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    元スレのび太「努力なんて・・・」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★
    タグ : - のびちゃん×のんちゃん + - のび太 + - べジータ + - ドラえもん + - 出木杉 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    先生「野比君の成績なら、ワンランク上の○○大でも狙えると思うのですが・・・」

    玉子「ええ、私もそこを勧めていて・・・」

    のび太「いいんです」

    先生「でも・・・」

    のび太「××大の教育学部で勉強したいんです」

    先生「・・・わかりました。確かに教育学なら××大ですよね。野比君の気持ちがそこまで固いなら私は何も言いません。お母様としてはどうですか?」

    玉子「そうですねぇ、本人がそう言うなら・・・」

    先生「決まりですね。冬の入試本番まで、気を抜かなければ絶対に合格出来るレベルです。頑張っていきましょう」

    のび太「はい」

    先生「進路に関しては以上ですが、野比君の方で、何か困っていることとかありませんか?」

    のび太「いえ、大丈夫です」

    先生「・・・わかりました。何かあったらいつでも相談してくださいね」

    のび太「はい」

    先生「・・・」

    玉子「・・・」

    2 :

    ※ドラえもんは故障しているとか帰ったとかで不在です

    3 = 1 :

     三者面談が終わって、母と一緒に家に帰った。帰ってすぐにシャワーを浴びた。どんよりした曇り日で、初秋だというのに気持ちの悪い汗をかいている。

     シャワーの後晩ご飯。最近は両親も「勉強はどう?」と聞いてこなくなった。代わりに近所で起こった珍事やテレビの話題で食卓を盛り上げようとしているが、僕は何の話題を振られても無感動な反応しか返せない

     両親が勉強漬けになっている僕を心配してくれているのはよく分かるし、感謝しなければいけないのは百も承知なのに、僕は心の底で両親を鬱陶しいと感じてしまう。

     晩ご飯を早々に平らげ、僕はさっさと自室へ向かう。

    のび太「・・・ドラえもん、僕はすごく嫌な奴になっちゃったよ」

    4 = 1 :

     ドラえもんが未来へ帰ったのは僕が中学2年生のときだ。小学6年生くらいから、僕は勉強熱心になった。きっかけは色々。先生や両親やドラえもんのおかげで、僕は勉強の楽しさがわかるようになった。

     予習をすると、先生に当てられたときスラスラと正解を言えるようになった。復習をすると、より深く授業の内容が頭に入るようになった。学校から出される宿題なんて苦もなく解けるようになった。

     僕は少しずつ『勉強の出来る子』になっていった。先生や両親、ドラえもんが喜んでくれるのが嬉しかったから、もっともっと勉強しようと思った。

    5 = 1 :

     中学2年になったとき、ドラえもんは未来に帰ることになった。

    ドラえもん「寂しいけど、何時までも僕が側にいるわけにはいかないね。もう、僕がいなくてものび太君は一生懸命勉強して、将来は立派な大人になれるよね?」

    のび太「任せて!セワシ達にはもう心配しないでって伝えてよ」

    ドラえもん「安心したよ、のび太君・・・」

     僕は、ドラえもんが未来に帰ってからもドラえもんとの約束通り、一生懸命勉強した。そりゃあもう、寝る間も惜しんで勉強した。
    高校は都内でも有数の進学校に受かった。
    毎年数人は東大合格者を出す学校だ。両親や小学校時代の先生は泣いて喜んでくれた。同じ中学からその高校に進んだのは2人しかいない。
    僕と、出木杉の2人だ。

    6 = 1 :

    ―――翌朝、登校時

     翌日もどんよりとした曇天だった。秋らしい涼しさはいつ訪れてくれるのか。服の下に不快な汗が溜まる。

    ???「野比さん!」

     後ろからの声に振り返ると、野球部の後輩だった。

    のび太「やあ、君か。おはよう」

    後輩「おはようございます」

    のび太「調子はどうだい?」

    後輩「あんまり・・・」

    のび太「ふうん?」

    後輩「・・・先輩、放課後時間ありませんか?」

    のび太「うん、いいよ」

    後輩「あ、ありがとうございます!」

     既に引退した部活だけど、後輩のために出来ることがあるならやってあげたい。
    現役の時から万年球拾いの僕が出来るチームへの貢献は、後輩達の愚痴や悩みを聞くことだけだった。

    7 = 1 :

     いくら練習しても、いくら努力しても最後まで試合には出られなかった僕。
    野球だって勉強と同じかそれ以上には努力した。よくもまぁ、2年以上も無駄な努力を重ねた物だ。
    持って生まれた運動神経の無さは努力で『改善』することは出来た。
    それでも目に見える『結果』はついに現れなかった。
    勉強においてはそこそこの『結果』を出した僕でも、スポーツのセンスは更に乏しいようだった。

     『結果』はいつだって、出木杉のものだった。

    8 = 1 :

     そう、あいつも野球部だったんだ。文武両道を絵に描いたような男。
    野球においては決して強豪とは言えない我が野球部で、ダントツの実力ナンバーワン。
    チームをまとめるリーダーシップも申し分なく、当然のように主将になった。

     僕はいくら努力しても、出木杉には追いつけなかった。野球でも・・・勉強でも・・・。

     そんな僕に出来ること、それは僕と同じように努力の結果がなかなか出ない者の悩みを聞くことだけだった。
    と言っても、聞いた悩みに対して具体的な解決策を出すことは出来ない。
    解決が出来るなら僕が実践しているだろう。
     僕に出来るのは本当に、ただ『聞く』だけだ。

    10 = 1 :

    ―――教室にて

    のび太「転校生?」

    クラスメイト「ああ、今日からこのクラスにって話だったろ?」

    のび太「そういえばそんなこと聞いたなぁ。でもなんでこんな時期に・・・」

    クラスメイト「今まで親の仕事で海外にいたんだけど、急に戻ってくることになったらしいぜ」

    のび太「確か女子だったよね?」

    クラスメイト「ああ、何でもハーフらしいし期待できそうだ」ニヤニヤ

    のび太「今の時期にやってきて、クラスの女子の輪に入れるかなぁ?女子って結構排他的だからなぁ」

    クラスメイト「馬鹿野郎!海外からの急な転校でクラスにも馴染めず、
    孤独で心細い思いをしているところにそっと優しく手をさしのべる男子!
    ロマンスのスタートとしてはこの上ないシチュエーションではないか!」

    のび太「じゃあせいぜいその子が女子の嫉妬を買うくらいに可愛くて、
    取っつきにくい性格で、尚かつ場の空気を読めない子であることを祈るんだね」

    クラスメイト「安心しろ!なんせ帰国子女でハーフだぜ!?
    可愛いに決まってるし、プライドも高いに違いない。
    何よりも日本流の空気の読み方なんて外国育ちには絶対わからないからな。女子にハブられる要素は十分だ!」

     ・・・まぁ、あながち的外れな読みでもないかな。
    そんなことを大声で言う人間が空気を読めているとも思えないけど。

    11 = 1 :

    のび太「まぁ、期待通りの子だといいね」

    クラスメイト「・・・と言うか野比、普通に考えれば期待するべきなのはお前なんだぞ?」

    のび太「?」

    のび太「・・・ああ、そういうことか」

     僕の隣の席は今空席になっている。転校生が来た場合、当面はこの席に座る可能性が高い。しかも、僕の席は窓際から2列目の最後尾。
    つまり、その転校生が空席に座ると転校生の右隣は僕の席があって、左隣と後ろには誰もいない、自動的にその転校生に一番身近な在校生は僕、ということになる。

    のび太「まぁ、仲良くなれたら君にも紹介するよ」クスリ

    クラスメイト「あん?なんだその上から目線はよ!地の利だけで俺に勝とうなんざ100年早ぇぜ!」

     一体君は何と戦ってるんだい?
     そうこうしているうちに先生が現れたので、皆席に着く。

    13 = 1 :

     先生の隣に付いてきたのは、予想を遙かに超えた美少女だった。

    転校生「佐藤希美です、短い時間ですがよろしくお願いします」ペコリ

    先生「じゃあ、後ろの野比君の隣の席に座ってね」

     アイドルにもなれそうなルックス。ハーフの証の栗色の髪。
    育ちの良さがにじみ出るような立ち居振る舞い。
    人形のようなかわいらしさの割には普通な名前。絵に描いたような上品なお嬢様だ。

    希美「よろしくお願いします」ニコッ

    のび太「うん、よろしく」

     正直ここまで可愛い子が来るとは思っていなかった。
    さっきはクラスメイトの奴を馬鹿にしていたけど、
    こんな子とお近づきになるチャンスを得たのだから利用しない手は無いかもしれない。

    14 = 1 :

    ―――数日後

     ・・・・・・世の中期待通りに物事は進まないものである。
    クラスメイト氏の分析通り、いかにもハーフらしい人形のような可愛らしさを誇る転校生であったが、
    それ以外の点、つまり高慢ちきで空気の読めない女に違いないという決めつけに近い予測は見事に外れた。

     彼女は実に気さくな女性で、日本流の空気の読み方を心得ているかどうかはわからないが、
    人間関係を円満にする術は僕やクラスメイトよりは熟達しているようだった。

     あっという間に女性陣の中に溶け込み、女子グループの輪の中にすんなりと収まってしまった。
     僕らが入り込む余地は無さそうである。

    15 = 1 :

    クラスメイト「ちくしょう、野比!お前がさっさと手を回さないからだぞ!」

    のび太「元々、彼女が高飛車な女だっていう前提で、クラスの女子とうまくいかなくなって傷ついたところで接近するっていう作戦だったじゃないか。
    彼女が君の考えるよりも人間が出来てたってだけのことだよ」

    クラスメイト「くっそー、あの強固な女子グループに入り込めるなんて、性格も相当良いってことだよなぁ」

     そうだね。最初にあった日に見た笑顔からして、おっとりとした人柄が良く現れていた。

    16 = 1 :

    ―――帰り道

     後ろから僕を呼ぶ声がした。

    ???「やあ、野比君!」

    のび太「やあ、出木杉」

    出木杉「久しぶり、部活を引退してからほとんど会ってないね」

    のび太「そうだね。そっちは順調?」

    出木杉「まあまあかな」

     出木杉の言う「まあまあ」は、この調子で進めば東大合格も「まあまあ」見込みがあるということだろう。
     出木杉は特別進学クラスだ。このクラスの上位数名が毎年東大に合格している。
     そして出木杉は、当然のように特進クラスのトップを維持している。
     同じ学校でも私立文系クラスの僕とは天地の開きがある。

     出木杉の爽やかな表情を見ていると、どす黒い感情が沸いてくるのを押さえられない。

    17 :

    おもぴろい

    18 :

    くだらない

    20 = 1 :

    のび太「君がまあまあなら僕は絶不調だね。
    君はどんなに酷くても僕の志望校程度のとこには受かるんだろうから」

     ・・・全く、我ながら嫌なことを言う。

    出木杉「そんなことはないよ。これからさ」

    のび太「しかし、あんまり勉強漬けだと彼女ともあえないだろう?」

    出木杉「・・・そうだね、お互い受験生だから・・・」

    のび太「でもまあ、そんな相手がいるだけマシだろ?僕なんて惨めなものだよ」

    出木杉「・・・」

    のび太「・・・」

     さすがにどう答えていいかわからなかったようで、出木杉も無言に。そのまま僕らは別れた。

    21 = 1 :

     出木杉がしずちゃんと付き合い始めたのはドラえもんが未来に帰った数ヶ月後だ。
     僕は間抜けにも2人のことを知らず、しずちゃんに告白して、そのときに彼女が出木杉と付き合っていることを知らされた。

     そりゃあ、僕と出木杉どっちか選べと言われれば出木杉を選ぶに決まってる。
     勉強もスポーツも性格も、僕は出木杉に敵わない。

     中学の頃、しずちゃんとのデートに精を出す出木杉よりも僕の方が勉強していた。
     なのに今、出木杉は特進クラスで成績トップ、僕は私立文系クラスの真ん中くらい。
     勉強時間で言えば僕は出木杉の2倍は勉強していたはずなんだけど、というよりも現在進行形で勉強しているはずなんだけどこの差はなんだろうね?

     野球だってそうだ。僕は誰よりも遅くまでグラウンドに残って練習していた。
     出木杉は練習時間が終われば早々に帰宅して、勉強するわけではなくしずちゃんに会いに行く。
     だというのに、僕は遂に一度も試合には出させてもらえなかった。

     ・・・・・・出木杉に罪はない。それでも出木杉と自分を比べると、あいつへの嫉妬で気が狂いそうになる。
     そしてつい、あんな嫌な言葉が口から出てしまうのだ。

     僕の努力はいつだって『結果』を伴わない。
     誰が悪いのではない。全ては要領の悪い勉強の仕方をして、効率の悪い練習をしている僕の責任だ。

     いや違う、小学生時代の僕のことを思えば大学を目指している現状が奇跡に近い。
     この進歩を素直に喜んで、ここまで自分を支えてくれた両親や先生やドラえもんに感謝できれば良いのに、
     勝手に出木杉のような男と自分を比較して勝手に惨めになって、何の罪もない出木杉を憎んでいる自分が心底嫌だった。

    23 = 1 :

    のび太「本当に、僕は嫌な奴だよ・・・ドラえもん」

     制服姿のまま自室の床に寝そべってドラえもんを象った箱を眺める。
     ドラえもんが去り際に僕にくれた物だ。ドラえもんがいなくなって、どうしても困ったことがあればこの箱を開け、と。
     一度ドラえもんが未来に帰ったときにも残してくれた。
     あのときはウソ800とかいう道具を出して、結果的にドラえもんが僕の所に帰ってきてくれることになった。

     今回受け取った箱は、まだ開いていない。
     一度しか使えないこの箱を使う程に困った事態にはまだ遭遇していないからでもある。
     いっそのこと、この陰険な性格をどうにかしてくれる薬でも無いものか、開けてみたくなったこともあるが、実行はしていない。
     薬で性格が直せるなら、ドラえもんは初めからその薬を使っていたに違いないのだから。

    24 :

    重い・・・

    25 :

    紫煙

    26 = 1 :

    ―――翌日

    のび太「おはよう。佐藤さん、今日は早いね」

    希美「あ、おはよう野比君」ニコッ

     教室に行くと転校生の佐藤さんが1人で席に座っていた。
     隣同士でも、2人で話をしたことはこれまであまりなかった。微笑んだ彼女は本当に可愛い。
     そういえば、彼女の笑ったときの表情といいその栗色の髪といい、誰かに似ているような気がしてならない・・・

    のび太「佐藤さんって、ずっとアメリカにいたの?」

    希美「うん。幼稚園の頃は日本に住んでたけど、その頃のことはあまり覚えてないの」

    27 :

    しえん

    28 :

    さてさて、お手並み拝見だ・・・

    29 :

    こういうの好きだ

    30 :

    面白いぞ、予想以上だ

    31 :

    ちゃんと完結させてくださいよー
    ついてくから

    32 = 1 :

    のび太「ふうん?昔日本にいたときはどこに住んでたの?」

    希美「練馬区の○○というとこ」

    のび太「え!?」

    希美「どうしたの?」

    のび太「そこ僕の家のすぐ近くだよ!」

    希美「え!?」

     驚いた。幼稚園の頃に近所に住んでいたなら、当時僕とも知り合いだった可能性もあるんじゃ・・・・・・ちょっとまて。

    33 = 24 :

    赤い靴の子か?

    34 = 1 :

     ・・・いたじゃないか!今まで記憶の片隅に追いやられてたけど、僕が幼稚園児だった頃、近所に、栗色の髪の女の子が!
     僕の意気地の無いばかりに、辛い思いをさせちゃったまま喧嘩別れして、それっきりだった、ドラえもんの力で謝ることが出来た女の子・・・!

    希美「じゃあ、もしかしたら、昔一緒に遊んだことがあったりするかもね?」クスクス

    のび太「・・・・・・そ、そうだね」

     もしかしたらじゃないよ。思い出した。僕がノンちゃんと呼んでた女の子、そういえば君の本名は「のぞみちゃん」だったよね?
     君は僕のことをノビちゃんなんて呼んでいたんだ。
     覚えてなくても無理はないね。僕も今の今まで忘れてた。
     あんなに大切な思い出だったのにね。あのときもらったおもちゃ、探せば今でも家にあるのかな?

    のび太「佐藤さんは大学はどこを狙ってるの?」

     ・・・・・・急に話題を変えるのは何でだろうね?
     何で僕は君の幼なじみだよって、言えないんだろう?

    35 = 1 :

    希美「○○女子大の文学部。ドイツ文学に興味があるの」

    のび太「ハハッ、いかにもお嬢様って感じの大学だね」

    希美「野比君は?」

    のび太「・・・××大の教育学部」

    希美「先生になるの?」パアッ

    のび太「うん、それもいいかなって」

    希美「なんで先生になろうと思ったの?」

    のび太「・・・勉強が苦手だからかな?」

    希美「?」

    のび太「僕は、昔から勉強もスポーツも全然駄目なんだ。
    いくら一生懸命やっても人並みかそれ以下くらいにしか出来ない」

     ・・・彼女は、まっすぐに僕の方を見ている。

    36 = 1 :

    のび太「それでも一生懸命勉強して、部活も一生懸命練習して、努力する前の僕よりはいくらかマシになった」

    のび太「だけど、出来る奴には敵わないんだ」

    のび太「だからって、僕の努力が無駄だったって思いたくない」

    のび太「努力しなかったら、今よりもっと悪かったはずだしね」

    のび太「努力しても出来る奴には敵わない」

    のび太「それでも努力する辛さや喜びを僕は知っている」

    のび太「僕が先生になれば、僕みたいに努力の結果を出せない子供の味方になってあげられる気がするんだ」

     ・・・・・・一気に喋った。僕が教師を目指す理由は、まだ誰にも話してない。
     気恥ずかしかったからっていうのが理由だけど、何故か彼女には話すことが出来てしまった。
     幼なじみのつもりで気安くなってしまったのだろうか?
     でも、向こうはまだ僕のことに気付いていないし、なんだか急に恥ずかしくなってきた。僕は何を言っているんだ?

    のび太「ご、ごめん。なんか独りで話してたけど」

    希美「ううん?野比君は良い先生になるような気がする」ニコッ

     彼女の笑顔は、昔見たノンちゃんの笑顔と同じ、心の底からの笑顔だった。
     外は、久しぶりの晴れ模様だった。

    37 :

    なんてドラマティックな展開・・・!!

    38 :

    ロマンティックが止まんねーーー

    39 = 25 :

    誰かノンちゃんの参考画像を、見れば思い出せるはず

    40 :

    何もしなくてもそこそこ出来る方が後々になってツライよ
    目標の無い人生になる

    41 = 1 :

     家に帰って勉強。そろそろ風呂にでも入ろうかという時間になって、母さんが僕を呼んだ。

    玉子「のびちゃん、ちょっといいかしら?」

    のび助「・・・」

    のび太「なに?」

    玉子「実はね、パパが会社の都合で子会社に異動することになったんですって」

    のび助「・・・」

    のび太「・・・」

    玉子「それで、お給料も今までのようにはもらえないらしいのよ」

    のび助「・・・」

    のび太「・・・」

    玉子「家のローンもまだまだ残ってるし、貯金もそんなに多くはなくて・・・」

    42 :

    ノンちゃん懐かしいな

    43 = 40 :

    奨学金、寮
    方法はいくらでもある

    44 = 1 :

    のび太「大学に行くお金がないってこと?」

    玉子「・・・そうなの」

    のび助「・・・すまん」

    のび太「大丈夫だよ、奨学金だってあるし、頑張れば特待生だって不可能じゃない。」

    玉子・のび助「!」

    のび太「××大の特待生になれば、授業料は半額になるから、奨学金と、バイトで何とかなる。それに、特待は授業料全額免除の大学もある。
    最悪、教員免許が取れる大学に入れれば良いんだから、父さんや母さんが心配することはないさ」

    玉子「本当に大丈夫なの?」

    のび太「大丈夫だよ、安心して」

     僕は断言した。志望校の特待生になる自信もあったし、何よりも僕にはいざというときの切り札がある。
     どうにもならなくなったときは、あの箱を開けてフエール銀行でも出せばいい。
     もうドラえもんには頼らないと決めたけど、こんな状況ならドラえもんに甘えたって罰は当たらないんじゃないかな?と思う。

    46 = 1 :

    ―――翌朝 下校時

    出木杉「やあ、野比君」

    のび太「やあ、出木杉」

     通学路で出木杉に会った。前に会ったときもあんな嫌味な態度を取ったのに、
     会えば僕に声をかけてくれる出木杉はよくよく人間の器が大きいと思う。時々、出木杉がもう少し嫌な奴だったら良いのにと思う。

    出木杉「そういえば、この間後輩君の悩みを聞いてあげたらしいね」

    のび太「ああ。スランプみたいだ」

     この前深刻な顔で相談を持ちかけてきた後輩の事だ。あの日の放課後ずいぶんへこんだ様子で話を続けていた。

    出木杉「君はいいなあ」

    のび太「え?」

    出木杉「引退してから僕の所に相談に来る後輩なんていないからさ。引退した後も頼りにされる野比君がうらやましいなって」

     ・・・・・・確かに、スランプだなんだで悩んでいるなら僕よりも出木杉に相談した方が良さそうなものなのに、後輩達が出木杉に何かを相談しているのを聞いたことがない。

    47 :

    出来杉はやっぱりむかつくな・・・

    48 = 22 :

    出来杉ざまあああああああああああああ

    50 = 1 :

    のび太「君は完璧すぎなんじゃないかな?相談するならもっと隙のある奴の方が気楽に出来るんだよきっと」

    出木杉「そんなことは無いと思うんだけどなあ」ショボリ

     ・・・・・・考えてみると、現役の頃の出木杉は後輩を教えることに関しては余り上手くなかった。
     自分はすんなりと出来るようになったことを後輩が中々出来ないでいると、どうしていいかわからないで困っていた気がする。
     後輩にしてみれば、出木杉さんは上手いけど、下手な人の気持ちをわかってくれない、と思って敬遠してしまうのかもしれない。

    出木杉「僕も、君みたいに周りに頼りにされるような人になりたいよ」

    のび太「おいおい、君がそういうことを言うと嫌味にしか聞こえないぜ?東大目指せる頭があって文句を言うなよ」

    出木杉「東大に入ったって、後輩に相談のひとつもされないような奴が、社会に出て大した仕事が出来るとも思えないんだよ」

    のび太「後輩に相談されたって、僕はなんのアドバイスも出来ないんだよ?ただ聞くだけ。現実的な解決の役には立ってない」

    出木杉「話を聞いてもらえるだけで気が楽になるってこともあるだろ?それに、後輩達が君のところに集まるのは、君に何かしらの魅力があるからだ」

     そうなんだろうか?しかし、出木杉と僕と、将来社会に出て活躍するのは出木杉だと思うけど。

    出木杉「じゃあ、僕はこっちだから」

    のび太「ああ、じゃあね」

     出木杉の後ろ姿はいつになく弱々しかった。
     あたりは既に薄暗い。空には嫌な雲も出てきている。傘を持ってきていないんだけど、大丈夫だろうか?


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