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    元スレ男「サラリーマンとは、闘い也!」

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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - ブラック企業 + - リーマン戦記 + - 世紀末 + - 神スレ + - 鬼才 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    51 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:52:40.35 ID:Bd0ALmDeO (+34,+29,-3)
    VSブラックかむねあつ
    52 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:54:04.02 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-168)
    < ブラック企業 >

    社畜A「メェ~……メェ~……」テキパキ

    社畜B「モォ~……モォ~……」テキパキ

    社畜C「ブゥ~……ブゥ~……」テキパキ



    社畜に言葉は無い!

    言語を失念するほどの無心でただただ働き続ける、ロボット以上のロボットなのだ!



    (なんとむごい! ……むごすぎる!)

    (これは……社長のブラック魔術にて自我を奪われているッ!)

    (社長を倒せば、彼らも元に戻るはず!)

    (待っていろ! この私が必ずや邪知暴虐社長の悪行を滅するッ!)
    53 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:58:35.07 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-258)
    < 黒社長室 >

    黒社長「フォフォフォ……今日も社畜を酷使したおかげで人件費ゼロだわい」

    「貴様ッ!」シュザッ

    黒社長「何奴!」

    「私は貴様の行いを許せぬサラリーマン!」

    「ブラック企業の長たる貴様を……労働基準法に代わって成敗にしに来たッ!」

    黒社長「フォフォフォ……愚かなことよ」

    黒社長「おぬしも我がブラック魔術で、社畜に生まれ変わらせてやろう」

    黒社長「サビ斬ッ!」シュッ

    ザンッ!

    「ぬっ!」

    (斬られた箇所から……体が錆びていく!?)



    ブラック魔術──サビ斬!

    この手刀で肉を斬られれば、たちまちのうちに全身が錆びついてしまう!
    54 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:01:32.09 ID:Bd0ALmDeO (+28,+28,+0)
    サビ斬いいね
    55 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:03:32.09 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-289)
    (体が……うまく動かん……)ギシギシ…

    黒社長「フォフォフォ、あっけないのう。もうまともに動くことすらできまい」

    黒社長「そして、思い知るがいい」

    黒社長「使うことすら許されず、溜まりに溜まった形ばかりの有休の怨念をッ!」



    使用されずに消え去った有給休暇は怨念と化す!

    凝縮された怨念は健康な肉体にまとわりつき、社畜へと転生させてしまう!

    ウオォォォン……!



    黒社長「フォフォフォ、これを浴びて社畜にならなかった社員は皆無!」

    「ぐああああ……っ!」ミシミシミシ…

    黒社長「企業とは悪! 労働とは絶望! 闇こそがサラリーマンの本質よ!」

    「ちっ、違う!」ミシミシ…

    「断じて否ッ!」ミシミシ…
    56 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:07:44.56 ID:1OuKcuB10 (+93,+30,-157)
    「企業は希望! 労働は誇り!」グググ…

    黒社長(バカな!? 錆びついた体であの怨念を受けて、動けるのか!?)

    「サラリーマンとはッ!」

    「いかなる闇にも屈さぬ、閃光ッ!!!」カッ



     社 員 閃 光 ( シ ャ イ ン シ ャ イ ン ) ! ! !



    黒社長「ぐおおおおっ!?」

    黒社長「なんだこの凄まじい光はッ!?」

    黒社長「我が闇が……呑ま……れ、る──……」ボシュッ…



    男が放った闇を圧する閃光は、ブラック企業をビルもろとも粉砕!

    これぞまさしく──

        物    理    的    倒    産    !    !    !
    57 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:10:16.76 ID:Bd0ALmDeO (+22,+22,-1)
    すげえ・・・
    58 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:13:47.62 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-217)
    白社長「フォフォフォ……君の光で目が覚めた。素晴らしい気分だわい」

    白社長「社畜──いや社員たちにはこれまで払っていなかった給料をまとめて払い」

    白社長「今後は最上級の福利厚生を約束しよう!」

    「うむ」

    (操られていた社畜たちも、どうやら自我を取り戻したようだ)



    かくして『ブラック企業』は『ホワイト企業』に生まれ変わった!

    後に「世界一給料が高く、世界一労働時間が短い企業」としてギネスに乗るのだが、

    それはまた別の話。



    係長「みごとだ。みごとな社員閃光(シャインシャイン)だったよ」

    「恐れ入ります」

    係長「さて、いい準備運動になったろうし、『一流企業』へと向かおう」

    「はいッ!」
    59 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:17:57.40 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-257)
    < 一流企業 >

    受付とは、闘い也!

    己の名と用件を伝え、案内を待つわけだが──

    大企業であればあるほどプライドの高きことエベレストの如し!

    弱者を応接する気、さらさら無し!

    資格無き者は、門前払いどころか門前撃滅!



    受付嬢「……なるほど、本日は商談で参られたのですね?」

    係長「はい」

    受付嬢「では──我が社に足を踏み入れる『資格』を示してみよッ!」ゴゴゴ…

    係長「分かりました」

    「係長、私が──」スッ

    係長「いや、君がブラック企業で受けた傷は軽くないはず」

    係長「ここは上司であるぼくを、頼ってくれ」ザンッ
    60 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:21:41.47 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-270)
    受付嬢、歓迎100%の受付スマイルから、殺戮100%の般若スマイルに変貌!



    受付嬢「キエエエェェェッ!」バオッ

    ズドォッ!

    係長「ぐおぉっ!」ドザァッ



    受付嬢は美しい! 心も肉体も美しい!

    なにより打撃が美しい!

    完璧フォームから放たれるビューティフルキックは、敵を醜く破壊する!



    係長「どうやらアレを……使わざるをえない相手のようだ」ヨロッ…

    係長「来い!」ピピッ

    (早くもアレを!? あの受付嬢、やはり超一流の実力者ッ!)
    61 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:25:05.63 ID:Bd0ALmDeO (+34,+29,-16)
    この受付嬢・・・田村ゆかりか
    62 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:26:52.88 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,+0)
    係長はホワイトボートの達人!

    係長の議事録の完成度に皆が魅せられ、会議が中断するのは日常茶飯事!

    しかし、ホワイトボードは戦車として使われて初めて真価を発揮する!

    タイヤ付きホワイトボートを、サーフィンのように乗りこなす係長!

    その全開タックルは、最高速ダンプカーを真正面から粉末と化す性能!



    係長「ホワイトボード……アタックッ!」ガラガラガラ…

    ズドォォォンッ!

    ふっ飛んだ受付嬢、受け身も取れず壁にダイレクト衝突!



    受付嬢「『資格アリ』です」ニコッ

    受付嬢「案内の者が参りますので、あちらの席におかけになって、お待ち下さい」

    受付嬢「ごふぅぅぅぅぅっ!」ブバァァァッ



    きちんと受付嬢の業務を果たしてから、吐血! これぞ受付嬢の矜持!
    63 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:29:28.22 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-131)
    一流社員「お待たせしました。応接室までご案内します」スッ…

    係長「これはどうも」

    (この社員……かなりの実力者ッ!)ゾクッ

    (今日の我々の相手は、この社員なのか!?)

    係長「ちがうよ」

    係長「今日の相手はここの部長さんだ。彼よりもずっと強い」

    「!」



    案内役の平社員ですら、男を焦燥させるほどの闘気を放つ!

    これが一流企業のレベルなのだ!

    もう一度言おう!

    これが一流企業のレヴェルなのだ!
    64 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:30:18.63 ID:Bd0ALmDeO (+34,+29,-14)
    係長のネーミングセンス・・・
    65 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:34:57.72 ID:1OuKcuB10 (+93,+30,-236)
    < 応接室 >

    商談とは、闘い也!

    社の看板を背負いし企業戦士が、鍛えた心と技で覇を競い合う晴れ舞台!



    係長(バ、バカな……! 何故この人が……!?)

    係長(一流企業からすれば、さほど大きな商談でもないのに、何故!?)

    係長「今日私どもがアポイントを取っていたのは、部長殿だったはずですが……?」

    社長「あら……」

    社長「女性が商談相手では不満かしら?」クスクス…



    今日の商談相手──まさかの展開!

    一流企業の首領(ドン)、女社長!

    男尊女卑大いに結構! そのぐらいのハンデがなくば男は女(わたし)に勝てぬ!

    と豪語する女傑である!
    66 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:38:30.26 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-248)
    係長(マズイ……マズイぞ!)

    係長(部長ならばぼくでも僅かに勝ち目はあった! しかし、彼女が相手となると──)

    「女社長殿」ズイッ

    「今日の我々の相手は、あなたですか?」

    社長「いいえ……だけどとびっきりの相手を用意してあるわ」

    社長「まだ若手だけど、アタシのお気に入りのオ、ト、コ」

    社長「入ってきて~!」パチンッ

    ガチャッ……

    エリート「どうも、失礼します」ペコッ

    「!?」



    ビビビッ!

    まさかの再会!

    朝の電車で味わった完全敗北、あの尻と心の痛みが数千倍になってカムバック!
    67 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:40:12.67 ID:Bd0ALmDeO (-24,-29,-1)
    キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
    68 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:41:27.81 ID:0u3YJikn0 (+14,+24,+1)
    エリートktkr
    69 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:42:40.71 ID:1OuKcuB10 (+90,+30,-304)
    エリート「おや? アナタは今朝電車で会った──まだお尻は痛いですか?」ニコッ

    「貴様……ッ!」ギリッ…

    係長「彼が我々の相手をするのですか? 温和そうな若者ですが──」

    社長「そうよ~」

    社長「ちなみにね彼、あなたたちが会う予定だった部長、一撃で倒してるから」クスッ

    係長(なんだと!? こんな大人しそうな若者が、あの部長殿を!?)

    「係長ッ!」

    「私にッ! 私にやらせて下さいッ!」

    係長「ダメだ。ぼくがやる」

    「係長ッ!」

    係長「上司命令だ」



    上司命令! サラリーマンにとって絶対厳守の四字熟語!

    命じられた男の全身、カチンコチンに硬直す!
    70 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:48:29.74 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-203)
    係長(おそらくぼくではまず勝てまい……だが君なら勝機はある)

    係長(だから、あのエリート社員に少しでもダメージを与えて──君に託すッ!)



    係長の悲壮なる決意!

    男を信じていないわけではない。

    信じているからこそ、男の勝率をコンマ1でも増やすべく先に出陣!

    この心意気、心読めぬ男にも光ファイバー以上の正確さで伝わった!



    係長「まずはぼくからだ」

    エリート「おや? ボクは二人同時でもかまいませんよ」

    係長「結構、ぼく一人で十分だ」



    愛ホワイトボートに乗る係長!

    いざ、ホワイトボートアタック!

    ガラガラガラガラガラ……!
    71 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:50:32.26 ID:Bd0ALmDeO (+26,+26,+0)
    死亡フラグ
    72 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:53:18.52 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-237)
    エリート「へぇ~ホワイトボード使いとは珍しい」

    エリート「たしかに素晴らしいスピードだ。まともにぶつかればタダじゃすまない」

    エリート「だけど──」スッ



    エリートは爆走するホワイトボードの側面に回り込んだ!

    ホワイトボードの側面、すなわち白板にパンチング!



    エリート「ホワイトボード最大の弱点……薄いから横からの攻撃ですぐに横転する!」

    係長「しまっ──」グラッ…



    ドッシャァンッ!

    係長onホワイトボート、堕つ!

    係長の血がべっとりとついたホワイトボード、まるで日本国旗のようだ!
    73 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:58:24.82 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-222)
    「係長ッ!」ガシッ

    係長「す、すまない……役に立てなくて……」

    係長「だが……君なら……勝て、る……頼んだ……よ……」ガクッ

    「係長ォォォォォォォォォォッ!!!」



    しかし、今は商談中! いつまでも係長にすがってはいられない!

    エリートに向き直った男の眼光は、数秒前までとは次元が違った!

    三次元から四次元へ!

    四次元アイズ!



    エリート「強い……。朝、電車で会った時の甘さが、まるでなくなっている」

    社長「あら、勝つ自信ない?」

    エリート「いいえ、常勝こそがエリートの条件ですから」

    エリート「今のボクの心境は、いい声で吠える猫を見かけた虎、といったところです」
    74 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 23:59:25.03 ID:Bd0ALmDeO (+29,+29,-13)
    係長・・・
    75 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:05:30.20 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-91)
    「勝負ッ!」ダダダッ



    ドゴォッ!

    助走をつけ、全体重を乗せた右ストレート!

    防御に使ったエリートの腕をきしませる!

    だが、エリートに浮かぶは余裕かもし出す笑み!



    エリート「いいパンチだ……猫からイリオモテヤマネコに昇格しよう」ビリビリ…

    エリート「だが、しょせんはイリオモテヤマネコ!」

    エリート「虎には勝てないッ!」
    76 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:06:28.79 ID:Sa7SAyMOO (+1,+11,+0)
    77 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:09:26.49 ID:Sa7SAyMOO (+24,+29,-1)
    エリートもアホだったか・・・
    78 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:10:41.94 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-137)
    エリート「会釈ッ!」ブンッ

    ガッ!

    エリート「敬礼ッ!」ブオンッ

    ガツンッ!

    エリート「最敬礼ッ!」ブワオンッ

    ドゴォンッ!



    15度、30度、45度!

    お辞儀と同時に頭突きを放つ三段攻撃! 礼儀と暴力の一体技!

    礼を尽くした頭突きを喰らわば、喰らった相手は霊となる!



    エリート「社長、終わりました。もう永遠に立てないでしょう」

    社長「いいわぁ~、あとで特別ボーナスあげるわね」

    (なんという強烈な頭突き……私は死ぬ、のか……)
    79 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:15:16.07 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-151)
    キュゥ~~~ッ!



    エリート「!?」

    社長「きゃっ!」

    「!」ガバッ



    突如発生した謎の怪音!

    意識のない係長が、マーカーをホワイトボードにこすりつけたのである!

    この音が気付けとなり、男は三途の川ツアーをかろうじて免れた!



    (係長……無意識にもかかわらず、私のことを助けてくれたのですね……)

    (ありがとうございますッ!)
    80 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:21:26.19 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-284)
    エリート「せっかく拾った命、無駄にしない方がいい。今度は本当に死んでしまう」

    「死ぬ死なないを問うなら、情けをかけられた時点で私はもう死んでいるッ!」

    「もはや私は死人ッ!」

    「しかし、クビが飛ぶまでは私はサラリーマンだッ!」

    「サラリーマンである以上、私は戦うッ!」

    エリート「!」ゾクッ

    社長(さっきの係長といい、彼といい、小さいながらなかなかの会社じゃない……)

    エリート「なるほど……これまで本気を出していなかった非礼を詫びさせてもらう」

    エリート「アナタはボクの武器で、全力を以って倒すッ!」スッ…



    エリートが懐から取り出したるは、名刺入れ!

    そう、エリートの本領は徒手空拳に非ず!

    エリートは、名刺使いだったのだ!



    エリート「名刺とは命刺(めいし)ッ! 命を刺し殺す殺人兵器ッ!」
    81 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:24:53.38 ID:Sa7SAyMOO (+24,+29,-13)
    そういや名刺出てなかったか
    82 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:27:52.27 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-153)
    名刺交換とは、闘い也!

    サラリーマンは先方の名刺を、絶対に避けてはならない! 受け止めるべし!



    エリート「七枚投げェッ!」

    シュバババババババッ!

    「頂戴いたしますッ!」



    右手でキャッチ! 左手でキャッチ! 右足でキャッチ! 左足でキャッチ!

    右まぶたでキャッチ! 左まぶたでキャッチ!

    しかし、残る一枚──



    ザクゥッ……!

    「が、はっ……!」

    頸動脈、直撃す!
    83 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:30:30.88 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-181)
    「まだだッ! 首は斬れても、首は落ちていないッ! クビではないッ!」



    ブシュウゥゥゥ……!

    エリート「!?」

    頸動脈から噴き出る血を、目潰しに使用!

    さしものエリートにも、コンマ数秒のスキが爆誕!



    「うおおおおおおおおおッ!!!」

    ドゴンッ! ドンッ! ズドンッ! ボゴンッ! ズガンッ!

    ボガンッ! ズギャンッ! ドカンッ! ズドッ! グシャンッ!



    一撃必殺の拳が、十撃入った!

    エリートの皮膚、筋肉、血管、骨、内臓、プライドが、砕かれる!



    エリート「が、がふっ……ごふっ……!」ガクガク…
    84 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:35:26.62 ID:9tW4GX3w0 (+53,+30,-207)
    エリート「……素晴らしい」ゴフッ

    エリート「アナタならば──」

    エリート「受け取れるかもしれない」

    エリート「このボクの、真の名刺をッ!」

    (真の名刺!?)

    社長「ちょ、ちょっと! やめなさい! あの名刺は使うなといったはずよ!?」

    エリート「すみません、社長」

    エリート「ですが、この人ならボクの全力を受け切れるかもしれない!」

    エリート「ならボクは全力を出したい……たとえ街を滅ぼすことになろうとも!」

    社長「……バカ」



    ゴゴゴゴゴ……

    『一流企業』ビルの真上に、巨大な直方体が降りてきた!

    これぞ、禁断の名刺といわれた──

        メ   テ   オ   名   刺   !   !   !
    85 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:37:12.57 ID:Sa7SAyMOO (+19,+29,-3)
    星が滅ぶな・・・
    86 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:42:06.93 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-212)
    < 一流企業屋上 >

    衛星軌道より飛来した巨大名刺、メテオ名刺!

    エリートは空中へ飛び上がり、降りてきたメテオ名刺の上に乗る!



    ゴゴゴゴゴ……

    エリート「さあ、受け取ってもらおうかッ!」

    エリート「この質量100万トンを誇る──ボクの名刺をッ!」

    「無論ッ!」

    「名刺を差し出されれば、必ず受け取るのがサラリーマンッ!」

    「頂戴いたしますッ!」



    ズドォォォォォンッ!!!

    降りてきた名刺を、両手で必死に支える男!

    支えきれなくば、100万トンの名刺が街を木端微塵に消滅させる!

    今や男が命綱、大黒柱!
    87 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:44:10.98 ID:ZSNj5SXgO (+4,+19,+0)
    頑張れ
    88 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:45:23.25 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-207)
    「うおおおおっ!!!」グググ…

    エリート「さぁ、受け取れるかい!」

    エリート「ボクの会社と所属と名前が書かれた、ボクの名刺(プライド)を!」

    ズゥゥゥゥン……!

    (なんという巨大質量!)ガクンッ



    男の全身がきしみ、歪み、ねじ曲がり、穴という穴から血が噴き出す!

    肘は折れ、膝は曲がり、大黒柱だった男は偽装建築柱にランクダウン!



    (ダ、ダメだ……)ググッ…

    (お、押し潰される……)グググ…

    (もう……体が……)ググッ…

    社長(やはり無理ね……残念だけど、この街は消滅するわ)

    社長(アタシたちのビルもろともね)
    89 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:46:45.15 ID:yYw280unO (+24,+29,-21)
    エリートでも電車通勤なんて世知辛いな…
    90 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:48:35.43 ID:Sa7SAyMOO (+19,+29,-2)
    姉歯www
    91 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:50:49.92 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-214)
    しかし!

    この時、男の目にホワイトボードの赤い文字が見えた!

    係長の血で書かれた『まけるな』という激励(メッセージ)!



    (係長……!)ググッ…

    社長(ほんの1ナノメートルだけど、わずかにまた持ち上がった!)

    エリート「だが、所詮は一時しのぎ!」

    エリート「やはり無理なのかッ! ボクの名刺を受け取ってはくれないのかッ!」



    エリートの苦悩……。

    生まれつき容姿端麗、才色兼備、文武両道、完全無欠……。

    LV99、所持金マックス、最強装備でゲームスタート……。

    ゆえにエリートの全力を受け止められる漢はいなかった!

    強敵に出会うたびコイツならばと胸をときめかし、数十秒後には失望! この繰り返し!

    今回もそうなってしまうのか!?
    92 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:52:51.21 ID:Sa7SAyMOO (+24,+29,-1)
    ベリーイージーモードか・・・
    93 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:54:15.27 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,+0)
    すると──



    課長「さっきの企画書は社長まで通った! こんな“通過点”で負けてくれるな!」

    同僚「お前がいなくなったら、俺が楽勝で若手ナンバーワンになっちまうじゃねえか!」

    OL「お願い……勝って! また一緒に仕事しようよ!」

    コピー機『我を目覚めさせた者が、これしきの試練でくたばるはずがない!』



    『一流企業』に出向いた二人を案じ、駆けつけてきた同胞たち!

    彼らの声援が、男の五臓六腑に新たな力を生む!



    (課長……! 同僚……! OLさん……! コピー機まで……!)ミシミシ…

    「ぐっ……ぐおお……っ!」グググッ…

    エリート(また少し持ち直した!)

    エリート「だが、一時的に期待させてくれる敵ならこれまでいくらでもいた!」

    エリート「ぬか喜びは結構! どうせ失望させるなら、早いところ沈んでしまえッ!」
    94 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:58:05.63 ID:Sa7SAyMOO (+8,+18,+0)
    コピー機・・・!
    95 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 00:58:24.33 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-126)
    「が……ぐ……っ!」ミシミシ…

    「ぐおぁぁっ……!」ギシギシ…

    『あなた……』

    「!?」

    『あなた、愛していますわ』

    「!」

    (これは我が妻の声ではないか……!)

    (なにゆえ、家にいるはずの妻の声が……!?)



    幻聴か!? 妄想か!? 奇跡か!?

    突如男の脳に響く、妻の声!

    いったいどういうことなんだ、教えてくれ!
    96 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 01:03:13.93 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-252)
    < 自宅 >

    「あなた……」ムニャ…

    「あなた、愛していますわ」ゴロン…



    なんと妻は昼寝中!

    怠惰ゆえではない!

    年収百億円の価値があるといわれる、超高速精密家事を駆使した妻!

    夜中に帰宅する夫を万全の態勢で出迎えるべく、絶賛回復中!

    いわばこれ、超積極的昼寝!

    死の淵に立つ夫と、夢の奥に眠る妻! ゆえに二人は繋がった!

    幻聴でも、妄想でも、ましてや奇跡でもなんでもない!

    愛ゆえの直結! 愛ゆえの直通! 愛ゆえのラブ・ホットライン!
    97 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 01:05:04.55 ID:Sa7SAyMOO (+24,+29,-2)
    愛があれば何でもできる!
    98 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 01:09:09.81 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-123)
    < 一流企業 >

    (妻よ、私は必ず帰る!)

    (仲間よ、私は必ず勝つ!)

    (エリートよ、私は必ず受け止める!)

    「があああああああああっ!!!」グンッ

    エリート「なにいいいっ!?」



    メテオ名刺、静止。

    100万トンを誇る超巨大質量は地上に到達することなく、

    一人のサラリーマンの手によってみごと受け止められた。



    エリート「う、受け止める……とは……」

    「いい……名刺、ですね……」ニコッ
    99 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 01:14:05.09 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-167)
    ズオォォォ……!

    宇宙(そら)に還ってゆくエリートのメテオ名刺!

    これすなわち、メテオ名刺が男を新たな持ち主と認めた何よりの証拠!



    エリート「ハハ、ハハハ……!」

    エリート「み、みごと……! みごとだ!」

    エリート「これはもう、完全にボクの負け──」

    「ま、まだ……」ヨロッ…

    エリート「え?」

    「まだ……名刺交換は……終わって……な、い……」
    100 : 以下、名無しにか - 2013/07/26(金) 01:17:36.23 ID:9tW4GX3w0 (+55,+30,-186)
    「わ、私の名刺を──」スッ…

    エリート「ちょ、頂戴いたします……!」スッ



    家に戻るまでが遠足であるように!

    名刺交換は、互いの名刺が互いの手に行き渡るまでが名刺交換である!

    今たしかに、互いの名刺は互いの手に渡った!

    名刺交換、終了!



    「今後とも、よろ、し……く……」ヨロ…

    エリート「よ、よろしくお願いします!」

    社長「…………」

    社長「エリート君、アナタの完敗ね」ポン…

    エリート「はい……!」ボロボロ…
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