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元スレ神「美少女JKの自転車のサドルに転生させてやろう」男「ありがとうございます!」
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休みの日、中年は自転車を走らせる。
シャーッ
中年「今日みたいな天気は絶好の自転車日和だね」
サドル「ああ、サドルの俺も気持ちいいや」
中年「たまにはいつも行かない方へ行ってみようか」
サドル「そりゃいいな!」
シャーッ
中年「今日みたいな天気は絶好の自転車日和だね」
サドル「ああ、サドルの俺も気持ちいいや」
中年「たまにはいつも行かない方へ行ってみようか」
サドル「そりゃいいな!」
キコキコ…
中年「ふぅ、ふぅ……」
サドル「大丈夫か? ここら辺は坂が多くて、バイクや競技用の自転車じゃないとキツイだろ」
中年「しかし、これもいい経験になるさ」
中年「ん?」
ギャハハハ… ハハハ…
サドル「ほら見ろ、あの店。バイク乗りの溜まり場になってる」
中年「それもどうやらちょっと悪そうな連中だねえ」
中年「ふぅ、ふぅ……」
サドル「大丈夫か? ここら辺は坂が多くて、バイクや競技用の自転車じゃないとキツイだろ」
中年「しかし、これもいい経験になるさ」
中年「ん?」
ギャハハハ… ハハハ…
サドル「ほら見ろ、あの店。バイク乗りの溜まり場になってる」
中年「それもどうやらちょっと悪そうな連中だねえ」
DQN「あ? なに見てんだ、おっさん!」
中年「!」ビクッ
サドル「!」ギクッ
中年「い、行こう!」
サドル「早く! 早く漕いで!」
キコキコキコキコキコ…
サドル「暴走族……ってわけでもないだろうがチンピラの集まりだな」
中年「触らぬ神に祟りなしだね」
中年「!」ビクッ
サドル「!」ギクッ
中年「い、行こう!」
サドル「早く! 早く漕いで!」
キコキコキコキコキコ…
サドル「暴走族……ってわけでもないだろうがチンピラの集まりだな」
中年「触らぬ神に祟りなしだね」
中年「ただいまー」
サドル「今日はちょっとハラハラしたよ」
JK「あ、お父さんお帰り!」
中年「どうだ? このヘルメット」
JK「いいじゃんいいじゃん、競輪選手みたい!」
中年「ありがとう」
サドル(マジこの子可愛いよなぁ、妹とは大違いだ)
サドル「今日はちょっとハラハラしたよ」
JK「あ、お父さんお帰り!」
中年「どうだ? このヘルメット」
JK「いいじゃんいいじゃん、競輪選手みたい!」
中年「ありがとう」
サドル(マジこの子可愛いよなぁ、妹とは大違いだ)
JK「私はもう新しい自転車買っちゃったけど……」
JK「たまにはそっちにまた乗ってみたいなーなんて」
中年「!」
中年「ダメだぞ、ダメダメ! この自転車に乗ることは許さん!」
JK「相当気に入っちゃったんだね」
サドル「おっさぁん……」
中年「フッ、そう簡単に娘の尻は渡さんぞ!」
サドル「くそう……いつか味わってやるからな!」
サドル(だけど、おっさんとつるんでるのも悪くないと思うようになってしまった)
JK「たまにはそっちにまた乗ってみたいなーなんて」
中年「!」
中年「ダメだぞ、ダメダメ! この自転車に乗ることは許さん!」
JK「相当気に入っちゃったんだね」
サドル「おっさぁん……」
中年「フッ、そう簡単に娘の尻は渡さんぞ!」
サドル「くそう……いつか味わってやるからな!」
サドル(だけど、おっさんとつるんでるのも悪くないと思うようになってしまった)
ある日――
中年「フフフ、コンビニでチキンを買ってしまったよ」モグモグ
サドル「おっさん、買い食いしたらせっかく痩せたのにリバウンドしちゃうぞ」
中年「固いこというなって。ところでサドルは食欲ってないのか?」
サドル「全くないな。ていうかあっても食う方法ないし」
中年「私もサドルになれば、太る太らないを気にせず済むのにな」
サドル「間抜けな死に方すればなれるかもしれないぞ」
キコキコ…
中年「ただいまー」
妻「あなた……」
中年「どうした?」
中年「フフフ、コンビニでチキンを買ってしまったよ」モグモグ
サドル「おっさん、買い食いしたらせっかく痩せたのにリバウンドしちゃうぞ」
中年「固いこというなって。ところでサドルは食欲ってないのか?」
サドル「全くないな。ていうかあっても食う方法ないし」
中年「私もサドルになれば、太る太らないを気にせず済むのにな」
サドル「間抜けな死に方すればなれるかもしれないぞ」
キコキコ…
中年「ただいまー」
妻「あなた……」
中年「どうした?」
妻「あの子が……まだ帰ってきてないの」
中年「えっ! 今日は予備校じゃないのか?」
妻「今日は予備校の日じゃないわ」
中年「電話はかけたのか?」
妻「繋がらないの」
中年「だとしたら、友達と遊んでるとか……」
妻「心当たりはあたったけど、いないっていうの」
妻「あの子、遅くなる時はいつもちゃんと連絡するし、心配で……」
中年「えっ! 今日は予備校じゃないのか?」
妻「今日は予備校の日じゃないわ」
中年「電話はかけたのか?」
妻「繋がらないの」
中年「だとしたら、友達と遊んでるとか……」
妻「心当たりはあたったけど、いないっていうの」
妻「あの子、遅くなる時はいつもちゃんと連絡するし、心配で……」
中年「分かった、ちょっと二人で捜索してくるよ」
妻「二人?」
中年「い、いや、一人の間違いだった。母さんは……念のため警察に連絡してくれ」
妻「分かったわ」
中年「何事もなければいいんだが……」
中年「話は聞いてたかね?」
サドル「おう。とりあえず、あの子の高校周辺を走り回ってみるか」
娘の捜索を開始する。
妻「二人?」
中年「い、いや、一人の間違いだった。母さんは……念のため警察に連絡してくれ」
妻「分かったわ」
中年「何事もなければいいんだが……」
中年「話は聞いてたかね?」
サドル「おう。とりあえず、あの子の高校周辺を走り回ってみるか」
娘の捜索を開始する。
キコキコキコ…
中年「うーん……やはりどこを捜してもいない……」
中年「まさか、事故にでもあったんじゃ……」
サドル「あんなしっかりした子なんだ。俺みたいなことにはそうそうならないって!」
中年「君がいてくれて心強いよ」
サドル「だけど、手掛かりがないのはな……」
中年「例えば、あそこの乗り捨てられた自転車……」
中年「何かを目撃したりしてないだろうか……発想がメルヘンすぎるか」
サドル「!」ハッ
中年「うーん……やはりどこを捜してもいない……」
中年「まさか、事故にでもあったんじゃ……」
サドル「あんなしっかりした子なんだ。俺みたいなことにはそうそうならないって!」
中年「君がいてくれて心強いよ」
サドル「だけど、手掛かりがないのはな……」
中年「例えば、あそこの乗り捨てられた自転車……」
中年「何かを目撃したりしてないだろうか……発想がメルヘンすぎるか」
サドル「!」ハッ
サドル「おっさん、ナぁイス!」
中年「え?」
サドル「ちょっと……聞いてみる。あのサドルに」
中年「そんなことできるのかね?」
サドル「一度サドルの声を聞いたことがあるんだ。もしかしたら、やれるかも!」
サドル(そこのサドル……サドル……)
サドル(女の子……見てないか!? ほんのちょっとこのおっさんの面影がある可愛い女子高生を……!)
『…………』
中年「え?」
サドル「ちょっと……聞いてみる。あのサドルに」
中年「そんなことできるのかね?」
サドル「一度サドルの声を聞いたことがあるんだ。もしかしたら、やれるかも!」
サドル(そこのサドル……サドル……)
サドル(女の子……見てないか!? ほんのちょっとこのおっさんの面影がある可愛い女子高生を……!)
『…………』
『オンナノコ……カラマレタ……』
サドル「!」
『オレタチトコイ……オドサレテ……』
『コトワッタケド……ツレテカレテ……』
サドル「…………!」
サドル「ありがとぉぉぉぉぉ!!!」
中年「ど、どうしたんだね!?」
サドル「おっさん! もしかしたら、あの子はさらわれたのかもしれない!」
中年「なんだって!?」
サドル「!」
『オレタチトコイ……オドサレテ……』
『コトワッタケド……ツレテカレテ……』
サドル「…………!」
サドル「ありがとぉぉぉぉぉ!!!」
中年「ど、どうしたんだね!?」
サドル「おっさん! もしかしたら、あの子はさらわれたのかもしれない!」
中年「なんだって!?」
中年「どんな奴だ!?」
サドル「どんな奴だった!?」
『バイクノッテル……ワルソウ……』
サドル「バイク乗ってる、悪そう……」
中年「…………」
中年「ひょっとして……彼らでは?」
サドル「行ってみる価値はありそうだな!」
サドル「ありがとよ!」
『ヤクニタテテ……ウレシイ……』
サドル「どんな奴だった!?」
『バイクノッテル……ワルソウ……』
サドル「バイク乗ってる、悪そう……」
中年「…………」
中年「ひょっとして……彼らでは?」
サドル「行ってみる価値はありそうだな!」
サドル「ありがとよ!」
『ヤクニタテテ……ウレシイ……』
―溜まり場―
数台のバイク。数人の非行少年。そして――
JK「お願い……帰して……」
DQN「つれないこというなよ。夜は長いんだ」
不良「今夜はたっぷり楽しもうぜ~?」
金髪「もうちょい夜が更けたらマジで人通りなくなるから……そしたら“お楽しみ”だな」
ヒヒヒ… ハハハ…
JK「そんな……」
数台のバイク。数人の非行少年。そして――
JK「お願い……帰して……」
DQN「つれないこというなよ。夜は長いんだ」
不良「今夜はたっぷり楽しもうぜ~?」
金髪「もうちょい夜が更けたらマジで人通りなくなるから……そしたら“お楽しみ”だな」
ヒヒヒ… ハハハ…
JK「そんな……」
必死に自転車を走らせる。
シャーッ
中年「はぁ、はぁ、はぁ……」
サドル「おっさん、あいつらまた溜まってるぜ!」
中年「ひぃ、ひぃ、ひぃ……」
サドル「頑張れ!」
中年「ああ、分かってる。コレステロールパワーを見せてやる!」
サドル「その意気だぁ!」
シャーッ
中年「はぁ、はぁ、はぁ……」
サドル「おっさん、あいつらまた溜まってるぜ!」
中年「ひぃ、ひぃ、ひぃ……」
サドル「頑張れ!」
中年「ああ、分かってる。コレステロールパワーを見せてやる!」
サドル「その意気だぁ!」
キキッ
中年「ちょっと待ったぁ!」
DQN「あ?」
JK「お、お父さん……!」
中年「娘を……放しなさい!」
DQN「お父さん……? マジか、オヤジ来ちゃったよ」
金髪「よく居所が分かったな。親の愛ってヤツかぁ?」
中年「なんでもいい。娘を返したまえ!」
中年「ちょっと待ったぁ!」
DQN「あ?」
JK「お、お父さん……!」
中年「娘を……放しなさい!」
DQN「お父さん……? マジか、オヤジ来ちゃったよ」
金髪「よく居所が分かったな。親の愛ってヤツかぁ?」
中年「なんでもいい。娘を返したまえ!」
DQN「うるせえなぁ、すっこんでろ!」
バキィッ!
中年「ぎゃっ!」
金髪「ぎゃっ、だってよ。ダッセェ~」
ハハハハ… ヒャハハハ…
サドル「おっさん!」
JK「お父さぁん!」
バキィッ!
中年「ぎゃっ!」
金髪「ぎゃっ、だってよ。ダッセェ~」
ハハハハ… ヒャハハハ…
サドル「おっさん!」
JK「お父さぁん!」
中年「う、うぐっ……!」
サドル「おっさん!」
中年「!」
サドル「俺を使え!」
中年「使うって……?」
サドル「サドルは……取り外せるだろ?」
中年「そうか!」
サドルを自転車から外す。
DQN「おいおい、んなもんでどうしようってんだ?」
ヒャハハハ…
サドル「おっさん!」
中年「!」
サドル「俺を使え!」
中年「使うって……?」
サドル「サドルは……取り外せるだろ?」
中年「そうか!」
サドルを自転車から外す。
DQN「おいおい、んなもんでどうしようってんだ?」
ヒャハハハ…
サドル「俺を投げろ!」
中年「分かった!」
ブンッ!
ギュルルルルルルルッ!
投げつけられたサドルは――
バキッ! ドカッ! ガッ!
「ぐあっ!」 「いでぇっ!」 「ぐえっ!」
ブーメランのように敵を打ちのめす。
DQN「なんだとォ!?」
中年「分かった!」
ブンッ!
ギュルルルルルルルッ!
投げつけられたサドルは――
バキッ! ドカッ! ガッ!
「ぐあっ!」 「いでぇっ!」 「ぐえっ!」
ブーメランのように敵を打ちのめす。
DQN「なんだとォ!?」
中年「私はただのおっさんではない……」
DQN「え……!?」
中年「正義の味方“サドルマスター”だ!」
DQN「サドルマスター……!」
中年「もいっちょ!」ブンッ
ギュルルルルルルッ!
DQN「うわぁっ!」
サドル「世の中色んなマスターがあるけど、かなりしょぼい部類だと思うぞ」
中年「なぁに、どんな分野でもマスターってのはすごいものさ」
DQN「え……!?」
中年「正義の味方“サドルマスター”だ!」
DQN「サドルマスター……!」
中年「もいっちょ!」ブンッ
ギュルルルルルルッ!
DQN「うわぁっ!」
サドル「世の中色んなマスターがあるけど、かなりしょぼい部類だと思うぞ」
中年「なぁに、どんな分野でもマスターってのはすごいものさ」
中年「逃げるぞ!」
JK「うん!」
キコキコキコキコキコ…
二人乗りで逃げる。
中年「ひぃ、ひぃ、ひぃ」
サドル「頑張れおっさん!」
DQN「ク、クソが……! チャリで逃げれると思うなよォ!」
JK「うん!」
キコキコキコキコキコ…
二人乗りで逃げる。
中年「ひぃ、ひぃ、ひぃ」
サドル「頑張れおっさん!」
DQN「ク、クソが……! チャリで逃げれると思うなよォ!」
逃げる自転車、追うバイク。
中年「ひい、ひい、ひい!」
キコキコキコ…
DQN「待ちやがれぇぇぇぇぇ!」
ブオオオオオッ!
中年「ダ、ダメだ、追いつかれる!」
サドル「おっさん俺を投げろ! あのバイクこけさしてやる!」
中年「とても走りながらじゃ……!」
DQN「もう追いつくぞぉぉぉぉぉ! 蹴り倒してやる!」
ブオオオオオッ!
中年「ひい、ひい、ひい!」
キコキコキコ…
DQN「待ちやがれぇぇぇぇぇ!」
ブオオオオオッ!
中年「ダ、ダメだ、追いつかれる!」
サドル「おっさん俺を投げろ! あのバイクこけさしてやる!」
中年「とても走りながらじゃ……!」
DQN「もう追いつくぞぉぉぉぉぉ! 蹴り倒してやる!」
ブオオオオオッ!
ウーウー… ウーウー…
DQN「……え?」
中年「パ、パトカー!」
パトカー「そこの二人乗りの自転車と、ノーヘルのバイク、止まりなさい!」
DQN「や、やばっ……!」
中年「どうしてパトカーが……?」
サドル「きっと奥さんの通報で、パトカーが見回りに出てくれたんだ!」
中年「助かったぁ……!」
…………
……
DQN「……え?」
中年「パ、パトカー!」
パトカー「そこの二人乗りの自転車と、ノーヘルのバイク、止まりなさい!」
DQN「や、やばっ……!」
中年「どうしてパトカーが……?」
サドル「きっと奥さんの通報で、パトカーが見回りに出てくれたんだ!」
中年「助かったぁ……!」
…………
……
非行集団は警察に捕まり、自転車二人乗りについてはお咎め無しとなった。
JK「さっきのお父さん……かっこよかったよ」
中年「いやいや」デレッ
JK「それとさっきのサドル、まるで生き物みたいだったね」
中年「え、いや、まあね」
JK「サドルもありがとう! ……なーんて」
サドル「いやいや」デレッ
中年「鼻の下伸びてるぞ」
サドル「俺に鼻はないっての」
中年「いーや、絶対伸びてる」
サドル「うん、きっと伸びてる」
JK「さっきのお父さん……かっこよかったよ」
中年「いやいや」デレッ
JK「それとさっきのサドル、まるで生き物みたいだったね」
中年「え、いや、まあね」
JK「サドルもありがとう! ……なーんて」
サドル「いやいや」デレッ
中年「鼻の下伸びてるぞ」
サドル「俺に鼻はないっての」
中年「いーや、絶対伸びてる」
サドル「うん、きっと伸びてる」
……
……
事件から二週間後、中年は遠出をしていた。
キコキコキコ…
中年「ふんふ~ん」
中年「これだけ長時間漕いでるのに、全く苦じゃないよ。私も成長したもんだ」
サドル「…………」
中年「どうした?」
サドル「あ、いや、懐かしいなって思って……」
中年「懐かしい? もしかして、この辺りは――」
サドル「ああ、俺、この辺りに住んでたんだ……」
中年「! そうだったのか……」
……
事件から二週間後、中年は遠出をしていた。
キコキコキコ…
中年「ふんふ~ん」
中年「これだけ長時間漕いでるのに、全く苦じゃないよ。私も成長したもんだ」
サドル「…………」
中年「どうした?」
サドル「あ、いや、懐かしいなって思って……」
中年「懐かしい? もしかして、この辺りは――」
サドル「ああ、俺、この辺りに住んでたんだ……」
中年「! そうだったのか……」
事故現場には花が置かれていた。
中年「…………」
サドル「手を合わせてくれてありがとよ、おっさん」
中年「当然のことさ」
サドル「こういうの見ると、改めて俺は死んじゃったんだなって感じるよ」
中年「……なぁ」
サドル「え?」
中年「君の家族のところに……行ってみないか」
サドル「!」
中年「…………」
サドル「手を合わせてくれてありがとよ、おっさん」
中年「当然のことさ」
サドル「こういうの見ると、改めて俺は死んじゃったんだなって感じるよ」
中年「……なぁ」
サドル「え?」
中年「君の家族のところに……行ってみないか」
サドル「!」
キコキコキコ…
中年「あの家かね?」
サドル「うん……あそこに住んでた。俺と両親と妹の四人暮らしで」
中年「…………」
サドル「一目見たらなんだかスッキリしたし帰ろ――」
中年「よし、寄ってみよう!」
サドル「ハァ? 寄ってみるって、おっさん俺の家族と接点ないだろ!」
中年「理由なんかどうにでもなるさ」
中年「あの家かね?」
サドル「うん……あそこに住んでた。俺と両親と妹の四人暮らしで」
中年「…………」
サドル「一目見たらなんだかスッキリしたし帰ろ――」
中年「よし、寄ってみよう!」
サドル「ハァ? 寄ってみるって、おっさん俺の家族と接点ないだろ!」
中年「理由なんかどうにでもなるさ」
―男の実家―
サドル「母さんだ……!」
中年「行こう」
サドル「まだ心の準備が……」
中年「あの、すみません」
母「……はい? どちら様ですか?」
中年「初めまして。私、息子さんと交流をしていた者で……」
中年「このたび亡くなられたと聞いて、線香を上げさせてもらえないかと……」
母「まあ……中へどうぞ」
サドル(母さん……やつれたなぁ)
中年(もちろん、サドルも持って行かないとな)
サドル「母さんだ……!」
中年「行こう」
サドル「まだ心の準備が……」
中年「あの、すみません」
母「……はい? どちら様ですか?」
中年「初めまして。私、息子さんと交流をしていた者で……」
中年「このたび亡くなられたと聞いて、線香を上げさせてもらえないかと……」
母「まあ……中へどうぞ」
サドル(母さん……やつれたなぁ)
中年(もちろん、サドルも持って行かないとな)
妹「どなた?」
母「お兄ちゃんと縁がある人だって」
妹「兄さんと……」
中年「どうも、初めまして」
中年「おいおい、君の妹、なかなか可愛いじゃないか」ボソッ
サドル「どこがだよ。ただのガリ勉女だよ」
中年「たしかに君と違って真面目そうだ」
サドル「ほっといてくれ」
母「お兄ちゃんと縁がある人だって」
妹「兄さんと……」
中年「どうも、初めまして」
中年「おいおい、君の妹、なかなか可愛いじゃないか」ボソッ
サドル「どこがだよ。ただのガリ勉女だよ」
中年「たしかに君と違って真面目そうだ」
サドル「ほっといてくれ」
父「息子は……事故で亡くなりました。自転車で転倒して……」
父「近くにいた男性がすぐ救急車を呼んでくれたんですが……残念ながら」
母「…………」
中年「そうでしたか……」
サドル(俺が間違えて見とれたあの人、救急車呼んでくれたんだな。なぜかちょっと嬉しい)
父「ところで、息子とはどのような?」
中年「私が自転車を故障させて困っていたら、息子さんがたまたま通りがかって……」
中年「このサドルをくれたんです。その時、ちょっとした知り合いのような感じになって……」
全くのデタラメだったが、疑われることはなかった。
父「近くにいた男性がすぐ救急車を呼んでくれたんですが……残念ながら」
母「…………」
中年「そうでしたか……」
サドル(俺が間違えて見とれたあの人、救急車呼んでくれたんだな。なぜかちょっと嬉しい)
父「ところで、息子とはどのような?」
中年「私が自転車を故障させて困っていたら、息子さんがたまたま通りがかって……」
中年「このサドルをくれたんです。その時、ちょっとした知り合いのような感じになって……」
全くのデタラメだったが、疑われることはなかった。
父「息子は学生で、交友関係もよく知らなかったのですが……」
父「そんな人助けをしていたと知って、嬉しいです」
中年「息子さんは本当にいい青年でした。私のようなおっさんとも気さくに話してくれて」
中年「どこに出しても恥ずかしくない、立派な若者だったと思います」
サドル「褒めすぎだって、おっさん!」
中年「早くに亡くなったのが本当に惜しい……そう断言できます」
父「そうおっしゃって頂けると、私たちも救われます」
母「だけど……だけど生きてて欲しかった……。生きて……」
父「母さん……」
サドル「…………!」
サドル「バカな死に方しちゃって……ごめんよぉ……!」
サドル「うっ、ううっ、うっ……!」
父「そんな人助けをしていたと知って、嬉しいです」
中年「息子さんは本当にいい青年でした。私のようなおっさんとも気さくに話してくれて」
中年「どこに出しても恥ずかしくない、立派な若者だったと思います」
サドル「褒めすぎだって、おっさん!」
中年「早くに亡くなったのが本当に惜しい……そう断言できます」
父「そうおっしゃって頂けると、私たちも救われます」
母「だけど……だけど生きてて欲しかった……。生きて……」
父「母さん……」
サドル「…………!」
サドル「バカな死に方しちゃって……ごめんよぉ……!」
サドル「うっ、ううっ、うっ……!」
中年「――あの」
父「はい?」
中年「実は先日、私の夢の中に……息子さんが現れたんです」
父「え……?」
中年「息子さんは、私の口を通じてご家族にお伝えしたいことがあるというのです」
中年「何をバカなことをと思うかもしれません。ですが聞いて頂けないでしょうか?」
サドル「お、おっさん!」
中年「いいから。伝えたいことがあるなら……」
サドル「……分かったよ」
父「はい?」
中年「実は先日、私の夢の中に……息子さんが現れたんです」
父「え……?」
中年「息子さんは、私の口を通じてご家族にお伝えしたいことがあるというのです」
中年「何をバカなことをと思うかもしれません。ですが聞いて頂けないでしょうか?」
サドル「お、おっさん!」
中年「いいから。伝えたいことがあるなら……」
サドル「……分かったよ」
中年「父さん母さん、バカな死に方しちゃってゴメン」
中年「だけど今は楽しく暮らしてる。毎日が楽しいよ」
中年「だから心配しないで……元気出して。そういってました」
父「そう……ですか」
母「ありがとう……ございます」
中年「それと妹さんにも」
妹「え?」
中年「勉強もいいけど、たまにはパーッと遊べよ」
中年「だけど、お前は俺よりしっかりしてるから安心できる。……と」
妹「なんだか、本当に兄さんみたい……」
家族は一切否定せず、このメッセージを受け取った。
中年「だけど今は楽しく暮らしてる。毎日が楽しいよ」
中年「だから心配しないで……元気出して。そういってました」
父「そう……ですか」
母「ありがとう……ございます」
中年「それと妹さんにも」
妹「え?」
中年「勉強もいいけど、たまにはパーッと遊べよ」
中年「だけど、お前は俺よりしっかりしてるから安心できる。……と」
妹「なんだか、本当に兄さんみたい……」
家族は一切否定せず、このメッセージを受け取った。
帰り際――
中年「…………」
中年「あ、あのっ!」
父「なんでしょう」
中年「実は……実はこのサドルにはあなた方の――」
サドル「おっさん!」
中年「!」
サドル「それは……やめてくれ」
サドル「三人とももう、俺の死を乗り越えてる。それに俺はもう死んだ人間だ」
サドル「ここで正体バラしちゃうのは、なんていうか、いびつな事だと思うから……」
中年「分かった……そうしよう」
中年「…………」
中年「あ、あのっ!」
父「なんでしょう」
中年「実は……実はこのサドルにはあなた方の――」
サドル「おっさん!」
中年「!」
サドル「それは……やめてくれ」
サドル「三人とももう、俺の死を乗り越えてる。それに俺はもう死んだ人間だ」
サドル「ここで正体バラしちゃうのは、なんていうか、いびつな事だと思うから……」
中年「分かった……そうしよう」
父「サドルが何か?」
中年「えぇと、最後にこのサドルに……触ってもらえませんか?」
父「え?」
中年「お願いします」
父「分かりました」
母「息子が人助けした証のサドルですもんね」
妹「兄さん……」
家族の手の温もりを感じ――
サドル(おっさん……ありがとう)
中年「えぇと、最後にこのサドルに……触ってもらえませんか?」
父「え?」
中年「お願いします」
父「分かりました」
母「息子が人助けした証のサドルですもんね」
妹「兄さん……」
家族の手の温もりを感じ――
サドル(おっさん……ありがとう)
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