですからね~、悪いことにはきっとならないですからね~」
僧侶「んー……」スースー
娘「……大丈夫ですから」
娘「どうですかぁ~、気持ちいいですかぁ~」
僧侶「あー、う、ん、んー」
僧侶「ふあ……」
僧侶(眠くなってきちゃった……)
娘「眠くなったら、そのまま寝ちゃってもいいですよぉ~」チラッ
戦士「……」
娘「ちゃんと、ベッドまで運んで上げますからね~」
僧侶「ん、ふぁ、あー、あ、あー」
娘「……」
戦士「……」グーグー
娘「……大丈夫ですからね~、悪いことにはきっとならないですからね~」
僧侶「んー……」スースー
娘「……大丈夫ですから」
夢魔「……どうだ?」
娘「オッケーです、みんな寝ちゃいました~」ヒソヒソ
夢魔「……勇者の方は?」
娘「宿についたら着のままで寝ちゃったそうです~」ヒソヒソ
夢魔「よし、よくやった」
娘「あと、おじいさんは……」
夢魔「そこまで気を回さなくてもいい」
娘「あ、あのう……」
夢魔「なんだね?」
娘「……わ、悪いコトはしないですよねぇ~」
夢魔「疑うのか?」
娘「い、いえ、そんなことは……」
夢魔「もちろんだ。ちょっと夢を見てもらうだけだ」
娘「ほっ」
夢魔「だが、その前に、君も夢を見た方が良さそうだな」
娘「え」
娘「オッケーです、みんな寝ちゃいました~」ヒソヒソ
夢魔「……勇者の方は?」
娘「宿についたら着のままで寝ちゃったそうです~」ヒソヒソ
夢魔「よし、よくやった」
娘「あと、おじいさんは……」
夢魔「そこまで気を回さなくてもいい」
娘「あ、あのう……」
夢魔「なんだね?」
娘「……わ、悪いコトはしないですよねぇ~」
夢魔「疑うのか?」
娘「い、いえ、そんなことは……」
夢魔「もちろんだ。ちょっと夢を見てもらうだけだ」
娘「ほっ」
夢魔「だが、その前に、君も夢を見た方が良さそうだな」
娘「え」
酒場。
魔法使い「……ふむ」
バニー「ねぇ~、おじいさん、もっと飲みましょうよ」
魔法使い「確かにうまいが、わしゃ酒はあまり好きではなくてなー」
マスター「ははは、そうおっしゃらずに。どうです?」
魔法使い「女の子はかわいいのう。わしゃ、かわいい子は大好きじゃ」サワッ
バニー「やだー、おじいさんったら」
マスター「それにしても、この町はいい町でしょう」
魔法使い「そうかのう」
バニー「いいところよ~、魔王様も良くしてくれてるし」
魔法使い「ほっほ、バニーちゃんは魔王が好きなんじゃのう」
バニー「あ、えーと、そ、そうなのよ~」
魔法使い「わしは魔物も魔王も大嫌いでのう……すまんのう」
バニー「あ、あはは」
マスター「いやいや、おじいさんもいろいろあったんでしょう。わかりますよ」
魔法使い(本当に分かるのか?)
魔法使い「……ふむ」
バニー「ねぇ~、おじいさん、もっと飲みましょうよ」
魔法使い「確かにうまいが、わしゃ酒はあまり好きではなくてなー」
マスター「ははは、そうおっしゃらずに。どうです?」
魔法使い「女の子はかわいいのう。わしゃ、かわいい子は大好きじゃ」サワッ
バニー「やだー、おじいさんったら」
マスター「それにしても、この町はいい町でしょう」
魔法使い「そうかのう」
バニー「いいところよ~、魔王様も良くしてくれてるし」
魔法使い「ほっほ、バニーちゃんは魔王が好きなんじゃのう」
バニー「あ、えーと、そ、そうなのよ~」
魔法使い「わしは魔物も魔王も大嫌いでのう……すまんのう」
バニー「あ、あはは」
マスター「いやいや、おじいさんもいろいろあったんでしょう。わかりますよ」
魔法使い(本当に分かるのか?)
マスター「ですが、まあ、話せば分かるお方ですし、それこそ、人間の方がよほど……」
魔法使い「なんかあったのかい?」
マスター「ええ、まあ……こう、妻に濡れ衣を着せられましてね。生まれた町を追われることに……」
魔法使い「そりゃ、大変じゃったのう」
マスター「絶望して、魔物に食われてやろうと思っていたんですよ。そこでね」
魔法使い「そうかそうか」
バニー「人間なんか、最低よね」
魔法使い「バニーちゃんもなんかあったのかい?」
バニー「私は、その……」
魔法使い「ん? ん?」
バニー「なんでもない! 無理やり聞く人は嫌ーい」
魔法使い「ふーむ、突っぱねれば寂しそうな顔をするのにのう。ほんとにバニーちゃんじゃな」
バニー「な、なによ、もう!」
魔法使い「なんかあったのかい?」
マスター「ええ、まあ……こう、妻に濡れ衣を着せられましてね。生まれた町を追われることに……」
魔法使い「そりゃ、大変じゃったのう」
マスター「絶望して、魔物に食われてやろうと思っていたんですよ。そこでね」
魔法使い「そうかそうか」
バニー「人間なんか、最低よね」
魔法使い「バニーちゃんもなんかあったのかい?」
バニー「私は、その……」
魔法使い「ん? ん?」
バニー「なんでもない! 無理やり聞く人は嫌ーい」
魔法使い「ふーむ、突っぱねれば寂しそうな顔をするのにのう。ほんとにバニーちゃんじゃな」
バニー「な、なによ、もう!」
マスター「おじいさん、悪いことは言いませんよ」
魔法使い「んー?」
マスター「魔王退治なんて、無茶すぎますよ」
魔法使い「……」
マスター「まあ、その、もういい年でしょうし……お仲間にも言って」
魔法使い「ふーむ、そうじゃのう」
魔法使い「確かに、この町は栄えているな。魔王のおかげでな」
マスター「え、ええ……」
魔法使い「で、お前さんはここに来る冒険者たちに、みんなそういうことを言ってるのか」
マスター「ま、まあ、一応……何しろ、魔王退治に行った人は、誰も帰って来ませんでしたよ」
魔法使い「そうかそうか」
バニー「おじいさんも、無理しちゃダメだよ?」
魔法使い「バニーちゃんも優しいのう」
バニー「だ、だから……」
魔法使い「そうじゃのう」
魔法使い「んー?」
マスター「魔王退治なんて、無茶すぎますよ」
魔法使い「……」
マスター「まあ、その、もういい年でしょうし……お仲間にも言って」
魔法使い「ふーむ、そうじゃのう」
魔法使い「確かに、この町は栄えているな。魔王のおかげでな」
マスター「え、ええ……」
魔法使い「で、お前さんはここに来る冒険者たちに、みんなそういうことを言ってるのか」
マスター「ま、まあ、一応……何しろ、魔王退治に行った人は、誰も帰って来ませんでしたよ」
魔法使い「そうかそうか」
バニー「おじいさんも、無理しちゃダメだよ?」
魔法使い「バニーちゃんも優しいのう」
バニー「だ、だから……」
魔法使い「そうじゃのう」
魔法使い「そこまで言うなら、帰ろうかの」
マスター「え?」
魔法使い「どれ、お会計をしてくれんか」
マスター「えっと、え」
魔法使い「仲間に言わないといけないから、宿に帰るんじゃ」
魔法使い「ほれ、つり銭はいらんから」ジャラ
マスター「えっと……」
魔法使い「予想外みたいな顔をするでない。それとも、強引に引き止めるかい?」
バニー「お、おじいさん」
魔法使い「ふはははっ! 誰が薬を混ぜた酒なんかに引っかかるかよ」
魔法使い「心底説得するつもりなら、そんな下らんことをするもんじゃなかったな!」
マスター「あ……」
魔物「もういいぞ! 店主」
酒場に魔物が現れた!
マスター「え?」
魔法使い「どれ、お会計をしてくれんか」
マスター「えっと、え」
魔法使い「仲間に言わないといけないから、宿に帰るんじゃ」
魔法使い「ほれ、つり銭はいらんから」ジャラ
マスター「えっと……」
魔法使い「予想外みたいな顔をするでない。それとも、強引に引き止めるかい?」
バニー「お、おじいさん」
魔法使い「ふはははっ! 誰が薬を混ぜた酒なんかに引っかかるかよ」
魔法使い「心底説得するつもりなら、そんな下らんことをするもんじゃなかったな!」
マスター「あ……」
魔物「もういいぞ! 店主」
酒場に魔物が現れた!
キャー! ナニナニ、ドウシテマモノガ……
魔物「やはり、報告通り、ジジイが参謀役だったな」
魔法使い「ほうほう、なるほど、わしらのことを調べてあったというわけかい」ガタッ
マスター「ま、魔物の皆さん、こ、これは……」
バニー「あ、あの」
魔物「動くなジジイ! 動けばここにいる人間を殺すぞ!」
魔法使い「よもや、たった四人のために殺しにかかるとはな」
魔物「光栄だろう? さすがに塔や砦も落とされては、見過ごすわけにはいかなかったからな」
魔物「ほら、動くんじゃない!」
マスター「う、嘘だ……」
バニー「ど、どうして」
魔法使い「別に構わんぞ。殺しても」
マスバニ『!』
魔物「ほう」
魔物「やはり、報告通り、ジジイが参謀役だったな」
魔法使い「ほうほう、なるほど、わしらのことを調べてあったというわけかい」ガタッ
マスター「ま、魔物の皆さん、こ、これは……」
バニー「あ、あの」
魔物「動くなジジイ! 動けばここにいる人間を殺すぞ!」
魔法使い「よもや、たった四人のために殺しにかかるとはな」
魔物「光栄だろう? さすがに塔や砦も落とされては、見過ごすわけにはいかなかったからな」
魔物「ほら、動くんじゃない!」
マスター「う、嘘だ……」
バニー「ど、どうして」
魔法使い「別に構わんぞ。殺しても」
マスバニ『!』
魔物「ほう」
魔法使い「親兄弟も、息子も友人も魔物に殺されたしの」
魔法使い「もちろん、一緒に逃げたお姉ちゃんたちも大体殺されたわ」
魔法使い「今更、少し知り合った連中を殺されてもどうってことはない」
魔物「貴様……それでも人間かっ!」
魔法使い「演技が下手じゃのう。まあ、そういうことでもええわい」
魔法使い「ジジイが一番恨みつらみが溜まっておるんじゃ。家族の仇を誰が忘れると?」
マスター「う、ぐ……」
魔法使い「うひゃひゃ、ほれ、爆発呪文」 どうっ!
バニー「きゃあっ!」
魔物「ま、待てっ、宿屋にいるお前の仲間がどうなってもいいのかっ!」
魔法使い「ほ……そういえばそうじゃったな」
魔法使い「……死んだらそれまでかのう」
魔物「おいっ!?」
チビ悪魔「いまだ、魔封じの杖!」 ムニョニョ
魔法使い「うおっ」
魔法使い「もちろん、一緒に逃げたお姉ちゃんたちも大体殺されたわ」
魔法使い「今更、少し知り合った連中を殺されてもどうってことはない」
魔物「貴様……それでも人間かっ!」
魔法使い「演技が下手じゃのう。まあ、そういうことでもええわい」
魔法使い「ジジイが一番恨みつらみが溜まっておるんじゃ。家族の仇を誰が忘れると?」
マスター「う、ぐ……」
魔法使い「うひゃひゃ、ほれ、爆発呪文」 どうっ!
バニー「きゃあっ!」
魔物「ま、待てっ、宿屋にいるお前の仲間がどうなってもいいのかっ!」
魔法使い「ほ……そういえばそうじゃったな」
魔法使い「……死んだらそれまでかのう」
魔物「おいっ!?」
チビ悪魔「いまだ、魔封じの杖!」 ムニョニョ
魔法使い「うおっ」
魔法使い「しもうた!」
チビ悪魔「ウケケ、ざまーみろっ」
魔物「でかしたっ」
魔法使い「うーむ、極大爆発呪文で酒場ごと吹っ飛ばすつもりじゃったのに……」
チビ悪魔「で、デストロイヤージジイめ」
魔法使い「こうなったら仕方があるまい。ほれ、爆弾石」コロコロ……
魔物「うわあっ」
魔法使い「今のうちに逃げるわい」
魔法使いは逃げ出した!
魔物「……? 何も、起きない」
マスター「……これ、ただの石ころですよ」
魔物「あ、あのジジイ!」
チビ悪魔「みんな追えーっ、逃がすなーっ!」
チビ悪魔「ウケケ、ざまーみろっ」
魔物「でかしたっ」
魔法使い「うーむ、極大爆発呪文で酒場ごと吹っ飛ばすつもりじゃったのに……」
チビ悪魔「で、デストロイヤージジイめ」
魔法使い「こうなったら仕方があるまい。ほれ、爆弾石」コロコロ……
魔物「うわあっ」
魔法使い「今のうちに逃げるわい」
魔法使いは逃げ出した!
魔物「……? 何も、起きない」
マスター「……これ、ただの石ころですよ」
魔物「あ、あのジジイ!」
チビ悪魔「みんな追えーっ、逃がすなーっ!」
さかのぼって、宿屋。
勇者「……」グー、グー
夢魔A「寝てるな」
夢魔B「寝てますな」
夢魔A「睡眠を誘発する香というのはよく効くな」
夢魔B「人間に開発させた甲斐がありますな」
夢魔A「それで、えーと、勇者にはどんな夢がいいんだったか?」
夢魔B「悪夢ですな。とにかく、精神攻撃をして動きを鈍らせると」
夢魔A「で、他の魔物は?」
夢魔B「町に待機させております。なんでも、ジジイが一人、酒場に行ってしまったそうで」
夢魔A「ふーむ、全員就寝していればよかったがな」
夢魔B「一応、勝手に動かないように釘でも指しておきますか」
夢魔A「どうせ言うことを聞くまい……全く、戦闘に向いてないからと、我々を軽視しおって」
夢魔B「悪夢には睡眠呪文が必要ですからな……早いところ、勇者にかけてしまいましょう」
夢魔A「うむ。他の二人はすでに夢に囚われおったしな」
夢魔A「さあ、勇者よ……悪夢にうなされ、いっそ二度と還らぬほど、苦しむがよい……」
勇者「……」グー、グー
夢魔A「寝てるな」
夢魔B「寝てますな」
夢魔A「睡眠を誘発する香というのはよく効くな」
夢魔B「人間に開発させた甲斐がありますな」
夢魔A「それで、えーと、勇者にはどんな夢がいいんだったか?」
夢魔B「悪夢ですな。とにかく、精神攻撃をして動きを鈍らせると」
夢魔A「で、他の魔物は?」
夢魔B「町に待機させております。なんでも、ジジイが一人、酒場に行ってしまったそうで」
夢魔A「ふーむ、全員就寝していればよかったがな」
夢魔B「一応、勝手に動かないように釘でも指しておきますか」
夢魔A「どうせ言うことを聞くまい……全く、戦闘に向いてないからと、我々を軽視しおって」
夢魔B「悪夢には睡眠呪文が必要ですからな……早いところ、勇者にかけてしまいましょう」
夢魔A「うむ。他の二人はすでに夢に囚われおったしな」
夢魔A「さあ、勇者よ……悪夢にうなされ、いっそ二度と還らぬほど、苦しむがよい……」
夢。
幼勇者『やあっ! たあっ!』
勇者父『……』
幼勇者『とうっ! てやっ!』
幼勇者『はあ、はあ』
勇者父『どうした、勇者。もうおしまいか』
幼勇者『お、お父さん……休ませて……』
勇者父『駄目だ。まだ日が高いし、ノルマも達成していない』
幼勇者『で、でも……』
勇者父『勇者よ。できないことを私は言っていない』
幼勇者『……』
勇者父『お前がたとえどんな道を進もうと、この先の世界は力が必要になる』
幼勇者『でも、僕はそんなに強くないよ……』
勇者父『なぜそんなことを言う?』
幼勇者『やあっ! たあっ!』
勇者父『……』
幼勇者『とうっ! てやっ!』
幼勇者『はあ、はあ』
勇者父『どうした、勇者。もうおしまいか』
幼勇者『お、お父さん……休ませて……』
勇者父『駄目だ。まだ日が高いし、ノルマも達成していない』
幼勇者『で、でも……』
勇者父『勇者よ。できないことを私は言っていない』
幼勇者『……』
勇者父『お前がたとえどんな道を進もうと、この先の世界は力が必要になる』
幼勇者『でも、僕はそんなに強くないよ……』
勇者父『なぜそんなことを言う?』
幼勇者『こないだの剣術大会、負けちゃったもん……』
勇者父『そういうこともある。あれは目安の一つだ』
幼勇者『ま、魔法試験だって、真ん中くらいだったし』
勇者父『私も魔法が得意とは言えない』
幼勇者『じゃあ、なんでこんなことさせるの? 僕よりもっと強い人ががんばればいいじゃない!』
勇者父『それは違う。これからは誰もが強くならなければ』
幼勇者『そんなの、わかんないよ!』
勇者父『別に人々を救うような人間になれとは言っていない』
勇者父『たとえば、母さんを守る時、力があれば……』
幼勇者『お、お父さんがやればいいじゃない』
勇者父『……』
幼勇者『お父さんが強いんだから、僕がやらなくても』
勇者父『私がいなくなったらどうする?』
幼勇者『え?』
勇者父『そういうこともある。あれは目安の一つだ』
幼勇者『ま、魔法試験だって、真ん中くらいだったし』
勇者父『私も魔法が得意とは言えない』
幼勇者『じゃあ、なんでこんなことさせるの? 僕よりもっと強い人ががんばればいいじゃない!』
勇者父『それは違う。これからは誰もが強くならなければ』
幼勇者『そんなの、わかんないよ!』
勇者父『別に人々を救うような人間になれとは言っていない』
勇者父『たとえば、母さんを守る時、力があれば……』
幼勇者『お、お父さんがやればいいじゃない』
勇者父『……』
幼勇者『お父さんが強いんだから、僕がやらなくても』
勇者父『私がいなくなったらどうする?』
幼勇者『え?』
勇者父『私がいなくなったら、お前はどうするのだ』
勇者父『母さんが殺されそうになっても、震えてじっとしているのか』
幼勇者『……』
勇者父『勇者よ。お前が救いたいと思った時、その力を手にしているとは限らないのだ』
勇者父『心に見合った力を手にしていなければ、たとえ勇気を起こしても、ただの無謀にしかならない』
勇者父『分かるか、強くならなければ!』
幼勇者『それは、お父さんが強いからでしょ』
幼勇者『強いから、そんなことが言えるんだ』
勇者父『……』
幼勇者『僕は弱いんだ、お父さんより、周りのみんなより、ずっと弱い……』
幼勇者『お母さんなんか守りたくないよ……誰かを助けたいなんて、思えないよ……』
勇者父『何を言ってるんだ!』ガシッ
幼勇者『うっ』
勇者父『母さんが殺されそうになっても、震えてじっとしているのか』
幼勇者『……』
勇者父『勇者よ。お前が救いたいと思った時、その力を手にしているとは限らないのだ』
勇者父『心に見合った力を手にしていなければ、たとえ勇気を起こしても、ただの無謀にしかならない』
勇者父『分かるか、強くならなければ!』
幼勇者『それは、お父さんが強いからでしょ』
幼勇者『強いから、そんなことが言えるんだ』
勇者父『……』
幼勇者『僕は弱いんだ、お父さんより、周りのみんなより、ずっと弱い……』
幼勇者『お母さんなんか守りたくないよ……誰かを助けたいなんて、思えないよ……』
勇者父『何を言ってるんだ!』ガシッ
幼勇者『うっ』
勇者父『勇者、お前は……!』
幼勇者『ほ、ら……振り払う、ことも、できな……』
勇者父『馬鹿なことを……! 大切な人を守れない悔しさを、お前は分からんのかっ!』
幼勇者『うああ、やめて……助けて……』
勇者母『あなた! 何しているの!』
勇者「うぐ、ぐぐぐぐ……」
夢魔A「効いてる、効いてる」
夢魔B「このまま目が覚めなければよいのですが」
夢魔A「しかし、どうやら親父の夢を見ているようだな」
夢魔B「あなたのお父様も、厳しい方でしたからな。こういう悪夢に心当たりは」
夢魔A「うわー、やめてくれ」
――どおぉん!
夢魔A「な、なんだっ!」
夢魔B「……外で戦闘が始まっているようですな」
夢魔A「なんだと!?」
幼勇者『ほ、ら……振り払う、ことも、できな……』
勇者父『馬鹿なことを……! 大切な人を守れない悔しさを、お前は分からんのかっ!』
幼勇者『うああ、やめて……助けて……』
勇者母『あなた! 何しているの!』
勇者「うぐ、ぐぐぐぐ……」
夢魔A「効いてる、効いてる」
夢魔B「このまま目が覚めなければよいのですが」
夢魔A「しかし、どうやら親父の夢を見ているようだな」
夢魔B「あなたのお父様も、厳しい方でしたからな。こういう悪夢に心当たりは」
夢魔A「うわー、やめてくれ」
――どおぉん!
夢魔A「な、なんだっ!」
夢魔B「……外で戦闘が始まっているようですな」
夢魔A「なんだと!?」
夢魔A「くそー、勝手に動くなって言っただろうに!」
夢魔B「どうなさいますか」
夢魔A「中止するわけにもいかんが……」
夢魔B「別室の人間どももいますよ」
夢魔A「ど、どうしよう」
夢魔B「指揮権はあなたにあるのですよ」
夢魔A「ええい、こうなったら、まず勇者の夢をめちゃくちゃな感じに……」
勇者母『あなた! 何しているの!』
勇者父『お前は分からんのかっ!』
勇者『ぐうっ……』
勇者母『あなた!』
勇者父『強くならなければ!』
子ども『勇者って言われてるけど、大したことねぇな、こいつ』
勇者『ううう……』
夢魔B「どうなさいますか」
夢魔A「中止するわけにもいかんが……」
夢魔B「別室の人間どももいますよ」
夢魔A「ど、どうしよう」
夢魔B「指揮権はあなたにあるのですよ」
夢魔A「ええい、こうなったら、まず勇者の夢をめちゃくちゃな感じに……」
勇者母『あなた! 何しているの!』
勇者父『お前は分からんのかっ!』
勇者『ぐうっ……』
勇者母『あなた!』
勇者父『強くならなければ!』
子ども『勇者って言われてるけど、大したことねぇな、こいつ』
勇者『ううう……』
子ども『だっせ、悔しかったら一本取ってみろよ』
男戦士『ほれみろ、七光りだ』
魔法使い『甘いのう、勇者』
武闘家『血筋って得だよな~』
戦士『バカ、勇者!』
幼勇者『誰かを助けたいなんて思えない』
勇者『ああああ』
幼勇者『僕は弱いんだ』
勇者『うあああああ』
子ども『おら、魔法使ってみろよ』
幼勇者『もっと強い人が』
勇者『いやだ、いやだ、いやだ』
僧侶『……大丈夫です』
男戦士『ほれみろ、七光りだ』
魔法使い『甘いのう、勇者』
武闘家『血筋って得だよな~』
戦士『バカ、勇者!』
幼勇者『誰かを助けたいなんて思えない』
勇者『ああああ』
幼勇者『僕は弱いんだ』
勇者『うあああああ』
子ども『おら、魔法使ってみろよ』
幼勇者『もっと強い人が』
勇者『いやだ、いやだ、いやだ』
僧侶『……大丈夫です』
僧侶『大丈夫ですよ! 私達なら!』
勇者『あ』
戦士『私を信用してないのかっ!』
勇者『あ、あ』
魔法使い『お前さんは、親父よりはマシだな』
勇者『うあ』
勇者母『勇者、逃げなさい!』
勇者『』
――勇者は跳ね起きた!
勇者『あ』
戦士『私を信用してないのかっ!』
勇者『あ、あ』
魔法使い『お前さんは、親父よりはマシだな』
勇者『うあ』
勇者母『勇者、逃げなさい!』
勇者『』
――勇者は跳ね起きた!
夢魔A「うおっ!?」
夢魔B「な、なに!」
勇者「ううううううううううう」
夢魔A「ちょっと待て! ストップ!」
夢魔B「に、逃げますぞ!」
勇者「ああああああああああっ! 助ける、俺が助けるんだああああああああああ!」
勇者は剣を掴むと、魔物に襲いかかった!
勇者の攻撃!
夢魔A「ぐわあっ!」
夢魔B「くっ、こ、こちらです、早く!」
勇者の攻撃!
勇者の攻撃!
勇者の攻撃!
勇者の攻撃!
夢魔B「な、なに!」
勇者「ううううううううううう」
夢魔A「ちょっと待て! ストップ!」
夢魔B「に、逃げますぞ!」
勇者「ああああああああああっ! 助ける、俺が助けるんだああああああああああ!」
勇者は剣を掴むと、魔物に襲いかかった!
勇者の攻撃!
夢魔A「ぐわあっ!」
夢魔B「くっ、こ、こちらです、早く!」
勇者の攻撃!
勇者の攻撃!
勇者の攻撃!
勇者の攻撃!
別室。
戦士「……お兄ちゃん」
戦士「どこにもいかないでよぉ……」
僧侶「うう……ごめんなさい……」
僧侶「もうしませんから……許してください」
勇者の攻撃! 扉が音を立てて吹き飛んだ!
戦・僧「!?」
勇者「うああああああああっ!」
勇者「助けるんだ! 俺がぁあっ!」ダダダッ
戦士「え、え、なに」
僧侶「ふぁっ!?」
戦士「なんだ、頭が、痺れてる……」
僧侶「ああ、眠気、覚ましぃ、呪文っ!」パッ
戦士、僧侶、そして娘の眠気が吹き飛んだ!
戦士「……お兄ちゃん」
戦士「どこにもいかないでよぉ……」
僧侶「うう……ごめんなさい……」
僧侶「もうしませんから……許してください」
勇者の攻撃! 扉が音を立てて吹き飛んだ!
戦・僧「!?」
勇者「うああああああああっ!」
勇者「助けるんだ! 俺がぁあっ!」ダダダッ
戦士「え、え、なに」
僧侶「ふぁっ!?」
戦士「なんだ、頭が、痺れてる……」
僧侶「ああ、眠気、覚ましぃ、呪文っ!」パッ
戦士、僧侶、そして娘の眠気が吹き飛んだ!
戦士「どうしたっ!? 何があった!?」
僧侶「わ、分かりません……勇者さまがいたような……」
戦士「おい、娘!」
娘「あ、あ……」
戦士「何があったのか分かるか!」
娘「ご、ごめんなさい……戦士様、僧侶様……」
戦士「謝るな! 何があったのかだけ言ってくれ!」
娘「この町は、冒険者を捕らえる、罠なんです……」
僧侶「ええっ!?」
戦士「……ああ、そういうことかっ。くそっ、油断した!」
娘「ごめんなさい、町には手出ししないって、ずっと言ってたのに……」
娘「今回は、入り込んで、逆らえなくて……」
僧侶「い、いいんですよ、それは」
戦士「おい、町中で戦闘しているぞ!」
娘「あ、ああ! そんな!」
僧侶「わ、分かりません……勇者さまがいたような……」
戦士「おい、娘!」
娘「あ、あ……」
戦士「何があったのか分かるか!」
娘「ご、ごめんなさい……戦士様、僧侶様……」
戦士「謝るな! 何があったのかだけ言ってくれ!」
娘「この町は、冒険者を捕らえる、罠なんです……」
僧侶「ええっ!?」
戦士「……ああ、そういうことかっ。くそっ、油断した!」
娘「ごめんなさい、町には手出ししないって、ずっと言ってたのに……」
娘「今回は、入り込んで、逆らえなくて……」
僧侶「い、いいんですよ、それは」
戦士「おい、町中で戦闘しているぞ!」
娘「あ、ああ! そんな!」
僧侶「加勢しなくては!」
戦士「武器を持って来い! まさか奪われてないだろうな!?」
僧侶「だ、大丈夫です!」
戦士「縛られもしてない……なめられていたのか、自信があったのか……」
僧侶「あ! 魔法使いさんが!」
戦士「くそっ、おい、娘!」
娘「はい、はいぃ~」
戦士「いいから隠れていろ! 宿が襲われそうなら、全力で逃げろ!」
娘「わ、私、皆さんを……陥れようとぉ」
僧侶「今は罪を問いません! とにかく隠れていてください!」
娘「わ、私」
戦士「急ぐぞ、僧侶!」
僧侶「はい! いいですか、気に病む前に、ちゃんと生き延びるんですよっ」
娘「は、はい」
戦士「武器を持って来い! まさか奪われてないだろうな!?」
僧侶「だ、大丈夫です!」
戦士「縛られもしてない……なめられていたのか、自信があったのか……」
僧侶「あ! 魔法使いさんが!」
戦士「くそっ、おい、娘!」
娘「はい、はいぃ~」
戦士「いいから隠れていろ! 宿が襲われそうなら、全力で逃げろ!」
娘「わ、私、皆さんを……陥れようとぉ」
僧侶「今は罪を問いません! とにかく隠れていてください!」
娘「わ、私」
戦士「急ぐぞ、僧侶!」
僧侶「はい! いいですか、気に病む前に、ちゃんと生き延びるんですよっ」
娘「は、はい」
今夜はここまで。あともう一回くらいで終わらせたい。
どう考えても人間同士で足を引っ張ってる件について。
どう考えても人間同士で足を引っ張ってる件について。
あと一回で完結なのか、魔王に飼われた町編が終わりなのか…?(゚Д゚)
出来れば今日中に投下したい。
それにしても、どうして書くたびに根暗シナリオになってしまうのか……
それにしても、どうして書くたびに根暗シナリオになってしまうのか……
広場。
戦士「くそっ、多くはないが、かなり入り込んでるな!」
僧侶「戦士さん、あっちに勇者様が!」
戦士「う!」
勇者の攻撃! 魔物は反撃を繰り出した!
勇者の攻撃! 勇者の攻撃! 勇者の攻撃!
魔物「うおおおお! 怯むなああああ!」
チビ悪魔「数では勝ってるんだぞー!」
勇者の攻撃! 勇者の攻撃!
僧侶「ち、血だらけですよ!?」
戦士「まずい、回復を忘れてるのか」
僧侶「私、行きます!」
戦士「おい待て! ……ジジイはどうしたんだ?」
僧侶「えっと……ああ!」
戦士「くそっ、多くはないが、かなり入り込んでるな!」
僧侶「戦士さん、あっちに勇者様が!」
戦士「う!」
勇者の攻撃! 魔物は反撃を繰り出した!
勇者の攻撃! 勇者の攻撃! 勇者の攻撃!
魔物「うおおおお! 怯むなああああ!」
チビ悪魔「数では勝ってるんだぞー!」
勇者の攻撃! 勇者の攻撃!
僧侶「ち、血だらけですよ!?」
戦士「まずい、回復を忘れてるのか」
僧侶「私、行きます!」
戦士「おい待て! ……ジジイはどうしたんだ?」
僧侶「えっと……ああ!」
僧侶「どうしましょう!? 勇者様の足元……!」
戦士「あっちもぶっ倒れてるかっ、急がないとまずいな!」
戦士「僧侶! 私が引き付けるから、お前は左から回り込め!」
僧侶「はい!!」タタタッ
戦士「……」
戦士「こちとら腕を見込まれて雇われた傭兵だ……」
戦士「腕の見せ所ってのはこういうときなんだろうな」
戦士は大剣を構えて、魔物に襲いかかった!
魔物は驚き戸惑っている!
戦士「うらあっ!」ギイィン!
戦士「よーし、こっちだ! こっちにも相手がいるぞ!!」
魔物「な、なんだと……夢魔のやつらは何をやっていたのだ!」
戦士「夢? ……やっぱりあの夢は連中の仕業か、くそっ」
戦士「どうした!? 魔王の配下ってのはこんなに弱くていいのかっ!」
戦士「あっちもぶっ倒れてるかっ、急がないとまずいな!」
戦士「僧侶! 私が引き付けるから、お前は左から回り込め!」
僧侶「はい!!」タタタッ
戦士「……」
戦士「こちとら腕を見込まれて雇われた傭兵だ……」
戦士「腕の見せ所ってのはこういうときなんだろうな」
戦士は大剣を構えて、魔物に襲いかかった!
魔物は驚き戸惑っている!
戦士「うらあっ!」ギイィン!
戦士「よーし、こっちだ! こっちにも相手がいるぞ!!」
魔物「な、なんだと……夢魔のやつらは何をやっていたのだ!」
戦士「夢? ……やっぱりあの夢は連中の仕業か、くそっ」
戦士「どうした!? 魔王の配下ってのはこんなに弱くていいのかっ!」
チビ悪魔「……まずいっすよ」
魔物「どうした!?」
チビ悪魔「町の連中も抵抗するような素振りを見せてるっす」
魔物「ち……恩知らずな連中め!」
魔物「どうせなら、やつらを取り押さえる壁にでもなれば役に立つものを!」
チビ悪魔「どうしましょう」
魔物「夢魔の連中も失敗したのに、これ以上戦えるかっ」
チビ悪魔「ああ~、失敗したらボーナスなしだぁ」
魔物「それだけで済みゃいいがな、くそっくそっ」
魔物「撤退するぞ、撤退ー!」
チビ悪魔「逃げるぞー! 散れ散れー!」
ドドドドドド……
魔物「どうした!?」
チビ悪魔「町の連中も抵抗するような素振りを見せてるっす」
魔物「ち……恩知らずな連中め!」
魔物「どうせなら、やつらを取り押さえる壁にでもなれば役に立つものを!」
チビ悪魔「どうしましょう」
魔物「夢魔の連中も失敗したのに、これ以上戦えるかっ」
チビ悪魔「ああ~、失敗したらボーナスなしだぁ」
魔物「それだけで済みゃいいがな、くそっくそっ」
魔物「撤退するぞ、撤退ー!」
チビ悪魔「逃げるぞー! 散れ散れー!」
ドドドドドド……
戦士「はあーっ、はあーっ」
僧侶「戦士さぁん!」
戦士「……ああ、僧侶。意外と撤退が早かったな」
僧侶「多分、魔法使いさんと勇者様が、押していたから」
戦士「そうだ、勇者は? 魔法使いは?」
僧侶「そ、それが……」
勇者の攻撃! 勇者の攻撃!
勇者は誰も居ないところで剣を振っている……
戦士「勇者……!」
僧侶「あ、危なくて、私じゃ」
戦士「ちっ、バカやろっ」
戦士の攻撃! 勇者の剣を受け止めた!
僧侶「戦士さぁん!」
戦士「……ああ、僧侶。意外と撤退が早かったな」
僧侶「多分、魔法使いさんと勇者様が、押していたから」
戦士「そうだ、勇者は? 魔法使いは?」
僧侶「そ、それが……」
勇者の攻撃! 勇者の攻撃!
勇者は誰も居ないところで剣を振っている……
戦士「勇者……!」
僧侶「あ、危なくて、私じゃ」
戦士「ちっ、バカやろっ」
戦士の攻撃! 勇者の剣を受け止めた!
戦士「勇者! もう魔物はいないぞ!」
勇者「うわああああああ」
戦士「落ち着け、どうどう、大丈夫だ!」
勇者「うぐぐぐぐぐ……」
戦士「よし、ほら、動くんじゃない」
戦士「ぎゅーってしてやるから、大丈夫だ、血まみれなんか怖くない……」
勇者「ううううぅぅ」
戦士「……よしよし」
戦士「よくやったな。お前はよくやったよ」ぎゅーっ
勇者「うう……」
戦士「……」
僧侶「あのう」
戦士「な、なんだ!?」
僧侶「魔法使いさんが、危険な状態なんです!」
戦士「なんだって」
僧侶「すでに魔物の攻撃をかなり受けていたみたいで……」
戦士「どれ……」
僧侶「回復呪文はかけたんですが、すでに流れた出血が」
戦士「うっ……! もろに受けたな、これは」
戦士「ジジイが、一人で戦おうとするから」
僧侶「ど、どうしましょう、私一人の回復呪文じゃ」
戦士「とにかく、宿に運ぼう」
僧侶「大丈夫でしょうか」
戦士「まさか、町の近くでテントを張って野宿するわけにもいくまい」
僧侶「でも、この町の人は」
戦士「……私が見張りをやる。とにかく多少なりとも安静にできる場所がいい」
戦士「なんだって」
僧侶「すでに魔物の攻撃をかなり受けていたみたいで……」
戦士「どれ……」
僧侶「回復呪文はかけたんですが、すでに流れた出血が」
戦士「うっ……! もろに受けたな、これは」
戦士「ジジイが、一人で戦おうとするから」
僧侶「ど、どうしましょう、私一人の回復呪文じゃ」
戦士「とにかく、宿に運ぼう」
僧侶「大丈夫でしょうか」
戦士「まさか、町の近くでテントを張って野宿するわけにもいくまい」
僧侶「でも、この町の人は」
戦士「……私が見張りをやる。とにかく多少なりとも安静にできる場所がいい」
宿屋。
娘「み、みなさん」
戦士「もう、魔物はいないぞ」
娘「そ、そうですかぁ~……」
僧侶「あの、宿に怪我人を運ばせてもらっても良いですか!? 一刻を争いますので!」
娘「は、はいぃ」
僧侶「回復呪文じゃ足りません、水と、包帯、なければシーツを貸してください!」
娘「わ、わ、わかりましたぁ!」パタパタ
戦士「僧侶」
僧侶「戦士さんは、二人をベッドまで運んでくださいね!」
戦士「分かった。他に何か必要なものは」
僧侶「魔法使いさんが危険です、考えたんですが、蘇生呪文を使いますので」
僧侶「ただし、成功率が低いので、その……」
戦士「分かった。魔法水を持ってこよう」
僧侶「お願いします!」
娘「み、みなさん」
戦士「もう、魔物はいないぞ」
娘「そ、そうですかぁ~……」
僧侶「あの、宿に怪我人を運ばせてもらっても良いですか!? 一刻を争いますので!」
娘「は、はいぃ」
僧侶「回復呪文じゃ足りません、水と、包帯、なければシーツを貸してください!」
娘「わ、わ、わかりましたぁ!」パタパタ
戦士「僧侶」
僧侶「戦士さんは、二人をベッドまで運んでくださいね!」
戦士「分かった。他に何か必要なものは」
僧侶「魔法使いさんが危険です、考えたんですが、蘇生呪文を使いますので」
僧侶「ただし、成功率が低いので、その……」
戦士「分かった。魔法水を持ってこよう」
僧侶「お願いします!」
魔法使い「……」
僧侶「クー、スー」
戦士「ヌグ、ぐぅぅぅ」
魔法使い「……」
娘「……スピー」
魔法使い「……なんじゃ、まだ生きとったか」
魔法使い「やはり女の子に囲まれて起きる目覚めは良いのう」
魔法使い「……」
魔法使い「勇者がおらんようじゃな」
戦士「ん……」
魔法使い「おはようさん」
戦士「んー……あ、お、まえ」
魔法使い「よだれついとるぞ」
戦士「ジジイ! 目が覚めたんなら言え!」
魔法使い「今、起きたばかりじゃわい。うるさいのう」
僧侶「クー、スー」
戦士「ヌグ、ぐぅぅぅ」
魔法使い「……」
娘「……スピー」
魔法使い「……なんじゃ、まだ生きとったか」
魔法使い「やはり女の子に囲まれて起きる目覚めは良いのう」
魔法使い「……」
魔法使い「勇者がおらんようじゃな」
戦士「ん……」
魔法使い「おはようさん」
戦士「んー……あ、お、まえ」
魔法使い「よだれついとるぞ」
戦士「ジジイ! 目が覚めたんなら言え!」
魔法使い「今、起きたばかりじゃわい。うるさいのう」
戦士「痛みはあるか」
魔法使い「まったく動く気になれん。口は回るがの」
魔法使い「ああー、女の子の尻を触ったら回復するかもしれんのう」
戦士「そんだけ喋れるなら、大丈夫だろう」
魔法使い「ほっほ」
戦士「……僧侶に感謝しろよ。慣れない蘇生呪文をかけたんだから」
魔法使い「老い先短いジジイにありがたいことじゃ」
戦士「……」
魔法使い「すまんな。本気で恩に着る」
戦士「ちゃんと僧侶にも言えよ」
魔法使い「わかっとるわかっとる」
魔法使い「で、勇者は?」
戦士「……」
魔法使い「まったく動く気になれん。口は回るがの」
魔法使い「ああー、女の子の尻を触ったら回復するかもしれんのう」
戦士「そんだけ喋れるなら、大丈夫だろう」
魔法使い「ほっほ」
戦士「……僧侶に感謝しろよ。慣れない蘇生呪文をかけたんだから」
魔法使い「老い先短いジジイにありがたいことじゃ」
戦士「……」
魔法使い「すまんな。本気で恩に着る」
戦士「ちゃんと僧侶にも言えよ」
魔法使い「わかっとるわかっとる」
魔法使い「で、勇者は?」
戦士「……」
戦士「向こうの端っこのベッドにいる」
魔法使い「なに、あんな隅にいたんかい」
魔法使い「おうい、勇者よ。昨日は助かったわい」
勇者「……」ガタガタガタ
魔法使い「……なんじゃ?」
戦士「いや、傷は決して浅くはなかったが、回復呪文も効いたし……」
戦士「ただ、夜中からずっとそうして震えているんだ……」
魔法使い「なに、あんな隅にいたんかい」
魔法使い「おうい、勇者よ。昨日は助かったわい」
勇者「……」ガタガタガタ
魔法使い「……なんじゃ?」
戦士「いや、傷は決して浅くはなかったが、回復呪文も効いたし……」
戦士「ただ、夜中からずっとそうして震えているんだ……」
僧侶「……あ、お、じいさん」
魔法使い「おう、僧侶ちゃん。昨日は頑張ったみたいじゃの」
僧侶「いえ、私は……不覚を取って眠らされてしまいましたし」
戦士「うっ、それは、私も……」
魔法使い「情けないのう」
戦士「そういうお前も、苦戦していたじゃないか」
魔法使い「うっかり魔封じ食らったんじゃ。テヘペロ」
戦士「ふん! 魔王の居城も近いのに、油断し過ぎていた」
僧侶「うう……面目ないです……」
魔法使い「さて、ここが魔物を呼び込む町とわかれば、とっととおさらばしたいところじゃがな……」
戦士「……勇者!」
勇者「……」ガタガタガタ
魔法使い「どうしたっちゅうんじゃい」
僧侶「そ、それがですねぇ」
魔法使い「おう、僧侶ちゃん。昨日は頑張ったみたいじゃの」
僧侶「いえ、私は……不覚を取って眠らされてしまいましたし」
戦士「うっ、それは、私も……」
魔法使い「情けないのう」
戦士「そういうお前も、苦戦していたじゃないか」
魔法使い「うっかり魔封じ食らったんじゃ。テヘペロ」
戦士「ふん! 魔王の居城も近いのに、油断し過ぎていた」
僧侶「うう……面目ないです……」
魔法使い「さて、ここが魔物を呼び込む町とわかれば、とっととおさらばしたいところじゃがな……」
戦士「……勇者!」
勇者「……」ガタガタガタ
魔法使い「どうしたっちゅうんじゃい」
僧侶「そ、それがですねぇ」
魔法使い「なるほど。夢魔に悪夢を見せられたと」
僧侶「わ、私は、皆さんに置いてかれる夢を見まして」
戦士「……」
魔法使い「戦士ちゃんは何を見せられたのかのう」
戦士「覚えてない!」
魔法使い「じゃが、勇者があんな振動物になったのも、その夢のせいじゃろ」
魔法使い「それぞれどんなものを見せられたか、知らんと」
戦士「わ、笑うなよ」
魔法使い「はよ」
戦士「……兄に」
魔法使い「ふむふむ」
戦士「兄に突き放される夢だ! はい、言ったぞ!」
魔法使い「戦士はブラコンだったんじゃな」
戦士「うるさい!」
僧侶「わ、私は、皆さんに置いてかれる夢を見まして」
戦士「……」
魔法使い「戦士ちゃんは何を見せられたのかのう」
戦士「覚えてない!」
魔法使い「じゃが、勇者があんな振動物になったのも、その夢のせいじゃろ」
魔法使い「それぞれどんなものを見せられたか、知らんと」
戦士「わ、笑うなよ」
魔法使い「はよ」
戦士「……兄に」
魔法使い「ふむふむ」
戦士「兄に突き放される夢だ! はい、言ったぞ!」
魔法使い「戦士はブラコンだったんじゃな」
戦士「うるさい!」
僧侶「あの……すみません、私、さっきのは嘘でして」
魔法使い「ほう?」
戦士「な、なんだと。聖職者のくせに」
僧侶「うっ、す、すみません……」
魔法使い「はよはよ」
僧侶「あああの、この事は何度も神に告白したことなのですが、人に話したことはなくてですね」
戦士「……言い難いことなのか」
僧侶「……すー、はー」
僧侶「そ、うです」
僧侶「私、小さい頃から修道院にいまして……」
戦士「うん」
僧侶「……」
僧侶「よくいじめてきた子を、町の外に出た時、置き去りにしたんです……」
魔法使い「ほう?」
戦士「な、なんだと。聖職者のくせに」
僧侶「うっ、す、すみません……」
魔法使い「はよはよ」
僧侶「あああの、この事は何度も神に告白したことなのですが、人に話したことはなくてですね」
戦士「……言い難いことなのか」
僧侶「……すー、はー」
僧侶「そ、うです」
僧侶「私、小さい頃から修道院にいまして……」
戦士「うん」
僧侶「……」
僧侶「よくいじめてきた子を、町の外に出た時、置き去りにしたんです……」
魔法使い「なるほど」
戦士「えっと……それが、悪夢なのか?」
僧侶「……」
僧侶「それで、そのことでこっぴどく叱られましてね!」
僧侶「私、もう、世界を救うような人間にならなきゃ、もうこれはダメなんじゃないかっていう!」
僧侶「その、叱られてる時の悪夢が、わーって!」
魔法使い「分かった分かった。十分じゃ」
僧侶「そ、そうですか?」
魔法使い「要するに、トラウマになっている過去の出来事を、悪夢として呼び起こされたんじゃな」
魔法使い「勇者の場合は、それが極端に操られたに違いない。だから、爆発した」
戦士「……それで、あんな風に暴走したのか」
僧侶「すごかったですよね……」
魔法使い「その後遺症がひどいんじゃろう」
戦士「えっと……それが、悪夢なのか?」
僧侶「……」
僧侶「それで、そのことでこっぴどく叱られましてね!」
僧侶「私、もう、世界を救うような人間にならなきゃ、もうこれはダメなんじゃないかっていう!」
僧侶「その、叱られてる時の悪夢が、わーって!」
魔法使い「分かった分かった。十分じゃ」
僧侶「そ、そうですか?」
魔法使い「要するに、トラウマになっている過去の出来事を、悪夢として呼び起こされたんじゃな」
魔法使い「勇者の場合は、それが極端に操られたに違いない。だから、爆発した」
戦士「……それで、あんな風に暴走したのか」
僧侶「すごかったですよね……」
魔法使い「その後遺症がひどいんじゃろう」
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