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    元スレ紅莉栖「岡部……えっち、しよ?」

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    51 = 1 :

    「この世界線の辿る未来について説明するよ。まず、牧瀬紅莉栖は、今から――10年後だったかな、アメリカで結婚して子供もできた頃になってから、過去の世界線の記憶を思い出すんだ。君との思い出も、ね」

    「何……!?」


    「そして、別世界線の記憶を元に、時間移動の研究に着手する。タイムマシンで牧瀬紅莉栖が何をしたかったのかは分からない――だけど問題は、彼女の書いた論文にロシアが興味を持ったことなんだ」

     思い出があれば、この世界線でも生きていける。

     そう言っていたのは紅莉栖だというのに、何を思ってタイムマシンを作るのだろうか。

     いや、思い出したからこそ辛いこともあったのだろうか。

     「なぜ今更思い出すのか」と思ったかもしれない。

     想像することしかできないが、あるいは使命を忘れて生きていた橋田鈴――「失敗した」阿万音鈴羽――のように、苦しみを味わったのかもしれない。


     そして中鉢論文。β世界線においてDr中鉢がロシアへと持ち込んだあの論文も、元はと言えば紅莉栖の書いたものだった。

    「論文を元に、大国同士のタイムマシン開発競争が始まり、それが第三次大戦の引き金となる。私が来た未来は、そういう世界」

    52 = 1 :

    「……なるほど、β世界線にそっくりだな」

    「うん、私はβ世界線については岡部倫太郎から聞いただけだけどね。牧瀬紅莉栖が死んだ世界……なんだよね」

    「そうだ。だがお前の話からするとこの先の未来では紅莉栖は生きているのだろう?なぜ今の紅莉栖は消えて……誰からも認識されなくなってしまっているのだ!」

    「この世界線が、β世界線に近づきすぎているから。アトラクタフィールドの収束に巻き込まれて、この世界線でも牧瀬紅莉栖は死んだことになりかかっている」

     だがおかしい。紅莉栖が現時点で死んでいるならば、未来で論文は書かれない。

     ならば戦争も起きない。β世界線の状況に近づくことも無く、アトラクタフィールドの収束も受けない……?

    「紅莉栖の存在が……矛盾を引き起こしている?」

    「気づいたみたいだね、岡部倫太郎。これは親殺しのパラドクスだよ」

    「!!」

    「β世界線に収束するならば牧瀬紅莉栖は死んでいなければおかしい。だが牧瀬紅莉栖が死んでいてはβ世界線に近づかない。
    そのためにこの世界線は、『牧瀬紅莉栖が生きている世界』と『牧瀬紅莉栖が死んでいる世界』が、いわば重なり合ったようになっているんだ」

    53 = 1 :

     そんなことが……起こり得るのか?

    「案外、今父さんや椎名まゆりにでも電話すれば、普通に牧瀬紅莉栖の事を覚えてるかもよ?牧瀬紅莉栖はいたりいなかったリしているんだ。さっきの私、みたいにね」

    「鈴羽、お前……」

    「いやー、未来から無理やり不安定な世界線を遡ったからね、私の存在自体がかなり不安定になってるみたい。ま、予想した通りだけど」

    「それは……未来へと帰れば元に戻るのか?」

    「多分無理かな?あはは、そんな顔しないでよ岡部倫太郎!君がしっかり、SG世界線を安定させてくれれば済む話なんだからさ!」

    「SG世界線を安定させる、だと……?そんなことが可能なのか!」

    「可能だと、そう言ったのは君だよ。いや、これから随分先の未来で言うんだ」

     また、未来の俺か。自分に対して言うのもナルシストのようで変な気分だが、それなりに信頼は出来るのかもしれない。なんせ、SG世界線へと俺を導いた実績があるからな。

     それに、信頼できようができまいがやるしかない。紅莉栖だけじゃない、鈴羽の存在もかかっていると知ってしまったのだ。

    54 = 1 :

    「それで、具体的にはどうすればいい?」

    「まず、君にはタイムリープマシンを作ってもらう。設計図は未来の君が用意したから、今渡すね。ハイこれ」

    「ほう、準備のいいことだ。だがタイムリープマシン自体を持ってくるのではまずかったのか?」

    「そうすると、私と同様にタイムリープマシン自体の存在が不安定な物になる危険性があった。タイムリープの瞬間にマシンが『無かったこと』になったら……どうなるか想像もつかないでしょ?」

     なるほど、それはちょっと考えたくないな。

    「それで、俺はいつに戻って何をすればいいんだ」

    「そう、それは……実は……」

    「うむ」

    「実は……」

    「実はなんなのだ。焦らすでない」

     みの○んたではあるまいし。

    「…………教えてくれなかった!」

    「な、な、なんだとう!」

    55 = 1 :

    「テヘッ☆」

    「テヘッではないわこのアラサーが!あ、ごめんなさい謝りますからその目はやめて頂けますでしょうか、はい、申し訳ございませんでした。」

     殺されるかと思った。Mr.ブラウンに匹敵する殺気だ。

    「よろしい……岡部倫太郎は、具体的にどうすればいいかは教えてくれなかったけど、ヒントはくれたよ」

    「何、それをさっさと言え!」

    「ええと、『収束において、人間の生死は非常に大きな意味を持つ。収束の力によっても、複数の人間を強引に殺すことはできない。』だってさ」

    「む、むぅ……?」

     なんだか分かるような分からんような……

    「あれ?何をすればいいか分からない感じ?こう言えば岡部倫太郎なら分かるはずだって……」

    「とりあえず、現時点では分からん」

    「あ、そういえばもう一つ未来の君から伝言があった」

    56 = 1 :

    「だから、そういうことはさっさと言えと!」

    「『分からなかったらタイムリープマシン作りながら考えろ。たまにはその残念な脳細胞を働かせろ』ってさ」

    「ぬわぁんだとぅ!このIQ170の灰色の脳細胞を残念だと!」

     聞き捨てならん、そんなことを言った馬鹿をここに連れて来い!論破してやる!

    「ちょ、ちょっとそんなに怒らないでよ!それ言ったの未来の君だからね!とにかく伝えることは伝えたから!私はこの時代観光してくるー!」

     そう言い残して、アラサーとは思えない健脚で走っていく。

    「待てえい鈴羽!あ、おいコラほんとに待て!連絡手段とかー!くっ、本当に行ってしまうとは……ここからは俺一人でやれということか」

     今まで何度も俺の行動の指針を示してくれた鈴羽がいないというのは、少し不安な気持ちになる。

     だが、未来の俺がこれで大丈夫だと判断したのだ。それを信じようではないか。

     手のひらに残されたタイムリープマシンの設計図に目を落とす。

    「まずは……パーツの買い物だな」

    57 = 1 :

    「ダル!まゆり!新たな未来ガジェットを製作するぞ!歴史的発明を手伝う栄誉をくれてやろう!」

    「はいはい、今度はどんなガラクタを作るんだお……」

     ダルにコピーした設計図を1部渡してやる。

    「ん、これ設計図?なんぞこれ?何をする機械なのかさっぱり分からん件。ってかこんな複雑なんオカリン書いたの?」

    「ふっふっふ、それは確かに俺が書いた物だ。ちなみに機能は……今は秘密だ」

     俺が書いた。ただし未来の。

    「いやオカリンが書けるとは思えないんだけど……ところどころに書き込んである注意書きがオカリンの字っぽいんだよなー」

    「未来ガジェット作るの?久しぶりでまゆしぃはなんだかうれしいのです。ごはん買ってきたり飲み物買ってきたりしてお手伝いするねー」

    「よろしい。いざ、ラグナロックを始めん!」

    「一体オカリンは何回終末を迎えるつもりなんだお……」

    58 = 1 :

     タイムリープマシンを作りながら、俺は未来の俺に言われた言葉について考えていた。

    「人の生死が重要……それも複数の、か……」


     α世界線では、死ぬ時期に多少の差異はあれど、必ずまゆりが死ぬ。β世界線では、紅莉栖が死ぬ。世界線の収束は、多少の出来事などの変化は許容できても、人間の生死の違いは許容できないのだろう。

     だから、世界線が収束する時はかなり強引にでも人を殺して辻褄合わせをする。


     だが、「収束は複数の人間を殺せない」。世界線の収束力と言えど、人間をいきなり心臓麻痺にするような横紙破りは一人が限界なのだろうか。

    ……つまり、α世界線にとってのまゆり。β世界線にとっての紅莉栖のような人間が他にもいれば、SG世界線は両者からの収束の影響を受けない、完全に自由な世界線となることができる……?


    「ねえねえオカリン、何か難しい顔をしてるよ?」

    「ああ、ちょっと考え事をしていてな」

     いかんな、まゆりが心配するような顔をしていたか。

    59 = 1 :

    「そういう時は知的飲料だよ!はい、ドクペドゾー」

    「ドモドモー」

     ゴクリと飲むと、脳細胞へとエネルギーが充填されていく気がする。疲れた脳で考えても良い閃きは来ないものだ。まゆりには感謝だな。

     しかし、まゆりや紅莉栖のような人間が他にもいれば、か。そんな人間が居ないから収束の影響を受けているというのに。居もしない人間を作り出すことなどできは……

     ん?人間を作り出す?

     人間を……

    「ブブウー!!!!」

     まてまてそれはあり得ないだろ常識的に考えてそんなまさか

    「ちょ、おまオカリンきったね!つうかパーツにドクペかかってるお!いい加減に汁」

     いやいや、ない無いナイない。さすがにねーから。

    「何ブツブツ言ってるお……あーあ、このパーツは駄目だわ。オカリンさっさと替えを買ってくるお!」

    60 = 1 :

    「3980円でーす」

     地味に痛い出費になってしまった。まあ仕方がない、自分がパーツを駄目にしたのだから……

     だが、外出したことで少し落ち着いてきた。これなら冷静に先ほどの考えを検証できそうだ。

     人間を作り出す……すなわち、子作り。

     考えるだけで恥ずかしくなってくるが、ちょっと真面目に検証してみようではないか。

     仮にタイムリープマシンで過去へ戻り、紅莉栖との間に子供をもうけたとしよう。

     紅莉栖で考えるのは、仮定の話でも他の女性となど考えられないからだ。悪しからず。

    61 = 1 :

     さて、仮に子供が出来たとすると、紅莉栖が死んでしまうβ世界線には間違いなく存在しない人間となる。


     その状態でβ世界線の収束範囲に触れるとどうなるか。紅莉栖とその子が死んでβ世界線へと収束する……ことにはならないらしい。

     未来の俺がどう検証したかは分からないが、「複数の人間が収束に殺されることはない」からだ。


     同様に、α世界線において紅莉栖と俺の間に子供ができたというような話は聞いたことが無い。

     あの世界線でのラウンダーの襲撃以降のことを考えれば、子供ができた可能性は非常に低い。

     つまり、α世界線に対しても、まゆりと紅莉栖の子の二人が存在しない人間になり、強引な収束は不可能になる。


     あれ?これいけるのではないか?

     いやいや待て待て、俺は紅莉栖とヤりたいが為に無意識に結論を誘導してはいないだろうか。タイムリープしてヤってみて「駄目でしたー」ってなったらどうする。

     はあ、ヤるべきかヤらざるべきかとか真剣に考えていると、自分が非常に残念な人間に思えてくるな……

     まさか未来の俺、『残念』な脳細胞を働かせろって、こういう意味だったのか……?

    62 = 1 :

     数日後。

     結局他の手段は思いつかなかった。上手くいく確証はないが、こうなればやってみるしかあるまい。

     もしも本当に未来の俺が子作り作戦を考えていたなら、鈴羽に詳しい作戦を教えなかったのも納得できるというものだな。こんなん伝えられるか。


     俺がヤるぞヤるぞと犯罪者じみたかなり危ない意思を固めていた時、不意にダルが声を上げた。

    「ふぅーう、できたお」

    「何、本当かダル!さすがは我がラボの誇るスーパーハカー!」

    「ハカーじゃなくてハッカーでよろ。というか、ハッキング能力関係ねーしこれ。つーか人が頑張ってる時に言い出しっぺのオカリンは何ドクペ飲んでくつろいでるん?」

     だって、俺でも手を出せるような場所がなくて……じゃない、我が右腕の力を信頼していただけのことよ!

    「ごくろうだったダルよ。貴様も飲むがいい」

    「ここでキンキンに冷えたダイエットコーラとは、オカリン分かってるぅー!」

    「あーあダル君に負けちゃった、競争してたのに。でも……これでコスも完成っと♪」

    63 = 1 :

     俺は完成したタイムリープマシンを見る。

     かつて紅莉栖が考案し作り上げた物と比べると、ヘッドホン部分は変わらないものの本体が随分と大型だ。SERNにハッキングをかけてLHCを借りずとも、これ単体でタイムリープが可能になっているらしい。

     俺がダルの協力を得られない、あるいはハッキングに失敗する可能性を考慮したのだろうか。不確定要素は少ない方が良いと未来の俺は考えたのだろう。

    「で、勢いで完成させちゃったけど……オカリン、なんぞこれ?」

    「フムン、では使う所を見せてやろうではないか。そうすればこれが何か、おのずと分かるであろう」

     嘘だ。これを使う所を見たところで何の機械か分かることはない。

     あえて説明しないのは、ダルたちにこれが何か説明するのが面倒というのもあるが、ちょっとした保険でもある。

     リーディングシュタイナーの能力は誰でも持っているもの。ならば、別世界線の記憶を元にタイムリープマシンを作り上げてしまう可能性は、少しでも低い方が良い。

     マシンのセッティングをし、ヘッドホンを頭に装着する。

     移動先は……3年前。俺が紅莉栖と恋人同士になり、またそれを無かったことにした、あの日がいいだろう。

     あの日へと戻り、俺は……紅莉栖と子作りをするのだ!

    「フフフフ、フゥーハハハハ!いくぞダル、まゆり!マシン起動!」

    「うわ、なんだこれ!熱っ!放電!?放電だ!」

    「お、オカリン大丈夫ー?」

    「フゥーハハハ!これより!ラグナロックは!最終局面へと到達する!」

    64 = 1 :

    「かべ……岡部?ねえ、どうしたの岡部?」

     懐かしい声……そう何年も聞いていないわけでもないのに、随分久しぶりに聞く気がする、愛しい声が呼びかけてくる。


    「……俺だ、機関の……機関が、なんだったか……くっ、追って連絡する」

     俺は慌てたふりをしながら、携帯をポケットにしまう。さりげなく日時を確認するのも忘れない。確かに、あの日の……ラボに帰る途中だな。

    「ちょっと、突然止まったと思ったら、妄想電話の内容思いつかなかったとか?プークスクス」

    「妄想などではない!これは……」

    「はいはい分かりました、鳳凰院凶真さん」

    「くっ、助手の分際で愚弄しおって」

     今までタイムリープや世界線移動のたびに周囲に心配をかけてしまったが、これだけやればさすがの俺も学習する。

     今の演技は我ながら素晴らしかった。紅莉栖は全く不審に思っていないようだ。

     これから恋人に……いや、近いうちに家族となる相手に、余計な心配はかけたくない。

     この後ラボに誰もいないことも俺は知っている。だが、自然に演技しきってみせようじゃないか。

    65 = 1 :

    「フゥーハハハハ!戻ったぞ、我がラボメンたちよ!」

     無人の室内に俺の声が響きわたる。

    「なんだ……誰も居ないではないか……このラボの長たる鳳凰院凶ぉぅ真!が戻ったというのに出迎えも無しか!冷たいではないか!」

     ラボメン達が俺と紅莉栖を二人きりにするためにメイクイーンで時間を潰しているのも知っている。その温かさにニヤけそうになる。

    「みんな岡部のこと心配してたんだからそういう言い方は無し。けど、誰も居ないのは珍しいわね……岡部ー、ドクペ飲む?あんたが居ない間もまゆりが買ってきてたのよ」

     以前は返事をせずに紅莉栖を心配させてしまったな。そこまで再現する必要もあるまい。

    「うむ、頂こう。ありがとう紅莉栖」

    「ふぇっ!何よ急にそんな……どう、いたしまして……」

     ふっ、名前で呼んだだけで照れるとはな。テレスティーナめ。

     くぅーッ、赤くなる紅莉栖を眺めながら飲むドクペはいつもの3倍うまいな!

     さて、我が灰色の脳細胞にエネルギーがいきわたった所で、いよいよ勝負と行こうか。

    66 = 1 :

    「紅莉栖……大切な話がある、聞いてくれ」

    「うん……」

     真剣な雰囲気を感じてか、恥ずかしがりつつもまっすぐこちらを見つめてきた。

    「紅莉栖、俺はお前が好きだ」

    「ちょっと……どうしたのよ?改まって」

    「だから、今の関係に物足りなさを感じている」

    「!!それって」

    「俺はお前と、恋人になりたい。付き合ってくれ、紅莉栖」

    「岡部……嬉しい」

     紅莉栖の目が潤んでいる。今にも涙がこぼれそうだ。だが、以前と違い、しっかりこちらを見つめてきている。

    「私、ずっと岡部と恋人同士になりたかった。岡部から聞いた、別の世界線の話でも説明がつかないくらい。ずっと、ずっと長い間、そうなりたかったような気がするの」

     もしかすると。俺と恋人になれなかった未来の記憶も、なんらかの形で今の紅莉栖に受け継がれているのだろうか。

    「だから、岡部。これから、よろしくお願いします」

     そう言って、紅莉栖は俺にキスをした。

     唇からの信号が、脳をビリビリと痺れさせる。懐かしい痺れに、俺は……

    67 = 1 :

    「!!プハッ!」

     紅莉栖を突き飛ばした。

    「キャッ!お、岡部……?」

     なぜ忘れていたんだ!あの時、キスと同時に眩暈に襲われて……おそらくはリーディングシュタイナーが発動し、α世界線へと入ってまゆりは死んだのだ!

     だが、今の所、眩暈は感じていない……リーディングシュタイナーは発動していないのか?

    「岡部、真っ青な顔してる……大丈夫?」

    「すまない、紅莉栖……突然突き飛ばしたりして……大丈夫だ」

     冷静になれ。もしまゆりが死んでしまったとして、鈴羽がタイムリープマシンを持ってきてくれる……はずだ。まだ取り返しのつかない状況ではない。

     だが、現時点でまゆりが無事かは確認しておきたい。

     目の前では紅莉栖が不安そうな顔で俺のことを見ている。

    「紅莉栖……すまない、非常に大事な電話を一本入れなければならない。少しだけ、ここで待っていてくれるか?」

     紅莉栖の前で電話をしてもいいのだが、まゆりの安否確認などしてはこいつに余計な心配をかけてしまうだろう。

    「岡部……本当に大丈夫なの?体調とか……」

    「大丈夫、すぐ戻るよ。……愛してる、紅莉栖」

    「あ、愛し……」

    68 = 1 :

     紅莉栖が機能停止した隙に、ラボの玄関を出て電話を掛ける。

     相手は……ダルがいいか


    「もしもーし、オカリーン?無事戻ってきたお?」

    「ああ、そのことは大丈夫だ。……まゆりはそばにいるな?」

    「まゆ氏?いるけど電話かわる?」

     思わず息をつく。どうやら現時点ではまゆりは無事なようだ。

    「いや、その必要はない。特にまゆりに変わった様子はないな?」

    「うん、元気にオムライス食べてるお。なになに、そんなにまゆ氏の事が心配なのかお?ハーレム爆発しろ!」

    「別にハーレムではない。ではまた」

     電話を切り、紅莉栖の元へと戻った。すぐに戻ると約束したからな。


    「すまなかった紅莉栖。こんな大事な時に突然電話などと」

    「駄目、許さない」

     くっ……先ほどの精神攻撃(愛してる)からは既に復帰していたか。

    「どうしても許してほしければ……キス、して」

    「お安い御用だ」

     ふぅ、どうやら致命的に嫌われたわけではないようだな。安心したぞ。

     そっと紅莉栖を抱き寄せ、唇を重ねた。


     ちなみに、完全に許してもらうまでは10回のキスが必要となった。

    70 = 1 :

     なぜまゆりが無事なのか。

     以前鈴羽は、SG世界線ではタイムリープマシンで過去の行動を変えるだけでも微細なダイバージェンスの動きがあると言っていた。

     おそらく、俺の行動が微妙に変わったことの影響で以前とは違う世界線の動きになり、まだα世界線のアトラクタフィールドに侵入していないのだろう。

     だが、世界線の動きをコントロールできているわけではない。

     今、この瞬間にもまゆりが倒れるかもしれないのだ。

     急いでミッションを達成せねばならない。


    「それじゃあ、入るぞ」

    「ど、どうぞ。ちょっと散らかってるけど」

     俺は紅莉栖の泊まるホテルの部屋に来ていた。


     付き合い始めたその日のうちにホテルとか我ながら軽く引くが、紅莉栖はそこまで嫌がることはなく連れてきてくれた。

     嫌がられず良かった。余計に時間をかけるほど、アトラクタフィールドに侵入してしまう可能性も上がるだろう。

     すなわちそれは、まゆりの死の危険が上がっていくことを意味するのだから。

    71 = 1 :

    「岡部ー、ドクペ飲む?それともコーヒーがいい?」

     時間をかけるのはよくない。

     ならば、すぐにでも――

    「岡部?どうしたの……キャッ、急に引っ張らないで!」

     紅莉栖の手を引き、そのままベッドに押し倒す。

     紅莉栖のシャツのボタンを外していく。紅莉栖が動くのでなかなか外せずもどかしい。

    「おかっ、べ、待って!その、心の準備が…おかべ、おかべ!」

     うるさい、急がないとまゆりが――

    「岡部!」

     紅莉栖に思い切り突き飛ばされた。

    「岡部……怖いよ……」

     紅莉栖の目の端から一粒の涙が落ちる。

     俺は――何をやっているんだ。

     これではレイプではないか。

     紅莉栖を……誰より大切な人を……また、傷つけてしまった。

    「……すまない」

     そんな言葉しか出ない自分に嫌気が差す。

     どうしていいか分からず、紅莉栖に背中を向けて座った。

    72 = 1 :

    「岡部……さっきはごめんね」

     後ろから少し震えた声を掛けられる。紅莉栖はまだ泣いているのだろうか。

    「何を言っている。完全に俺が悪い」

    「ううん、私も。急だったからびっくりしちゃっただけで、こうやって、求められるのは……その、嫌じゃない、っていうか。
    それなのにあんな風に拒絶しちゃって……岡部の気持ちも考えないで、ごめんね」

    「相手の気持ちを考えなかったのはこちらのほうだ。すまない」

     ふと、背中に体温を感じた。紅莉栖が、背中に寄り掛かって座っているようだ。


     苦笑まじりに、紅莉栖が言う。

    「じゃ、お互い様、おあいこってことで。けど、さっきの岡部すごい形相だったわよ?童貞乙、必死だなwwwって感じで」

    「……」

     俺は、いったいどんな顔をして襲い掛かっていたのだろうか。想像もしたくない。

    「あのさ、岡部。何をそんなに焦っているのか知らないけど。『どうしても今やる必要があるんだー』、みたいな顔してたよ?
    こういうのって、なんというか……必要に駆られて無理にするものじゃないでしょ。単に、理由なんて無くお互いに求めあって行為に至る、そういうもの……
    って、何こんなこと真面目に話してるんだろ私、恥ずかし」

    ――そういうものは必要に駆られて無理にするものではないだろう?

     いつか、俺が紅莉栖に言った言葉。

     紅莉栖の方に向き直る。

    「紅莉栖……すま……いや、ありがとう」

     そっとハグして、頭を撫でた。

    「岡部……良かった、いつもの顔に戻った」

     そのままキスをする唇が触れるか触れないかという程度の、軽い接触。

    「ん……岡部、やっぱり優しいね。そういう所、とっても好きよ」

     ならば、精一杯優しく触れ合おうではないか。

     焦ることはない。まゆりのことは今は考える必要はない。もしものことがあっても、最悪タイムリープという手もあるのだ。

     今は、目の前の、愛しい人のことだけを見て、感じて、愛し合おう。

    73 = 1 :

     割れ物を扱うように、そっと紅莉栖の体を寝かせる。

     先ほどと違い、安心した表情で身を任せてくれている。そのことがたまらなく愛おしく感じ、思わずキスをする。

    「んう……おかべぇ……」

     紅潮させた頬、滑らかな首筋、小さなおでこ……紅莉栖のすべてが可愛らしく見えて、そこらじゅうにキスをしていく。

    「おかべ……好き……」

     そう言われては、全力を出さずには言われない。紅莉栖には悪いが、「予習」の成果を使わせてもらおう。

     わざと少し耳に息がかかるようにして、そっと囁く。

    「俺も、紅莉栖が好きだ」

     紅莉栖が体をビクりと震わせる。構わずに、耳たぶを口に含み、チロチロと舐める。

    「んぅっ、く……ふぅ……」

     必死に声を抑えようとしているが、それでも声が漏れてしまうようだ。恥ずかしさに顔を真っ赤にしている。

     徐々に舐め方を大胆にしていく。時々ピチャリと音を立てるようにするのも効果的なのを俺は知っている。

    「ん!ああ、やあ!」

     もはや全く声を抑えられていない。舌の動きに合わせて紅莉栖の体がビクビクと跳ねる。

     耳を舐めながら手を太ももに這わせる。ストッキングの手触りをしばらく楽しんだ後、軽く爪を立てて内ももをなぞる。

    「―――!!はあっ、やめっ!」

     目を白黒させながら身をよじって逃れようとする。だが、逃がしてやらない。こうやって爪を立てられるのも好きだと知っているからだ。悪いな。

    「おかべ、おかべ!んっ!……んちゅ……」

     執拗な責めに耐え切れなくなったのか、頭を掴まれて強引にキスされてしまった。できるならもうちょっと耳を味わいたかったのだが。

    「はぁ、おかべ……すごい……これ、検証……証明、しないと……」

     息も絶え絶えといった様子で、舌も回っていない。その目を見れば何をしようとしているか手に取るように分かった。実験大好きっ子の目だったからだ。

     紅莉栖に覆いかぶさる姿勢から、体を入れ替えてやる。

     俺たちは、お互いが研究者であり被験者だ。

    74 = 1 :

     一通り全身の「実験」が終わったあたりで、いよいよ切り出す。

    「紅莉栖……入れたい。入れて、いいか?」

     紅莉栖は横を向いて目をそらした。

    「紅莉栖、俺の目を見てくれ」

     そっと頬に手を当て、しっかりと紅莉栖の目を見て告げる。

    「責任は取る。信じろ」

    「………バカ」

     また、プイッと横を向かれてしまった。

    「岡部、またさっきみたいな焦ってる顔になってるわよ?」

    「!!……そんな顔、してたか」

    「……ちょっとだけ。大体、入れたいって言っても、避妊具も用意してないでしょ?そのまま……やるの?」

    「ああ……責任は、取る」

    「バカ……そんな簡単に言って……」

     やはり無理があっただろうか。こうなれば仕方がない。後日に……

    「でも、そんな顔で頼まれたら断れないじゃない」

    「!!」

    「私の勝手な思い込みかもしれないけど。岡部は自分の為に無理な頼みをするタイプじゃないと思ってる。
    なんでこんなことしてるか全然想像つかないけど……何か理由があるんでしょ?」

     こいつは、本当にいつも俺の考えを見通しているな。

    「ああ……そうだ」

    「いつか話せ。それなら許す」

    「ああ……約束しよう」

    「絶対だからな」

     紅莉栖がキスをしてくる。

     長い、長いキスだった。

    75 = 1 :

     紅莉栖の体に手を這わせ、茂みの奥の谷間を目指す。

     初めてならば、指でほぐしてからの方がいいだろう。

    「つっ……優しく、触って」

    「すまない……こうか?」

     話をしている間に乾いてしまったようだ。キスをしながら、恐る恐る愛撫してみる。

     そのうち、徐々に指先に濡れた感触がしてきた。

    「ん……いけるかも……ちょっと、指、入れてみて」

    「分かった、痛かったら教えてくれ」

    「ん」

     手探りで見当をつけ、そっと指を入れていく。指が温かな感触に包まれる。深い。どこまでも沈んでいきそうだ。

     紅莉栖の表情を見ながら、そっと動かしてみる。

    「どうだ」

    「大丈夫……ねえ岡部、私……早く、『実験』進めたい……かも」

    「そんなこと言われたら止まれんぞ」

    「やめる気ない癖に……それに、こ、これは『実験』なんだからな……何も、問題はないわ」

     言っている意味が良く分からないが、単に恥ずかしいのだろう。

     俺も恥ずかしいので、ここは紅莉栖にのっておく。

    「じゃあ、次の実験に移るぞ」

     紅莉栖に覆いかぶさり、このあたりが入口だろうというあたりにあてがう。

    「行くぞ、紅莉栖」

     ぐっと押し付けてみる……全く入っていく気配がない。

     位置か?角度の問題か?いや、紅莉栖のこわばった表情から推測するに、緊張で力が入ってるのか?

    「紅莉栖、ゆっくり深呼吸をしてみろ」

    「う、うん……」

     頭を撫でながら話しかける。

    「大丈夫だから。力を抜いてみろ」

    「じゃあ……キスして。キスしてくれたら、安心できる……気がする」

    「分かった」

     そっと唇を重ねる。そのまま腰に力を込めてみると、ずぷりと沈み込んだ。

    76 = 1 :

     そのまま押し込んでいくと……ブチ、と何かを引きちぎる感触があった。

    「つ……」

     紅莉栖が苦悶の表情を浮かべる。

     その表情が。肉を引きちぎる感触が。ラジ館で紅莉栖を刺し殺した時を思わせ。

     強烈なフラッシュバックに襲われる。

     思わず唇を離す。

    「う……ああ……」

    「ちょっと岡部?……って、何であんたが泣いてんのよ。普通逆じゃないの?」

     紅莉栖が苦笑している。

    「大丈夫だから。少し痛いけど、嫌な痛さじゃないっていうか。大丈夫だから、そのまま来て」

     穏やかな笑みを向けられて、フラッシュバックが治まる。落ち着け、紅莉栖だって不安だろうに、俺が取り乱してどうする。全く、情けない姿を見せてしまった。

    「ああ、ありがとう。いくぞ」

     再び、少しずつ押し込んでいく。取り乱した間に少ししぼんだおかげか、するりと奥まで入ってしまった。

     熱い物に覆われた感触と、ぴたりとくっついた互いの下腹部が、確かに二人が繋がっていることを伝えてくる。

    「入った……んだよね」

    「ああ」

    「ふふ……なんか不思議な感じ。でも、すごく嬉しい」

    「ああ、俺もだ……」

    「おかべ……」

    「紅莉栖……」

     どちらからともなく、キスをする。紅莉栖の目の端に涙が溜まっている。俺も、不思議と勝手に涙がこぼれそうになった。


     俺たちは繋がったまま、何度も何度もキスを繰り返した。

    77 = 1 :

    「……少し、動いてみるぞ」

    「うん、いいわよ」

     キスをしている間に、すっかりと硬さを取り戻していた。動いて大丈夫かは不安だったが、もう我慢ができない。

     ゆっくりと腰を前後させる。

    「んっ……くぅ……」

     自分のわずかな動き一つ一つが紅莉栖に伝わり、反応が返ってくる――そのことが、伝わる感触以上に俺に快感を与える。

    「んっ……不思議ね……出そっ…うと思ってないのに勝手に声が出るなんて……んっ……データを……とらなきゃ……」

     紅莉栖がつぶやき、悪戯っぽい目をこちらへと向ける。

    「だから、もっと、して?」

     それを聞いた瞬間、俺の中で何かが爆発した。

    「紅莉栖、紅莉栖、紅莉栖!」

     わけもわからず紅莉栖の名を呼ぶ。腰が自分の意思と関係なく動いている。

    「おかべ、おかべ!きて!おかべ!」

     名前を呼ばれるたびに、頭が白く塗りつぶされていく気がする。

    「紅莉栖!っはあ、はあ、紅莉栖!」

    「おかべ!おかべ!」

     どんどん白くなる。

    「紅莉栖ー!」

    「おかべっ!」


     そして、完全に世界が真っ白になった。

    78 = 1 :

     真っ白な世界から戻ってくると、ガクリと全身から力が抜けた。

     眩暈がし、急激に眠気が襲い掛かってくる。意識を無理やり吸い出されていくかのようだ。

    「紅莉……栖」

     力を振り絞り、声を掛ける。

    「愛している」

     キスをしようとした所で、意識が暗転した。

    79 = 1 :

     これは夢……だろうか。

     世界がグルグル回るような不快感。頭がボーっとしてうまく働かない。この感じは、子供の頃に熱を出した時の夢……?

     誰かが俺のことを心配そうに見ている。紅莉栖だ。

     子供の頃に熱を出した時なら紅莉栖がいるはずないのに。

     まあ、夢ならなんでもいいか。 




     目を覚ますと、目の前に紅莉栖の顔があった。

    「……おはよう。今何時だ?」

     紅莉栖がやけに心配そうな顔をしているのが気になる。

    「4時よ。ちなみに午後の」

    「なに?随分と寝過ごしてしまったようだな」

     慌てて体を起こす。寝すぎたせいか……それとも昨日の『実験』がこたえたか、体がだるい。

    「そのまま寝てなさい。あなた、すごい熱出してるんだから」

    「そうだったか、心配かけたな。だが、熱はもう下がった気がするぞ」

     話しているうちに、寝ぼけた頭がすっきりしてきた。熱っぽい感じはない。

    「本当?」

     紅莉栖が額同士を合わせてきた。

     そんなに顔を近づけたら、また熱が上がるかもしれないだろうが。

    「んー、確かに下がってるわね。けど無理しないで寝てて」

    「すまないな、お言葉に甘えさせてもらうとしようか」

    80 = 1 :

     横になりながら考える。

     寝ている時に感じていた感覚はきっと夢なんかじゃない。子供の時、2000年問題の時と全く同じ感覚に、同様の高熱。ならば、世界線の分岐点で発動したリーディングシュタイナーの可能性が高い。

     では、その分岐とはどのような物か。推測だが、「SG世界線がα世界線に飲み込まれる」場合と「SG世界線が独立を保つ」場合の分岐だ。

     そして、熱が収まったということは分岐点を通りすぎ、世界線が確定したと考えられる。

     現時点で紅莉栖が慌てたりしている様子が無いので、まゆりの身に何かあったということは無さそうだ。つまり、ここはα世界線ではない。

     以上のことから導き出される結論は――

     俺は、枕元に置いてあった携帯を手にし、耳に当てる。

    「俺だ。ついに機関の殲滅に成功した。……そうだな、以前の約束通り、俺は組織を抜けさせてもらう。
    ああ、これが世界の――いや、俺の責任という物だ。エル・プサイ・コングルゥ」

     携帯を置くと、紅莉栖が呆れ顔でこちらを見ていた。

    「そんな馬鹿やってる余裕があるなら本当に平気そうね。私、コンビニ行くけど、ごはんは普通の物食べられそう?」

    「ああ、なんでも大丈夫だ。助かる。それと、一つ頼みたいことがある」

    「なに?」

    「……タウンワークを持ってきてくれ」

     これから要りようになるだろうからな。

    81 = 1 :

     俺の推論が正しければ、俺と紅莉栖の子が生まれる世界線で確定した可能性がある。

     いずれは結婚して家庭を持つかもしれないということは妄想することはあったが、まさかこんなに早くとはな。

     俺はまだ大学生だし、紅莉栖はアメリカでの研究だってある。これからは忙しくなりそうだ。

     だが、これも――

    「これもシュタインズゲートの選択、か」

    82 = 1 :

         ( ゙、_.`゙ _n_    .`_゙  , __  __  ::γ,r'"''t!: .
        `''- 、ヽ.゙f!''γ゙ニヽ1| 1!'".゙f! (、_`゙ o::{. {::::::t-r ''~〕! 十 γ゙ニヽ
        f 、__ノソ l:しヽヾ_ィ 」:!_._!L j.l_ ,、,_) i7::ヽヽ ノ_j:: ど,j!、 lレヾゞ
         ~ ̄~ .~   ̄         ̄
    ―境界領域のライトニングボルト―                       完

    83 = 1 :

    くぅ疲。これにて終了。
    無駄に長いし駄文だが楽しんでくれる人が一人でもいてくれたら嬉しい

    ちょっとエロ描写に恥ずかしくなってきたので枕に顔うずめてバタバタしてくる

    84 :

    乙!面白かったし完走してくれて良かったよ!
    着床成功ハッピーエンドってことでいいんよね?

    85 = 1 :

    >>84
    ありがとう
    ハッピーエンドだけど岡部の甲斐性で養っていく未来が見えない
    家計をクリスに頼って呆れられてそう

    86 :

    面白かった!

    87 = 1 :

     オマケ―省略された実験風景の一部



    「ふむぅ、耳と内ももが弱いか……」

    「べ、別に弱いと証明されたわけじゃないし、もっとデータを取って検証すべき///」

    「いや、次の段階に移る。両方を同時に刺激するとどうなるかを試そう」

    「そ、そんなことをされたら私……キャッ」

    「レロ……チュパ……」

    「やあっ……っ無理……やめっ!」

    「むぅ、逃げるでない。データがまだ足りんぞ。それともこれは駄目だったか」

    「いや、駄目じゃないんだけど……駄目というか。その…………すごくいいんだけど体が勝手に逃げちゃうの」

    「ふむ、すごくいいか」

    「そこだけ切り取るな!」

    「では次は逃げられないようにしっかり捕まえて実験をしよう」ガシッ

    「え、ちょっと待って岡部、無理、無理だから!」

    88 = 1 :

    ~30分後~

    「かべ……おか…へ…」ピクピク ビクン

    「うつろな目で体を痙攣させている……やりすぎたか……っておま、紅莉栖!紅莉栖大丈夫かそれ!?」

    「え……ふぇ?そえってなんのころ?」

    「鼻血!」

    「え……なんぞこれー!?なんぞこれー!!」

    「ほらティッシュ!」

    「ありがと岡部……」

    「……面白い実験結果が出たな」

    「脳内麻薬の過剰分泌により血圧が急上昇、毛細血管にダメージを与えたのね……確かに興味深いけど、岡部」ギロ

    「はい」

    「今度からやりすぎないように」

    「申し訳ありませんでした」

    89 :

    おもしろかった

    90 :

    なかなか良かったよ

    91 :


    後で全部読みます

    92 = 1 :

    黒ストはいて太ももを爪でカリカリされたい欲求がヤバいんだがどうしよう

    93 :

    >>92

    俺がカリカリしてあげる

    94 = 93 :

    1乙
    面白かった


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