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    元スレ新ジャンル「カルガモ」

    新ジャンル覧 / PC版 /
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    51 :

    いやいや、俺も見てるぞ

    52 = 22 :

    むしろ俺の方こそ見てるぞ

    53 = 29 :

    「やっぱり、いないほうが、いいんですね」

    「黙れ! とっとと病室もどれ!!」

    「病室なんてないですよ。でも、でてきたから、おかあさんの体に戻るわけにもいかない
    おとうさんも、消えろって。いくとこないですし」

    「何だよお前がひなだっていうのかよぉ!」

    「はい」

    「なんでだよ?!!」

    「おとうさんが親だって、わかったからです。その声を聞いて、おとうさんだってわかったからです。
     ……たぶん、分娩室に居るあかちゃんが、産声を上げないのは、私がここにいるからだと思います」

    「……何言ってんだよおまえさぁ」

    「どうしたら、信じてくれます? 昼間、昼間おかあさんが、お父さんに「あんた童貞だったくせに!」
    って言ったこととか、おかあさんが図鑑をよく読んでたこととか、それから、おとうさんが、
    おかあさんの出産が間近だったのに、おとうさんが休暇取れなくて、おかあさんを一人にしていたこととか」

    「もういい!!」

    「おかあさん」

    「もう、いいんだ」

    54 :

    かるがもっち

    55 = 42 :

    >>51

    カービィはいいのかい?

    56 = 29 :

    読んでくれてる人ありがとう。なんとかいけそう。新ジャンルじゃないけどがんばる。

    ***

    「いやだろ、こんな親。……人間ってめんどくせえんだよ。カルガモのようにはいかない。
    人間ってさ、大変なんだよ。大事なものを一番に出来ないことがよくある。思い通りにならないことがよくある
    今だって、そうだ。お前が、本当にひなだってんなら、理解できなくもない。
    おとうさんとおかあさんが、子どもに聞こえるところで、あんなこと言い合ってたら、そりゃ、
    死にたくなるわ」

    「……」

    「自信がないんだ。カルガモのように、雛が巣立つまで、ひなを育てていけるかどうか。
    きっと、お前が嫌な思いをしてしまうことがたくさんあるだろう。なにせ、俺は未熟だ。
    もしかしたら、ひなに、お前に、さっきもそうだ、消えろだなんて……」

    「それは、私を、ただのビョウトウから抜け出した電波女だと思ってたからでしょう?」

    「……いや、だっておまえは、喋り方だけじゃなく。顔も、格好も、支離滅裂なところも、あいつに似ている。
    それに、あかちゃんが出てきたらしい時間と、お前が唐突に俺の目の前に現れた時間もかぶってる」

    「最初から、気づいていた……?」

    「どうなんだろうな。でも、なんでもかんでも思ったことをすぐに言ってしまうのは、俺に似てるかもな」

    「……それでも、私は、おとうさんとおかあさんが、好きです」

    57 = 29 :

    「……」

    「ふたりがいたから、私がうまれるんです。でも、どうしよう。どうしてこんなことに」

    「お前がひなの魂だとすれば、さしづめ、最後の別れといったところか」

    「そんなことないです!! 私! 私ちゃんと、産まれたいです!!」

    「俺は、お前に酷いことを、言ったんだぞ」

    「だけど! 違うんです! 上手く言えないけど、私を育てて欲しい。
    私がお父さんとお母さんから、ひなが巣立つまで、一緒に居て欲しい!!」

    「ひな……ごめん、ごめんな、お父さん、弱気になって……」

    「おかあさん!」

    「お父さんだろぉ……」

    「ない、てる……」



    58 :

    「でも、どうすれば……このままじゃ、ひなは助からない……」

    「生まれる場所間違えちゃいましたねー」

    「漫画でよくあるのはさ、……魂が元の体に触れて、すっと、戻ってくっていう」

    「でもこれ、ちゃんとしたカルガモの体みたいですよー?」

    「だからさ、カルガモじゃねえっていってんだろ。お前も俺も、人間って言う姿してるの」

    「へー。これが人間。そうですよね。おとうさんが人間で、私がカルガモなんてないですよねー」

    「うん、やっとわかってくれたか」

    「私、やってみます!」

    「へ?」

    「おとうさんがさっき言った、すっと戻るってのやってみます」

    「いや、ちょ、ダメだって勝手に入ったら!」

    59 = 58 :

    女、分娩室の自動ドアの前に立ち、あけようとするも、扉は開かない。

    「あれ? さっきの人たちのときはちゃんと開いたのになー?」

    「ロックかなんかかかってるんじゃ?」

    男、ドアの間に立つ。開く。

    「……どういうことだ?」

    男、女に触れる。しかしすり抜けて触れない。

    「なんてこったい」

    「おお! 人間って不思議ですね!」

    「やめろ! やめろ! 俺の中に手を入れるな!」

    「おもしろーい」

    「やめろっていってんだろぉ?! 大体普通の人間はこんなことできないから!」

    看護師「静かにしてください!」

    「す、すみません……」

    看護師「お気持ちはわかりますが、夜中の病院で一人で騒ぐのはちょっと」

    「はい、すみません……。ん? (やっぱり、こいつは俺にしか見えないのか?)」

    60 = 58 :

    「そうだ、ひなは、あかちゃんは?!」

    看護師「いま、集中治療室に入っています。先生が全力を尽くしてくれていますから……」

    「……」

    「おとうさん……」

    看護師「お母さんと、話をしますか?」

    「話せるんですか?!」

    看護師「はい。こちらへどうぞ」

    61 = 58 :

    「……だいじょうぶか?」

    「ごめんなさい……あかちゃんが、あかちゃんが」

    「気にするな。お前の所為じゃない。よく、がんばったな。ありがとう」

    「……でもあかちゃんが助からなかったら、私、どうしたら」

    「あかちゃんは、ひなは、生きたいって思っていてくれてる。
    巣立つまで、俺たちと一緒に生きていきたいって、そういってくれたんだ」

    「……ううっ、うぐっ男ぉ」

    「おかあさん」

    「え……」

    「おかあさん!! あたし! 絶対生きるから! おかあさんを泣かせたりしないから!」

    奥へと走っていく女

    「おい! ひな!」

    「あとでね、おとうさん、おかあさん」

    62 = 58 :

    「あいつ……本当に壁すり抜けやがった」

    「今、声がしたよ」

    「あいつを見たのか?」

    「ううん、声だけ。生きるから、お母さんを泣かせないからって……」

    「そんなに泣くなよ。体に障るぞ。それに、ひなに笑われる」

    「……でも、男も、泣いてるよ」

    「気のせいだろ……。雛を、信じよう。お前は、出来ることをすべてやったんだから」

    「うん」

    「それと、さっきは、悪かった。本当に、ごめんな」

    「私こそ、ごめんなさい。……だけど、本当にさっきの声がひなだったら……」

    「あいつは、きっと強い子に育つ。お前も聞こえただろう?」

    「うん」

    63 = 58 :

    「カルガモの雛って、ちっこくてかわいらしいけれど、でも、とても強い。
    どんなことがあろうとも、親についていこうとする。産まれてくるあかちゃんも、きっとそういう子だ」

    「そうだね」

    「だから、俺たちも、雛に負けないぐらい、強い親になってやろうぜ」

    「うん、うん……!」



    そして、聞こえてきた大きな産声。
                                          END

    64 = 58 :

    終わります。
    大して長くなかったと思うけど、最後まで読んでくれた人に、多大なる感謝をささげます。

    65 :

    乙ですた

    66 = 58 :

    >>65
    ありがとう。

    67 = 22 :

    乙!前半では考えられんかった流れだったぜ

    68 = 51 :

    乙。面白かった

    69 = 58 :

    なんか、自己満足ってこういうこというんだろうなー。
    自分が立てたスレじゃないしw お恥ずかしい。

    >>67>>68
    ありがとう。最初書いたとき、無理やりこういうもって行き方にしようとは思った。
    自分でも、結末に持っていけたのが不思議だけど。

    70 = 2 :


    最初は「見捨てられ不安」みたいだなーとか思いつつ読んでたけど全然違って面白かった

    あーもう4時か明日6時起きなのに

    71 = 58 :

    >>70
    ありがとう。俺は徹夜することに決めました。

    72 = 58 :

    おまけ

    ◆ひながはじめてしゃべった言葉◆

    男を見て
    ひな「おかあさん!」

    「おい、いま、いまお母さんって!」

    「ああーーーっ。ひなのはじめては「お母さん」かぁ~。よーし、ひな」

    男、雛の目をじっと見つめ
    「お父さんっていってごらん。お と う さ ん だ。ほら、言ってみろ」

    ひな「おかあさん!」

    「だから違うって、おとうさん、おとうさんだぞ?」

    ひな、男を指差し
    ひな「おかあさん! おかあさん!」

    「あら、間違えて覚えちゃってるみたいですねー」

    「……。デジャヴ、か……?」

    73 = 58 :

    嫁の言い回し間違えたorz

    74 = 2 :

    気にすんなよ、おい

    75 = 58 :

    つうことで落ち。このスレも落ち。人のスレで、VIPで小説デビュー。
    ありがとうございました

    76 = 58 :

    >>74
    うん、ありがとう。いい朝を。

    77 = 2 :

    保守したら明日も来る?

    78 = 18 :

    携帯から覗き

    79 = 18 :

    >>77
    うーん。カルガモでまたなんかってこと?
    保守は嬉しいけどまた書けるかどうかはorz あまり人いないみたいだし

    80 :

    読み終えた乙。
    書き方に見覚えあるが見捨てられ不安で父娘話書いてた人か?
    いや別に答えなくてもいいんだけども。

    81 = 18 :

    >>80
    なんだかんだで答えちゃう。
    VIPでSS書いたのはこれがはじめて。その見捨てられ読んでくる

    82 = 80 :

    >>81
    そうかすまん。
    初めてにしてはかなりの出来だろw 今後にも期待。

    83 = 18 :

    >>82
    いやいや、いいんだ。今見てきたけど似てるかもしれないね。
    なんか照れるな。……ゆめにっきっていう同人ゲームがあるんだけど、
    それの二時創作小説スレ立てられたらいいなとは思っていた。
    2、3個のチャプターしか頭の中にないから実現するか分からないけど


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