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    元スレ勇者「結婚して子どもできてマイホームまで購入したんですよ!?」

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    1 :

    「しかし魔王復活ですぞ?」

    「誰が魔王をたおすのかって考えたらやっぱり勇者殿が適任でしょう?」

    勇者「いやしかしっ! まだ新しい家に住みはじめて一週間!」

    勇者「引越し作業も終わってない状態なんですよ!?」

    「いやあ、本当にタイミングが悪いですなあ勇者殿は」

    勇者「わ、私はもう現役を退いた身なんです。魔王退治は他の人に依頼してくださいよ」

    「……いいのかなあ、そんなこと言っちゃって」

    勇者「え?」

    4 :

    うっせーな八つ裂きにして爪楊枝で尻に穴開けるぞ!!

    5 :

    こいつが魔王だな さっさと討伐しよう

    6 = 1 :

    「勇者殿が今回の件に一切関わらないと言うなら」

    「今までのような待遇は期待しないでほしいですな。特に金銭的な面においては」

    勇者「な、なぜ!?」

    「退治を依頼する者にはそれ相応の支援をしなければなりません」

    「実際、勇者殿も旅立ちの前に我々の支援を受けたじゃないですか」

    勇者「……言われてみれば」

    勇者「とってもみすぼらしい剣と気休め程度の薬草を頂戴しましたね」

    「当時はそれが精一杯でしたからなあ」

    7 :

    え、続けるの?

    8 :

    悟空も散々地球救ったのに貧乏暮らしですし

    9 = 1 :

    「あー、それから。勇者殿のご子息は今年でおいくつになられましたかな?」

    勇者「4歳ですが。それがなにか?」

    「深い理由はないです。ただ……」

    勇者「ただ?」

    「誰よりも強く、優しい勇者殿のことです」

    「さぞご子息の教育にも熱を入れておられるかと」

    勇者「まあ、私というよりは妻がいろんな習い事を受けさせてますけど」

    「さらに今回のマイホーム購入でローンも組まれましたな?」

    勇者「ええ。さすがに一括払いはできなかったので」

    10 = 1 :

    「そして今後はローンだけでなく、ご子息の教育費もかさむ一方」

    勇者「うっ……」

    「老婆心ながら心配してしまいますな……失礼、話がそれましたな」

    「結局、勇者殿は今回の旅は辞退されるということでよろしいかな?」

    勇者「…………あのぉ、魔王が復活した場所は?」

    「はい? あー、場所ですか? 場所はですねえ……」ニヤニヤ

    11 :

    >>8
    大飯食らいとはいえ一生面倒見てもいいレベルだよな

    12 = 1 :

    「勇者殿が魔王をたおして封印した、あの魔王城です」

    勇者「あそこかあ。たどり着くだけでも半年はかかるなぁ」

    「辺境という言葉がふさわしい場所ですからな」

    勇者「いや、まあでも頑張れば一年以内に帰ってくることはできるか」

    「一年? それは無理ですぞ」

    勇者「は?」

    「たおしても今回みたいに復活されたら困りますもん」

    「最低でも10年ぐらいは魔王の監視をしてもらわないと」

    勇者「10年!?」

    13 = 1 :

    「もしくはあっちで永住してもらいましょうか。今回の旅は片道切符ってことで」

    勇者「ジョークですよね?」

    「人類の命運が左右される瞬間にジョークが必要ですか?」

    勇者「……ですよねえ」

    「まあこの瞬間、一番運命を左右されてるのは勇者殿かもしれませんがな! ヌハハハハハッ!」

    勇者「……あはは」

    「ちなみに。勇者殿が魔王退治を引き受けてくださるのなら、高待遇を約束しましょう」

    勇者「高待遇? たとえば?」

    「勇者殿が再起不能になった際には、家のローンの支払いは全てこちらで負担しましょう」

    勇者「はぁ」

    「もちろん、ご家族の安全と生活の保証も約束いたしますぞ」

    14 = 1 :

    「また、魔王を始末した際には勇者殿の住居の手配もこちらで済ましておきますので」

    勇者「……」

    「なにか不満が?」

    勇者「……いいえ。えっと、それから旅のパーティについてですが」

    「あー、それに関しては勇者殿に委託しますわ」

    「魔王退治に行こうなんて酔狂な輩、勇者殿以外ではまず見かけませんからなあ。ヌハハハッ!」

    15 = 5 :

    これは多分家族の方もほったらかしだな

    16 = 11 :

    魔王に勝てない国に安全保障するとか言われても……

    17 = 1 :

    勇者「……ではパーティに関しては私自身でどうにかするしかないと?」

    「なあに、勇者殿なら仲間集めなど一瞬でしょう?」

    勇者「いや、というかまだ退治に行くとは……」

    「おおっと! そろそろ会合の時間だ!」

    「勇者殿! 魔王退治の成功、心からお祈りしておりますぞ!」

    「ではアディオス!」

    勇者「ちょっ、ちょっと! ……あぁ……行っちゃった」


    勇者(ていうか真面目にどうすりゃいいんだ?)

    勇者(正直言って今さら旅に出たいなんて思わないし)

    18 = 1 :

    1日後


    息子「パパー、おかえりー!」

    勇者「おー、ただいま勇者ジュニア。パパがいなくて寂しくなかったかあ?」

    息子「うん! ぜんぜんっ!」

    「おかえり。王都出張だったのに今回はずいぶん早く帰ってきたのね」

    勇者「いやあ、今回は帰らないといけない理由があってさ」

    「ふうん。いつもみたいにあっちで3、4日羽を伸ばしていけばよかったのに」

    勇者「いや、だからさあ」

    「ていうか、またあなたのズボンにティッシュが入ってたんだけど」

    勇者「……あっ、またやっちゃった?」

    19 = 1 :

    「ええ。これで何回目かしらね」

    勇者「……」

    「洗濯してティッシュが飛び散ったら誰が大変かわかってるの?」

    勇者「……はい、ママです」

    「これ以上私の口を酸っぱくさせないでくれる、って前にも言ったよね?」

    息子「すっぱくなったらママがかわいそうだよ、パパー」

    勇者「……ごめん」

    「まあいいや。それで?」

    「王様に魔物の討伐任務でも頼まれたの?」

    勇者「いや、実は……」

    20 = 1 :

    「そう。魔王が復活してあなたがまた旅に出るハメになったってわけね」

    勇者「でも俺、引き受けるってきちんと宣言してないんだよ?」

    「じゃあなに、魔王を放置するの?」

    勇者「いやいや。当然世のため人のため、なによりキミとジュニアのために頑張るよ?」

    勇者「頑張るんだけどさぁ……」

    「言いたいことがあるならはっきり言って」

    勇者「ほら、監視のせいで10年は帰ってこれないかもしれないでしょ、俺」

    「そうね。とっても大変ね」

    勇者「そこで俺から提案。この家、売っちゃわない?」


    「……」

    勇者「……」

    21 = 1 :

    「買ったばかりのこの家を売ってどうするの?」

    勇者「俺についてきてくれないかなあって……思ったわけですよ」

    「魔王城ってこの街からも王都からもだいぶ遠いはずよね?」

    勇者「ここからだと、たどり着くのには半年ぐらいかかるかなあ?」

    「却下。絶対ダメよ」

    勇者「なんで!? どうして!?」

    「魔王城のそばなんて劣悪な環境にこの子を連れていくの?」

    勇者「それは、その……魔物とかは俺がなんとかするし……」

    「どんな悪影響があるかわかったもんじゃないし、危険なことには変わりないでしょ?」

    勇者「……はい」

    22 = 1 :

    「王都に移住するっていうならまだ考えたけどね」

    勇者「……どうしてもダメ?」

    「ダメ。だいたい一年に1回か2回ぐらいならこっちに帰れるんでしょ?」

    勇者「たぶん」

    「だったらまだいいじゃない」

    「お隣の元兵士のおじいさんなんて、遠征で何十年も故郷に戻れなかったそうよ」

    23 = 1 :

    「それに比べたらまだあなたは恵まれてるほうよ」

    勇者「……そうだね、うん」

    「はい、じゃあ決定ね。……あら、もうこんな時間?」

    「旅に必要なものは私が用意しておくから、さっさと旅のお供を集めなさいよ」

    勇者「……はい」

    「あ、それからヒゲはみっともないから剃って外出して。わかった?」

    勇者「…………はい」

    24 = 1 :

    酒場


    勇者「だいたいさあ、あの家を買ったのは俺だぞ?」

    勇者「なのに! 買った本人が住めないっておかしいよな!?」

    戦士「…… 魔王が復活したんだし、しゃあないだろ」

    勇者「まったく! 魔王の復活のタイミングにも腹立つし!」

    勇者「王様の命令はもはや脅迫だし!」

    勇者「なにより妻! 愛する夫が死ぬ可能性もある旅なのにさあ!」

    勇者「『ちょっとおつかい頼まれてくれる?』ぐらいのノリで追い出そうとするなよっ」

    戦士「……偶然、しかも数年ぶりの再会だぞ。もっと明るい話題はないのか?」

    勇者「あるもんか……!」

    25 = 1 :

    勇者「……はぁ。いつからなんだろうなあ。尻にしかれるようになったの」

    勇者「結婚して2年ぐらいはめちゃくちゃ優しかったんだよ、あいつも」

    勇者「べつに浮気とかしたわけじゃないよ。いや、本当に」

    勇者「まあ当時の俺はたしかにモテたけどな」

    勇者「ここ1年ぐらいは家にいても、なんか心から休めないって感じだしさあ」

    勇者「まだ息子がいるってのが救いだな」

    勇者「家にいるときは、いつも妻にベッタリなんだけどさ」

    26 = 1 :

    勇者「いやあ、俺も精一杯の愛を注いでるはずなのになあ」

    勇者「やっぱり子どもにとっての一番は母親なんだろうな」

    戦士「……」

    勇者「俺の話、聞いてる?」

    戦士「……聞いてるっつーの」

    戦士「奥さんが冷たいのは、普段のお前の生活に問題があるからじゃないか?」

    勇者「いや、単純に俺なんかどうでもいいんじゃねえの?」

    勇者「そもそも俺の生活に問題なんかないよ。たとえば昨日だって……」

    27 = 1 :

    《魔王をたおした伝説の勇者の1日》

    8:00  起床。たいてい妻に怒鳴られて目を覚ます。
    8:30  歯磨きといっしょに『勇者の剣』を磨く。
        水を出しっ放しにするなとまた妻に怒られる。
    9:00 仕事はないが妻が怖いのでパトロールという名の散歩に行く。
        家を出るとき、いってきますと息子にチュー。いつまでしてくれるだろうか。

    12:00 お昼休憩。妻がもたせてくれたお弁当を食べる。
        年々、手抜きに拍車がかかっている気がするが、もちろん妻には言わない。
        時間をつぶすためにまた『勇者の剣』を磨く。

    13:00 とりあえずお腹いっぱいになったので適当な場所で寝る。
    15:00 仮眠をとったあとは喫茶店へ。
        小遣いが少ないので、水しか飲まないで出る。店員の目線が痛い。
        店を出てとりあえずは『勇者の剣』を磨く。
    15:30 町の人たちと交流。よそのお家の草抜きの仕事を引き受ける。
        めんどくさくなって『勇者の剣』で草を燃やす。
    17:00 家に帰りたいが妻に嫌味を言われそうなので、かつての仲間の墓参りへ。
        今日あったことを語る。よく見たら全然知らない人の墓だった。
    18:30 公園で時間つぶし。剣を磨く。
    19:00 帰宅。妻と息子のあとに風呂に入る。
    20:00 夕食。嫌いなものでも残しちゃダメだと息子にしかられる。
    20:10 歯磨きと本日最後の剣磨き。
    21:00  就寝

    28 = 1 :

    戦士「……お前、暇なの?」

    勇者「ちがうんだって。たしかに基本的には暇っちゃあ暇だよ?」

    勇者「でもそれはなまけてるからじゃない」

    勇者「今回みたいな緊急事態に、すぐに対応できるようにするためであってだな!」

    戦士「わかったわかった。顔が近いっつーの」

    勇者「ていうか愚痴ってる場合じゃないんだよな」

    戦士「頼みたいことがあったんだろ、俺に」

    勇者「ああ。今回の魔王退治、お前にもついてきてほしいんだ」

    戦士「……すまん。それは無理だ」

    勇者「なんで!? どうして!?

    29 = 1 :

    戦士「俺が田舎に帰って道場を経営してたのは覚えてるか?」

    勇者「あれか。国からの報奨金で建てた、魔物退治専門の道場だろ?」

    戦士「……あの道場、経営がうまくいかなくてよ」

    戦士「まあ当たり前なんだがな。魔王はいなくなって魔物も激減したし」

    勇者「あー、需要がなくなっちゃったわけだ」

    戦士「結局、大量の武器や道場の維持費が払えなくなって……まっ、あとは言わなくてもわかるよな?」

    勇者「まあ、うん」

    戦士「本気で人生の終わりだと思ったね。だけどな、女神は俺を見捨てなかった」

    戦士「住む場所すら失って行き倒れていたところ、喫茶店のママに偶然拾われてな」

    戦士「で、そこに住込みで働かせてもらうことになったんだ」

    戦士「まあママって言っても俺と一つしかちがわないんだがな」

    30 = 1 :

    戦士「しっかり者の彼女は俺にこんなアドバイスをくれたんだ」

    戦士「魔王をたおしたって貴重な経験を生かして自叙伝でも書いてみたら、って」

    勇者「自叙伝か。たしかにいいアイディアだね」

    戦士「だろ?」

    戦士「それで、旅のことを中心に綴った『冒険の書』を完成させたわけだ」

    勇者「『冒険の書』って……あのベストセラーの!?」

    戦士「へー、さすがのお前も知ってたか」

    勇者「読んではいないけどな。いや、でも、ええっ!?」

    戦士「驚きすぎだっつーの」

    31 = 1 :

    戦士「まあ俺も想像もしてなかったけどよ。自分の武器が剣からペンになるなんてな」

    勇者「俺と同じで読書なんてまともにしなかったお前がなあ……」

    戦士「それで、だな。俺、近いうちに彼女にプロポーズしようと思うんだ」

    勇者「わーお」

    戦士「今は『冒険の書』のおかげで借金も返せたし金銭的に余裕もある」

    勇者「……プロポーズのタイミングとしてはベストってことか。そりゃあ旅に出てる場合じゃないわな」

    戦士「すまん」

    勇者「気にすんなよ。あてはお前以外にもある」

    戦士「それならいいんだが」

    戦士「そうだ……なあ、結婚生活はどんな感じなんだ?」

    32 = 1 :

    勇者「さっき愚痴ってたとおりだってば」

    戦士「ちがう。結婚してよかったってエピソードを聞きたいんだよ、俺は」

    勇者「……結婚してよかった? んー、結婚してよかったねえ?」

    戦士「あるだろ?」

    戦士「帰ってきたら家に明かりがついてて家族がむかえてくれるとか」

    戦士「あたたかい食事が待ってるとか」

    勇者「でもなあ。それ以上に自由に使える金は少ないし」

    勇者「独身のときとちがってフラッと飲みに行くこともできないしなあ」

    34 = 1 :

    戦士「まさか、本当になにもないのか?」

    勇者「……いや、待った。去年だったかな?」

    勇者「唐突に妻に外出してきてって言われた日があったんだわ」

    戦士「やっぱりあるんじゃねえか。それで?」

    勇者「とは言っても、なんの理由もなく外に出てろって言われても納得できなかったからさ」

    勇者「外に出たふりをして家の中にこっそり侵入したわけよ」

    戦士「家ではなにが起きてたんだ?」

    35 = 1 :

    勇者「妻が息子に歌を教えてたんだ」

    勇者「それで気づいたわけよ。『あっ、今日は俺の誕生日だ』って」

    戦士「ってことは、お前の奥さんと子どもは……」

    勇者「うん。俺の誕生日のために歌の練習をしてくれてたんだよ」

    戦士「めっちゃええ話やんか!」

    勇者「まあな。自分の生まれた日を妻と子どもに祝ってもらえるっていうのは幸せなことだろうな」

    戦士「ていうか、そんな心温まるエピソードがあっても、今の結婚生活に不満があるのかよ」

    勇者「それとこれは別だって」

    勇者「飲みたいときに飲めない、外に行きたいときに行けないってのは、やっぱつらいぜ」

    戦士「それぐらいは我慢すればいいだろ」

    37 = 1 :

    勇者「我慢って言ってもさあ。できないときってあるじゃん?」

    勇者「特に家庭をもつとな、本当の意味での1人の時間ってなくなるからな?」

    戦士「それがどうした?」

    戦士「俺たちが過去に経験した旅に比べりゃどってことないだろ?」

    勇者「いや、旅の辛さと家庭の辛さはまったくの別モンだ」

    勇者「あんまり結婚生活に期待すると、いつかうんざりするときが来るかもしれないぞ」

    戦士「そうか? これは俺のカンなんだが俺と彼女はなんだかんだうまくやってけると思う」

    勇者「……なにを根拠に?」

    戦士「だから、カンだって言ってるだろ?」

    勇者(そういえば俺も結婚前に似たようなやりとりをしたなあ)

    38 = 1 :

    5年前


    勇者『いやあ、もう早く結婚したいねマジで』

    戦士『結婚生活ってそんないいものじゃないってよく耳にするけどな』

    勇者『それはアレだろ?』

    勇者『心から愛しあっていない2人が結婚するからだろ?』

    勇者『俺と彼女はちがうね。本気で愛しあってる。だからうまく行く』

    戦士『はいはい。言うぶんには自由だもんな』

    勇者『それに彼女は優秀でしっかりしている』

    勇者『なにより俺を愛してくれてる』

    勇者『俺のことも深い愛で包みこんで支えてくれるから、結婚生活なんてチョロいぜ』

    戦士『……そうか』

    40 :

    面白いと思うよ
    続きはよ

    41 :

    福山に見せたくなるスレ

    42 :

    寝ずに待ってたが投げたか

    43 :

    昨日もこのスレ立ってたが3レスで落ちてた
    明日は完結するのかな

    44 :

    勇者(……5年前の俺はこんなふうになるとは夢にも思ってなかったんだろうな)


    勇者「とりあえず 今の俺だからこそ言えるアドバイスがある」

    戦士「なんだよ、急に真面目な顔して」

    勇者「 とりあえず聞いておけって」

    勇者「結婚ってのは、自分の人生の8割を奥さんと子どもにあずけるってことだ」

    勇者「そのことをよーく覚えておくといいぞ」

    戦士「なに言ってんだか。そんなことはわかってるっつーの」

    勇者(いーや、お前はなにもわかっていない。たぶん)


    勇者(……とりあえず戦士との会話を切り上げて、俺はもう一人の仲間をたずねることにした)

    45 = 39 :

    きたか

    46 = 44 :

    勇者(次は元パーティの魔法使いを訪ねた)


    魔法使い「ふーん。魔王が復活しちゃってアンタはまた駆り出されるってわけね」

    魔法使い「で、このあたしに手伝ってほしいと?」

    勇者「お前の魔法はなにより頼りになるからさ」

    魔法使い「お前の魔法は、ねえ。ていうかアンタってあたしのことなんにも知らないんだね」

    勇者「……どういう意味?」

    魔法使い「さあ?」

    勇者「……もしかして結婚して子どもができて家を離れられないとか?」

    魔法使い「はあ? 結婚? 子ども?」

    魔法使い「本気で言ってるわけ?」

    勇者「い、いちおう」

    48 = 44 :

    魔法使い「いいよねえ、勇者は」

    魔法使い「安定した収入があって、キレイなワイフがいて、可愛い子どもまでこさえちゃってさあ」

    魔法使い「さぞ毎日幸せなんでしょ?」

    勇者「いや、でも、周りが言うほど幸せではないと思うよ……?」

    魔法使い「はあ? あたしなんて日々の生活で精一杯だっていうのにさあ」

    勇者「……ど、どういうこと?」


    勇者(たしか魔法使いは、魔王をたおして以降は王都の研究機関の所属になったはず)

    勇者(エリート中のエリートで、収入だって半端じゃないはずなんだけどな)

    49 = 44 :

    魔法使い「まあ、アンタって基本的に他人に関心ないし、あたしのことなんてどーでもいいよねえ」

    勇者「……」

    魔法使い「あたしさ、研究中にやらかして仕事クビになっちゃったんだよね」

    勇者「く、クビ?」

    魔法使い「そっ。正確に言うと部署異動。研究職から営業職に成り下がったわけ」

    勇者「……営業ってなにするんだ?」

    魔法使い「そこらへん歩いてる連中に薬草やら薬やらを売るわけよ」

    魔法使い「しかも街から街を渡り歩いてね」

    勇者「た、大変そうだな」

    魔法使い「そりゃあね。今どき店に物を買いに行くのが主流なのにさ」

    魔法使い「しかもあたしって無駄に童顔だから、全然相手にされないし」

    50 = 43 :

    面白い
    どうせなら魔王とのトークまで見たい


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