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    元スレモバP「アイドルにサスペンスドラマの犯人役のオファーだって!?」

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    51 :

    長らくおまたせしました。
    次の話が完成しましたので投下します。

    なお、この話には少々R18G的な展開がございます。
    直接の描写はしていないつもりですが、ご注意ください。

    52 = 1 :

    [五十嵐響子編]



    「真犯人、『死の料理人』はこの中にいる!」

    目の前にいる高校生が、高らかにそう宣言しました。
    大丈夫です…。余計な工程が1つ増えちゃいましたけど、私の目的はすでに達成されています。
    あとは、この人が私のこの後の目的に気づいていないことを祈るだけ…。


    待っててね…あなた……。

    53 = 1 :


    私には、お付き合いをしていた男性がいました。
    そう、過去形なんです。その方はもうこの世にはいません。

    彼はお料理がとても上手で、今まで「お料理が得意です」と言っていた私よりも上手でした。
    将来は、プロの料理人になるのが夢だと言っていました。
    中でも、得意料理はハンバーグ。
    ひと月に1度、私と彼と一緒にハンバーグを作って食べるのが楽しみでした。

    あの日も、ハンバーグを料理部のみんなにふるまうんだと言っていました。

    私と彼と、そして「あの人たち」は高校の料理部に所属していました。
    料理部では、定期的に部活内で料理をふるまって評価をし合う、ということが恒例になっていて、その日は私と彼の番だったんです。
    そんな日に私は風邪をひいてしまって学校も部活も休んでいたので、彼だけが料理を作ることになったんです。

    でも、この日、ちょっとした事件が起こったんです。
    彼の作ったハンバーグを食べた料理部の女子生徒2人が、食あたりを起こして救急車で運ばれる騒ぎになったんです。

    詳しい原因はわかっていませんでしたが、暴食をしていたわけでも、変な食べ合わせもしていなかったことから、彼が作ったハンバーグが原因だろうということになりました。
    その結果、料理部は一定期間の部活停止。

    衛生管理が不十分だったのではないか。火は充分に通したか。など多くの批判を彼は受けていました。
    彼は料理人を目指していたくらいでしたから、そんな初歩的なミスをするはずがないと、私は信じていました。

    でも、心無い批判は彼の心をズタズタに引き裂いていきました。
    彼はその日以来、自信をなくして料理もしなくなってしまいました。
    私の作った料理も、食べてくれなくなってしまいました。

    そして、それから数か月もしないうちに、彼は包丁で手首を切って亡くなりました。

    遺書には、女子生徒2人への謝罪と後悔の気持ちが書いてあったそうです。
    そしてそれとは別に私個人に宛てられた手紙。
    そこには、私への謝罪と、「もしその気があるなら料理人を目指してほしい」ということが書いてありました。
    私はその手紙を読んで何度泣いたか覚えていません。

    私は、料理人になることは決められませんでしたが、せめて彼に負けないくらいお料理の腕を磨こうと、料理部を続けることにしました。

    54 = 1 :


    でも、料理部が再開して数日経った日、私は信じられないことを聞いたんです。

    「ま、まさかこんなことになるなんて……」

    「私だって、ここまでなるなんて思ってませんでした」

    それは、食あたりになった女子生徒2人の会話でした。
    私は、何かを感じてその会話をこっそり聞いていました。

    「わたしたちがあんなことしなきゃ、良かったのかな…」

    「あの人の自信をなくさせるために、わざとお薬を飲んで腹痛になる、なんて……」

    (えっ…?)

    「ちょ、ちょっと、その話はもうしないって約束だったじゃないですかぁ」

    「で、でも…わたしはここまでするつもりなんて…」

    「でもじゃありません。私が持ちかけた時も、協力してくれるって言いましたよねぇ?」

    「ご、ごめんなさい…。だけど、いくらお料理の腕がすごくて嫉妬しちゃったからって、お薬を使うのはやりすぎだったかなぁって」

    「人聞きの悪いこと言わないでください。私たちは自分で薬を飲んだだけ。あの人は自分で勝手に亡くなっただけ。そこに直接の関係はないんですから」

    …………。

    私は、音を立てないように黙ってその場を去りました。

    あの会話を聞いた時の気持ちは今でも覚えています。

    あの2人に対する怒りや憎しみが、ふつふつと沸き上がっていくのが、自分でもわかりました。

    あの2人は、彼の料理の腕に嫉妬して、自分から食あたりを起こし彼を死に追いやったんです。

    その日から、私はあの2人に対する復讐だけを考えて生きてきました。

    55 = 1 :

    そして迎えた、他の高校の料理部との合同合宿の日。

    私は、あの2人への復讐を決行することにしました。

    まず、夕食のときに私以外の全員に睡眠薬を盛りました。
    数時間後、みんなが寝るタイミングに効果が現れるように調整をして。
    夕食は私だけじゃなく、みんなで作りましたから、私が入れたとはばれません。

    みんなが寝静まったころを見計らって、私はあの女子生徒の部屋へ向かいました。
    「話を持ちかけた」と言っていたほうです。

    あらかじめ盗んでおいた合鍵で、こっそりと彼女の部屋に入ります。

    すやすやと眠っている彼女に馬乗りになると、私はすかさず彼女の首にロープを巻き付け、思いきりその首を絞めました。

    「っ!?」

    首の違和感で、さすがに彼女も目を覚ましたみたいですけどもう遅いです。
    馬乗りになっているために、彼女は逃げ出せません。

    でも、ここで誤算がありました。

    部屋が暗かったために、彼女の状態をよく確認せずに馬乗りになってしまい、布団の上からでは押さえつけが不十分だったみたいです。

    彼女は必死に抵抗し、片腕を布団から出して私の腕を掴んできました。

    そして私の腕を強く握り、その爪で私の腕をひっかいてきました。

    「いっ……」

    でも、私は腕の力を弱めませんでした。

    やがて彼女が動かなくなると、私は彼女の首元に手を当てて亡くなったことを確認しました。

    私は痛む左腕を右手で抑えながら、左手で部屋の電気をつけました。

    明るくなったところで、左腕を確認すると小さなひっかき傷ができていました。
    右手の手袋も確認すると、白い掌にぽつぽつと赤い点がありました。

    つまり、彼女の爪にも私の皮膚と血が付いているということ。

    このままだと、DNA鑑定とかで私がやったということがばれちゃいます。

    どうしましょう……。

    この傷は長袖を着れば隠れますし、幸い私をひっかいたのは彼女の人差し指だけみたいだったので、人差し指を切り取っちゃえばわからなくなるはずです。

    でも、そうすると人差し指だけがなくなっているのが不自然ですし、あの勘の良さそうな高校生に指摘されかねません。

    56 = 1 :


    どうしようかと考えていた私は、ふと彼が好きだったあのお料理のことを思い出しました。

    そう、それはハンバーグ。

    最初は玉ねぎみじん切り。
    次は挽き肉と一緒にこねて。
    最期に焼けば出来上がり。

    その瞬間、私の中で全ての計画が繋がりました。

    まだ夜が明けるまでには時間があります。
    それに、他のみんなは睡眠薬で眠っていますからちょっとやそっとでは起きないはず。

    私は、彼女の身体を合宿所の隣にある倉庫まで運び、そしてチェーンソーに手を掛けました。

    「最初は…玉ねぎみじん切り……」

    最初に人差し指を切り取った後、数時間かけて「みじん切り」を終えた私は、最後の仕上げをします。

    彼女の荷物であるレシピ本から「ハンバーグ」のページを破り、その場に置きます。
    これで、誰もこの見立て殺人の心意には気づかないでしょう。

    「ふふっ…あははっ」

    でも、できればもう「みじん切り」はしたくないです。

    57 = 1 :


    翌日、彼女の遺体が発見され大騒ぎになりました。
    私は凶悪な殺人犯におびえるか弱い女の子を演じます。

    例の高校生から、みんなに対して1人で行動しないよう、部屋の戸締りはしっかりするように通達がありました。
    名探偵の孫だか知りませんけど、なんのつもりでこの場を仕切っているんでしょう。

    まあ、その通達も意味はありませんけどね。

    倉庫にハンバーグのレシピを置いておいたおかげで、もう1人の彼女にはこの殺人の動機がわかったことでしょう。
    もしかしたら、犯人がうちの料理部の誰かということまでわかっているかもしれません。
    それなら話は速いです。

    合宿2日目の夕方、私は「もう1人」の部屋へ向かうと、扉をノックをしてから手紙を差し込みました。

    内容は「あなたが彼女に巻き込まれただけだということは知っています。今夜1人で合宿所の裏にある林までおとなしく来て事情をすべて話せば助けてあげます」と。

    もちろん助けてあげるつもりなんてありませんけど、彼女の口車に乗せられて一緒に薬を飲んだもう1人の彼女なら、おとなしくのこのこ現れるでしょう。


    私は先に林で待ち伏せて、もう1人が来るのを待ちます。

    数十分も待っていると、もう1人がやってきました。
    ちゃんと1人で来たようです。

    私は、彼女の後ろから忍び寄り、倉庫から持ち出しておいたスコップを振り上げ、彼女の頭にたたき付けました。

    「がっ……」

    彼女はその場に倒れ込みましたが、力が弱かったのかまだ動いています。
    私が再びスコップを振りかぶると同時に、彼女がこちらを振り向きました。

    「ひっ」

    今度はおでこのあたりに命中。
    その一撃で動かなくなったので、念のためにもう2、3回たたいておきます。

    彼女が完全に動かなくなるのを確認すると、今度は見立ての準備です。

    「次は…一緒にこねる……」

    同じスコップで周りの土や落ち葉、枝などを集め、彼女の身体にこすりつけます。

    これで、少しは「タネ」に見えるんじゃないでしょうか。

    こうして私の復讐は達成されました。

    「あはっ…あははっ」

    58 = 1 :

    と、ここで2度目の誤算がありました。

    後ろからガサガサと音が聞こえたので振り向くと木の陰から誰かがこちらを見ていました。

    「っ!」

    私が振り向いたことに気づいたその人は逃げ出しました。

    まずいです…。私にはまだやらなければいけないことがあるのに…。

    そう思った私はその人を全力で追いかけました。

    「あっ」

    しばらく追いかけていると、その人が木の根っこに足をひっかけて転んだので、私はすかさずスコップを頭にたたき付けました。

    「うっ……」

    よほど強くたたいたためか、今度は一発で動かなくなりましたがまだ息があるようです。

    改めて顔を確認すると、彼女は合同合宿相手の料理部の人でした。
    そして手には、私が2人目の彼女に渡したはずの手紙を持っていました。

    なるほど。2人目の彼女が落とした手紙をこの人が拾ってしまい、何らかの手違いでこの人も林に来てしまったのでしょう。

    しかし、姿を見られてしまった以上仕方がありません。
    この人も生かしておくわけにはいきませんが、工程が1つ増えてしまいました。

    あらかじめ考えてあった工程は「みじん切り」「こねる」「焼く」の3つです。
    「焼く」はこの後使うので、今使うわけにはいきません。

    そして、思いつきました。
    今から追加できる工程は「成形」。

    これを思いついた私は急いで準備に取り掛かります。
    まずはこの人を生かしたまま、手足を縛って動けないようにし、ついでに口も縛って声を出せないようにしました。
    さらに、目印となる大きな木の近くまで運んで土をかけ、ハンバーグの形に「成形」をしました。
    土の中は温かいですから、生きているうちはこれで体温が保たれるはずです。

    次は、倉庫から台車を持ってきて、先ほど殺害した彼女の身体を、土や枯れ葉と一緒に合宿所まで運びます。

    そして、普段は使われていない地下のホールに運び込み、その真ん中に遺体を置き、再び土や枯れ葉をまみれさせておきます。
    ついでに自分の身体についた土や葉っぱや折れ枝も遺体の上に落としておきました。
    その後、ホールに置いてあるホワイトボードに「ツギノ チョウリバハ タテモノノ ソト」と書きなぐっておきます。

    最後に仕上げです。
    用意しておいたレシピ本から「ハンバーグ」のページを破って、遺体の上に乗せました。

    後は、食堂兼調理室に行き、そこの黒板に「ツギノ チョウリバハ コノタテモノノ ドコカ」と書きなぐっておくだけ。

    これでやっと、全ての下ごしらえは終わりました。

    59 = 1 :

    翌朝、他のみんなより少し早く準備をした私は食堂の近くで待機していました。
    そして、他の人たちがやってきたタイミングを見計らって、一緒に食堂に入りました。

    「こ、これって!?」

    「は、早くみんなに知らせないと!」

    「みんなを起こして、この建物を探しましょう!」

    これで時間が稼げるはずです。

    私は、他の人と一緒にみんなを起こして建物を探すふりをして、こっそり建物を抜け出し林に向かいます。

    目印となる木に向かうと、彼女は意識を取り戻していました。

    「んんっ…んんっ!」

    しかし、身体が縛られているうえ、半ば埋められている状態なので逃げ出すことはできません。

    「ごめんなさい。あなたに恨みはありませんが、私の計画のためです」

    「次は…成形……!」

    そして、私はスコップをたたき付けました。
    「ハンバーグ」のページも忘れません。
    飛ばされないように石を置いておきました。

    後は賭けです。

    彼女を殺害した私は、急いで合宿所まで戻りました。
    ここで鉢合わせたらすべてが水の泡です。

    少しでも鉢合わせないよう、裏口からこっそりと中へ入りました。
    中では、まだ捜索が行われていました。
    なにぶん合宿所は広いので、あちこち探すだけでも一苦労なようです。

    私は、賭けに勝ちました。

    適当に探すふりをしながら、たまたま逢った2人組に声を掛けました。
    今朝も逢った相手の料理部の人と、例の勘のいい男性です。

    会話の流れでそれとなくホールへ誘導し、他の人たちと合流してからホールへ行きました。

    そして遺体とメッセージを確認し、今度は林に行き、また遺体を発見します。

    これで…これで本当に私の目的の8割は達成されました。

    60 = 1 :

    「……これが、キミが仕掛けたトリックの全貌だ。何か違うかい?」

    さすがは名探偵の孫です。
    私が見立て殺人を行った意味、とっさに考えたアリバイトリック、全て見透かされてしまいました。

    「あはは……すごいですね……」

    でも、まだ終わってはいません。
    私は動機を語りながら、こっそりと準備を始めます。

    そう。

    「まだハンバーグを作るためには大事な工程が1つ残っています!」

    私はポケットからライターと灯油の缶を取り出します。

    目の前の彼を含め、みんなが止めますがもう遅いです。

    私は床に灯油をまくと躊躇なくライターに火をつけました。

    「最期は…焼く……!」

    そして床に火を放ちます。

    あっという間に火は燃え広がっていきます。

    他のみんなは部屋から脱出しました。

    それでいいんです。

    もう他の人は巻き込みたくありませんから……。


    「待っててね、ダーリン」

    61 = 1 :


    モバP「いやー熱演だったな、響子」

    「あはは…。復讐に燃える女の子の役、難しかったですけど、頑張りました!」

    モバP「聖靴学園の時も思ったけど、響子ってこういう役が似合うんじゃないか?」

    「もー、それってどういう意味ですか?」

    モバP「た、大した意味じゃないよ…」

    「そういうこと言う人には、差し入れのハンバーグ、あげませんからね!」

    モバP「い、今はハンバーグよりオムライスが食べたいかな、なんて…」

    「ちなみにこの後、私、主人公の男の子に助け出されるんですけど、そういう時にプロデューサーさんはちゃんと助けてくれますよね?」

    62 = 1 :

    [五十嵐響子編]は以上です。

    ちなみに作中での被害者は明言しませんが、モバマス初期にあった某四天王つながりです。

    63 :

    動機がマジで金田一っぽい

    64 :

    金田一に良くある同情の余地無し系犠牲者か…………
    おつおつ

    65 :

    響子は不動高校だったのか

    66 :

    バーロー的な小学生の推理に茶々入れるありすと
    ロシアから来た冷酷な暗殺者アーニャを見てみたい

    67 :

    アイドルみんなでオリエント急行に乗ろう(提案)

    68 :

    1人目がM
    2人目がC
    3人目がYかな

    69 :

    持ちかけたのがまゆで、流されたのがチエリンで、なんか殺されたのが矢口?

    70 :

    某四天王なら3人目はゆかりかな

    71 :

    なんでみうさぎやねん

    Yならやよい、雪歩、夕美、唯、芳乃、由愛、優、友香、ユッコ、ユッキ、雪乃、悠貴、雪美、由里子、洋子、頼子……以上だっけ

    72 :

    おまたせいたしました

    次の話ができたため、投下します。

    73 = 1 :

    [相葉夕美編]


    今日はついに待ち焦がれたあの日。

    この日のために、私はたくさんの準備をしてきた。

    まずはアイツに待雪草を送りつけた。
    脅迫状代わりみたいなものだけど、アイツは気づいてるのかな。

    次に用意したのは彼岸花の球根。
    この時期に咲くには早いけど、促成栽培をして既に蕾の状態まで育てて

    ある。

    そしてお茶会の前夜。
    私はアイツの庭に忍び込んで、白いチューリップが咲いている花壇を狙

    う。

    隣には私のお家があって、その2階の広間にある窓からこのお庭は見る

    ことができるけど、今アイツを含めてお客さんはみんな別の部屋で寝て

    るから気づかれない。

    私はその花壇の前に立って、一呼吸整えた。

    「ごめんね」

    そう呟いて、私は目の前の白いチューリップを全て掘り返した。
    もちろんお花に罪はないから、持ってきた別のプランターに植え替えて

    あげたけど。

    そして、チューリップが植えてあったのと同じ位置に、今度は持ってき

    た彼岸花を植え付けた。
    さらに。その根元に保冷剤と氷を敷き詰めた。

    これでしばらく彼岸花は蕾のまま。
    明日は、気温も高くならないから大丈夫。

    しかし、このままではいくらお花に詳しくないアイツでも、植え替えた

    ことはすぐにバレちゃう。
    だから私はもう1つ道具を取り出した。

    それは、チューリップの造花。
    その造花の花弁の部分だけを切り取って、彼岸花の蕾に被せる。
    もちろん、そのままだと被せられないので、周りを白い紙とテープで補

    強する。

    これで遠目からや、薄暗い中ではチューリップが咲いているように見え

    るはず。

    あとは自分の家に戻って植え替えたチューリップを隠しておくだけ。
    これで準備は終わり。

    あとは明日を待つだけ。

    75 = 1 :

    73訂正

    [相葉夕美編]


    今日はついに待ち焦がれたあの日。

    この日のために、私はたくさんの準備をしてきた。

    まずはアイツに待雪草を送りつけた。
    脅迫状代わりみたいなものだけど、アイツは気づいてるのかな。

    次に用意したのは彼岸花の球根。
    この時期に咲くには早いけど、促成栽培をして既に蕾の状態まで育ててある。

    そしてお茶会の前夜。
    私はアイツの庭に忍び込んで、白いチューリップが咲いている花壇を狙う。

    隣には私のお家があって、その2階の広間にある窓からこのお庭は見ることができるけど、今アイツを含めてお客さんはみんな別の部屋で寝てるから気づかれない。

    私はその花壇の前に立って、一呼吸整えた。

    「ごめんね」

    そう呟いて、私は目の前の白いチューリップを全て掘り返した。
    もちろんお花に罪はないから、持ってきた別のプランターに植え替えてあげたけど。

    そして、チューリップが植えてあったのと同じ位置に、今度は持ってきた彼岸花を植え付けた。
    さらに。その根元に保冷剤と氷を敷き詰めた。

    これでしばらく彼岸花は蕾のまま。
    明日は、気温も高くならないから大丈夫。

    しかし、このままではいくらお花に詳しくないアイツでも、植え替えたことはすぐにバレちゃう。
    だから私はもう1つ道具を取り出した。

    それは、チューリップの造花。
    その造花の花弁の部分だけを切り取って、彼岸花の蕾に被せる。
    もちろん、そのままだと被せられないので、周りを白い紙とテープで補強する。

    これで遠目からや、薄暗い中ではチューリップが咲いているように見えるはず。

    あとは自分の家に戻って植え替えたチューリップを隠しておくだけ。
    これで準備は終わり。

    あとは明日を待つだけ。

    76 = 1 :

    翌日。

    私のお家でお茶会が行われた。
    自家製のミントティーやハーブティー、みんなが持ち寄った紅茶なんかも振舞われた。

    集まったのは祖父の知り合いが多いけど、中には祖父が前に飼い猫探しを依頼した名探偵さんとそのご家族の方も来ていた。

    特に一緒にいたメガネの男の子はミントやハーブについても詳しくて、小学生なのに珍しいなって思った。

    そんな時、アイツが話しかけてきた。

    「そういえば、アンタのあの花壇、去年までは色んな花でいっぱいだったのに今年はミントでいっぱいね」

    私はその言葉に、顔を引きつらせないように注意しながら答えた。

    「うん、植え替えをしたんだよ。今度から他のお花は向こうの花壇で育てようって」

    そう言うと、アイツは興味なさげに去っていった。

    私は1人部屋に戻ると、さっきのこと、そして去年のことを思い出していた。

    あの花壇は元々、私のお母さんが作った花壇だ。
    数年前、お母さんが亡くなった時に私はその花壇を引き継いで、大切にお花を育てていた。

    その後、アイツが隣に引っ越してきた。
    アイツの庭にも花壇があったので、声をかけてみたら、お花を育てているというので色々話していた。

    そしてあの日。
    私は旅行で数週間家を空けなければならず、その間のお花のお世話をアイツに頼んでしまった。

    私が旅行から帰ってきて見たものは、ミントが繁殖して台無しになっているお母さんの花壇だった。

    元々、私はミントも育てていたけれど、その時は全く別の花壇で、無闇に繁殖をしないよう囲いまで作って育てていた。
    勝手にこっちの花壇にまで繁殖するなんてありえない。

    そして考えた結果、アイツが手入れをした時にミントが花壇に持ち込まれたと思った。

    普段、私は他のお花のお手入れをしてからミントの花壇のお手入れをして、しかもその後自分の服や手袋や長靴についたミントの葉っぱや茎を綺麗に取り除いてから片付けをしている。

    でも、ミントのことを知らないアイツはミントの花壇からお手入れをした上、自分についたミントに全く気をつけずそのまま他の花壇のお手入れをしたのだ、と。

    後日、それとなくアイツに確認したらアイツはこう言ってきた。

    「普通に玄関から時計回りに手入れしたけど?」
    と。

    その順番で行えば、玄関前の花壇から始まり、家の裏庭を回って、ミントの花壇、そしてあのお母さんの花壇、という順番になる。

    どう考えても、アイツがミントを持ち込んだことに疑いはなかった。

    今考えてみれば、時々怪しいところがあった。
    アイツと会話をしている時、向こうからお花について聞いてくることが多く、それもお花を育てる上では基本的なことばかりだった。

    結局、アイツは近所付き合いで私に適当に話を合わせていただけで、お花が好きでもなんでもなかったということだった。

    この出来事を思い出すたびに、胸の奥がジクジクと痛む。

    だから私は、アイツに復讐すると心に誓った。

    77 = 1 :

    夜。

    お茶会の当日、昨日と同様お客さんはみんなうちに泊まってもらうことになった。

    広間での夕食の時、アイツも含めてみんなでアイツの庭に白いチューリップが咲いていることを確認した。

    これでいい。明日になったらあの光景は劇的に変わっているはず。

    みんなが寝静まる前に、私はアイツにメモをこっそり渡して深夜にアイツの庭に来るように呼び出しておいた。

    そして深夜。

    アイツが庭に来ているのを確認すると、私は炊事用の手袋をはめた。

    そしてアイツの後ろからこっそり近づいて、ナイフで一突き。
    アイツは花壇に倒れこんでもがいていたのでもう一突き。

    これで息の根は止まった。

    ここからは大急ぎ。

    まず溶け残った氷と保冷剤を全て回収する。
    炊事用の手袋をしたのはこのため。
    まだ冷たいかもしれない氷や保冷剤を素手で掴むのは危ないもん。

    そして彼岸花につけたチューリップの造花を残さないように綺麗にはずす。

    明日は気温が高いから、日が昇ればすぐに暖かくなって、真っ赤な彼岸花が綺麗に咲くよ。

    その後、氷と紙、細かくした造花はアイツの庭の排水溝から流し、保冷剤と炊事用の手袋は庭の水道で洗っておいた。

    そして私はこっそりと自分の家に戻って、保冷剤を冷凍庫に戻し、炊事用の手袋もあった場所に戻しておいた。

    これで、私は自分の部屋に戻った。

    翌日、目を覚ました私とみんなが見たものは、血を吸ったように真っ赤に咲いている、彼岸花たちだった。

    78 = 1 :

    モバP「お疲れ、夕美。熱演だったぞ」

    夕美「も、もう〜からかわないでよ〜」

    モバP「ははっ、からかってないぞ。特にミントに覆われた花壇を見てるときの表情は迫真だったな!」

    夕美「…うん。実はね、私もこの人の気持ち、ちょっとはわかるんだ」

    夕美「自分が大切に育ててたお花を台無しにされちゃって……。もしも自分だったら、って考えたら、演技にも熱が入っちゃったんだ」

    モバP「夕美……」

    夕美「でもね、私だったら絶対こんなことはしないよ!」

    夕美「この人も後で探偵さんに指摘されちゃうけど、自分が大好きだったはずのお花を殺人の道具にしちゃうなんて、ありえないもん!」

    79 :

    自転車に乗った刑事
    古畑任三郎かな?

    80 = 1 :

    [相葉夕美編]は以上です。

    改行、いつもは気をつけてるんですけどたまたま油断しちゃいました。

    そろそろ探偵役(推理役)の元ネタがつきそうです。

    多分、元ネタがつきたらおわりにします。
    もしかしたらつきても続く、かも

    81 :

    金田一でワインだめにされた話を思い出す

    82 :

    探偵じゃなくて刑事でもいいのでは?

    83 :

    ガリレオ、ネウロ、右京さん、ビブリオ、掟上……

    84 :

    推理役なら都がいるじゃろ

    85 = 84 :

    さげとさが間違えたすまぬ

    86 :

    レイナ様、あれほど夕美の花壇にミント撒くのはやめろといったのに

    87 :



    探偵は使いまわしてもよいんじゃないかな

    88 :

    響子の金田一は動機がほんとにありそうで草生えたわ
    犯人が自殺しようとするところも再現しててすげー

    89 :

    >>83
    ネウロは草

    アイドルが異形にされるやんけ!

    90 :

    乙です。

    >>76
    名探偵の家族
    小学生 メガネの男の子

    もうこの時点で絶望的。

    91 :

    MIT卒の高校生も加えよう

    92 :

    ミントってやべーんだな
    人ん家にミント撒くとかなんの意味あるのかなーって某騒動の時思ったけどそんなに繁殖力強いんだ

    93 :

    >>91
    あれは生存率わりと高いぞ

    94 :

    機動捜査隊216とか、窓際太郎とか

    95 :

    「お母さんの花が、私に犯人を教えてくれたのです」みたいな展開っぽい

    96 :

    列車ほかのアリバイトリック絶対解決マンの警視庁警部とか、
    第一発見者が毎回警察に犯人と間違われるルポライターさんだったとか
    火災調査官とか副署長だったりする某帝王さんとか

    色々やってもいいのよ

    97 :

    元刑事のタクシードライバーに 「彼女が犯人のわけないじゃないか」 と庇われる美優さんとか

    98 :

    ミントでこれなら悪茄子とか持ち込んだらどーなるの

    99 :

    >>98
    凶器になる

    100 :

    ルパンの仕業にしとけば一人凄腕の警部くるやん
    あとはみくにゃんとか春菜辺り向けのが一匹


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