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    元スレ春香「あれから10年も経つんですね……」

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    タグ : - 次スレ→1354450860 + - 765プロの崩壊 + - あれから10年シリーズ + - アイドルマスター + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

    沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす。

    奢れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。

    たけき者も遂には滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ―――――



    「……」ずずっ

    不意に平家物語の冒頭が浮かんできた。

    俺は一人、事務所のデスクに座り、先程淹れてもらったコーヒーを飲んでいる。


    あれほど騒がしかった事務所も、今では閑散とし、聞こえるのは道路を走る車の音と、

    下の階にある、たるき亭からの音だけが聞こえた。

    2 :

    あぁ、はい書かなくていいです間に合ってるんであっちに行ってください

    3 = 1 :

    亜美や真美がこの事務所の中を駆け回っていた時のこと、

    雪歩がところ構わずシャベルで穴を掘っていたこと、

    響がハム蔵を探し回っていたこと、

    伊織と真が毎日言い合いをしていたこと、

    そして、765プロ全員が、毎日笑い合っていたこと……

    全てがとても懐かしく思い出される。





    だが今は、彼女たちはいない。社長もこの世から去ってしまった。

    いるのは、俺と事務をしている女性だけだ。

    4 :

    P「アイドル達は売れなくなってAV出演、事務所は火の車…」

    5 = 1 :

    ******

    ガチャ

    「社長。お茶請けにお砂糖たっぷりのドーナツでもいかがですか?」

    そう彼女が言うと、ドーナツが3つ入ったカゴを差し出してきた。

    P「ああ、ありがとう」パクッ





    とても懐かしい味がした。

    在りし日に、彼女が作ってくれたドーナツと変わらない味だった。

    あれから10年も経つというのに、未だ変わらない、とても甘いドーナツだった。

    P「10年か……」

    そう、ポツリと呟いた。

    6 = 1 :

    ******


    10年前、俺はこの765プロに入社した。

    大学4年生の時、いきなり現れた社長から言われたあの一言によって、

    俺の進む道は決まった。

    もっとも、教師を目指していた俺にとって、どうでもいい話の一つだったが、

    何故か頭の中を離れなかった。

    それからというもの、教師になるという夢は日に日に薄れ、

    教員採用試験の勉強も捗らなくなり、

    そしてついに、アイドルのプロデューサーになることを決意した。



    そのことを両親に話した際は酷く怒鳴られはしたが、

    根負けしたのか最後には許しを得た。



    意志薄弱だった俺が、初めて自分の意志を最後まで押し通し、

    成し遂げた瞬間でもあった。

    7 = 1 :

    「ティンときた」



    そう言って、社長が俺にプロデューサーとしての素質を感じてくれたように、

    俺もプロデューサーという仕事に対して、何よりもこの765プロに対して、

    何かしらの希望というものを見出していたのかもしれない。

    8 = 1 :

    当初は、皆駆け出しのアイドルで、自分の夢へと突き進んでいた。

    この俺も例外ではなく、彼女たちをトップアイドルにする、という夢を抱いて、

    日々営業活動に勤しみ、一歩一歩、着実に前へと進んでいた。



    律子に負けじと思うあまり、空回りし、周囲に迷惑をかけっぱなしだったが、

    彼女たちをいち早くスターダムにのし上げるために、俺は必死だった。



    そんな俺の必死さが彼女たちに伝わったのか、

    皆、一生懸命にやるようになった。





    社長の宣伝や実行力、音無さんの献身的なサポート、

    律子のプロデュースにかける情熱、

    そして彼女達の精一杯の頑張りのお陰で、次第に名が知れ渡るようになった。

    9 = 1 :

    もし、アイドルという山があるとすれば、そのてっぺんに向かって、

    彼女たちは、そしてこの俺も含めた765プロ全員が、

    それだけを見つめて駆け上がっていった。





    アイドル戦国時代という厳しい時代の中、

    名だたるアイドルとの戦いに勝ち、ついに頂点へと達した。



    そこから見えた景色というものは、生涯忘れることはない。

    皆が、頂点に立てたことに狂喜乱舞し、今までの苦労に涙しながら、今の喜びを噛み締めていた。

    この痛々しいほどの高揚感は、苦労を共にした仲間でなければ分からないだろう。

    11 = 1 :

    765プロも順調に拡大していき、オリジナルメンバー以外にも、

    大勢のアイドルを擁するようになった。


    そこには、もはや過去の弱小プロダクションとしての姿はなく、

    新進気鋭の有名プロダクションとして成長していた姿だけがあった。



    だが、すべての物事に始まりがあるように、必ず終わりもある。

    その始端となるきっかけが、既に起きていたのである。

    12 :

    支援は紳士のつとめ

    13 = 1 :

    ことは9年前、真や雪歩達が高校3年生の時である。

    既に山を登り始め、頂点に向けて進んでいた時期であったが、

    それよりも彼女達は受験生であった。



    ******



    雪歩「真ちゃん、進路決めた?」

    「う~ん、僕はまだ決めてないかな。そう言う雪歩は?」

    雪歩「私もまだなんだ。でも、皆が頑張っているなかで、
       自分だけやらないわけにはいかないし、やっぱり進学は諦めようかな……」

    「そうだよねぇ……。でも、雪歩は頭いいのに、大学行かないのは勿体無いよね。」

    雪歩「そんなことないよ。真ちゃんと変わらないよ」

    15 = 1 :

    ガチャ

    「おはよう、雪歩と真。」

    「……おはようございます、プロデューサー。と、春香」

    春香「おはよう! 雪歩ちゃんとまことちゃん!」

    「なんだか二人共、浮かない顔しているけど、何かあったのか?」

    雪歩「実は、進路のことで悩みがあって……」



    そう言うと、雪歩と真は進路についての悩みを打ち明けてくれた。

    「なるほど……。大体の事情は分かった」

    「で、プロデューサーはどうしたらいいと思いますか?」

    16 :

    17 = 1 :

    「そうだなぁ……。大学通いながらでもいいんじゃないか?」

    「ホントですか!?」

    「うん。都内やその近郊の大学ならそれほど遠くもないし、
     十分に学生とアイドルを両立出来ると思うよ。ただ……」

    「ただ、なんですか?」

    「その……何というか行ける大学がなぁ……」

    18 = 12 :

    支援は紳士のつとめ

    19 = 1 :

    「ほら、雪歩は男性恐怖症じゃないか。
     と言うことは男女共学の大学は選択肢から自動的に排除されるし、
     残るは女子大だけとなる。」

    「まぁ、そうですよね」

    「けど、都内近郊にある女子大は軒並みレベルが高い。
     下手な中堅大学よりレベルが高い。」

    「へぇ……。でも、雪歩なら大丈夫ですよ!ね、雪歩?」

    「そうなのか?」

    雪歩「多分、だいじょうぶですぅ。この前の模試の成績表なんですけど……」

    (!!!!!)

    雪歩「……あのぅ、無理なんでしょうか?」

    「すまんすまん、いやビックリした。俺は、模試でこんな点数は取ったことないから驚いたよ。」

    20 = 1 :

    春香「私にも見せて~」ペラッ

    春香(!!!!!)

    春香「雪歩ちゃん凄い!。偏差値60台とか私にとって、雲の上の人だよ!天上人だよ!」

    雪歩「そんなことはないですぅ。」

    「真はどうなんだ?」

    「そうですねー、まぁ雪歩ほどではないですけど、60手前を行ったり来たりですかね。」

    「57,8か……。志望校は雪歩と同じ?」

    「出来ればそうしたいんですけど、行けますかね?」

    「ここまで出来るのなら、そう難しくはないだろう。正直、雪歩以上に驚いたよ……」

    「僕だって、勉強は出来るんですよ。
     そりゃあ、男っぽい性格からしてガサツで、
     勉強しないと思われてるかもしれませんけど――」クドクド

    21 = 12 :

    支援は紳士のつとめ

    22 :

    うっうー…うっうー…う

    23 = 1 :

    「ああ、これは手に負えないな。ところで、春香は進路どうするんだ?」

    春香「私ですか?地元の竹取大学にいこうかなぁ~なんて……」

    「地元の国立か……。で、今の偏差値は?」

    春香「45です……」

    「」

    春香「お恥ずかしい……」

    「ま、まぁまだ春香は2年生なんだし、これからやっていけば十分間に合うよ。」

    雪歩「そうだよ春香ちゃん。諦めたら終わりだよ」

    24 :

    別に批判するわけじゃないけど 一般論として やっぱ呼称間違いって萎えるよね
    別に呼称間違るくらいたいしたことないしミスとも言えないんだけど 急に萎えるよね
    俺の作品を筆頭に名作と呼ばれるssは作品内の事情がない限り呼称は原作通りだったし

    25 = 22 :

    見れるかな

    26 = 12 :

    多少のミス致し方な支援

    27 = 1 :

    春香「うぅ……ありがとう。ちなみにプロデューサーさんの出身校どこですか?」

    「俺か?俺はだなぁ……学芸大だ」

    春香「ガクゲイダイ? 美術系の大学かなんかですか?」

    「それは、芸術大学だ。俺は学芸大。教育系の大学と言ったほうがいいかな」

    雪歩「先生を目指していたんですか?」

    「いや、違う。俺の入った学科は教養系だったから、先生になるつもりはなかった。
     だけど、親がしつこく言うから、最終的には教員課程を取ってその方向になった。
     まぁ、今はプロデューサーだけどな。」

    春香(プロデューサーさんの母校に言ってみたいかも……。
       そうすれば、先輩後輩の関係に……。えへへへへへ////)

    28 :

    東京学芸か?

    29 :

    テストはチャット相談会の春香に希望はない

    30 = 1 :

    「まぁ、春香はこつこつとやっていくしかないな。」

    春香「決めました!!!」

    「なんだ、いきなり」

    春香「私、学芸大に行きます!!」

    「はい?今、竹取に行くとか言ってなかったか?」

    春香「いやだなープロデューサー。
       可愛い春香ちゃんが後輩になるのかもしれないんですよ?
       もっと、喜ばなきゃ!」

    「後輩って……」

    春香「とりあえず、進路実現に向けて頑張ります!ファイトー、おー!!」ビシッ

    P・雪歩「「おー……」」

    「――なんです。わかりました?……って、なんで3人共拳を突き上げているんですか?」

    (こいつ、話が聞こえていなかったのかよ)

    31 :

    >>25
    亜美真美はごく一部を除いて私とは言わん・・・

    32 :

    涼ちんちんぺろぺろ

    33 = 1 :

    ******

    当然、本人に進学の意志があれば、それを尊重しなければならない。

    事務所がどんな状況下でも、それは守らなくてはならない。俺はそう思っていた。

    だからこそ、雪歩や真、春香、そして他の皆の進路実現を誰よりも応援していた。



    だが、本人たちの意志を優先させるということは、

    結果的に事務所のことを軽視していたということになったのかもしれない。

    34 = 22 :

    かっこしてあるじゃん…

    35 = 31 :

    >>34
    例外っていってもほぼゼロだから誤解を招きそうでな・・・
    スレチな話で申し訳ない

    36 = 22 :

    この話題は不毛なのでやめよう…

    37 = 1 :

    この頃から、社長の具合は悪化していった。

    対立する961プロとの戦いで、心労が溜まったのだろう。

    765プロが上に上がるにつれて、961プロからの妨害行為がエスカレートしていた。


    そしてまた、事務所の方針をめぐって律子と対立するようになった。




    少しずつ、765プロが分裂を始めていた。

    しかし、俺は気付いていなかった。いや、気付けなかったのかもしれない。

    38 = 31 :

    お詫びに支援

    39 = 1 :

    ******

    律子「プロデューサー殿、ちょっといいですか?」

    「なんだ、律子」

    律子「プロデューサー殿は、とてもあの子たちのことを思ってくれていると思うんです。
       そのことはとっても良いことなんです。」

    「当然じゃないか。プロデューサーだから、どんな些細なことでも相談に乗って、
     少しでも彼女たちの不安を取り除くのが仕事のようなもんじゃないか。」

    律子「それはそうなのですが……
       プロデューサー殿は765プロのプロデューサーであられますよね?」

    「まぁ、給料を頂いている以上はそうなるわな。」

    律子「であるなら、もう少し事務所的なことも考えて頂きたいというかですね……」

    41 = 1 :

    「???」

    律子「その……凄く申し上げにくい事なんですが、
       彼女たちの進路について少しだけ、ほんとに少しだけ考え直してくれないかなぁ、と」

    「大学に行ったら悪いのか? 
     都内に近い場所なら通いながらでも、活動できると思うんだが」

    律子「いえいえ、大学行くのは結構なんです。ですが、その……ですね……
       通信制の大学があるのは御存じ……ですよね?」

    「ああ、勿論知っているが?」

    律子「出来れば、そちらの方を勧めていただけないかなぁ、と……」

    「なんで、通信なんだ?
     ちゃんと行ける学力があって、本人たちが行きたいと言っているんだから、
     本人の意思を優先させてあげるべきなんじゃないか?
     しかも、国立の女子大だぞ? 雪穂にとっては願ったり叶ったりの話じゃないか。
     それを何で、通信なんかに進路変更させる必要があるんだ?」

    42 = 1 :

    律子「……。プロデューサー殿は、これから彼女たちをどうしていこうと思いますか?」

    「どうって……そりゃあ、トップアイドルに決まっているじゃないか」

    律子「じゃあ、なんで授業で予定が潰れるような大学を勧めるんですか!
       これから、どんどん予定が増えて、忙しくなっていく中で、
       なんで、わざわざ普通の大学に行かせるんですか!!」

    「律子、そう怒るな。冷静になってみろ。」

    律子「私は何時も冷静です!
       大体、何で事務所が大きく跳躍しようという時に、彼女たちを優先するかなぁ……」

    43 = 31 :

    ふむ

    44 = 1 :

    「!!!
     律子、その言葉は聞き捨てならないぞ!」

    律子「一般論を申し上げたまでです。」

    「大体、さっきから事務所、事務所って、そんなに事務所を優先するべきなのか?
     実際に活動している彼女たちの意思は黙殺されるものなのか?」

    律子「……。すみません、言いすぎました……」

    「……」

    律子「ただ、プロデューサー殿もよくよく考えていて下さい。」
       事務所にとって彼女たちの意向だけを優先させることが本当に良いのか、
       事務所に携わる一員として……」

    45 = 1 :

    ******

    雪歩や真から相談を受けた時から、10ヶ月後、無事二人は志望の大学に合格した。
    合格を報告してきた時の真の顔ときたら、泣きじゃくっいて、いつもの王子様の顔ではなかった。
    一人の女の子のような顔で、雪歩と嬉し泣きをしていた。

    正直言うと、女の子の真は眩しいぐらいの可愛さだった。



    そして、それから1年後、今度は春香がや千早、そして響が大学に進んだ。

    千早はアポロ・シアターでいつか歌うため、響は獣医になるためだそうだ。

    ******

    「春香、よくがんばったな。」ナデナデ

    春香「えへへへへ/////」テレテレ

    47 = 1 :

    「しかし、学科専攻まで同じとは……」

    春香「まぁ、もともと日本史は得意でしたからね。」

    「しっかしなぁ……。」

    「私も頑張ったぞ!」

    「ああ、響も凄い。
     いぬ美たち家族のために、獣医になる夢を実現させようとするなんて、凄いよ」

    「えっへん!」

    「そして、千早もな」ナデナデ

    千早「///」

    「けれども、何で外大なんだ?
     外国でも活躍したいから外大、というのは分かるんだが、
     それよりも声楽を本格的に習った方がいいと思うんだが……」

    千早「プロデューサー、外大をただ外国語を習うだけの大学とお思いになってません?」

    49 = 12 :

    支援は紳士のつとめ

    50 = 1 :

    「いや、まあそんな大学だと思っている。」

    千早「名前が、名前だけにそう誤解している人が多いと思っているんです。
       ですけど、実際は違います。
       もし、外国語を習う場所だけであれば、学習塾で間に合っているじゃないですか」

    「ふむふむ」

    千早「外国語、いいえ現地で使われている言語を通じて、
       その言葉の背景にある文化、歴史を学ぶそんな場所でもあるのです」

    「ほうほう」

    千早「外国で活躍するためには、確かに外国語も、声も重要です。
       ですが、言語の背景を知らずして、歌ってもその現地の人の心には響かないと思うのです。
       歌うのであれば、出来れば地球上のどこであっても、心の奥底に届くような歌を歌いたい……
       だから、私は外大に進みました。」

    「なるほど……
     いや、実に千早らしいというか……うん、歌のためにそこまでする千早の情熱は凄いとしか言えないよ」

    千早「////」


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