④

ここで戻ってくるなんて陳腐な展開は不要

警察官「私に、逆らうの？」

幼馴染「っ」

警察官「……ねぇ」

幼馴染「て、手帳」

警察官「うん？」

幼馴染「ほ、本当にあなた、警察さんなんですか」

警察官「格好見ればわかるでしょ」

幼馴染「だから、て、手帳。手帳とか、持ってる、んですよね？」

警察官「……」

幼馴染　ｺﾞｸﾘ……

警察官「手帳、ねぇ……」ｺﾞｿｺﾞｿ

警察官「ごめんね、ないんだ。けど代わりにこんなものを持っているよ」ｺﾞﾄｯ

幼馴染「ひっ――じ、銃」ﾋﾞｸｯ

チンピラ「俺は本当は、警察なんかじゃあない。この格好すりゃあ、亜人病のヤツを捕まえやすいって上に聞いててねえ」

チンピラ「君ら、ケモ耳でしょ？　フヒッ、好きモノに高く売れるんだってさ」ﾁｬｯ……

ケモミミストの保守

幼馴染　ｿﾞｯ

幼馴染　ﾋﾞｸ

チンピラ「うん、最初からそういう風に大人しくしててくれば何の問題もないんだよ」ﾆﾀ

幼馴染　ﾎﾟﾛ

幼馴染「男ぉ……」ﾋｯｸﾋｯｸ

幼馴染「助けてぇ……」ﾋｯｸﾋｯｸ

チンピラ「泣かない泣かない」ｸﾞｲｯ


？？？「待ちたまえ！！」

チンピラ「ん？」ｸﾙｯ

イケメン「お、男くんを追っていたら、なんか変な事件が……」ﾎﾞｿｯ

チンピラ「なんだテメェ」

イケメン「話は聞こえていた……許さないぞ！！」

イケメン「僕はこう見えて、つよ」ﾋｭﾝ　ﾁｯ

チンピラ「どうかしたか？」ｼｭｳｳ

イケメン「じ、銃って、反則……」

なんか毎回構成同じだな

チンピラ「なぁ、殺し合いに反則ってあるのか？」ｶﾞﾁｯ……

イケメン「こ、殺し合いって、平和なこの国で何を……」

チンピラ「平和？　それは随分と狭い世界の話でちゅねぇ」ﾆﾔﾆﾔ　ﾊﾞﾝｯ

イケメン「ぐっ」ｶﾞﾀｯ

イケメン「あ、足が……うぐぅ」ﾊﾞﾀ

チンピラ「まだ未来があっただろうに」

チンピラ「まぁでも見られたんなら仕方ないよね」

チンピラ「殺さないと、禍根が残るし」

イケメン「ひ、卑劣なヤツめ……」ｸﾞﾀ

イケメン「男くんといい、この世界は、卑劣で卑怯な連中ばかり、なのか……」

イケメン「くそっ、くそっ」ｶﾞﾝｶﾞﾝ

イケメン「いや……僕は多分、薄々気づいていたんだ。だから、武道だって、習った」

イケメン「この国にも、世界のどこにも、完璧な平和なんてないんだって」

イケメン「僕は、僕は、正しくありたい」

チンピラ「何か言うたか？」

イケメン「僕は、ただ、正しいことを、したいだけなんだ……」

イケメン「何が、駄目なんだ」

イケメン「僕にとって正しい事って、なんだ」ﾕﾗｯ

幼馴染「イ、イケメン、君……？」

イケメン「それはつまり、僕の人生って、なんだ」

イケメン「……今どこにいるかも分からない幼馴染さんと付き合って、勉強もして、良い学校を出て、就職して、結婚して」

イケメン「子どもが出来て、そして、老いて行くんだ……」ﾌﾗﾌﾗ

チンピラ「お、おい……」ﾋﾞｸｯ

イケメン「僕にとっての、正しさは、平和は、きっとそれで」

イケメン「だから、僕は、そのために、頑張りたくて」

チンピラ「止まれ、ワケのわかんねぇ事を」ｶﾞﾁｯ

イケメン「ここでお前なんかに殺されてたまるか、たまるかっ！！」ｸﾞｱｯ

ﾊﾞｧｱｱｱｱｱﾝ……


男「なんだろう、俺の知らない所で、もの凄いドラマチックな事が今まさに起きているような気がする」

男「まぁきっと気のせいだろう」

やっぱりイケメンじゃないか！

銃声の前にやられたのかと

ﾊﾞｧｱｱｱﾝ……

男「んおっ、銃声？」

男「まぁたまにはあるさ。気にしてもしょうがない。……しかし、どうしようかなぁ」

男「幼馴染がもう少し元に戻って、事情を説明してくれるまではどっかに身を隠すしかないよな」ﾃｸﾃｸ

『昨日の亜人病についてですが……』

男「……亜人病？」ﾋﾟﾀ

アナウンサー『本日も引き続き、ＢＢＡさんにお越し頂いております』
ＢＢＡ『どうも』
アナウンサー『本日もまるで魔女みたいな格好ですが、それは何か意味が？』
ＢＢＡ『こういうファッション、好きなんですよ』

男「……え」

男「ＢＢＡ何してんの」ｶﾞｯ

男「ちょちょちょ、なんでテレビなんか出てんのコイツ」ｷﾞﾘｷﾞﾘ

店員「ちょっとお客さん、ショーウィンドウにしがみつくのやめて下さいよ」

男「あっ、はい。すいません」ﾊﾟｯ

男（……くっそーＢＢＡめ、次はどこに行ったのかと思ったらテレビなんかに出やがって）

男　ｶﾞｼｯ　ｷﾞﾘｷﾞﾘ

店員「お客さぁああああん」

ＢＢＡ「……そうだぞ、少年。そういう風にされたら店が困る」

男「あぁすいませんすいませんなんかつい力が篭って」ﾊﾟｯ

ＢＢＡ「私が出てるからか？」

ＢＢＡ「なるほどなるほど、そんなに私が好きなのか、少年」

男「えっ」

ＢＢＡ「おや？」

男「……」

ＢＢＡ「……」

ＢＢＡ「そんなに見つめるな。惚れるぞ？」

男「冗談やめて」

ＢＢＡ「ははは」

男「……なんでここに」

ＢＢＡ「うん？　いや何、実は昨日オカマと会ってね。少年に殴られたと言うもんだからさ。もしかして少年、私に用でもあったんじゃあないかってね」

男「よくその状況から」

ＢＢＡ「どうせ言伝か何か頼もうとして」

ＢＢＡ「オカマに変な要求でもされたのだろう？」

ＢＢＡ「そしたら君は多分殴るだろうなと」

ＢＢＡ「大体にして、オカマの所に来るのは私に用がある時くらいじゃあないか」

男「まぁ」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

店員「あの、よくわかんないですけど、店の前では騒がないでくださいね」

男「あっはい」

ＢＢＡ「さて……じゃあ場所を変えようか。希望はあるかい？」

男「別にどこでも」

ＢＢＡ［よーしじゃあラブ」

男「ファミレス」

ＢＢＡ「どこでもいいんじゃなかったのかい」

男「やっぱファミレスがいいなって」

ＢＢＡ「冗談、冗談だよ少年。よしじゃあファミレスにいこうか」

はよ

男「ったく……」

ＢＢＡ「どうしたいんだい」

男「いや、ってか、テレビに出てるのに良くここに」

男「瞬間移動でもしてんすか」

ＢＢＡ「やだなぁ、普通にテレビのはあらかじめ撮影しているだけだよ」

男「あぁなるほど」


ファミレス


ＢＢＡ「さて、それで話はなんだい」ﾁｭｰ

男「まず、良い年こいてストローで飲み物飲むのやめません？」

ＢＢＡ「女性はいつまでも女の子なんだよ」

男「うぜぇ……」

ＢＢＡ「そんなんじゃモテないぞ☆」

男「ＢＢＡにモテてもなぁ……」

ＢＢＡ「はいはい話を引きずらない引きずらない」ﾁｭｰﾁｭｰ

男「まぁいっか」

男「……で、話ってのは亜人病についてなんですけど」

ＢＢＡ「ふむ」ｼﾞｭｰ

男「最初はこの手の話は知ってるかどうか、賭けみたいな所ありましたけど」

男「テレビに出てるって事は当然知ってますよね」

ＢＢＡ「……ワケアリかい？」

男「まぁ身近な人間がこれに罹っちゃって」

ＢＢＡ「……なるほど、それは大変だ」

男「元に戻す方法を教えて貰えないかなと」

男「女の子だし、それなりに付き合いもあるヤツなんで、出来ればなんとかしてやりたいっていう」

ＢＢＡ「折角ケモ耳になるんだし、フサフサ触れば良いんじゃないかな。その方向で納得させよう」

男「本人は戻りたがってますし、第一それセクハラっぽいですし、俺猫嫌いですし」

ＢＢＡ「猫耳か」

男「そんな事はどうでもいいじゃないですか」

ＢＢＡ「ふむ」

男「それで戻す方法は？」

ＢＢＡ「……少年、テレビを見てないのかい」

男「へ？」

ＢＢＡ「基本的には、元には戻らない。そういう風に私はテレビ『で』伝えた」

男「……」

ＢＢＡ「どこからこの病気が来たのか、なぜ発症するのか、原因は不明」

ＢＢＡ「当然、治療方法も不明。判明しているのは、どういう風にそれが進行するか、だけだとね」

ＢＢＡ「私はいち早くそんな亜人病に気づいた者として出演して、テレビ『で』そう伝えた」

男「……テレビ『で』ですか」

ＢＢＡ「うん」ｼﾞｭｺﾞ　ｼﾞｭｺﾞｵ

男（もう容器に氷しか入ってないのに……音うるせ）

男「あの、とりあえず新しい飲み物頼みません？」

ＢＢＡ「いいのかい？」

男「えっ、俺が奢る系なのこれ」

ＢＢＡ「そりゃそうでしょうが」

男「ＢＢＡテレビ出演でお金貰ってそうなのに……」

ＢＢＡ「少年、用事があるのは私ではなく君だ」

ＢＢＡ「ならば、ここは誰が出すのか、分かりそうなものじゃないか」

男「……はいはい、奢りますよはいはい」

ＢＢＡ「宜しい。大体、少年もそこそこ金持ってるだろうに」

ＢＢＡ「ファミレスの飲み物代なんて砂みたいなもんだろ」

男「人の懐具合を知ってるとかこわい」

ＢＢＡ「学校に行かずに何をやっていたのかな？」

男「遊んでただけですよ」

ＢＢＡ「お金になる遊びもあるんだねぇ」

男「だからなんでしってるのこわい」

３時からやってるのか

BBAは32歳くらいだよな？ な？

進展のなさ

ＢＢＡ「まぁ、私は少年の事はなんでも知っているからね」ﾆｺｯ

男　ｿﾞｸｯ

ＢＢＡ「お、おいおいそんな引かないでくれたまえ」ｱﾀﾌﾀ

ＢＢＡ「冗談だよ冗談」

男「ほんとに？」ｼﾞｨ

ＢＢＡ「そうさ。ただ、少年のしている遊びは、私の管轄内でもあった、と言うだけさ」

男「あぁ、まぁ確かに……」

ＢＢＡ「理解してくれたかい」

男「えぇ。……それで」

ＢＢＡ「それで？」

男「テレビ『では』伝えていない事、教えてくれませんかね」

ＢＢＡ「ふむ」

ＢＢＡ「ジュースを奢ったくらいでそれを話せと？」

男「……要求は？」

ＢＢＡ「ううん。そうだねぇ……」

ほ

ＢＢＡ「ちょっと考えるから、もっかいジュース頼むけど」

男「どうぞどうぞ」

「ｺﾞ注文ﾄﾞｳｿﾞｰ」「ｺﾁﾗﾃﾞｰｽ」

ＢＢＡ「……」ｶﾗﾝｶﾗﾝ

男（……早く言ってくれないだろうか）

ＢＢＡ「……ふぅ」ｶﾗﾝ

男「そんな物憂げにしなくていいですから」

ＢＢＡ「氷を回してると良い女って感じに見えない？」

男「ファミレスでジュースに浸かった氷をストローで回しても別にそんな風には見えないですけどね」

男「どっちかっていうと子どもっぽい」

ＢＢＡ「ひどいな少年」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

男「うわぁ……」

ＢＢＡ「まぁ良いさ。しかし、そうだね。じゃあ仕事でも頼もうかな」

ＢＢＡ「ただ……これはちょっと少年には荷が重いかも知れない」

ＢＢＡ「やってくれるかい？」

男「内容も言わずに」

ＢＢＡ「内容を聞いたら、絶対に受けて貰う事になるからね。亜人病にも関わる事だから」

男「……」

ＢＢＡ「そして、私が頼もうとしているのは、少年のお小遣い稼ぎの遊びとはワケが違うよ」

ＢＢＡ「それを踏まえて、受けるかい？」

男「受けますよ」

ＢＢＡ「ありゃ随分あっさり」

男「いやー実はついさっき退学届けを教師に投げつけてきましたし」

男「まぁあんまり失うものもない」

ＢＢＡ「ご両親も墓の中だし、と」

男「それもあります」

ＢＢＡ「どうでも良いけど少年って家に帰ったら『当然だけど誰もいないよな……』とか言ってそうだよね」

ＢＢＡ「孤独好きそうだけど、実際一人は寂しくて堪らない系男子っていうか」

男「勝手に人をプロファイリングしないで」

ＢＢＡ「いやー良いねぇ」ﾂﾝﾂﾝ

男「やめて」

ＢＢＡ「ふふふ」ﾂﾝﾂﾝ

男「ほんとやめて」

ＢＢＡ「三十路近いＢＢＡに構われるのがそんなに嫌かい？」ﾂﾝﾂﾝ

男「いや純粋にそんな事されても恥ずかしいだけだし」

ＢＢＡ「それもそうだね。じゃあ説明するとしますか」ﾊﾟﾁﾝ

前髪パッツン「はい」ｽｯ

男「うおっどっから」

前髪パッツン　ｷｯ

男「えっ、なんで和風美人に睨まれてるの俺」

ＢＢＡ「さぁ何故でしょう。胸に手を当てて考えてみよう」

わろた

前髪パッツン「一発……」ｸﾞｲｯ

男「え――うげっ」

男（ちょ、超、力強ぇこの女……）ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

ＢＢＡ「あっ、そんな力こめたら気絶――」

前髪パッツン「一発してくれるって言ったのぃいいい！！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

男「」ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ

前髪パッツン「はっ……」ﾊﾟｯ

前髪パッツン「な、なんと言うことを私は……」

ＢＢＡ「うん多分それぐらいで死ぬ子じゃないから大丈夫だとは思うけど」ﾁﾗｯ

男　ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ

前髪パッツン「泡吹いて痙攣してますが……」

ＢＢＡ「……」

ＢＢＡ「なんか心配になってきた……」

前髪パッツン「取り合えず蘇生を……」ｶﾞｯ　ﾎﾞｷｯ

男「」

男「――はっ、俺は今一体……」

ＢＢＡ「大丈夫？　やっぱり取り消したほうがいい？　依頼」

男「やりますよやります」

ＢＢＡ「そ、そう」

前髪パッツン「すまない、ついカッとなって……」ﾍﾟｺ

男「いや別に……ってか、一発って」

前髪パッツン「私はあの時のゴリラだ」

男「えっ」

ＢＢＡ「その子も亜人病に罹ってしまった子なのよ」

男「でも、耳が……」

ＢＢＡ「ゴリラの場合はどうやらほんと見たまま人間に戻るらしくてね。似たような生物だからかな？」

よし、今から約束を果たそう
今がその時だ

見てるぞ

ＢＢＡ「ただ、亜人病の特徴はしっかり残ってる」

男「特徴？」

前髪パッツン「私は、力が随分と強くなってしまった」

男「そういえば、さっき君に絞められて……」

前髪パッツン「こんな芸当も出来るようになってしまった」ｸﾞｼｬｱｱｱｱ

男「て、鉄球が……潰れた……」ﾋﾞｸｯ

ＢＢＡ「その動物の身体能力の特徴が残っちゃうっていう」

前髪パッツン「……こんな力、欲しくも無い」ｳｳｯ

前髪パッツン「ただでさえ女の子らしくないのに、さらに女の子らしさからどんどん離れていったのだ」ｳｳｳｯ

男「なんか、よくわかんないけど元気出しなよ」

前髪パッツン「優しくするくらいなら付き合ってくれ」ｳｳｯ

男「えぇ……」

男（いくら美人でも精神が不安定系女子は……その上ばか力）

前髪パッツン「お願いだぁああ二十歳になっても処女だなんて恥ずかしいって雑誌にあったんだぁああ一発ぅううう！！」

男「年上だったんかあんた」

ＢＢＡ「はいはい、そこまでそこまで」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

ＢＢＡ「女の子はいつまでも処女でも別に恥ずかしくはないから」

前髪パッツン「本当ですがぁあああ」ｶﾞｼ　ﾐﾘﾐﾘ

ＢＢＡ「う、腕が折れそうだから、や、やめて」ﾐﾘﾐﾘ

前髪パッツン「はっ、す、すいませんババア様」ﾊﾟｯ

ＢＢＡ「はぁ」

男「っていうか早く説明」

ＢＢＡ「そうそうそうだった」

ＢＢＡ「そうだね……今回少年には、この前髪パッツンと一緒に事に当たって貰う事になるよ」

男「えっ」

ＢＢＡ「で、やって貰う事は、軍事基地への潜入及び極秘資料の奪取」

男「……あの、ちょっと話のスケールが」

ＢＢＡ「だから言ったじゃない。少年のお小遣い稼ぎの遊びとは違うよって」

見覚えあるIDかと思ったら勇者スレ保守されずに落とした奴か

ＢＢＡ「……そして、可能であるならば」

ＢＢＡ「【新型】の【ナノマシン・ウイルス】のサンプルの全破壊」

男「……あの、それで元に戻れる方法のほうは」

ＢＢＡ「それは……今の所はわからないかな」

男「は？」

ＢＢＡ「ただ、極秘資料にはその方法が載っていると思うけど？」

ＢＢＡ「確か、あったハズだし」

男「……もしかして関係者だったとか？」

ＢＢＡ「秘密。ただ、まぁ、依頼が成功すれば元に戻す方法も見つかるって事かな」

男「なるほど……」

ＢＢＡ「じゃ私はそろそろ行こうかね」ｽｯ

前髪パッツン「……あの」

ＢＢＡ「何？」

前髪パッツン「そういえば、ババア様って処女なんですか？」

ＢＢＡ「へ？」

男「何をいきなり」

ＢＢＡ「そんな事はどっちでもいいじゃないか」

前髪パッツン「あっ、その反応違うんだ、処女じゃないんだ！！」

前髪パッツン「きぃいいいいい人には恥ずかしくないとか言っておきながら」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ　ｶﾞｼｬｰﾝ

店員「あっちょっとお客さま……ぐぇっ」ﾄﾞｶﾞｯ

ＢＢＡ「精神が不安定系女子の事は頼んだよ少年」

男「えっ」

ＢＢＡ「さらば」ﾀｯ

男「ええええ！！」

前髪パッツン「グゾー！！」

男「……お、置いてきやがったあのＢＢＡ……」

男「とりあえず落ちつ　前髪パッツン「じゃあづきあえ！！」

男「それは」

黒髪パッツン「ぢぐしょー！！」ﾄﾞｺﾞｯ

男「ぐぇあ……」ﾊﾞﾀｯ

黒髪パッツン「はっ、やってしまった……」

黒髪パッツン「お、おい……」

男「」


数日後




前髪パッツン「迷惑をかけたな」

男「本当だよ」

前髪パッツン「では任務に当たろう」ｻｯ

男「ここ何日かずーと見てるけど、侵入とか無理くさくねこれ」

前髪パッツン「何を言う、そこをなんとかするのがえーじぇんとと言うものだろう」

男「エージェント（笑）　……あぁ、でもだからスーツでって言ったのか」

前髪パッツン「やはり格好から入らねばな」

男「どう見ても俺たち不審者全開だけども」

前髪パッツン「しかし現時点では見つかってない」

男「そのうち声かけられると思うけど」

前髪パッツン「その時はその時だ」

前髪パッツン「全員握りつぶしてやるまでのこと」

男「本当に出来そうだからこわいわ」

男（……そういや、幼馴染元気かね。誤解とか解いててくれば良いんだが）

男（さすがに変な方向で有名になるのは頂けない）

男「まぁその時はその時だけどさ」

病院

イケメン「僕は、生きてる……」

イケメン「腹に何発か食らってしまったけれど、なんとかなった」

イケメン「勝てた……護れた……」

幼馴染「……」

イケメン「でも、まさかあの子が幼馴染さんだなんて、思わなかったよ」ﾆｺｯ

幼馴染「助けてくれたのは、まぁ素直にありがと」

イケメン「亜人病に罹ってたんだね。だから、男くんもあの時猫を……」

幼馴染「男は」

イケメン「もう何度も聞いたよ。僕は、ひどい勘違いをしていたようだ」

イケメン「まさか君の為に、元に戻す為に動いてたなんて……」

イケメン「彼になんて謝ったらいいのか」

幼馴染「あいつは、あんまり気にしてないと思う」

幼馴染「文句言いながらも、誰かを助けるし」

幼馴染「分かり辛いけど、優しいから」

幼馴染「そういうヤツだから、謝られても困ると思う」

イケメン「……そうなのか」

イケメン「ははっ……まぁけど、なら、逆に助かる、かな」

幼馴染「え？」

イケメン「恋敵になりそうな人間には、それが筋だとしても」

イケメン「あまり頭を下げたくはないから」

幼馴染「へ？」

イケメン「僕はね、幼馴染さん、君の事が好きなんだ」

幼馴染「ちょっ」

イケメン「大好きだ。初めて見た時から、こう、心が揺り動かされたんだ」

イケメン「好きで好きで堪らない」

イケメン「本当に好きなんだ」

幼馴染「」

イケメン「もしも君が元に戻らなくても、ありのままの今の君も愛せる」

イケメン「猫耳、可愛いしね。僕猫好きなんだ」

イケメン......

イケメン「君の返事を、聞きたい」

幼馴染「……」

イケメン「幼馴染さん、君は僕をどう思ってくれてる？」

幼馴染「ちょっと、今は答えられない、かな」

幼馴染「返事は……待って」

イケメン「……」

イケメン「そう」

幼馴染「ごめんね」

イケメン「いや、いいよ。いきなり言われても、ね」

イケメン「僕は待つよ。良くても、駄目でも、どっちだとしても」

イケメン「きちんと君の口から、君の言葉で、伝えて欲しいから」

幼馴染「……うん」

基地近く


前髪パッツン「何を食べてるんだ」

男「ビーフジャーキー。好きなんだよ。保存食にもなるし」

前髪パッツン「では私も貰おう」

男「ほら」ｽｯ

前髪パッツン「いやそっちよりも、お前の口の中のが食べたい」

男「は？」

前髪パッツン「異性の唾液の味と言うものにも興味が……モテるためにも、な」

男「本当にこの人二十歳なの？　頭大丈夫？」ｽﾞｻｯ

前髪パッツン「逃げないでくれ。わかったわかった、そっちの食べてないの食べるから」

男「ったく……」ｽｯ

前髪パッツン「では」ｽｶｯ

前髪パッツン「むっ」

？？？「なんか美味しそうなもの食べてんだね」

男「――っ」ﾊﾞｯ

他人をレイプ魔に仕立てあげるようなクズにも希望を持たせるんだな

前髪パッツン「なんだお前は、人の食べ物を……」

金髪ロリ「いいじゃない、あら美味いしい」ﾊﾟｸｯ

男（……どっから出てきたこいつ）

男（まるで気配がなかったぞ）

前髪パッツン「こらこら、勝手に食べるなそれは」

金髪ロリ「別にいいじゃない」

金髪ロリ「だって、こういうの、好物なんだもの」ﾆｨｯ

男（犬歯が鋭い……）

男（帽子で頭が見えないが……）

前髪パッツン「いいか、人様の食べ物と言うのはだなぁ」ｸﾄﾞｸﾄﾞ

金髪ロリ「あーハイハイ」

男「……なーんでロリっ子がこんな所にいるのかな？　地元の連中って面でも無さそうだけど」

金髪ロリ「ん？　う～ん、なんでって、良い匂いがしたから、かな？」

男「……」

.

男「良い匂い、ね」

金髪ロリ「うん♪」

男「それは、このビーフジャーキーの事かな？」ﾋﾗﾋﾗ

金髪ロリ「それも好きだけどぉ」

金髪ロリ「もっと美味いしそうなのが、ほら、二つも――」ﾀﾞｯ

前髪パッツン「むっ？」

男「げっ、ま、マジかよ」

金髪ロリ「そんなに良い匂いさせてさぁ！！」

金髪ロリ「ずっとずっとずっとお預けだったんだからぁ！！」ｶﾞｯ

ｶﾞﾘｶﾞﾘｶﾞﾘｨ！！

男「ひぃっ」ﾊﾞｯ

金髪ロリ「まずは弱そうなアンタから！！」

男「俺ぇ～？」

男「確かにゴリラよりは弱いだろうけどさぁ」

金髪ロリ「黙って食われな！！」ｶﾞﾌﾞｳｩ

男「っ」

金髪ロリ「ふん」ｶﾞﾌﾞｶﾞ……

ｶﾞﾁｯ

金髪ロリ「～～～か、かったぁ」ﾊﾞｯ

金髪ロリ「な、何よあんたの腕、チョーかったいんだけど……」

男「まぁ、一応、ね？」

男「極薄プロテクターを少々」

金髪ロリ「……オスのくせに情けなっ」ﾍﾟｯ

男「死にたくないもん」

前髪パッツン「？？　何だ、何なんだ？　この金髪ロリっ子……いきなり」

男「多分基地の関係者じゃないの」

金髪ロリ「……ふん。そうよ、お察しの通り」

金髪ロリ「実験体だけどね」

前髪パッツン「敵か！！」

男「今頃気づくの」

.