私的良スレ書庫
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元スレ娘「お医者さんごっこしよっか!?」
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男「あ、もしもし? おふくろ? いや、たまには声が聞きたいかなーって。」
男「んーやっぱりバレちゃうか。実は会社が潰れちゃってさ。」
男「まぁね、でも、ちょっと蓄えが残ってるし、このまま新しい仕事探すわ。」
男「いやいや、そうならないために仕事を探すわけでね。」
男「ああ、ホントにそうなったら一回戻るから。」
男「うん。今日のところはそれだけ。」
――――――――――
男「あ、もしもし? おふくろ? いや、たまには……って昨日の今日だっけ。」
男「ま、バレるもなにもないか。実はアパート燃えちゃってさ。」
男「いや、どうも放火みたいだわ。というわけだから……その。」
男「通帳は燃えたけど、キャッシュカードは持ってるから。」
男「うん。かなり予定が早まったけどね。」
男「というわけで、不肖の息子ただいま戻りました。」
母「ああ、おかえり。」
男「親父は?」
母「仕事に決まってんでしょ。」
男「愚妹は?」
母「大学。もうすぐ戻ると思うけど。」
男「そうか。」
母「あんた荷物それだけなの?」
男「アパート全焼したし。コレもパソコンと途中で買った着替えしか入ってないよ。」
男「俺の部屋ってまだ残ってる?」
母「半分物置になってるわ。あんたあの部屋使う気なの?」
男「そこ以外のどこで生活しろと?」
母「居間でいいじゃない。」
男「プライバシーねえじゃん。」
母「家族なんだし気にしないわよ。」
男「俺が気にするんだよ。」
母「ほんとにあの部屋使うのかい?」
男「そのつもりだけど、なんか不味い事でもあんの?」
母「あの部屋、出るっぽいんだよ。」
男「蜘蛛か? 百足か? 今に始まったことじゃないでしょ。」
母「幽霊だよ。ユーレー!」
男「俺そんなもん信じてないし。」
母「じゃあ、適当に片付けて使いなよ。どうなっても知らないよ。」
男「うん。使わせてもらうわ。」
母「あ、あの部屋はエアコン付けてないからね。」
男「という事は、他の部屋には取り付けたってことか。」
母「思い切っていろいろ電化にしたけど、あの部屋は使う予定なかったしね。」
男「ストーブあまってるのない?」
母「やめてよ。アパート火事になったんでしょ。」
男「火元は俺じゃないっての。」
男「あー、懐かしいな。てか、こんなに狭かったっけ?」
男「つーか、物置にするにしても、もう少し規則的に収納しとけと。」
男「テレビはつくな……映らないのはアナログだからか。チューナー買うか。」
男「これはコタツか。エアコンあるから出してないのな。」
男「丁度いい。この部屋の暖房はコレ使おう。」
―くすくす―
男「?」
男「近所のおばさんでも来てんのかね。」
母「お? 出かけるの?」
男「テレビが映らん。チューナー買ってくる。」
母「じゃあ、帰りに卵買ってきてよ。」
男「いいよ。ん? 誰か来てたんじゃなかったの?」
母「何が?」
男「何でもない。」
男「とりあえずこれでテレビは映るようになった、と。」
男「たまにはコタツも風情があっていいもんだよね。」
―うん!―
男「?」
男「テレビの音か? ちょっとボリュームを……」
男「ていうか、リモコンどこ行った? コタツの中とか?」
―きゃっ!えっち!―
男「…………」
男「…………」
娘「こ、こんにちは。」
男「俺にこんな小さい妹いたっけ?」
娘「こんな、って? 見えるんですか?」
男「何が?」
娘「私が。」
男「テレビのリモコン握りしめてコタツに潜り込んでる女の子以外は何も見えんな。」
娘「それ、私です。」
男「で?」
娘「はい?」
男「誰?」
娘「何が?」
男「君が。」
娘「私?」
男「質問文に対し、質問文で答えるとテスト0点なの知ってた?」
娘「私は会話が成り立たないアホじゃないです!」
男「その返答には百点満点あげる。で、誰?」
娘「えーと、う―…私はコタツワラシです。」
男「なにそれ?」
娘「コタツに住む神様? みたいな?」
男「座敷ワラシみたいなもん?」
娘「座敷ワラシじゃないです!」
男「ふーん……」
娘「信じていただけるんですか?」
男「いや、ぜんぜん。」
娘「じゃあ、信じてください。」
男「無理。」
娘「どうしてですか?」
男「勝手に人の部屋に入り込んでリモコン隠した半袖・短パンの子供にしか見えないから。」
娘「ああ、あなたには私が見えてるんでした。じゃあ、ちょっとついてきてください。」
娘「どうです? あなた以外に私に気付いた人、いました?」
男「隣のおばさんや、ウチのおふくろがグルじゃないっていうなら、いなかったかな。」
娘「私は子供にしか見えないんです。」
男「うん、どう見ても大人だとは思えないね。」
娘「そうじゃなくて、私を見ることができるのは子供だけなんです。」
男「でも、俺には見えてるわけで。」
娘「じゃあ、あなたは子供なんですね。」
男「いや、俺25ですよ? 酒も煙草も合法だし。この歳で子供って無理があ……!?」
娘「今、思い浮かべた基準で間違いないと思いますよ。」
男「ヤメテ!そんな憐みの眼差しを向けないで!」
>>24
おさわりまんこっちです
おさわりまんこっちです
男「はぁ……」
娘「もともとこの部屋に住んでた人ですよね?」
男「そうだけど。」
娘「なんで戻って来たんですか?」
男「彼女に振られて、勤めてた会社が潰れて、住んでたアパートが全焼した。」
娘「弱り目にたたり目というやつですね。」
男「そんな簡単に済ませないでよ。」
娘「踏んだり蹴ったり?」
男「余計に簡素になってるから。」
娘「泣きっ面に蜂?」
男「マジで泣きたい。」
つまりこの子を襲えばこの子は見えなくなっちゃうのか
ウアァァァァァ…
ウアァァァァァ…
娘「落ち込まないで、禍福はあざなえる縄のごとしって言うじゃないですか。ね?」
男「今のところ禍禍禍だけどな。縄じゃなくてミサンガ編めるぞ。」
娘「でもまあ、これからはいい事ありますよ。」
男「良く当たる占い師が言いそうな言葉だよね。」
娘「ほんとですって。私を追い出さなければ……ですが。」
男「なにそれ?」
娘「私を見た人には幸運が訪れるんです。」
男「座敷ワラシじゃん。」
娘「あ、いや、違います。コタツワラシです。」
男「そもそもコタツワラシとか聞いたことないし。」
娘「とにかく、座敷ワラシじゃないんです。」
男「座敷ワラシが嫌いなの? 同一視されんの嫌?」
娘「座敷ワラシってバレたら奥座敷に閉じ込められちゃうでしょう?」
男「…………」
娘「あちゃー……」
男「だが……マヌケは見つかったようだな。」
娘「シブくないです!まったくぜんぜんシブくないですから!」
男「まあ、別に何ワラシだっていいけど。」
娘「閉じ込めたりしないですか?」
男「そもそも閉じ込めるってなんだよ?」
娘「私達がいる所は栄えるんです。でも、ずっといるわけじゃなくて、適当な時期に他へ移るんです。」
男「ああ、家が廃れるのが嫌だから立ち去れなくするわけか。」
娘「別に、いなくなったからって即座に家が潰れるわけもないですけどね。」
男「じゃあ、我が家は君が居るから順風満帆ってこと?」
娘「私はこのコタツに憑いているので。家計には干渉してません。」
男「このコタツだけが人生バラ色ってこと?」
娘「そうですね。このコタツに入る人だけ幸運を授けます。」
男「でも、このコタツは使われていなかった、と。」
娘「だからこそ憑いたわけです。人目を忍ぶ意味でも。ね?」
男「なんで? 人を幸せにするのが嫌になったとか?」
娘「嫌じゃないですよ。でも、私は下手っぴだから幸せに出来なくて。」
男「どういう事?」
娘「大体の人は幸運が続くとそれが当たり前になっちゃって、欲に溺れてしまうんです。それが嫌で……」
男「そんなのは本当の幸せじゃない(キリッ!ってことですね。」
娘「その言い方、なんか癪に障りますね。」
娘「それに、そういう感じになっちゃった人は私を閉じ込めようとするんです。」
男「閉じ込められるのは、まあ、嫌だろうね。」
娘「そしたら子供も遊んでくれなくなっちゃうし。」
男「遊ぶって何? おはじきとか毬つきとか……あとアレ、お手玉とか?」
娘「そんな時代遅れの遊びはしないです。バカにしないでください。」
男「バカにしたわけじゃないよ。ルールとかよくわかんないことだと遊べないな。と思ってね。」
娘「遊んでくれるんですか?」
男「内容によるってば。」
娘「時代はハミコンですよ!」
男「ナウい……って言えば君の時代に追い付けそうだね。」
>>42
はえーよ
はえーよ
男「で、俺はこのコタツ使うつもりなわけだ。」
娘「どうぞどうぞ。」
男「どうする? 次の家を探して移る?」
娘「追い出さなければって言ったじゃないですか。しばらくは居ますよ。居てもいいならですが。」
男「嫌じゃない?」
娘「あなたはカラ元気振りまわしてますけど、心が泣いてるじゃないですか。少しくらいいいかと。」
男「心が泣いてる……だってお!」
娘「照れ隠しですよね? 茶化さなくてもいいですよ。」
男「…………」
娘「今度は怒ってみせる気ですか?」
男「……いや、ごめん。」
娘「あ、すいません、私も短慮でした。」
男「ところで、閉じ込めるのってどうやるの?」
娘「聞いてどうするんですか?」
男「気になっただけ。教えたくないなら別にいいよ。」
娘「部屋の周りに縄をはわせてお札を貼るんです。」
男「結界っていうので合ってるかな? そういうのを張るわけね。」
娘「ええ、ちなみに蔵や土間に縛られる事もありますよ。自分で憑く事もありますが。」
男「座敷ワラシなのに?」
娘「そういう場合はクラボッコとかコメツキワラシって呼ばれますね。」
男「今のところ追い出すつもりは無いけどさ、具体的にはどうなの?」
娘「何を訊かれているのか分かりません。」
男「寝る場所とか、食う物とか、いろいろ。」
娘「私は寝なくても大丈夫ですし、食べなくても死にません。」
男「経済的だな。」
娘「気分次第で寝る事もあれば、食べる事もありますけど。」
男「あくまで、出来ないんじゃなくて、しなくていいだけか。」
娘「寝るときはコタツで寝ようと思います。私は風邪も引かないし。」
男「座し……コタツワラシって何食べるの?」
娘「人間の食べるものなら食べられます。ただ、食べると、その……後で出すことになりますが。」
男「吐くの?」
娘「吐いたりしません!人間と同じです!」
男「ああ、要するにウンk……痛っ!蹴るなよ!」
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