元スレセシリア「Let Me Be With You」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
1 :
秋もいい感じに深まってきた、とある日の午後。
イギリス代表候補生セシリア・オルコットは、一大決心をしていた。
セシリア(今日こそ…今日こそは!一夏さんをデートに誘うのですわ!)
今まで幾度となくチャンスはあったものの、諸般の事情によりことごとくそれをフイにしていた。
だからこそ、今日は絶対に成功させなければならない。
彼女は織斑一夏の部屋の前までやって来ると、深呼吸をし、脳内でシミュレーションを行った。
時間にして1分ほどであるが、この間誰にも見つからなかったのは、幸いといえる。
コンコンと軽くノックをすると、中から意中の人が姿を現した。
2 :
どれどれ
3 :
今日も元気だ飯がまずい
4 = 1 :
一夏「ん?セシリアか。どうした?」
セシリア「い、一夏さん!実は、その…」
一夏「もしかしてアレか、またマッサージをして欲しいのか?」
セシリア「マ、マッサージもいいですけど…!そうではなくて、その、あの」
一夏「?」
セシリア「もし、よろしければ、その…今度の日曜日わたくしとデ、デ…」
一夏「デ?」
セシリア「デ…デ…デンマーク料理を食べに行きませんか!?」
一夏「」
セシリア(や、やってしまいましたわ────────!)
セシリア・オルコット一生の不覚。なぜここでデンマークが出てくるのか、自分でもわからない。
5 :
ちょびっつ
6 :
うっうーうっうーいぇーうっうーうっうーいぇー
7 :
ウッウーウッウーウー イェイ
ウッウーウッウーウー イェイ
8 = 1 :
しかし意外な反応が返ってきた。
一夏「デンマーク料理って聞いたことないな…面白そうだ。日曜日だな、いいぞ」
セシリア「へっ」
一夏「待ち合わせは駅前のモニュメントで良いか?」
セシリア「え、ええ」
一夏「時間はどうする?その店って遠いのか?」
セシリア「い、いえそんなに遠くはないですわ…」←適当
一夏「じゃあ11時に駅前で。デンマーク料理かー、どんなんだろうな」
バタム
セシリア(キ、キ、キ…キマシタワー!!)
まさに結果オーライ。二人きりで出かけるということは実質デートのようなものである。
9 = 1 :
ただ一つ気がかりがあった。
セシリア(デンマーク料理の店が近くにあるんでしょうか…)
彼女は携帯電話を取り出し、幼なじみのメイドに調べてもらうことにした。
しばし待つ事、数十分。
チェルシー『お嬢様、先程の件ですが』
チェルシー『駅前のショッピングモールの地下に【コペンハーゲン】という名前のデンマーク料理専門店がございます』
あった。しかも何か妙にわかりやすい名前。
10 :
ちょびっツかと思った
12 :
チェルシー『あ、それとお嬢様』
セシリア「なんですの?」
チェルシー『当日はやはりあのレースの下着を身に着けられるのでしょうか?私としましては』
セシリア「う、うるさいですわ!///」カアア
ピッ ツーツーツー
セシリア「まったく、もう…」
とりあえずレストランが存在していたのは幸運だった。最後のチェルシーの気遣いは余計だったが。
14 = 12 :
そんなこんなで日曜日。
天気はさわやか過ぎるほどの秋晴れ。
もしかしたらこれは、ある少女が天に向かって祈り続けた結果なのかも知れない。
そんな中、織斑一夏は駅前に向かって走っていた。
約束の時間までまだ余裕はあるが、待ち合わせの相手を考えるともう既に随分待たせている可能性もある。
一夏(えーっとセシリアは、と…。お、いたいた)
その相手を雑踏の中から探し出すのは簡単だった。
日の光を受けてキラキラと輝く美しいブロンドのロングヘアー。
特徴的な青いヘッドドレス。
何より彼女が漂わせている、高貴さとでもいうべきか一種の独特な雰囲気が周りから存在を際立たせていた。
一夏「よっ、セシリア!すまん、だいぶ待たせたか?」
セシリア「そ、そんなことありませんわ!わたくしも先程来たところですの」
…というのは大嘘で、実は1時間前には既にここに着いていた。
15 :
地の文もさっぱりしてて読みやすい。期待してる
支援
16 = 12 :
セシリア(今日は待ちに待った一夏さんとのデート…気合が入らないわけがありませんわ!)
と、いつものISの模擬戦闘時よりも張り切り具合が凄いセシリアの一方で。
一夏はというと、そんなセシリアをじっと眺めていた。
一夏(にしても、私服姿というのはこれほどイメージが変わるもんなのか)
気品が感じられる茶色の高級そうなロングジャケット。
白いフリルのついた清楚なブラウス。
少し長めのプリーツスカート。黒のブーツ。
一夏(なんつーか…可愛いな、普通に)
彼女の元々のビジュアルの良さも相まってか、一夏はしばらくセシリアに見入っていた。
セシリア「…一夏さん?」
一夏「…あ、すまん。よし、じゃ行くか」
セシリア「ええ♪」
17 :
完結してくれよ!
18 :
今日感テレビ
19 = 12 :
ショッピングモール内。日曜で尚且つ晴天ということもあり、人で溢れている。
一夏「へぇ。ショッピングモールの地下にそのデンマーク料理屋があるのか」
セシリア「ええ。最近できたばかりらしいですわ(チェルシーの報告によると)」
一夏「どんな料理なんだろうなぁ」
セシリア「系統的にはドイツ料理に近いらしいですわ(チェルシーの報告によると)」
一夏「そうか。しかしまだ昼飯の時間には早いな…ちょっとブラブラするか」
こうしてショッピングモールを見て回ることに。
このときセシリアの頭の中ではチェルシーのアドバイスが思い返されていた。
チェルシー『お嬢様、デートというからにはやはり手をつなぐ事が肝要になると思われます』
セシリア(て、手をつなぐなんて…どうやって切り出したものか…。でも迷っていても始まりませんわ!)
20 = 12 :
セシリア「い、一夏さん…あ、あのよろしければ手、手を、手を…」
一夏「てお?」
セシリア「テオ…ドリック大王はご存知ですか?」
一夏「」
セシリア(ま、またやってしまいましたわ────────!)ガーン
ちなみにテオドリック大王とは東ゴート王国という国をつくったえらい人である。
21 :
オルコッ党歓喜!!
22 = 12 :
セシリア「そ、そうではなくて手をつ、つな、つなぎ…」
一夏「手をつなぎたいのか?ほら」
セシリア「ひゃぁ!?///」
いきなり手を握られ動揺するセシリア。
一夏(セシリアの手冷たいな。確か手が冷たい人は心があったかいんだっけか)
セシリア「い、一夏さん…」ドキドキ
一夏「はぐれたら大変だもんな。さ、行こうぜ」
セシリア「は、はい(何か微妙に意味合いが違う…)」
それでも胸の高まりは正直さを物語っているのだった。
23 = 21 :
ほほぅ
24 = 12 :
二人はまずCDショップへ。
セシリア「色んなジャンルのCDが並んでいますわね。新鮮ですわ」
一夏「もしかしてこういう場所に来るのは初めてか?」
セシリア「生まれてこの方、自分でCDを買ったことがありませんわ」
一夏「マジか」
一夏(確かに、貴族のお嬢様がCDを買うというのもそれはそれでシュールだな…)
セシリア「ところで、このヘッドホンは何ですの?」
一夏「ああ、それは試聴ができるんだ。最新の曲から未発売のやつまで色々あるぞ」
セシリア「では…」
ヘッドホンを装着するセシリア。
ヘッドドレスと被っており、一夏にはなんだかそれがおかしかった。
25 = 21 :
いいねいいね
27 :
セシリアはちょろ可愛いなあ
28 = 12 :
セシリア「…音が小さいですわね」
一夏「そういう時は、そのツマミを回すんだ」
セシリア「こうですの?」カチッ
ドギャーン!
セシリア「きゃああああああ!」
どうやら最大までボリュームを上げてしまったらしい。しかも運悪く流れていたのはヘビーメタル。
一夏「だ、大丈夫か?」
セシリア「はぁ…なんて危ない機械ですの」
一夏「…プフッ」
セシリア「あ、今笑いましたわね!ひどいですわ!」ポカポカ
一夏「いてて…すまん、つい」
セシリア「まったく…」
29 :
くそっ・・
寝れないじゃないか
30 = 21 :
ほのぼのしてて良いじゃない
32 = 12 :
一夏「そういや、セシリアって普段どんな音楽聴いてるんだ?」
セシリア「主にクラシックですわね。ロックとかポップミュージックはどうも好きになれませんわ」
なるほど、と一夏は納得した。
確か前にバイオリンとピアノをやっていたのを聞いたことがあるし、ある意味イメージ通りと言える。
一夏「どんなクラシックの曲が好きなんだ?」
セシリア「ヴィヴァルディの『四季』の春と夏…バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』辺りが良いですわね」
一夏「主の人の望みの喜びの?」
セシリア「主よ、人の望みの喜びよ、ですわ」
一夏「あ、主の人の望みよ喜びを?」
セシリア「…」
33 = 12 :
一夏(正直クラシックは全然知らないんだよな…)
このとき彼の脳内では運動会の定番であるテンポの速い数曲がリピートされていた。
ただ残念なことに、その数曲も名前がわからない。
セシリア「一夏さんは、クラシックにあまり興味はなくて?」
一夏「そうだなー。何か堅苦しいイメージがあるんだよな」
セシリア「G線上のアリアも聴いたことはありませんの?」
一夏「えーと…どんな感じだったっけ?」
セシリア「ラ~ララララ~♪こんな感じですわ」
一夏「あ、それは聴いたことあるな…たぶん」
セシリア「凄く癒されますわよ。よろしければ今度CDをお貸ししますわ」
一夏「おう、サンキュー」
そうこうして、CDショップを後にする。
34 = 21 :
一夏アホの子かよw
36 = 12 :
本屋にて。
セシリア「広いですわね~」
キョロキョロと辺りを見回すセシリア。遠くの方まで無数の本棚が並んでいる。
一夏「いろんなジャンルの本があるぞ。漫画、小説、参考書その他諸々」
漫画やライトノベルも立ち読みし放題。太っ腹な本屋である。
一夏「セシリアはマンガとか読まないのか?」
セシリア「普段は…小説くらいしか読まないですわね」
漫画の魅力を全く知らないとはなんて勿体無い話だろうか。
そう思い、一夏は一冊のバトル漫画を手渡した。
37 = 21 :
ほほぅ
39 = 12 :
セシリア「…」パラパラ
一夏「どうだ?」
セシリア「何が面白いのかわかりませんわ」
バトル漫画はお嬢様のお気に召さなかったらしい。だが彼はそう簡単に諦めるつもりはない。
一夏「じゃあこれは?」
セシリア「表紙からしてインパクトがありますわね…」
一夏がチョイスしたのは有名なギャグ漫画だった。
セシリア「…」パラパラ
一夏「どうだ?」
セシリア「…くすっ」
一夏(お、いい反応だ。これはきたか?)
セシリア「ふふ、ふふ…ふ、あはははははは!」
一夏「」
40 = 21 :
画太郎はやめとけ
41 = 12 :
大声で笑い出すセシリアお嬢様。周りの人々が一斉にこちらを振り向く。
一夏「(どんだけツボにはまったんだ…)セ、セシリア!」
セシリア「あははは、はぁ、ひぃ…。ご、ごめんなさい」
一夏「そんなに面白かったのか?」
セシリア「あまりにもく、くだらなすぎて…ふふっ、ふふふ」
一夏「そ、そうか」
ギャグマンガに異常に反応を示す…セシリアの新たな一面の発見であった。
そして本屋を後にする。
42 = 12 :
一夏「セシリア、そろそろ昼飯にしようぜ」
時計を見るとちょうど12時を回ったところだった。
二人はショッピングモールの地階へ向かった。
地下はフードエリアとなっており、様々な飲食店が軒を連ねている。
セシリア「えっと…あそこですわね」
目的のデンマーク料理店があった。看板にはわかりやすく英語で【Copenhagen】と書かれている。
早速店へ入る。
室内は全体的に照明の明るさが抑えられ、木造のつくりも相まって落ち着いた雰囲気を醸し出している。
一夏「な、なんか結構本格的な感じだな」
近所のファミリーレストランのようなものを予想していた一夏にとって、この店の雰囲気は想像の範囲外だった。
43 :
ちょびっツかと
44 = 21 :
期待してるぞ!!
45 = 12 :
一方セシリアは、メニューを凝視しながら悩んでいた。
セシリア(どんな料理なのかさっぱりな単語ばかりですわ…)
しかも写真がついていない。単にわからなければ店員に聞いてみればいいだけなのだが、彼女のプライドとして気が引けた。
すると、セシリアの目に一つの単語が目に飛び込んだ。コース料理である。
セシリア「い、一夏さん!せっかくですのでコース料理はいかがですか?」
一夏「うーん、デンマーク料理なんて全然知らないし…そうするか」
こうして二人は同じものを注文。
まず前菜として出てきたのは燻製された鴨肉のサラダ。
一夏(うまい…けど量が少ないな)
メインディッシュは豚肉のミートボール。
一夏「普通の肉団子だな、これ」
セシリア「ですわね…」
46 = 21 :
おい、何か妙にリアリティあるな、おいwwww
47 = 12 :
意外と地味なものであった。
後からわかったが、某メイドの情報によるとこれはフリッカデーラといってデンマークでは伝統的な料理らしい。
そして豚肉のローストもついてきた。
セシリア(デンマーク料理は豚肉をよく使うのかしら…)
食事を済ませ、レジへ。
セシリア「支払いは一括でお願いしますわ」
いかにも高級そうな財布から金色のカードを取り出すセシリア。
一夏「っていやいや!俺自分の分払うから!」
正直一夏としてはこっちがセシリアの分も払いたい気分だったが、たぶん彼女のプライド的に無理だろうと思った。
48 = 12 :
一夏「思ったよりも普通だったな、デンマーク料理」
セシリア「でも、店の雰囲気は素敵でしたわ」
二人で手をつなぎながら先程の店の感想を述べ合う。傍から見ればカップルと見間違えてもおかしくない。
セシリア(一夏さんの手、凄くあたたかい…もう今日はずっとこのまま…)
一夏「ん?どした?」
セシリア「い、いえなんでもないですわ!///」
一夏「そうだ。確かシアターもあるんだよな、ここ。セシリア、見に行くか?」
セシリア「も、勿論ですわ!」
49 = 21 :
映画見た後は、もちろんお楽しみタイムだよな!?
50 = 12 :
エスカレーターで最上階まで移動する。
案内板を見ると、今日は4本の映画が上映されているようだった。
『七人のLAST SAMURAI』
『北部戦線異状なし』
『GHOST ROOM』
『永遠の約束』
一夏(時代劇と戦争映画はどうでもいいな…やっぱりここはホラー映画か。面白そうだし)
10代の男女が楽しめるものとしては、彼の選択はまさに最適と言えた。だが。
みんなの評価 : ☆
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