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元スレ奉太郎「千反田がラブレターをもらった?」
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奉太郎「あー、すまん。言い過ぎたな。
だが、本当に気になるところが分からないんだ。
参考までにお前が今までもらった他のラブレターはどんな感じだったのかも知りたいんだが」
俺の軽口が止まったのにほっとしたのか、
一度知られてしまったからもう隠す気がなくなったのか、
意外にも千反田はこの質問に快く答えてくれた。
える「そうですね、やっぱりわたしが一番気になるのは、
『思いを伝えることを許される人間でない』というところです。
こういった手紙をくださる方々は『直接言う勇気がないから』
と書いてくることが多いのですが……」
だが、本当に気になるところが分からないんだ。
参考までにお前が今までもらった他のラブレターはどんな感じだったのかも知りたいんだが」
俺の軽口が止まったのにほっとしたのか、
一度知られてしまったからもう隠す気がなくなったのか、
意外にも千反田はこの質問に快く答えてくれた。
える「そうですね、やっぱりわたしが一番気になるのは、
『思いを伝えることを許される人間でない』というところです。
こういった手紙をくださる方々は『直接言う勇気がないから』
と書いてくることが多いのですが……」
奉太郎「まあ、直接言う勇気のある男はそんなことしないな」
える「わたしは、思いを伝えることを許されない人なんていないと思います。
誰にだって権利はあるはずです」
奉太郎「しかし、相手の方はそう思ってなかったんじゃないか。
事実お前は旧家の娘だし、そこに向こうが引け目を感じたとか。
それに、文字どおりの意味が込められているかも分からん。
全体的に気取っているような文の書き方だし、
『面と向かって話もできない自分のような人間は、
本当なら思いを伝える権利はない』
というようなことでも言いたかったのかもしれない」
える「わたしは、思いを伝えることを許されない人なんていないと思います。
誰にだって権利はあるはずです」
奉太郎「しかし、相手の方はそう思ってなかったんじゃないか。
事実お前は旧家の娘だし、そこに向こうが引け目を感じたとか。
それに、文字どおりの意味が込められているかも分からん。
全体的に気取っているような文の書き方だし、
『面と向かって話もできない自分のような人間は、
本当なら思いを伝える権利はない』
というようなことでも言いたかったのかもしれない」
える「それはそうかもしれませんが……」
奉太郎「どっちにしろ、これっぽっちの手掛かりじゃ答えは出せん。
悪いが、お手上げだ」
える「そうですか……」
千反田はまだ納得できないといった様子だが、
こればっかりはどうしようもできない。
奉太郎「さすがにこの手紙しかないんじゃあな。
ふう。しかしこいつは読めば読むほど気取った文章だな。
毎回こんなのに対応するのは大変だろう」
奉太郎「どっちにしろ、これっぽっちの手掛かりじゃ答えは出せん。
悪いが、お手上げだ」
える「そうですか……」
千反田はまだ納得できないといった様子だが、
こればっかりはどうしようもできない。
奉太郎「さすがにこの手紙しかないんじゃあな。
ふう。しかしこいつは読めば読むほど気取った文章だな。
毎回こんなのに対応するのは大変だろう」
える「そうなんです。
特にこういった手紙をくださる方は大抵が知らない方ですので、
放課後呼び出されてしまったときなどはきちんと会ってお断りしなければいけないんですが、
一人で初対面の男の人に会うのはとても緊張してしまいます」
奉太郎「確かに気の進まん話だな。
いつもそんな風に断っているのか?」
える「はい。でも、何も知らずに会いに行くのは怖いので、
福部さんに相手はどういった方か聞いてから呼び出された場所に行きますね」
特にこういった手紙をくださる方は大抵が知らない方ですので、
放課後呼び出されてしまったときなどはきちんと会ってお断りしなければいけないんですが、
一人で初対面の男の人に会うのはとても緊張してしまいます」
奉太郎「確かに気の進まん話だな。
いつもそんな風に断っているのか?」
える「はい。でも、何も知らずに会いに行くのは怖いので、
福部さんに相手はどういった方か聞いてから呼び出された場所に行きますね」
奉太郎「ん?なぜそこで里志が出てくるんだ」
える「わたしの知り合いの中では福部さんが一番お顔が広いですから」
確かにそう、まったく自然なことだ。
ラブレターをもらったが相手の人となりは分からない。
そんなときに古典部の友人にしてデータベースを自認する里志にそいつがどういう奴かを尋ねてみるのも当然だろう。
冷静に考えれば当たり前のことだ。
だが俺は冷静ではいられなかった。
千反田がこんなにも他の男子生徒から人気があるという事実を突き付けられて動揺していたのかもしれない。
そしてその動揺の矛先を、あろうことか俺は千反田に向けてしまった。
える「わたしの知り合いの中では福部さんが一番お顔が広いですから」
確かにそう、まったく自然なことだ。
ラブレターをもらったが相手の人となりは分からない。
そんなときに古典部の友人にしてデータベースを自認する里志にそいつがどういう奴かを尋ねてみるのも当然だろう。
冷静に考えれば当たり前のことだ。
だが俺は冷静ではいられなかった。
千反田がこんなにも他の男子生徒から人気があるという事実を突き付けられて動揺していたのかもしれない。
そしてその動揺の矛先を、あろうことか俺は千反田に向けてしまった。
奉太郎「つまりお前は、普段は里志を頼っているのに、
こういう時だけ俺に相談してきたわけか」
自分でも驚くほどの冷たい声だった。
千反田がびくりと怯える。
える「い、いえ、わたし、そんなつもりは」
奉太郎「そんなつもりも何も、そういうことだろう。
俺を便利屋か何かとでも思ってるんじゃないのか」
える「そ、そんなこと……」
奉太郎「今回もいつも通り里志に相談してみろよ。
あいつならこの差出人の筆跡も分かるかもしれないぜ」
こういう時だけ俺に相談してきたわけか」
自分でも驚くほどの冷たい声だった。
千反田がびくりと怯える。
える「い、いえ、わたし、そんなつもりは」
奉太郎「そんなつもりも何も、そういうことだろう。
俺を便利屋か何かとでも思ってるんじゃないのか」
える「そ、そんなこと……」
奉太郎「今回もいつも通り里志に相談してみろよ。
あいつならこの差出人の筆跡も分かるかもしれないぜ」
最後に嫌みをもう一つ言い、俺は席を立った。
千反田は俯いたまま何も言わなかった。
俺もこれ以上は何も言わずに無言のまま部室を出た。
奉太郎「どうしてあんなことを言ってしまったんだ……」
その夜、俺は自室のベッドの上で激しい自己嫌悪に陥っていた。
本当にどうしてあんなことを。いや、理由など知れている。
勝手に動揺し、里志に嫉妬し、それを目の前にいた千反田にぶつけてしまった。
千反田は俯いたまま何も言わなかった。
俺もこれ以上は何も言わずに無言のまま部室を出た。
奉太郎「どうしてあんなことを言ってしまったんだ……」
その夜、俺は自室のベッドの上で激しい自己嫌悪に陥っていた。
本当にどうしてあんなことを。いや、理由など知れている。
勝手に動揺し、里志に嫉妬し、それを目の前にいた千反田にぶつけてしまった。
千反田と出会って以降、自分の省エネ主義が揺らいでいるとは思っていたが、
ここまで感情のコントロールが出来なくなってしまうことがあるとは。
やはり認めざるを得ないのかもしれない。
俺は千反田に他の奴とは違う特別な感情を抱き始めていることを。
奉太郎「……明日ちゃんと謝ろう」
そう決めたものの、一体今までどんな男が千反田に告白してきたのか、
今回は誰が差出人なのかをずっと考え続け、その日はなかなか寝付けなかったのだった。
ここまで感情のコントロールが出来なくなってしまうことがあるとは。
やはり認めざるを得ないのかもしれない。
俺は千反田に他の奴とは違う特別な感情を抱き始めていることを。
奉太郎「……明日ちゃんと謝ろう」
そう決めたものの、一体今までどんな男が千反田に告白してきたのか、
今回は誰が差出人なのかをずっと考え続け、その日はなかなか寝付けなかったのだった。
翌日の放課後、さてどうやって謝ったものか、
そもそも千反田は昨日あんなことがあったのに部室に来るだろうか、
とぐずぐず悩んでいると、ふいに後ろから声をかけられた。
摩耶花「折木、ちょっと来なさい」
さすがの俺も見たことのないほどの怒りを体中に漲らせている伊原と、
いつも通り困ったようににやついている里志がそこにいた。
まあ、大方千反田のことだろうと思い、おとなしく伊原について教室を出る。
もっとも逆らえるような雰囲気でもなかったわけなのだが。
人気の少ない階段の踊り場まで来ると伊原は俺の方へ向き直り、口を開いた。
そもそも千反田は昨日あんなことがあったのに部室に来るだろうか、
とぐずぐず悩んでいると、ふいに後ろから声をかけられた。
摩耶花「折木、ちょっと来なさい」
さすがの俺も見たことのないほどの怒りを体中に漲らせている伊原と、
いつも通り困ったようににやついている里志がそこにいた。
まあ、大方千反田のことだろうと思い、おとなしく伊原について教室を出る。
もっとも逆らえるような雰囲気でもなかったわけなのだが。
人気の少ない階段の踊り場まで来ると伊原は俺の方へ向き直り、口を開いた。
摩耶花「あんた、ちーちゃんに何したの」
思いのほか静かな声だ。
いきなり怒鳴られることも覚悟していたのでひとまず安心する。
奉太郎「千反田から何か聞いたのか?」
摩耶花「何よ、しらばっくれるつもり!?」
摩耶花、と里志が伊原を諌める。
珍しい光景だ。
感謝の意を里志に目で伝える。
思いのほか静かな声だ。
いきなり怒鳴られることも覚悟していたのでひとまず安心する。
奉太郎「千反田から何か聞いたのか?」
摩耶花「何よ、しらばっくれるつもり!?」
摩耶花、と里志が伊原を諌める。
珍しい光景だ。
感謝の意を里志に目で伝える。
里志「昨日僕らが部室に向かっていたら、部室から出てきた千反田さんとばったり会ったんだ。
そのときの千反田さんの様子がちょっと変でさ、もしかしたらホータローと何かあったのかと思ってさ」
摩耶花「ちょっとなんてもんじゃなかったわよ!」
里志「摩耶花、落ち着いて。
どうかなホータロー、何か心当たりはないかい?」
心当たりも何も、ほぼ間違いなく原因は俺だろう。
こいつらにはちゃんと説明をしておかなければ。
つい昨日自分勝手にあれだけの嫉妬心を向けた里志にも面と向かって説明しなければいけないのは
少々、いやかなり辛いところではあったが、俺は正直に部室で起こったことを話した。
そのときの千反田さんの様子がちょっと変でさ、もしかしたらホータローと何かあったのかと思ってさ」
摩耶花「ちょっとなんてもんじゃなかったわよ!」
里志「摩耶花、落ち着いて。
どうかなホータロー、何か心当たりはないかい?」
心当たりも何も、ほぼ間違いなく原因は俺だろう。
こいつらにはちゃんと説明をしておかなければ。
つい昨日自分勝手にあれだけの嫉妬心を向けた里志にも面と向かって説明しなければいけないのは
少々、いやかなり辛いところではあったが、俺は正直に部室で起こったことを話した。
摩耶花「折木、あんたって……」
里志「ホータロー……。うん、まあホータローらしいと言えばらしいのかな」
確かに自分でもどうかと思う話だが、
こうもはっきり第三者に言われるとさすがにダメージがある。
摩耶花「ちーちゃんがラブレターもらったことをふくちゃんには相談して、
折木には隠した理由、本当に分からないの?」
伊原がため息交じりに言う。
奉太郎「だからそれは、里志のほうが顔が広いから……」
里志「ホータロー……。うん、まあホータローらしいと言えばらしいのかな」
確かに自分でもどうかと思う話だが、
こうもはっきり第三者に言われるとさすがにダメージがある。
摩耶花「ちーちゃんがラブレターもらったことをふくちゃんには相談して、
折木には隠した理由、本当に分からないの?」
伊原がため息交じりに言う。
奉太郎「だからそれは、里志のほうが顔が広いから……」
里志「じゃあさ、もしホータローが誰か知らない女子からラブレターをもらったとして、
摩耶花と千反田さんだったらどっちに相談しようと思う?」
奉太郎「その二人だったら、まあ、伊原だろうな」
里志「うん。それはどうしてだい?」
奉太郎「別に大した理由はないが、ただ、なんとなく……」
里志「なんとなく、千反田さんには言いたくないよね。
ホータローがなんとなく普段から意識している千反田さんには、ね」
摩耶花と千反田さんだったらどっちに相談しようと思う?」
奉太郎「その二人だったら、まあ、伊原だろうな」
里志「うん。それはどうしてだい?」
奉太郎「別に大した理由はないが、ただ、なんとなく……」
里志「なんとなく、千反田さんには言いたくないよね。
ホータローがなんとなく普段から意識している千反田さんには、ね」
奉太郎「なっ……」
里志「そうだろ?普段ちょっと意識している異性にはあんまりこういうことは知られたくないよね。
こういう言い方はよくないけど、どうも思っていない相手の方が言いやすい。
その相手が、ホータローは摩耶花で、千反田さんは僕だった」
奉太郎「おい、どうしてそういう話になるんだ。
お前はどうなんだ、里志。
お前がラブレターをもらったらまず彼女の伊原に言うんじゃないのか?」
里志「そうだろ?普段ちょっと意識している異性にはあんまりこういうことは知られたくないよね。
こういう言い方はよくないけど、どうも思っていない相手の方が言いやすい。
その相手が、ホータローは摩耶花で、千反田さんは僕だった」
奉太郎「おい、どうしてそういう話になるんだ。
お前はどうなんだ、里志。
お前がラブレターをもらったらまず彼女の伊原に言うんじゃないのか?」
>>83
原作じゃ彼女までいったんじゃないの?
原作じゃ彼女までいったんじゃないの?
摩耶花「そりゃーふくちゃんとわたしの関係は『気になる』っていう段階じゃないもん。
あんたとちーちゃんの関係とは違うに決まってるじゃない。
それに、あんたのその理屈で言うとあんたはわたしの彼氏かなんかみたいになっちゃうわ。
気持ち悪いから、やめて」
奉太郎「ぐっ……」
里志「ちょっとは素直になりなよホータロー。
ま、それは千反田さんにも言えることなんだけど」
摩耶花「ちーちゃんももうちょっと自分の気持ちを自覚してたらこんなことは起きなかったのにねー」
あんたとちーちゃんの関係とは違うに決まってるじゃない。
それに、あんたのその理屈で言うとあんたはわたしの彼氏かなんかみたいになっちゃうわ。
気持ち悪いから、やめて」
奉太郎「ぐっ……」
里志「ちょっとは素直になりなよホータロー。
ま、それは千反田さんにも言えることなんだけど」
摩耶花「ちーちゃんももうちょっと自分の気持ちを自覚してたらこんなことは起きなかったのにねー」
なんだか言いたい放題にやられてしまっている。
俺の千反田への感情はそんなにも分かりやすかったのだろうか。
自分でも昨日ようやく自覚ができたくらいだというのに。
だがこうもはっきり言われてしまったからには、もう誤魔化すこともできないだろう。
奉太郎「ん、まあ俺は、千反田のことが、気になってはいる。
……だが、俺が千反田のことを、っていうのは、
お前たちいつごろからそう思っていたんだ?」
すると、またしても二人は呆れたような目をこちらに向けた。
いや、哀れみすら感じる。
なんだなんだ。せっかく勇気を出して自分の気持ちを認めようとしたというのに。
俺の千反田への感情はそんなにも分かりやすかったのだろうか。
自分でも昨日ようやく自覚ができたくらいだというのに。
だがこうもはっきり言われてしまったからには、もう誤魔化すこともできないだろう。
奉太郎「ん、まあ俺は、千反田のことが、気になってはいる。
……だが、俺が千反田のことを、っていうのは、
お前たちいつごろからそう思っていたんだ?」
すると、またしても二人は呆れたような目をこちらに向けた。
いや、哀れみすら感じる。
なんだなんだ。せっかく勇気を出して自分の気持ちを認めようとしたというのに。
摩耶花「ねえ、あんたほんとに気付いてなかったの?」
里志「まあ、いつからって聞かれたら、ずっと前から、っていうのが答えになるのかな。
千反田さんに対するホータローの態度は僕らに向けるものとは全然違っていたよ。
自分では気付いてなかったのかもしれないけどね」
奉太郎「そ、そうか……」
里志「ま、それもホータローらしいといえばらしいと言えるよ。
こういったことにはそれぞれ自分のペースがあるからね。
ホータローと千反田さんはそのペースが合ってると思うよ」
里志「まあ、いつからって聞かれたら、ずっと前から、っていうのが答えになるのかな。
千反田さんに対するホータローの態度は僕らに向けるものとは全然違っていたよ。
自分では気付いてなかったのかもしれないけどね」
奉太郎「そ、そうか……」
里志「ま、それもホータローらしいといえばらしいと言えるよ。
こういったことにはそれぞれ自分のペースがあるからね。
ホータローと千反田さんはそのペースが合ってると思うよ」
摩耶花「ちーちゃんには他にもっといい人がいると思うんだけどなー。
なんでこんな奴なんか……。
とにかく!ちゃんとちーちゃんには謝って許してもらいなさいよ!」
奉太郎「ああ。分かってる。これから部室に行くつもりだ。
千反田がいるかは分からんが」
そう。伊原の怒りは収まったが、千反田とのことは何一つ解決していないのだ。
伊原と里志にせっつかれながら、俺は祈るような気持ちで特別棟四階地学講義室の戸に手をかけた。
最悪のケースも想像していたが、あっけないほどすんなりと戸は開き、
ひとりぽつねんと窓際の席に座る千反田の姿が見えた。
なんでこんな奴なんか……。
とにかく!ちゃんとちーちゃんには謝って許してもらいなさいよ!」
奉太郎「ああ。分かってる。これから部室に行くつもりだ。
千反田がいるかは分からんが」
そう。伊原の怒りは収まったが、千反田とのことは何一つ解決していないのだ。
伊原と里志にせっつかれながら、俺は祈るような気持ちで特別棟四階地学講義室の戸に手をかけた。
最悪のケースも想像していたが、あっけないほどすんなりと戸は開き、
ひとりぽつねんと窓際の席に座る千反田の姿が見えた。
千反田が入口に立っている俺たちに気付く。
すでに半分泣いているような顔で俺を見る。
いかん。早く何か言わなければ。
伊原が後ろから俺を小突く。
奉太郎「あー、千反田、昨日は悪かった。
昨日はちょっと気が動転してて……」
える「はあ……」
千反田は俺が何を言っているのかよく分かっていないようだ。
無理もない。千反田にしてみれば俺がなぜ昨日いきなり怒り出したのかも分からないのだから。
すでに半分泣いているような顔で俺を見る。
いかん。早く何か言わなければ。
伊原が後ろから俺を小突く。
奉太郎「あー、千反田、昨日は悪かった。
昨日はちょっと気が動転してて……」
える「はあ……」
千反田は俺が何を言っているのかよく分かっていないようだ。
無理もない。千反田にしてみれば俺がなぜ昨日いきなり怒り出したのかも分からないのだから。
奉太郎「ああ、言葉が足りなかったな。つまり、俺は昨日……」
摩耶花「ああもう!はっきりしないわね!
あのねちーちゃん、こいつは昨日、
ちーちゃんはいつもラブレターもらったときにふくちゃんに相談してたって知って、
それでふくちゃんにやきもち妬いてちーちゃんに八つ当たりしたの!
だからちーちゃんが気に病む必要はまったくないのよ。
全部このバカのせいなんだから!」
摩耶花「ああもう!はっきりしないわね!
あのねちーちゃん、こいつは昨日、
ちーちゃんはいつもラブレターもらったときにふくちゃんに相談してたって知って、
それでふくちゃんにやきもち妬いてちーちゃんに八つ当たりしたの!
だからちーちゃんが気に病む必要はまったくないのよ。
全部このバカのせいなんだから!」
える「そ、そうなんですか?折木さん」
奉太郎「まあ、その通りだ。
昨日はひどいことを言った。悪かった」
再度、頭を下げる。
伊原はそんな俺を見てふんと鼻を鳴らしたが、千反田の表情は暗いままだ。
やはり謝っただけで簡単に関係は修復できないのか。
俺が改めて前日の過ちを悔いていると、千反田が意を決したように口を開いた。
える「でも、確かに折木さんのお気持ちも理解できます」
奉太郎「まあ、その通りだ。
昨日はひどいことを言った。悪かった」
再度、頭を下げる。
伊原はそんな俺を見てふんと鼻を鳴らしたが、千反田の表情は暗いままだ。
やはり謝っただけで簡単に関係は修復できないのか。
俺が改めて前日の過ちを悔いていると、千反田が意を決したように口を開いた。
える「でも、確かに折木さんのお気持ちも理解できます」
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