元スレキョン「すまない、長門。これは返すよ」 長門「そう……」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
101 :
ほう、これはなかなか
102 = 74 :
ほ
103 = 1 :
今日は長門の家には行かずに自分の家に帰宅した。
明日のデートにそなえるためだ。
通知表が気になるところだが、まあ大丈夫だろう。たぶん……。
明日長門とどこを巡るかは部室で決めた。
こんな経験は恐らく後にも先にもこれが最後かもしれない。
だからこそ思う存分楽しむ必要がある。ハルヒならきっとそうするさ。ハルヒ……。
俺は最大の質の睡眠を要求し眠りについた。
104 = 1 :
次の日。クリスマスイブ。
俺は担任岡部から通知票を拝領し、その成績の悪さに驚愕した。
帰ったらママンに殺されるかもしれん。
谷口はと言うと、その場で吐きやがった。よほど悪かったらしい。
oh....谷口。また来年一緒のクラスになれることを祈る。
ホームルームが終わり俺はいったん帰路についた。
夜の八時に長門のマンションの入口で待ち合わせることになっている。
ああやばい、この心臓の高鳴り。長門と一緒にデート。
長門を楽しませてやらないと。俺にはそれしかできない。
106 :
どうやったらそこまで成績が悪くなるのか疑問
よくアニメで赤点を心配する描写あるけど正直ドン引きする
107 = 1 :
午後七時三十分。早く来すぎたようだ。
インターホンで長門を呼ぼうとしたがやめた。
こうして待っていた方がなんかデートな感じがするからだ。
午後七時四五分……四六分……、時計の針が刻み進んでいく。
それと連動するかのように心臓が激しく鼓動する。
そしてその時、俺の隣に……アイツがきた。
108 :
ここで国木田が…
109 = 105 :
>>108
やめろ
110 :
寝てたわおいおい
111 = 1 :
朝倉「ここで何をしているの?」
キョン「あ、いや、別に……」
朝倉「もしかして長門さんを待っているつもり?」
キョン「いや……」
奴の顔を直視できない。くっそ、こんなときに……。
朝倉「許さないわよ」
その瞬間、朝倉の手がポケットの中に入れられた。
それを見たとき、俺の足はすでに動いていた。
112 = 105 :
いい加減滅びろよ朝倉
113 = 1 :
俺はマンションの玄関に入った。
後ろを振り向いている暇はない。俺はいつのまにか走っていた。
向かいからおばさんが出てきたおかげで、玄関のロックを解除することなく入ることができた。
急いでエレベータのボタンを押す。タイミングがよかった。あのおばさんがエレベータを使ったからか。
エレベータの扉が閉まる瞬間、近づいてくる朝倉の顔があったような気がする。
やばい、これは緊急事態だ。俺の何かがそう告げていた。
もしアイツが階段を猛スピードで駆け上がっていたとしたら……。
くそ、エレベータを使ったのは失敗だったのかもしれない。
ようやくエレベータが口を開ける。
俺は急いでそこから体を投げ出した。
もうすぐだ。708号室へ。
114 :
いーかんじ
115 = 105 :
げっ もう5時じゃねえか
116 = 1 :
―――――――――――――――許さないわよ
117 :
ハルヒSS懐かしいわ
涼宮ハルヒの微笑みまた読もうかな
119 = 1 :
エレベータから出るとそこには708号室から出る長門がいた。
空は完全な暗闇と化していた。
キョン「長門!」
俺は廊下に出て扉を閉めようとする長門を抱き部屋の中に入った。
ドアをロックする。
長門「……どうしたの?」
俺は土間に座り込み白い息を吐いた。脈がものすごい速さで打っているのがわかる。
殺されるところだっ―――
120 = 117 :
早くしてくれんか
121 = 1 :
「開けなさい。長門さんを傷つける人は私が許さないんだから」
鈍い音がドアの外から響いてくる。しかもその音が時間の経過と共に激しさを増してくる。
長門「どういうこと……」
キョン「俺にもよくわからないんだ」
俺は慌てていた。長門を連れてリビングに移動する。
ドアを叩く音は鳴り止まない。
それどころかドアをぶち破るような音さえ聞こえてくる。
やばい。殺される。今度こそ。
キョン「くそっ、どうすりゃいいんだ!」
長門は震えていた。
「絶対に許さないわ」
比喩ではなくドアがぶち破れる音がした。
冷たい風が入ってきた。
122 = 92 :
こわい
123 = 1 :
朝倉涼子がそこにいた。
鋭い刃先がシーリングライトに照らされて輝いている。
朝倉「長門さんを傷つける人は私が許さない。排除するわ。そうでしょ、長門さん?」
長門はコタツの前で驚愕の表情をしていた。何が起こっているのか把握していないような。
俺も一緒だ。何が起こっているのかわからない。
朝倉「じゃあ死んで」
朝倉が視界から消えた。と思ったら――――
125 = 1 :
俺の腹から血が流れて出ていた。
しゃがんだ体勢で柄を握っている朝倉がいた。
「ぐはっ!」
思いっきり柄を引っこ抜き、血が飛散した。
何が起こってんだ。あたり一面が血の池と化す。
俺は腹を両手で抱えてぶっ倒れた。
「許さないわ。殺さないと。私はあなたを排除するためにきたのよ」
長門、すまねぇ……くそ……
「やめて!」
な、長門……。
視界の隅に長門が映っている。しかし血が体内から体外へと放出される感覚。
意識が朦朧としてくる……。
「長門さん、どいて。さもないとあなたも……」
「やめ、ろ……」
だめだ。体が……ああ……終わっ―――
「長門さん、あなたも死にたいのね」
刃先が長門に向かって飛んだ。
126 = 1 :
………――――――――――――
「なにしてるっさ」
長門に向かって飛んだ刃を誰かが握っていた。
閉じていくまぶたを最後の力を振り絞って開ける。
視界に緑色の髪をした人がいた。
「暴力はだめにょろよ」
「あなたは誰なの? 誰の許可を取ってここへ?」
聞き覚えのある声だ……ああ
「それはひみつっさ」
「あなたも私に殺されたいのね」
「それはどうっかな。その前にあたしが怒髪で突いちゃうからねっ」
握った刃を押して朝倉が吹っ飛んだ。緑色の髪がなびく。
「しっかりして!」
長門の悲愴な顔が映っている。ああ、もう限界かもしれない。
何がいったい―――
128 = 1 :
「キョンくん、もう帰らないとだめにょろよ。
あっちの世界の私によろしくね。それとみくるにも!
ここは私がなんとかするからっさ。
まさかこんなことになるとは`あっちのみくる`も予想していなかったみたいさ」
「つ、つるやさん……」
「ふふっ。心配することはないにょろよ。
まだあっちの世界でやらなければいけないことがキョンくんにはたくさん残っているんだからっさ!」
ひどい頭痛がしてきた。
まぶたが完全に閉じられる。何もかも遮断された。これは夢なのか―――
「メリークリスマスイブっさ!」
129 :
ほしゆ
130 = 1 :
目を開けた。
しかしそこに映し出されるものは真っ黒。
俺は死んだのか。ここはどこだ。体がものすごく軽い。
声が聞こえてくる。俺を心配するような声。
後頭部に何かを感じる。
ハルヒの声が聞こえた。
ハルヒ……お前こんな声を出すのか―――
体を強く揺すられる。
視界が開けた。色を含んだ光景が網膜に映し出される。
ここは……――――――――――――
131 = 1 :
「キョン! しっかりしなさい!」
「キョンくん! ふぇえええ」
おい、ハルヒ……そんなに体を揺すらないでくれよ……
「涼宮さん、救急車が来ました」
「キョン!」
ハルヒがこんな顔で俺を心配しているなんてな……
稀少価値がぁ……
だめだ、また視界があ……―――
「キョン! 死んじゃいや!」
132 = 127 :
見てるぞ
134 = 1 :
白い天井が見える。自宅の俺の部屋ではない。
朝か夕方か、透明感のあるオレンジ色の光が天井同様白い壁を彩っていた。
「おや」
「やっとお目覚めですか。ずいぶん深い眠りだったようですね」
俺の体は病院服に包まれていた。腹に触れたがそこに傷はなかった。
北高に身を包んだ古泉。どうやら俺は元の世界に戻ってきたらしい。
記憶が曖昧だ。何が起こったのか。
別の世界で朝倉に殺されそうになってそこで鶴屋さんが――――――
だめだ、そこから先の記憶があやふやだ。
どうやって別世界からここに戻って来たんだ。
謎だ。まあ謎はたくさんある。隣に超能力者がいたりとかな。
「なにをそう微笑んでいらっしゃるのですか?」
「なんもねーよ」
137 = 1 :
その後何があったのか、話すと長くなる。それはまた別の機会にな。
病院で目を覚ましたときの日付が21日。
そして今は12月24日だ。クリスマスイブ。
病院でずっと俺を心配していた団長さん。ハルヒ。やっぱり俺はここの世界のほうがいい。
ハルヒはハルヒでしかない。あっちのハルヒはやっぱりパチモンさ。
俺はこっちのハルヒのほうが好きさ。この想いが変わることはもう二度とない。神に誓う。
ハルヒだけじゃない。朝比奈さんも古泉もそして……。
あの世界の長門の顔が脳裏に浮かぶ……。ゆびきりげんまん……。
あの小指の感触……一緒に二人でクリスマスイブを……計画も綿密に立てていた……
一緒にレストランで食事をした後にイルミネーションを楽しんで……
あの約束は……
俺はそんなことを考えながら通知表が入ったかばんを肩にひっかけ部室に歩を進めていた。
138 = 1 :
「おっ、キョンくんっ!」
「つ、鶴屋さん!」
「今日はハルにゃんの特製鍋パーティーっさ! わたしもあとでいくにょろよ」
「鶴屋さん」
「どうしたっさ?」
「あなたが僕をこっちの世界に連れ戻してくれたんですよね」
「なんのことだい?」
「あなたが僕、いや長門を朝倉涼子の凶刃から守ってくれた」
「んんん?」
「知らないんですか?」
「いったいなんのことを話しているんだい?」
「……」
ではあれはなんだったんだ? あれはたしかに鶴屋さんだったはずだ。間違いはない。
しかもあっちの鶴屋さんはこっちの鶴屋さんによろしく、とも言っていた。朝比奈さんにも。
しかしそれ以上の記憶は……いやこの記憶も本物かどうかわからない。ああ、頭がこんがらがってきた。蘇った記憶はここまでだ。
その真偽も明らかでない。しかしここの鶴屋さんはそのことについて見覚えはないという。なんなんだろうね。
139 = 117 :
オチ期待
140 = 1 :
「とりあえずキョンくん、あとで部室に行くからねっ!」
「は、はい……」
もうこれ以上掘り下げないほうがいいのかもしれない。
いつかきっと明らかになるさ。
俺は部室の扉を開けた。
「キョン。何していたのよ」
「わりぃわりぃ」
部室にはハルヒただ一人。しかも珍しくポニーテールをしている。
テーブルの上のカセットコンロには土鍋がのっけられていた。さらに肉、魚、野菜類がテーブルに置かれていた。
「遅れてすまねえ」
「別にいいわ」
「なあ、ハルヒ」
「なによ」
ハルヒは腕を組んで仁王立ちしていた。光を富んだ鋭い瞳がこちらに向けられる。
「いつもありがとな」
「い、いきなり何よ!」
「なんもねーよ」
俺はかばんをテーブルに投げ出してハルヒのポニーテールを凝視した。
「抜群に似合ってるぞ」
142 = 1 :
しばらくして古泉、朝比奈さん、長門、鶴屋さんが集合し、ハルヒ特製鍋パーティーが開催された。
ハルヒの特製鍋は旨かった。誰が食べてもそう言うさ。
その後、ハルヒがミステリアスツアー第二弾として雪の山荘に行くことを宣言したり
(しかもその山荘で年を越すらしい)、
鶴屋さんの別荘を無料で利用させてもらえることになった云々などハルヒの饒舌が飛んで来る、飛んで来る。
しかしそれは今の俺にとってこれ以上ない薬だった。
って。ハルヒの放った言葉をさかのぼる。
鶴屋さんの別荘が無料で利用できるだと? 鶴屋さんはいったい何者なのか。
もちろんそんなこと知る由もない。神のみぞ知る(God knows……)
143 = 1 :
実家で開催されるパーティーにどうしても出席しなければならないという鶴屋さんと別れ、
SOS団の面々はケーキ屋に向かった。
ハルヒが予約していた特大のクリスマスケーキを受け取ってから
目指した場所は長門のマンションである。
一人寂しく聖夜を過ごす長門をおもんぱかったわけではなく、
一人暮らしの長門の部屋ならケーキ食いながら
バカ騒ぎを楽しめるという条件のよさがものを言った。
防音処理の行き届いた長門の部屋で古泉の用意した各種ゲームに興じている間、
俺たちの誰もが楽しそうに見えたのは真実だ。
ノートパソコン二台を繋いでプレイしたトーナメントは長門の独壇場で、
ツイスターゲームではハルヒと押し合いへし合いするハメになったが。
145 :
しえーん
146 = 1 :
午後十一時ぐらいか。
その後、思う存分長門の家で楽しんだ俺たちはもう夜が遅いということで帰路につくことになった。
マンションの外でハルヒ、古泉、朝比奈さんと別れる。
そして俺は再び長門の家にお邪魔した。
「またきてよかったか、長門……」
無口な対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド ・インターフェース。
しかし長門は長門だ。
「長門、これから一緒にどうだ? 二人でどこか散歩にでも」
「……」
長門はコクリと`大きく`頷いた。はっきりとした意思表示で。
俺はハルヒが好きだ。朝比奈さんも。なんだかんだいって古泉お前もな。
そして……。
目の前にいる私服姿の長門を目に焼き付ける。どこかで見たニーハイだ。
俺は手を差し伸べた。そこに長門の小さくて白い手が乗っかる。
「行こうか」
147 = 28 :
トイレ探すか
148 = 1 :
あともう少し時間が経てばメリークリスマスだ。
しかしクリスマスイブ延長っていうのも悪くない。
白の地面を踏みしめる。
聖なる夜。それを二人っきりで過ごしても別にバチは当たらないだろ?
神々しいユキ。
手をつなぐ。
握り返してくる白い手から温度が伝わってくる。
機械なんかじゃないさ、長門は。
俺はその手を強く握り締めた。
隣を見ると、そこには頬と耳を赤く染めた長門の笑顔があった。
(終)
149 :
久しぶりに見れてよかった乙
150 :
長門可愛かったおつ
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