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武術家「ハァ!? 富豪の娘の武術指南役ぅ!?」
師範「ああ、悪いが明日から頼む」
武術家「親父、なんで俺なんだよ!? 親父や弟でもいいじゃねえかよ!」
師範「相手は年頃の娘さんだからな。若いヤツの方がいいだろうし……
弟は門下生の指導をせねばならんからな」
武術家「だったら俺を道場に残して、弟を行かせろよ!」
弟「兄ちゃんの練習は厳しすぎて、みんな逃げちゃうからね」
武術家「格闘技ってのは、そういうもんだろうが!
お前の稽古は生ぬるすぎるんだよ! あんなんじゃ強くなれねえよ!」
弟「殴る蹴るをやるような人間は西の道場に行っちゃって、
ウチに来てるのは、健康のために格闘技を習ってる人たちだもん。
しょうがないよ」
武術家「くぅ……これが町一番といわれた道場のなれの果てか……」
武術家「いいよ、分かったよ! 行ってきてやるよ!」
師範「ああ、悪いが明日から頼む」
武術家「親父、なんで俺なんだよ!? 親父や弟でもいいじゃねえかよ!」
師範「相手は年頃の娘さんだからな。若いヤツの方がいいだろうし……
弟は門下生の指導をせねばならんからな」
武術家「だったら俺を道場に残して、弟を行かせろよ!」
弟「兄ちゃんの練習は厳しすぎて、みんな逃げちゃうからね」
武術家「格闘技ってのは、そういうもんだろうが!
お前の稽古は生ぬるすぎるんだよ! あんなんじゃ強くなれねえよ!」
弟「殴る蹴るをやるような人間は西の道場に行っちゃって、
ウチに来てるのは、健康のために格闘技を習ってる人たちだもん。
しょうがないよ」
武術家「くぅ……これが町一番といわれた道場のなれの果てか……」
武術家「いいよ、分かったよ! 行ってきてやるよ!」
翌日──
<豪邸>
令嬢「柔軟体操も終わりましたし……」
令嬢「本日もよろしくお願いしますわ!」ビシッ
武術家「よ、よろしく」
武術家「じゃあ今日は……蹴りだ!」
武術家(いつも色んな作業に使っている手とちがって、
足はせいぜい歩く走るぐらいにしか使わない……)
武術家(ゆえに蹴りは突きよりも難しい!)
武術家(変な蹴り方をしようもんなら、ダメ出ししまくってやる!)
武術家「じゃあ今から俺がやるから……俺がやるとおりに蹴るんだぞ」ザッ
武術家「上段!」
ビュオンッ!
武術家「さ、やってみせろ」
令嬢「はい!」
<豪邸>
令嬢「柔軟体操も終わりましたし……」
令嬢「本日もよろしくお願いしますわ!」ビシッ
武術家「よ、よろしく」
武術家「じゃあ今日は……蹴りだ!」
武術家(いつも色んな作業に使っている手とちがって、
足はせいぜい歩く走るぐらいにしか使わない……)
武術家(ゆえに蹴りは突きよりも難しい!)
武術家(変な蹴り方をしようもんなら、ダメ出ししまくってやる!)
武術家「じゃあ今から俺がやるから……俺がやるとおりに蹴るんだぞ」ザッ
武術家「上段!」
ビュオンッ!
武術家「さ、やってみせろ」
令嬢「はい!」
武術家「あ……」
令嬢「うっ……うえぇっ!」ビチャビチャ…
武術家(しまった、つい……! 軽くだけど、腹に入れちまった……!)
武術家「だ、大丈夫か──」
武術家(いや……! いいじゃねえか! ここで追い討ちかけてやれば、
さすがにこの女もイヤになるだろ!)
武術家「あ、あんな軽いパンチでゲロなんか吐いてんじゃねえよ、きったねえな!」
武術家「金持ちはいつも変なもんばっか食ってるから、胃が弱いんだな!
あ~……やだやだ!」
武術家「格闘技をナメてるから、こういうことになるんだ!」
武術家「ア……アハハ、アハハハハ……!」
令嬢「…………」グスッ…
武術家「うっ……!」ギクッ
令嬢「謝りなさい!」
武術家(よ、よし……怒った! ってか、怒るに決まってるけど)
「このぐらいのアクシデントで怒るんじゃねえよ! 短気なヤツだな!」
令嬢「うっ……うえぇっ!」ビチャビチャ…
武術家(しまった、つい……! 軽くだけど、腹に入れちまった……!)
武術家「だ、大丈夫か──」
武術家(いや……! いいじゃねえか! ここで追い討ちかけてやれば、
さすがにこの女もイヤになるだろ!)
武術家「あ、あんな軽いパンチでゲロなんか吐いてんじゃねえよ、きったねえな!」
武術家「金持ちはいつも変なもんばっか食ってるから、胃が弱いんだな!
あ~……やだやだ!」
武術家「格闘技をナメてるから、こういうことになるんだ!」
武術家「ア……アハハ、アハハハハ……!」
令嬢「…………」グスッ…
武術家「うっ……!」ギクッ
令嬢「謝りなさい!」
武術家(よ、よし……怒った! ってか、怒るに決まってるけど)
「このぐらいのアクシデントで怒るんじゃねえよ! 短気なヤツだな!」
令嬢「構えは……こうですわね?」ザッ
武術家「ああ」
(どんなへっぴり腰のキックになるか……楽しみだ)
令嬢「えいっ!」
ヒュワァッ!
武術家「!」
令嬢「どうだったかしら?
バレエをやっていたので、足はちゃんと上がっていたはずですけど」
武術家「う、美しい……」
令嬢「え!?」
武術家「──あ、いや! お前じゃなくて……蹴りが美しかったって意味な!」
令嬢「で、で、ですわよね~……オホホホ……」
武術家「ハハハ……」
令嬢「ホホホ……」
武術家(なんてこった……!)
武術家(威力はともかく、フォームと蹴りの描く弧の美しさは、
まちがいなく俺以上だった!)
武術家「ああ」
(どんなへっぴり腰のキックになるか……楽しみだ)
令嬢「えいっ!」
ヒュワァッ!
武術家「!」
令嬢「どうだったかしら?
バレエをやっていたので、足はちゃんと上がっていたはずですけど」
武術家「う、美しい……」
令嬢「え!?」
武術家「──あ、いや! お前じゃなくて……蹴りが美しかったって意味な!」
令嬢「で、で、ですわよね~……オホホホ……」
武術家「ハハハ……」
令嬢「ホホホ……」
武術家(なんてこった……!)
武術家(威力はともかく、フォームと蹴りの描く弧の美しさは、
まちがいなく俺以上だった!)
<豪邸>
武術家「どうも」
富豪「おお、よく来てくれた」
富豪「物騒なご時世、娘にも格闘術を習わせたくなってね。
西の道場でもよかったんだが、東の道場の方が一般人向けの指導に
力を入れていると聞いたものだから」
武術家(力を入れてるんじゃねえ、軟弱なヤツばっか集まって、
それしかできねえんだよ)
富豪「期間は決めてないが……ま、よろしく頼むよ」
武術家(ふざけんな、こっちは強くなるために真剣に格闘技やってんだ。
成金のクソ娘の道楽に付き合う気なんざさらさらねえ)
武術家(今日一日で来ないで済むように仕向けてやる……!)
富豪「では、娘は運動部屋にいるから、鍛えてやってくれ」
武術家「……分かりました」
武術家「どうも」
富豪「おお、よく来てくれた」
富豪「物騒なご時世、娘にも格闘術を習わせたくなってね。
西の道場でもよかったんだが、東の道場の方が一般人向けの指導に
力を入れていると聞いたものだから」
武術家(力を入れてるんじゃねえ、軟弱なヤツばっか集まって、
それしかできねえんだよ)
富豪「期間は決めてないが……ま、よろしく頼むよ」
武術家(ふざけんな、こっちは強くなるために真剣に格闘技やってんだ。
成金のクソ娘の道楽に付き合う気なんざさらさらねえ)
武術家(今日一日で来ないで済むように仕向けてやる……!)
富豪「では、娘は運動部屋にいるから、鍛えてやってくれ」
武術家「……分かりました」
武術家「よし、このミットに蹴りを打ち込んでこいっ!」ザッ
令嬢「はいっ!」
令嬢「えいっ! えいっ! えいっ!」
バシッ! ベシッ! ビシッ!
武術家(重さはまだまだ足りないが、しなやかで鋭い……。
それにバレエやってただけあって、バランス感覚は抜群だな)
武術家(突きで牽制して、必殺の蹴りでノックアウト……うん。
この女、鍛え上げればもしかしていい格闘家になるんじゃ──)
武術家(──ってアホか!
俺はコイツに格闘技を辞めさせるために来てるんだぞ!)
令嬢「ハァ……ハァ……私のキックはどうでした?」
武術家「……悪くはなかった!」
こうして、二日目の稽古も終了した。
令嬢「はいっ!」
令嬢「えいっ! えいっ! えいっ!」
バシッ! ベシッ! ビシッ!
武術家(重さはまだまだ足りないが、しなやかで鋭い……。
それにバレエやってただけあって、バランス感覚は抜群だな)
武術家(突きで牽制して、必殺の蹴りでノックアウト……うん。
この女、鍛え上げればもしかしていい格闘家になるんじゃ──)
武術家(──ってアホか!
俺はコイツに格闘技を辞めさせるために来てるんだぞ!)
令嬢「ハァ……ハァ……私のキックはどうでした?」
武術家「……悪くはなかった!」
こうして、二日目の稽古も終了した。
令嬢「ちがいます!」
令嬢「私は変なものばかり食べてるわけではありませんわ!」
武術家「は……?」
令嬢「我が家に雇われているシェフが味と栄養を考え、
愛情をこめて作ってくれた料理を食べているのです!」
令嬢「それを変なものだなんて……謝りなさい!」
武術家「ご、ごめ──」
武術家「い、いや……もう謝らねえぞ!」
令嬢「だったら……今日はお夕飯を一緒に私の家で食べましょう。
そうすれば、変なものだなんて思わなくなるはずですわ!」
武術家「いいだろう、受けて立ってやる!」
武術家(どうしてこうなった……!?)
こうして三日目の稽古が終わった。
令嬢「私は変なものばかり食べてるわけではありませんわ!」
武術家「は……?」
令嬢「我が家に雇われているシェフが味と栄養を考え、
愛情をこめて作ってくれた料理を食べているのです!」
令嬢「それを変なものだなんて……謝りなさい!」
武術家「ご、ごめ──」
武術家「い、いや……もう謝らねえぞ!」
令嬢「だったら……今日はお夕飯を一緒に私の家で食べましょう。
そうすれば、変なものだなんて思わなくなるはずですわ!」
武術家「いいだろう、受けて立ってやる!」
武術家(どうしてこうなった……!?)
こうして三日目の稽古が終わった。
豪邸での稽古開始から一週間後──
<東の道場>
武術家(ちくしょう……どんなに厳しく接しても、はね返されちまう……)
師範「さっき連絡があり、ワシが王国兵の今期の武術指南役に選ばれ、
城に向かうことになった」
弟「やったぁ! こりゃ西の道場の連中も悔しがるだろうね。
あいつらの道場主も武術指南役を狙ってただろうからさ」
武術家(明日はどんな鍛錬にするか……う~ん……)
師範「いつもいっとるだろ、西の道場は関係ない」
師範「やることをやっていれば、人は認めてくれるものだ」
師範「とにかく、一週間後からワシは三ヶ月ほど留守にするから、道場は頼んだぞ。
まちがっても西の道場を相手にしたりするんじゃないぞ」
弟「は~い」
武術家(なにか格闘技をイヤにさせる、いい方法は……)
師範「おいバカ息子、ちゃんと聞いてたのか!?」
武術家「うるっせえな、今それどころじゃないんだよ!」
師範「なんだと!? 親に向かってなんという口のきき方だ!」
<東の道場>
武術家(ちくしょう……どんなに厳しく接しても、はね返されちまう……)
師範「さっき連絡があり、ワシが王国兵の今期の武術指南役に選ばれ、
城に向かうことになった」
弟「やったぁ! こりゃ西の道場の連中も悔しがるだろうね。
あいつらの道場主も武術指南役を狙ってただろうからさ」
武術家(明日はどんな鍛錬にするか……う~ん……)
師範「いつもいっとるだろ、西の道場は関係ない」
師範「やることをやっていれば、人は認めてくれるものだ」
師範「とにかく、一週間後からワシは三ヶ月ほど留守にするから、道場は頼んだぞ。
まちがっても西の道場を相手にしたりするんじゃないぞ」
弟「は~い」
武術家(なにか格闘技をイヤにさせる、いい方法は……)
師範「おいバカ息子、ちゃんと聞いてたのか!?」
武術家「うるっせえな、今それどころじゃないんだよ!」
師範「なんだと!? 親に向かってなんという口のきき方だ!」
富豪「今日はありがとう」
富豪「また明日以降も、よろしく頼むよ」
武術家「いえ……こちらこそ、ごちそうさまでした」ゲフッ
令嬢「ね、変なものじゃなかったでしょう?」
武術家「まあな……」
武術家「そういや、変なものっていったこと、まだ謝ってなかったな。ごめ──」
令嬢「ふふっ、かまいませんわ。ちゃんと分かって下さったのなら。
また明日から、よろしくお願いしますね」ニコッ
武術家「…………!」ドキッ
武術家「それじゃ、さよなら」ザッ
武術家(くそっ……今日はこの女に完全にペースを崩されっぱなしだ!
明日こそは、明日こそは……!)ギリッ…
こうして四日目の稽古も終わった。
富豪「また明日以降も、よろしく頼むよ」
武術家「いえ……こちらこそ、ごちそうさまでした」ゲフッ
令嬢「ね、変なものじゃなかったでしょう?」
武術家「まあな……」
武術家「そういや、変なものっていったこと、まだ謝ってなかったな。ごめ──」
令嬢「ふふっ、かまいませんわ。ちゃんと分かって下さったのなら。
また明日から、よろしくお願いしますね」ニコッ
武術家「…………!」ドキッ
武術家「それじゃ、さよなら」ザッ
武術家(くそっ……今日はこの女に完全にペースを崩されっぱなしだ!
明日こそは、明日こそは……!)ギリッ…
こうして四日目の稽古も終わった。
弟「まあまあ、父ちゃんも兄ちゃんも落ち着いて」
師範「むぅ……」
武術家「ぬぅ……」
弟「父ちゃんはこんなとこで揉めてる場合じゃないし、
兄ちゃんはどうせやらしいことでも考えてたんだろ」
武術家「バカいえ! 俺はちゃんと──」
武術家「…………」
武術家(やらしいこと……)
武術家(これだ……!)ニィッ
武術家(よし……明日、まちがいなくあの女は格闘技がイヤになる!)
師範「むぅ……」
武術家「ぬぅ……」
弟「父ちゃんはこんなとこで揉めてる場合じゃないし、
兄ちゃんはどうせやらしいことでも考えてたんだろ」
武術家「バカいえ! 俺はちゃんと──」
武術家「…………」
武術家(やらしいこと……)
武術家(これだ……!)ニィッ
武術家(よし……明日、まちがいなくあの女は格闘技がイヤになる!)
一方、その頃──
<西の道場>
道場主「くそっ……東の道場が今期の武術指南役に選ばれるとは……!」
道場主「宣伝やパフォーマンスが不十分だったか……?」
鉢巻「悔しいッスね……先生」
色黒「今回は仕方ありません。運がなかっただけのこと。
次のチャンスに向けて、引き続き道場のイメージアップを図りましょう!」
道場主「うむ……そうだな」
美形「ねえ、父さん」
道場主「なんだ?」
美形「なにごともポジティブに考えないとね。
師範の長男である武術家も、最近留守がちだと聞いているし……
これはある意味ではチャンスというべきかもしれないよ」
道場主「チャンス……?」
<西の道場>
道場主「くそっ……東の道場が今期の武術指南役に選ばれるとは……!」
道場主「宣伝やパフォーマンスが不十分だったか……?」
鉢巻「悔しいッスね……先生」
色黒「今回は仕方ありません。運がなかっただけのこと。
次のチャンスに向けて、引き続き道場のイメージアップを図りましょう!」
道場主「うむ……そうだな」
美形「ねえ、父さん」
道場主「なんだ?」
美形「なにごともポジティブに考えないとね。
師範の長男である武術家も、最近留守がちだと聞いているし……
これはある意味ではチャンスというべきかもしれないよ」
道場主「チャンス……?」
令嬢「ちがいます!」
令嬢「私は変なものばかり食べてるわけではありませんわ!」
武術家「は……?」
令嬢「我が家に雇われているシェフが味と栄養を考え、
愛情をこめて作ってくれた料理を食べているのです!」
令嬢「それを変なものだなんて……謝りなさい!」
武術家「ご、ごめ──」
武術家「い、いや……もう謝らねえぞ!」
令嬢「だったら……今日はお夕飯を一緒に私の家で食べましょう。
そうすれば、変なものだなんて思わなくなるはずですわ!」
武術家「いいだろう、受けて立ってやる!」
武術家(どうしてこうなった……!?)
こうして三日目の稽古が終わった。
令嬢「私は変なものばかり食べてるわけではありませんわ!」
武術家「は……?」
令嬢「我が家に雇われているシェフが味と栄養を考え、
愛情をこめて作ってくれた料理を食べているのです!」
令嬢「それを変なものだなんて……謝りなさい!」
武術家「ご、ごめ──」
武術家「い、いや……もう謝らねえぞ!」
令嬢「だったら……今日はお夕飯を一緒に私の家で食べましょう。
そうすれば、変なものだなんて思わなくなるはずですわ!」
武術家「いいだろう、受けて立ってやる!」
武術家(どうしてこうなった……!?)
こうして三日目の稽古が終わった。
翌日──
<豪邸>
令嬢「本日もご指導、よろしくお願いしますわ」ビシッ
武術家「ああ、よろしく」
令嬢「さてと、今日はなんのお稽古かしら?」
武術家「まずはかる~く組み手といこうか。
互いに寸止めか、軽く当てるぐらいで突きを打ち合う」
令嬢「分かりましたわ。じゃあ私から……」ザッ
令嬢「てやっ!」ヒュッ
武術家「おっと」ヒョイッ
武術家「今度はこっちからだ」ヒュッ
武術家の突きが、令嬢の胸に軽くヒットした。
むにゅっ……
令嬢「え?」
武術家「お……おっと悪い悪い、事故だ、事故」
<豪邸>
令嬢「本日もご指導、よろしくお願いしますわ」ビシッ
武術家「ああ、よろしく」
令嬢「さてと、今日はなんのお稽古かしら?」
武術家「まずはかる~く組み手といこうか。
互いに寸止めか、軽く当てるぐらいで突きを打ち合う」
令嬢「分かりましたわ。じゃあ私から……」ザッ
令嬢「てやっ!」ヒュッ
武術家「おっと」ヒョイッ
武術家「今度はこっちからだ」ヒュッ
武術家の突きが、令嬢の胸に軽くヒットした。
むにゅっ……
令嬢「え?」
武術家「お……おっと悪い悪い、事故だ、事故」
豪邸での稽古開始から一週間後──
<東の道場>
武術家(ちくしょう……どんなに厳しく接しても、はね返されちまう……)
師範「さっき連絡があり、ワシが王国兵の今期の武術指南役に選ばれ、
城に向かうことになった」
弟「やったぁ! こりゃ西の道場の連中も悔しがるだろうね。
あいつらの道場主も武術指南役を狙ってただろうからさ」
武術家(明日はどんな鍛錬にするか……う~ん……)
師範「いつもいっとるだろ、西の道場は関係ない」
師範「やることをやっていれば、人は認めてくれるものだ」
師範「とにかく、一週間後からワシは三ヶ月ほど留守にするから、道場は頼んだぞ。
まちがっても西の道場を相手にしたりするんじゃないぞ」
弟「は~い」
武術家(なにか格闘技をイヤにさせる、いい方法は……)
師範「おいバカ息子、ちゃんと聞いてたのか!?」
武術家「うるっせえな、今それどころじゃないんだよ!」
師範「なんだと!? 親に向かってなんという口のきき方だ!」
<東の道場>
武術家(ちくしょう……どんなに厳しく接しても、はね返されちまう……)
師範「さっき連絡があり、ワシが王国兵の今期の武術指南役に選ばれ、
城に向かうことになった」
弟「やったぁ! こりゃ西の道場の連中も悔しがるだろうね。
あいつらの道場主も武術指南役を狙ってただろうからさ」
武術家(明日はどんな鍛錬にするか……う~ん……)
師範「いつもいっとるだろ、西の道場は関係ない」
師範「やることをやっていれば、人は認めてくれるものだ」
師範「とにかく、一週間後からワシは三ヶ月ほど留守にするから、道場は頼んだぞ。
まちがっても西の道場を相手にしたりするんじゃないぞ」
弟「は~い」
武術家(なにか格闘技をイヤにさせる、いい方法は……)
師範「おいバカ息子、ちゃんと聞いてたのか!?」
武術家「うるっせえな、今それどころじゃないんだよ!」
師範「なんだと!? 親に向かってなんという口のきき方だ!」
なんでこの格闘家、調子こいてんの?
金もらって教えるのが仕事だろ
嫌で強いやつに会いたいなら、山にこもって熊相手に特訓したらいいじゃん
金もらって教えるのが仕事だろ
嫌で強いやつに会いたいなら、山にこもって熊相手に特訓したらいいじゃん
しかし、その後も──
もにゅっ……
令嬢「う……!」
武術家「悪い悪い、またさわっちまった」
むにゅっ……
令嬢「あっ……」
武術家「いやぁ~事故が続くな」
むんずっ……
令嬢「…………」
武術家「おっと、すまねえ。今度はつい掴んじまった、ハハハ」
令嬢「では、続けましょうか」
武術家「……ああ」
もにゅっ……
令嬢「う……!」
武術家「悪い悪い、またさわっちまった」
むにゅっ……
令嬢「あっ……」
武術家「いやぁ~事故が続くな」
むんずっ……
令嬢「…………」
武術家「おっと、すまねえ。今度はつい掴んじまった、ハハハ」
令嬢「では、続けましょうか」
武術家「……ああ」
SS書こうと思ってスレ立ててすぐに、くぅ~疲れましたwコピペがあるとちょっとだけ心にヒビが入る保守
武術家「──おかしいだろォッ!」
令嬢「え?」
武術家「お前……こんだけ不自然に胸ばっか触られて、揉まれて、
なんでなんもいわねぇんだよォッ!」
令嬢「だって……それを含めてのお稽古なのでしょう?」
武術家「へ?」
令嬢「武術家さん、あなたは最初のお稽古の日におっしゃいましたわ。
格闘技というのは痛くて苦しいものだ、と」
令嬢「あの言葉で、私は反省いたしました」
令嬢「生半可な覚悟で、格闘技を習おうとしていた自分自身を……」
令嬢「ですから、私はあなたの訓練がどんなに辛くても、
文句はいわないと決めたのです」
令嬢「それに……もし本当に暴漢に襲われて、負けてしまったら、
胸をどうこうされるぐらいでは済まないでしょう?」
武術家「…………」
令嬢「え?」
武術家「お前……こんだけ不自然に胸ばっか触られて、揉まれて、
なんでなんもいわねぇんだよォッ!」
令嬢「だって……それを含めてのお稽古なのでしょう?」
武術家「へ?」
令嬢「武術家さん、あなたは最初のお稽古の日におっしゃいましたわ。
格闘技というのは痛くて苦しいものだ、と」
令嬢「あの言葉で、私は反省いたしました」
令嬢「生半可な覚悟で、格闘技を習おうとしていた自分自身を……」
令嬢「ですから、私はあなたの訓練がどんなに辛くても、
文句はいわないと決めたのです」
令嬢「それに……もし本当に暴漢に襲われて、負けてしまったら、
胸をどうこうされるぐらいでは済まないでしょう?」
武術家「…………」
武術家「よし、このミットに蹴りを打ち込んでこいっ!」ザッ
令嬢「はいっ!」
令嬢「えいっ! えいっ! えいっ!」
バシッ! ベシッ! ビシッ!
武術家(重さはまだまだ足りないが、しなやかで鋭い……。
それにバレエやってただけあって、バランス感覚は抜群だな)
武術家(突きで牽制して、必殺の蹴りでノックアウト……うん。
この女、鍛え上げればもしかしていい格闘家になるんじゃ──)
武術家(──ってアホか!
俺はコイツに格闘技を辞めさせるために来てるんだぞ!)
令嬢「ハァ……ハァ……私のキックはどうでした?」
武術家「……悪くはなかった!」
こうして、二日目の稽古も終了した。
令嬢「はいっ!」
令嬢「えいっ! えいっ! えいっ!」
バシッ! ベシッ! ビシッ!
武術家(重さはまだまだ足りないが、しなやかで鋭い……。
それにバレエやってただけあって、バランス感覚は抜群だな)
武術家(突きで牽制して、必殺の蹴りでノックアウト……うん。
この女、鍛え上げればもしかしていい格闘家になるんじゃ──)
武術家(──ってアホか!
俺はコイツに格闘技を辞めさせるために来てるんだぞ!)
令嬢「ハァ……ハァ……私のキックはどうでした?」
武術家「……悪くはなかった!」
こうして、二日目の稽古も終了した。
武術家(俺は……見誤っていた。いや……見ようともしていなかった……!)
武術家「すまんっ!!!」ガバッ
令嬢「え!?」
武術家「俺は……俺は、俺は……俺はァッ!」
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
床を殴りつける武術家。
令嬢(ここの床は運動用に特別頑丈に造られている……)
「そんなことをしたら……拳がダメになってしまいますわ!」
バキィッ! ベキィッ! メキィッ!
令嬢「──と思いきや、床の方がどんどん壊れて……すごっ!
……あ、どっちにしても、やめて下さいませ!」
武術家「俺は格闘家じゃない……」
武術家「ただのバカだ……」
武術家「今まで散々やってきた借りを……せめて返せる分だけでも返したい……。
俺を好きなだけ殴ってくれッ!」
武術家「すまんっ!!!」ガバッ
令嬢「え!?」
武術家「俺は……俺は、俺は……俺はァッ!」
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
床を殴りつける武術家。
令嬢(ここの床は運動用に特別頑丈に造られている……)
「そんなことをしたら……拳がダメになってしまいますわ!」
バキィッ! ベキィッ! メキィッ!
令嬢「──と思いきや、床の方がどんどん壊れて……すごっ!
……あ、どっちにしても、やめて下さいませ!」
武術家「俺は格闘家じゃない……」
武術家「ただのバカだ……」
武術家「今まで散々やってきた借りを……せめて返せる分だけでも返したい……。
俺を好きなだけ殴ってくれッ!」
令嬢「殴るだなんて、そんな……」
令嬢「できませんわ!」
武術家「だったら蹴るでもいい、引っかくでもいい!
最低でも、俺が悲鳴を上げるぐらいまでやってくれっ! 頼むっ!」
令嬢「では……先ほどまで胸を触られていたので……私もそうします」スッ
武術家(え? まさか俺の胸を? オイオイそれじゃ罰どころかご褒美──)
令嬢は武術家の胸にさわり──乳首をつねった。
ギュウゥゥ……!
武術家「あがぁぁぁぁぁっ!!!」
令嬢「うふふ、これで貸し借りナシですわね」パッ
武術家「いだだ……っ! あ、ああ……叫んじまったからな……」
武術家(“つねり”は一説にはもっとも痛い攻撃とされている……!
この女、やはりデキる……!)ハァハァ…
令嬢(殿方の胸なんて……初めて触りましたわ)
令嬢(たくましい……胸板でしたわ)ドキドキ…
令嬢「できませんわ!」
武術家「だったら蹴るでもいい、引っかくでもいい!
最低でも、俺が悲鳴を上げるぐらいまでやってくれっ! 頼むっ!」
令嬢「では……先ほどまで胸を触られていたので……私もそうします」スッ
武術家(え? まさか俺の胸を? オイオイそれじゃ罰どころかご褒美──)
令嬢は武術家の胸にさわり──乳首をつねった。
ギュウゥゥ……!
武術家「あがぁぁぁぁぁっ!!!」
令嬢「うふふ、これで貸し借りナシですわね」パッ
武術家「いだだ……っ! あ、ああ……叫んじまったからな……」
武術家(“つねり”は一説にはもっとも痛い攻撃とされている……!
この女、やはりデキる……!)ハァハァ…
令嬢(殿方の胸なんて……初めて触りましたわ)
令嬢(たくましい……胸板でしたわ)ドキドキ…
監督「こ、この球は・・・!!」
あらすじ:零冥高校(れいめいこうこう)に入学した桐生翼、そこは頭もよく野球も強い高校だった。
子供のころから天才児だった桐生翼(きりゅうつばさ)(主人公)は零冥高校に進学する。
ただし野球経験は0。野球のやの字も知らない。ある日、翼が帰宅しようとしていると野球部の練習している音が聞こえた。
何気なく覗いてみた。するとフリーバッティングのボールが目の前に転がってきた。
「お~い、とってくれ~」という部員の声。試しに思いっきりバッターに向かって投げてみた。
それが桐生翼伝説の始まりだった・・・。
あらすじ:零冥高校(れいめいこうこう)に入学した桐生翼、そこは頭もよく野球も強い高校だった。
子供のころから天才児だった桐生翼(きりゅうつばさ)(主人公)は零冥高校に進学する。
ただし野球経験は0。野球のやの字も知らない。ある日、翼が帰宅しようとしていると野球部の練習している音が聞こえた。
何気なく覗いてみた。するとフリーバッティングのボールが目の前に転がってきた。
「お~い、とってくれ~」という部員の声。試しに思いっきりバッターに向かって投げてみた。
それが桐生翼伝説の始まりだった・・・。
武術家「……さて、気を取り直して稽古を再開するか」
武術家「天性の体の柔軟さに加え、バレエをやっていたこともあって、
アンタは蹴り技の方が得意そうだ」
武術家「だから俺は、アンタを蹴り技主体で鍛えたいと思う」
武術家「自分だけの武器ってのを作れば、自信につながるからな!」
令嬢「はいっ!」
武術家(なんだろう、この気持ち……なんだか、とても晴れやかだ)
~
その夜──
<東の道場>
武術家「お~う親父ィ、弟、メシができたぞ~」グチャッ…
弟「うわぁ……相変わらずメチャクチャな料理だ」
武術家「文句があるなら食うなよ」
師範「……お前、なんとなくだが表情が柔らかくなったな」
武術家「え、そうか?」
武術家「天性の体の柔軟さに加え、バレエをやっていたこともあって、
アンタは蹴り技の方が得意そうだ」
武術家「だから俺は、アンタを蹴り技主体で鍛えたいと思う」
武術家「自分だけの武器ってのを作れば、自信につながるからな!」
令嬢「はいっ!」
武術家(なんだろう、この気持ち……なんだか、とても晴れやかだ)
~
その夜──
<東の道場>
武術家「お~う親父ィ、弟、メシができたぞ~」グチャッ…
弟「うわぁ……相変わらずメチャクチャな料理だ」
武術家「文句があるなら食うなよ」
師範「……お前、なんとなくだが表情が柔らかくなったな」
武術家「え、そうか?」
桐生翼、どこにでもいる普通の高校生だ。
彼はこの春、零冥高校という進学校に入学した。彼は天才児なのだ。
入学して1か月が経ち、だいぶ新生活にも慣れてきた桐生。
そんな時彼に転機が訪れる。
桐生「今日も一日疲れたなあ・・・さて帰るか。ん?」
??「お~い、とってくれ~」
桐生「なんだこれは?ボール?」
??「こっちに投げてくれ!」
桐生「そういえば、ここは野球も強かったな。」
そう呟いて桐生はボールを思いっきり投げた
ズバーン!!!
??「・・・え?」
桐生「なんだ今の感触は・・・」
監督「こ、この球は・・・!!」
??「キミ、すごいじゃないか!よかったら野球部に入らないか?」
桐生「野球か・・・野球をすれば今の感覚をいつでも味わえるのか?」
??「そうだな」
桐生「いいぜ、野球部に入ってやる。」
こうして桐生伝説が始まった。
彼はこの春、零冥高校という進学校に入学した。彼は天才児なのだ。
入学して1か月が経ち、だいぶ新生活にも慣れてきた桐生。
そんな時彼に転機が訪れる。
桐生「今日も一日疲れたなあ・・・さて帰るか。ん?」
??「お~い、とってくれ~」
桐生「なんだこれは?ボール?」
??「こっちに投げてくれ!」
桐生「そういえば、ここは野球も強かったな。」
そう呟いて桐生はボールを思いっきり投げた
ズバーン!!!
??「・・・え?」
桐生「なんだ今の感触は・・・」
監督「こ、この球は・・・!!」
??「キミ、すごいじゃないか!よかったら野球部に入らないか?」
桐生「野球か・・・野球をすれば今の感覚をいつでも味わえるのか?」
??「そうだな」
桐生「いいぜ、野球部に入ってやる。」
こうして桐生伝説が始まった。
それからおよそ一週間、武術家と令嬢の稽古は続いた。
武術家「この間みたいに、このミットに蹴り込んでこいっ!」
令嬢「はいっ!」
バシッ! バシッ! バシッ!
武術家「足だけで蹴るんじゃなく、全身のバネを使って蹴るんだ!」
令嬢「はいっ!」
バシィッ! バシィッ! バシィッ!
武術家(やはり……鞭のようにしなやかで、いい蹴りだ……!)
武術家「──いいぞ! その調子だ!」
令嬢「ありがとうございます!」
武術家「この間みたいに、このミットに蹴り込んでこいっ!」
令嬢「はいっ!」
バシッ! バシッ! バシッ!
武術家「足だけで蹴るんじゃなく、全身のバネを使って蹴るんだ!」
令嬢「はいっ!」
バシィッ! バシィッ! バシィッ!
武術家(やはり……鞭のようにしなやかで、いい蹴りだ……!)
武術家「──いいぞ! その調子だ!」
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