元スレ幼馴染「起きろぉっ!」男「むっ、敵か!?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
1 :
< 東の道場 >
幼馴染「ねえ、起きてよ。今日は北の道場に出稽古に行く日でしょ?」
男「ぐう……ぐう……」
幼馴染「起きろぉっ!」シュッ
男「むっ、敵か!?」ババッ
バチィッ!
男「あっぶねえなぁ……。
寝てる人間のミゾオチに、ヒジを落とす奴があるかよ」ビリビリ…
幼馴染「アンタが全然起きないからよ……。
にしても、寝起きにしちゃいいケリしてんじゃない」ビリビリ…
二人は互いに互いの攻撃をガードしていた。
2 :
だから何?
4 :
相良軍曹かと
5 = 1 :
男「兄貴! これから幼馴染と北の道場に行ってくる! 留守はよろしくな!」
兄「お~う、行ってこ~い。
もうお前がこの道場の当主なんだから、しっかりやれよ~」
男「分かってるよ!」
幼馴染「おはようございます、お兄さん!」
兄「お~う、幼馴染ちゃん。また美人になったんじゃないのか?」
幼馴染「お兄さんこそ、仕事探し頑張ってね~!」
兄「うぐっ……!」
道場を出る二人。
男「──にしても、お前までついてこなくてもいいのに。
西の道場は大丈夫なのか?」
幼馴染「平気、平気! 今日は稽古ないしね。
それに、門下生ゼロのボロ道場を少しは手伝ってやんなきゃ!」
男「ちぇっ……」
6 = 1 :
< 北の道場 >
北の道場は町で一番栄えている道場で、今日も大勢の門下生が集まっていた。
ザワザワ……
男「おはよう」
幼馴染「やっほ~!」
友人「やあ、いらっしゃい!」
友人「二人が来てくれると、本当に助かるよ」
男「なあに、俺もこうして出稽古にでも呼ばれないと、食ってけないしな」
幼馴染「そうそう、お互い様ってこと!」
友人「ありがとう。それじゃ向こうで支度をしてもらえるかな」
7 = 1 :
友人「まずはストレッチだ!」
「はいっ!」 「はいっ!」 「はいっ!」
友人「突きを50本、始めっ!」
「えいっ!」 「やあっ!」 「とうっ!」
友人「組み手開始! くれぐれも怪我をしないように!」
ワァァァ……! ワァァァ……!
男(友人はすごいなぁ……。俺と同い年なのに、こんな大勢の門下生を相手して……)
男(腕が立つ上に、優しいし……そりゃ慕われるよな)
男(それに比べて、俺と東の道場ときたら……)
男(歴史だけは町一番だが、時代錯誤な猛稽古やら古いしきたりやらで、
死んだ親父の代から門下生はゼロ……)
男(まったく、情けなくなるぜ)
8 = 1 :
稽古が終わり──
< 公園 >
友人「二人とも、今日は来てくれてありがとう。
やっぱり他流の人に来てもらうと、空気が引き締まるよ!」
男「……どういたしまして」
幼馴染「? どしたの? 元気ないじゃん」
男「いや……北の道場はこのとおり町一番の規模だし、
幼馴染の西の道場もダンスを取り入れた武術が女性や子供に好評だってのに……」
男「ウチはクソ親父のせいでお袋は死んで、門下生も集まらず……。
お前たちに出稽古に誘ってもらわなきゃ食ってもいけねえ」
男「俺は情けないな、と思ってさ」
幼馴染「そんなこと……なにいきなり弱気になってんのよ」
男「悪い……しんみりさせちまった」
友人「…………」
9 = 1 :
友人「ねえ、ちょっと勝負しようか」
男「勝負?」
友人「稽古じゃ、なかなかボクら同士で試合なんかできないだろ?」ザッ…
男「なんだよ突然……まぁいいけど」ザッ
構える男と友人。
幼馴染「え、こんなとこでやるの? やっちゃうの? じゃ、始めっ!」
男「うおおおおっ!」ビュアッ
友人「はああああっ!」ビュバッ
バチィッ!
ドガッ! ドゴッ! ドズッ! ドゴッ! バキィッ!
男(オーソドックスながら鋭い打撃! 全然隙がない!
しかも見切りの技術がすごいから、決定打が全然入らねえ!)
友人(足は波や柳のようにゆるやかに動かし、徹底的に力んだ拳を叩き込む、
東の道場独特の拳法! 200年の歴史はやっぱり凄まじい!)
10 = 1 :
しばらく攻防を続けた後、間合いを取る両者。
男「ハァ……ハァ……」
友人「ゼェ……ゼェ……」
幼馴染(ちょっとちょっと……二人ともマジじゃないのよ)オロオロ…
友人「はあっ!」ババッ
ベシィッ! ドズッ! ガキィッ!
下段、中段、上段と友人の蹴りがヒット。
男「ぐおっ……!」ヨロッ…
幼馴染(友人の得意技、三連蹴り! 痛そう!)
男(友人……本気か! だったら俺も、ウチの道場のとっておきを出す!)スッ…
11 :
きもい…ただきもい。
12 = 1 :
男(徹底的に力を緩めた足で、しゃがみ込み──)ユルユル…
男(それを一気に爆発させて立ち上がり、その加速を右拳一点に伝え──
打つッ!!!)
男「ぬぉりゃあっ!!!」
ズドンッ……!!!
友人「ぐあっ……!」
渾身の拳が、友人の腹に突き刺さった。
ドサァッ!
幼馴染「そ、それまでえっ!」
男「だ、大丈夫か!?」
友人「あ、ああ……とっさに身を引いてなければ、病院行きだったね」ゲホッ
男「さすが見切りの達人……」ホッ…
13 = 1 :
友人「今の技……すごいな。下半身から上半身に一気に力を伝え、高速の突きを出す……。
しかも、がら空きになる腹部もしっかりガードされていた……。
防ぎようも……カウンターをしようもなかったな」
友人「あれは、なんて技だい?」
男「東の道場奥義、緩急拳……」
男「正式名称は“下半身上半身緩急伝達一点集中高速拳”なんだけど……
俺と兄貴はこう略してる」
幼馴染&友人(長い……)
男「腹をガードってのは、ウチの4代目だか6代目だか8代目だかが、
この拳を放ったところにモロに腹にカウンターもらってゲロったから、
こうするようになったらしい」
幼馴染「とりあえず偶数の代ってことだけは覚えてるみたいね」
友人「ま、とにかく……君は町のボクらの世代の中じゃ一番強いだろう。
自信を持てよ」
男「!」
14 :
とりあえず書き溜め全部投下してみ
15 = 1 :
友人「ボクが君を出稽古に誘うのは、同情や友情なんかじゃない……。
君の技やクセを掴んで、いつか君を倒したいと思ってるからだ!」
友人「おっと……本音が出ちゃった」
友人「ボクの目標が、そんな弱気になってくれるなよ」ニコッ
男「…………!」
男(コイツ、俺を励ますために……勝負を……)
男「お前って──本当に優しいなぁ……! ありがとう……!」
友人「いやいや」
幼馴染「ふふっ、いい友だちを持ったわねアンタたち」
すると──
「おうおう、こんなところに東、西、北の道場のホープが集まってんじゃねえか!」
男(こ、この声は……!)
16 = 1 :
声の主は、手下を大勢引き連れた一人の若者。
男「南の道場の──不良!」
不良「よぉう、ここで会ったが百年目!」
友人「なんで君がここに?」
幼馴染「なにしに来たのよ! 空気読んでよバカ!」
不良「決まってんだろ? 南の道場が一番だってことを分からせに来たのさ。
お前らにゃ、道場の“資金集め”をいつもジャマされてっからな」
男「道場って……お前たちは町の人に迷惑かけまくってるチンピラ集団じゃねえか。
一緒にされたくねえよ」
幼馴染「それにカツアゲは資金集めなんていわないわよ! バカじゃないの!?」
友人「君たちもマジメにやれば、きっといい格闘家になれるよ」
不良「──るっせぇ! 今日こそてめぇらまとめてぶっ潰してやる!
覚悟しやがれ!」
手下「南の道場の恐ろしさ、思い知れ!」
「やっちまえ!」 「ぶっ殺せ!」 「なめんじゃねえよ!」
17 = 1 :
三人と二十数人との、乱闘が始まった。
男「うおりゃっ!」
幼馴染「えーいっ!」
友人「はあっ!」
ドガァッ! バキィッ! ドゴォッ!
「ぐわぁっ!」 「いっでぇ!」 「ぎゃんっ!」
手下「ちっ……さすがに強い!」
不良「ビビってんじゃねえよ。ヤツらもだいぶ疲れてやがる。
三人のうち一人でもやりゃ、一気に潰せる!」ダダダッ
男に向かっていく不良。
不良「ボロ道場から引導渡してやるよォ! だららららぁっ!」ブンブンッ
ドガガガガガガッ!
男(ぐ……この馬鹿力が! ガードの上からも重く響いてくるラッシュをしやがる!
コイツがまともなパンチ打つようになったらヤバイかもな……!)
18 = 1 :
男「うりゃっ!」シュッ
バキィッ!
不良「ちいっ! ──お前ら、囲め、囲めぇっ! 一気に勝負つけんぞ!」バッ
手下「フォーメーション“フルボッコサークル”だ!」サッ
不良の手下たちが円を描くように、男たちを囲みだす。
ザザザッ……!
男「やべぇ! このまま一気にかかってこられたら──」ババッ
幼馴染「不良のくせにチームプレイとか生意気よ!」ザッ
友人「まずいな……!」ジリ…
不良「へへっ、泣いて土下座したら許してやっても──」
「そこまでだっ!!!」
不良「あぁ!?」
20 = 1 :
突如、覆面を被った怪しい男が現れた。
覆面「南の道場の悪人たちよ……。このような卑怯な戦法は許せん!
この俺が成敗してくれる!」
不良「く……またてめえか!」
覆面「友人君、幼馴染ちゃん、男! 助太刀するぞっ! でやああっ!」
バキィッ! ドボッ! ズドッ!
手下たちを、みるみる蹴散らす覆面。
幼馴染「ねえ、あれって──」
友人「声で分かるけど、あの人は──」
男「頼むっ! 気づかないフリをしてやってくれ!
あれで本人はバレてないつもりなんだ、頼むぅ……っ!」
覆面「どうしたどうした? 一発ぐらい当ててみろ! フハハッ!」
ドゴォッ! ガスッ! ベキィッ!
手下「め、メチャクチャつええ!」
不良(ちくしょう……戦い方は東の道場の拳法っぽいが、いったい何者なんだ!?)
21 :
なんか珍しくて見てるから最後まで続けろよ
22 = 1 :
幼馴染「ま、いいか……助かったしね。不良、覚悟っ!」タタンッ
ドゴォッ!
幼馴染のリズミカルな回し蹴り。
不良「うげっ!」ヨロッ…
友人「もう悪いことするなよ!」
友人のオーソドックスな右ストレート。
バキィッ!
不良「ぐほっ!」ガクンッ
男「とっとと帰れっ!」
ドゴォンッ!
男の怒りの右ストレート。
不良「ぐべぇっ……!」ドサァッ
「ゲ、不良さんがやられた!」 「逃げろぉっ!」 「いや、名誉ある撤退だぁっ!」
ダダダッ……!
手下たちは全員逃げ出した。
23 = 1 :
覆面「お~う、大丈夫か?」
幼馴染「だいじょぶでぇ~す!」
友人「ありがとうございます!」
男「…………」
覆面「そうか、よかった! だが、もっと修業に励むことだ!
そうすれば、不良君たちに追い詰められることはなくなるだろう!」
幼馴染「は~い」
友人「はいっ!」
男「…………」
覆面「ちなみに俺の正体はヒミツだ! 知ろうとするとヤケドするぞ!
では、さらばっ!」ダダダッ
幼馴染「さよ~なら~!」
友人「お元気で!」
男(バレバレなんだよ、バカ……)
24 = 1 :
< 食堂 >
男「う~……食った食った」
友人「ごちそうさま」
幼馴染「あ~おいしかった!」
幼馴染「でもさっきは危なかったね。お兄さん来なきゃアウトだったわよ」
友人「ああ、不覚だったね」
幼馴染「でもお兄さんって、なんで道場継がなかったのかしら。
あんなに強いのに……」
友人「継がないにせよ、あれだけの使い手なら、どこででもやっていけるだろうにね」
男「……バカなんだよ、兄貴は」
幼馴染「そんなこというもんじゃないわよ。たしかに、あの覆面はどうかと思うけどさ」
男(兄貴……)
25 = 1 :
その夜──
< 東の道場 >
男「なあ、兄貴」
兄「お~う?」
男「緩急拳を放ったら、腹にパンチ喰らってゲロったのって何代目だっけ?」
兄「5代目だろ」
男(マジかよ……)
兄「もしかして忘れてたのかぁ? しっかりしろよ、15代目!」
男「わ、忘れてるワケねーじゃん! アハ、アハハ! 冗談はよしてくれよ~!」
兄「ま、そうやって切磋琢磨しつつ、初代から数えて200年、
ウチの道場の技は受け継がれてきたわけだ」
男「200年か……」
26 = 1 :
男「ところで初代ってのはどんな人だったんだ?」
兄「さあ……自分で流派を開くぐらいだ。強かったってのは間違いないだろう」
兄「でも……」
男「でも?」
兄「俺たちの流派を開いてまもなく、なんかの大会に出て、
王様の親戚筋にあたる格闘家に勝ってしまった」
兄「で、怒った王様に不死の泉を探しに行けっていわれて──
そんなもんあるわけないから、実質上の追放みたいなもんだな。
──そのまま行方不明になったってハナシだ」
兄「せっかく開いた流派も潰すことになったから、初代の息子である二代目は
国から逃亡して今のこの道場を建てたんだ」
男「ひでえ話だな……」
兄「今みたく、気がねなく格闘技をやれる時代じゃなかったってことだな」
男(俺の先祖が必死こいて作って、守ってきたこの道場……
やっぱり俺の代で潰すわけにはいかねーよな!)
27 = 1 :
数日後──
< 東の道場 >
幼馴染「起きてぇっ!」シュッ
男「うおっ、あぶねっ!」バババッ
バチィッ!
互いの攻撃をガードする男と幼馴染。
幼馴染「さ、出稽古に行こう!」
男「おう!」ザッ
幼馴染「あれ? なんか今日はやけに張り切ってるじゃん」
男「友人が俺を倒すために俺を呼ぶってんなら、
俺も東の道場のために北の道場から色々吸収しなきゃならねえからな」
幼馴染「ふぅ~ん、少しはふっ切れたみたいね」
28 = 1 :
< 北の道場 >
友人「今日も来てくれてありがとう。参考になったよ」
男「こっちこそな」
友人「ところでこんなニュースを知ってるかい?」
友人「なんでも最近、凄腕の道場破り集団が各地の道場を荒らし回ってるらしいんだ。
重傷者もかなり出ているとか……」
男「道場破り……?」
男「禁止されてるわけじゃないが、やってる奴なんかいたのかよ。
ずいぶん古風な奴らだな」
友人「うん……でも、時代に逆行したことをやるってことは、
それだけ腕にも自信があるってことなんだろう」
友人「この町は道場が四つもあるから、もしかしたらやってくるかもしれない……」
男「来たら返り討ちにしてやればいいさ!」
男(しかし、ウチの道場ははたして道場だと見なしてもらえるのだろうか……)
29 = 1 :
さらに数日後──
< 隣町の道場 >
拳法家「つ、強すぎる……」ゲホッ…
刺青「もっと根性出せやァ! オラッ、オラッ、オラァッ!」
ドゴォッ! ドボォッ! ドズゥッ!
ダウンしている拳法家を蹴りまくる刺青の男。
拳法家「がふぅ……っ!」ガクッ…
長身「その辺にしておけ……。死んでしまう……」
刺青「ケッ、死んだってかまうもんかよォ! オラッ!」ドゴッ
金髪「オイオ~イ、道場破りとはいえ死なせたらヤバイことになっちゃうぞ。
しっかし、この道場もてんで手応えがありませんでしたねえ」
首領「やはり今の格闘技など、この程度だということだ」
首領「三人とも、もうここに用はない。出るぞ」ザッ…
31 = 1 :
翌日──
< 北の道場 >
男「隣町の道場が……!?」
友人「うん。ボクもたまにお世話になってたんだけど、
道場主である拳法家さんを始め、ほとんどが重傷らしい……」
男「どんな奴らなんだ?」
友人「道場破りのメンバーは全部で四人。全員かなりの実力者だけど、
特にリーダー格の男は、恐ろしい強さだったらしい」
幼馴染「そいつら……この町にも来るかなぁ」
友人「……来る可能性は高いだろうね」
友人「来たら、下手に応戦はしないで、へりくだった方がいいかもしれない。
子供や女性が多い西の道場は、特にね」
幼馴染「うん……」
男「お前も気をつけろよ。この町で一番デカイのは北の道場なんだからな」
友人「分かってる。ボクも門下生を危険な目にあわせたくないしね」
32 = 1 :
その夜──
< 東の道場 >
男「兄貴」ムシャムシャ…
兄「お~う? どうした」モグモグ…
男「最近、道場破りやってるグループがいるらしくてさ。隣町に現れたらしい。
もしかしたらウチにも来るかもしれないけど──」
男「もし来たら、俺がやる」
男「兄貴は余計な手出しすんなよな」
兄「ほほぉ~う」
兄「いいだろう。俺は一切手出ししない!」キリッ
男(とかいって、俺がヤバくなったらバレバレの変装して
駆けつけてくるんだよな……まったく)
33 = 1 :
< 隣町の宿屋 >
長身「次に向かう町にある道場について……調べてきました」
首領「聞かせろ」
長身「東西南北に四つ、道場があります……」
金髪「すげぇ、四つもあんの!? で、それぞれの特徴はどんなもん?」
長身「一番大きいのが北の道場で、次が西の道場……。
東の道場は門下生が一人もいなくて、
南の道場は道場というより町のチンピラの溜まり場らしい……」
金髪「ハハッ、道場っていえるのは実質二つだけじゃんか。
首領さん、どっからにします?」
刺青「どっからでもいいだろォ! どうせ全部叩き潰すんだからよ!」
首領「ふむ……」
34 = 1 :
そして、その日は訪れた。
< 南の道場 >
ギャハハハハ…… ワイワイ……
「でよぉ~!」 「マジかよ!?」 「ヤベーなそれ!」
はしゃぐ手下たちをよそに、腕立て伏せをする不良。
不良「ふんっ……ふんっ……」グッグッ…
手下「不良さん、なにやってんです?」
不良「いや……今度こそアイツらに勝ちたいからよ」グッグッ…
手下「んなもん、マジメに鍛えなくてもいくらでも方法はありますって!
こないだだって変な覆面が来なきゃ、こっちのもんだったんですし」
不良「まあ……そうなんだけどな」グッグッ…
ガラッ……!
刺青「おっほォ~いやがるぜ。社会のゴミがウヨウヨと」
不良「あ?」
35 = 21 :
面白くなってきたww
36 = 1 :
手下「てめぇら、ここをどこだと──」ズカズカ
ドゴッ!
刺青に殴り飛ばされる手下。
不良「あ、てめぇ……!」
刺青「感謝しろよォ、チンピラども。こんな道場ともいえない粗大ゴミ置き場に、
道場破りに来てやったんだ。準備運動代わりによォ」
長身「そういう言い方は……よくない」
金髪「へぇ~、人数だけはけっこう多いな。少しは楽しめるかな?」
首領「この時代の格闘技の退廃ぶりを象徴しているような道場だ……。
とっとと片付けてしまうぞ」
不良「…………」ビキッ
不良「やってやるよ、クソどもがァ……!」
─────
───
─
37 = 1 :
< 東の道場 >
幼馴染「起きろぉぉぉっ!」ブンッ
男「敵襲!?」ババッ
男「──って、幼馴染! なんで来たんだよ!? 今日は出稽古ないだろうが!?」
幼馴染「出稽古がなきゃ来ちゃいけないの!?」
男「いや、いいけど。で、なんの用だ?」
幼馴染「あ、そうだ。昨夜ね……南の道場が道場破りにあって、
不良たちが全員、病院送りにされたんだって……」
男(不良が……!)
男(──ついにこの町に来たのか!)
幼馴染「友人も病院に行くっていってるし、あたしたちも病院に行こう!」
男「そうだな。あんな奴でも、町の仲間だからな」
38 = 1 :
< 病院 >
病室には、包帯まみれの不良が横たわっていた。
不良「ケッ、ゾロゾロときやがって。俺らを笑いに来たのか?」
友人「そんなんじゃない。町の仲間がやられたら、心配するのは当然だろう」
不良「相変わらず、お優しいことだぜ」
男「お前こそ、日頃からやられてるだけあって相変わらず頑丈だな」
不良「うるせぇ!」
幼馴染「ぷっ……」
不良「ち、ちくしょう! アイツら……下手すりゃお前らより強いぜ!
次はお前らの番だ! ここで来るのを待っててやるよ!」
男「そんなに強いのか?」
不良「悔しいがな……。それに一人、お前に戦い方が似てる奴がいたぜ。
顔もどことなく似てたし、もしかしたら親戚なんじゃねえのか?」
男(俺に、戦い方が似てる……?)
39 = 1 :
病室を出た三人。
友人「不良も手下たちも、そこまでの怪我じゃなくてよかったね。
日頃からあたしらに負けまくってたおかげかも、なぁ~んて……」
男「…………」
幼馴染「どしたの?」
男「いや……」
友人「さっきの不良の話かい? あまり気にしないことだよ」
幼馴染「そうよ! アイツに他人の戦い方を見分ける目なんかあるわけないしね!」
男「…………」
男(いや……こないだ不良とやり合って分かったが、
アイツは単なる荒くれ者じゃない。あんなデタラメをいうような奴じゃない……)
男(でも、今や俺と兄貴の他に、ウチの流派の人間はいないはずなのに……
絶滅危惧種のハズなのに……)
男(う~ん……)
41 = 1 :
< 東の道場 >
男「なあ、兄貴」
兄「お~う?」
男「俺たち以外に、俺たちの流派の技を使えるヤツっているのかな?」
兄「ん~……なにしろこの道場は歴史は長いし、世界は広いし、
絶対にいないとはいえないが……」
兄「一族だけで細々と流派を維持するのは無理があるって、
外部からの門下生を受けるようになったのも最近の代になってからのことだしな」
兄「しかも外部生は、みんなすぐ辞めてる」
兄「いる可能性は低いだろうな」
男「だよなぁ……。俺ら絶滅危惧種だよなぁ……」
男(やっぱり不良の勘違い、か)
42 = 1 :
そして翌日──
< 北の道場 >
ワイワイ……
友人「よぉーし、突きをあと50本! ちゃんと声を出すんだよ!」
「はいっ!」 「はいっ!」 「はいっ!」
稽古が始まろうとしていたその時であった。
ザンッ……!
友人「!」
刺青「一番デカイっていわれてるだけあって、雑魚がウジャウジャいやがるぜ!」
長身「……土足で上がってはダメだ」
金髪「ど~も! いやぁ~、こんなに大きい道場は久々だな」
友人「一応聞いておこう……。あなたたち、用件はなんだ?」
首領「道場破り」
43 = 1 :
ザワザワ…… ドヨドヨ……
友人「あなたたちのことは知っている……。
今の世は昔とちがって、こんな真似をしなくても他流との交流は可能だ。
──なぜ、こんなことをする?」
首領「昨今の軟弱な格闘者に、格闘技の強さと恐ろしさを教えるためだ」
友人「……あなたたちにも色々理由だとか使命があるんだろうが──
ボクはあなたたちの行動には賛成しかねる」
友人(思った以上に危険な連中のようだ。ここで止めなきゃ──
男と幼馴染が危ない!)
友人「ボクが相手をしよう」
門下生「若先生!」
友人「大丈夫、心配いらない」
金髪「へぇ~、ずいぶん潔いな。今まで破った道場のほとんどが、
道場破りって聞いてあたふたしてたけど」
刺青「よぉ~し、俺がやってやる! ホンモノの格闘技ってヤツを教えてやる」ズイッ
友人「……来い!」
44 = 21 :
結構面白いと思うけど見てる奴が少ないから落ちたら残念だな
はよ
45 :
うむ
46 = 1 :
刺青「オラッ! オラオラァッ!」シュシュッ
刺青の素早いラッシュを、やすやすとかわす友人。
長身「……あの人、強い」
金髪「へえ、すごい見切りだ。やるじゃん!」
刺青「ちょこまか逃げ回りやがっ──」グルッ
ピタッ……
刺青「!?」
刺青の顔面に拳が寸止めされていた。
友人「ボクの……勝ちだ」
刺青「ざけんなよ……こんなんで負けを認めるとでも──」ピクピクッ
首領「よせ。お前の手に負える相手ではなさそうだ。金髪と代われ」
金髪「──ってわけだ。選手交代!」
刺青「ぐっ……!」ギリッ…
47 = 45 :
ピピーッ
in金髪
out刺青
48 = 30 :
見てるぜ
49 = 1 :
金髪「んじゃ、始めるかぁ。準備はいいかい?」ザッ…
友人「来い!」ザッ
金髪「ほっ!」ビュッ
友人(右ストレートか! これをかわして──)サッ
──ガゴォッ!
友人の顎に拳がヒットした。
友人「ぐっ……!?」ガクッ…
(な、なんで!? たしかに拳はかわしたはずだ!)
金髪「たしかにすごい見切りだ。けど、あいにくオレには通用しないよ~ん」
ドッ! ボスッ! ガスッ! バキィッ! ガゴンッ!
次々にクリーンヒットを許す友人。
友人(よ、避けたと思ったら……拳が当たる……なんでだ!?)
金髪「オレの拳は必中なのさ」ダッ
ゴッ!
50 = 45 :
金髪と思ったら般若でした…
みんなの評価 : ☆
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