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    元スレ刹那「IS?」

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    みんなの評価 : ★★
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    1 :

    たつかな

    2 = 1 :

    ・劇場版のネタバレ注意
    ・ISが放送中なので途中まで
    ・具体的に言うとセシリア戦まで
    ・一夏はいないよ。なので箒も出てこないよ

    3 = 1 :

     黒い海。
     空の上に広がる無限の大地――――宇宙空間に、その機体はあった。

     機体。そう、機体である。
     白と青のカラーリングが施されたそれは、ロボットと呼称するに相応しく、金属特有の重厚感・荘厳さを見せ付けている。
     ヒトの形をしたそれは、人間と呼ぶにはあまりにも巨躯であったのだ。

    4 = 1 :

    ≪刹那、いけるな?≫
    「ああ、問題はない」

     コクピット内に響く、幼さの垣間見える声に返答しながら、青年――――刹那・F・セイエイはコンソールに指を滑らせる。
     的確に操作を続ける彼の指先は、本来の――人間の――それと違って、冷たく重い光沢を放っていた。

     いや、指先だけではない。
     グローブを外した手だけでなく、目も、鼻も、耳も、全ての部位が灰色がかっている。
     この分ならば、パイロットスーツに覆われている箇所も同様だろう。

    5 = 1 :

     鉛のような質感を持つ彼の体は明らかに異常であるが、刹那も、同行者も、その異常に触れようとすらしない。
     と言うより、異常だとすら感じていないのか。それがごく自然なことであるかのように、刹那はコントロールに集中している。

     最後に一つボタンを押し込んで、刹那は指の動きを止めた。
     それから、前面に展開しているモニターに目をやる。
     端に表示された機体情報を視覚から、そして‘感覚'からも読み取り、刹那は視線を左方へ滑らせた。

    6 = 1 :

     刹那が目を向けているのは、モニターより手前側、僅かなスペースに設置された小さな機械だった。
     周囲の計器類とはやや毛色の違うそのターミナルユニットは、素人目にも後付のものなのだろうことが見て取れる。

     だが、何よりも注意を引くのは、その上に表示されている立体映像だろう。
     成人男性の手のひらぐらいしか身長がない小さな少年が、その場に直立していた。
     光で構成された彼の体躯は、色彩が薄く、微弱ながらに発光している。

    「ティエリア、頼む」

     刹那の合図を受けて、少年、ティエリア・アーデは眼鏡を正す。

    8 = 1 :

    人いたんだよかった


    ≪……行くぞ。
     圧縮粒子、開放!≫


     それと同時、刹那の搭乗する機体――――ダブルオークアンタが、淡い閃光をまとう。
     緑の色に染まったクアンタは、準備運動とばかりに左右の腕を動かし。
     瞬きする間に、消えた。

     後に残されたのは、きらめく粒子だけ。

    9 = 1 :




    「ティエリア、現在位置は?」
    ≪……地球だ。僕達の、故郷……≫


     刹那らが試行したのは、量子化を用いての星間航行であった。
     平均より濃度が高められたGN粒子を用い、彼らの母星である地球へ帰還しようとしていたのだ。

     対話の末に分かり合えた、異邦人を連れて。


    10 = 1 :

     人類の存亡をかけた対話から、早五十年もの月日が経とうとしていた。

     突如地球圏に襲来した異星体、‘Extraterrestrial Livingmetal Shapeshifter(地球外変異性金属体)’、通称ELS(エルス)。

     何の意思も見せず、脳量子波――イノベイターやイノベイド、超兵のみが発信することのできる、特殊な信号――を発信する人間を執拗に狙い、
     自らの体を接触させ、同化することのみを目的とした、その地球外生命体。

     それらの行動は、害意から来るものではなかった。
     彼らが使用する意思疎通の手段は、他者との融合であったのだ。
     故に、彼らは脳量子波を操る人間のみを目標とし、対話を図ろうとしていたのである。

    11 = 1 :


     だがしかし、その真実は、人間には知る由もないことであった。
     ELSによって、人類は一時絶滅の危機にまで追い込まれたほどなのだから。

     その状況を打破し、世界を救ったのが、刹那・F・セイエイ――――ひいては、彼とティエリア・アーデが所属する組織、ソレスタルビーイングだった。
     かつて、紛争を根絶するために武力でもって戦場に介入していた彼らは、未来を勝ち取るために、人々が分かり合うために行動を開始。
     争うためではなく、わかりあうために生み出されたMS、ダブルオークアンタに乗り込み、自身とELSを同化させることで対話を成し遂げ。
     見事、ELSを、人類を破滅から救い出したのである。

     そして、ELSは刹那やティエリアと同行していた。
     人間であろうとも、機械であろうとも融合し、意思の共有を図れる彼らは、クアンタと混ざり合っている。
     故に、多数でありながら一つの固体であるELSとして、彼らは地球へと帰ってきた。
     平和を掴み取った、生き証人として。

    12 = 1 :

     だが。


    「……ティエリア」
    ≪ああ、わかっている。
     ……ここは地球だ≫

     困惑した様子の刹那に、ティエリアは言い淀みながらも答えた。

    ≪……文明レベルが300年以上遡っている地球、だが≫


    13 = 1 :


     一体何が起きているのか、刹那にはさっぱりわからなかった。
     確かに、彼らは量子ワープで地球に跳んだはずだ。
     されど、ここは、刹那の知る地球ではない。
     確かに、景色や外観、あるいは大気や気候などの環境という観点から見れば、ここは地球と言えるだろう。

     だが。
     彼らが慣れ親しんだ世界とは、全く様相を違えているのだ。

    14 = 1 :

    今調べて見たら同じ内容のクロスしてる人がいてうわぉ

     第一に、軌道エレベーターがない点。
     西暦2300年代の世界では、石油資源が底をつき、エネルギーの殆どを太陽光に依存しているのが現状である。
     その事実を、たかが五十年の技術革新で覆すことが出来るとは、到底思えない。
     加えて、軌道エレベーターは、宇宙に伸びる巨大な建造物だ。
     クアンタの現在地は空中、日本上空。この場所からはたまたま見えない、ということはまずありえない。

    15 = 1 :

     第二に。

    「目的地は、日本……だったな」
    ≪……座標設定はそうなっているが≫

     ここが、あの経済特区なのだろうか。
     日本は、先進国の中でも図抜けた経済力を持っていた。
     首都である東京には、経済特区と称した大規模な都市が築かれていたほどである。
     それにしては、この――刹那にとって――前時代的な建築物が軒を連ねる景観には、違和感を覚えずにいられない。

    16 = 1 :

     刹那たちが地球から離れていたのは、ほんの五十年程度である。
     たかが五十年で、あれほど発達していた科学技術が衰退、あるいは刹那らが予想できぬほどに様変わりするなど、誰が予想できようか。

    ≪どうする、刹那≫
    「……情報が少なすぎる。迂闊に動くのは危険だ」
    ≪同意見だ。
     ……僕はヴェーダにアクセスしてみる。そうすれば、何かしら手がかりが得られるだろう。
     刹那、君はプトレマイオスへ通信を≫
    「了解した」

     ティエリアの指示を受け、刹那は通信回線の設定を始める。
     ダブルオークアンタも、ソレスタルビーイングに所属する機体。
     例えELSが入り込んでいようとも、ソレスタルビーイングの母艦であるプトレマイオスとの暗号通信は問題なく行えるはず、なのだが。

    17 = 1 :


    「……?」

     ――――繋がらない。
     ノイズやGN粒子の影響が見られないことから、通信妨害ではない。
     まさか、プトレマイオス側が通信機を取り替えたと言うこともないだろう。
     随分な時間が経っているとは言え、刹那らが旅立ったのはソレスタルビーイングの全員が知り得ていることである。
     クアンタにはオリジナルの太陽炉も搭載されているのだ、刹那のことを忘れたとは考えにくい。

     計器類のトラブルならば、まずはティエリアに報告せねばならない――――
     刹那がそう結論を出すと同時、

    18 :

    しえん

    19 = 1 :

    ≪……何?≫
    「ティエリア?」
    ≪……ヴェーダにアクセス出来ない≫
    「こちらもだ。トレミーへの通信に失敗した」
    ≪……妙だな≫

     ティエリアは顎に手を添え、考え込む仕草を見せる。

    ≪今クアンタの記録をチェックしたが、何者かに阻害されているわけではない。
     僕の方も同様だ。外的要因が原因とは思えない結果が出ている≫
    「故障や破損ではないと言うことか?」
    ≪そう考えるのが妥当だろう。
     衝撃で壊れる通信機はともかく、僕は脳量子波でヴェーダとリンクしている。
     リボンズ・アルマークやトリニティの時のように、強引に切断、あるいはデータが改ざんされた形跡もない。
     ……どうにも不自然だ≫

    20 = 1 :


     淡々と事実を告げるティエリアだが、その声色からは少しの動揺が感じられる。
     ソレスタルビーイングに、より正確に言うのならばイオリア・シュヘンベルグに関する技術は、現在の技術水準を大きく上回っている。
     特に、生体CPUとも言え、破損箇所の修復すら自動で行われるイノベイドが機能不全に陥るなど、なかなか考え難いことだ。

     繋がらない通信、隔絶されたイノベイド、退化した科学文明。
     これらの材料から、刹那は自身の置かれた状況を推察する。

     仮説に過ぎないが、可能性は三つほどある。
     一つ目は、この地球が西暦2364年現在の地球であると言う可能性。
     二つ目は、この惑星が、刹那たちの知る地球と非常によく似た星である可能性。
     三つ目は、刹那たちがタイムスリップしてしまった可能性。

     正直に言ってどれも選びがたいが、現実逃避をしたところで何が解決するわけでもない。

    21 = 1 :

    「ひとまず、クアンタを着陸させる。外壁部迷彩皮膜で隠蔽するぞ」

     空中に静止していては、人目につきすぎる。
     いくらかイメージアップがなされたとは言え、ガンダムに対する市民の心情は未だ複雑なもの。
     下手に見つかって騒がれるのはごめん被りたいところだ。

     目に付いた雑木林へ、クアンタを降下させる。
     刹那の記憶が確かならば、このあたりは東京でも郊外。
     近くにあるのは空き家なので、人がいないだろうと踏んでの行動だったのだが、

    22 = 1 :


    「……え?」
    「……」
    ≪……≫


     いた。
     短く髪を切りそろえた、眼鏡の女性。
     女性らしい出るところが出て、しまるところはしまっているそのスタイルは、やや童顔気味な顔立ちとはミスマッチだ。
     それは、目の前の女性が持ち合わせている魅力とも取れるだろう。

    23 = 1 :


     が、そんなことは意識の外に追いやられていた。
     ソレスタルビーイングに関する事柄は、基本的に機密事項である。
     世界にケンカを売るような連中なのだからそれも当たり前なのだが、
     今晒されているのは、その中でもトップレベルで保持されるべき機密事項であるガンダムと、そのガンダムマイスター。

     いかんせん、この状況はまずい。
     そう判断した刹那の行動は、早かった。
     顔が隠せるヘルメットを被り、拳銃を手にして、コンパネを操作。ハッチを開け、クアンタのコクピットから飛び出る。

     高度は20m程度だが、イノベイターに覚醒し、なおかつELSの能力をも取り込んだ刹那からすれば、この程度はさしたる障害でもない。
     綺麗に足から着地すると、地面を蹴り、女性の背に回る。
     少年兵時代から養われた動きで女性の自由を奪うと、後頭部へ銃口を突きつけた。

    「動くな」

    24 = 1 :

     低い声は、当然女性の耳にも届いているのだろう。
     一般人とは思えない落ち着きぶり――とは言え、緊張の色が見え隠れしてはいたが――で、女性は抵抗の意思がないことを示した。

    「危害を加えるつもりはない。質問に答えるだけでいい」

     本来ならば、このような手荒な真似はしない。
     そもそも、市民と接触しないように行動するのがガンダムマイスターなのだ。
     このような事態に陥る時点で、任務は失敗したも同然である。

     だがしかし、右も左もわからない現状に放り込まれた刹那からすれば、警戒を解くのは自殺行為である。
     争いあうのではなく、対話によって平和を成すはずだったと言うのに。刹那は、自己嫌悪の念を抱かずにはいられなかった。

    26 = 1 :


    「ここはどこだ? 日本なのか?」

     刹那の問いに、固唾を飲み込んでから、女性はゆっくりと頷いた。
     やはり、座標設定に間違いはなかったようだ。
     疑問を氷解させるべく、刹那は次の質問に移る。

    「今は西暦何年だ?」
    「えっ、と……」

     どもりながらも、女性はまたゆっくりと答えた。
     彼女の出した回答に、刹那は眉をひそめる。

     この女性の言うことが本当ならば、文明の段階との辻褄は合う。
     合うが、彼女が述べた数字は、刹那の常識から数世紀ほどズレていた。

    27 :

    俺がっ支援だ!

    28 = 1 :


    「何故お前はこのような場所にいる?」
    「わっ、私は、このIS学園の教師ですから」
    「IS学園?」

     刹那が言葉を反芻するのに遅れて、

    「そこまでだ。
     ……新学期の始まりに、厄介なことをしてくれる」

     刹那の後頭部にも、重たい金属が押し付けられた。


    29 = 1 :


     刹那は、無抵抗の姿勢を保ちながら、二人に大人しく従っていた。

     ELSの、あるいはクアンタの力をもってすれば、人間二人を殺して逃走することなど造作もないことではある。
     そんな選択肢など、最初からなかったが。

     それに加えて、情報を集める必要もあった。
     奇妙なこの世界の現地人に接触でき、なおかつクアンタムバーストなしでも意思の疎通が行える以上、利用しない手はない。

    30 = 1 :

     背後から突きつけられた敵意の塊の感触に耐えながら、
     刹那は学園の敷地内――と言っても、人目につかないルートを選んではいたが――を淡々と通過し、施設の地下へと歩を進めていた。

     しからば、先ほどの雑木林も、話に聞くIS学園とやらの敷地だったのだろう。
     にしては対応が遅かったが、ガンダムにはGN粒子でレーダーをかく乱する効果がある。
     目視によって捉えるしかない上に、ある程度距離を保つと迷彩皮膜で視認が難しくなるのだ。
     それのおかげで、どうやら武装された人間に囲まれるといったことにはならなかった。

    31 :

    脳量子波使えば後ろに近づいてくる事ぐらいわかるだろ

    ところでISってなに?

    32 = 1 :

    >>31
    脳量子波で捉えられるのってイノベイターとイノベイドと超兵だけじゃなかったっけ?
    空間認識能力が上がるのは覚えてるけど

    あとISはインフィニット・ストラトスの略

     さて置き、刹那は自身の前を歩く女性に目をやる。
     女性にしては長身で、着用しているスーツはやけに似合っていた。
     ただ刹那を先導しているだけに見えるが、歩き方一つとっても隙がない。

     例え今ここで刹那が暴れだしたとしても、彼女ならば三秒とかからず鎮圧できるだろう。
     先の眼鏡の女性が後方を抑えているし、下手に抗ったところで徒労に終わる。
     ひとまずは、されるがままでいるしかあるまい、と刹那は思考を打ち切った。

    33 = 1 :

     途端、頭に直接声が響く。
     この感覚は、脳量子波による意思伝達か。

    ≪……刹那、聞こえるか≫
    (ティエリアか。ダブルオークアンタは?)
    ≪GNシステムのリポーズ、外壁部迷彩皮膜の施行も完了している。
     GN粒子の散布も終了した。しばらくしたら、海中へと隠しておく≫
    (すまない、手間をかける)
    ≪気にするな。……そちらはどうだ≫
    (今、現地の人間と思しき二人組に連行されている)
    ≪何だと!?≫
    (心配はない。
     今ここで事を荒立てるつもりはないようだ……もっとも、警戒はされているが)
    ≪当たり前だ!≫
    (情報を収集するには最適の手段だ)
    ≪確かに、状況を把握する必要はある……だが、いくら何でも早急すぎだ!≫
    (ガンダムを見られた以上、このまま逃げ去るのは得策ではない)

    34 = 1 :


     脳量子波による声なき会話を続けていると、刹那の前を行く女性が立ち止まる。
     彼女の右手側にある扉の前まで歩けば、センサーに反応を感知したドアは自動でスライドした。

     ――――入れ。
     アイコンタクトのみで刹那に告げると、スーツの女性は気兼ねする様子もなく部屋に足を踏み入れる。
     刹那は両手を挙げたまま、彼女に続いた。

     眼鏡の女性が一室に入ると、ドアは先と反対方向に滑る。
     その気配を感じながら、刹那は部屋の内部をざっと一瞥した。

     申し訳程度に備え付けられたパイプ椅子が二つと、角ばった安っぽいデスクが一つ。
     地上の様子以上に古めかしいそれらは、まるで刑事ドラマか何かに出てきそうな代物だった。

    35 = 1 :

     スーツの女性は奥側の椅子を無造作に引き、腰掛ける。
     ――――座れ。
     またも、視線のみで言いつけられる刹那。
     反抗する理由もない、と、刹那は足で椅子を引き、無抵抗の姿勢を維持したまま着席した。

    (ティエリア)
    ≪……わかっている。会話の記録はしておこう≫

     未だ納得がいっていないのか、拗ねた調子で返答するティエリア。

    37 = 1 :


    「さて……まずは、そのヘルメットを取ってもらおうか」

     ようやく口を開いたスーツの女性は、ぶっきらぼうな物言いで刹那に命令する。
     逡巡する様子もなしに、刹那はヘルメットを外した。

     出てきた顔の特徴は、浅黒い肌と、ダークブラウンの瞳。
     外皮だけでも取り繕うよう、体内のELSに指示しておいたのが功を奏した。
     晒した顔がもしフルメタルであったら、即座にミュータントと認定されていたところである。

    「その肌……中東人か?」
    「……ああ。クルジスの出身だ」
    「クルジス?」

     スーツの女性の表情が、歪む。
     言葉の真意をはかりかねているようだ。

    (……‘この地球’に、クルジスは存在しないのか)

    38 = 1 :

     中東地帯は、相次ぐテロと紛争によって、一時期ニュースでひっきりなしに名前を流されていた国だ。
     目の前の女性の外見年齢からして、当時は体験していないにしろ、流石にその一切を知らないとは思えない。

     ならば、この惑星に、クルジス共和国と言う国家自体が存在しないのだろう。
     やや短絡的な考え方だが、それ以前に不明瞭の部分が多すぎる。
     差異をはっきりさせておかなければ、行動の指針すら定められない。

    39 = 18 :

    >>31
    ISは他のアニメに出てくる飛行パワードスーツの名称

    40 = 1 :

    「……質問を変えよう。
     言っておくが、黙っていても得はしないぞ。
     ……名前は?」
    「刹那・F・セイエイ」
    「所属はどこだ」
    「ソレスタルビーイング」
    「ソレスタルビーイング?」

     ちら、とスーツの女性の目が動く。
     背後に控える眼鏡の女性に問うているらしい。
     目では見えないが、眼鏡の女性は首を横に振ったようだ。
     ふむ、と一つ鼻を鳴らして、スーツの女性は刹那に向き直った。

    「何を目的としている? 何故ここへ来た」

     こればかりは、刹那も考え込んだ。
     真っ正直に‘地球へ帰りたい’と答えたところで、逆に反感と不信感を買うだけだろう。

    41 = 1 :

     急に返事をしなくなった刹那に対して何を思ったのか、刹那の後ろで押し黙っていた眼鏡の女性が口を開く。

    「あの……さっきの大きなISは?」
    「IS?」

     クアンタのことだろうと大体目星をつけていた刹那が耳にしたのは、聞き慣れない単語だった。
     IS。何らかの略称なのだろうか。脳内を検索してみるが、該当するものはない。

    「インフィニット・ストラトスのことです。あの、貴方が乗っていた」
    「インフィニット・ストラトス……」
    ≪……ストラトス≫

     ストラトス。そのワードに、刹那とティエリアの心が微細に揺れた。
     思い出される、戦友の顔。変革の意思を託して逝った、彼らの盟友、ニール・ディランディ――――ロックオン・ストラトス。
     そう言えば、ニールの弟である彼は――――ライル・ディランディはどうしているだろうか。
     五十年もの歳月が経過しているのだ、とっくに隠居しているだろうが。

    42 = 1 :

     刹那の回想を断ち切るように、スーツの女性は繰り返した。

    「……やはり、IS関連か。
     もう一度言う、黙っていても得はしないぞ」
    「ISとは、何だ?」
    「何?」

     刹那が疑問をぶつけると、スーツの女性は面食らった様子を見せる。
     どうやら、そのインフィニット・ストラトスとやらは、常識に近しいモノらしい。

    「とぼけているのか?」
    「……」
    「……」

     我慢比べのように、二人して口をつぐむ。
     やがて根負けしたのか、スーツの女性は渋々と口を働かせた。

    「……黙秘したところで、お前はここに館詰めだ。
     防衛網を掻い潜って来た侵入者を、むざむざ放っておく道理はないからな」
    「……」

    43 :

    刹那「石原慎太郎?」

    44 = 18 :

    面白くなりそう 支援

    45 = 1 :

     さて、どうする。
     ELSによって体を金属に変えた刹那は、基本的に不老であり、その上、モノを食べなくても死なない。
     故に、どれだけ閉じ込められようが、どんな環境に放り出されようが、よほどの事がない限りは死なないのである。
     この時点で、女性の脅しは半分ほど意味をなくしていた。

     が、彼にはまだ果たすべき事があるのだ。
     ここでずるずると過ごすことは、時間の浪費に他ならない。

     そして、刹那は決断した。

    「……わかった。話そう」
    ≪刹那!?≫


    46 = 1 :


     刹那が話したのは、数世紀先で起きた(と思われる)出来事だった。
     軌道エレベーターの建設、
     それにより一部地域で頻発した紛争、テロ、
     ソレスタルビーイングによる武力介入の開始、
     独立治安維持部隊アロウズの結成、
     イノベイドとの争い、
     そして、変革する世界。

     自身がガンダムマイスターであり、イノベイターであること、
     ガンダムの力によって、自身がここへ跳躍してきたこと。

     ただし、ELSに関しての情報は全く明かしていない。
     あくまでクアンタの量子ワープのテストによって転がり込んできたことにしていた。
     ここで外宇宙から訪れたエイリアンを話題に出そうものなら、解剖実験をされてもおかしくはないからだ。

    47 :

    刹那「ISF?」

    48 :

    みてるぞー 期待しえんた

    49 = 36 :

    ELSISで刹那さんが無双するわけですな
    支援

    50 = 1 :

    「…………」

     荒唐無稽とも言える話を聞き終えて、スーツの女性は複雑な表情を作る。
     女性が腕を組んで思慮の海に沈んでいる間、刹那はティエリアとの会議を行っていた。

    ≪……刹那≫
    (わかっている。これは危険な賭けだ)
    ≪ああ、いくらなんでも軽率すぎる。
     これで、僕たちの存在が多くの人間に知れ渡れば……≫
    「……本気で言っているのか?」

     ティエリアとの言葉に被って、スーツの女性が問いを投げかける。
     対する刹那は、首肯するだけだ。

     訪れる沈黙。
     数十秒にも数分にも感じられる重い時間が過ぎるが、
     不意に、眼鏡の女性が退室していった。


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