元スレ男「妖怪だと・・・?」妖怪女「・・・」
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301 = 1 :
鬼「下手に修行をして力をつけても、退魔師に感づかれる」
鬼「そこで俺は、全国を行脚し、低位の妖怪どもに話をして回った」
鬼「東京のビップ山に切り札がある。それを使える日が来たとき、ビップ山に集えと」
女妖怪「切り札とは・・・老人の事か」
鬼「そうだ。俺は老人の妖力を用いて、人間に復讐しようと考えた」
鬼「だが、待てども待てども老人の妖力は衰えず・・・。気づけば300年が経っていた」
鬼「そんなある日の事だ。封印が、一瞬だけ緩んだ瞬間があった」
男「それって・・・もしかして・・・」
鬼「俺はすぐに分かったよ。九州でアンタの封印が解けたんだろうと」
鬼「老人の妖力の半分はアンタの妖力だ・・・。アンタの体に戻ろうとするのが自然なこと」
鬼「その妖力が緩んだ瞬間を狙い、俺は封印を解き、老人を食らった」
女妖怪「そうか・・・。私の妖力が老人の妖力と混ざりそれで私は妖力移動の術を・・・」
鬼「そして、今に至るわけだ。どうだ、女妖怪・・・いや、葬姫。これがお前の愛した男の最期・・・そして!!」
鬼「この黒い妖気の塊こそが、老人なのだ!!!」
302 :
胸熱
303 :
いい展開だな
304 :
鬼「俺はこいつと同化し、東京を壊滅させる」
鬼「そして、日本を妖怪の国にするのだ!! フハハハハハ!!!」
鬼は高らかに笑うと、黒い巨人に取り込まれていった。
女妖怪「男よ」
男「・・・なんだ」
女妖怪「この黒い巨人。これは、様々な妖怪の思念、憎悪、感情がこもっておる」
女妖怪「いわば、妖怪の集合体じゃ」
男「うん・・・」
女妖怪「じゃがの」
女妖怪「この巨人を構成してまとめているのは、老人の妖力」
女妖怪「つまりこいつは、妖力の集合体とも言えるのじゃ」
男「女妖怪・・・・。お前まさか・・・」
女妖怪「男よ。今から私は、この巨人を全て吸収する」
305 = 1 :
男「無茶だろ。こんなでかいくて禍々しいの吸収したら・・・お前の体がもたんだろ!!」
女妖怪「・・・老人の妖力が相手では、私でも太刀打ちできん」
女妖怪「私は本気で老人に戦いを挑み、勝った事は一度もない」
女妖怪「じゃが。今は老人の、妖力吸収を使う事が出来る」
男「あいつの体を吸って! それでその後、お前はどうなる!!」
女妖怪「・・・男よ」
女妖怪「お前は私の主じゃ。その首飾りで、私の妖力を吸収できる」
男「!!!」
女妖怪「良いか男。私があの巨人の妖力を全て吸収した後・・・・その首飾りに、私の妖力を全て移せ」
男「そんなことして・・・大丈夫なのか!?」
女妖怪「わからん。その首飾りが妖力を吸収できる限界を超えるかもしれん。
女妖怪「だがな」
女妖怪「ここで、やらないわけにはいかんのじゃ・・・!」ギリッ
307 = 1 :
女妖怪の握り締めた拳がワナワナと震えていた。
男「女妖怪・・・」
女妖怪「男よ」
男「・・・なんだ」
女妖怪「猫又を頼む」
男「何言ってんだよ・・・。これから死にに行くみてえじゃねえか・・・」
女妖怪「そんな気は毛頭ないが・・・念のためな」
男「くそっ・・・!! お前は最強だろ!? 俺の僕だろ!! 死ぬわけないだろ!!」
女妖怪「・・・・・・それも、そうじゃな」ケタケタ
女妖怪「それと、もう一つだけ」
女妖怪「もし私が死んだら、そのときは」
女妖怪「男・・・お主が、人間と妖怪との架け橋になってくれ」
308 = 1 :
女妖怪が走り出す。
黒い巨人がその巨体に似合わぬ速度で反応するが、
それよりも更に速く、女の術が発動する。
「ぐぅうおおぉぉおぉおおお!!!!???」
黒い巨人を、緑の光が包み込む。
その光が、滝のように女妖怪へと吸い込まれていった。
女妖怪「ぐっ・・・くっ・・・ううううう!!!!」
歯を食いしばるその表情が、男の胸に突き刺さる。
女妖怪の思いを、無駄にはできない。
男「おおおおおおお!!!」
女妖怪が吸い取った妖力を、男が首飾りに注ぎ込む。
310 :
しゅ
311 = 1 :
黒い巨人の体は見る見るうちに小さくなり、やがて消滅した。
後には何も残らなかった。
女妖怪が、静かに体を地に伏す。
その体から、男の首飾りへ。
溢れんばかりの緑光が降り注ぎ。
その光が消えようとした頃。
乾いた、小さい音と共に。
男の首飾りが割れ、粉々に砕けた。
312 :
おい
おい
313 :
315 = 1 :
ヒュゥゥー、と。
風が空を切る音が聞こえた。
風が撫ぜるは、草木の葉。
女妖怪の長い髪。
男の頬。
そして、粉々になった首飾りのかけらも、風に乗り、空のかなたへと消え去った。
316 :
なんつーか
VIP向けじゃないな
317 = 1 :
男は、空を見上げる。
いつの間にか、夜になっていた。
風で雲も吹き飛んだのか、星がいくつもいくつも見えた。
男「・・・女妖怪」
倒れこんだ女妖怪に歩み寄る。
その意識は、ない。
呼吸を、していない。
男「・・・・女妖怪!!」
何度呼びかけても、何度ゆすっても。
女妖怪は何の反応もしなかった。
318 = 1 :
猫又「女妖怪様・・・?」
いつの間にか、猫又がいた。
男「猫又・・・女妖怪が・・・」
猫又「・・・男」
猫又「全てを話せ」
―――
――
―
319 :
おいおいおいおい
320 = 1 :
―
――
―――
猫又「なるほど・・・そんな事が」
男「女妖怪は・・・。自分の命を犠牲にしてまで・・・」
猫又「・・・・いや」
猫又「女妖怪様は死んではおらん・・・」
男「!? ほ、本当か!!」
猫又「かすかに生気はある・・・だが」
猫又「・・・妖力が無い。永い眠りにつかれるだろう」
男「・・・どれくらい?」
猫又「少なくとも、この様子では、500年は・・・」
男「500・・・年・・・」
がっくりと、男はうなだれた。
321 :
>>319おーにぃっぽーにぃっぽーにぃっぽーにぃっぽー
322 :
なける
324 = 1 :
猫又「男よ」
男「・・・なんだ」
猫又「悲しいか」
男「・・・あ?」
猫又「女妖怪様が眠りにつくことが、悲しいか」
男「あたりまえだろ!! お前は悲しくないのかよ!!」ドンッ
猫又「・・・・・・」
猫又「・・・・いや、な」
猫又「女妖怪様とお前はまだ知り合って日が浅い」
猫又「それだというのにお前は女妖怪様を本気で心配し、全力で助け、そして心の底から悲しんでいる」
猫又「もし、全ての人間がお前のようであれば」
猫又「・・・あるいはな」
猫又「そういうのも、悪くないと。私は今・・・そう思った」
男「猫又・・・」
326 = 325 :
あ すまん
327 = 1 :
猫又「女妖怪様は最期に言い残したのだろう」
猫又「お前に、人間と妖怪の架け橋になるよう」
男「・・・・・・・」
男「・・・・・それは」
男「女妖怪が死んだらの話だ」
猫又「・・・では、お前はこの先どうする?」
猫又「女妖怪様の意思を、継がないのか?」
男「そんなわけはない」
男「勿論、妖怪と人間をつなぐ架け橋にはなりたい」
男「だけど・・・それを、女妖怪にも見せてやりたかった・・・」
猫又「・・・・・男」
男「猫又。お前は後、500年生きられるか?」
猫又「わからん・・・。だが私はあくまでも低位の妖怪だ。多分、死んでいる」
猫又「まあ、子孫なら残せるとは思うが・・・」
331 = 1 :
男「なぁ、猫又・・・」
猫又「・・・なんだ」
男「目が覚めて」
男「自分の夢が叶っていても」
男「自分のことを覚えている人がいないんじゃ」
男「寂しすぎるよなぁ・・・・・」
猫又「男・・・・」
山の麓。
二人は夜が明けるまで、じっと佇んでいた。
――5、了
332 :
これで終わり?
333 = 1 :
終わり
334 = 314 :
まだあるんだろ?なあ?
335 :
これからエピローグでしょ
336 = 322 :
乙 おもしろかった。
337 :
どうなったんだよー
338 = 1 :
6
光の差し込む洞窟。
そこで目を覚ました一人の女性。
女妖怪「・・・・・」
女妖怪「私は・・・・」
女妖怪「そうか・・・。眠りに・・・」
女妖怪「・・・・・・・・」
周りを見渡すと、そこはかつて自分が一度封印された部屋に酷似していた。
女妖怪「あれからどれほどの時間が経ったんじゃ・・・」
女妖怪「・・・男・・・・猫又・・・・」
女妖怪「・・・・・・・・・」
女妖怪「一人ぼっち、かのう・・・」
女妖怪「・・・・寂しいの」
340 :
お・・・おう・・・
すごいな
なんかすごいわ
普通に感動できた
>>1乙
341 = 1 :
女妖怪「世界はどうなったんじゃろうか・・・」
女妖怪「人間と妖怪が、仲良く暮らしてるんじゃろうか」
女妖怪「・・・・・・」
女妖怪「男は・・・女とでも結ばれたんじゃろうか・・・」
女妖怪「・・・もう、死んだんじゃろうな」
女妖怪「猫又も、生きてはおるまい・・・」
女妖怪「・・・・・・・」
女妖怪「外にでも、出てみるかの」
思い体を動かすと、何者かの気配がした。
342 = 1 :
思い× 重い○
343 = 1 :
女妖怪「え・・・・」
振り返るとそこにいたのは。
男「・・・・・・」
女妖怪「おと・・・こ・・・?」
男だった。
344 = 310 :
私怨
345 = 1 :
男「・・・え!? 俺のことを知ってるんですか!? だ、誰ですか・・・」
女妖怪「忘れたのか・・・? 女妖怪じゃよ・・・!!」
男「妖怪だと・・・?」
女妖怪「・・・」
男「なーんちゃって。ふざけてごめんよ、女妖怪」
女妖怪「男・・・! やはり男なのじゃな!!」
女妖怪「あれから何年たった!? 何故、生きておるのじゃ!?」
女妖怪「話したいこと・・・たくさんありすぎて・・・」ポロポロ
男「ははは。泣くなよ、女妖怪」
男「でも、ごめんな」
男「時間が・・・・ないんだ」
346 = 337 :
ふむ
347 = 1 :
女妖怪「え・・・?」
男「簡潔に説明する。今はあの時から524年経った」
女妖怪「・・・・・男?」
男「俺と猫又と友と・・・。みんなで協力して、多分今の世界は、みんなが手を取り合って生きてる」
男「女妖怪と一緒にその世界を見られなくて残念だ」
女妖怪「・・・もうよい・・・やめろ・・・・」
男「忘れないで欲しい。お前は一人じゃない」
男「どこかにいる友の子孫、女の子孫、猫又の子孫・・・。みんな、お前の仲間になってくれる」
男「だから、安心して生きてくれ」
女妖怪「男・・・・。そうだよな・・・」
女妖怪「500年以上経っているのに、男が生きているはずないな・・・」
女妖怪「男・・・私は、こんなことをさせる為に、お前の人生を、奪ってしまったのじゃな・・・・」
女妖怪「もうよいのじゃ・・・。わかっておる・・・。お主・・・・・憑依妖怪・・・じゃな・・・」
348 = 1 :
男「すみません・・・。ですが、もうこの肉体を保つのも限界で」
男「貴女が今日目覚めてくれて、助かりました」
女妖怪「やめろ・・・。その姿で話すでない・・・」
男「しかし、私がこの肉体から出れば・・・」
女妖怪「良いのじゃ・・・。男はもう、死んでおる・・・」
次の瞬間、男の体は崩れた。
文字通り、頭から足の先まで、一瞬にして、粉々に。
349 = 337 :
oh…
350 = 1 :
女妖怪「男は・・・いくつで死んだ」
憑依妖怪「23の時です」
憑依妖怪「男さんが22の時、妖怪と人間は正式に和解しました」
憑依妖怪「もっとも、妖怪の実在に人間は驚いておりましたが」
女妖怪「それで・・・男はどうした・・・」
憑依妖怪「・・・この肉体を使って、女妖怪様が目覚めるまで待ってやってくれと」
憑依妖怪「私の一族で順番に肉体を保ち続け、そして今日が来ました」
憑依妖怪「粋なマネをしたのは分かっています。ですが、これが男さんの望みでした」
女妖怪「・・・・男の。大バカめが・・・!!」ポロポロ
女妖怪の目からは、とめどなく涙が溢れていた。
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