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    元スレP「偶像の仮面」

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    タグ : - へペルソナ3 + - アイドルマスター + - 亜美真美 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    「じゃあ、真ちゃん。気をつけてね…」

    「分かってるよ。子供じゃあるまいし」

    「でも……」

    あぁ、また始まった。雪歩の心配性が…
    何度目になるか分からない雪歩の小言を聞き流しながら、プロデューサーを目だけで窺う

    「ハニー、いってらっしゃい! 今日はいつ帰るの?」

    「事務所に戻るのは十九時過ぎになるかな」

    「それじゃあ今日はもう会えないの…。ね! 付いていってもいい?」

    「無理だよ。別に今生の別れじゃないんだ。また明日だって会える」

    「ハニーはいつも堅いこと言うの。真面目すぎるって思うな……」

    2 = 1 :

    「…早めに帰れよ? 何かあったら俺が困る、な?」

    「……うん」

    よくもあの美希を扱えるもんだ。素直に尊敬するよ……

    「ねぇ。あれ、してもいいかな?」

    「え? あ、うん…」

    そう言うと雪歩は、僕の身体に抱きついた。鎖骨の辺りに深くうずめるように、頭を動かす
    その性的とも言える仕草に、僕は辟易した

    「……真。そろそろ行こう」

    「あっ! は、はい! …じゃあねっ、雪歩」

    「あ……」

    待っていたとばかりに、僕はプロデューサーの後を付いていく
    もの言いたげな雪歩を残して……

    3 = 1 :

    「うわっ…」

    ビルの扉をくぐった途端、金切り声が耳をつんざく
    …出待ちの女の子達だ
    彼女達はどうしてこうも、アイドルを前にしたってだけで、甲高い声が出せるのだろう?

    「はい、退いて。道を開けてください」

    プロデューサーに先導されて、黒のワンボックスカーに乗り込む
    運転席に回ったプロデューサーがドアを閉めると、車内にはほっとした空気が流れた

    「はぁ、疲れた……」

    「まさか裏口にも回られるとはな…」

    「もううんざりですよ」

    4 :

    見てるよ

    5 = 1 :

    男性に出待ちをする人は少ないのか、事務所にまでファンが押し掛けるのは僕だけだ
    それも女としての追っかけじゃない
    真様、真様、ばっかり…

    その歓声が事務所に届くのが、僕にはとても屈辱だった
    皆にまで、女としての価値がないって見られるんじゃないかって…

    「父さんが悪いんだ…。ボクに男らしさなんてものを押しつけて…!」

    「……」

    プロデューサーは無言で車のキーを捻る
    迷惑だろうが、構うもんか

    6 = 1 :

    「舞台でも男役をやらされる羽目になって! おかげでこんな茶番をやらなきゃいけなくなっちゃって!」

    「雪歩だって……!」

    そう言いかけて、やめた
    今口に出してしまえば、彼女へ抱いている気持ちが、本当になってしまう気がして…

    「雪歩か…。どうするんだ?」

    「そんなの分かりませんよっ!」

    プロデューサーが、言葉に詰まった部分に目ざとく反応してきた
    悩みを聞くのもプロデュースの内って言うんでしょうけど…
    そういうとこ、ちょっと鬱陶しいですよ

    8 :

    ゴルゴムの仕業かと思ったら違った

    9 = 1 :

    「俺も真の気持ちは分かるよ」

    「…へぇー。プロデューサーも、演技をしてるっていうんですか? アイドルみたいに?」

    「周りの期待に合わせて行動するってのは、誰でもやってるさ。
    それが本当の自分と矛盾している辛さが分かるくらいには…俺もな」

    「……ふぅん」

    「そもそもプロデューサーの仕事ってのは、アイドルの要望を笑顔で叶えてやることだからな」

    少し自虐の入った笑み。僕の気持ちが分かるっていうのも、多分、真実の話なんだろう
    けれども、さっき嫌な質問をされた腹いせか、僕は少し意地の悪い返しを思いついた

    「そっか。だから美希にも好かれちゃったワケだ」

    「……」

    10 = 1 :

    「美希の想いには気付いてるんでしょ? アイドルとプロデューサーだから付き合えないっていうんですか?」

    「アイドルだとかは関係ない」

    プロデューサーは無表情のまま、強い口調で言い切った

    「だったら応えてあげればいいのに…」

    「…こう言えばいいのか? あいつは俺の趣味じゃない」

    大人の方便が返ってくると思っていた僕は、予想外の告白に慌ててしまう

    「はは、あはは…美希が聞いたら大変だ…」

    「言うのか?」

    「い、言いませんけど……でも何が不満なんです? 年齢ですか?」

    11 = 1 :

    「年齢、な…。確かにそうだ…」

    「なんだかんだまだ中学生ですからね……」

    「……」

    「美希、納得しますかね…」

    「俺も上手くやるさ…。だから、な?」

    気まずい空気を払うようにプロデューサーが呟く
    似た問題を抱えていると知った彼の言葉に、僕の心も少しだけ和らいだ

    「はい…。ボクも真面目に考えます。雪歩のこと」

    そうして僕たちの乗った車は、テレビ局へ向かって、ゆっくりと車線変更をした

    12 = 1 :

    ~~~~~~~~~

    仕事終わりには堪える階段をようやく登りきって、俺は光の漏れる事務所のドアを開ける
    そこには書類の整理をしている律子がいた

    「ただいま、律子」

    「お帰りなさい…真はどうしたんですか?」

    「途中の駅で降ろしたよ。そこからの方が早いんだと」

    「なるほど……」

    椅子に座り、ネクタイを緩めて一息つく。すると、場違いなほど元気な声が響いた

    「あ。お帰り兄ちゃん!」

    「お勤めご苦労!」

    「…ああ、頑張ってきたよ」

    14 = 1 :

    「で、なんでお前達がまだ居るんだ?」

    「一時間前には上がれって言ったんですけどね…。
    プロデューサーに挨拶するって聞かないもんですから」

    「そうか……」

    「なんでとは酷いよね~」

    「クールな顔しちゃってー、本当は嬉しいくせにー」

    「…はいはい、嬉しいよ」

    亜美に対して俺は本心からそう言うと、彼女達を送り出すために立ち上がった

    「わざわざありがとうな。時間も時間だし、家まで送ろうか」

    「いいよ、今日は駅までパパが迎えに来てくれるんだって」

    15 = 1 :

    「そうなのか。でも…」

    「もしかして変質者でも出るんじゃないかって心配してんの?
    大丈夫だよ。駅までの道は明るいし」

    「まぁ、な…」

    「兄ちゃんって真美達には過保護だよね」

    …クスクスと明るく笑う彼女達とは裏腹に、俺の心は冷えきっていく

    「「じゃあねー!」」

    ドアが閉じられてやっと、俺は安堵のため息をついた

    「あんなに懐かれて、まったく羨ましい限りです」

    律子が書類に目を戻しながら軽口をこぼす

    懐かれている、か…
    それは俺にとって果たして喜ばしいことなのだろうか

    いや、彼女達にとっても……

    17 = 1 :

    ~~~~~~~~~

    冷蔵庫を開けてビールを取り出す
    プルタブを引きながら、俺はテレビを点けた

    「…容疑者が実況見分に立ち会い、警察は、犯行当時の状況をさらに詳しく…」

    連日の残業のおかげで、見るのも久しぶりだったこの時間帯のニュースでは、
    数週間前に起きた女児殺害事件の続報が流れていた

    …ああ、そんな事件もあったな
    なぜ忘れていたのだろう。決して無関心でいられる話題ではなかったはずなのに

    テレビでは、犯人の性癖について揶揄するコメントが続けられていく

    20 = 1 :

    俺の中にはいつの間にか、棄てていたはずの感情が蘇ってきていた

    ――こんなのは、性癖なんか関係ない

    単にこいつが、犯罪者だっただけだろう

    だって現に俺は、犯罪を犯していないじゃないか――

    そう叫びたくなる衝動を呑み込むように、俺は缶の中身を啜った
    強めのアルコールと氷のような冷たさは、高ぶっていた気を鎮めてくれる

    …そうだ。誰も居ない部屋で一人、テレビに向かって叫んだところでなんになるんだ

    結局は、これが世間の総意なのだから

    21 = 1 :

    「風呂にでも入るか……」

    空になった缶を潰して、風呂へ向かう

    スイッチを何度か切り替えて、間抜けをやっている自分に気づく

    「あぁ…、電球、切れてたんだったな…」

    今朝、帰りに買おうと決めて家を出たのに、すっかり忘れていた

    「仕方ない。また洗面台のを使うか…」

    安アパートのユニットバスでは、洗面用の小さな光でも、風呂に入るのに苦労はしなかった

    蛇口をひねると、熱いシャワーと白い湯気に包まれる

    シャワーカーテン越しの明かりを頼りに、洗髪を済ませていく

    その明るすぎない光は、妙な安心感を俺に与えてくれた

    22 = 1 :

    「……」

    シャワーを浴びながら、一日を振り返る

    真には、おしゃべりが過ぎたかもしれない。だが、あいつの指摘は確かに正しかった
    図星を指されて意地になったのか…

    美希……俺は、お前の望むままをやり過ぎてしまったのだろうか
    皆にいい顔をするのは、そんなにいけないことなのか?

    「そろそろ潮時か……」

    事務所を離れるか…
    そう考えた途端、皆の顔が脳裏をよぎっていく
    そうして、最もあそこを離れたなくない理由に、辿りついた

    今日も、彼女は綺麗だった

    「――美……」

    「はぁ…はぁ…」

    「あぁ…」

    「なんで……」

    23 :

    しえん

    24 = 4 :

    書き貯めしてあるのか

    25 :

    いろいろ考えすぎだろこのP

    27 :

    >今日も、彼女は綺麗だった

    >「いぬ美……」

    >「はぁ…はぁ…」

    >「あぁ…」

    >「なんで……」

    28 = 1 :

    ~~~~~~~~~

    その日…ついに自分を慰めることは出来なかった


    代わりに、俺は手記を記すことにした


    手記の中では、俺は自由だった
    自分でも驚くほどに言葉が出てくる

    彼女を愛でる表現においては、かの文豪を越えられるんじゃないかと、馬鹿な想像をするくらいに

    ああ、こうするだけで心が楽になる

    何故だろうか。文字に起こすだけでスリルと興奮を感じられるのは

    俺にはこの行為が酷く背徳的なものに思えていた

    29 :

    手記はやばい
    みられたら詰む

    30 :

    ろりーたじゃないか

    31 :

    結構前にあったヤバいロリコンPのSSを思い出した

    32 = 1 :

    ~~~~~~~~~

    「よくそれで持ちますね。プロデューサー殿は」

    「大豆とか、玄米とか…まるで精進料理みたいです」

    「爺臭いんじゃないですか?」

    「これでいいんだよ」

    事実、これは精進料理のようなものなのだ
    俺はもう何年も肉を断っていた

    先日から抱えている不全……理由は分かっていた
    きっと、俺は長い間欲望を抑え過ぎてきてしまったのだ

    長い月日をかけて抑圧された感情は徐々に歪んで、
    もはや正常な方法だけでは処理出来なくなっていたのだ

    理性だけで本能を無くすことは、元から不可能だったということだろう

    34 = 1 :

    想像するだけでなく、この手に抱いてみたい、汚し尽くしたい
    そういう欲望が、常に頭を離れない

    だから、こういう生活をしている


    「でも、すごくバランスが良いかなって…」

    …他の子では駄目なのかという考えが、ふと起こる

    やよいは……いや、駄目だ

    彼女の母親らしさ……母性というやつだろうか
    それが、俺の中に潜んでいる恐怖心を呼び起こさせる

    俺が求めているのは母ではない。そんな要素はいらないんだ

    伊織や美希も、俺にしてみれば大人び過ぎていた

    やはり、俺の救いになるのは彼女しかあり得なかった

    35 :

    あれ? わた……事務所で一番魅力的な人の名前に「美」なんてないピヨ

    38 = 23 :

    双子丼の予感

    39 = 1 :

    「おはよー」


    …………来た

    「やっほー! 兄ちゃん元気?」

    「ああ、元気だよ…。お早う」

    背もたれ越しに、彼女が抱きつく
    子供特有の甘い香りが、脳髄を痺れさせる

    「今日は相方は、どうしたんだ?」

    「ん~、今日は別々の仕事」

    「そうか…」

    「だからさ、暇なんだよね! ねぇ、兄ちゃん遊んで~」

    40 = 25 :

    以前似たようなPがいたがフラグ立ってた連中ほっといてかすみちゃんに手を出してぶっ壊れてたな…
    ハッピーエンドになって欲しい

    41 = 1 :

    ゆらゆらと揺さぶられる
    その鼻にかかった幼い声と小さく白い手、弾力のある肌は、
    俺の五感を刺激するには充分だった

    「どうしたの? 息が荒いよ?」

    「暑苦しいんだよ。少し離れろ」

    「ちぇっ、兄ちゃんのいけず…」

    彼女に指摘されて、俺は隠しきれていない自分を恥じた

    …美希、お前が惚れているのは、こんなにも醜い男だ


    …なんとかしなければ……

    43 = 1 :

    ~~~~~~~~~

    「美希、入るぞ」

    楽屋のドアを形式的にノックして、ノブを回す

    「ハニー! どうだった!?」

    「ああ、最高のパフォーマンスだったよ。お疲れ様」

    うっすらと汗を浮かべながらこちらに駆け寄る美希
    純粋な感想と労いの言葉をかけると、彼女は笑うでもなく俯いた

    「……そっか。ならね、ハニー…」

    「美希、それ以上は言うな」

    いつもと違う態度に嫌な予感がして、俺は美希の言葉を遮る

    「なんで!? ミキ頑張ったよ? トップランクのアイドルにもなれたの!」

    「こんなミキじゃ不満なの? それともアイドルだから? だったら…!」

    44 = 36 :

    Pから狂気を感じる

    45 = 1 :

    「馬鹿を言うな! そんなんじゃない」

    「ならどうして!? 美希に大人の魅力がないから?」

    「そうじゃない。そうじゃないんだ……」

    矢継ぎ早に不満を口にしていく美希に、俺は喉がつかえたような感覚に陥る
    いつかこういう日が来るとは思っていたが、いざとなると閉口するしかない

    「……好きな人がいるんだよ」

    美希の気持ちを思うと、こう告げるのは心苦しかった
    勿論、真実を言っている訳じゃない
    あくまで彼女を諦めさせるためだ

    だが、美希から返ってきた答えは更に俺を困らせるものだった

    「…どんな人?」

    「……そんなこと聞いてどうする?」

    「知りたいの! 知って……ハニーに相応しい人か、確かめる」

    「冗談はよしてくれ……」

    「じゃないと、諦められないの!!」

    46 = 7 :

    鬼畜になってもいいのよ

    47 = 1 :

    美希が、涙を溜めてこちらを睨みつける

    一度言い出したら聞かないやつだ
    俺はこの頑固を絵に描いたような顔がひどく嫌いだった
    ひっぱたいてでも分からせてやりたいという思いが、こみ上げてくる

    「こいつ……!」

    俺のことが好きならなんで分かってくれない
    分かってくれれば、俺だって……

    「もういい!! 好きにしろ!」

    「…………」

    「一人でも帰れるな? 今日はご苦労だった。しっかり休養をとれ」

    事務的な言葉を述べて、俺は楽屋を出た

    最後に見た美希は、やはり俺の嫌いな顔をしたままだった

    48 = 1 :

    ~~~~~~~~~

    車の窓から吹き入る生暖かい風は、ユウウツな私の気分を、ちっとも晴れやかにしてはくれない

    「なんで真美だけ仕事なのさ……」

    さっき亜美と別れたばかりの私には、とりわけそれが不公平に感じられていた

    「亜美は竜宮小町で忙しかったからな。律子が休ませたんだろう」

    ……質はともかく、同じくらいの量は、私もこなしてるはずだ

    「…兄ちゃんも、亜美は特別だって言うんだね」

    「……そんなことはない」

    「みーんな亜美基準でさぁ。陰じゃ真美は双子の竜宮じゃない方って言われて…」

    50 = 1 :

    「しまいには亜美の真似してみて、って友達にお願いされるし」

    「そうか……」

    「曲のジャンルだって亜美とは全然違うのに……」

    少し前までならむしろ嬉しかったはずの事が、今は笑って流せなくなっていた
    私の価値って何なんだろう……

    「あ、これならいっそソロアイドルじゃなくて、亜美の代わりやってた方が良かったかもねー!」

    「…冗談でもそんなことは言うんじゃない」

    いつもの私らしくない雰囲気を変えようと、おちゃらけながら言ったつもりだったけど、
    兄ちゃんには誤魔化しきれなかったみたいだ

    「真美、俺は今だってお前達の違いが分かるよ。
    それぞれがそれぞれなりに成長した、とも思う」

    「……本当?」

    「本当だ、だから心配するな。
    二人共これからもっと大人になって、もっと自分なりの道を見つけていく」


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