元スレ剣士「俺は妻のところに行く!」女騎士「行くなぁぁぁ!」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
101 = 91 :
戦士団 VS 山賊団残党
剣士の家周辺が、戦場と化す。
キィンッ! ワァァ……! キンッ! ワァァ……!
友人「ふん、ウチの新米より手応えねえぞ!」ザシュッ
新米「てりゃあっ!」キンッ
若者「山賊どもめ、覚悟!」ビュアッ
金髪「もう逃がさねえッスよ!」ザンッ
残党B「ぐ、はぁ……っ!」ドサッ
ガキンッ! ワァァ……! ドサッ! ワァァ……!
103 :
明日の朝まで残しとけよ
105 = 91 :
残党A「くそぉ……砂ぼこりにジャマされるなんて、なんて運がねえんだ、俺たちは!」
残党Aの背後に忍び寄る妻。
妻「えいっ」バシッ
残党A「あ、ぐぅ……!?(後ろから攻撃……!?)」ヨロヨロッ…
剣士「お前が残党どものリーダーだな!? ──覚悟!」ブンッ
バキィッ!
残党A「ち、ちくしょ、ぉ……!」ドサッ
剣士「よっしゃああああっ!」
剣士「残党どもの親玉は、この俺が捕えたぜ! ハーッハッハッハッハ!」
友人「ちぇっ、結局またお前が一番手柄かよ!」
金髪「さすが剣士さんッスねえ」
妻(助けてくれてありがとう、あなた……)
妻(また手柄を上げることができて……よかったわね)ニコッ
106 :
ニコッ
108 = 91 :
戦いが終わり──
< 戦士団詰所 >
黒騎士「吾輩がいない間に、一騒動あったそうだが──」
黒騎士「よく皆の力だけで解決してくれた」
黒騎士「特に臨時で指揮をとった友人、迫真の演技で敵の目をあざむいた新米」
黒騎士「そして、残党の中心人物を捕えた剣士……みごとな働きだった」
新米「へへへ……」
友人(コイツ絶対演技じゃなかっただろ……)ギリッ…
黒騎士「ただし!」
黒騎士「本来指揮をとるべき立場でありながら、行方をくらました女騎士!」
黒騎士「功を上げたとはいえ単独行動をとった剣士!」
黒騎士「二人はあとで、一人ずつ吾輩の部屋に来い。話がある」
黒騎士「以上!」
女騎士&剣士「…………」
109 :
くそっ、●使えなくて過去ログ回収出来ない時にこんな良スレが
110 = 91 :
< 黒騎士の部屋 >
女騎士「失礼します」
黒騎士「……さて、と。事件の概要は友人から全て聞いた」
女騎士「…………」
黒騎士「いったいいつまで続けるつもりだ? こんなこと……」
女騎士「すみません……」
黒騎士「今回の件も、君が剣士の妻であると最初から公表していれば」
黒騎士「もっとあっさり解決していたハズだ」
黒騎士「分かるな?」
女騎士「……はい」
111 = 106 :
黒騎士が正義側なのは珍しいよな
112 = 91 :
黒騎士「君は名家の令嬢で、剣の腕も立つから騎士叙勲を受けることができた」
黒騎士「そんな君が吾輩を手伝ってくれるのは大いに助かるが──」
黒騎士「君は剣士や仲間に秘密を知られたくないために、いたずらに事態を複雑にした」
女騎士「……はい。弁解しようもありません」
女騎士「ですが……私は、あの人を守ってあげたいのです……」
女騎士「家で黙って待っているだけなんて、とても耐えられなくて……」
女騎士「どうか、もう少しだけ……」
黒騎士「……分かった」
黒騎士「ただし、剣士の妻と女騎士という二重生活を維持するために」
黒騎士「他の団員を危険にさらすマネは二度と許さん」
女騎士「……はい! 今後はバレてもかまわないという覚悟で臨みます!」
黒騎士「……よし、話はこれで終わりだ」
黒騎士「吾輩が剣士と話している間に、帰宅して“妻”に戻れ」
女騎士「ありがとうございます……黒騎士さん」
113 = 91 :
< 廊下 >
剣士「お、女騎士さん」
剣士「けっこう叱られたみたいですね、ハハ」
女騎士「キサマには関係ない……」
女騎士「私は先に帰宅させてもらう」ザッ
剣士「なにいわれたか知りませんが、あまり気にしない方がいいですよ」
女騎士(ごめんなさい、あなた……)
剣士「…………」
剣士「さて、俺の番か」スクッ
114 = 91 :
< 黒騎士の部屋 >
剣士「失礼します」
黒騎士「……さて、となにから話したものか」
黒騎士「お前は……いつまで気づいてないフリをするつもりだ?」
剣士「! 黒騎士さん、なぜそれを……」
黒騎士「もし本当にお前が、女騎士が妻であると気づいていなければ」
黒騎士「通報があった時点で飛び出していたハズだからな」
剣士「なるほど……」
黒騎士「彼女はお前を守りたいという一心で、妻と女騎士の二役をこなしている」
黒騎士「しかも、“妻より地位が低い夫”“妻に守られる夫”というのが」
黒騎士「お前のプライドを傷つけるかもしれないと感じてか、皆に隠してな」
剣士「…………」
115 :
夫気づいてたのかよwww
116 = 91 :
黒騎士「彼女の変装は大したものだ、が」
黒騎士「お前の洞察力ならば、とっくに気づいているハズだろう」
黒騎士「なにしろ、お前は──」
黒騎士「かつて吾輩が率いる特殊部隊で、ナンバーワンの使い手だったんだからな」
黒騎士「気配を殺す技術に長け、神出鬼没と恐れられ……」
黒騎士「特に細かい粒を相手の目に投げつけて動きを止めたり」
黒騎士「小さい針を急所に投げて激痛を与えたり、油で敵を転ばしたり、と」
黒騎士「暗器で味方をサポートする芸当に関しては、天下一品だった」
剣士「……昔の話ですよ」
117 :
なに?歩いている時に3歩目に必ず軸がブレるとかそういう話?
118 = 106 :
なるほど
119 = 91 :
剣士「今は、友人や金髪らと日の当たる場所で、戦士団として働いてるのが楽しい」
剣士「色々ウワサされてますが、あなたもそうでしょう?」
黒騎士「うむ、“戦士団の指揮官になったことを吾輩が不服に思っている”」
黒騎士「──と、ウワサする輩も多いがそんなことはない」
黒騎士「そもそも特殊部隊を作ったのも」
黒騎士「体面ばかり気にする騎士団にいても民は守れん、と判断したからだ」
黒騎士「王国の平和を守れるのであれば、所属は問わん」
黒騎士「特殊部隊であろうと、戦士団であろうと、な」
黒騎士「吾輩も今を満喫しているよ」
120 :
全部わかってるのに妻の前で誇張した自慢話出来る剣士の図々しさよ
121 :
剣士の手柄をお膳立てする女騎士を支援する剣士
122 = 91 :
黒騎士「話を戻そう……」
黒騎士「お前は妻に“自分は秘密を知っている”と話すつもりはないのか?」
剣士「もちろん、俺だって何度もそうしようとしましたよ」
剣士「だけど……」
剣士「俺を守ろうとしたり、手柄を立てさせようとしたり」
剣士「必死なアイツを見ていると──」
剣士「どうしてもいえなくて……いい出せなくて……ズルズルと……」ポリポリ…
黒騎士「まぁ……な。吾輩がお前の立場でも多分いえんだろうな」
剣士「だから……せめて、俺もかげながら彼女を守ろうって思ったんです」
黒騎士「やはり、お前がいつも女騎士の近くにいるのは、彼女を守るためか」
黒騎士「しかし、不思議なものだ」
黒騎士「お前に内緒で、ずっとお前を守っていると思っていた妻は──」
黒騎士「実はずっとお前に守られていたんだからな」
剣士「まぁ……正面から妻と剣だけで勝負したら、まず俺は勝てないですけどね」
123 = 91 :
剣士「それと……さっき“お前の洞察力なら妻の変装に気づく”とおっしゃりましたが」
剣士「洞察力なんか関係ないですよ」
黒騎士「?」
剣士「だって俺は世界一アイツを愛してるんですよ?」
剣士「世界一愛してる女が、ちょっと甲冑着て顔隠して、声と口調変えたぐらいで」
剣士「誰だか分からなくなるハズがないでしょう!」
剣士「これは洞察力じゃなく、愛の力です!」
剣士「俺は仮に妻が呪いかなんかで、とんでもない化け物になったとしても」
剣士「余裕で見抜いて愛する自信があります!」
剣士「いやぁ、一粒で二度美味しい妻っていいですよね! うへへへへ!」
黒騎士「…………」
黒騎士(殴りてぇ……)
124 = 109 :
許す、殴れ
125 :
殴り抜けろ
126 = 106 :
殺してえ
127 = 91 :
黒騎士「コホン……とにかく、お前たち夫婦は戦士団にとって貴重な戦力だ」
黒騎士「互いに秘密を持つことはかまわんが──」
黒騎士「それで互いの足を引っ張り合うようなことがないようにな」
剣士「はい」
剣士「今後とも、俺たち夫婦をよろしくお願いします」ペコッ…
黒騎士「ああ」
黒騎士「……じゃあ、そろそろ帰っていいぞ」
黒騎士「ちょうど今頃、“女騎士だった妻”が夕食を作り終えてることだろう」
剣士「今日の黒騎士さんはやけに多弁だな、と思ったらそういうことでしたか……」
黒騎士「こういうフォローは上司である吾輩の役目だからな」
剣士「俺も妻も、黒騎士さんには頭が上がりませんよホント」
128 :
ころったれ
129 = 91 :
< 剣士の家 >
剣士「ただいま~!」
妻「あら、お帰りなさい! ちょうど夕食ができたところなの!」
剣士「おお、ナイスタイミング!(さすが黒騎士さん……)」
妻「今日は、私を助けてくれてありがとう!」
妻「だからちょっと豪華にしたわぁ~」
剣士「よぉーし、腹いっぱい食べるぞ!」
妻(これからも、私があなたを守りますからね……絶対に)
剣士(これからも、俺が君を守っていくよ、絶対に!)
130 :
おわり
131 = 91 :
その後──
< 戦士団詰所 >
黒騎士「諸君、今日は緊急時に備えた町民との合同訓練だ」
女騎士「町民の模範になるよう、行動するのだぞ!」
友人「そこいくと、俺なんか模範どころか反面教師になっちまいそうだなぁ~……」
女騎士「オイ!」
友人「は、はいっ! 私語してすみませんっ!」ビクッ
女騎士「キサマは優れた戦士だ。きっといい模範になる」
友人「ど、どうも」ホッ…
友人(なんか最近、女騎士さん俺に多少甘くなったよな……俺、なんかやったっけ?)
友人(まさか俺に気があるとか!?)
剣士「だとよ! もっと自信持てよな!」パシッ
友人「お、おう」
剣士(なんたって、俺の妻のお墨付きなんだから……)
132 = 91 :
< 町 >
黒騎士「では、次は避難と戦士団への通報の仕方を実習する!」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
剣士「日頃の俺らの活躍もあってか、町民たちもマジメに訓練してますね」
女騎士「ああ、願ってもないことだ」
剣士「せっかくだから、俺の妻も家から呼んでこようかな……」
女騎士「や、やめてっ! ──い、いや、やめておけ! 一時帰宅など認めんぞ!」
剣士「そうですね……すみませんでした」
女騎士「それより、私たちも訓練に参加するぞ! 急げ!」
剣士「はいっ!」
女騎士(あなた……いつか、きっと真実を話すから……)
剣士(愛する妻よ……いずれ、俺は真実を話すから……)
剣士&女騎士(せめてその時までは、この奇妙な夫婦関係を──……)
─ 完 ─
134 :
乙
友人編よろしく
136 = 98 :
乙
理想的な仮面夫婦ですね(棒)
137 :
乙
ニヤニヤしながら殴りたい
139 = 109 :
乙
友人がこじれなきゃいいな
140 :
乙
バラすところも書いて欲しかったな
141 :
大層乙であった
143 :
面白かった
乙!
みんなの評価 : ★★
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