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    元スレ姫「姫ときどき女剣士、というわけね?」

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    51 :

    リボンの騎士か?

    52 = 1 :

    山賊「うげぇっ……!」ドサッ

    隊長「………」チャキッ

    間一髪のところで、隊長の剣が女剣士を救った。

    剣士(隊長がいなかったら……やられてたかもしれない……)

    仲間たちが駆けつけてきた。

    副隊長「おい、大丈夫か!?」

    戦士「やっぱり伏兵がいたか……山賊のくせに知恵が回りやがる」

    老剣士「ムチャしおって!」

    新米剣士「よかった、怪我はないようですね」

    隊長「………」

    剣士「ご、ごめ──」

    バシッ!

    55 :

    これ、おんもしろいなあ~

    57 :

    あるだろ?

    58 = 1 :

    隊長は女剣士に平手打ちをした。

    隊長「何をやっている」

    剣士「………!」

    隊長「素性を明かしたくないのはいい。俺が気に食わないのもいい。
       だが、任務中に俺の指示に逆らうことだけは許さん」

    隊長「一人が勝手な行動を取ることで、お前だけじゃない。
       みんなの命が危険にさらされることになるんだ」

    隊長「そして俺たちが死ねば、最終的に被害を被るのは町の人々だ」

    隊長「もしそれが分からないんなら──」

    隊長「今すぐこの警備隊から出ていけっ!」

    副隊長(誰かをこんなに強く叱りつける隊長を見るのは初めてだな……)

    59 :

    死園

    60 = 1 :

    剣士「……分かってないのは」

    剣士「分かってくれないのは、アンタじゃないっ!」

    剣士「うぅっ……」ダッ

    女剣士は走り去ってしまった。

    副隊長「あっ! どこ行くんだ!」

    隊長「山賊はもう掃討した。走りまわっても危険はないだろう」

    副隊長「いやいや、追いかけなくていいのかよ!」

    隊長「……俺は間違ったことはいってない」

    副隊長「そりゃま、そうだけどさぁ……」

    隊長「これでアイツが隊を辞めるなら、それまでの女だったということだ……」

    61 :

    >>22
    kwsk

    62 = 1 :

    それから姫は、女剣士として王国警備隊に出向かなくなった。

    国王「姫よ、王国警備隊に行かなくなったそうだな。まさか正体がバレたのか?」

    「いえ……そうではないけれど……」

    国王「まぁワシとしては、一安心だ。
       元々ワシはお前が警備隊に入るのに反対していたからな」

    国王「だが同時に失望してもいる」

    国王「ワシの前であれだけの啖呵を切って警備隊に入ったのに、
       中途半端で放棄してしまったのだからな」

    「………」

    「お父様には関係ないでしょ」スッ

    63 = 1 :

    姫の部屋──

    「何をやっているのかしら、私」

    「いつも会っている女剣士(わたし)より、
      滅多に会わない姫(わたし)に目を向けているあの人に嫉妬して」

    「勝手に苛立って、警備隊の雰囲気を悪くして」

    「命令違反までしてしまう始末……」

    「………」

    「バカだ……」グスッ

    64 = 56 :

    この姫様は一人っ子なのかな?

    65 = 1 :

    警備隊詰め所──

    ワイワイ…… ガヤガヤ……

    新米剣士「女剣士さん、来なくなっちゃいましたね……もう二週間ですよ」

    老剣士「ま、いずれまた来るじゃろうて。ほっほっほ」

    戦士「爺さんはのんきでいいよな。女剣士の抜けた穴はけっこうでかいぞ」

    副隊長「俺らは女剣士の住んでる場所すら知らないんだ。今はただ待つしかねぇな。
        ま、アイツに限って他国のスパイだったってオチはないと思うが」

    隊長「………」

    隊長(もう……来てくれないのか……)

    66 = 1 :

    それからしばらくして、町に不穏な噂が流れ始めた。

    少し前に王国警備隊に壊滅させられた盗賊団の残党が、
    牢獄にいるボスの奪還を目論んでいるというのである。

    彼らが警備隊に恨みを抱いているのは明白だ。

    (警備隊のみんな……大丈夫かなぁ)

    (ちょっと様子を見に行くくらい……いいよね)

    (遠くから眺めるだけなら……)

    67 = 61 :

    久々の読ませるSSだな

    69 = 61 :

    テンポも間延びしなくて良い感じ

    70 = 1 :

    姫は城下町までやって来て、ふと気づいた。

    (あ、しまった)

    (女剣士になるの、忘れてた……)

    (森で変装してこないと──)

    すると──

    町民「あのぉ……あなた、姫様ですよね?」

    「え、えぇ」

    町民「や、やっぱり本人だ! なぜお一人でこんなところを……?」

    「え、えぇと……ちょっとお忍びでお散歩をね」

    町民「………」

    町民「姫様……私についてきて頂けないでしょうか……?」

    72 = 1 :

    「いえ、私は──」

    町民「ついてきて下さい……!」ギラッ

    町民の手には包丁が握られていた。切っ先は震えていた。

    「………」

    (殺気はないし、まちがいなくただの脅しね。刺す気ゼロ。
      取り押さえることもできるけど、姫の格好でムチャはできないし……仕方ない)

    「こ、怖い……! わ、分かりました……ついていきます……」ガタガタ

    町民(す、すいません……姫様……!)

    74 = 1 :

    姫は城下町から少し離れたところにある、廃屋に連れて来られた。

    町民「では、姫様は二階の部屋にいて下さい」

    「わ、分かったわ……」

    バタン

    (え~と、これってもしかして私捕まっちゃった?)

    (う~ん、どうしよう……逃げようとすればできると思うけど……)

    (私に対する害意はなさそうだし、ムチャはやめておこう)

    (とりあえずは戦いのできない姫として、事件解決を目指そうっと)

    75 = 10 :

    しえん

    76 = 1 :

    町民妻「いいのかしら、こんなことして……」

    町民「いいわけないだろ! だが、子供のためなんだ!」

    町民妻「えぇ、だけど……」

    町民「あの薬を飲ませ続けなきゃ、子供は死んでしまうんだ!
       しかし俺たちの稼ぎでは、もう限界なんだ!」

    町民「もうまともな手段では無理なんだ……」

    町民「姫様が一人で町を歩いていたのは、天のおぼし召しだったんだ。
       子を助けたければこうしろ、と」

    町民妻「でも、姫様の身代金を要求するだなんて、そんなこと……」

    町民「心配するな。最悪、俺の単独犯だってことにする」

    町民妻「でも……」

    町民「うるさいっ! いいから早く、身代金を要求する手紙を書くんだ!
       そしたら城の兵士に手紙を渡して、ここへ戻ってくる。
       早くしないと姫様がいなくなったことが大騒ぎになってしまうぞ!」

    77 = 1 :

    姫は耳がよく、こっそり聞き耳を立てていた。

    「………」

    (なるほど)

    (でも、こんな手段を取らなきゃならないほど高額な薬を飲み続けないと
      死ぬ病気か……聞いたことがない)

    (きっとこの人たち……騙されてる!)

    (事情を聞いて王国警備隊に頼んで動いてもらえば、なんとかなるかも……)

    (あの夫婦を、私をさらった犯罪者にしたくないしね)

    (うん、そうしよう)

    78 :

    >>14
    暴れん坊プリンセスというゲームがあってだな

    79 = 1 :

    (かといって、姫の立場で説得してもイマイチ説得力がないか)

    (世間知らずのお姫様に、騙されてるわよ、なんていわれてもねぇ)

    (王国警備隊の女剣士として話した方がいいかもしれない)

    (よし、ここはひそかに脱出して、女剣士になって戻ってこよう)

    (もし本当の病気だったら、その時は姫として力を貸してあげよう。
      薬代くらい……なんとかなるよね?)

    姫が閉じ込められている部屋は二階にある。

    「よっと」ヒョイッ

    しかし、姫はかろやかに窓から飛び降り、脱出した。

    80 = 1 :

    城近くの森──

    「だれもいないわね……?」キョロキョロ

    「化粧落として……」コソコソ

    「着替えて……」ゴソゴソ

    「………」ガサゴソ

    剣士「よーし、完璧!」

    剣士「すぐ戻らないとね!」

    82 = 1 :

    女剣士が廃屋に戻ろうとすると、城下町で王国警備隊の一行を発見した。

    剣士(ゲ、まずい……まだ見つかりたくないなぁ)

    剣士(でもなんか、様子がおかしいな。なにかあったのかな?)

    さっきのように、聞き耳を立てる女剣士。

    隊長「……ついさっき、姫様を捕えた一味から城に犯行声明文が届いた!」

    隊長「犯人たちは城下町近くの廃屋に立てこもっている!
       先ほど国王陛下の御名にて、我々警備隊に姫救出の依頼があった!」

    副隊長「ヘタに兵を動かすと、犯人どもを刺激しちまうかもってことか」

    隊長「ああ。それにこういう事件は我々の方が慣れているからな」

    戦士「あんなヤツらに姫を傷つけさせてたまるか!」

    老剣士「まったく、捕まるとは情けない姫だわい」

    新米剣士「必ず無事に救出しましょう!」

    隊長(姫様……無事でいてくれ……!)

    83 = 10 :

    あっさり脱出

    84 = 1 :

    剣士(もしかしてあの人たち、私がいないのに手紙出しちゃったの!?)

    剣士(まいったなぁ……)

    剣士(と、とにかく出動をやめさせないと! あの人たちを罪人にしたくない!)ダッ

    剣士「みんな、お久しぶり!」

    副隊長「女剣士!?」

    老剣士「な、なんでおぬしがここにおるんじゃ!?」

    戦士「おお、戻ってきてくれたか!」

    新米剣士「女剣士さん!」

    隊長「……よく戻ってきてくれた。お前には色々と謝りたいことが──」

    剣士「それどころじゃないの! 私、今のアンタたちの話を全部聞いてたの。
        今すぐ出動をやめて!」

    隊長「……どういうことだ? 説明してくれるか?」

    86 = 1 :

    剣士「えぇとね、さっき廃屋を通りかかったんだけど、
        お姫様をさらった奴ら、全然大したことないから!」

    剣士「私一人で片付けてくるから、アンタらはここにいてよ」

    隊長「ムチャをいうな! これは盗賊団の残党どもの犯行だ!」

    剣士「……え?」

    隊長「この手紙を読め」ピラッ

    剣士「どれどれ……」

    剣士(姫は預かった……返して欲しければ盗賊団ボスを釈放しろ……)

    剣士(ど、どういうこと!?)

    87 = 1 :

    その頃、廃屋には盗賊団の残党たちがやって来ていた。

    盗賊団員A「ふざけんじゃねぇっ!」

    バキッ!

    町民「ぐわぁっ!」

    町民妻「あなたっ!」

    盗賊団員A「ちっ、姫に逃げられただとぉ!?」

    盗賊団員B「どうすんだよ、もう犯行声明の矢文は城に入れちまったぞ!」

    盗賊団員A「知るかよ! くそっ、コイツが町で姫をさらってるのを見て
          これは利用できる、と思ったのによぉ……使えねぇ!」

    ドゴッ!

    町民「げふぅっ!」

    88 = 1 :

    再び警備隊──

    剣士(もし、私が町民に連れ去られるところを残党が目撃していて、
        それを利用するつもりでこの手紙を書いたとすると……)

    剣士(まずい……)

    剣士(私の読みが正しければ、あの人たちが危ない!)ダッ

    隊長「おい、どこ行くんだ!?」

    剣士「えぇと、やっぱり廃屋に出動して! ただしゆっくり来てね」タタタッ

    隊長「どういう意味だよ! オイ、待てって!」

    89 = 37 :

    どうなる

    90 = 1 :

    城近くの森──

    剣士「急がないと!」ガサゴソ

    剣士(早く、早く!)ガサゴソ

    「よし!」

    (念のため、女剣士としての装備も袋に入れて持っていこう!)

    (化粧は走りながらでいいや!)

    (急げ、私~!)タタタッ

    女剣士から着替えた姫は、全力疾走で廃屋に向かった。

    91 = 10 :

    涼スレ

    92 = 12 :

    それにしてもこの姫様、大忙しである

    93 = 56 :

    あ、この靴は姫様の靴では・・・
    お城に郵送しよう

    94 = 1 :

    廃屋──

    町民「げほっ、げほっ……!」

    盗賊団員A「ちっ、最悪だぜ……!」

    盗賊団員B「どうする?」

    盗賊団員C「姫の代わりにコイツら人質にするか?」

    盗賊団員A「こんなヤツら人質にしても、ボスが釈放されるワケねぇだろ。
          もうコイツらぶっ殺してズラかるしかねぇな」

    盗賊団員B「そうだな。グズグズしてると、兵隊か警備隊が来ちまう」

    町民「ひぃっ……!」
    町民妻「お、お助けを……!」

    盗賊団員A「恨むんなら、姫を逃がしちまったお前らのバカさ加減を恨みな」

    盗賊団員Aは剣を抜いた。

    95 :

    ふぅ

    96 = 9 :

    一方>>95は抜いた

    97 = 1 :

    「お待ちになって!」ハァハァ

    町民「姫様っ!?」
    町民妻「姫様、どうして!?」

    盗賊団員A「えっ!?(なんで姫が戻ってきたんだ!?)」

    「え、えぇっと──」ハァハァ

    「忘れ物をしてしまって……ハァハァ……」

    盗賊団員A「忘れ物……!?」

    盗賊団員A「まぁいい……姫、今からアンタは俺らの人質になってもらうぜ。
          おい、姫の体を縛れ」

    盗賊団員B「へへへ、大人しくしてなよ」グイッ

    「ハァハァ……あぁっ、やめてぇっ……!」

    町民(どうして姫様は戻ってきたんだ……? 化粧も乱れているし……。
       し、しかしおかげで助かった……。すいません、姫様……!)

    98 = 1 :

    姫と町民夫妻はロープで縛られ、二階の一室に閉じ込められた。
    作戦成功を確信する残党たち。

    ワイワイ…… ガヤガヤ……

    盗賊団員A「ククク、これで大丈夫だ。姫が俺たちの手にある以上、
          王国軍だろうが警備隊だろうが、俺たちに手を出せねぇ」

    盗賊団員A「あとは廃屋にやってきた連中にボス釈放の要求をするだけだ。
          モタモタしてたらあの夫婦の首でもちょん切ってビビらせてやろう」

    盗賊団員B「ボスさえ戻ってくれば、盗賊団を復活できるな」

    盗賊団員C「町民如きがなぜか姫をさらえちまうわ、逃げた姫はなぜか戻ってくるわ。
          今日はツイてるな、まったく」

    99 = 9 :

    しえん

    100 = 1 :

    町民「姫様……申し訳ありません!
       実は私、国王様から身代金をもらおうとしてあなたを──」

    「お気になさらないで」スルスル

    町民(え、姫のロープが……!)

    「あらやだ。ほどけてしまいましたわ」
     (あんな結び方じゃ、簡単に縄抜けできちゃうっての)

    「勝手にロープがほどけるなんて、なんて幸運なのかしら!」

    「あなたがたのロープもほどきますから、
      少し怖いかもしれませんが、窓からロープを使って逃げて下さい」

    「飛び降りたら、まっすぐ家に戻って下さい。悪いようにはしませんから。
      よろしいですね?」

    町民夫妻「わ、分かりましたっ!」

    姫は町民夫妻の縄をほどくと、二人を窓から逃がした。

    その後、姫も脱出し、近くの茂みに隠しておいた装備で女剣士となった。

    剣士(まったく今日はなんて忙しい日なんだろ!)


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