元スレ男「仔犬? 捨て犬か……」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
152 = 1 :
――――――――――
犬「ご主人、ご飯もういらないです。」
男「どうした? 腹減ってないのか?」
犬「なんだかだるいのです。食欲もありません。」
男「無理に食えとは言わんが……食べないと元気も出ないぞ?」
犬「半分くらいは食べました。」
男「じゃあ、皿はそのままにしとけ。残りは食う気になったときに食え、な?」
犬「あい……」
154 :
かわいい
かわいい
155 = 1 :
犬「カッ……コハァ! おぷ、おろろろ――」
男「おい!? 大丈夫か?」
犬「ごめんなさい……床を汚してしまいました。」
男「そんな事はいい。どこか痛いとか、苦しいとかないか?」
犬「大丈夫です、もう一回食べます。すぐに綺麗にします。」
男「お前はもう休め。片付けは俺がやるから。」
犬「でも……」
男「ご主人様の言う事を聞きなさい。」
犬「あい。」
156 = 1 :
――――――――――
男「小梅? 調子はどうだ? 辛いならお医者さん連れてくぞ?」
犬「もう大丈夫です。なんともないです。」
男「ホントに大丈夫か? 我慢なんかするなよ?」
犬「お腹が空きました。昨日の残りを食べてもいいですか?」
男「ん、ああ。足りなかったら言えよ。」
犬「今日のご飯は今日のご飯でまた食べるのでいいです。」
男「そうか。小梅は偉いな。」
犬「小梅は偉い子です。だから、なでなでしてもらえるのです。」
男「ちゃっかりしてんな。」
157 = 59 :
鬱の気配
158 = 1 :
――――――――――
そうです小梅は偉い子です
そんなに賢くないけど偉い子なんです
だからきっと神様がごほうびをくれたのですね
ご主人様はびっくりするでしょうか?
でも、ご主人はきっとその後に小梅を褒めてくれます
もうおねーさんにご主人様をとられる心配もないのです
内緒にしていた方がいいのでしょうか
やっぱり言いましょう
ご主人様に早く喜んでもらいたいですから
160 = 144 :
>>847
嘘乙
161 :
お、おう
163 :
164 = 1 :
――――――――――
犬「ご主人様、小梅のお腹を見てください。」
男「どうしたんだ急に?」
犬「小梅のお腹はぽっかぽかですよ。」
男「そうだな……ん? お前、少し太ったか?」
犬「えへへ……ご主人様は男の子と女の子、どっちがたくさん欲しいですか?」
男「なに?」
犬「小梅は半々がいいと思っています。」
男「お前……一体どうして?」
犬「きっと、みんなご主人に似て物知りな子供達ですよ。」
男「俺の子だって言うのか?」
165 = 154 :
えっ
166 :
小梅からただようヤンデレ臭
167 :
ああはい
170 :
犬「小梅が良い子にしてたから、神様が手伝ってくれたのです。」
男「そんなバカな……」
犬「ご主人は嬉しくないのですか?」
男「いや、信じられな――」
犬「信じられないくらい感激ですか!?」
男「まいったなこりゃ……」
犬「小梅は頑張って元気な赤ちゃんを産みます。」
男「産むって、お前……」
犬「だからご主人も小梅を大切にしてくださいね。」
男「ああ……そうだな。」
171 :
男はど変態なの?
172 = 170 :
――――――――――
半「やれやれ、面倒なことになっているな。」
男「俺は何もしてないぞ?」
半「はて、どうだかな?」
男「確かに俺は初恋がモーキー・フラグルってくらい生粋のケモナーだが、分別はある!」
半「冗談だ。それに人間と犬だ、コトに及んだとて結実しまい。」
男「及んでねえし!」
半「なにか、他に考えられるのは……?」
男「他って言っても、発情期間中は特にしっかり他との接触は避けていたしな。」
半「そうだな。接触は無かった。それは私も保証しよう。」
173 = 170 :
男「おかしなこともあるもんだな。まあ、他人事じゃないんだが……」
半「まさか本当に神からの賜り物だと?」
男「んなワケあるか。そもそも俺は無神論者だ。」
半「それはあまり関係が無いように思うがね。」
男「明日病院に連れていく。」
半「連れていってどうする? 処分すると言うのか?」
男「馬鹿言え! もし本当に身籠ってるなら、まとめて面倒を見てやるよ。」
半「こ奴は本当に果報者だな。こんな素晴らしいご主人様が居るのだから。」
174 = 170 :
――――――――――
医「偽妊娠ですね。」
男「じゃあ、本当に妊娠しているわけではないんですね?」
医「人間で言えば想像妊娠みたいなものです。」
男「原因って、なんなんですか?」
医「いえ、犬にはよくあることですよ。もちろん個体差もありますが。」
男「どうすればいいんでしょう?」
医「非発情期に入ってしばらく経てば自然と収まります。」
医「繰り返すようであれば、避妊手術で回避はできますが……」
男「……経過を見ようと思います。」
178 = 170 :
犬「ご主人様? さっき、お医者さんと何を話してたんですか?」
男「ん、赤ちゃんが健康かどうかを話してた。」
犬「小梅の赤ちゃん達はきっと元気ですよ。」
男「うん、そうだな。」
犬「赤ちゃんを産んで、ちゃんと育てて、小梅はもっともっと偉い子になります。」
男「これ以上偉くなったら、どう褒めていいのか分かんないぞ?」
犬「いいんです! ご主人が一緒にいてくれたら小梅は嬉しいです。」
179 :
犬も想像妊娠するのか…
180 = 170 :
――――――――――
犬「ご主人、おちちが張ってきました……」
男「みたいだな……痛くないか?」
犬「ちょっと痛いです。でも、なんだか嬉しいのです。」
男「辛かったら言うんだぞ?」
犬「はうー……床が冷たくて気持ちいいです。」
男「あのさ、子供のことなんだけどな……」
犬「あい! はやくおっぱい飲ませてあげたいですね!」
男「……あ、うん。」
182 = 170 :
――――――――――
半「浮かない顔だな。」
男「本当のことを言った方がいいのはわかってるんだけどな。」
半「なまじ疎通ができるが故の苦悩か。」
男「俺はどうしたらいいと思う?」
半「私は主人に意見するほど、不作法ではないつもりだ。」
男「参考にするだけだ。」
半「正直なところ、どうするのが正しいの見当もつかぬよ。」
男「落胆するのは目に見えてる。それが早いか遅いかの差だ。」
半「告げれば今すぐに、黙っていれば自ら気付いて傷付く。か?」
184 :
いいなあこれ
185 = 170 :
半「先代の飼い犬の時はどう対処したのだ?」
男「紅梅号は蓄膿やってな。子宮取っちまったからこんなことは起きなかった。」
男「それに、お前や小梅みたいに会話できてたわけでもない。」
半「飼い主の子を孕むなど厚かましいにも程がある。と、一蹴してみては?」
男「そんなことできるわけないだろう。」
半「仮にも私の主人なのだから、もっと毅然としていて欲しいものだ。」
男「情けない主人ですまんね。」
半「まあ、そちらの方が親しみが持てるのだがな。」
男「はぁ、決めあぐねてるのは黙ってるのと一緒だよな……」
186 = 171 :
もう本当に作っちゃえよ
187 :
わふ
188 = 170 :
半「ところでだ、乳が張って苦しいのは私も同じなわけだ。」
男「身体は共用だもんな。何か冷やすもの持って来てやろうか?」
半「もっと良い対処を思い付いたのだが……」
男「何だ?」
半「簡単な事だ。吸ってみてはくれないか?」
男「馬鹿言うんじゃねえよ。」
半「私はいたって真面目だ。」
男「情けない主人かもしれないが、分別も節度もあるぞ。」
半「よこしまな気持ちからではないよ。私も母親というものを体験してみたいのだ。」
半「まあ、それが主人の意に反することなら諦めるとしよう。」
男「…………」
190 = 170 :
――――――――――
犬「ご主人! 助けてください! 助けて!」
男「どうした? どこか痛いのか?」
犬「赤ちゃんが! 子供たちが消えてしまいます!」
男「落ち付け。」
犬「小梅のお腹、どんどんしぼんできてます!」
男「大丈夫、大丈夫だから。」
犬「ご主人様! 赤ちゃんを助けてください!」
男「おいで、抱っこしてやる。」
犬「……はい。」
191 :
本当に妊娠させる手も
192 = 170 :
男「落ち着いた?」
犬「ご主人……もう大丈夫です。」
男「今日はずっとこうしていようか。」
犬「小梅はダメな犬ですね。きっとバチが当たったんです。」
男「そんなことないよ。」
犬「ご主人を一人占めしようとして、悪い子だから神様が怒ったんです。」
男「違うよ。神様なんていないんだ。」
犬「でも……」
男「小梅はご主人様と神様、どっちを信じる?」
犬「それは……ご主人です。」
男「そのご主人様が居ないって言ってるのに、それが信じられないの?」
犬「はう……」
194 = 170 :
男「小梅。」
犬「はい?」
男「ヨシヨシ……」
犬「だめです。小梅はなでなでしてもらう資格なんてないんです。」
男「俺がしてあげたいと思ってるの! ご主人様に逆らっちゃダメ。」
犬「ふ、ふわぃ……」
男「ヨシヨシ。」
犬「はうぅ……うっ、うっ……」
195 = 170 :
――――――――――
私はもともと祭祀者が願望を叶える手助けする者
まあ、この犬はとても祭祀者とは言えないのだが……
とは言え、私がこれに憑いているのも事実
犬でもない、人でもない、生き物ですらない私だが
こんな私にも妹ができた
犬として主人に仕えることもできた
仮初めとはいえ、母の気持ちを味わうこともできた
久方ぶりにとても晴れ晴れとした気分だ
196 :
やったのかよww
197 = 169 :
最後の支援
寝る
198 = 170 :
本来は祭祀者の利益のため
対価として他者に不利益をもたらすものであるのだが
困ったことに今回は該当する相手というものが居ない
まあ、不利益なら自分が被れば良いだけの話だ
飢えと恨みの煮こごりのような私の魂では
大した対価にはならないかもしれない
だが、姉として妹にはできる限りのことをしてやりたい
実体があれば涙を舐めて拭うこともしてやれただろうに
なんとも不便なものだ
199 :
ふむ
200 = 170 :
私のご主人は神など居ないと言った
おそらくは全知全能のそれを指して言ったのだと思う
そういう意味では私も居ないと思っている
しかし、神と名のつくものならここに居るのだ
名が付くだけで全知全能には比ぶるべくもないが
小さな嘘をまことにすり替えるくらいはお手の物
ご主人様の驚く顔を見れぬのは残念だが
それは貸しということにしておくか
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