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元スレ令嬢「ご指導、よろしくお願いしますわ」武術家「よろしく」
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令嬢「ハァ、ハァ……さすがは武術家さんの弟さん。
武術家さんの苛烈な拳法とはまた一味ちがい、お強いですわ」
弟「いやぁ……俺なんか……」
武術家「弟なんざ、まだまだ俺の足元にも及ばねえよ」
~
武術家「たしかにアンタの蹴りは武器になる!」
武術家「──が、多用はするなよ! 読まれたら効果は半減しちまうからな!」
令嬢「はいっ!」
~
令嬢「シェフに習ったので、お料理には多少自信がありますの。どうぞ!」コトッ…
武術家「おお~……!」
弟「美味しそう……!」
この日から、令嬢は道場に通うことになった。
武術家さんの苛烈な拳法とはまた一味ちがい、お強いですわ」
弟「いやぁ……俺なんか……」
武術家「弟なんざ、まだまだ俺の足元にも及ばねえよ」
~
武術家「たしかにアンタの蹴りは武器になる!」
武術家「──が、多用はするなよ! 読まれたら効果は半減しちまうからな!」
令嬢「はいっ!」
~
令嬢「シェフに習ったので、お料理には多少自信がありますの。どうぞ!」コトッ…
武術家「おお~……!」
弟「美味しそう……!」
この日から、令嬢は道場に通うことになった。
翌日──
<東の道場>
武術家「なぁ……」
令嬢「はい?」
武術家「アンタ、もしかして寝技とか得意か?」
令嬢「えぇ~っ!? ま、ま、まさか! 未体験ですわ、未体験!」
(まさか……正夢!?)
武術家「そうか! ならいいんだ……」ホッ…
(ウソじゃなさそうだな……。よかった……正夢じゃなくて)
武術家「んじゃ、今日も突きの稽古からだ」
令嬢「え……あの……寝技……は……?」
武術家「ウチの流派に寝技はねえぞ」
令嬢「そう……ですわよね……」
武術家(なんでガッカリしてんだ? 打撃だけじゃ不安になったのか?)
試合までの二週間、二人は順調に稽古を重ねた。
<東の道場>
武術家「なぁ……」
令嬢「はい?」
武術家「アンタ、もしかして寝技とか得意か?」
令嬢「えぇ~っ!? ま、ま、まさか! 未体験ですわ、未体験!」
(まさか……正夢!?)
武術家「そうか! ならいいんだ……」ホッ…
(ウソじゃなさそうだな……。よかった……正夢じゃなくて)
武術家「んじゃ、今日も突きの稽古からだ」
令嬢「え……あの……寝技……は……?」
武術家「ウチの流派に寝技はねえぞ」
令嬢「そう……ですわよね……」
武術家(なんでガッカリしてんだ? 打撃だけじゃ不安になったのか?)
試合までの二週間、二人は順調に稽古を重ねた。
翌日──
<東の道場>
試合は、申し込まれた側で行われるのが通例である。
美形「お久しぶり。元気そうでなによりだ、武術家君」ザッ
色黒「今日はよろしく」ザッ
鉢巻「相変わらずちっちゃい道場ッスねぇ」ザッ
武術家「……ふん。どっちが小さいんだよ。
俺と親父がいない間に、弟や門下生を脅すような真似しやがって」
美形「まあまあ、そう怒らないでくれよ」
美形「もうまもなく審判もやってくるだろうし、準備を始めよう」
美形「──だけど、おや? そちらはまだ二人しかいないようだが……?
この間渡された試合順の紙には、令嬢という女性がいたはずだけど」
武術家「…………」
弟「ちょ、ちょっと遅れてるだけだ!」
美形「ふん、そうかい。 ……来れればいいけどねぇ」
(昨日、令嬢の親には今日の試合のことをチクっておいたし、
万一許されて外に出られたとしても……ふふふっ)ニヤッ
<東の道場>
試合は、申し込まれた側で行われるのが通例である。
美形「お久しぶり。元気そうでなによりだ、武術家君」ザッ
色黒「今日はよろしく」ザッ
鉢巻「相変わらずちっちゃい道場ッスねぇ」ザッ
武術家「……ふん。どっちが小さいんだよ。
俺と親父がいない間に、弟や門下生を脅すような真似しやがって」
美形「まあまあ、そう怒らないでくれよ」
美形「もうまもなく審判もやってくるだろうし、準備を始めよう」
美形「──だけど、おや? そちらはまだ二人しかいないようだが……?
この間渡された試合順の紙には、令嬢という女性がいたはずだけど」
武術家「…………」
弟「ちょ、ちょっと遅れてるだけだ!」
美形「ふん、そうかい。 ……来れればいいけどねぇ」
(昨日、令嬢の親には今日の試合のことをチクっておいたし、
万一許されて外に出られたとしても……ふふふっ)ニヤッ
そして試合前日──
<東の道場>
武術家「今日の稽古は終わりだ。令嬢、家の近くまで送っていくよ」
令嬢「はい!」
弟「明日は俺と兄ちゃんが必ず二勝するから、安心しといて下さい!」
令嬢「あら、私も出番が欲しいですわ」
武術家「……ふっ」
~
<西の道場>
鉢巻「この作戦なら、ウチの勝利はまちがいないッスね!」
色黒「本当に……これでいいんですね?」
美形「当たり前だ、勝つことが第一なんだからね」
美形「もっとも──ボクは独自に他にも手を打ってあるがね。
もしかすると、戦わずして勝利できるかもしれないよ」
美形「明日、東の道場はこの町から姿を消す。やっと宿願が叶うんだよ、父さん……!」
道場主「あ、ああ……」
<東の道場>
武術家「今日の稽古は終わりだ。令嬢、家の近くまで送っていくよ」
令嬢「はい!」
弟「明日は俺と兄ちゃんが必ず二勝するから、安心しといて下さい!」
令嬢「あら、私も出番が欲しいですわ」
武術家「……ふっ」
~
<西の道場>
鉢巻「この作戦なら、ウチの勝利はまちがいないッスね!」
色黒「本当に……これでいいんですね?」
美形「当たり前だ、勝つことが第一なんだからね」
美形「もっとも──ボクは独自に他にも手を打ってあるがね。
もしかすると、戦わずして勝利できるかもしれないよ」
美形「明日、東の道場はこの町から姿を消す。やっと宿願が叶うんだよ、父さん……!」
道場主「あ、ああ……」
<豪邸>
令嬢(どうしましょう……!)
令嬢「全部の出入り口を、召使に封鎖されて……あら?」
召使「ぐう……ぐう……」
召使たちが全員眠り始めた
令嬢「こ、これはどういうこと……!?」
シェフ「お嬢様」
令嬢「シェフ!」
シェフ「今日の朝食──旦那様ご夫婦とお嬢様のもの以外には
強力な眠り草を入れておきました。
旦那様と奥様は先ほど出かけられましたし、もう大丈夫です」
シェフ「行ってらっしゃいませ」スッ…
令嬢「……ありがとう!」
タタタッ……
シェフ(家の近くでたむろしていた格闘家らしき集団も、
私からの“差し入れ”で眠らせておいたので、どうかご安心を)
令嬢(どうしましょう……!)
令嬢「全部の出入り口を、召使に封鎖されて……あら?」
召使「ぐう……ぐう……」
召使たちが全員眠り始めた
令嬢「こ、これはどういうこと……!?」
シェフ「お嬢様」
令嬢「シェフ!」
シェフ「今日の朝食──旦那様ご夫婦とお嬢様のもの以外には
強力な眠り草を入れておきました。
旦那様と奥様は先ほど出かけられましたし、もう大丈夫です」
シェフ「行ってらっしゃいませ」スッ…
令嬢「……ありがとう!」
タタタッ……
シェフ(家の近くでたむろしていた格闘家らしき集団も、
私からの“差し入れ”で眠らせておいたので、どうかご安心を)
スレ立てしてきた
令嬢「ご指導、よろしくお願いしますわ」武術家「よろしく」 part2
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1361803408/l50
令嬢「ご指導、よろしくお願いしますわ」武術家「よろしく」 part2
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1361803408/l50
<東の道場>
審判「このまま正午までに届け出のある三人目が来なかった場合、
東の道場は不戦敗となる」
弟「どうしたんだろう、令嬢さん……」
武術家「おい美形、てめぇまさかなにかやったんじゃねえだろうな!」
美形「オイオイまさか。まあ、良家のお嬢さんをこんな戦いに
駆り出すことにならなくてよかったじゃないか」
美形「君たちは戦わずして敗れることになるがね」
武術家「くっ……! 審判、俺たちは二人だけでいい! 試合をさせてくれ!」
審判「ならん。決まりは決まりだからな」
武術家「ぐっ……!」
すると──
ガラッ!
令嬢「皆さま、お待たせしました!」
武術家「令嬢!」
弟「令嬢さん!」
美形「…………」チッ
審判「このまま正午までに届け出のある三人目が来なかった場合、
東の道場は不戦敗となる」
弟「どうしたんだろう、令嬢さん……」
武術家「おい美形、てめぇまさかなにかやったんじゃねえだろうな!」
美形「オイオイまさか。まあ、良家のお嬢さんをこんな戦いに
駆り出すことにならなくてよかったじゃないか」
美形「君たちは戦わずして敗れることになるがね」
武術家「くっ……! 審判、俺たちは二人だけでいい! 試合をさせてくれ!」
審判「ならん。決まりは決まりだからな」
武術家「ぐっ……!」
すると──
ガラッ!
令嬢「皆さま、お待たせしました!」
武術家「令嬢!」
弟「令嬢さん!」
美形「…………」チッ
審判「ではまず、東の道場から試合順を発表してもらおう」
武術家「ウチはもう通達してあるように、先鋒が弟、中堅は俺、大将に令嬢、だ」
審判「では、西の道場」
美形「ウチは……先鋒は色黒、中堅は鉢巻、大将はボクだ」
武術家「!?」
武術家「ちょ、ちょっと待て、てめえ!
てめえんとこの実力ナンバーワンは色黒だろうが! なんで先鋒なんだ!」
武術家「道場同士の試合は実力順にするのがならわし……。
だったら、色黒は大将にするか、あるいは俺にぶつけるのがスジだろうがよ!」
美形「いやいや、つい先日鉢巻が色黒に勝っちゃったからさぁ~」
武術家「下手なウソこきやがって……!」ギリッ
美形「それに、実力順にするのはあくまでも通例……破ってもペナルティはない。
ですよね? 審判さん」
審判「うむ」
武術家「な、なんだと……!」
(俺は鉢巻にまず勝てるだろうが、弟じゃ色黒相手は厳しい!
これじゃ試合が令嬢まで回っちまう!)
武術家「ウチはもう通達してあるように、先鋒が弟、中堅は俺、大将に令嬢、だ」
審判「では、西の道場」
美形「ウチは……先鋒は色黒、中堅は鉢巻、大将はボクだ」
武術家「!?」
武術家「ちょ、ちょっと待て、てめえ!
てめえんとこの実力ナンバーワンは色黒だろうが! なんで先鋒なんだ!」
武術家「道場同士の試合は実力順にするのがならわし……。
だったら、色黒は大将にするか、あるいは俺にぶつけるのがスジだろうがよ!」
美形「いやいや、つい先日鉢巻が色黒に勝っちゃったからさぁ~」
武術家「下手なウソこきやがって……!」ギリッ
美形「それに、実力順にするのはあくまでも通例……破ってもペナルティはない。
ですよね? 審判さん」
審判「うむ」
武術家「な、なんだと……!」
(俺は鉢巻にまず勝てるだろうが、弟じゃ色黒相手は厳しい!
これじゃ試合が令嬢まで回っちまう!)
弟「大丈夫だよ、兄ちゃん! 俺が……勝てばいいんだから!」
武術家「……ああ」
令嬢「弟さん、頑張って下さいませ!」
審判「先鋒の二人、前へ!」
弟「…………」ザッ
色黒「…………」ザッ
弟「お願いします!」
色黒「……こうして今は敵対しているが、私は東の道場を尊敬している。
君の父や兄は、優秀な格闘家だ。私も一目置くほどにね」
弟「!」
色黒「だが、君は眼中にない」
色黒「偉大な二人の影に隠れ、町民や農民相手にぬるい稽古をしているだけ……。
我々の脅しに屈したことといい、君はこの道場の足手まといに過ぎない。
悪いが、すぐに終わらせてもらう」
弟「ぐっ……!」
武術家「……ああ」
令嬢「弟さん、頑張って下さいませ!」
審判「先鋒の二人、前へ!」
弟「…………」ザッ
色黒「…………」ザッ
弟「お願いします!」
色黒「……こうして今は敵対しているが、私は東の道場を尊敬している。
君の父や兄は、優秀な格闘家だ。私も一目置くほどにね」
弟「!」
色黒「だが、君は眼中にない」
色黒「偉大な二人の影に隠れ、町民や農民相手にぬるい稽古をしているだけ……。
我々の脅しに屈したことといい、君はこの道場の足手まといに過ぎない。
悪いが、すぐに終わらせてもらう」
弟「ぐっ……!」
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
実力順って自分のことを棚に挙げてるような
こういうの見てるとまた空手やりたくなるけど忘れるんだよなあ
こういうの見てるとまた空手やりたくなるけど忘れるんだよなあ
令嬢「弟さんのお相手……強いんですか?」
武術家「まちがいなく西の道場一の使い手だ。
すまねえ、アンタの前に二勝するだなんていっておいて……」
令嬢「あら、あなたは弟さんを信じていないんですか?」
武術家「え?」
令嬢「私は……弟さんは勝つと思います」
審判「始めっ!」
色黒「しゃッ!」バッ
ベチィッ!
いきなりのハイキック、弟もどうにかガードする。
弟「くっ……」ビリビリ…
色黒「だっ! だだだっ! ──せいいッ!」
ガッ! バッ! バシィッ! ドゴォッ!
怒涛の連撃。弟は防ぐだけで全く手が出せない。
武術家(なにやってやがる……。
格上の相手に守勢に回ったら、オシマイだろうが……!)
武術家「まちがいなく西の道場一の使い手だ。
すまねえ、アンタの前に二勝するだなんていっておいて……」
令嬢「あら、あなたは弟さんを信じていないんですか?」
武術家「え?」
令嬢「私は……弟さんは勝つと思います」
審判「始めっ!」
色黒「しゃッ!」バッ
ベチィッ!
いきなりのハイキック、弟もどうにかガードする。
弟「くっ……」ビリビリ…
色黒「だっ! だだだっ! ──せいいッ!」
ガッ! バッ! バシィッ! ドゴォッ!
怒涛の連撃。弟は防ぐだけで全く手が出せない。
武術家(なにやってやがる……。
格上の相手に守勢に回ったら、オシマイだろうが……!)
武術家(──いや!)
色黒「くっ……」ハァハァ…
令嬢(相手の方、もう疲れている……!?)
色黒「せりゃあッ!」ブオンッ
弟「…………」スッ…
色黒「だりゃッ!」ビュアッ
弟「…………」ススッ…
武術家「弟のヤロウ……アイツ、色黒の間合いを見切って──
打撃の勢いや威力を全て殺してやがる!」
武術家(そうか……アイツ、日頃ぬるい稽古ばかりしてるかと思ったが、
町民や農民たちのゆるい打撃をも一流の打撃だと思って、
真剣に稽古していたんだ!)
令嬢「す、すごい……!」
色黒「ぬああッ!」ダンッ
ブオンッ!
色黒(またか……! 絶妙なタイミングで間合いをずらされる……!)ハァハァ…
弟(門下生たちの発展途上の攻撃に比べれば、
格闘技の理に乗っ取った、アンタの打撃はずっと見切りやすい!)
色黒「くっ……」ハァハァ…
令嬢(相手の方、もう疲れている……!?)
色黒「せりゃあッ!」ブオンッ
弟「…………」スッ…
色黒「だりゃッ!」ビュアッ
弟「…………」ススッ…
武術家「弟のヤロウ……アイツ、色黒の間合いを見切って──
打撃の勢いや威力を全て殺してやがる!」
武術家(そうか……アイツ、日頃ぬるい稽古ばかりしてるかと思ったが、
町民や農民たちのゆるい打撃をも一流の打撃だと思って、
真剣に稽古していたんだ!)
令嬢「す、すごい……!」
色黒「ぬああッ!」ダンッ
ブオンッ!
色黒(またか……! 絶妙なタイミングで間合いをずらされる……!)ハァハァ…
弟(門下生たちの発展途上の攻撃に比べれば、
格闘技の理に乗っ取った、アンタの打撃はずっと見切りやすい!)
バキィッ!
疲れと焦りで足が止まった色黒に、弟の拳がヒットする。
色黒「ぐおっ……! ──があっ!」ブオンッ
スカッ
色黒「くそっ……」ハァハァ…
(認めねばなるまい……私はコイツを侮っていた!)
武術家(色黒が弟をナメてたというのもあるだろう。
弟がこの試合をいいテンションで臨めてるというのもある)
武術家(だがそれらを差し引いても強い!)
武術家(アイツ……きっちり強くなってやがった!)ニィッ
ガガガッ! バシッ! ガッ! ドゴッ!
弟(アンタらが俺が眼中にないってんなら、俺だってアンタらなんか眼中にない!)
弟(俺は父ちゃんや兄ちゃんを超えるために、ずっとずっと修業してきたんだ!)
バキィッ!
弟の突きが、色黒の顔面にクリーンヒットした。
色黒「ぐあ……っ!」ドサッ
疲れと焦りで足が止まった色黒に、弟の拳がヒットする。
色黒「ぐおっ……! ──があっ!」ブオンッ
スカッ
色黒「くそっ……」ハァハァ…
(認めねばなるまい……私はコイツを侮っていた!)
武術家(色黒が弟をナメてたというのもあるだろう。
弟がこの試合をいいテンションで臨めてるというのもある)
武術家(だがそれらを差し引いても強い!)
武術家(アイツ……きっちり強くなってやがった!)ニィッ
ガガガッ! バシッ! ガッ! ドゴッ!
弟(アンタらが俺が眼中にないってんなら、俺だってアンタらなんか眼中にない!)
弟(俺は父ちゃんや兄ちゃんを超えるために、ずっとずっと修業してきたんだ!)
バキィッ!
弟の突きが、色黒の顔面にクリーンヒットした。
色黒「ぐあ……っ!」ドサッ
武術家「いいぞ、ダウンを奪った!」
令嬢「その調子ですわ!」
鉢巻「色黒さん、一度落ちつくッスよ!」
美形「…………」
すぐさま立ち上がる色黒。
色黒(私が負ければ、西の道場の勝利は難しくなる……。
先生や美形さんのためにも、負けるわけにはいかん!)
色黒「はあああっ!」ダッ
弟「!」
バシィッ! ガガガッ! ドッ! ドガッ!
色黒の猛攻が、少しずつ弟をとらえ始める。
弟(──やっぱりさすがだ! この数分で、俺の動きを学習してる!)
だが、弟も巧みなフットワークで決定打を許さない。
審判「──それまでっ!」
試合時間の10分が経過した。
色黒(ぐっ……! 私としたことが、なんという無様な試合を!)
弟(──よし!)グッ
美形「…………」ニヤッ
令嬢「その調子ですわ!」
鉢巻「色黒さん、一度落ちつくッスよ!」
美形「…………」
すぐさま立ち上がる色黒。
色黒(私が負ければ、西の道場の勝利は難しくなる……。
先生や美形さんのためにも、負けるわけにはいかん!)
色黒「はあああっ!」ダッ
弟「!」
バシィッ! ガガガッ! ドッ! ドガッ!
色黒の猛攻が、少しずつ弟をとらえ始める。
弟(──やっぱりさすがだ! この数分で、俺の動きを学習してる!)
だが、弟も巧みなフットワークで決定打を許さない。
審判「──それまでっ!」
試合時間の10分が経過した。
色黒(ぐっ……! 私としたことが、なんという無様な試合を!)
弟(──よし!)グッ
美形「…………」ニヤッ
審判「判定!」
シ~ン……
審判「先鋒戦! 勝者、西の道場!」バッ
武術家「ハァ!?」
弟「なっ……!」
令嬢「え?」
色黒(な、なんだと……!?)
美形「ふふふ、よくやったよ。よく倒されないでくれた」
色黒「美形さん、あなたまさか──」
武術家「ふざけんなっ!!!」
武術家「今の試合……たしかに終盤盛り返しはあったが、ほぼ弟が優勢だったろ!
弟の勝ちだろうがっ!」
審判「……異議は認めない。すぐ中堅戦の用意をしたまえ」
武術家「て、てめえ──」
美形「オイオイ武術家君、審判の判定は絶対だよ?」
武術家「……なんだと!」
シ~ン……
審判「先鋒戦! 勝者、西の道場!」バッ
武術家「ハァ!?」
弟「なっ……!」
令嬢「え?」
色黒(な、なんだと……!?)
美形「ふふふ、よくやったよ。よく倒されないでくれた」
色黒「美形さん、あなたまさか──」
武術家「ふざけんなっ!!!」
武術家「今の試合……たしかに終盤盛り返しはあったが、ほぼ弟が優勢だったろ!
弟の勝ちだろうがっ!」
審判「……異議は認めない。すぐ中堅戦の用意をしたまえ」
武術家「て、てめえ──」
美形「オイオイ武術家君、審判の判定は絶対だよ?」
武術家「……なんだと!」
美形「たしかに君の弟君は、優勢ではあったかもしれない。
だが、戦術に積極性がいささか欠けていたというのも事実だ」
美形「審判がその辺りを考慮したのなら、この結果も十分ありえる」ニヤッ
武術家「あのヤロウ……!」ズイッ
審判「これ以上食い下がるのなら、無条件で君たちの負けにするぞ」
武術家「ぐっ……」
弟「ごめんよ、兄ちゃん、令嬢さん……!」
令嬢「いえ、いい試合でしたわ。手本にさせていただきます」
武術家「…………」
武術家(弟たちを脅して試合を組んで、試合順も通例を無視して、
挙げ句審判ともグルってか)
武術家(いいさ、そっちがその気ならやってやるよ……)
武術家(いくら審判になにかしてても、圧勝すればさすがにどうしようもねえはずだ)
武術家(たとえ今日、東の道場がなくなるとしても、
ヤツらには俺の強さと恐ろしさを徹底的に叩き込んでやる)
武術家(この俺に鉢巻如きを当ててきたことを後悔させてやる……!)ビキッ…
だが、戦術に積極性がいささか欠けていたというのも事実だ」
美形「審判がその辺りを考慮したのなら、この結果も十分ありえる」ニヤッ
武術家「あのヤロウ……!」ズイッ
審判「これ以上食い下がるのなら、無条件で君たちの負けにするぞ」
武術家「ぐっ……」
弟「ごめんよ、兄ちゃん、令嬢さん……!」
令嬢「いえ、いい試合でしたわ。手本にさせていただきます」
武術家「…………」
武術家(弟たちを脅して試合を組んで、試合順も通例を無視して、
挙げ句審判ともグルってか)
武術家(いいさ、そっちがその気ならやってやるよ……)
武術家(いくら審判になにかしてても、圧勝すればさすがにどうしようもねえはずだ)
武術家(たとえ今日、東の道場がなくなるとしても、
ヤツらには俺の強さと恐ろしさを徹底的に叩き込んでやる)
武術家(この俺に鉢巻如きを当ててきたことを後悔させてやる……!)ビキッ…
鉢巻「あ、あの」ガタガタ…
美形「なんだい?」
鉢巻「武術家、すげえツラなんスけど……あれマジで人を殺しかねないツラッスよ。
元々中堅は捨て試合ッスし……俺、棄権してもいいッスか?」ガタガタ…
美形「ダメに決まってるだろ。ただでさえ試合順を実力順にしてないんだ。
ウチの道場が武術家から逃げたなんて風評が立っちゃかなわない」
美形「大丈夫さ、死にゃあしないよ(……多分)」
審判「中堅の二人、前へ!」
鉢巻「…………」ガタガタ…
武術家(鉢巻ィ……悪いが五体満足で試合場から出さねえぞ)ギロッ
武術家(最低でも全治数ヶ月には──)
令嬢「武術家さん、お待ちになって」
武術家「?」
令嬢「弟さんに労いの言葉を」
令嬢「それにまだ……私がいますわ」
武術家「!」ハッ
美形「なんだい?」
鉢巻「武術家、すげえツラなんスけど……あれマジで人を殺しかねないツラッスよ。
元々中堅は捨て試合ッスし……俺、棄権してもいいッスか?」ガタガタ…
美形「ダメに決まってるだろ。ただでさえ試合順を実力順にしてないんだ。
ウチの道場が武術家から逃げたなんて風評が立っちゃかなわない」
美形「大丈夫さ、死にゃあしないよ(……多分)」
審判「中堅の二人、前へ!」
鉢巻「…………」ガタガタ…
武術家(鉢巻ィ……悪いが五体満足で試合場から出さねえぞ)ギロッ
武術家(最低でも全治数ヶ月には──)
令嬢「武術家さん、お待ちになって」
武術家「?」
令嬢「弟さんに労いの言葉を」
令嬢「それにまだ……私がいますわ」
武術家「!」ハッ
武術家(そうだ)
武術家(俺はなにを考えていたんだ)
武術家(弟の健闘を称えもせず、もう道場が負けた時のことばかり──
こんなもん、弟や後に控えてる令嬢への侮辱でしかない!)
武術家「…………」
武術家「弟」
弟「!」
武術家「ナイスファイトだったぞ。よくやった」グッ
弟「兄ちゃん……」
武術家「んじゃ、行ってくる。次の令嬢に繋ぐためにな」
向かい合う武術家と鉢巻。
武術家「…………」ザッ
鉢巻(こ、こうなったら殺される前に……勝負に出るしかない!)ザッ
審判「始めっ!」
武術家(俺はなにを考えていたんだ)
武術家(弟の健闘を称えもせず、もう道場が負けた時のことばかり──
こんなもん、弟や後に控えてる令嬢への侮辱でしかない!)
武術家「…………」
武術家「弟」
弟「!」
武術家「ナイスファイトだったぞ。よくやった」グッ
弟「兄ちゃん……」
武術家「んじゃ、行ってくる。次の令嬢に繋ぐためにな」
向かい合う武術家と鉢巻。
武術家「…………」ザッ
鉢巻(こ、こうなったら殺される前に……勝負に出るしかない!)ザッ
審判「始めっ!」
鉢巻「うわぁぁぁっ!」ブオンッ
武術家「っと」サッ
鉢巻の捨て身のストレートをあっさりかわすと──
武術家「──はあっ!」
ドンッ!
脇腹に強烈な中段蹴り。
鉢巻「うげぇっ……!」
さらにダメ押しの左拳での突きが──
ピタッ
寸止めされた。
鉢巻「あ、あぐぅ……ま、参ったッス……!」ゲホゲホッ
審判「そ、それまでっ!」バッ
武術家(鉢巻の最初のストレート……キレたままだったらモロに受けてた。
……令嬢に助けられちまったな)
美形(予想に反してキレイに勝ちやがった……。面白くないな。
まあいい、次でボクが勝てば全て終わるんだ!)
武術家「っと」サッ
鉢巻の捨て身のストレートをあっさりかわすと──
武術家「──はあっ!」
ドンッ!
脇腹に強烈な中段蹴り。
鉢巻「うげぇっ……!」
さらにダメ押しの左拳での突きが──
ピタッ
寸止めされた。
鉢巻「あ、あぐぅ……ま、参ったッス……!」ゲホゲホッ
審判「そ、それまでっ!」バッ
武術家(鉢巻の最初のストレート……キレたままだったらモロに受けてた。
……令嬢に助けられちまったな)
美形(予想に反してキレイに勝ちやがった……。面白くないな。
まあいい、次でボクが勝てば全て終わるんだ!)
令嬢「では、行って参ります」
弟「令嬢さん、戦ってもらうことになっちゃってゴメン……!」
令嬢「いえいえ、修業の成果を発揮できるのが楽しみですわ!」
武術家「令嬢」
令嬢「はい?」
武術家「あとは任せた」
令嬢「は、はいっ!」カァ…
美形「おうおう、見せつけてくれるねえ。
こっちはもうスタンバイオーケーだ。さっさと出てきてくれよ」
令嬢「分かりましたわ」ザッ
美形「君もつくづく不運な女だねえ」
美形「女の身でありながら、こんな真剣勝負の場に立つことの愚かさ……
たっぷり思い知らせてやるよ」
令嬢「武術家さんはおっしゃってました。格闘技に男も女もありません」
美形「……ふん!」
弟「令嬢さん、戦ってもらうことになっちゃってゴメン……!」
令嬢「いえいえ、修業の成果を発揮できるのが楽しみですわ!」
武術家「令嬢」
令嬢「はい?」
武術家「あとは任せた」
令嬢「は、はいっ!」カァ…
美形「おうおう、見せつけてくれるねえ。
こっちはもうスタンバイオーケーだ。さっさと出てきてくれよ」
令嬢「分かりましたわ」ザッ
美形「君もつくづく不運な女だねえ」
美形「女の身でありながら、こんな真剣勝負の場に立つことの愚かさ……
たっぷり思い知らせてやるよ」
令嬢「武術家さんはおっしゃってました。格闘技に男も女もありません」
美形「……ふん!」
審判「始めっ!」
美形「ま、顔は避けてやるから安心しな──よっ!」ダッ
ベシィッ!
令嬢「あうっ!」
美形のローキック、令嬢の顔がゆがむ。
美形「そらそらそらっ!」ガガガッ
令嬢「くっ……」
弟(速い……ッ! さすが西の道場の跡取りで、ナンバーツーなだけはある!
令嬢さん、防ぐので精一杯だ!)
美形「女で、しかもほとんど初心者みたいな奴がこんな試合に出るとか──
なめてるのかい!?」
美形「ボクは君みたいな奴がホントムカつくんだよ!」
ドスッ! ドズッ!
令嬢のボディに拳が突き刺さる。
令嬢「ぐ……っ! くっ!」
弟(アイツ……いたぶってやがる!)
武術家「…………」
美形「ま、顔は避けてやるから安心しな──よっ!」ダッ
ベシィッ!
令嬢「あうっ!」
美形のローキック、令嬢の顔がゆがむ。
美形「そらそらそらっ!」ガガガッ
令嬢「くっ……」
弟(速い……ッ! さすが西の道場の跡取りで、ナンバーツーなだけはある!
令嬢さん、防ぐので精一杯だ!)
美形「女で、しかもほとんど初心者みたいな奴がこんな試合に出るとか──
なめてるのかい!?」
美形「ボクは君みたいな奴がホントムカつくんだよ!」
ドスッ! ドズッ!
令嬢のボディに拳が突き刺さる。
令嬢「ぐ……っ! くっ!」
弟(アイツ……いたぶってやがる!)
武術家「…………」
美形(武術家め、平気な顔しているが内心ハラワタ煮えくり返ってるだろう)
美形(だが、悪いのはお前なんだからな!)
美形「ほら、少しは反撃してみな!」
令嬢「たあっ!」ヒュッ
美形「ふん」パシッ
令嬢の突きが、あっさり弾かれる。
弟「令嬢さん、腕だけで打っちゃダメだ!」
弟(やっぱり……いきなりこんな試合無理だったんだ!
ただでさえ実力差がありすぎる相手なのに……
令嬢さん、動きも固いし、フォームもガタガタだ!)
武術家「…………」
バシッ! ベシッ! ドカッ!
令嬢「……ぐうっ」
美形「──ハハ、ボクが手加減してるからとはいえ、君も粘るねえ」
令嬢「ハァ……ハァ……ハァ……まだまだ、これからですわ」
美形(一応警戒していたが、コイツは弱い! だが、どうせ勝つなら……
武術家により屈辱を味わわせなくちゃ面白くないよなぁ)
美形(だが、悪いのはお前なんだからな!)
美形「ほら、少しは反撃してみな!」
令嬢「たあっ!」ヒュッ
美形「ふん」パシッ
令嬢の突きが、あっさり弾かれる。
弟「令嬢さん、腕だけで打っちゃダメだ!」
弟(やっぱり……いきなりこんな試合無理だったんだ!
ただでさえ実力差がありすぎる相手なのに……
令嬢さん、動きも固いし、フォームもガタガタだ!)
武術家「…………」
バシッ! ベシッ! ドカッ!
令嬢「……ぐうっ」
美形「──ハハ、ボクが手加減してるからとはいえ、君も粘るねえ」
令嬢「ハァ……ハァ……ハァ……まだまだ、これからですわ」
美形(一応警戒していたが、コイツは弱い! だが、どうせ勝つなら……
武術家により屈辱を味わわせなくちゃ面白くないよなぁ)
美形「君は箱入り娘として、大切に育てられたんだろう? だったら」シュッ
むにゅっ……
令嬢の胸を掴む美形。
ザワッ……!
弟「なっ……!」
色黒「!」
鉢巻「マ、マジッスか!」
美形「ふふふ、こんなことされるの、初めてだろ?」モミッ…
令嬢「…………」
もにゅもにゅ……
美形(どうだ、武術家! お前がムリヤリ選手に選んだ女は
こんな惨めな目に遭っているぞ!)
弟「令嬢さん! あ、アイツ、ふざけやがって……!」
弟(でも……真っ先に飛びかかりそうな兄ちゃんがなにもいわない……なんでだ?)
むにゅっ……
令嬢の胸を掴む美形。
ザワッ……!
弟「なっ……!」
色黒「!」
鉢巻「マ、マジッスか!」
美形「ふふふ、こんなことされるの、初めてだろ?」モミッ…
令嬢「…………」
もにゅもにゅ……
美形(どうだ、武術家! お前がムリヤリ選手に選んだ女は
こんな惨めな目に遭っているぞ!)
弟「令嬢さん! あ、アイツ、ふざけやがって……!」
弟(でも……真っ先に飛びかかりそうな兄ちゃんがなにもいわない……なんでだ?)
この美形は素人の女の胸をもんだあげく、その女に負けるという汚点を背負っていくのか
もう格闘家生命が風前の灯火レベル
もう格闘家生命が風前の灯火レベル
武術家(不思議だ……なんで俺はこんなに冷静でいられるんだろう)
武術家(多分、令嬢に全て託すと決めたからだろうな……。
だから、今も怒らないでいられる……飛びださずにいられる)
武術家(いやむしろ……美形があんなマネに走ったのはむしろチャンス!
令嬢もそれを分かってるはずだ!)
もにゅむにゅ……
美形「どうだい? 屈辱だろう? 実力で敵わなかった上にこんなことされて」モミモミ…
令嬢「別に……これくらいどうってことありませんわ」
美形「!?」
令嬢「武術家さんは教えて下さいました。格闘技は痛くて苦しいものなのだと──
だからこういうことも覚悟していました」
令嬢「ただし一言だけ」
令嬢「私の胸を揉んでいいのは──武術家さんだけですわ」
美形「!?」
色黒「!」
鉢巻「へ!?」
審判「な……」
弟「え」
武術家「!」ブハッ
武術家(多分、令嬢に全て託すと決めたからだろうな……。
だから、今も怒らないでいられる……飛びださずにいられる)
武術家(いやむしろ……美形があんなマネに走ったのはむしろチャンス!
令嬢もそれを分かってるはずだ!)
もにゅむにゅ……
美形「どうだい? 屈辱だろう? 実力で敵わなかった上にこんなことされて」モミモミ…
令嬢「別に……これくらいどうってことありませんわ」
美形「!?」
令嬢「武術家さんは教えて下さいました。格闘技は痛くて苦しいものなのだと──
だからこういうことも覚悟していました」
令嬢「ただし一言だけ」
令嬢「私の胸を揉んでいいのは──武術家さんだけですわ」
美形「!?」
色黒「!」
鉢巻「へ!?」
審判「な……」
弟「え」
武術家「!」ブハッ
令嬢は呆気に取られた美形の胸に手を当て──乳首をつねった。
ギュウゥゥ……!
美形「いぎゃあぁぁぁぁっ!!!」
令嬢「油断大敵ですわね」ザッ
令嬢(でも今の感触……この人、もしかして!)
美形「よ、よくも……! よ、よ、よくもぉっ!」バッ
美形が令嬢の顔面めがけ、パンチを放とうとする。
だが──
ヒュワァッ ベシィッ!
令嬢の上段蹴りが、美形の頭部にクリーンヒットした。
美形「がっ……」グラッ…
(な、なんて美しい蹴り、だ……。今の今まで弱いフリ、してたのか!?)
美形(油断した──が、耐えられない威力じゃない!)
美形(突きはそこまでのレベルじゃないし、蹴りはもう喰わない……。
“詰み”だ!)
ギュウゥゥ……!
美形「いぎゃあぁぁぁぁっ!!!」
令嬢「油断大敵ですわね」ザッ
令嬢(でも今の感触……この人、もしかして!)
美形「よ、よくも……! よ、よ、よくもぉっ!」バッ
美形が令嬢の顔面めがけ、パンチを放とうとする。
だが──
ヒュワァッ ベシィッ!
令嬢の上段蹴りが、美形の頭部にクリーンヒットした。
美形「がっ……」グラッ…
(な、なんて美しい蹴り、だ……。今の今まで弱いフリ、してたのか!?)
美形(油断した──が、耐えられない威力じゃない!)
美形(突きはそこまでのレベルじゃないし、蹴りはもう喰わない……。
“詰み”だ!)
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