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    元スレ幼馴染「え……す、好きな人ができた?」

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    51 = 1 :

    『…………』

    『お前、いつも無表情だな』

    『…………』

    『笑ってみろよ』

    『どうして?』

    『いいから、僕みたいに笑ってみろって』ニコッ

    『…………』

    『…………』ニコッ

    『なんだ、普通に笑えるじゃん!』


    「……まったく、変なこと思い出させてくれるよクソ女が。ああ、まだ頭が痛いや、ガンガンする」

    52 = 1 :

    「すいませーん! 実は携帯の落とし物を……」

    「…………」

    先生「おお、友か。どうしたんだ、具合が悪そうじゃないか」

    「……いえ、やっぱりなんでもありません」

    タッ タッ タッ

    先生「様子が変だな……?」

    53 :

    幼なじみとか今頃どうしてんだろうな

    54 = 1 :

    ポチャン

    「すっかり小物だなぁ……」

    「保険に回収しておいたものを、トイレに捨てちゃうなんて」

    「……こうなった以上、クソ女を直接利用するのは無理だね」

    「……冷静。落ち着こう、落ち着こう」

    「嫌われちゃった以上、女ちゃんに直接協力してもらうのは無理だね」

    「幼馴染ちゃんに、そろそろ頑張ってもらわないとね……」

    「女ちゃん、ボクの邪魔しなきゃいいけどなぁ……」

    「なんとかして口を封じておきたいなぁ……」

    55 = 1 :

    先生「みんな、落ち着いて聞いて欲しい。本校の生徒が、麻薬を吸っているという匿名の垂れ込みがあった」

    ガヤガヤ ガヤガヤ

    先生「先生はもちろん、悪戯だと思っている。だが、もしも何か知っている人がいたら、どんなことでもいいから教えてほしい」

    「怖いなぁ……さすがに嘘だろうけど」

    「え、あ、ああ、そうだね」

    「……どうした?」

    幼馴染(友ちゃん……なんだか様子がおかしいけど、何かあったのかな)

    (……幼馴染ちゃん、ちゃんとこっちを見てるね。布石は十分に打ったかな)

    56 = 1 :

    「ぶ、部活がしばらく休みってどういうことですか!」

    部長「君の気持ちはよーくわかるが、怒鳴らないでくれ。君の声は響くんだ」

    部長「部室からね、煙草の吸殻が見つかったんだ。それだけならどうにかできたものの、ソフト部員が煙草を吸っているっていう、匿名の垂れ込みがあったらしい」

    「う、嘘……」

    部長「詳しい話は放課後にミーティングを行うから、そこで、ね」

    「う、うぅ……」

    部長「君の気持ちはわかるよ。任せてくれ、夏の大会には出れるよう、なんとか掛け合ってみせるよ」

    部長「君とは違って、私は最後の夏なんだから、ね」

    「…………」

    58 = 1 :

    「……ごめんな、急に呼び出したりしちゃって」

    幼馴染「そ、そんなことない! ぜんぜん、迷惑とかじゃない!」

    幼馴染「私……この前、えっと、変なこと言っちゃってごめん。理由があって……その……」

    「俺もごめん。この間のことは、言い方が悪かったよ」

    幼馴染「気にしてない! 気にしてないから、大丈夫!」

    幼馴染(よ、よしっ! ちゃんと謝れた! 仲直りできた!)

    「…………」

    幼馴染(でも男……なんでこんなに悲しそうな顔をしてるんだろ……)

    59 = 1 :

    「俺は……女さんが好きだ」

    幼馴染「う、うん。それは前にも聞いたよ」グッ

    「お前に色々言われたけど、それは変わりそうにない」

    幼馴染「でも、女さんは彼氏が……」

    「それと、それとは関係ないんだが……」

    幼馴染「うん?」

    (言わなきゃ……駄目なんだよな)

    「お前のことを、恋人として見ることは俺にはできない。たぶんそれは……これからも変わらない」

    幼馴染「…………あはっ」


    幼馴染「あははははっ! 何言ってるの男ってば、それ、本当に関係ないじゃない」

    幼馴染「それ今言って……ひぐっ……どうしたのって……ひぐっ……」

    「…………」

    (これでいいんだ、これで)

    60 = 1 :

    「……あ、いたいた幼馴染ちゃん」

    幼馴染「…………」

    「キミにどうしてもしておきたい話が……って、どうしたの? 泣いてる?」

    幼馴染「……ううん、なんでもないよ」

    幼馴染「それより、何の話?」

    「例の麻薬騒動だけどね、どうにも女さんが関わっているかもしれないらしいんだ」

    幼馴染「え?」

    「女ちゃんの彼氏から女ちゃんに流れて……そこから彼女の所属するソフト部にも流れたんじゃないか……って」

    幼馴染「そ、そんな……」

    「あ、も、もちろんただの噂だよ噂! でも、どうにも気になっちゃって……ね」

    「でも、友人として気に掛かるんだよ。男にこれ以上、女ちゃんには関わってほしくないかなって……いらないお節介なのかもしれないけど」

    61 = 1 :

    友母『先生、うちの子供は……』

    精神科医『……まことに言い辛いことですが、お母様の危惧通り、アスペルガー症候群の傾向がありますね』

    精神科医『学習面で問題はないでしょうが感受性……共感性が、常人と比べて薄いんですよね』

    精神科医『学校でも浮いているかもしれないと仰っていましたが、将来的にも、対人関係においてかなり苦労することが予想されますね』

    友母『あ……ああ……』ガックリ

    『?』

    友父『そ、それってつまりどういうことなんですか? よくわからないんですが……』

    63 = 1 :

    精神科医『う~ん……あくまでも例えるとすれば、なんですけどね』

    精神科医『赤い紙がここにありますね?』

    友父『は、はい』

    精神科医『どう見えますか?』

    友父『え? どうと言われましても赤い紙、としか……』

    精神科医『極端に言うとですが、友ちゃんにはこの赤い紙が、白い紙に赤、と書かれているようにしか感じ取れないんです』

    友父『…………』

    精神科医『綺麗な景色を見ても、同じように情報の塊としか感じ取れないんですね』

    64 = 1 :

    友母『…………』

    『母さん、どうしたの?』

    友父『ちょっと疲れてるんだよ。大丈夫、休めばいつもの母さんに戻るさ』

    『…………』

    『母さん』ニコッ

    友母『っ! その作り笑いが、気持ち悪いのよっ!』

    バチンッ

    友父『お、おいお前!』

    (……どうして、ばれたんだろう。また男の笑顔でも見て、べんきょうしないと)

    66 = 1 :

    『ほら、自己紹介しろって』

    『…………』

    幼馴染『お、男くん、この子は?』

    『それを今からこいつが言うんじゃないか』

    『……じこしょうかいって、どうすればいいの?』

    『しょうがないな、手本を見せてやる。僕は男、好きな食べ物はカレー! よろしく!』

    『ほら、やってみろ』

    『ぼ、ぼくは友』

    『お前は女だから僕じゃないだろ! そこまで真似しなくていいんだよ!』

    『す、好きなたべ……』

    『そこまでいっしょにしなくていいんだよ!』

    『好きなひ、人は……男……くん。よろしく』

    幼馴染『うんっよろしく!』ニコッ

    67 = 62 :

    最後までよろしく頼むよ
    俺は見てるから

    68 = 1 :

    幼馴染『私ね、友ちゃんのこと、最初は怖い子だって思ってた!』

    幼馴染『それで男くんと仲良くしてるのみても、離れてほしいって思ってたの』

    『…………』

    幼馴染『でもね、いっしょにいて、わかったの!』

    幼馴染『友ちゃんは、表情がぎこちないだけで、ほんとうはとってもいい子なんだって!』

    『……そ、そんなことないよ』

    幼馴染『ふふっ』

    『そんなことない……けど、ほんとうにそうだったら、いいなぁ』

    69 :

    友がフィーチャーされすぎ

    友が1坂東でもいいんだが

    70 = 1 :

    幼馴染「女さんが……麻薬騒動に、関わってる……」

    幼馴染「さすがにない、ないよね……」

    幼馴染「でも友ちゃん、軽はずみにあんなこという人じゃないし……」


    「ねえ、知ってる? ソフ部しばらく休みだってさ」
    「え? うちんとこ強豪じゃん。なんかあったのかな?」
    「さー理由は知らないけど」


    幼馴染(え? ソフトボール部が休部?)


    「なんか不祥事やらかしたんじゃない?」
    「真面目な人多そうなのにねー」


    幼馴染「…………」

    71 = 1 :

    幼馴染「…………」

    「どうしたの? ボクを呼び出すなんて……って、惚けても仕方ないか。男ちゃんのことだよね?」

    幼馴染「う、うん。やっぱり女さん……なにか、後ろ暗いことがあるんじゃないかな……って」

    「そっか、それで?」

    幼馴染「私避けられてるみたいだし……信用ないから……友ちゃんが上手く忠告してあげてほしいなって」

    「でもボクが言うよりも、幼馴染ちゃんが言った方が真剣に聞いてくれると思うよ」

    「ボクより付き合い長いし、さ」

    幼馴染「友ちゃんの方が、人を説得するのは絶対に上手いと思う」

    「そんなことないよ。幼馴染ちゃんが真摯に言ったことなら、普段の男なら絶対信じてくれるはずだよ」

    72 = 1 :

    幼馴染「……普段の男じゃ、なかったら?」

    「…………」

    「幼馴染ちゃん、男とまた何かあったね?」

    幼馴染「……うん。振られちゃった、絶対そういう目では見れないって」

    「そっか……嫌なこと訊いちゃったね」

    「男、女さんに本気なんだね。いや、少なくとも本気のつもりなんだろうね」

    73 = 1 :

    「忠告して、大丈夫なのかな?」

    幼馴染「え? な、なんで?」

    「男ちゃんがさ、自分の思い人が危ない人と繋がってるって知ったら、どうすると思う」

    「男ちゃんは相手を説得しにかかって、次にその、危ない人達のところに乗り込んで行くんじゃないかな」

    幼馴染「そ、そんな……」

    「もし幼馴染ちゃんや男ちゃんが暴力団と繋がってたら、ボクはそうするよ」

    「でも黙っていても、この調子だと知ることになりそうだけどね」

    「他所のクラスでちらっと聞いたんだ。ソフト部で、薬物やってた奴がいるらしいって」

    幼馴染「…………」

    74 = 1 :

    「あのさ、今からボク、ちょっと変なこと言うよ。だから、聞き流して欲しい」

    幼馴染「え?」

    「男ちゃんが言う幼馴染ちゃんを恋人として見れないっていうのは、彼の中で友人としての位置で君が固まってしまっているせいだと思う」

    「偏見、固定観念のようなものだよ。友情と恋心は両立できないんじゃないかっていう、彼の思い込みだよ」

    「だかた、彼に意識し直させることができれば、簡単に解決するんじゃあないのかな」

    幼馴染「できないよ……。だって、私のこと、避けてるもん……」

    「あのね、ボクの家、地下室があるんだ。外に絶対声が漏れない、鉄壁の」

    幼馴染「え?」

    「麻薬騒動が片付くまで、男ちゃんを閉じ込めておこうかなって……そう考えてるんだ」

    75 = 1 :

    幼馴染「そ、それはダメなんじゃあ……」

    「三日……いや、長くても二日! その間にボクが、麻薬事件の方を綺麗に片付けてみせる」

    「ボクは調査のために家を空ける。だから、男が逃げないように見張っておいてくれないか」

    幼馴染「わ、わたしが?」

    「連休を挟むから問題にはなりにくいと思うし、揉めたときは全部ボクが責任を負うから、安心していいよ」

    幼馴染「でも……」

    「キミにしか頼めないんだ。それにこれは、キミにとっても男ちゃんと自分の関係について話し合う最後の機会になると思う」

    幼馴染「わ、わかった。引き受けるよ」

    「……男ちゃんを助けるためとはいえ、キミの心を利用するようなことをしてしまってごめんね」

    幼馴染「……そんなこと、ないよ。男が大事なのは、私も同じだもん」

    76 :

    うーん
    つまらん

    77 :

    つまらんくないから続けてや

    78 = 1 :

    【今日、見せたいものがあるんだ。メールに気付いたらなるべく早くにボクの家に来て欲しい】

    「……送信、と。これでいいかな」

    「さて、ここで金髪ちゃんを使って……」

    プルルルル

    「……このタイミングで向こうから電話が来るとは思わなかったよ」

    「ちょうどいい、今から電話しようと思っていたところなんだ。金髪ちゃん、君の耳に入れておきたい話があるんだ」

    金髪『ん、なんの話だよ』

    「まあ、話の先行はキミに譲るよ。キミから来た電話だ」

    金髪『あの……また仲取り持ってほしいなって……』

    「そう、そのことなんだけど、女ちゃんは今……」

    金髪『あー違うんだ。実はばっさり振られちまって……今度はあの、俺のクラスの委員長なんだけど……』

    「なっ!?」

    (こんなところで……カードが腐っちゃったか……)

    79 = 1 :

    金髪『だめ……か?』

    (元気づけてモーション掛け直させるか?)

    (でもこいつ……そんなに女ちゃんに執着があったようにも思えないからなあ……)

    (もういい。忙しくなるし、茶番に勤しんでいる余裕はない)

    「悪いね。委員長さん、あんまり知らないんだ」

    金髪『あ……そうなのか。じゃあ、一個下で陸上部の……』

    (あれ? こんなに節操ない奴だったのかこいつ)

    「悪いけど、学年違いには顔が利かないんだ。ボク、部活動には入っていないしね」

    金髪『じゃあ幼馴染さん仲良いだろ? 今、傷心らしいし、紹介してくれないか?』

    「は?」

    金髪『あ、いや……そんなつもりじゃ……』

    「…………」ブチッ

    「掛け直して来た……着信拒否しとくかな。さて、忙しくなるな」

    80 = 1 :

    「やあ、よく来てくれたね」

    「お前の家に入るのは……中学んときの、お前の両親の葬式の日以来だな」

    「そういえばそうだったね。懐かしいや」

    「それで見せたいものっていうのは……」

    「これこれ、見てくれよ」

    「なんだこれ? どっかで見たような……」

    「知らない? 改造スタンガンだよ」スッ

    バチッ

    「がっ……う……。な、なんでこんなことを……」

    「さて、幼馴染ちゃんを呼ぼうかな」

    81 = 1 :

    幼馴染「よ、よくこんな地下室があるね……」

    「ボクを折檻するために 母が増築したんだ」

    幼馴染「厳しい人だったんだ」

    「ボクは小さい頃、結構なハンデを負っていたからね」

    「それを克服させようと、母さんは必死だったんだろうな……」

    「この地下室があるから、僕は僕でいられたんだよ」

    幼馴染(本がいっぱい置いてある……)

    「それじゃあ、目を覚まさないうちに男に手錠を付けて、檻の扉を閉めてしまおう」

    幼馴染「う、うん」

    「ボクは、麻薬事件について詳しく調べてみる」

    「男が起き上がったら、『友にこうしろと言われた』と説明しておけばいい。適当な理由を用意しておくよ」

    82 = 1 :

    「兄さん、ごめんね、急に呼び出しちゃって」

    「……何の用だ、化け物?」

    「これを預かっておいてほしい」

    「スマホ? 誰のだ、これ」

    「男が行方不明になったと問題になったとき、繁華街にいるって誤認されたら都合がいいんだ」

    「…………」

    「男の親にメールを送って、極力引き伸ばしておいて。壊すタイミング、間違えないでくれよ」

    「……お前、何がしたいんだよ」

    「…………人間っぽいこと?」

    83 :

    見たことある筈だけど内容忘れたわ

    84 = 1 :

    幼馴染『ずっと三人、一緒にいられたらいいね!』

    『どうだろうね』

    『男ちゃんがボクを見る目と幼馴染ちゃんを見る目、同じなんだ』

    幼馴染『それが?』

    『でも幼馴染ちゃんがボクを見る目と、男ちゃんを見る目って違うよね』

    幼馴染『…………』

    『いつか、噛み合わなくなる日が来ちゃうんじゃないかな』

    幼馴染『…………』

    幼馴染『友ちゃんは?』

    『ボク? ボクは……』

    『……ボクは、字の書かれた白い紙だから』

    幼馴染『……?』

    85 = 1 :

    『ずっと三人でいられたらいいな』

    『……それを、キミも言っちゃうのか』

    『も?』

    『せいぜい一緒にいられるのはふたりまでだよ。それが人間ってもんさ』

    『ふたりって……』

    『いつかね、ボクたちに噛み合わなくなる日が訪れる』

    『その時、ボクはキミに大事な質問をぶつける』

    『キミの答えがボクの期待通りであることを願っているよ』

    『よくわかんねぇな。どんな答えを期待してるんだよ』

    『ヒントをあげるよ。人生の正解って奴は、与えられた枠の外にあるものなんだ』

    『ボクの理想が……正解ってわけではないんだけどね』

    86 = 1 :

    「じゃあ、お願いしますね……と」ピッ

    「準備……終わっちゃったか。ボクとしてはこっからは自由行動で行きたいところだけど……」

    「女ちゃんを野放しにしておくわけにはいかないからね……」

    「あの娘は普通じゃない。勘が鋭すぎる。きっと男ちゃんまで辿り着いてしまう……」

    「相打ちにしてでも、ここで止めておかなきゃね……。ケータイ捨てた上に部まで潰しちゃったし、放っておいたら何か報復してくるだろう」

    「金髪ちゃんさえ使えればなあ……押したらあいつでもいけるはずだったのに、どこを間違えたんだろうボクは」

    「こういう手段を取らなきゃいけないのは……お互いに不幸だったね、女ちゃん。悪いけど、徹底的にやらせてもらうよ」

    87 :

    友みたいなキャラすげえ嫌い

    88 = 1 :

    「う……うう、ここは……」

    幼馴染「あ、気がついた……? ここは、友ちゃんの家の地下室だよ」

    「え、どうして幼馴染が……」

    幼馴染「友ちゃんに、男を見張っておけって……」

    「どういうことだよそれ」

    幼馴染「お、男は……しばらく外に出しちゃいけないって友ちゃんが……」

    「意味が分かんねぇよ。スマホ……も抜かれてやがる」

    89 = 1 :

    幼馴染「でも、これは、必要なことなの……本当に……上手く説明はできないけど」

    「上手く説明できないんじゃなくて、単にできないんじゃあないのか?」

    「……女さんの彼氏のデマをでっちあげたときみたいに」

    幼馴染「あっあれは本当だったんだよ! そのせいで、友ちゃんがどんな覚悟で……」

    幼馴染「今回もっ! 男を閉じ込めているのだって、こうするしかなかったから……!」

    「い、意味がわかんねえよ……。友、じゃあ友と話をさせろ! 携帯電話でもいい!」

    幼馴染「わ、わかったよ」プルルルル

    『ただ今、電話に出ることができません……。ぴーっと鳴りましたら……』

    幼馴染「そういえば、忙しくなるって言ってたなあ……」

    「…………」

    90 = 1 :

    「とにかく、ここから出せ! 上の階でもいいだろ!」

    幼馴染「絶対に出すなって……」

    「じゃあこの、壁とくっ付けている手錠を外せ! 檻があるからいらないだろ!」

    幼馴染「わ、わかったよ」テッテッ

    ガチャ

    幼馴染「じゃあ、これが手錠の鍵……」ポイッ

    (よしっいける!)ガッ

    幼馴染「わっ! そ、そんなに手錠長かったっけ?」ドサッ

    「わざと壁寄りに立って、お前に手錠の長さを見せないようにしていたんだ」

    「ここまでだな。俺は外に出させてもらうぞ」

    幼馴染「うぅ……」

    91 = 1 :

    「手錠を外してっと……」ガチャッ

    幼馴染「…………」スッ

    「お前、何持ってんだよ」

    幼馴染「ここ、友ちゃんの折檻室なんだって。だからかな……鞭があったの」

    「やっやめろ!」

    バチンッ

    「うぐぁっ!」

    幼馴染「男が……男が悪いんだよ……。私も友ちゃんも男を助けたいだけなのに、逃げようなんてするから……」

    バチンッ

    バチンッ

    「…………」

    幼馴染「意識……なくなっちゃったみたい」

    幼馴染「手錠、付け直さなきゃ」

    92 = 1 :

    「う……うぅ……」

    幼馴染「よ、よかった。ぜんぜん起きなかったから、死んじゃったのかと……」

    「ひっ! も、もうやめてくれ!」

    幼馴染「そんなに怖がらなくたっていいのに……」

    幼馴染「もう、逃げちゃあ嫌だよ?」

    「わかった! わかったから、鞭はやめてくれ!」ガタガタ

    幼馴染(男が私の言うこと、素直に聞いてくれる……)

    幼馴染(なんだか久し振りだなぁ……えへへ)

    94 = 1 :

    幼馴染「ごはんだよ……。その、男が好きだってずっと前に言っていた気がするから、カレー作ってみたの」

    「あ、ああ」

    幼馴染「手錠付けたままだったら食べにくいから、食べさせてあげるね?」

    幼馴染「ふーっふーっ!」

    幼馴染「えへへ……なんだか照れるなあ……口、開けて?」

    (この距離なら、今度こそ幼馴染の奴を抑えて逃げられるんじゃあ……)

    (今なら、鞭も手に持っていない。厳しいけどこのまま幼馴染にかぶさって、鳩尾を殴って手錠の鍵を奪えば……)

    95 = 1 :

    「…………」ガクガク

    (足が動かねえ……覚えてるんだ、さっきの痛みを、身体が)

    幼馴染「どうしたの?」

    「な、なんでもない」

    「ただ……その、今、食欲がわかないんだ」

    幼馴染「そ、そうなんだ……せっかく作ったのに」

    「わ、悪い……」

    幼馴染「鞭で打っちゃおっかな……」

    「ひぃっ!」

    幼馴染「なぁーんでじょうだ……」

    「食べるっ! やっぱり食べる!」

    幼馴染「食べてくれるの!」パアッ

    96 = 1 :

    「御馳走様でした……」

    幼馴染「おそまつさまでしたっ!」

    幼馴染「ふふっ! なんか私たち、こうしてると、夫婦みたいだね」

    「…………」

    幼馴染「ごっ! ごめんね、変なこと言っちゃって! そういう意味じゃあなくて……」

    「ひぃっ! いや、そうだな! 夫婦みたいだ!」

    幼馴染「……えへへへへ、なんだか……嬉し涙が……」

    (あれ? 幼馴染、可愛くないか?)

    97 = 1 :

    「ストックホルム症候群……」

    「1973年8月に発生した、ストックホルムでの銀行強盗人質立てこもり事件において、被害者の特殊な心理状態を分析、考察したことによって明らかになったことより、この名称がつけられている」

    「要するに極度の緊張状態に置かれた被害者が、生き残ろうとして本能的に加害者に対して好意を抱くというもの」

    「向こうはきっと、上手く行っているだろう」

    「……さて、そろそろ約束の時間かな。女ちゃん、来てくれるといいんだけどね……」

    「夜遅いから、女ちゃんみたいな優等生は学校の屋上になんてこれないかな」

    100 = 1 :

    『ここで決めなよ。幼馴染ちゃんの幸せな高校生活を願うか……』

    『幼馴染ちゃんの中の、格好いい君の幻影を守るか、ふたつにひとつさ』


    「男……君の答えは、僕の理想じゃあなかった」

    「正解ってものがあるとすれば、いつだって枠外にあるものだからさ」

    「だって……それは、キミがボクの口八丁なんかに流されず、心から決めたものじゃあないといけないんだからさ」

    「ボクが提示なんか、するわけないじゃあないか」

    「ボクは……キミに、幼馴染ちゃんを選んで欲しかったんだ」

    「中途半端な距離を続けろってことじゃあない。彼女と恋人になって欲しかったんだ」


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