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元スレ男「フードコートで水ばかり飲んでるクソ女」
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男「B判定って……なんだ、60%以上じゃんか」ピラッ
男「まだ受験シーズンまで時間あるし、落ち込むことなんて――」
受験生「これから低学歴は!」
男「な……!」
受験生「ボクの志望大学に受かるなら、今の時期からA判定を楽勝で取れるぐらいじゃなきゃ」
受験生「ダメなんですよ! 偏差値の低い慰めをしないで下さい!」
男「お、お前……受験勉強する前にちったぁ口のきき方を勉強したらどうだ!?」
受験生「少なくともあなたレベルの人間に対してなら、これで十分です!」
男「あなたレベル……何様だ、お前!」
女「二人とも落ち着いて!」
男「まだ受験シーズンまで時間あるし、落ち込むことなんて――」
受験生「これから低学歴は!」
男「な……!」
受験生「ボクの志望大学に受かるなら、今の時期からA判定を楽勝で取れるぐらいじゃなきゃ」
受験生「ダメなんですよ! 偏差値の低い慰めをしないで下さい!」
男「お、お前……受験勉強する前にちったぁ口のきき方を勉強したらどうだ!?」
受験生「少なくともあなたレベルの人間に対してなら、これで十分です!」
男「あなたレベル……何様だ、お前!」
女「二人とも落ち着いて!」
中年男「ウ~イ……」ゲフッ
男「うわっ!?(酒くさっ!)」
受験生「なんですか、あなたは?」
中年男「ま、飲みねえ」スッ…
男「は、はい……(おいおい、ストロングゼロかよ)」
中年男「そっちの兄ちゃんも」
受験生「ぼ、ボクはいいですよ」
男「そうですよ。こいつ、まだ高校生……未成年ですよ? 飲ませちゃまずいですよ……」
中年男「兄ちゃんはいっつもここで勉強してるが、こういうことだって勉強なんだぜえ?」
男「いやいや……その理屈はおかしい――」
受験生「…………」
男「うわっ!?(酒くさっ!)」
受験生「なんですか、あなたは?」
中年男「ま、飲みねえ」スッ…
男「は、はい……(おいおい、ストロングゼロかよ)」
中年男「そっちの兄ちゃんも」
受験生「ぼ、ボクはいいですよ」
男「そうですよ。こいつ、まだ高校生……未成年ですよ? 飲ませちゃまずいですよ……」
中年男「兄ちゃんはいっつもここで勉強してるが、こういうことだって勉強なんだぜえ?」
男「いやいや……その理屈はおかしい――」
受験生「…………」
受験生「いいですよ、飲んでやりますよ、このくらい! どうせB判定なんだ!」グビッ
受験生「偏差値ゼロのボクには、ストロングゼロが相応しい!」グビグビッ
男「バ、バカ! ヤケになんなよ!」
中年男「おお~、いい飲みっぷりじゃねえか!」
受験生「ふん、どうってことないれふ……」
男「おいおい……」
女「わ、私、水持ってきます!」
男「頼むよ!」
男「おばちゃん、あのおっさんと受験生を止めてくれよ!」
清掃女「いいんじゃないのかい? あたしゃ小学生のころから飲酒してたよ」
男「マジで!?」
清掃女「ただし、缶を燃えるゴミのとこに捨てたら許さないからね」ギロッ
受験生「偏差値ゼロのボクには、ストロングゼロが相応しい!」グビグビッ
男「バ、バカ! ヤケになんなよ!」
中年男「おお~、いい飲みっぷりじゃねえか!」
受験生「ふん、どうってことないれふ……」
男「おいおい……」
女「わ、私、水持ってきます!」
男「頼むよ!」
男「おばちゃん、あのおっさんと受験生を止めてくれよ!」
清掃女「いいんじゃないのかい? あたしゃ小学生のころから飲酒してたよ」
男「マジで!?」
清掃女「ただし、缶を燃えるゴミのとこに捨てたら許さないからね」ギロッ
中年男「…………」グビグビ
受験生「…………」グビグビ
男「…………」
男「ええい、俺も付き合ってやる!」グビグビ
受験生「お? いい飲みっぷりれふねえ~」
男「たりめーだろうが! 中堅大学出たサラリーマン舐めんなよ!」
中年男「よっしゃ、次はビールいくか!」カシュッ…
受験生「…………」グビグビ
男「…………」
男「ええい、俺も付き合ってやる!」グビグビ
受験生「お? いい飲みっぷりれふねえ~」
男「たりめーだろうが! 中堅大学出たサラリーマン舐めんなよ!」
中年男「よっしゃ、次はビールいくか!」カシュッ…
受験生「うう……」グダー…
男「ほら、水!」
受験生「ども……」チビチビ…
男(やべぇ~、前途ある未成年と一緒に飲酒した上、酔い潰しちまった)
中年男「おう、兄ちゃん」
受験生「なんれふか……?」
中年男「ちったぁ、勉強になったかい?」
受験生「……うぅ、なりまひた……」
中年男「人生なんだって勉強だ。たかが模試の成績で、落ち込んでるヒマなんかねえはずだぜ」
受験生「……はい」
男「ほら、水!」
受験生「ども……」チビチビ…
男(やべぇ~、前途ある未成年と一緒に飲酒した上、酔い潰しちまった)
中年男「おう、兄ちゃん」
受験生「なんれふか……?」
中年男「ちったぁ、勉強になったかい?」
受験生「……うぅ、なりまひた……」
中年男「人生なんだって勉強だ。たかが模試の成績で、落ち込んでるヒマなんかねえはずだぜ」
受験生「……はい」
受験生「ボクはこんな状態になって……改めて分かりまひた」クラクラ…
受験生「ボクはやっぱり、勉強が好きなんらって……」
受験生「いろんな教科の勉強をするの……楽しいって……」
中年男「それもまた、勉強だ」ニヤッ
男(ふうん、こいつ……案外、大物になるかもな)
受験生「ボクはもうヘロヘロなのに……あなたはへっちゃらだ。すごいれすね」
男「そりゃま、仕事で酒はそこそこ飲むからな。缶の一本や二本なら……」
受験生「色々と生意気なこといいました……本当にすみません」
男「こっちこそ色々と大人げなかった。受験、頑張れよ」
受験生「はい!」
受験生「ウ~イ……」クラクラ…
男(といっても、この状態じゃ今日勉強は無理だな……明日から頑張れ!)
受験生「ボクはやっぱり、勉強が好きなんらって……」
受験生「いろんな教科の勉強をするの……楽しいって……」
中年男「それもまた、勉強だ」ニヤッ
男(ふうん、こいつ……案外、大物になるかもな)
受験生「ボクはもうヘロヘロなのに……あなたはへっちゃらだ。すごいれすね」
男「そりゃま、仕事で酒はそこそこ飲むからな。缶の一本や二本なら……」
受験生「色々と生意気なこといいました……本当にすみません」
男「こっちこそ色々と大人げなかった。受験、頑張れよ」
受験生「はい!」
受験生「ウ~イ……」クラクラ…
男(といっても、この状態じゃ今日勉強は無理だな……明日から頑張れ!)
しばらくして――
― フードコート ―
受験生「どうですか、この模試判定」バッ
受験生「再びA判定に返り咲きましたよ……まぁ、これがボク本来の実力ってことでしょうね」
男「模試はしょせん模試だからな。油断するなよ」
受験生「○×大学出のあなたにいわれるまでもありません。勝って兜の緒を締めますよ」
男「ぐぬぬ……(すっかり元に戻りやがって……)」
女「よーし、受験生君の合格祈願に今日はカツ丼を食べましょー!」
男「おっ、いいね!」
おわり
― フードコート ―
受験生「どうですか、この模試判定」バッ
受験生「再びA判定に返り咲きましたよ……まぁ、これがボク本来の実力ってことでしょうね」
男「模試はしょせん模試だからな。油断するなよ」
受験生「○×大学出のあなたにいわれるまでもありません。勝って兜の緒を締めますよ」
男「ぐぬぬ……(すっかり元に戻りやがって……)」
女「よーし、受験生君の合格祈願に今日はカツ丼を食べましょー!」
男「おっ、いいね!」
おわり
第三話『フードコートで騒ぐクソガキと叱らないクソ親』
― フードコート ―
女「あら、今日はコーヒーですか?」
男「たまには優雅にエスプレッソと思って。君は何を描いてるの?」
女「イラストの案を練ってるんです。テーマは“親子”で」
男「親子か……」
少女「わーい!」スタタタタッ
ドンッ!
男「あっ!」バシャッ
男「俺のエスプレッソがぁぁぁ……!」
男「君のイラストにもかかってる!」
女「あっ、これは落書きみたいなものなんで大丈夫ですよ」
男「そ、そうなの!? よかった……いや、よくない!」
― フードコート ―
女「あら、今日はコーヒーですか?」
男「たまには優雅にエスプレッソと思って。君は何を描いてるの?」
女「イラストの案を練ってるんです。テーマは“親子”で」
男「親子か……」
少女「わーい!」スタタタタッ
ドンッ!
男「あっ!」バシャッ
男「俺のエスプレッソがぁぁぁ……!」
男「君のイラストにもかかってる!」
女「あっ、これは落書きみたいなものなんで大丈夫ですよ」
男「そ、そうなの!? よかった……いや、よくない!」
男「よくも……!」ガタッ
男「――って、もうあんなところに!」
少女「えーいっ!」バサバサッ
受験生「うわっ!? ボクの参考書が!」
少女「とりゃーっ!」タタタタタッ
中年男「わわっ! オレのワンカップ酒が!」バシャッ
男(台風だな、まるで……!)
男「――って、もうあんなところに!」
少女「えーいっ!」バサバサッ
受験生「うわっ!? ボクの参考書が!」
少女「とりゃーっ!」タタタタタッ
中年男「わわっ! オレのワンカップ酒が!」バシャッ
男(台風だな、まるで……!)
男「フードコート内で騒ぎやがって……許せん!」
女「まあまあ、子供がやったことですし……」
男「いや、ああいう子供こそ、ちゃんと大人が叱ってあげなくちゃいけないんだ!」
男「おい、お嬢ちゃん!」
少女「んー?」
男「フードコートで騒いだらダメだろ! 静かにしなさい!」
少女「なんでよ?」
男「え」
男「な、なんでって……」
女「まあまあ、子供がやったことですし……」
男「いや、ああいう子供こそ、ちゃんと大人が叱ってあげなくちゃいけないんだ!」
男「おい、お嬢ちゃん!」
少女「んー?」
男「フードコートで騒いだらダメだろ! 静かにしなさい!」
少女「なんでよ?」
男「え」
男「な、なんでって……」
男「みんなの迷惑になるからに決まってるだろ!」
少女「迷惑?」
少女「だったら聞くけど、いつもいつも夜にフードコートにやってきて」
少女「他の客の食べる姿をニヤニヤ見物してるあなたはどうなの?」
男「ぐっ!?」
少女「ものすごく気持ち悪いんだけど~?」
男「うぐぐ……」
男(くっそぉ~、なにも言い返せない……!)
少女「迷惑?」
少女「だったら聞くけど、いつもいつも夜にフードコートにやってきて」
少女「他の客の食べる姿をニヤニヤ見物してるあなたはどうなの?」
男「ぐっ!?」
少女「ものすごく気持ち悪いんだけど~?」
男「うぐぐ……」
男(くっそぉ~、なにも言い返せない……!)
受験生「やれやれ、ここはボクにお任せ下さい」
男「お? お前が叱ってくれるのか?」
受験生「こういうことも勉強ですからね。あの子をすぐに静かにさせてあげますよ」
受験生「君――」
少女「うっさい、ガリ勉!!!」
受験生「あうう……」ガクッ
男「早いな! 一撃で撃沈かよ!」
受験生「予習が足りなかったようです……」
男「俺と口論した時のふてぶてしさはどうした!?」
受験生「ああいう子はどうも苦手で……」
女「まるで、味方になったとたん弱体化した敵キャラみたい」クスッ
受験生「嫌なたとえ方しないで下さい!」
男「お? お前が叱ってくれるのか?」
受験生「こういうことも勉強ですからね。あの子をすぐに静かにさせてあげますよ」
受験生「君――」
少女「うっさい、ガリ勉!!!」
受験生「あうう……」ガクッ
男「早いな! 一撃で撃沈かよ!」
受験生「予習が足りなかったようです……」
男「俺と口論した時のふてぶてしさはどうした!?」
受験生「ああいう子はどうも苦手で……」
女「まるで、味方になったとたん弱体化した敵キャラみたい」クスッ
受験生「嫌なたとえ方しないで下さい!」
中年男「しかたねえ、オレの出番だな」
男「おっさん!」
男(あれだけ生意気だった受験生を改心させたおっさんなら、きっと……!)
中年男「ウ~イ、おい嬢ちゃん」
中年男「いいかい? こういう公共の場にはルールってもんがある……」
少女「酔っ払いにいわれたくないんだけど」
中年男「へっ、それをいわれちゃおしめえよ」
男「おっさんも瞬殺かい!」
受験生「三本まとめてヘシ折られましたね……毛利元就もビックリです」
男「おっさん!」
男(あれだけ生意気だった受験生を改心させたおっさんなら、きっと……!)
中年男「ウ~イ、おい嬢ちゃん」
中年男「いいかい? こういう公共の場にはルールってもんがある……」
少女「酔っ払いにいわれたくないんだけど」
中年男「へっ、それをいわれちゃおしめえよ」
男「おっさんも瞬殺かい!」
受験生「三本まとめてヘシ折られましたね……毛利元就もビックリです」
男「くそぉ~……大の男が三人いて……」
受験生「こうなったら、奥の手を使いましょう」
男「奥の手?」
受験生「あの子の母親に言いつけて、叱ってもらうんですよ」
受験生「“将を射んと欲すればまず馬を射よ”というやつです」
男「娘が将で、母親が馬ってのはどうかと思うが……いい作戦だ! やってみるか!」
受験生「こうなったら、奥の手を使いましょう」
男「奥の手?」
受験生「あの子の母親に言いつけて、叱ってもらうんですよ」
受験生「“将を射んと欲すればまず馬を射よ”というやつです」
男「娘が将で、母親が馬ってのはどうかと思うが……いい作戦だ! やってみるか!」
男「あのー、お宅の娘さんがさっきから暴れてるんですが」
母「…………」シーン
男「どうにかしてもらえませんか?」
母「…………」
受験生「聞いてますか? もしもーし」
母「…………」
男「……ダメだこりゃ」
受験生「娘は騒ぎすぎ、母親は静かすぎ……最強の布陣ですね」
男「仕方ない、今日のところは諦めよう……」
母「…………」シーン
男「どうにかしてもらえませんか?」
母「…………」
受験生「聞いてますか? もしもーし」
母「…………」
男「……ダメだこりゃ」
受験生「娘は騒ぎすぎ、母親は静かすぎ……最強の布陣ですね」
男「仕方ない、今日のところは諦めよう……」
また別の日も――
― フードコート ―
少女「わーい! わーい!」
清掃女「騒ぐんじゃないよ、待てーっ!」
ギャーギャー… ドタバタ…
母「…………」
男「掃除のおばちゃんで、やっと互角とは……」
受験生「母親は相変わらず我関せずですし、手の打ちようがありませんね」
男「うーん……」
男(なんとかあの子を静かにさせて、フードコートの平和を守らないと……!)
― フードコート ―
少女「わーい! わーい!」
清掃女「騒ぐんじゃないよ、待てーっ!」
ギャーギャー… ドタバタ…
母「…………」
男「掃除のおばちゃんで、やっと互角とは……」
受験生「母親は相変わらず我関せずですし、手の打ちようがありませんね」
男「うーん……」
男(なんとかあの子を静かにさせて、フードコートの平和を守らないと……!)
― 会社 ―
先輩「おい! ……なんだこの書類!」
男「あ、先輩、すみません……」
先輩「ったく、これだから○×大出は使えねーわ! 屋上から飛び降りろよ!」
男(どうやって、あの子を……)
先輩「聞いてんのか!」
男「はい、聞いてます、聞いてます!」
先輩「使えねえ後輩持つと、苦労するのはこっちなんだよ! このクソッタレが!」
男(静かにさせるには……)
先輩「…………!」ビキッ
先輩「おい! ……なんだこの書類!」
男「あ、先輩、すみません……」
先輩「ったく、これだから○×大出は使えねーわ! 屋上から飛び降りろよ!」
男(どうやって、あの子を……)
先輩「聞いてんのか!」
男「はい、聞いてます、聞いてます!」
先輩「使えねえ後輩持つと、苦労するのはこっちなんだよ! このクソッタレが!」
男(静かにさせるには……)
先輩「…………!」ビキッ
先輩「お前、俺に怒られたくてわざとやってんのか!?」
男「――――!」ハッ
先輩「おい、どうなんだよ! このボンクラ野郎!」
男「それだ!」
先輩「え?」
男「先輩、ありがとうございます! やっと分かりました!」
先輩(なんなんだ、こいつは……)
男「――――!」ハッ
先輩「おい、どうなんだよ! このボンクラ野郎!」
男「それだ!」
先輩「え?」
男「先輩、ありがとうございます! やっと分かりました!」
先輩(なんなんだ、こいつは……)
その日の夜――
― フードコート ―
少女「わーい! わーい!」タタタッ
男「…………」
女「今日も相変わらずですね、あの子……」
男「うん……」ジッ…
少女「…………?」
少女(あれ、いつもと感じが違う……)
― フードコート ―
少女「わーい! わーい!」タタタッ
男「…………」
女「今日も相変わらずですね、あの子……」
男「うん……」ジッ…
少女「…………?」
少女(あれ、いつもと感じが違う……)
男「おい、君」
少女「な、なによ。いつもみたいに怒鳴らないの?」
男「怒鳴らない。その代わり、どうして君がやたら騒いでるのか、当ててやろう」
少女「へ? そんなのあんたに分かるわけ――」
男「君さ……ひょっとして、お母さんに叱られたくてやってんだろ?」
少女「!」ドキッ
男「……やっぱりな」
女「えっ、そうだったんですか!」
男「伊達に長年フードコートで人間観察してないよ」
女「すごい、フードコート探偵ですね!」
男(ずいぶんと活動範囲が狭い探偵だな……)
少女「な、なによ。いつもみたいに怒鳴らないの?」
男「怒鳴らない。その代わり、どうして君がやたら騒いでるのか、当ててやろう」
少女「へ? そんなのあんたに分かるわけ――」
男「君さ……ひょっとして、お母さんに叱られたくてやってんだろ?」
少女「!」ドキッ
男「……やっぱりな」
女「えっ、そうだったんですか!」
男「伊達に長年フードコートで人間観察してないよ」
女「すごい、フードコート探偵ですね!」
男(ずいぶんと活動範囲が狭い探偵だな……)
男「話……聞かせてもらえるかな?」
少女「うん……」
少女「実はお母さんね、お父さんに逃げられたの……」
男「え」
女「そんな……」
少女「それ以来、家にいる時もフードコートにいる時も抜けがらみたいになっちゃって……」
少女「昔はよく笑うお母さんだったのに……」
男「それで、お母さんを元に戻そうとして、あんなに暴れてたわけか」
男「きっと叱ってくれるはずだって」
少女「うん……ごめんなさい……」
男「いや、もういいよ。それより、お母さんを元に戻す方法を考えよう!」
少女「うん……」
少女「実はお母さんね、お父さんに逃げられたの……」
男「え」
女「そんな……」
少女「それ以来、家にいる時もフードコートにいる時も抜けがらみたいになっちゃって……」
少女「昔はよく笑うお母さんだったのに……」
男「それで、お母さんを元に戻そうとして、あんなに暴れてたわけか」
男「きっと叱ってくれるはずだって」
少女「うん……ごめんなさい……」
男「いや、もういいよ。それより、お母さんを元に戻す方法を考えよう!」
女「だけど、娘さんにも反応を示さない人をどうやって……」
男「うーん……」
受験生「ボクの出番のようですね」
中年男「オレもいるぜ」
男「うわっ、どこから湧いてきた!?」
受験生「人をゴキブリみたいにいわないで下さいよ……。さっきからフードコートにいましたよ」
中年男「オレたちは仲間だろうが!」
男「悪かった、悪かった」
中年男「昔はよく笑うおっかさんだったってんなら、やっぱり笑わすのがいいんじゃねえか?」
男「笑わせる、か……。怒らせるより、そっちのがいいよな。やってみよう!」
少女「みんな、ありがとう……!」
男「うーん……」
受験生「ボクの出番のようですね」
中年男「オレもいるぜ」
男「うわっ、どこから湧いてきた!?」
受験生「人をゴキブリみたいにいわないで下さいよ……。さっきからフードコートにいましたよ」
中年男「オレたちは仲間だろうが!」
男「悪かった、悪かった」
中年男「昔はよく笑うおっかさんだったってんなら、やっぱり笑わすのがいいんじゃねえか?」
男「笑わせる、か……。怒らせるより、そっちのがいいよな。やってみよう!」
少女「みんな、ありがとう……!」
中年男「んじゃ、オレからいくぜ」スタスタ
中年男「おい、あんた」
母「…………」
中年男「フードコートでラーメン食う時は、息をふーっど吹きかけて食えよ!」
母「…………」
中年男「すまねえ……」
男「おっさん、オヤジギャグ……の域にも達してないぞ!」
女「まあまあ」
受験生「偏差値でいうと30ぐらいでしょうかね」
中年男「おい、あんた」
母「…………」
中年男「フードコートでラーメン食う時は、息をふーっど吹きかけて食えよ!」
母「…………」
中年男「すまねえ……」
男「おっさん、オヤジギャグ……の域にも達してないぞ!」
女「まあまあ」
受験生「偏差値でいうと30ぐらいでしょうかね」
受験生「続いてボクがいきます」
受験生「数学が得意な目が歩いてる! ……アルキメデス」
母「…………」
シーン…
女「ア、アハハ……」
少女「お姉さん、笑ってあげるなんて優しいね」
男「悪い、おっさんと大してレベル変わらんぞ。分かりにくさを加味すると、おっさん未満かも」
受験生「そんなぁ!」
中年男「つか、アルキメデスってなんだよ?」
受験生「古代ギリシャの数学者ですよ! ボクが尊敬する人の一人です!」
男「尊敬してるならギャグに使うなよ……」
受験生「数学が得意な目が歩いてる! ……アルキメデス」
母「…………」
シーン…
女「ア、アハハ……」
少女「お姉さん、笑ってあげるなんて優しいね」
男「悪い、おっさんと大してレベル変わらんぞ。分かりにくさを加味すると、おっさん未満かも」
受験生「そんなぁ!」
中年男「つか、アルキメデスってなんだよ?」
受験生「古代ギリシャの数学者ですよ! ボクが尊敬する人の一人です!」
男「尊敬してるならギャグに使うなよ……」
男「んじゃ、次は俺な」
中年男「ふん、あの母親を笑わせんのは無理だぜ」
受験生「ええ、ボクですら無理だったんですから……」
女「いえ……」
女「男さんなら、きっと何かやってくれるはず……!」
少女「やれるかなぁ……」
男(大きく息を吸って……)スゥ…
中年男「ふん、あの母親を笑わせんのは無理だぜ」
受験生「ええ、ボクですら無理だったんですから……」
女「いえ……」
女「男さんなら、きっと何かやってくれるはず……!」
少女「やれるかなぁ……」
男(大きく息を吸って……)スゥ…
男「くぉのボクが、Bィィィ判定だぬぁんてェェェェェ!!!」
受験生「!?」
男「くぉのボクが、Bィィィィィ判定ィィィィィ!!!」
受験生「ちょっ、なにやってんですか!」
女「……ふふっ」
中年男「ハハハッ! 受験生のモノマネか!」
少女「キャハハ、おもしろーい!」
受験生「みんなまで笑わないで下さい!」
男「Bィィィィィィィィィィィ判定ィィィィィィィィィィィィ!!!」
母「…………」
母「――ぶふっ! ぶふぉっ!」
母「アハハハハハハハハハハハハッ!!!」
少女「お母さんが……笑った……!」
受験生「!?」
男「くぉのボクが、Bィィィィィ判定ィィィィィ!!!」
受験生「ちょっ、なにやってんですか!」
女「……ふふっ」
中年男「ハハハッ! 受験生のモノマネか!」
少女「キャハハ、おもしろーい!」
受験生「みんなまで笑わないで下さい!」
男「Bィィィィィィィィィィィ判定ィィィィィィィィィィィィ!!!」
母「…………」
母「――ぶふっ! ぶふぉっ!」
母「アハハハハハハハハハハハハッ!!!」
少女「お母さんが……笑った……!」
母「ふぅー、ふぅー、ふぅー……」
女「お水です」
母「す、すみません……」ゴクッ
母「久しぶりに笑いました……こんなに笑ったのは生まれて初めてかも」
中年男「顎が外れる勢いで笑ってたもんな。よほどツボに入ったんだな」
女「確かにかなり面白かったです!」
男「お前のおかげだよ」ニコッ
受験生「こんなことで褒められてもちっとも嬉しくないです!」
母「皆さん、本当にありがとうございました……」
母「あれだけ笑うと、夫のことも吹き飛んでしまいました」
母「これからはもう、娘に心配をかけないような母親になろうと思います……」
男「その意気ですよ!」
女「お水です」
母「す、すみません……」ゴクッ
母「久しぶりに笑いました……こんなに笑ったのは生まれて初めてかも」
中年男「顎が外れる勢いで笑ってたもんな。よほどツボに入ったんだな」
女「確かにかなり面白かったです!」
男「お前のおかげだよ」ニコッ
受験生「こんなことで褒められてもちっとも嬉しくないです!」
母「皆さん、本当にありがとうございました……」
母「あれだけ笑うと、夫のことも吹き飛んでしまいました」
母「これからはもう、娘に心配をかけないような母親になろうと思います……」
男「その意気ですよ!」
女「あ、そうだ!」
女「今度私が描くイラスト、お二人をモデルにさせてもらってもいいですか?」
男「お、それいいね。母と娘、か。親子ってテーマにピッタリだ!」
母「もちろん、かまいませんよ」
少女「うーんとかわいく描いてね!」
女「そうさせてもらうわね!」
少女「あ、それとさ、ギャラはたっぷり払ってもらうからね!」
少女「あなたがもらったお給料の七割ぐらいはもらわないと割りに合わないわ!」
女「えぇと、それは……」
男「七割て……」
女「今度私が描くイラスト、お二人をモデルにさせてもらってもいいですか?」
男「お、それいいね。母と娘、か。親子ってテーマにピッタリだ!」
母「もちろん、かまいませんよ」
少女「うーんとかわいく描いてね!」
女「そうさせてもらうわね!」
少女「あ、それとさ、ギャラはたっぷり払ってもらうからね!」
少女「あなたがもらったお給料の七割ぐらいはもらわないと割りに合わないわ!」
女「えぇと、それは……」
男「七割て……」
母「コラッ、なにいってるの!!!」
少女「!」ビクッ
母「ほら、謝りなさい!」
少女「ご、ごめんなさい……」
シーン…
男(ビックリした……!)
男(このお母さん、怒るとこんなに怖かったんだ……)
おわり
少女「!」ビクッ
母「ほら、謝りなさい!」
少女「ご、ごめんなさい……」
シーン…
男(ビックリした……!)
男(このお母さん、怒るとこんなに怖かったんだ……)
おわり
第四話『フードコートで酒ばかり飲んでるクソオヤジ』
― フードコート ―
男「お、今日はうどん? 好きだね~」
女「はい、あなたにおごってもらった思い出の一品なので」
男「思い出だなんて照れるな……」
フフフ… ハハハ…
中年男「うーん……」
男「お?」
女「あら?」
― フードコート ―
男「お、今日はうどん? 好きだね~」
女「はい、あなたにおごってもらった思い出の一品なので」
男「思い出だなんて照れるな……」
フフフ… ハハハ…
中年男「うーん……」
男「お?」
女「あら?」
男「あのおっさんが悩むなんて、雪でも降るかな?」
女「そんな……失礼ですよ。せいぜい雷にしておきましょう」
男(君もだいぶ失礼なような)
中年男「うぅ~ん……」
男「なんで悩んでるのか、気になるな……」
女「かなり深刻な表情ですもんね……」
男「よし、聞いてみよう!」
女「そんな……失礼ですよ。せいぜい雷にしておきましょう」
男(君もだいぶ失礼なような)
中年男「うぅ~ん……」
男「なんで悩んでるのか、気になるな……」
女「かなり深刻な表情ですもんね……」
男「よし、聞いてみよう!」
中年男「――なにを悩んでるか?」
中年男「こないだ……娘から結婚式の招待状が来たんだよ」
男「えっ!?」
女「なんですって!?」
受験生「娘さんがいたんですか!」
少女「おじさん、結婚してたの!? 相手はよっぽどの物好きだねー!」
中年男「うるせえよ! ……ってワラワラ群がってきやがって!」
中年男「まあ、とっくに離婚しちまって、今は離れ離れなんだがよ」
男「おっさんでも結婚できるなら、俺も希望はあるな……」
中年男「どういう意味だ!?」
女(よかった……結婚願望あるんだ……)
少女「なにホッとしてんのー?」ニヤニヤ
女「し、してないしてない! してないから!」
中年男「こないだ……娘から結婚式の招待状が来たんだよ」
男「えっ!?」
女「なんですって!?」
受験生「娘さんがいたんですか!」
少女「おじさん、結婚してたの!? 相手はよっぽどの物好きだねー!」
中年男「うるせえよ! ……ってワラワラ群がってきやがって!」
中年男「まあ、とっくに離婚しちまって、今は離れ離れなんだがよ」
男「おっさんでも結婚できるなら、俺も希望はあるな……」
中年男「どういう意味だ!?」
女(よかった……結婚願望あるんだ……)
少女「なにホッとしてんのー?」ニヤニヤ
女「し、してないしてない! してないから!」
男「それで、なにを悩んでるんです? まさか、着ていく服がないなんてオチじゃ……」
中年男「いや、行くかどうか迷ってるんだよ」
男「え、なんで?」
女「それは行くべきですよ! 一生に一度のことですもん!」
少女「二度以上あることもあるよ?」
女「そ、そうね……」
男「それはさておき、どうして行かないんです?」
男「招待状が送られてきたってことは、“来て欲しい”ってことじゃないですか!」
中年男「……こんな年中赤ら顔の酔っ払いがめでたい式に行けるかよ」
中年男「オレも恥ずかしいし、なにより娘の恥になっちまうじゃねえか……」
シーン…
中年男「いや、行くかどうか迷ってるんだよ」
男「え、なんで?」
女「それは行くべきですよ! 一生に一度のことですもん!」
少女「二度以上あることもあるよ?」
女「そ、そうね……」
男「それはさておき、どうして行かないんです?」
男「招待状が送られてきたってことは、“来て欲しい”ってことじゃないですか!」
中年男「……こんな年中赤ら顔の酔っ払いがめでたい式に行けるかよ」
中年男「オレも恥ずかしいし、なにより娘の恥になっちまうじゃねえか……」
シーン…
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