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    元スレ京太郎「扉の向こう側」 淡「あはっ」

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    101 = 87 :

    京太郎「強くなりたいんだよね?なら『余分』な扉はどんどん閉まっちゃおうねー」

    「もうダメだぁ……」

    102 = 33 :

    怖い

    103 = 1 :

    「こんなの、麻雀じゃない……!」



    京太郎「何言ってんだ、これも麻雀だろ?」



    京太郎「麻雀って楽しいよな。一緒に楽しもうぜ」

    104 :

    咲のSS書くより禁書のSSとか書いた方が100倍合ってそうな文章

    105 :

    能力者こわいです

    106 = 53 :

    作者には悪いけどこれは胸のあたりが気持ち悪い
    読みたくはあるけども

    107 = 1 :

    薄れていく。
    彼女の中の大切だったものが、薄れていく。



    家族の顔を思い出す。
    ……?
    あれ、私の家族、こんなのだったっけ?
    なんか、他人の家族の写真見てるみたい。


    あれ、中学の時私の友達だった奴って、男だっけ?女だっけ?名前なんだっけ?
    まあいいや、どうでもいいし。
    親友がどうでもよくたって、別に何か変わるわけでもないしね。


    今日、夢とかなんか先輩に語った気がするけどなんて言ったんだっけかなー。
    昨夜の晩御飯は思い出せるんだけど、ううん。
    まあいいや。思い出せないって事は、どうでもいいってことだし。


    あ、色違いの扉だ。
    さっさと開けて、追いつかないと。


    あー。



    扉の向こう側は、やっぱ良いなぁ。

    108 = 85 :

    怪しい宗教の勧誘か何かかこれ

    109 = 1 :

    「……」

    京太郎「ハッピーバースデー」

    「……」

    京太郎「おめでとう、大星淡」

    「……」

    京太郎「お前は今日一度死んで、生まれ変わった」

    「……」

    京太郎「気分はどうだ?」

    「……最っ高」

    京太郎「悪いな、乱暴なやり方になった」

    「良いよ、別に」




    「そんなどうでもいいことより、続き打たない?」



    結果だけを言わせてもらうのなら。その卓は、僅差で淡が勝利した。

    110 :

    あわあわが向こう側にいてしまった

    111 = 88 :

    京ちゃんは誰に壊されちゃったの?

    112 = 33 :

    >>111
    前作によると、京太郎は照に照は咲に壊されたらしい

    114 = 1 :

    「……なんだ、これは」

    「何故、こうなった」

    「私か? 私が……私が、悪いのか!?」


    帰って来た彼女を迎えたのは、新入生の生意気な後輩でもなく。
    日常風景である、白糸台女子麻雀部の練習風景でもなく。

    彼女の想像の遥か上を行く、悪夢の光景。



    「キョータロー、ちょっと椅子に座ってよ」

    京太郎「ん? まあいいけどよ」

    「よいしょっ」

    京太郎「……なんで、俺の膝の上にわざわざ座る」

    「座布団無いし」

    京太郎「我慢しろよそのくらい!」

    「えー、役得だって素直に喜びなよ」


    目の輝きが、穢され朽ちて腐り果て、終わり果てた少女の眼。

    115 :

    京太郎「いやー長野→東京間の移動とかマジで死ぬわ」

    京太郎「路線だとサイレントヒルのほうが近いんだっけか……まぁ、いいや」


    俺の名は須賀京太郎。
    最近のトレンドだと、『何の変哲もない普通の少年』とでも言うべきなのだろうか。


    京太郎「ビバ、東京!」

    京太郎「……ビバってもう死語なんだっけか」


    白糸台駅とかいう駅の前に、俺は立っている。
    シンプルな駅だが、シンプルは良い事だ。

    新宿駅は間違った方向の進化だと俺は思う。



    京太郎「時代の流れと最近の若い子の事情は分からんな」

    京太郎「……いや、俺も若い子じゃねーか。何言ってんだ俺」

    116 = 115 :

    東京(こっち)に来たのは、進学のためだ。


    別に俺は地元で近場の通学の楽な偏差値そこそこの高校にでも良かったんだが……


    知り合いに誘われて、白糸台とかいう学校を受けてみた。受かってた。
    そんなこんなで、「友達と同じ学校に行きたかったので」
    みたいな一昔前の頭のゆるい子みたいな理由で進学先を決めてしまった。


    デーモン小暮閣下だって早稲田出てんだぞ!
    オリエンタルラジオの片割れだって慶應出てるんだ!
    お前らが笑ってる小島よしおですら早稲田出てるんだぞ!
    ムツゴロウさんなんて伝説の雀士の上、東大出だ!


    と、説得に叫ぶ教師を見たのも今は昔。


    今やアレらと同類だ。嘆くべきなのだろうか。




    京太郎「っと、人探し人探し」

    京太郎「えっと、『そのうちハゲそうな苦労人臭のする凛とした美人』だっけか」

    117 = 1 :

    京太郎「ちょっとは役得だと思ってるけどな、前が見えねぇんだよ」

    「……重い?」

    京太郎「軽いぐらいだ、そっちは心配すんな」

    「そっか、よかったー」

    京太郎「……なんか、いい匂いするな」

    「ちょ、かがないでよっ、エッチ!」

    京太郎「お前から座っといてなんつー言い草だ」

    「……おい」

    京太郎「あ、弘世先輩」

    「お前、これは、一体どういう」

    「あ、菫先輩。お疲れ様です。用事はどうでしたか?」

    「……!!」


    敬語。

    「お前、その、敬語は」

    「あれ? 敬語を使えと言われたのでそうしたんですが……どうかしましたか?」

    118 = 115 :

    「(くたばれ、照)」

    「(人をパシリか何かと勘違いしてないか、アイツ)」

    「(……一応、私は部長なんだがなぁ。だが、アレに言っても詮は無いか)」

    「はぁ……」


    部長である自分が一部員の指示で人を迎えに行っているという現状。
    しかも話を聞く限り、100%私情な理由で、だ。

    だが、断れない。

    仕方無い。

    仕方無いんだ。


    「(『あの』照の幼馴染、か。どんな人外だ)」

    「(『見れば分かる』とは言われたが、私にも許容範囲というものがある)」

    「(腕が四本あったり、口が三つも四つもあったりするのは勘弁して欲しいな)」



    そうであっても、照の幼馴染なら別に私は驚かないが。

    宮永照に家族以外の人間の知人が存在すると聞いたその時点で、私の脳の驚く部分は麻痺しているだろうし。

    119 :

    咲さんどうしてんの? とかすこやんはこれより終わってんの? とか色々思うことはあるな
    衣もこんな感じだったらぶっちゃけ泣く

    120 = 115 :

    「(探すのなら、人物的特徴よりもっと手っ取り早いものもあるしな)」

    「(この時間、この駅の前で、不自然に浮いてる学生服を探せばいい)」

    「(ほら、あっという間に見つかっ――)」


    どれ、眼が三つあるのか。耳が四つあるのか。

    その顔を拝見しようと、歩いて近づき……少年が振り向いて、私と目が合う。


    京太郎「あ」

    「あ」

    京太郎「(『そのうちハゲそうな苦労人臭のする凛とした美人』だ)」

    「(……ああ、なるほど)」


    確かに。

    確かにこれは、あの照の幼馴染だ。

    これなら、確かに間違えない。



    「(……濁ってはいないが、腐り果ててる眼だ)」

    121 = 32 :

    全体的に読んでて何かが抉れる

    122 = 115 :

    京太郎「ここが、白糸台高校ですか」

    「ああ。荷物はそれだけか?」

    京太郎「先に宅配便で送ってましたので。寮の方に届いてんじゃないですかね」

    「そうか、それならいい。この後に何か予定は?」

    京太郎「特に無いですね。あえて言うならジャンプ読みにコンビニ行きますけど」

    「後にしろ。ちょっと顔を貸せ」

    京太郎「……屋上ですか。告白ですか」

    「違う」

    京太郎「体育館裏ですか。俺をシメるんですか」

    「違う」

    京太郎「じゃあアレですか。桜の木の下で……」

    「黙って聞け。酷薄に首を絞めて桜の木の下に埋めるぞ」

    京太郎「はい、すみません」



    「照に言われてるんだよ。まず自分の下に連れて来いと」

    123 = 49 :

    二次創作だしそんな深く考えんでも

    124 = 115 :

    普通だ。
    その眼以外は、普通だ。

    良かった、照よりまともだと。

    なんとかなるかもしれないと、そう思っていた。


    京太郎「へー、照ちゃんに?」

    「ああ。照に機嫌を損ねられると、私が困る」

    京太郎「ははっ、野生の虎にでも接してるみたいですねー」

    「……」

    京太郎「よくそんなノリで、照ちゃんと仲良く出来ますね」

    「慣れだ、慣れ」

    京太郎「おお、すげえ。流石照ちゃんの友達」



    「……友達?」



    だがそれは、きっと儚く散る願いに終わる。
    そんな、不思議で怖気のする確信があった。

    125 = 33 :

    すこやんは婚期という扉を閉めちまったんだろ

    126 = 85 :

    腐った京太郎が増えた

    127 = 1 :

    口調が、癖が、性格が。

    そんなに簡単に、変わったりするものだろうか?

    否、変わらない。だからこそ菫も、淡の口調を時間をかけて強制しようと思っていた。

    しかし、菫につきつけられた現実は。


    「(……ああ、そうか。淡)」

    「(お前はもう、本当に……)」


    そして、変えたのは。


    「(照は向こう側ではあるが、この部で同類を増やした事はない)」

    「だが、お前は……」

    京太郎「? ええと、何か御用ですかね?」


    「(……お前は。お前達は)」

    「(この世に、存在すべきじゃない)」

    「(お前達が在る事自体が、絶望的に間違っている)」

    128 = 115 :

    「友達と言ったか、今」

    「笑わせるな。それに、虫酸が走るだろう」


    『アレ』と、友達?
    それは流石に、許容できない。否定せずには居られない。
    悪寒と寒気が、同時に襲って来て気持ちが悪い。


    「あんなのと友達になろうなんて『人間』が、居るわけ無いだろう」

    「だからお前も、必然的に『人間じゃない』」

    「違うか?」


    普通じゃない人間に対して普通の言葉を向けるのは、その時点で普通じゃない。
    だからコイツも、普通じゃない。

    人外を友と呼び、意思疎通し、分かり合える『人間』が居るのは、物語の中だけだ。


    京太郎「……あはっ、ひっでー。傷付きましたよ、せんぱーい」


    そんな彼が、ニッコリと笑う。
    普通の表情。普通に整った顔。普通に安心させる笑顔。

    だが腐りきった眼がその真ん中にあるだけで、全て一切合切台無しだった。

    129 = 115 :

    「ここが、白糸台の女子麻雀部の部室だ」

    京太郎「へー、ここが……」

    「まあ、君がよくお世話になるだろう場所は男子麻雀部の方だろうが」

    京太郎「でも多分、照ちゃんにけっこう呼ばれると思うんですよね」

    「だろうな」

    京太郎「ご迷惑をお掛けします」

    「私に、そんな心にも無い事を言ってもしょうがないだろうに」

    京太郎「あ、そうですかね?」

    「そうだ。……ただいま、皆」


    部室内は牌を打つ音と擦れる音、自動卓の稼働音。
    そこに人の声が混ざった音で満ちている。

    そんな音が一瞬止まり、一斉にこっちを向いた。

    「あ、部長!」
    「お帰りなさいませ!」
    「お疲れ様です!」


    ここが私の居場所。……叶うなら、こういう手合いには一生晒したくはない場所だ。

    130 = 115 :

    「部長、宮永先輩から言付けです」

    「聞かせてくれ」

    「『先生に呼ばれたから行ってくる。待たせておいて』だそうです」

    「私は使用人か何かか……?」


    「わ、私達はそんな風に思ってませんよ!」
    「そうです! 宮永先輩が特殊なだけですって!」
    「部長を尊敬してない奴なんて、この部には絶対に居ません!」


    良い仲間が集まった部だと、私は思う。
    同級生も後輩も、先月卒業した先輩も良い人達だった。
    だからこそ、浮くのだ。


    異端は正常の中に在ってこそ、その存在を知らしめるのだから。


    「あれ? その後ろの子、誰ですか?」
    「新入生? 男子?」
    「部長の知り合いですか? 弟さんとか?」


    「ああ、こいつはな――」

    131 :

    >>125
    傷をえぐって塩振りかけるのはやめて差し上げろ

    132 = 1 :

    例え話をしよう。とある宗教には、全知全能と定義された神が居る。

    しかしその神は、全知全能でありながら『悪』であるサタンという悪魔を生み出した。
    悪として生まれた、悪になった、悪を行った、それは関係ない。

    善く在れと、善く生きろと全ての存在に命じたにも関わらず、生み出したのだ。


    神が全知全能であるのなら、神が許さなかった存在は生まれない。ならば何故なのか?


    それはつまり、『悪』であっても存在する事だけは許されるという事。

    『悪』は否定され、いつか滅ぼされるものであっても、存在を否定される程のものではないという事だ。


    必要悪という言葉が存在する時点で、それは当たり前の事。


    でなければ、『贖罪』という概念の意味が分からなくなってしまう。


    だが。それでも、存在を否定されるべき存在は居る。


    「(悪でもなく、善でもなく。そのどちらにも存在を否定されるであろうお前達は)」

    「(在るべきじゃないんだ、この世界に)」

    「(……誰にも、止められないのか)」

    133 = 115 :

    「何の冗談だ」「嘘」
    「ひっ」「笑えない」
    「何それ」「勘違いとか」
    「ありえないって」「夢?」


    そんな小声の囁きが、そこかしこから出始める。
    静寂が保たれたのは、その一瞬のみ。
    喋っていないと正気を保てない、そんな様相だ。

    その気持ちは、痛いほど分かる。


    京太郎「はじめまして、皆さん」

    京太郎「須賀京太郎と申します。何かとお世話になるかもしれませんが、よろしくお願いします」


    普通だ。
    普通に丁寧で、好感の持てる挨拶。

    だが。
    だが、前提が。

    あの宮永照の関係者という前提が皆の頭にある、それだけで。

    目の前のこうべを垂れる少年の行動が、ただの茶番にしか見えなくなる。


    肌が粟立つほどに、気持ち悪い。

    135 = 115 :

    「……亦野、ちょっと来い」

    誠子「へ? あ、はい」

    「済まないが、私は少しだけ所要で席を外す。好きに見学していてくれ」

    京太郎「りょーかいです」

    部室に都合よくいてくれた亦野を連れて廊下へ。
    話をあの少年に聞かれたくはなかったし、頼みたかった事もある。

    亦野が居てくれて助かった。
    少なくとも、適当な人物を探す手間は省けたし。


    誠子「弘世先輩、さっきのあれどういう……」

    「手伝え、亦野」

    亦野「は?」

    「危険物を処理するのなら、まずそれがどの程度の威力なのか確かめないと話にならん」

    「照を基準にして、それ以下か、最悪同格か、無害の部類に入るのか」

    「お前の実力を見込んで、頼みたい。……協力してくれ」

    誠子「……先輩が人を頼るなんて、本当に珍しいですよね」

    誠子「分かりました。私に出来る事なら、喜んで」

    136 = 115 :

    「あー、弱っちいねー。須賀君」

    京太郎「一応小学校の時から打ってはいるんだけどな」

    「才能とか大きいからね……でも、麻雀は好きなんでしょ?」

    京太郎「そりゃ、好きじゃなきゃ長続きしないさ」

    「よくあの宮永先輩を見てて麻雀やめる気にならなかったね」

    京太郎「他人は他人、自分は自分だろ?」

    「宮永先輩が入学した年から、毎年何人もうちの部やめてるんだけどねー」

    「須賀君は立派だよ、立派」



    「……なんだ、これは」


    確かに。
    確かに、『目を離すと何が起こるか分からない』と思って早めに帰ってきたのだが。

    これは確かに、予想外だ。

    色々嫌な予想はしていたが、それは全てマイナス方向であって。


    この短時間で部に馴染むなど、想定の範囲外だった。

    137 = 49 :

    何で性格まで変わったの?

    138 :

    ここで、視点は移る。
    遠く離れた、清く澄んだ空気の満ちる地で。


    「咲ちゃん咲ちゃん! もしかしてこの雑誌に乗ってるチャンピオンって、咲ちゃんの知り合いか?」


    雑誌には、『宮永照』の文字。


    「ううん。違うよ、優希ちゃん」

    「私に、姉は居ないから」

    「じぇ? そうなのかー」


    華奢な体躯はどうにも健康的には見えないが、他者の目を引くのはその瞳。

    雑誌を閉じた少女の瞳は、清濁併せ呑む器の大きさを持ちながら。

    どこまでも清く澄んだ、美しい輝きを宿している。


    「……待っててね」


    そして、その視線の先は。

    彼女の友人が持ってきた、その雑誌に注がれていた。

    139 :

    とりあえず、彼の周りに物珍しげに集まっている部員の一人を捕まえて話を聞かなくては。


    「おい、何があったんだ」

    「あ、部長。暇だから誰か一局相手してくれませんか、って彼が言い出しまして」

    「それで?」

    「最初は恐る恐る何人か、と言った感じでメンツ集めて、打ち出しまして」

    「雀力は、どの程度だと思った?」

    「……正直、あの宮永先輩の知人というのはガセなんじゃないでしょうか」

    「……」

    「初心者に毛が生えた程度です。高校から麻雀を始めた子達と、大差はないですね」

    「そう、か」

    「で、注目されてた分どっと来た安心感で皆絡み始めまして。あんな感じです」

    「……ふむ」

    「まあ、アレですよね。事前情報だけで人となりを把握するのは、やっぱダメだってことで」

    「……かも、しれないな」

    140 = 139 :

    誠子「……どうします?」

    「すまん、『念の為』、頼む」

    誠子「分かりました。ですけど、本当にあっち側なんですかね?」

    誠子「目が腐ってるとか、弘世先輩以外には分からない感覚なんですよ?」

    「ああ、苦労をかけるな」

    誠子「貴女は先輩で、私は後輩です。お気になさらず」


    京太郎「……あ、お帰りなさい。早かったですね」

    「ああ、待たせたな。すまないが、コイツも混ぜてやってくれ」

    誠子「どうも」

    京太郎「あ、どうも」

    「二年だから、お前の先輩にあたるな。亦野誠子だ」

    誠子「よろしく」

    京太郎「よろしくお願いします!」



    「(……さあ、どう転がったものかな)」

    141 :

    >>137
    人間として無くてはならないものを手放したからじゃないの
    手放されたって言った方が良い気もするけど

    142 :

    >>137
    今まで残ってた人間らしい部分を根こそぎ奪われたからじゃないの?

    143 = 139 :

    ――何度か、彼を狙ってみてくれ

    ――分かりづらいように、数回でいい

    ――私は彼の後ろで、彼の打ち方を見ている

    ――少し揺さぶった後は、お前の判断に任せる


    誠子「(……そのぐらいなら、お茶の子さいさいだけれども)」

    誠子「(どう見ても素人だよなぁ、この少年)」

    誠子「(気が引けるけど、弘世先輩との約束だし)」

    誠子「チー」


    鳴く。
    河から、私の武器を釣り上げる。

    だから早い。速さには自信がある。

    誰かが言った、『麻雀には一巡に四回ツモの機会がある』は至言だと思う。



    誠子「ロン。5800」

    京太郎「うわっ」

    144 = 139 :

    「(……こう言っては何だが、本当に弱いな)」

    「(牌効率もなってない。押し引きも壊滅的だ)」

    「(スジすら理解してないんじゃないのか、これは)」

    「(……これは、彼に悪いことをしたか?)」


    誠子「ロン。5200」

    京太郎「うわっ、直撃二回目」

    「須賀君捨て牌無警戒だし、そりゃそーなるって」

    「亦野も大人気ないなー」



    集まっていた部員を練習に戻らせながらも、彼の一挙一動を見逃さない。

    ……だが、彼は想像を下回っていた。
    それ自体は彼には悪いが、私にとっては良い事だ。
    それは、間違い無い。


    だが。

    147 = 139 :

    「(この卓を囲む三人と、私)」

    「(今彼を見ているのは、この四人だけだ)」

    「(……だが、確信がある)」


    今四人全員が、同じ違和感を彼に感じている。


    「(もっと、彼は……)」


    『強い』、はずなんだ。

    そんな意味も無い、根拠も無い感覚と確信が在る。


    自分達を蟻とするのなら、人間が蟻に圧倒されている光景を見るような。


    蟻にかけっこで負け、力比べで負け、ズタボロにされている人間を見るような。


    そんな違和感と、恐怖と、嫌悪感が在る。


    ……『危険だ』。

    何がヤバいのが分からないのが、『危険だ』。

    148 = 139 :

    誠子「しかし、それだけ長い間打ってるのに上達しないのか、難儀だな」

    京太郎「まあ、そこら辺はしゃーないですよ」

    誠子「麻雀初心者の一番の上達法は、上手い人の真似だって言うけど」

    京太郎「真似ですか。そう言えば、やった事無いですね」

    誠子「ふーん……ああ、それなら」

    「(……!)」


    瞬間、弘世菫の背筋に走る特大の悪寒。

    やめろ、と。制止の声も間に合わず。

    亦野誠子は、自分の地獄の扉を開き、その向こう側を見た。



    誠子「私の真似をしてみるってのも、いいのかも」

    誠子「まだまだ未熟だけど、鳴きの上手さだけなら自信があるし」





    京太郎「あ、じゃあお言葉に甘えて」

    149 = 138 :

    投下終了。

    これで白糸台メンバー全員紹介とその関係終わったし、もう他校に練習試合とか行ってもいいよね

    練習試合先の高校と絆深めるとか、王道だよね

    相手の気持が分からなくても、自分の気持を伝える努力はやめちゃいけないんですよ

    伝わらなくても、諦めるべきじゃない

    皆で分かり合いましょうがこの作品のテーマ。今考えた


    >>137
    中身がごっそり変わったから。例えるならあんまんから肉まんになった


    あ、保守ありがとさん。それじゃ

    150 = 139 :

    突然だが、『扉』と聞いて諸君は何を思い浮かべるだろうか。

    扉は開くもの。鍵があれば開くもの。その向こう側に新しい世界が広がっているもの。

    それこそが扉の本質だと、俺こと須賀京太郎は思う。


    昔、ある日から俺は『扉』が見えるようになった。

    手の中には、いつだって『鍵』が在った。


    眼の前に在る扉を、鍵で開いてみる。

    その扉を開いた瞬間、それが何かをようやく理解した。


    この扉は、人間なら誰でも持っているものだ。
    全ての人間に、この扉は等しい数、等しい大きさで存在する。


    開く扉。
    その扉は自分の中に在って、その扉を俺は自分で開いている。
    だから、世界が広がるのは『俺自身』だ。





    その日の麻雀で、俺は今までやった事もないハイテイを半荘に三度和了った。


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