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    元スレレッド「また会おうな」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - ポケモン + - 感動 + - 良スレ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    「グリーン…あの赤いポケモンは……」

    「あれは…レッドのピカチュウだよ、じいちゃん……」

    久しぶりに人間の目を見た

    町の人の視線は避け、トレーナーには避けられてきたから。

    数え切れない程向けられた感情。

    羨望、期待、歓喜、憧れ、恐怖、悲しみ、憎しみ、絶望。


    俺を見る2人

    その目は『理解不能』『恐怖』を語っている

    「おい、何があったんだよピカチュウ!…レッドは?レッドはどこだよ!?」

    〈死んだよ〉

    〈……俺が殺した〉

    2 = 1 :

    初めてレッドと出会ったのはいつだったか

    遠い昔のような気がする

    俺たちはいつでもどこでも、ずっと一緒だった

    「最強のポケモンマスターになるのが俺の夢なんだ!」

    いつもキラキラ目を輝かせて言っていた

    レッドと出会ってはじめてのバトルの相手は、ライバルのグリーンだった

    「ゼニガメ、みずてっぽう!」

    「ピカチュウ、でんきショックだ!」

    初バトルは俺がグリーンのゼニガメを倒して、レッドの勝利で幕を閉じた

    俺を褒めてくれるレッド。
    グリーンもゼニガメの頭を撫でている

    「次はぜってー負けねぇかんな!」

    「次も俺が勝つ!」

    2人は最高のライバルだった。

    3 = 1 :

    やがてヒトカゲとフシギダネが仲間に加わった。

    俺たちはジム戦に向けて特訓をはじめた

    野生のポケモンと戦ったり、近くにいたトレーナーと戦ったり。

    何度も負けて悔しい思いをした。

    そして、はじめてジムバッジを手に入れた。

    何度も俺たちの頭を撫でるレッド

    嬉しかった。

    もっと強くなりたい。

    俺達の想いは同じだった

    4 = 1 :

    レッドとの旅は楽しかった。

    特にバトルをしているときは。


    ・相手の体力がなくなれば勝ち

    そのシンプルなルールの中に深さがある気がする。

    でも、強くなるにつれて見えなかったものが見えるようになった

    バトルが楽しいと思えたのは、俺たちがまだまだ弱かったから。

    ポケモントレーナーになりたい子供がたくさんいるのは、彼らが世界を知らないから。


    俺たちもまた、世界を知らない子供と未熟なポケモンだった。

    5 = 1 :

    バッジも順調に集まっている

    ヒトカゲとフシギダネは リザードンとフシギバナに進化した

    途中で出会ったラプラスも仲間に加わった

    俺たちは着実に強くなっている。

    それが楽しくてたまらない。

    最近は負けることもほとんど無くなった


    ヤマブキシティに着いた

    ジムに入り、トレーナー達にどんどん勝っていく

    いよいよヤマブキジムリーダーのナツメとのバトルが始まる

    「いくわよレッド君」

    「はい!」

    ラプラスとフーディンは戦闘体勢についた

    7 = 1 :

    なんとかバッジは手に入れたものの、バトルに違和感があった

    〈ピカチュウ…相手のポケモン、なんというか……本気で私達を…〉

    フシギバナも同じことを思っていたらしい。

    ナツメは俺達を本気で殺そうとしていた。

    〈レッド…〉

    レッドを見る

    「なんでだろ……」

    レッドもわかっていたようだ。


    「ナツメさん!!!」

    ジムの前で叫ぶ

    「…なに?」

    声が聞こえた様子のナツメがテレポートでジムから出てきた

    8 = 1 :

    「さっきのバトル……」

    "殺す"という言葉を口にすることを躊躇っている

    「…自分のポケモンが殺されると思った?」

    読まれていたようだ

    「………はい…」

    レッドの拳に力が入る


    「殺されたくなかったら、殺されないぐらい強くなるしかない」

    瞬間、賑やかな街なのに、ナツメの声しか聞こえなくなる。

    本当に殺意があったのか

    ただのバトルなのに、ポケモンの生死が関わってくるのか

    9 = 1 :

    「あなたもたくさんのポケモンを殺してきたでしょう?戦いには死が付き物よ」

    「そんな!俺殺してなんか…」


    「本当に?」

    「あなた達が今まで倒してきたポケモン達はみんな本当に倒れただけなの?かなりレベルの低いポケモンを倒したことはない?」


    その声が、深く鋭く突き刺さる。

    「…弱肉強食。可哀想だけど仕方のないことよ。まぁ、ポケモンセンターでいつでも生き返らせることはできるけどね」

    うつむくレッド

    「…知らなかったのね。今あなたがいるのは そういう世界よ」

    そう言い残して、ナツメはまたテレポートでジムに帰っていった

    重い沈黙が俺たちを包む。

    10 = 1 :

    バトルは相手の体力がなくなれば勝ち

    それは、相手を気絶させたら勝ちだと思っていた。

    旅をはじめた頃はそれでバトルが成り立っていた

    俺も何度も気絶させられた。

    トレーナー戦では。


    野生とのバトルは負けたことがない

    レベルの低い野生と戦っていたから。

    今までどれほどのポケモンが犠牲になったのだろう

    考えたこともなかった。

    11 = 1 :

    「…俺はどうすればいい?」

    レッドの手が震えている。

    「これから先、本当にみんないつ死んじゃうかわからない。たくさんのポケモンを殺しちゃうかもしれない。強くなればなるほど…。それでも俺は先に進むべきなのかな…」

    帽子で表情は見えないが、きっと困った顔をしているのだろう

    レッドは優しいから。

    今思えば、ここで俺が何も言わなければ運命は変わっていたのかもしれない

    だが、その時の俺には"死"なんて見えていなかった。

    頂点しか見えていなかった。

    12 = 1 :

    〈進むしかねぇだろ〉

    俺を見るレッド

    〈今立ち止まったら犠牲になったポケモンも報われねぇよ〉

    〈俺たちはお前がどんな道を選んでもついていくよ。でもここまで来れたんだ。どうせならもっと上を目指そうぜ〉


    みんなも頷いている

    〈死んでもまた生き返れるんだろ?なら問題ないぜ〉

    ニッと笑いながら言うリザードン

    「みんな……」

    レッドに笑顔が戻る

    「そうだよな…。ありがとう、俺が迷ってちゃダメだよな」

    帽子を被り直す

    「よし、セキチクシティに向かうか」

    俺以外の仲間をボールに入れ、レッドと俺は歩き出した

    13 = 1 :

    カビゴンが仲間に加わった。

    ヤマブキを出てから、レッドはレベルの低い野生ポケモンと戦おうとしなくなった

    代わりに今の俺達より少しだけレベルの高い野生ポケモンとたくさん戦うようになった

    たくさんポケモンは倒したが、相手の死は一度も見ていない。

    自分がどんどん強くなるのを感じた。

    14 = 1 :

    数日後

    セキチクのジムバッジもゲットした

    しかしバトルの最中にカビゴンが深傷を負ってしまった

    「大丈夫か!?」

    急いでジョーイさんにカビゴンを預けるレッド

    〈なんとか…大丈夫だよ。だからそんな顔しないで…。まだ僕は生きてるよ〉

    カビゴンが言っても、申し訳なさそうな表情は変わらない


    「あなたはとても優しいトレーナーさんなんですね」

    ジョーイさんはカビゴンのボールをマシンにセットしながら言う

    「最近は少ないですよ。あなたみたいに全員生きたポケモンを連れているトレーナーは」

    ……どういう意味だ?

    15 = 1 :

    「…それって…どういう……」

    ジョーイさんは元気になったカビゴンのボールをレッドに渡した

    「まだポケモンを死なせたことはないかしら?」

    「…はい」

    「そうですか…。ポケモンが傷ついたらポケモンセンターで治療しますよね。このマシンはどんな怪我でも一瞬で治してしまいます」

    たしかに、俺も何度も世話になってる。

    「かすり傷や切り傷、やけどや猛毒、骨折やちぎれた腕、抉れた体も…死んだ肉体をも治してしまう」

    レッドの表情が曇る

    「ただ、このマシンにも治せないものがあるんです」

    「ポケモンの魂です」

    「一度死んだポケモンの体は治っても、もうそのポケモンには魂が無いのです。つまり、指示通りに戦うただの人形なのです」

    16 :

    案外重かった

    17 = 1 :

    言葉が出ない。


    知らなかった。

    今まで魂のないポケモンと戦ってきたかもしれないだなんて

    知らなかった。

    ポケモンは死んでも戦えるし、死んでも戦わせる人間がいるなんて

    知らなかった。

    今俺たちがいる世界が、こんなにも悲しい世界だったなんて。

    「そんな……」

    レッドは悲しげな目でジョーイさんを見つめる

    「これがポケモンバトルの真実です。私はたくさんの魂の無いポケモン達を診てきました」

    18 = 1 :

    「バトルをするなとは言えません。ポケモンと一緒にいる限り…、強くなればなるほど、バトルはほぼ避けられませんから。」

    「でも…どうか、どうかあなたはこれからもポケモンを大切にしてあげてください」

    そう言ってジョーイさんはカウンターに座っている俺を撫でてくれた

    「ありがとう…ございます……」

    ゆっくりと顔を上げ、曇ったままの表情で俺を見るレッド

    「…薬、買わなきゃ」

    ポケモンセンターを出ると、レッドはショップで強力な薬を大量に買い込んだ。

    20 = 1 :

    ポケモンセンターはトレーナーの宿にもなっている。

    眩しいほどの夕陽が差す中、さっきのポケセンに戻り、受付に向かう

    「おかえりなさい。どうされました?」

    「今日はここで泊まります」

    そう言うとジョーイさんは部屋の鍵を渡してくれた


    部屋に着くとレッドはベッドに倒れこんだ

    「ピカチュウ…俺、バトルって楽しいものだとしか思ってなかったよ」

    枕に顔を埋めたまま動かないレッド

    〈俺も楽しいものだとばかり思ってたぜ…。まぁ実際 楽しかったんだけどな〉

    「でもあの話聞いたら…これからなるべくバトルは避けたいなぁって」

    〈…そうか〉

    俺は近くにあったクッションを持って窓辺に移動する。

    はぁ、と大きな溜め息と共にレッドは白い天井を眺めていた

    21 :

    何この話重い。


    支援

    22 = 1 :

    「ポケモントレーナーがこんな世界だなんて知らなかった…」

    目を腕で覆うレッド

    「このまま戦い続けることは正しいのかな…」

    正しいかなんて、レッドが決めればいい。

    「まだまだ知らない秘密があるんだろうな。」

    〈……そうだな〉

    「…チャンピオンになれば全部知れるのかな」

    〈チャンピオンになるにはたくさんバトルしないとな〉

    レッドの小さな溜め息が再び部屋に溶け込む

    「…ちょっとだけ寝る」

    そう言って帽子を顔に乗せ、しばらくすると寝息をたてはじめた

    23 = 1 :

    満月は静かに空を包み込んでいる

    レッドはまだ眠っているようだ

    クッションに体を預けたまま ふと窓から外を見ると、草むらで見たことのないポケモンが1人で座り込んでいた

    近くにトレーナーは見当たらない

    野生にしてはあまり汚れていないように見える

    …なんとなく気になる。

    クッションから立ち上がり、窓を開けて外に出た


    外に出ると、そのポケモンの姿に目を奪われた。

    月明かりに照らされたビロードの毛並みは優しく夜風に揺れて、息を飲むほど綺麗だった。

    見とれつつもレッドのバッグから持ってきた2本のサイコソーダを抱えて少しずつ近付く

    〈よぉ、お前さん独りか?〉

    振り向いたポケモンの紅い目はとても大きくて、また少しだけ見とれてしまった

    〈…何よ〉

    〈喉渇いてねぇかと思ってよ。飲むか?〉

    警戒する彼女にサイコソーダを1本渡す

    24 = 1 :

    〈いらない〉

    そっか。と返事をして、隣に座りサイコソーダを開けた

    〈お前さん何てポケモンなんだ?〉

    〈……エーフィ〉

    〈エーフィ…聞いたことねぇな〉

    色々なポケモンと戦ってきたが、姿も名前も知らないポケモンは初めてだ

    〈ところでエーフィ、お前さん…トレーナーはいねぇのか?〉

    エーフィの綺麗な横顔が悲しげに歪む

    「おいおい、ナンパですか?」

    振り返ると、憎たらしいほどニヤけた顔をしたレッドが窓から俺達を見ていた

    25 = 1 :

    〈ばーか〉

    「なんだと!?」

    レッドが近付くとエーフィは俺の後ろに隠れた

    〈…人間が怖ぇのか?〉

    首を左右に振るがレッドと目を合わせようとしない

    「君は…捨てられちゃったの?」

    しばらくの沈黙の後、エーフィはゆっくりと口を開いた

    〈捨てられたんじゃない、逃げ出したの〉

    〈あたしはオーキド研究所で新たに造られた、新種のポケモンなの〉

    26 = 1 :

    逃げ出した?
    オーキド研究所から?
    造られた?


    「詳しく聞かせてくれるかな」

    優しく問いかけるレッド

    〈…あそこではポケモンを造ってる。ポケモンは自然に生まれたんじゃない、全て人の手によって造られた人工生命なの〉

    〈生殖機能を持つ造られたポケモンは野生に放たれて繁殖し、ここでは既存のポケモンや新種のポケモンを製造する。今のカントーはこうして保たれている…。〉

    〈逃げ出す前、研究員がそう話してるのを聞いたの〉

    体毛を揺らす夜風が冷たく感じる。

    〈目が覚めたら、周りに私になるはずだったものがたくさん……。それが怖くて逃げてきた〉


    レッドは嘘だろ…、と こぼした

    〈お前さん以外のポケモンもいたのか?〉

    〈うん。あなたになるはずだったものもいたし、まだ名前もない作成途中のものもいた〉

    28 = 1 :

    「博士の目的は?」

    〈そこまでは私も知らない。でも、ポケモンセンターで何かするとか言ってた気がする…〉

    ポケセン?
    じぃさんは何を企んでるんだ?

    「そっか…。ありがとう、教えてくれて」

    そう言ってレッドはエーフィの頭を撫でた

    〈なぁ、レッド〉

    レッドに問い掛ける

    「あぁ」

    やはり俺たちは考えることは同じだ

    「なぁエーフィ、俺達と一緒に来ないか?」

    29 = 1 :

    目を丸くし驚いた表情をするが、少し嬉しそうに見える

    〈嬉しいけど…私はまだ未発見のポケモンだし……〉

    「だからってエーフィを一人で放っておくなんて出来ないよ。な?」

    〈おう〉

    エーフィはしばらく考えた後、ありがとう と小さく呟き レッドのモンスターボールに入った


    「博士…何 企んでるんだよ…」

    エーフィの入ったモンスターボールを見つめ唇を噛みしめる

    「あ、おいピカチュウお前それサイコソーダ」

    〈えっ〉

    30 = 1 :

    エーフィの為に持ってきたサイコソーダはレッドが蓋を開けた

    芝生の上に並んで座り、月を眺めながらソーダを飲む

    「…なぁピカチュウ……俺、チャンピオンになったらやりたいことがあるんだ」

    「やりたいことじゃない…やらなくちゃいけないことだと思う」

    出会った頃のキラキラと輝いた目ではない

    どこか悲しげな、切ない目

    〈……付き合うよ。レッドの選ぶ道なら〉

    そう言うと、ごめんな、ありがとう と言って俺の頭を撫でた

    暖かい。

    暖かくて優しい手。

    32 = 1 :

    俺はトキワの森で卵から生まれた。

    親は確かにいたが、それでも俺もオーキドに造られた命に かわりはない。

    俺の頭に乗せられたこの手の暖かさも

    もっと強くなりたいと思うこの気持ちも

    レッドが大好きだと思うこの感情も

    全部嘘なのか?

    オーキドの爺さんに造られたものなのか?


    …違う。

    俺はここにいる。

    造られた命でも、俺は生きている。

    迷いはない。

    俺を撫でる暖かい手があるから

    優しい手があるから……

    ───────………

    ───…

    33 = 1 :

    「…寝ちゃったか」

    「ピカチュウ、ごめんな。いつも頼ってばっかで」

    「ありがとな……小さな体で戦ってくれて」

    「お前が、お前たちが博士に造られたなんて信じられないよ。…信じたくないよ」

    「でも、ナツメの言葉やジョーイさんが言ってたこととすごく繋がったんだ」

    「造られたから死んでも生き返る。造られたから、魂がなくても体は治るし戦える」

    「だからやっぱり本当のことなんだと思うんだ」

    34 = 1 :

    「博士は間違ってると思う。酷すぎる。可哀想すぎる。ポケモンもトレーナーも…」

    「でも…博士がいなかったら、俺はお前と出会うこともなかったんだよな……」

    「……もうわかんないよ…頭の中がぐるぐるする…」

    「…強くなったらわかるのかな」

    「ダメだな…俺がこんなんじゃ」


    ありがとうはこっちのセリフだ。

    眠りかけたのに一人で喋りやがって。

    一人で抱え込もうとしやがって。


    「今はチャンピオンになることだけを目標に頑張ろう」

    「よし!寝よう!起こさないように…よっと」

    レッドは俺を抱きかかえ、部屋に戻った

    35 :

    ふむ

    36 = 1 :

    部屋に戻ると俺をクッションに降ろしてくれた

    「ありがとなピカチュウ。何も言わずに聞いてくれて」

    …起きてることに気付いていたようだ

    それでも寝たふりを続ける

    どこでバレたんだ?

    「俺なりの答えを見つけるから、それまで付き合ってくれよ」

    「おやすみ、ピカチュウ」

    レッドは俺を撫で、ベッドに潜り込んだ

    37 = 1 :

    次の日からまた旅は続く

    「ありがとうございました」

    昨日のジョーイさんに鍵を返す

    「いつでも来てくださいね。無理はしちゃダメですよ」

    笑顔で言うジョーイさん

    「はい!お世話になりました」

    レッドも笑顔で応え、手を振ってポケセンを出た

    38 = 1 :

    「新しくエーフィが仲間になりました拍手!」

    〈〈〈パチパチパチパチ〉〉〉

    〈よ、よろしく……〉

    リザードンがやたらと可愛い可愛いと食いついていたが、ラプラスに いい加減にしろ、と怒られていた

    それを見て笑う俺達

    「よし、次はグレンジムだな」

    みんながレッドを見る

    「いくぜ」

    おぅ、と声を揃えて、レッドはみんなをボールに戻し グレンへと歩きだした

    40 = 1 :

    グレンへ向かう途中、たくさんのトレーナーと戦った

    そのほとんどが魂を失ったポケモン達だった

    それでも どんどん倒していく。

    仲間が倒される度、レッドはすぐにポケセンに走った

    回復して意識があることを確認する度、レッドは胸を撫で下ろした

    そして、グレンジムリーダー カツラの前に立つ

    「うおおーす!やけどなおしの用意はいいか少年!」

    「はい!お願いします!」

    41 = 1 :

    なんとかバッジは手に入れた

    手に入れたが、失ったものも大きかった

    カツラのウィンディの攻撃が、体力の残り少ないラプラスの急所に入ってしまった

    どさっ、とその場に倒れ込んでから意識が戻る気配がない

    バトルに勝ち、バッジを受け取るとすぐにポケセンへ走るレッド

    「…少年、 シオンタウンにフジというジジイがいるのを知ってるな?ラプラスのことなら奴を訪ねるといい」

    ポケセンへ向かおうとしたレッドの足が止まる

    シオンタウンにはポケモンタワーがある

    カツラにはわかっていたのだろう。

    どれだけレッドがポケモンを大切にしているかが

    さすがはジムリーダーだ。

    「……ありがとうございます」

    しかしその言葉は、ラプラスの死を意味していた。

    ポケセンへ行けば、というレッドの望みは打ち砕かれた

    42 :

    ラプラス雨ううううううううう

    43 = 1 :

    「リザードン、セキチクまで頼む」

    レッドはシオンタウンではなく、セキチクのポケセンへ向かった

    あのジョーイさんに診てもらうつもりだろう

    意味がないことはわかっている。

    それでも、レッドは まだわずかな希望を捨てきれなかったようだ

    セキチクに着きポケセンに入ると、俺達に気付いたジョーイさんは手を振ってくれた

    レッドは手を振り返さず、唇を噛み締めたまま どこかを見つめている

    きっと涙を堪えているのだろう。

    様子のおかしいレッドを心配したジョーイさんが来てくれた

    「どうされたんですか?」

    優しく問いかけるジョーイさん

    44 = 35 :

    ウインディ絶許

    45 = 1 :

    「…お願いします」

    全員のボールを渡すレッド

    ラプラスのボールを見たジョーイさんの表情がみるみる曇っていく

    「すぐに治療します!こちらへ!」

    俺もボールに入り、簡単な治療を受ける

    ラプラスは大きな扉の先へ運ばれた

    すぐに治療が終わり、ボールから出てレッドの肩に乗る

    少しするとジョーイさんが扉から出てきた

    表情でわかる。

    やはり駄目だったのだろう。

    「ラプラスの傷は治りました…。ですが……」

    46 = 1 :

    「ありがとうございます」

    レッドは笑っていた。

    涙を堪えて、悔しさを堪えて。

    「ごめんなさい、力になれなくて…」

    ボールを受け取る


    無理に作った笑顔に、心の内を感じたのだろう

    「…自分を責めないでくださいね。生き物ですから、どうしても避けられない事態だってあります。全てあなたのせいじゃない」

    ジョーイさんはレッドの頭を撫でながら言った

    「……ありがとう…ございます」

    声が震えている

    帽子で顔を隠したままお辞儀をして、出口へ向かうレッド

    心配そうにレッドを見送るジョーイさんに俺は ありがとう、と手を振った。

    47 :

    見てるぞ

    48 = 1 :

    リザードンに乗ってシオンへ向かう

    今にも涙がこぼれそうなレッド。


    死なせてしまった


    その事実が深く心に傷をつけたのだろう

    「強くならなきゃ」

    拳を握りしめ、潤んだ眼を細めて遠くを見つめている

    視線の先にはポケモンタワーがあった

    49 = 1 :

    シオンタウンに着き、フジ爺さんの家を訪ねる

    ラプラスを供養したいと言うと、墓の場所を決めるためにタワーへ行こう、と言われ家を出た

    「供養しに来るトレーナー自体 最近では珍しいというのに、また少年とはなぁ」

    「また?」

    「あぁ、グリーンという少年も昨日ここへ来てなぁ。ラッタを供養してあげたんじゃよ」

    グリーンも来たということは、きっとあいつもレッドと同じ考えなのだろう

    さすがライバルだ。

    50 = 39 :

    グリーン…


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