元スレ菫「あの時の君は、もっと手強かったがな」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
102 = 78 :
宥「そ、そう、ですね………」
部長「………」
宥「ま、萬子が、よく、来るような……」
部長「……それだけ?」
宥「えっ……えっと……そ………」
部長「…………」
宥「それ、だけ……です」
部長「――そ。わかったわ。じゃあ、大部屋戻りなさい」
宥「はい………」
部長「……どーしたもんかしらねえ……」
104 = 78 :
宥(――詮索された。つい誤魔化したけど、見当はついてるって言ってた)
宥(確かに、最近少し感じてることではあった。対応されてるとまではいかないけど、違和感のある相手の打ちまわしは)
宥(もし、全部明かしたら……どうなっちゃうのかな)
「ロン。3900」
宥「……っ。はい……」
宥(全部、露呈する。この体質と、赤土先生の教えで勝ってきた………そうだ、本当は、私自身の実力なんて大したことないんだ)
宥(―――レギュラーに、なれないかもしれない)
宥(そんなの、嫌だ………あんなに、期待されてたのに。試合にすら出られないなんて)
宥(麻雀なら、私にも出来るから。麻雀でなら、こんな私でも他の人の役に立てるから)
宥(そう思ったから、大学でも続けようと思ったのに―――)
105 :
能力が一般にも浸透してるのか
106 = 97 :
宥姉はもっと自信持っていいよね
107 = 78 :
宥「ただいま………」
玄「おかえりお姉ちゃん。今日はどうだった?」
宥「……ちょっと、負け込んじゃった。調子、悪かったみたい。あは、あはは……」
玄「そっか。そういうこともあるよね………ねえ、お姉ちゃん」
宥「なあに?」
玄「えっとね……」
憧『考えてもみなさい。ただ出席して、相手が誰かも気にせずただ打って、ろくに検討もせずに帰るだけ………それじゃ、ネット麻雀となにも変わらないわ』
玄「――どう?大学の麻雀部で、友達はできた?」
宥「………うん、まあ……それなりに、ね」
玄「……そっか。よかった」
宥「……先、お風呂入っちゃうね」
玄「うん………」
108 :
しえーん
109 = 78 :
玄(………多分、お姉ちゃんは今のままじゃだめなんだ。もっと積極的にいこうって、相談乗るよって、言ってあげたい、けど)
『あんたそう言って高校生になるまで甘やかしてたんでしょーが……』
『実際、大したモチベーションだと思……』
玄(あのお姉ちゃんが、今は自分の意思で頑張ってる。なんとなくウチを継ぐんじゃなくて、自分でやりたいと思ったことを、やるべきだと思ったことをやってる)
玄(お姉ちゃんが自力で解決するか、自分から全部話して相談してくるか……私は、それを待ってなきゃいけないんだ)
宥(何やってるんだろう、私……。玄ちゃんに、ウソまでついて)
宥(友達なんて、できてない。………それどころか、最近どんどん『敵意』が増えてきた気がする)
宥(私に負つと、露骨に不機嫌そうに席を立つ人。私に勝つと、こっちを一瞥もせずに自慢しにいく人。……私の能力について、情報を引き出そうとしてくる人)
宥(ぜんぶ、敵に見える。おんなじ部活のはずなのに、ぜんぶぜんぶ。……阿知賀のときと、全然違う)
宥(怖いよ。寂しいよ。あったかくないよ………)
111 = 78 :
――6月末 某日 麻雀部部室
宥「対外試合……」
部長「東京からわざわざ遠征に来るそうなので、丁重にお相手してあげること。今週末よ」
先輩「えっ、でも、このW大って1部リーグのちょー強いとこじゃないっすか!人数だってウチの倍以上……」
部長「もちろんあの大所帯が全員で来るわけではないわ。1軍やその候補者はまた違うところへ行って、ウチに来るのは2軍以下の面々……それでも、各上には違いないけど」
先輩「ほえー……」
宥「……」
宥(東京の巨大私立の2軍………たぶん、テストだと思ったほうがいいんだろう。7月末に、10人の1軍メンバーを決定するための)
宥(インカレ公式戦では、1試合ごとに更にそこから5人を選抜する。……私は、5月までは5指には入れるとたかをくくってたくせに、今はその10人の当確線上)
宥(何かをしなきゃ、だめなんだ。このままだと……)
113 = 78 :
宥(……検討、とか……付き合ってくれる人、いるかな……)
「ねえせんぱーい。今日2本付けを2倍付けって言い間違えたせんぱーい」
先輩「なにをー!このこのー!」
部長「もしもし、監督?ええ、はい、伝えました。それで……」
宥「………」
「――ちょっと。邪魔なんだけど。どいてくんない?」
宥「あっ……ご、ごめんなさい……」
宥(――嫌だ。もう、役立たずは嫌だ。なんとか、そこで結果を出さないと……勝ててる間は、みんな優しくしてくれてたから……)
114 = 78 :
―― VS W大 練習試合当日
宥(さすが、って言うべきなんだろう………2軍以下といっても、去年インターハイで見たような人たちが何人かいる)
宥(私とあたる人は、せめてその中でも、私と対戦経験の無い人なら……私のこの特質を知らない人なら、多分有意に立てるから)
宥(それで、なんとか今日良い成績を出せれば、レギュラーには残れるから……)
宥(――そう、思ってたのに、なんで)
「久しぶり、だな」
宥(神様は、意地悪だ)
菫「――松実、宥さん」
宥「は……はいぃ……」
115 :
しあ
116 = 97 :
ここで菫さん
117 = 78 :
宥(……入った。9sを切って、3900のテンパイ。曲げて7700にしたいところだけど……弘世さん、白を鳴いてるし、手出しの回数を見ても張ってておかしくない)
宥(弘世さんの親でもあるし、振れば大きいかもだけど、8sは4枚出てるし、9sも2枚見え……あるとしたら、地獄単騎)
菫「………」
宥(たとえそれでも相手の余剰牌待ちで構えるのがこの人……でも、右手の動きも無いし、視線も特段私にだけ集中してるわけじゃない。いける、よね……)
宥「リーチ」
菫「……舐められたものだ」
宥「――っ!」
菫「ロン。5800」
118 = 78 :
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
宥(――結果は、散々だった)
宥(最初に弘世さんにいいようにやられて、せめて自分の今日の収支をプラスにしようと躍起になって……結局、今日の最終的な収支は下から数えた方が明らかに早いってぐらい)
「せんぱいせんぱい!私今日プラスでしたよ!プラス!」
宥(多分、これで1軍入りは難しくなった。最近の部内戦の感覚からいっても、これからは落ちる一方な気がする)
先輩「お、やるじゃん!最近うなぎのぼりだねー。最初はあんなへっぽこだったのになー」
宥(どうしよう、かな。居心地もいいとはいえない場所で、成績で誇ることもできなくなって、私がここにいる意味はどれだけあるだろう)
「羨ましいなー。………どっかの期待の星さんとは、大違いだなー」ボソッ
宥「………ッ」
菫「…………」
119 = 78 :
宥「………」
玄(お姉ちゃんは帰って夕飯を食べると、途端に炬燵にもぐりこんでしまいました。その夕飯もろくに食べたとはいえない量)
玄(今日は対外戦って言ってたから……多分、良い結果が出せなかったんだろう)
玄「おねーちゃーん、お風呂はー?」
宥「あとで、入るからぁ……」
玄(……私が、いけなかったのかな。私が、お姉ちゃんのこれからなんて偉そうに気にせずに、もっと相談にのってあげれば……)
「ごめんくださーい」
玄「はい!ただいまお伺い致します」
玄(………お客さん?)
玄(なんか、どこかで聞いたことあるような……)
120 = 98 :
菫さんはにせおもち疑惑を払拭しないと松実家に入れないよ
121 = 78 :
玄「お姉ちゃんお姉ちゃん!!」
宥「ふぇっ!の、ノックぐらいしてよう……」
玄「あ、ごめん……ってそんな場合じゃないよ!お姉ちゃんどうしたの!?」
宥「どうしたのって……私が聞きたいよ。玄ちゃんどうしたの……」
玄「どうしたもこうしたも……」
菫「すまないな。夜分遅くに急に現れて」
宥「う、ううん……大丈夫だよ。お客さんとか、このぐらいの時間でもよく来るし……」
菫「そうか……だが私は旅館の客ではないし、やはりこうして人一人呼び出す時間としては唐突だったよ。すまない。ただどうしても気になったんだ」
宥「気に、なった?」
菫「ああ。とんでもない偶然で出会った顔見知りだ。近況のひとつぐらい気になったっていいだろう?」
宥「………インターハイ、以来ですね。それが初対面ですけど」
菫「そうだな。ただ――」
菫「あの時の君は、もっと手強かったがな」
123 = 78 :
宥「……弘世さんが、強くなったんですよ。クセだって、完全に直っちゃってた」
菫「同級だ、敬語なんて使わないでいい………君はどうだ。高校の頃に比べ、自分が伸びた実感はどれほどある?」
宥「………全然、かな。あはは……」
菫「だろうな。今日打ってみて思ったよ。成長していないどころか、高校の頃のほうがまだ覇気があった」
宥「覇気?私が……?」
菫「そうさ。『勝とう』という強い思い……インターハイの選手なんて、みんなそんなものだが、君もそういった気概に満ちていた」
宥「………今日だって、勝とう、勝たなきゃって、思ってたよ」
菫「『勝とう』というより『勝てなかったらどうしよう』だな。大方1軍争いにおいて今日が重要だったんだろう」
宥「………!」
菫「………君には感謝してるんだ。自らにつけ込めるような癖があるなんて、あの時にはじめて分かった」
宥「……私が、気づいたわけじゃないの。赤土先生に、教えてもらっただけで……」
菫「私からすれば同じことだ。阿知賀は皆伸びしろがある選手だったし、私と当たった3年ともしまた戦うことがあれば、恩返しとリベンジの両方を果たそうと思っていた」
宥「………」
菫「率直に聞きたい。………君は、いったい何をしてるんだ?」
124 = 81 :
しゃ~ぷしゅ~たそ~
125 = 78 :
宥「……考えが、甘かったんだと思う。高校のときに結構活躍できて、賞だってもらって……大学でも、多分こんな風に活躍できるだろうって」
菫「………」
宥「でもね……大学では、だめだったの。人が増えるだけだと思ってたら、それによってなにもかもが違うものになってた」
菫「……違う、とは?」
宥「阿知賀にいた頃は、みんな仲良しで、あったかくて……赤土先生は、一人ひとりの特徴を開花させたり、対戦相手のことも考慮した打ち回しとかまで指導してくれた」
菫「……それが、今は自分の居場所もおぼつかないし、個人に指導が行き渡るわけでもない、と」
宥「……!う、うん……」
菫「一目見ただけでわかったよ。君の部活内での立ち位置とか、まわりの評判の移り変わりまで手に取るようだった」
宥「……私、こんな性格だし、なかなか上手く皆と接することができなくて……でも」
菫「でもこの中では成績をキープできる自信がある。一定の実力を示していれば自然と皆から近寄ってくると思ったが、露骨に目の敵にされ勝率も立ち行かなくなった」
宥「……よく、わかるね」
菫「似たような後輩を見たことがあってな。……では、その後輩に言ったのと同じことを言おうか」
宥「………」
菫「――チームを舐めるな。この大馬鹿者が」
126 = 81 :
あわあわわ
129 = 79 :
ほ
132 :
律儀すぎる
133 = 115 :
支援だよー
135 = 115 :
支援なのよー
137 = 97 :
しえんしえん
139 = 115 :
支援じゃ
140 = 115 :
支援ですわ
141 = 115 :
支援かしら
143 = 76 :
これは惚れますわ
145 = 115 :
支援なのよー
147 = 79 :
もう充分でしょ
戻ってるはず
149 = 115 :
うんまぁこんだけやれば解除できるだろね
他人のレス×0.5くらいは投稿できるはず
みんなの評価 : ☆
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