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元スレ女「私すごく不器用ですしっ、つ、つつつ付き合うとかそんにゃっ」

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>>300
だからいいんじゃないか
だからいいんじゃないか
>>300
素質あるくらいが最高なんだろ
素質あるくらいが最高なんだろ
>>300
だからこそロマンチックなんだよ
だからこそロマンチックなんだよ
>>300
と言いつつも読むんだろ?
と言いつつも読むんだろ?
女「男くんに『さびしくないの?』って聞かれて、すごく見透かされた気分になった」
女「でも『さびしい』なんて言って、男くんが埋めてくれるの?」
女「私の寂しさ、埋められるの?」
女「ちがうよね……違うんだよ……分かってるよ、求めたって無駄だって」
女「言ったって、無駄だって」
女「でもさぁ……やっぱり、私男くんの前で素直になりたいから……でも、言ったって無駄だから」
女「そういうの、もうごちゃまぜになって、ぐるぐるぐるぐる回っちゃって、苦しくって……っ!」
女「やっぱり私不器用だから……そういうの上手く処理できないんだよ。ヒートアップしちゃうんだよ」
女「耐えられないんだよぉ……!」
男「俺に、女さんの寂しさ。埋められないの?」
女「そうだよ……! 私が欲しい寂しさは……っ、もう、もうっ……」
女「どこにも――――」フラッ
男「……っ!? 女さんっ!!」
女「でも『さびしい』なんて言って、男くんが埋めてくれるの?」
女「私の寂しさ、埋められるの?」
女「ちがうよね……違うんだよ……分かってるよ、求めたって無駄だって」
女「言ったって、無駄だって」
女「でもさぁ……やっぱり、私男くんの前で素直になりたいから……でも、言ったって無駄だから」
女「そういうの、もうごちゃまぜになって、ぐるぐるぐるぐる回っちゃって、苦しくって……っ!」
女「やっぱり私不器用だから……そういうの上手く処理できないんだよ。ヒートアップしちゃうんだよ」
女「耐えられないんだよぉ……!」
男「俺に、女さんの寂しさ。埋められないの?」
女「そうだよ……! 私が欲しい寂しさは……っ、もう、もうっ……」
女「どこにも――――」フラッ
男「……っ!? 女さんっ!!」
女「……」クテッ
男「急に倒れて……、っ!? 熱が……?」
女「……かえ、って……いいから……」
男「送る。送ってくから。あ、……病院っ!」
女「いい……びょういん、きら、ぃ」
女「おか、……さん、…………こゎ、ぃ……」
男「え……?」
女「いえ……かえ、……る……」
男「なら、おぶってくから。帰ろ。女さんの家に」
女「や、……だ。きちゃ、や、だ……こなぃ、で」
男「こっちの道でいいんだよね?……んっしょ」
女「……ぁ」
男「ちょっと、どばすから。揺れて気分悪くなったら言ってよ」
男「急に倒れて……、っ!? 熱が……?」
女「……かえ、って……いいから……」
男「送る。送ってくから。あ、……病院っ!」
女「いい……びょういん、きら、ぃ」
女「おか、……さん、…………こゎ、ぃ……」
男「え……?」
女「いえ……かえ、……る……」
男「なら、おぶってくから。帰ろ。女さんの家に」
女「や、……だ。きちゃ、や、だ……こなぃ、で」
男「こっちの道でいいんだよね?……んっしょ」
女「……ぁ」
男「ちょっと、どばすから。揺れて気分悪くなったら言ってよ」
親共働きひとりっ子の寂しがり方は屈折してるからなあ。付き合うとなるとハードルが高いぞ。
この>>1はその辺よくわかってるな
この>>1はその辺よくわかってるな
男「(女さん、すごく軽い……)」
男「(こんなに細くて、華奢で。でも、すごく暖かくて)」
男「(こんな時に不謹慎だけど。背中の温度が…………幸せだ)」
女「…………ん」ギュッ
男「女……さん?」
女「……と……ん」
女「おと……さん」
女「……ぅぅ」
女「ゃだぁ……」
男「(こんなに細くて、華奢で。でも、すごく暖かくて)」
男「(こんな時に不謹慎だけど。背中の温度が…………幸せだ)」
女「…………ん」ギュッ
男「女……さん?」
女「……と……ん」
女「おと……さん」
女「……ぅぅ」
女「ゃだぁ……」
男「このマンション?」
女「……ん」
女「鍵、ポスト、に……」
男「う、うん」
女「男くん」
男「ん?」
女「なにがあって、も、せめて、友達で……いて、ね」
男「……」
女「おねがいだよ」
男「うん」
男「おじゃまします」
女「……ん」
女「鍵、ポスト、に……」
男「う、うん」
女「男くん」
男「ん?」
女「なにがあって、も、せめて、友達で……いて、ね」
男「……」
女「おねがいだよ」
男「うん」
男「おじゃまします」
マンションの中に入って、女さんをベットに寝かせた。
女さんの(であろう)部屋は、飾りっ気のない質素な雰囲気。
ただ、大きなペンギンのぬいぐるみが1つ、ベットの脇に転がっていた。
抱きしめながら寝てるのかな、とか想像したら、思わずにやけてしまう。
タオルを見つけて、濡らしてから女さんの額に当ててあげる。
お約束の、身体を拭いてあげる云々をやる勇気は俺にはない。
でも、女さんは、くるしそうに息を吸ったり吐いたりして、時折「寒い」とか「苦しい」と声をもらしていた。
そんな女さんを助けたくて、僕は居間にあった電話帳を手に取り、電話をかけた。
『はい、市立VIP病院コールセンターです」
男「看護士の母さんをお願いします」
男「娘さんの事で、急ぎお伝えしたい事があるんです」
女さんの(であろう)部屋は、飾りっ気のない質素な雰囲気。
ただ、大きなペンギンのぬいぐるみが1つ、ベットの脇に転がっていた。
抱きしめながら寝てるのかな、とか想像したら、思わずにやけてしまう。
タオルを見つけて、濡らしてから女さんの額に当ててあげる。
お約束の、身体を拭いてあげる云々をやる勇気は俺にはない。
でも、女さんは、くるしそうに息を吸ったり吐いたりして、時折「寒い」とか「苦しい」と声をもらしていた。
そんな女さんを助けたくて、僕は居間にあった電話帳を手に取り、電話をかけた。
『はい、市立VIP病院コールセンターです」
男「看護士の母さんをお願いします」
男「娘さんの事で、急ぎお伝えしたい事があるんです」
母「女っ!!!」
男「……あ」
母「女は?」
男「ベットで」
母「……っ、ごめん悪いんだけど、水汲んできて」
男「あ、は、はいっ」
母「熱っ。……あーっ、もう! これ、40度近くあるよ……」
男「水ですっ」
母「ん。……いい子だから飲んでね……飲まないと、熱下がらないよ」
女「ん、っ……う……」ゴクゴク
母「うん。いい子だ。……ほんと、女は昔から素直でいい子だ」
男「……」
男「……あ」
母「女は?」
男「ベットで」
母「……っ、ごめん悪いんだけど、水汲んできて」
男「あ、は、はいっ」
母「熱っ。……あーっ、もう! これ、40度近くあるよ……」
男「水ですっ」
母「ん。……いい子だから飲んでね……飲まないと、熱下がらないよ」
女「ん、っ……う……」ゴクゴク
母「うん。いい子だ。……ほんと、女は昔から素直でいい子だ」
男「……」
母「薬飲ませたから、多分だいじょうぶだと思う」
母「これで下がらなかったら、明日無理やりにでも病院連れて行くから」
男「そうですか……」ホッ
母「……あ、ごめん。まぁ、分かってると思うけど、女の母です。電話の……男くんだよね?」
男「あ、はい」ペコリ
母「いきなりで失礼だけど、女とは……」
男「友達です」
母「友達?」
男「え、えぇ」
母「嘘じゃないよね? ただのクラスメイトとかじゃなくて?」
男「クラスメイトでもありますけど、今日一緒に買いものにいったりもしましたし」
母「あ!」ピーン
母「キミかぁ!!」
男「え?」
母「これで下がらなかったら、明日無理やりにでも病院連れて行くから」
男「そうですか……」ホッ
母「……あ、ごめん。まぁ、分かってると思うけど、女の母です。電話の……男くんだよね?」
男「あ、はい」ペコリ
母「いきなりで失礼だけど、女とは……」
男「友達です」
母「友達?」
男「え、えぇ」
母「嘘じゃないよね? ただのクラスメイトとかじゃなくて?」
男「クラスメイトでもありますけど、今日一緒に買いものにいったりもしましたし」
母「あ!」ピーン
母「キミかぁ!!」
男「え?」
母「いやあ、なんでもないのさ。なんでもねーっ」
男「はぁ」
母「でもさーでもでもっ、実際のところどうなのさ?」
男「え? といいますと?」
母「どこまですすんでんの?」
男「?」
母「かーーーっ、分かってる癖に分かってないフリたぁあんた分かってるねーーっ!」
母「エロゲの主人公かってーの!」
男「えっとその……決してそういうつもりは」
母「好きなんでしょ?」
男「え」
母「女の事が」
男「はぁ」
母「でもさーでもでもっ、実際のところどうなのさ?」
男「え? といいますと?」
母「どこまですすんでんの?」
男「?」
母「かーーーっ、分かってる癖に分かってないフリたぁあんた分かってるねーーっ!」
母「エロゲの主人公かってーの!」
男「えっとその……決してそういうつもりは」
母「好きなんでしょ?」
男「え」
母「女の事が」
男「あの……そういう質問に上手く答えられないんですけど……」
母「そうなの? 好きじゃないんだ?」
男「あ、その、決して嫌いじゃないですけど」
男「まだ、しっかり話すようになってからひと月位しかたってないですし」
男「気持ちを定めるには、早いというか、ちょっと失礼っていうか……」
母「ふーん」
男「えー、その……」
男「なんかすいません」
母「私があの人と出会ったときはね、それこそ一瞬だった」
男「……と、いいますと?」
母「話の流れから察しなさいって。女の父親のことに決まってるでしょうがっ!」
母「そうなの? 好きじゃないんだ?」
男「あ、その、決して嫌いじゃないですけど」
男「まだ、しっかり話すようになってからひと月位しかたってないですし」
男「気持ちを定めるには、早いというか、ちょっと失礼っていうか……」
母「ふーん」
男「えー、その……」
男「なんかすいません」
母「私があの人と出会ったときはね、それこそ一瞬だった」
男「……と、いいますと?」
母「話の流れから察しなさいって。女の父親のことに決まってるでしょうがっ!」
母「女は、父親のこと……なんか言ってた?」
男「えっと……なんとか証券に勤めてるとか」
男「家に殆ど帰って来ないだとか」
母「そう」
男「……違うんですか?」
母「違う」
母「でも、どう違うかは、私の口からいえない」
男「そう、ですか」
母「ごめんね。私は嘘つきなんだ」
母「素直で、正直なことも大切だけど。大人は……親は、嘘をつかなきゃいけない生き物なんだよ」
母「今、私は男くんに、嘘は言えない」
母「だから、黙っておくことにする」
男「えっと……なんとか証券に勤めてるとか」
男「家に殆ど帰って来ないだとか」
母「そう」
男「……違うんですか?」
母「違う」
母「でも、どう違うかは、私の口からいえない」
男「そう、ですか」
母「ごめんね。私は嘘つきなんだ」
母「素直で、正直なことも大切だけど。大人は……親は、嘘をつかなきゃいけない生き物なんだよ」
母「今、私は男くんに、嘘は言えない」
母「だから、黙っておくことにする」
私はお父さんと一緒に公園で遊んでいた。
私は、今よりもうんとうんと、背が小さかった。
お父さんは、私の何倍も大きい体をしていた。
ブランコを押してくれて、私の作った泥だんごをたべてくれて、滑り台で私を乗せてすべってくれた。
ひとしきり遊んで、日が暮れきったころに、怒ったお母さんがやってきた。
だめだよ、お母さん。
お父さんは私と遊んでくれたんだから。
怒るなら、私を怒って。
お願い、お母さん。
お父さんを怒らないで……
女「…………男くん」
男「あ……起きた?」
女「わたし……あれ……?」
男「大丈夫。寝てていいから。のど乾いたよね。水もってくるから」
私は、今よりもうんとうんと、背が小さかった。
お父さんは、私の何倍も大きい体をしていた。
ブランコを押してくれて、私の作った泥だんごをたべてくれて、滑り台で私を乗せてすべってくれた。
ひとしきり遊んで、日が暮れきったころに、怒ったお母さんがやってきた。
だめだよ、お母さん。
お父さんは私と遊んでくれたんだから。
怒るなら、私を怒って。
お願い、お母さん。
お父さんを怒らないで……
女「…………男くん」
男「あ……起きた?」
女「わたし……あれ……?」
男「大丈夫。寝てていいから。のど乾いたよね。水もってくるから」
女「……ん」コクコク
男「お母さんは、今夕飯の買い物に行ってる」
男「女さんの好きな桃買ってきてくれるって言ってたよ」
女「こんな季節に桃なんか……」
男「桃缶よりも喜んでくれるから探す、って言ってた」
女「……そう」
男「いいお母さんだね」
女「ちょっと怒りっぽくて、だらしないけどね」
男「でも、女さんの事をすごく大切にしてくれてる」
女「……うん、それは、…………そうかも」
男「お母さんは、今夕飯の買い物に行ってる」
男「女さんの好きな桃買ってきてくれるって言ってたよ」
女「こんな季節に桃なんか……」
男「桃缶よりも喜んでくれるから探す、って言ってた」
女「……そう」
男「いいお母さんだね」
女「ちょっと怒りっぽくて、だらしないけどね」
男「でも、女さんの事をすごく大切にしてくれてる」
女「……うん、それは、…………そうかも」
男「調子はどう?」
女「まだちょっと、ボーッとするけど……」
男「布団、かぶってたほうがいいよ」
女「うん……」
男「ほら。タオル、さっきぬらした奴」
女「ありがと」
女「……ん。きもちー」
男「そっか」
女「えへへ」
女「男くん、やさしーんだ?」
男「病人に優しくしない奴がどこにいる」
女「ふーん……」
女「まだちょっと、ボーッとするけど……」
男「布団、かぶってたほうがいいよ」
女「うん……」
男「ほら。タオル、さっきぬらした奴」
女「ありがと」
女「……ん。きもちー」
男「そっか」
女「えへへ」
女「男くん、やさしーんだ?」
男「病人に優しくしない奴がどこにいる」
女「ふーん……」
女「ねぇ……いつまで、いるの?」
男「さぁ」
女「今日、このまま泊まっちゃったら?」
男「さすがにそれは……、明日も学校あるし」
女「そっか」
男「でも、女さんがどうしてもって言うなら」
女「ううん、ちょっと言ってみただけ。そしたら少し面白いかなって」
女「もし男くんが泊まっちゃったら、わくわくしすぎて、身体治すどころじゃなくなっちゃうし」
男「そっか」
女「そうだよ」
男「じゃあ、お母さんが帰ってきたら帰ろうかな」
女「……うん」
男「さぁ」
女「今日、このまま泊まっちゃったら?」
男「さすがにそれは……、明日も学校あるし」
女「そっか」
男「でも、女さんがどうしてもって言うなら」
女「ううん、ちょっと言ってみただけ。そしたら少し面白いかなって」
女「もし男くんが泊まっちゃったら、わくわくしすぎて、身体治すどころじゃなくなっちゃうし」
男「そっか」
女「そうだよ」
男「じゃあ、お母さんが帰ってきたら帰ろうかな」
女「……うん」
女「でも……でも、帰っちゃう前に」
女「ひとつ、男くんに言わなきゃ。」
女「嘘、もう一個ついてたから」
女「今ならきっとね、静かに言える」
男「なにかな」
女「……言っても、嫌わないでね」
女「友達で居てね」
男「絶対だ」
女「私、お父さん居ないの」
女「私が小さい頃に事故で死んじゃったらしくて」
女「ほんとは、共働きじゃなくって、片親ってだけなんだ」
女「どうでもいいことだけどね……でも、みんなにこの嘘、ついちゃうんだ……」
女「ひとつ、男くんに言わなきゃ。」
女「嘘、もう一個ついてたから」
女「今ならきっとね、静かに言える」
男「なにかな」
女「……言っても、嫌わないでね」
女「友達で居てね」
男「絶対だ」
女「私、お父さん居ないの」
女「私が小さい頃に事故で死んじゃったらしくて」
女「ほんとは、共働きじゃなくって、片親ってだけなんだ」
女「どうでもいいことだけどね……でも、みんなにこの嘘、ついちゃうんだ……」
女「理由はね、わかってるの」
女「クラスメイトの子が……小学校の頃の話だけど、私と同じ片親の娘を馬鹿にしてた」
女「それだけなんだ」
女「ほんと、理由なんてそれだけ。それだけで、怖くて……」
女「バレるの怖くて」
女「だれにも、家に呼べなくなっちゃって」
女「ふふ」
女「あー、すっきりした」
男「俺は女さんの事を、そんなことで絶対に馬鹿にしないよ」
男「絶対。絶対だから。信じて」
女「……男くんはいちいち優しいなぁ、もう。……ふふ」
女「クラスメイトの子が……小学校の頃の話だけど、私と同じ片親の娘を馬鹿にしてた」
女「それだけなんだ」
女「ほんと、理由なんてそれだけ。それだけで、怖くて……」
女「バレるの怖くて」
女「だれにも、家に呼べなくなっちゃって」
女「ふふ」
女「あー、すっきりした」
男「俺は女さんの事を、そんなことで絶対に馬鹿にしないよ」
男「絶対。絶対だから。信じて」
女「……男くんはいちいち優しいなぁ、もう。……ふふ」
男「……俺さ、思ったんだ」
男「今までの人生で、……起伏のない、それこそなんとなく過ごしてた人生だったけど」
男「俺の貧弱なこれまでの十数年間で、一番、……一番だよ?」
男「強く思ったんだ。願ったんだ」
男「女さんの、寂しさを埋めたいって」
女「……私の……寂しさ……」
男「女さんを抱きしめて、背負って、感じたんだ。確信したんだ」
男「ほんとは、俺……ちゃんと話すようになってからひと月足らずでこんな事言うの、無責任だってずっと思ってたけど」
男「つまり、その……」
男「……えっと」
女「ねえ男くん」
女「私は時々、分からなくなるの」
女「私が、男くんに、何を求めてるのか」
男「今までの人生で、……起伏のない、それこそなんとなく過ごしてた人生だったけど」
男「俺の貧弱なこれまでの十数年間で、一番、……一番だよ?」
男「強く思ったんだ。願ったんだ」
男「女さんの、寂しさを埋めたいって」
女「……私の……寂しさ……」
男「女さんを抱きしめて、背負って、感じたんだ。確信したんだ」
男「ほんとは、俺……ちゃんと話すようになってからひと月足らずでこんな事言うの、無責任だってずっと思ってたけど」
男「つまり、その……」
男「……えっと」
女「ねえ男くん」
女「私は時々、分からなくなるの」
女「私が、男くんに、何を求めてるのか」
女「私はすごく勝手なんだよ」
女「自分に足りないものがなんなのか、すごく明確に分かってるのに」
女「それを男くんで、埋めようとしてる」
女「でもそれは、絶対にはまらない……そう、パズルのピースみたいなものなの」
女「もうね、これは、私に決定的にかかってる、呪いなの」
女「たぶん、一生、この呪いを解くことはできないの」
女「不器用だから」
男「俺に、女さんの父親の代わりはできないかもしれないし」
女「―――っ」
男「女さんが俺の事を、男としてみてくれてるかも分からない」
男「でも、これだけははっきりと言えるんだ」
女「いっちゃ、だめっ」
男「女さんが、誰よりも」
女「やだ!」
男「好きだって」
女「自分に足りないものがなんなのか、すごく明確に分かってるのに」
女「それを男くんで、埋めようとしてる」
女「でもそれは、絶対にはまらない……そう、パズルのピースみたいなものなの」
女「もうね、これは、私に決定的にかかってる、呪いなの」
女「たぶん、一生、この呪いを解くことはできないの」
女「不器用だから」
男「俺に、女さんの父親の代わりはできないかもしれないし」
女「―――っ」
男「女さんが俺の事を、男としてみてくれてるかも分からない」
男「でも、これだけははっきりと言えるんだ」
女「いっちゃ、だめっ」
男「女さんが、誰よりも」
女「やだ!」
男「好きだって」
男「呪いなんて、知らない。パズルなんて、無理に完成させる必要ない」
女「そんなの分かってるよ! でもこればっかりはどうしようもないんだよ……」
女「なのに、なんでそんな『好き』だとか言うの?」
女「男くんは両親がしっかりいて、姉妹もいて、円満に暮らしてるから分からないんだよ」
女「私の気持ちが……」
男「……うん、ごめん。分かってあげれてないかもしれない」
男「でも、寄り添うことはできると思う」
男「女さんに」
女「…………え、へへ」
女「あのね、男さんにおんぶしてもらった時、お父さんを思い出したんだ」
女「おんぶしてもらった記憶なんて、ちっとも無いのにね」
女「これって、おかしいよね。……おかしいんだよ。私は、おかしいんだ」
男「おかしくなんかないよ。これから、少しずつ……」
女「ごめん」
女「今日は、帰って欲しいな」
女「そんなの分かってるよ! でもこればっかりはどうしようもないんだよ……」
女「なのに、なんでそんな『好き』だとか言うの?」
女「男くんは両親がしっかりいて、姉妹もいて、円満に暮らしてるから分からないんだよ」
女「私の気持ちが……」
男「……うん、ごめん。分かってあげれてないかもしれない」
男「でも、寄り添うことはできると思う」
男「女さんに」
女「…………え、へへ」
女「あのね、男さんにおんぶしてもらった時、お父さんを思い出したんだ」
女「おんぶしてもらった記憶なんて、ちっとも無いのにね」
女「これって、おかしいよね。……おかしいんだよ。私は、おかしいんだ」
男「おかしくなんかないよ。これから、少しずつ……」
女「ごめん」
女「今日は、帰って欲しいな」
支援
偶然だが踊るのオルゴール音がBGMになって何とも言えずいい雰囲気になってしもた
偶然だが踊るのオルゴール音がBGMになって何とも言えずいい雰囲気になってしもた
男「わかった」
女「……ごめんね、悪いのは、私だから」
女「でも、友達で居て欲しいのは本当なの……」
女「男くんといると、すごく、幸せだから」
男「……ペンギンってさ、鳥なんだよね」
女「……え?」
男「鳥が好きかって、昨日、聞いたよね?」
女「……」
男「そのペンギンのぬいぐるみ、どうしたの?」
女「わからない……。ものごころつく前からあったから」
女「よく抱いて寝てるけど」
男「そのぬいぐるみをプレゼントしてくれた人は、きっと女さんの事をすごく大切に思ってくれてるはずだよ」
男「きっと」
女「……ごめんね、悪いのは、私だから」
女「でも、友達で居て欲しいのは本当なの……」
女「男くんといると、すごく、幸せだから」
男「……ペンギンってさ、鳥なんだよね」
女「……え?」
男「鳥が好きかって、昨日、聞いたよね?」
女「……」
男「そのペンギンのぬいぐるみ、どうしたの?」
女「わからない……。ものごころつく前からあったから」
女「よく抱いて寝てるけど」
男「そのぬいぐるみをプレゼントしてくれた人は、きっと女さんの事をすごく大切に思ってくれてるはずだよ」
男「きっと」
母「ただいま」
男「お帰りなさい」
母「悪いね、待たせちゃって。桃はちゃんと見つかったよ」
男「きっと、女さん喜びます」
母「……帰る? 夕飯食べてってもいいけど」
男「遠慮しておきます。その……女さんに追い出されちゃいましたし」
母「……まさか、手ェ出したんじゃないだろうね?」
男「そんな。俺にそんな甲斐性ないですよ」
母「また心にもないこと言って」
男「信じて下さいってば!」
男「お帰りなさい」
母「悪いね、待たせちゃって。桃はちゃんと見つかったよ」
男「きっと、女さん喜びます」
母「……帰る? 夕飯食べてってもいいけど」
男「遠慮しておきます。その……女さんに追い出されちゃいましたし」
母「……まさか、手ェ出したんじゃないだろうね?」
男「そんな。俺にそんな甲斐性ないですよ」
母「また心にもないこと言って」
男「信じて下さいってば!」
男「ひとつだけ、聞いてもいいですか?」
男「あのペンギンの人形、お父さんからじゃ……?」
母「ん? あー、まぁ、そうだわな。あいつの置き土産……みたいなもんかな」
男「だとしたら、お父さんは立派な人です」
母「ぷっ」
男「え?」
母「いやいや。なんでもない。どうしてそう思った?」
男「あのペンギン……コウテイペンギンです」
男「世界で最も過酷な子育てをする、っていう」
母「そういう話もあるねぇ」
男「コウテイペンギンは、卵がヒナになるまで、オスが極寒の中じっと卵を温め続けてるんです」
男「だから……きっと、お父さんはコウテイペンギンのオスと自分を重ねて……」
男「あのペンギンの人形、お父さんからじゃ……?」
母「ん? あー、まぁ、そうだわな。あいつの置き土産……みたいなもんかな」
男「だとしたら、お父さんは立派な人です」
母「ぷっ」
男「え?」
母「いやいや。なんでもない。どうしてそう思った?」
男「あのペンギン……コウテイペンギンです」
男「世界で最も過酷な子育てをする、っていう」
母「そういう話もあるねぇ」
男「コウテイペンギンは、卵がヒナになるまで、オスが極寒の中じっと卵を温め続けてるんです」
男「だから……きっと、お父さんはコウテイペンギンのオスと自分を重ねて……」
母「おしい。……けどね、考え方がアマちゃんだよ」
男「え……?」
母「現実は、そんな夢物語みたいにして動かないんだ」
母「飛び越えたくても飛び越えられない、持ち上げたくても持ち上がらない」
母「どうしようもなく理不尽にできてるんだ」
男「……」
母「だから」
母「あんたがどんなにこれから努力しても」
母「……オリンピックで金メダルとろうが、ノーベル賞を総舐めにしようが」
母「あの子に……女に、父親が居ないっていう事実はどうしようもないんだよ」
男「……そう……です、けど……」
母「お願いだから、あの子に夢を見せないでやってほしい」
母「ピースの足りないパズルである自分を、どうか女に受け入れさせて欲しい」
母「勝手なお願いだって分かってるけどね。こんなこと頼めるの、あんたくらいしか居なくて」
男「え……?」
母「現実は、そんな夢物語みたいにして動かないんだ」
母「飛び越えたくても飛び越えられない、持ち上げたくても持ち上がらない」
母「どうしようもなく理不尽にできてるんだ」
男「……」
母「だから」
母「あんたがどんなにこれから努力しても」
母「……オリンピックで金メダルとろうが、ノーベル賞を総舐めにしようが」
母「あの子に……女に、父親が居ないっていう事実はどうしようもないんだよ」
男「……そう……です、けど……」
母「お願いだから、あの子に夢を見せないでやってほしい」
母「ピースの足りないパズルである自分を、どうか女に受け入れさせて欲しい」
母「勝手なお願いだって分かってるけどね。こんなこと頼めるの、あんたくらいしか居なくて」
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