元スレ春香「あれから10年も経つんですね……」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
51 = 1 :
春香「大学にいっても、てっぺん目指すよー
いくよー!765プロー!ファイトー!」
一同「「「「おー!!!」」」」
******
大学生とアイドル、あるいは高校生とアイドル、という二足のわらじを履きながらも、
皆がアイドルの頂点を目指して頑張っていた。
それこそ、寸暇を惜しんで日々努力。
とにかくトップに立つ、そのことだけをひたすらに目指していた。
彼女たちにとって、暇というものは毒以外のなにものでもないと思ったに違いない。
52 :
ふむ
53 :
音無さんは俺と結婚しました
54 :
事務員=春香か
55 :
ほ
56 = 1 :
亜美・真美が中学を卒業し、高校生になった時には8合目に到達していた。
既に越えるべきライバルというものも数える程度となり、
765プロは有力プロダクションの一つとまで数えられるようになっていた。
相変わらず、961プロからの執拗な妨害工作は続くが、
有名になるにつれそれも収まりつつあった。
テレビへの出演も、かつていないほどになり、
765プロのアイドルがテレビで見かけない日は無くなった。
しかし、765プロが有名になるに連れて、何か大切な物を一つづつ失っていっていた。
57 :
これまえもみた
58 :
年少組の動向も気になる支援
59 = 1 :
律子との対立は二者間の問題に留まらず、事務所内を巻き込む程に拡大した。
社長も事務所に顔を出せない日が多くなり、ついに入院してしまった。
今思えば、俺と律子の対立が社長を気に病まさせ、
病状を悪化させてしまったのだろうと思うと、悔やんでも悔やみきれない。
事務所の快進撃とは裏腹に、
社長の代理として経営権を握った律子との対立は深まるばかりだった。
60 = 55 :
サー
61 = 1 :
******
律子「プロデューサー。もっと事務所の経営についても考えてください。
彼女達の好きなようにやらせたいのはわかりますけど、それでは経営が成り立ちません。」
P「律子の言うこともわかる。
だがな、経営第一にしてアイドルの人生までも変えていいものなのか?
人の人生まで介入して良いものなのか?」
律子「それは、十分わかっています。
私もかつてアイドルでしたから、できれば自由にさせてあげたい。
けれども、今は転換期なんです。
次世代育成もままらない中、個人の自由を優先させたら、事務所が潰れます。
そして、今羽ばたこうとしているアイドルまでも潰そうとする気なんですか?」
P「潰そうなんて誰が思うか。
けれども、次世代のアイドルのために今の彼女たちを犠牲にしていいのかと言っているんだ!」
62 :
これはPが甘い
63 = 1 :
律子「いいですか。私達の事務所の立場を考えてください。
老舗でもない、コネもカネもない弱小プロダクションがここまでのし上がれたんですよ。
彼ら既存の事務所から考えれば、765プロ程鬱陶しいものはないです。
今、落ちてしまえば、もう二度と浮上することないよう工作を仕掛けてくるに違いありません。
そうなったら、次世代を担おうとしているアイドルたちはどうするんですか?」
P「そんな事務所力学的な御託は並べなくていい!」
律子「事実を言っているだけです!
プロデューサーは業界の闇を知らないから綺麗事だけ言えるんです。」
P「なら聞くが、事務所のためならアイドルに枕営業でもしろと言うのか!」
律子「なんで、そんな極論に至るんですか!」
P「だってそうだろう? 事務所のためなら、自己犠牲をいとわないって言ってるんだからな!」
64 = 58 :
りっちゃんスキーの俺には辛い展開か…
65 = 31 :
確かにこのPは甘いな
だが気持ちはわかる
66 :
Pと律子の年齢逆だろ、これ
67 = 1 :
******
個人の尊重か、それとも事務所を優先か。
プロデュースする人間としては、この問は究極だった。
自分が事務所に所属し、事務所から給料をもらっていっる以上は、
事務所のことを第一に考えなければならない。
その点はプロデューサーだろうが、アイドルだろうが代わりはない。
だが、アイドルにも人生というものがある。
彼女たちの人生を変えてまで事務所第一にしなければならないのか。
この究極の問に対して、俺は明確な答えを持ち合わせていなかった。
だが、決して事務所の経営を軽視していたわけではなかった。
しかし、常に彼女達のことを考えるあまり主張が先鋭化してしまい、
結果的に律子と対立することになったのだろう。
68 = 1 :
律子との対立が深まるにつれて、事務所内に不穏な空気が流れ始めた。
このことは、彼女たちに良くも悪くも影響を与え始めていた。
******
亜美「ね→真美、事務所内すっごくピリピリしてない?」
真美「亜美もそう思う?特に兄ちゃんと律っちゃんが、
ギスギスっていうか、すっごくぎくしゃくしてるよね→」
亜美「でも、二人とも765プロに一生懸命って感じがするな→!」
だからね、真美!」
真美「うん!」
亜美「皆が頑張って、これを解決するっきゃないでしょ→!!
トップに立てば、こんな問題もらくちん解決だよ→!!」
真美「真美もそう思う!
だから、兄ちゃん達にためにも、頑張っててっぺん行こう!」
69 = 10 :
アカン
70 = 1 :
******
事務所の空気が悪くなっていく中、
事務所内の人間は、トップに立つことだけが問題解決の唯一の手段、
そして、共通の希望となっていた。
だが、そんな中でも着実に頂点へと登っていった。
各TV局の音楽賞を総なめすると、年の瀬の歌合戦に歌手、また応援団として出場し、
年明けの5大ドームツアーも大成功のうちに収めるなど、名実共にトップアイドルとなった。
ドーム最終公演である、東京ドームのラストで歌った「i」はファンにとっても、
そして765プロの全員にとっても深く突き刺さるものになった。
71 = 1 :
夢にまで見たトップアイドル。遂に頂上に到達した。
てっぺんから見えた景色は、今までの苦労を全て吹き飛ばしてくれた。
かつて、憧れていた場所に立っている彼女たちは、全員が輝いていた。
765プロに過ごしていた中で、どの時が最良の瞬間だったか、と聞かれると、
間違いなくこの瞬間を答えるだっただろう。
全員の夢であったトップアイドルになれたことに狂喜乱舞し、
今までの苦労に涙しながら、今の喜びを噛み締めて合っていた光景は、
今思い出すだけでも涙が出てくる。
この痛々しいほどの高揚感は、苦労を共にした仲間でなければ分からないだろう。
トップに立ってからというもの、毎日が充実し、律子との対立も、しばらくは止むようになった。
いつまでもこんな日々が続けばいい、それだけを願うようになった。
だが、崩壊への足音が音を立てて近づいていた。
72 = 1 :
>間違いなくこの瞬間を答えるだっただろう。
間違いなくこの瞬間を答えるだろう。
に修正。
74 :
山田悠介先生ですか
75 :
>>74
ちょっと思った
76 = 1 :
765プロの分裂が決定的になった年は、
765プロ所属のアイドルを取り巻く状況が、目まぐるしく変化した年だった。
春香や千早の大学卒業、
やよいの大学入学、
千早の音楽留学のための渡米、
学業優先による伊織の活動縮小、
そしてなによりも、あずささんが婚約……
最悪にも、それらが一気に重なってしまった。
こればっかりは、仕方ないとしか言いようがないのだが、重なることが多すぎた。
これまで少なかった律子との口論も次第に増していった。
78 = 66 :
>>74
言われてみれば、端々に出てくる反復感……
79 = 1 :
彼女たちは、自分のせいだと口々に言い、責任を重く感じていたが、
俺は彼女たちを励まし、自分の道に進むよう説得した。
P「道はひとりひとりあるものなんだ。全員が同じ道を通るわけではない。
だから、自分の道を歩んで行け。」
あずささんの婚約・引退により、竜宮小町の解散が決まった。
最初から手がけてきた律子にとって、竜宮の解散は相当なダメージだったに違いない。
あずささんの婚約発表を巡っては、俺と律子との間で激しい言い争いとなった。
彼女たちには、特に当事者であるあずささんには、とても動揺させてしまっていたことだろう。
社長の仲裁によって事態は収束したが、出鼻をくじかれた律子との関係は最悪なものとなった。
80 :
あずささんが・・・26?
自分の幸せを追い求めてもいいんじゃない
81 = 1 :
ついに、この内部抗争がマスコミにも知れ渡ることになる。
週刊誌はこぞって根も葉もないゴシップ記事を掲載し、
テレビのワイドショーも格好のネタだと言わんばかりに連日報道していた。
ネットではアイドルや事務所に対するバッシングが日に日に増大し、
某有名掲示板ではアイドルに対する犯行予告まで書き込まれるようになった。
激しく動揺する彼女たちに、ただの面白半分だから
心配することは無いということを伝えたが、動揺は収まることはなかった。
83 = 1 :
年の瀬の歌合戦、そして年明けの5大ドームツアーに向けて一日一日と近づくにつれて、
彼女たちの結束は強まっていったが、
崩壊の足音は止むことなく、音を大きくしながら近づいてきた。
必死に崩壊を止めようとしたが、それは叶うことはなかった。
あずささんが引退を発表したドームツアー最終日、その翌日に律子は事務所を辞めた。
竜宮の存在こそが、彼女が765プロにいる理由だと感じた俺にとっては
それほど大きな驚きではなかった。
だが、765プロの次世代のアイドル候補生を引き連れて、
新事務所を立ち上げたことには、俺や社長だけではなく765プロ全員が衝撃を受けた。
86 = 1 :
社長「まさか、律子君がこんな大それたことを計画していたとね……」
P「はい……。チーフ・プロデューサーとして、
アイドルを総括していながらこんな事態になってしまい、申し訳ありません……」
社長「まぁ、竜宮小町が活躍することが律子君の生きがいのようなものだったから、
竜宮が解散すればいずれこうなるだろうとは思っていた。
だが、君も甘かったね。
今のアイドルたちをあまりにも重視し過ぎた。その結果がこれだよ。」
P「……」
社長「まぁ、これが君の言う究極の答えなのかもしれない。
彼女たちはトップアイドルになった。また、各々の道に進むことが出来た。
私たちは、彼女たちをまがいなりにもトップアイドルにするという、夢を成し遂げた。
そして、律子君も事務所経営という夢を成し遂げた。
彼女に従った、次世代のアイドルたちも、きっと新しい事務所で自分の夢を叶えていくだろう」
89 = 1 :
P「……私には、そうは思えません。」
社長「ハッハッハッ!君も意固地な男だねぇ。」
P「……」
社長「……律子君が抜けた穴は埋めようもないだろう。
それに、765プロに対する風当たりはかつてないものとなっている。
正直、これから先はどうしようもならん。
ますます崩壊していくのか、それとも踏みとどまるのか……
まぁ、私はこの様だ。
いつまで、君たちの活躍を見届けるかは分からん。
……あとは頼んだぞ。」
******
だが、社長との約束は、瞬く間に空手形となってしまった。
メンバーの大量離脱という大きすぎる衝撃に、
765プロは耐え切ること出来ず、ついにメンバーは四散してしまった。
90 :
ふむ
91 = 1 :
あるものは765プロから離脱し、
またあるものは律子の事務所に合流し、
またあるものは芸能界から引退した。
その上、調子が悪かった社長の様態は悪化の一途をたどった。
765プロの崩壊がよほど身に堪えたのだろう。
面会すら出来ない日々が続いた。
93 = 1 :
結果的に、律子の独立が765プロ崩壊に繋がったが、
元々彼女たちは自分の信ずる道に向かって進んでいた。
だから、765プロという殻から脱皮し、
それぞれの目指す場所へと向かったという言い方のほうが正しいのかもしれない。
ただ、765プロから人の姿が無くなった。
わずかに残ったアイドルたちも崩壊して半年後にはそのほとんどが姿を消し、
社長もこの年の暮に亡くなった。
喧騒としたあの光景は、ここにはもうない。
94 :
ハーレムで仕事もバンバン捌いてなんて面白くないよね
残ったのも春香だけか
95 = 80 :
律子の事務所はやっていけてるのだろうか・・・
96 :
アイドルたちも崩壊っていうのは
解散とか引退って意味?
97 = 1 :
******
女「何コーヒー飲みながら物思いにふけっているんですか?」
P「いや、昔のことを思い出してだな……」
女「もしかして、まだ答えを探し続けているんですか?」
P「……ああ。」
女「ですけど、『自分の進むべき道を歩んで行け』って自分で言ってましたよね?」
P「ああ。だが、もしあのとき律子の言うとおりにしていたら、
今の状態にはならなかったんじゃないかと思うときがある。
もし、律子と対立することなく無事平和に過ごせていたら、
少なくともあずささんの引退を律子の言うとおりにしていたら、
今でもこの事務所は賑やかで、笑いに満ちていたんじゃないか、と。」
98 :
やっぱりあずさって糞だわ
100 = 1 :
女「けど社長?それってあまりにもエゴな考え方じゃないですか?」
P「エゴ?」
女「確かに、律子さんの言うとおりに事務所優先に事を進めていれば、
事務所崩壊にならなかったのかもしれません。
けれども、事務所に縛られたアイドル達は上手く羽ばたけると思いますか?」
P「……」
女「もし、その状態で上手く羽ばたけたとしても、
その先に待つのは内部崩解という結果のみです。
自分のやりたいことさえも出来ずに、ただ事務所に従うだけなんて、誰が望みますか?」
P「……」
女「それに、事務所を優先してばかりいたら。
自分の道すら見つけられず、路頭に迷うことになっていたと思います。」
P「……」
女「けれども社長は彼女たちの道をナビゲートしてくれました。
私を含め、全員の進むべき道をあなたは指し示してくれました。」
P「……」
女「だから、これ以上責任を自分だけに押し付けることなんてやめて、悩まないでください……」
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