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元スレ女「人様のお墓に立ちションですか」
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女「まだ続いてたんですかそれ」
男「ぐへへへ」
女「お手柔らかにお願いしますよ」
男「それじゃあ」
男「……連絡先教えてもらってもいい?」
女「できません」
男「 」
女「わたし、携帯電話持っていないんです」
男「ほっ」
女「驚かれるものかと思ってましたが安心されるとは」
男「君の友好電波基地局の圏外にいるのかと思って」
女「なんですかそれ」
男「ぐへへへ」
女「お手柔らかにお願いしますよ」
男「それじゃあ」
男「……連絡先教えてもらってもいい?」
女「できません」
男「 」
女「わたし、携帯電話持っていないんです」
男「ほっ」
女「驚かれるものかと思ってましたが安心されるとは」
男「君の友好電波基地局の圏外にいるのかと思って」
女「なんですかそれ」
男「とかなんとか言ってる間に朝日が出てきそう」
女「それじゃあお開きといたしましょうか」
男「おう。気を付けて帰って」
女「気を付けます」
男「また今晩」
女「はい、また今晩」
女「それじゃあお開きといたしましょうか」
男「おう。気を付けて帰って」
女「気を付けます」
男「また今晩」
女「はい、また今晩」
女「こんばんは」
男「こんばんは」
女「今日も寒いですね」
男「火が欲しいところだな」
女「今日もなにやら持ってきてるようですね」
男「中身は開けてからのお楽しみ」ガサゴソ
女「もう開け始めてますね…」
男「こんばんは」
女「今日も寒いですね」
男「火が欲しいところだな」
女「今日もなにやら持ってきてるようですね」
男「中身は開けてからのお楽しみ」ガサゴソ
女「もう開け始めてますね…」
女「それって……線香花火じゃないですか!」
男「いけね。線香と間違えて買ってきちまった」
女「どんな間違いですか!」
男「しょうがない。今夜はこれで夜を凌ごう」
女「もう、相変わらずの不謹慎さですね」
女「よく見たら律儀に火消し用の水も何本か買ってありますし」
男「飲み物用は一本しかないから、あんたが飲み終わった後に出したのを俺が飲もう」
女「そして相変わらずの変態度合いです」
男「いけね。線香と間違えて買ってきちまった」
女「どんな間違いですか!」
男「しょうがない。今夜はこれで夜を凌ごう」
女「もう、相変わらずの不謹慎さですね」
女「よく見たら律儀に火消し用の水も何本か買ってありますし」
男「飲み物用は一本しかないから、あんたが飲み終わった後に出したのを俺が飲もう」
女「そして相変わらずの変態度合いです」
パチパチパチ…
女「うわぁ、懐かしいです」
男「冬でも花火ってできるんだな」
女「意外と火つきますね」
男「どうして冬に花火をする風潮がないんだろう」
女「やっぱり寒いからじゃないですかね」
男「火は寒い時につけるものなのに」
女「願い事はしましたか?」
男「願い事?」
女「線香花火の火の玉が落ちなかった時、込めた願いが叶うと言われているそうです」
男「初耳。どうしようかなぁ」ジュッ…
女「うふふ、もう落ちちゃいましたね」ジュッ…
男「そっちもな」
女「あら」
女「うわぁ、懐かしいです」
男「冬でも花火ってできるんだな」
女「意外と火つきますね」
男「どうして冬に花火をする風潮がないんだろう」
女「やっぱり寒いからじゃないですかね」
男「火は寒い時につけるものなのに」
女「願い事はしましたか?」
男「願い事?」
女「線香花火の火の玉が落ちなかった時、込めた願いが叶うと言われているそうです」
男「初耳。どうしようかなぁ」ジュッ…
女「うふふ、もう落ちちゃいましたね」ジュッ…
男「そっちもな」
女「あら」
女「今日も不謹慎な1日の終わりを迎えそうですね」
男「夏休みの宿題が終わってないことを夏休み開けに先生に伝える気分になってきただろう」
女「私はちゃんと夏休みの半ばにはほとんど終わらせていました」
男「えっ、なにそれ、なにそれ。賞金でもかかってたの?」
女「夏休みの友、ぐらいしか友達がいませんでしたからね。うふふ」
男「えっ、あっ、そうなんだ…」
女「冗談です。友達くらいいました。失礼な」
男「夏休みの宿題が終わってないことを夏休み開けに先生に伝える気分になってきただろう」
女「私はちゃんと夏休みの半ばにはほとんど終わらせていました」
男「えっ、なにそれ、なにそれ。賞金でもかかってたの?」
女「夏休みの友、ぐらいしか友達がいませんでしたからね。うふふ」
男「えっ、あっ、そうなんだ…」
女「冗談です。友達くらいいました。失礼な」
男「夏休みの日記、みたいな宿題はどうしてたんだ?」
女「未来を描いていました」
男「か、かっこいい」
女「あの頃はまだ未来を描けていたんです」
男「切なくなるこというなよ」
女「あなたはどうしていましたか?」
男「そりゃあ最終日に30日分まとめて書いてたよ」
女「大変ですね」
男「それでも俺はまとめて日記を書くことを割と楽しんでいた」
男「日記の中では、俺は過ごしたかった夏休みを過ごすことができたからな」
女「切なくなること言わないでくださいよ」
女「未来を描いていました」
男「か、かっこいい」
女「あの頃はまだ未来を描けていたんです」
男「切なくなるこというなよ」
女「あなたはどうしていましたか?」
男「そりゃあ最終日に30日分まとめて書いてたよ」
女「大変ですね」
男「それでも俺はまとめて日記を書くことを割と楽しんでいた」
男「日記の中では、俺は過ごしたかった夏休みを過ごすことができたからな」
女「切なくなること言わないでくださいよ」
男「大雨の日に外で遊んだことにしてたのに先生に怒られなかったからな。どうせ見てないんだって思ったよ」
男「まぁ今思えば、40人近い生徒の宿題なんて目を通すこと自体とても大変なことだったんだよな」
女「私は精神年齢が高いので当時からそういう同情を抱いていましたよ。しかし驚いたことにですね、誤った未来を怒られたことがあるんです」
男「誤った未来を怒られたことがある、ってセリフ生きてる間に一度は言ってみたいな」
女「生きてる間に言えなかったら死んでから言えば大丈夫です」
男「俺はゾンビか何かか。それで、なんなんだ、その、"誤った未来"、ってやつぁ」
女「キザな言い方で聞くほど気に入ってくださってなによりです」
男「まぁ今思えば、40人近い生徒の宿題なんて目を通すこと自体とても大変なことだったんだよな」
女「私は精神年齢が高いので当時からそういう同情を抱いていましたよ。しかし驚いたことにですね、誤った未来を怒られたことがあるんです」
男「誤った未来を怒られたことがある、ってセリフ生きてる間に一度は言ってみたいな」
女「生きてる間に言えなかったら死んでから言えば大丈夫です」
男「俺はゾンビか何かか。それで、なんなんだ、その、"誤った未来"、ってやつぁ」
女「キザな言い方で聞くほど気に入ってくださってなによりです」
女「中学の時の宿題で、それこそ日記のようなレポートの提出の宿題が出されました」
女「小学生の頃にそうしていたように、私は夏休みの半ばにはほとんどの宿題を終えて、日記形式の宿題は未来の日付とともに想像で書きました」
女「想像した未来の内容が現実と違っていたので注意されました。それも、晴れの日が雨の日だったなんてものではありません」
男「雨の日が、晴れだった?」
女「それ全然レベル変わってないですからね」
女「星です。私が空想で描いた星の描写に疑いを持ってくれたんです」
女「小学生の頃にそうしていたように、私は夏休みの半ばにはほとんどの宿題を終えて、日記形式の宿題は未来の日付とともに想像で書きました」
女「想像した未来の内容が現実と違っていたので注意されました。それも、晴れの日が雨の日だったなんてものではありません」
男「雨の日が、晴れだった?」
女「それ全然レベル変わってないですからね」
女「星です。私が空想で描いた星の描写に疑いを持ってくれたんです」
男「前に言ってた先生か?」
女「はい。担任兼理科の先生でした。途中までは素敵な人でした」
男「その人が生徒からいじめられるまでは、か」
女「いじめられ終わるまで、です」
男「?」
女「美人なのに近寄りやすさを出し過ぎていました。人はみな、自分より格上の存在を、隙あらば引きずり落とそうとしますからね 。特に、賢さと美貌に関しては」
女「はい。担任兼理科の先生でした。途中までは素敵な人でした」
男「その人が生徒からいじめられるまでは、か」
女「いじめられ終わるまで、です」
男「?」
女「美人なのに近寄りやすさを出し過ぎていました。人はみな、自分より格上の存在を、隙あらば引きずり落とそうとしますからね 。特に、賢さと美貌に関しては」
男「人気が出るような気がするけどな」
女「人気者でしたよ。運動神経がかなりにぶいことが判明しても、むしろ好感度が上がっていました。矛盾するような言い方になりますが、完璧な人の欠点は、その完璧さにより拍車をかけるんです」
女「彼氏いるんですかー、って、色んな生徒から聞かれていました」
女「いなかったって言ってましたが、生徒の大半は信じていなかったみたいです」
男「そんな人を引きずり下ろそうなんて、やっぱり女子の世界は怖いんだな」
女「美人を悪口の対象にする傾向は確かにありますね」
男「じゃああんたも大変なんだな」
女「おやおや、言うようになりましたね。女慣れしてる人みたいです」
男「暗くてよかった。顔真っ赤だよ」
女「そーですか。まぁ、私もですけど」
女「人気者でしたよ。運動神経がかなりにぶいことが判明しても、むしろ好感度が上がっていました。矛盾するような言い方になりますが、完璧な人の欠点は、その完璧さにより拍車をかけるんです」
女「彼氏いるんですかー、って、色んな生徒から聞かれていました」
女「いなかったって言ってましたが、生徒の大半は信じていなかったみたいです」
男「そんな人を引きずり下ろそうなんて、やっぱり女子の世界は怖いんだな」
女「美人を悪口の対象にする傾向は確かにありますね」
男「じゃああんたも大変なんだな」
女「おやおや、言うようになりましたね。女慣れしてる人みたいです」
男「暗くてよかった。顔真っ赤だよ」
女「そーですか。まぁ、私もですけど」
男「その人に嫉妬してる、リーダー格みたいな人がいたのかな」
女「続きが気になるところでしょうけど、もういい時間ですよ」
男「ちょっと早い気もするけどな。まぁ今日はお開きにしよう」
女「花火楽しかったです。お金は大丈夫でしたか?」
男「釣りはいらねぇ」
女「申し訳ないです。あいにく、手持ちが全くなくて」
男「気持ちがあれば充分よ」
女「続きが気になるところでしょうけど、もういい時間ですよ」
男「ちょっと早い気もするけどな。まぁ今日はお開きにしよう」
女「花火楽しかったです。お金は大丈夫でしたか?」
男「釣りはいらねぇ」
女「申し訳ないです。あいにく、手持ちが全くなくて」
男「気持ちがあれば充分よ」
男「なぁ」
女「なんでしょう」
男「こうやって、真夜中の墓地で2人で花火してるなんて、ありえない光景だよな」
女「珍百景にすら入りそうもありませんね」
男「もしかしたらさ。俺らという存在も、どこかの小学生が日記に書いた幻なのかもしれない」
女「…………」
女「冬だからその可能性はないですよ」
男「ロマンがないぞ!」
女「それじゃあ、私からも一つ」
男「なんだろう」
女「線香花火をしながらなんやかんやと会話してる時に、一つだけ火の玉が落ちませんでした」
男「まじか、すごいな。なんか願いを込めた?」
女「叶ってからのお楽しみです。おやすみなさい」
男「気になって眠れそうにないが、おやすみ」
女?男「また明日」
女「なんでしょう」
男「こうやって、真夜中の墓地で2人で花火してるなんて、ありえない光景だよな」
女「珍百景にすら入りそうもありませんね」
男「もしかしたらさ。俺らという存在も、どこかの小学生が日記に書いた幻なのかもしれない」
女「…………」
女「冬だからその可能性はないですよ」
男「ロマンがないぞ!」
女「それじゃあ、私からも一つ」
男「なんだろう」
女「線香花火をしながらなんやかんやと会話してる時に、一つだけ火の玉が落ちませんでした」
男「まじか、すごいな。なんか願いを込めた?」
女「叶ってからのお楽しみです。おやすみなさい」
男「気になって眠れそうにないが、おやすみ」
女?男「また明日」
ずっと下げ忘れてたことに気づきました、ごめんなさい。
読んでくれている人ありがとう。
ここにはやっぱり、最終日に終わらせる人が多いんだろうなって、失礼なことを想像しました。
おやすみなさい。
読んでくれている人ありがとう。
ここにはやっぱり、最終日に終わらせる人が多いんだろうなって、失礼なことを想像しました。
おやすみなさい。
男「こんばんわ」
女「こんばんわ」
男「今夜も真っ暗ですね」
女「今夜も手がかじかみますね」
男「よろしければ、私のズボンのポケットに手を入れませんか?」
女「えっ」
男「って言って手を入れたら、ポケットの底に穴が空いててノーパンっていう痴漢を考えたんだけど」
女「…………」
男「手を入れる間柄の人にしかできないというのが残念なところ」
女「……最低です」
男「度が過ぎたかな、これは失礼…」
女「まぁそういう冗談を言うくせに、いざ性に対峙した時はピュアな自分を捨てきれない浅はかなところがあるのは知っています」
男「うっ、冷たい言葉が心に刺さる」
女「寒いのはこちらの手ですよ…」
男「?」
女「こんばんわ」
男「今夜も真っ暗ですね」
女「今夜も手がかじかみますね」
男「よろしければ、私のズボンのポケットに手を入れませんか?」
女「えっ」
男「って言って手を入れたら、ポケットの底に穴が空いててノーパンっていう痴漢を考えたんだけど」
女「…………」
男「手を入れる間柄の人にしかできないというのが残念なところ」
女「……最低です」
男「度が過ぎたかな、これは失礼…」
女「まぁそういう冗談を言うくせに、いざ性に対峙した時はピュアな自分を捨てきれない浅はかなところがあるのは知っています」
男「うっ、冷たい言葉が心に刺さる」
女「寒いのはこちらの手ですよ…」
男「?」
女「もうすぐ年明けですね」
男「その前にクリスマスイブがあるだろ」
女「そうでしたっけ」
男「その後にクリスマスがあるだろ」
女「そうなりますね」
男「そのあとに年明けだ。イベント続きでうんざりするよ」
女「クリスマスはお嫌いですか?」
男「クリスマスは嫌いじゃない。クリスマスに自分が嫌いになるだけだ」
女「片想いしてた人に今から連絡を取ってみたら?」
男「急だな。そしたらクリスマスに過ごす相手探しみたいに思われるだろ」
女「現実的な考えですね。まだ未練はありますか?」
男「もうほとんどないよ。夜中にお墓で立ちションする程度」
女「まぁ、重症じゃないですか。クリスマスを言い訳にしたら、年明けも言い訳にするし、年明けには受験を言い訳にして、4月からは浪人を言い訳にしますよ」
男「浪人前提かよ」
女「夜中に墓地で甘えてる人に現実はやさしくしてくれませんから」
男「この空間は俺にやさしいんだけどな」
女「そうですね。ここは非現実的な空間です。だから私も離れられないのでしょう」
男「嫌だな。この間の世界って言葉と一緒で、現実って言葉も"自分"という単語に置き換えられそうだ」
女「今の自分を愛している人は、真夜中のお墓に来くることはなさそうですね」
男「その前にクリスマスイブがあるだろ」
女「そうでしたっけ」
男「その後にクリスマスがあるだろ」
女「そうなりますね」
男「そのあとに年明けだ。イベント続きでうんざりするよ」
女「クリスマスはお嫌いですか?」
男「クリスマスは嫌いじゃない。クリスマスに自分が嫌いになるだけだ」
女「片想いしてた人に今から連絡を取ってみたら?」
男「急だな。そしたらクリスマスに過ごす相手探しみたいに思われるだろ」
女「現実的な考えですね。まだ未練はありますか?」
男「もうほとんどないよ。夜中にお墓で立ちションする程度」
女「まぁ、重症じゃないですか。クリスマスを言い訳にしたら、年明けも言い訳にするし、年明けには受験を言い訳にして、4月からは浪人を言い訳にしますよ」
男「浪人前提かよ」
女「夜中に墓地で甘えてる人に現実はやさしくしてくれませんから」
男「この空間は俺にやさしいんだけどな」
女「そうですね。ここは非現実的な空間です。だから私も離れられないのでしょう」
男「嫌だな。この間の世界って言葉と一緒で、現実って言葉も"自分"という単語に置き換えられそうだ」
女「今の自分を愛している人は、真夜中のお墓に来くることはなさそうですね」
女「そういえば、クリスマスイブのイブってどういう意味だか知ってます?」
男「前日って意味?それともアダムとイブのイブと関係があったり?」
女「夜、って意味らしいです。24日の日没から25日の日没までがクリスマス。その間に訪れる夜は24日だけですので。ほら、今でもイブニングって英語があるじゃないですか」
女「いつの間にか24日の一日中がクリスマスイブだと思われるようになってしまったそうです」
男「へぇー、知らなかった。朝のニュース番組の特集みたい」
女「深夜の墓地の特集です。以上、現場からお伝えしました」
男「前日って意味?それともアダムとイブのイブと関係があったり?」
女「夜、って意味らしいです。24日の日没から25日の日没までがクリスマス。その間に訪れる夜は24日だけですので。ほら、今でもイブニングって英語があるじゃないですか」
女「いつの間にか24日の一日中がクリスマスイブだと思われるようになってしまったそうです」
男「へぇー、知らなかった。朝のニュース番組の特集みたい」
女「深夜の墓地の特集です。以上、現場からお伝えしました」
女「そういえば、昔朝に見た番組で街頭インタビューしているものがありました」
女「『地球が滅びるとわかったら何をしますか?』というものでした」
女「それに対して町中の人は『昨日と同じように過ごす』と答えていました」
女「どう思います?」
男「本当のことかもしれないと思う」
男「世界が滅亡する系の小説だとさ、金属バットで街中のガラスを割ったり、綺麗な女性に襲いかかってる描写があってさ。そうなんだろうなぁって思いながら読んでた」
男「けれど、やっぱり今日に至るまでの選択の集大成が今日という一日なんだ。”死後も人々から愛されたいから”という理由で、病死や自殺を目前にした人は死を前にして大人しくしているわけじゃない」
男「明日世界中が粉々になってしまってしまうことが確実だとわかっていても、人は今までの生き方を死の直前まで捨てられないんだ。残り50年あって変えられないままなら、50秒後滅ぶとしても何もかわらないままなのだろう」
女「なんだか、襲いたいのに襲う勇気がない人が多いみたいな言い方に聞こえてしまいました」
男「今までの生き方を変えられないってだけだよ。ちゃんと愛されて生きてきて、その愛をそのまま守ろうとする人も多くいると思ってるよ」
男「あるいは、傷つけられて生きてきたのに、そのまま傷つけられたまま終えようとする人も」
男「そして、最後の日くらい、復讐してやり放題やってやろうって人も。けど、割合的にはかなり少ないんじゃないかって思う」
女「あなたはどうですか?」
男「わからない。けれど、ここに来るんじゃないかな」
女「『地球が滅びるとわかったら何をしますか?』というものでした」
女「それに対して町中の人は『昨日と同じように過ごす』と答えていました」
女「どう思います?」
男「本当のことかもしれないと思う」
男「世界が滅亡する系の小説だとさ、金属バットで街中のガラスを割ったり、綺麗な女性に襲いかかってる描写があってさ。そうなんだろうなぁって思いながら読んでた」
男「けれど、やっぱり今日に至るまでの選択の集大成が今日という一日なんだ。”死後も人々から愛されたいから”という理由で、病死や自殺を目前にした人は死を前にして大人しくしているわけじゃない」
男「明日世界中が粉々になってしまってしまうことが確実だとわかっていても、人は今までの生き方を死の直前まで捨てられないんだ。残り50年あって変えられないままなら、50秒後滅ぶとしても何もかわらないままなのだろう」
女「なんだか、襲いたいのに襲う勇気がない人が多いみたいな言い方に聞こえてしまいました」
男「今までの生き方を変えられないってだけだよ。ちゃんと愛されて生きてきて、その愛をそのまま守ろうとする人も多くいると思ってるよ」
男「あるいは、傷つけられて生きてきたのに、そのまま傷つけられたまま終えようとする人も」
男「そして、最後の日くらい、復讐してやり放題やってやろうって人も。けど、割合的にはかなり少ないんじゃないかって思う」
女「あなたはどうですか?」
男「わからない。けれど、ここに来るんじゃないかな」
女「だけど、わかりませんよ。滅亡を前にしたあなたが、昨日までと同じあなたである保証なんてない」
男「そうかな。人間そんな簡単に変われたら苦労しないよ。悪い人間が良い人間に変わることが難しいのと同じくらいに、いやそれ以上に、良い人間が悪い人間に変わることも難しいことなんだ。って、なんだか自分は良い人間だって言ってるみたいになっちゃったけど」
女「犯罪者だって、ある日突然犯罪者になるわけじゃないですか。昨日までは犯罪者じゃなかったのに、今日積み重ねたものによってコップの水が溢れ出してしまうんですよ」
女「世界の滅亡や、自殺したいという気持ちが、その最後の大きな一滴に充分なり得るとおもいますよ。ある日まではお墓に来なかったあなたが、翌日にはお墓で立ちションをしていたように」
男「それは、そうだけど」
女「まぁ、ただでさえ寒くて暗いんですし、明るい話題に変えましょうか」
女「今さっきまで好きな人への想いを未練たらたらに思っていたあなたが、もう10秒後にはメールでデートの約束を取り付ける可能性だってあるってことですよ」
男「いつから恋のお悩み相談室になったんだここは」
女「他人の恋を責任持たずに楽しむのは多少不謹慎なことですから。私に不謹慎なことをさせるって言ってたじゃないですか」
男「人を呪わば穴2つだな。やばい、想像しただけで汗が出てきた」
女「穴があったら入りたいですか?」
男「墓穴だろうからやめておく…」
女「おお、じゃあさっそく今から運命を変えましょう!」
男「そうかな。人間そんな簡単に変われたら苦労しないよ。悪い人間が良い人間に変わることが難しいのと同じくらいに、いやそれ以上に、良い人間が悪い人間に変わることも難しいことなんだ。って、なんだか自分は良い人間だって言ってるみたいになっちゃったけど」
女「犯罪者だって、ある日突然犯罪者になるわけじゃないですか。昨日までは犯罪者じゃなかったのに、今日積み重ねたものによってコップの水が溢れ出してしまうんですよ」
女「世界の滅亡や、自殺したいという気持ちが、その最後の大きな一滴に充分なり得るとおもいますよ。ある日まではお墓に来なかったあなたが、翌日にはお墓で立ちションをしていたように」
男「それは、そうだけど」
女「まぁ、ただでさえ寒くて暗いんですし、明るい話題に変えましょうか」
女「今さっきまで好きな人への想いを未練たらたらに思っていたあなたが、もう10秒後にはメールでデートの約束を取り付ける可能性だってあるってことですよ」
男「いつから恋のお悩み相談室になったんだここは」
女「他人の恋を責任持たずに楽しむのは多少不謹慎なことですから。私に不謹慎なことをさせるって言ってたじゃないですか」
男「人を呪わば穴2つだな。やばい、想像しただけで汗が出てきた」
女「穴があったら入りたいですか?」
男「墓穴だろうからやめておく…」
女「おお、じゃあさっそく今から運命を変えましょう!」
男「人を呪わば穴2つだな。やばい、想像しただけで汗が出てきた」
女「穴があったら入りたいですか?」
男「墓穴だろうからやめておく…」
このへん妙に上手くて好き
女「穴があったら入りたいですか?」
男「墓穴だろうからやめておく…」
このへん妙に上手くて好き
男「ちょ、ちょっとまって。今何時だと思ってるんだ」
女「メールは今作成して、明日のお昼に送信しましょうよ」
男「ラブレターは夜に書いちゃ駄目だって聞いたことがあるぞ」
女「伝わらなければ0点です。悪いことを伝えたらマイナス100点かもしれません。けれど、どうせ合格点である60点以上にしか意味はないんです。だったら昼間に書かないラブレターよりも、夜に書けるラブレターの方に価値があるんです。合格になるかはわかりませんが、選択としては正解です」
男「何年離れてると思ってるんだ。アドレスだってちょっとしたノリで交換したきりだ。向こうだっていきなり連絡きたら嫌だろう。ストーカーだって思われるかも」
女「嫌かもしれないって話はやめませんか。言ってたじゃないですか、不謹慎な存在になってやるって」
女「不謹慎とは慎みや考慮、思慮分別の欠如のことをさす言葉でしょう?」
女「まさに、恋愛のことじゃないですか」
女「メールは今作成して、明日のお昼に送信しましょうよ」
男「ラブレターは夜に書いちゃ駄目だって聞いたことがあるぞ」
女「伝わらなければ0点です。悪いことを伝えたらマイナス100点かもしれません。けれど、どうせ合格点である60点以上にしか意味はないんです。だったら昼間に書かないラブレターよりも、夜に書けるラブレターの方に価値があるんです。合格になるかはわかりませんが、選択としては正解です」
男「何年離れてると思ってるんだ。アドレスだってちょっとしたノリで交換したきりだ。向こうだっていきなり連絡きたら嫌だろう。ストーカーだって思われるかも」
女「嫌かもしれないって話はやめませんか。言ってたじゃないですか、不謹慎な存在になってやるって」
女「不謹慎とは慎みや考慮、思慮分別の欠如のことをさす言葉でしょう?」
女「まさに、恋愛のことじゃないですか」
男「本当に、ちょっと、待ってくれよ」
女「いいですよ。何分待ちますか?」
男「文章を作成する気になるまで」
女「パソコンを使ってる時にたまに見られる、ずっと動かないダウンロードのバーみたいなのはやめてくださいね」
男「せっかく文章を作成しても、アドレスだって変わってるかもしれないし。多分そうだよ。他のSNSアプリでも知り合い欄に表示されないし。それに、恋人がいるかもしれないし」
女「他のSNSアプリで知り合い欄に表示されないから送らないんですか?恋人がいるかもしれないから送らないんですか?」
女「良い企画マンになれますよ。社会人一年目のOLを拉致してプレゼンでもしたらどうですか?『私が想い人に告白できない100の理由』」
男「……挑発して単純に乗るほど馬鹿じゃないぞ」
女「馬鹿になってくださいよ。思慮分別があったから、何もできずにいたんでしょう」
男「思慮分別があったらお墓で立ちションなんてしない」
女「お墓で立ちションできるならメールくらい送れます」
男「メールすら送れないからお墓で立ちションする目に遭ってんだ」
女・男「ぐぬぬぬ……」
女「いいですよ。何分待ちますか?」
男「文章を作成する気になるまで」
女「パソコンを使ってる時にたまに見られる、ずっと動かないダウンロードのバーみたいなのはやめてくださいね」
男「せっかく文章を作成しても、アドレスだって変わってるかもしれないし。多分そうだよ。他のSNSアプリでも知り合い欄に表示されないし。それに、恋人がいるかもしれないし」
女「他のSNSアプリで知り合い欄に表示されないから送らないんですか?恋人がいるかもしれないから送らないんですか?」
女「良い企画マンになれますよ。社会人一年目のOLを拉致してプレゼンでもしたらどうですか?『私が想い人に告白できない100の理由』」
男「……挑発して単純に乗るほど馬鹿じゃないぞ」
女「馬鹿になってくださいよ。思慮分別があったから、何もできずにいたんでしょう」
男「思慮分別があったらお墓で立ちションなんてしない」
女「お墓で立ちションできるならメールくらい送れます」
男「メールすら送れないからお墓で立ちションする目に遭ってんだ」
女・男「ぐぬぬぬ……」
男「もう、一体何なんだよ。世捨て人が集まる場所じゃなかったのかここは。青春コーナーにに分類されている本も映画も一切避け続けてここまで逃げてきたってのに」
女「あなたが好きだった人が今現れて、そして明日には地球が滅亡するとしたらどうしますか?」
男「強引にキスをしたあと、金属バットで街中の窓ガラスを割ってやるさ」
女「思ってもないことばかり」
男「告白出来るほど親密だったことなんてない。会話なんて数えるほどしかない。向こうは俺のことなんて覚えてないかもしれない」
男「幻想だよ。あの子の本当の姿なんて知らない。あの子よりも美人で、あの子よりも性格が良い女の子なんて、失礼だけどやまほどいるはずだ」
男「なのにあの子が1番だと思ってるのは、脳の錯覚だろ。好かれてるわけでもないのに、好きになってるのは、やっぱり勘違いだろ」
男「あの子のこと、好きになっちゃいけなかったんだよ……」
女「あなたが好きだった人が今現れて、そして明日には地球が滅亡するとしたらどうしますか?」
男「強引にキスをしたあと、金属バットで街中の窓ガラスを割ってやるさ」
女「思ってもないことばかり」
男「告白出来るほど親密だったことなんてない。会話なんて数えるほどしかない。向こうは俺のことなんて覚えてないかもしれない」
男「幻想だよ。あの子の本当の姿なんて知らない。あの子よりも美人で、あの子よりも性格が良い女の子なんて、失礼だけどやまほどいるはずだ」
男「なのにあの子が1番だと思ってるのは、脳の錯覚だろ。好かれてるわけでもないのに、好きになってるのは、やっぱり勘違いだろ」
男「あの子のこと、好きになっちゃいけなかったんだよ……」
男「…………」
女「気は済みましたか?」
男「疲れた…」
女「じゃあメールを送りましょう。会って喋りたいと」
男「あんたはさ、どうしてそこまでして」
女「質問は質着応答の時間にお願いします!!!!!!」クワッ!!
男「は、はい……じゃなくて。せめてクリスマスイブが過ぎるまで待ってくれないか。さっきも言ったけど記念日を過ごす相手探しだと思われるって」
女「メールは明日にでも送って、会うのは年末とかにすればいいじゃないですか」
男「俺が明日送信ボタンを押すと思う?」
女「押したらかっこいいですよ」
男「押さなかったら?」
女「特に何も」
男「じゃあ押さなくても良さそうじゃん」
女「特に何もない今までの人生どうでした?」
男「……クソクソ、アンド、クソ」
女「クソクソ、アンド、クソ、ですか」
男「親の愛も、友達との笑いも、恋が実っていればもっともっと素直に感謝出来ていたと思う」
男「けれど今から一発逆転ホームランなんか、そんな都合のいい話あるとは思えないんだよ」
女「数年間に及んで毎日落としてきた後悔の水滴の粒が、今やっとコップから溢れて勇気に変わったんですよ。一発逆転なんかじゃありません」
女「気は済みましたか?」
男「疲れた…」
女「じゃあメールを送りましょう。会って喋りたいと」
男「あんたはさ、どうしてそこまでして」
女「質問は質着応答の時間にお願いします!!!!!!」クワッ!!
男「は、はい……じゃなくて。せめてクリスマスイブが過ぎるまで待ってくれないか。さっきも言ったけど記念日を過ごす相手探しだと思われるって」
女「メールは明日にでも送って、会うのは年末とかにすればいいじゃないですか」
男「俺が明日送信ボタンを押すと思う?」
女「押したらかっこいいですよ」
男「押さなかったら?」
女「特に何も」
男「じゃあ押さなくても良さそうじゃん」
女「特に何もない今までの人生どうでした?」
男「……クソクソ、アンド、クソ」
女「クソクソ、アンド、クソ、ですか」
男「親の愛も、友達との笑いも、恋が実っていればもっともっと素直に感謝出来ていたと思う」
男「けれど今から一発逆転ホームランなんか、そんな都合のいい話あるとは思えないんだよ」
女「数年間に及んで毎日落としてきた後悔の水滴の粒が、今やっとコップから溢れて勇気に変わったんですよ。一発逆転なんかじゃありません」
男「はぁ……」
男「疲れた。心が疲れた」
女「元気を出しましょ。こんな言葉を例の先生から聞いたことがあります」
女「"他人に幸福を求めて話しかけてはいけない。自分が幸せな時に他人に話しかけなさい"」
女「いい言葉でしょ?」
男「その先生はしばらくしてからきっとこうも言ってたぜ。『疲れた。心が疲れた』」
女「それは先生のせいじゃありません……」
男「疑問に思うんだけど、そんなに素晴らしい先生をいじめようとしたやつらって一体どんな」
女「質問は質着応答の時間にお願いします。今考えるべきはメールの文章の内容ですよ」
男「人のプレゼンネタパクるなって。反省しましたよ。俺もいつか人にものを教える立場になったら『質問がある人』ってちゃんと聞く人になるよ」
女「さぁさ、早くかきましょう」
男「あんたが考えてくれるよな?」
女「何を言ってるんですか」
男「女性の方が女性の気持ちがわかるだろう」
女「女性を口説くのは女性ではなく男性ですよ。ほら、今も夕陽を背景に、イタリアで8人の男が情熱的な告白をしました。あっ、今はフランスで男が3人告白をしていて、二人が告白準備中です。おや、デンマークでは既に告白を終えた男が3人いるみたいです」
男「墓地で考えたメールの文章を送って数年越しの片想いが実った男性は?」
女「…………」
女「涙とともにパンを食べたものにしか、人生の本当の味はわからないとゲーテがおっしゃっていました」
男「不吉な未来を名言で覆おうとしたよね。しかも振られたら何も喉を通らないからな」
女「その調子でどんどん文章も考えて下さい」
男「それができたら苦労しないよ」
女「苦労しましょう。今までそれが足りなかったんですから」
男「耐え忍んできただけだったな」
女「過去も偲んでいましたよ。オセロみたいに、連なった黒が全部白にひっくりかえるといいですね」
男「疲れた。心が疲れた」
女「元気を出しましょ。こんな言葉を例の先生から聞いたことがあります」
女「"他人に幸福を求めて話しかけてはいけない。自分が幸せな時に他人に話しかけなさい"」
女「いい言葉でしょ?」
男「その先生はしばらくしてからきっとこうも言ってたぜ。『疲れた。心が疲れた』」
女「それは先生のせいじゃありません……」
男「疑問に思うんだけど、そんなに素晴らしい先生をいじめようとしたやつらって一体どんな」
女「質問は質着応答の時間にお願いします。今考えるべきはメールの文章の内容ですよ」
男「人のプレゼンネタパクるなって。反省しましたよ。俺もいつか人にものを教える立場になったら『質問がある人』ってちゃんと聞く人になるよ」
女「さぁさ、早くかきましょう」
男「あんたが考えてくれるよな?」
女「何を言ってるんですか」
男「女性の方が女性の気持ちがわかるだろう」
女「女性を口説くのは女性ではなく男性ですよ。ほら、今も夕陽を背景に、イタリアで8人の男が情熱的な告白をしました。あっ、今はフランスで男が3人告白をしていて、二人が告白準備中です。おや、デンマークでは既に告白を終えた男が3人いるみたいです」
男「墓地で考えたメールの文章を送って数年越しの片想いが実った男性は?」
女「…………」
女「涙とともにパンを食べたものにしか、人生の本当の味はわからないとゲーテがおっしゃっていました」
男「不吉な未来を名言で覆おうとしたよね。しかも振られたら何も喉を通らないからな」
女「その調子でどんどん文章も考えて下さい」
男「それができたら苦労しないよ」
女「苦労しましょう。今までそれが足りなかったんですから」
男「耐え忍んできただけだったな」
女「過去も偲んでいましたよ。オセロみたいに、連なった黒が全部白にひっくりかえるといいですね」
男「…………どうかな?」
女「いいと思います」
男「うまくいくかな」
女「どう思いますか?」
男「付き合えたらどうしようって思う」
女「そうですね」
男「同時に、脳内で今までの自分が言い訳をしまくっている」
男「パーフェクトベビー願望っていって、出産に苦労した母親は、生まれた子供に過度な期待を抱くらしい」
男「俺も、数年間自分を呪ってきた恋が終わるなら、それはとてつもないハッピーエンドになるものだと思いこんでしまっている」
男「と、自分を自分で客観的に把握していることを意識して、プライドを保とうとしている。聞きかじった知識さえ盾にしようと必死だ」
女「明日送信ボタンを押しさえすれば、あなたは過去に打ち勝つのですよ。昨日まで生きてきた18年間のあなた全てに」
女「それとも、時間指定して送信する方法でも探しますか?携帯電話でできるかはわかりませんが」
男「いや、自分で送るよ」
女「そう思ってました」
男「申し訳が立たないからな」
女「誰に対してですか?」
男「過去の自分に」
女「いいと思います」
男「うまくいくかな」
女「どう思いますか?」
男「付き合えたらどうしようって思う」
女「そうですね」
男「同時に、脳内で今までの自分が言い訳をしまくっている」
男「パーフェクトベビー願望っていって、出産に苦労した母親は、生まれた子供に過度な期待を抱くらしい」
男「俺も、数年間自分を呪ってきた恋が終わるなら、それはとてつもないハッピーエンドになるものだと思いこんでしまっている」
男「と、自分を自分で客観的に把握していることを意識して、プライドを保とうとしている。聞きかじった知識さえ盾にしようと必死だ」
女「明日送信ボタンを押しさえすれば、あなたは過去に打ち勝つのですよ。昨日まで生きてきた18年間のあなた全てに」
女「それとも、時間指定して送信する方法でも探しますか?携帯電話でできるかはわかりませんが」
男「いや、自分で送るよ」
女「そう思ってました」
男「申し訳が立たないからな」
女「誰に対してですか?」
男「過去の自分に」
女「そろそろ夜がふけます」
男「さきほどのイタリア男はどうなった?」
女「5人振られて、3人成功しました」
男「そうか」
女「でもその3人も、"あの時告白していれば"という後悔をすることはなくなりました」
男「告白しなければよかったとはならないかな」
女「そんなの未来次第です。成功した5人の中でも"告白しなければよかった"と将来結婚してから後悔する人もいるかもしれませんからね」
男「さすが、未来を描いていた女だけある」
女「どうも。あなただって宿題でそうしてきたように、過去の思い出は楽しい思い出で塗り替えてしまえばいいんですよ」
男「なんだか今日は、久々に生きてるって感じがするなぁ。緊張するけど」
女「ふふっ、私もです。なんだか生きてるって感じです。他人事なので緊張はしません」
男「おのれ、楽しみおって。私は、現代に蘇りし小便小僧なるぞ」
女「ふふふ。我は、をのこ と めのこを繋ぐ月の橋姫なるぞ」
男「をのこって何?」
女「男の子って意味です」
男「あー、中3のとき覚えたかも」
女「……恋が終わったら受験勉強もはじめましょう」
男「おう!なんだか、勉強でさえやる意味が感じられてきた。やる気はおきないけど」
女「共学よりも男子校や女子校のほうが概して勉強してますからね」
男「まぁいいんだよ勉強なんて。明日地球が滅亡するなら、勉強じゃなくて恋をするからな」
女「もう、調子に乗って」
男「頭の中は、ちゃんと不安でいっぱいで、フラグメーカーにならないようにかなり緊張してるから大丈夫」
女「どうなんでしょう、それ」
男「さきほどのイタリア男はどうなった?」
女「5人振られて、3人成功しました」
男「そうか」
女「でもその3人も、"あの時告白していれば"という後悔をすることはなくなりました」
男「告白しなければよかったとはならないかな」
女「そんなの未来次第です。成功した5人の中でも"告白しなければよかった"と将来結婚してから後悔する人もいるかもしれませんからね」
男「さすが、未来を描いていた女だけある」
女「どうも。あなただって宿題でそうしてきたように、過去の思い出は楽しい思い出で塗り替えてしまえばいいんですよ」
男「なんだか今日は、久々に生きてるって感じがするなぁ。緊張するけど」
女「ふふっ、私もです。なんだか生きてるって感じです。他人事なので緊張はしません」
男「おのれ、楽しみおって。私は、現代に蘇りし小便小僧なるぞ」
女「ふふふ。我は、をのこ と めのこを繋ぐ月の橋姫なるぞ」
男「をのこって何?」
女「男の子って意味です」
男「あー、中3のとき覚えたかも」
女「……恋が終わったら受験勉強もはじめましょう」
男「おう!なんだか、勉強でさえやる意味が感じられてきた。やる気はおきないけど」
女「共学よりも男子校や女子校のほうが概して勉強してますからね」
男「まぁいいんだよ勉強なんて。明日地球が滅亡するなら、勉強じゃなくて恋をするからな」
女「もう、調子に乗って」
男「頭の中は、ちゃんと不安でいっぱいで、フラグメーカーにならないようにかなり緊張してるから大丈夫」
女「どうなんでしょう、それ」
女「それでは、今夜はこのへんで」
男「今日は本当にありがとう。おやすみ。気をつけて帰ってね」
女「そちらこそ気をつけてくださいね」
男「お墓で立ちションする以上に、暗い未来なんてないよ」
男「再会して幻想を崩されても、気味悪がられて振られてショックで寝込んでも、それは誰もが経験するようなありきたりな痛みじゃないか」
男「あり得たかもしれない幻想をずっと抱き続けていること以上に、つらいことなんてきっとないよ」
女「……そうですね」
男「今日は本当にありがとう。おやすみ。気をつけて帰ってね」
女「そちらこそ気をつけてくださいね」
男「お墓で立ちションする以上に、暗い未来なんてないよ」
男「再会して幻想を崩されても、気味悪がられて振られてショックで寝込んでも、それは誰もが経験するようなありきたりな痛みじゃないか」
男「あり得たかもしれない幻想をずっと抱き続けていること以上に、つらいことなんてきっとないよ」
女「……そうですね」
男「これが一段落着いたら、次はそっちの番だからな」
女「えっ」
男「お墓に来てた理由。ちゃんと話して貰うからな」
女「私は、いいですよ、別に」
男「楽しんでいるわけじゃないよ。あんたの抱えてるものは、死、だから」
男「好きな人に告白できずにうじうじしてた、なんてのとは比較にならない出来事だろうから」
男「だけど、できることをしてあげたい。それが無理なら、できないことを見守ってあげたい」
男「それは、今まで俺が他人に求めていたことで、そっちが求めていることとは違うかもしれないけどさ」
男「誤っていた俺の過去をあんたは正してくれた。だから、あんたが送りたいと思ってる未来に導けるように少しでも役に立ちたいんだ」
男「迷惑、かな?」
女「…………」
女「迷惑じゃないですよ。ましてや不謹慎でもない」
女「そうですね。お気持ちうれしいです」
女「けれど、今はあなたのことに集中しましょう。早く寝て、携帯も充電しましょう」
女「あなたがうまくいったら私も励まされますから」
男「そうか。そうかもな。ありがとうな、ほんと」
男「おやすみ。またな」
女「はい。おやすみなさい。素敵な明日を」
女「えっ」
男「お墓に来てた理由。ちゃんと話して貰うからな」
女「私は、いいですよ、別に」
男「楽しんでいるわけじゃないよ。あんたの抱えてるものは、死、だから」
男「好きな人に告白できずにうじうじしてた、なんてのとは比較にならない出来事だろうから」
男「だけど、できることをしてあげたい。それが無理なら、できないことを見守ってあげたい」
男「それは、今まで俺が他人に求めていたことで、そっちが求めていることとは違うかもしれないけどさ」
男「誤っていた俺の過去をあんたは正してくれた。だから、あんたが送りたいと思ってる未来に導けるように少しでも役に立ちたいんだ」
男「迷惑、かな?」
女「…………」
女「迷惑じゃないですよ。ましてや不謹慎でもない」
女「そうですね。お気持ちうれしいです」
女「けれど、今はあなたのことに集中しましょう。早く寝て、携帯も充電しましょう」
女「あなたがうまくいったら私も励まされますから」
男「そうか。そうかもな。ありがとうな、ほんと」
男「おやすみ。またな」
女「はい。おやすみなさい。素敵な明日を」
今日の分見返したらイタリア人告白成功人数とか誤字がありますね。気を付けます。
読んでくれていつもありがとうございます。
おやすみなさい。
読んでくれていつもありがとうございます。
おやすみなさい。
男「……うあっぁあああああ!!!!」
男「おくちったおくちったおくちったぞ!!」
男「ぎにゃああああ」
生徒A「なにあの人……」
生徒B「電話でもしてるんじゃない?」
男「(結局、昼間に送る勇気は起きなかった)」
男「(付き合ってという文言はいれなかったけど、会って話したいということは書いた)」
男「(深夜のお墓に来る女性に恋の応援をしてもらうこと以上に、好きだった人と会って話すというのは可能性の低いことなのだろうか)」
男「おくちったおくちったおくちったぞ!!」
男「ぎにゃああああ」
生徒A「なにあの人……」
生徒B「電話でもしてるんじゃない?」
男「(結局、昼間に送る勇気は起きなかった)」
男「(付き合ってという文言はいれなかったけど、会って話したいということは書いた)」
男「(深夜のお墓に来る女性に恋の応援をしてもらうこと以上に、好きだった人と会って話すというのは可能性の低いことなのだろうか)」
男「それにしても、久しぶりの学校だったな」
男「30人のクラスなのに、8人しか来てなかった」
男「出席日数を今まで律儀に稼いでいた真面目な生徒が、入試直前になって今更ワアワア喋りだす実力不足の担任や教師に嫌気がさして、ほとんど家か予備校で自習してるんだよな」
男「真面目な学級崩壊とでも呼べばいいのか」
男「数十人の思春期の学生を束ねることなんて、やっぱり難しいことなんだよな」
男「俺はろくに勉強すらしてないけど」
男「…………」
男「なりたかった自分に本当になろうとすることの大切さこそ、毎日授業してもらいたかったよ」
男「けれど、それを教えられる自信を持っている大人の絶対数が、とても少ないんだろう」
男「30人のクラスなのに、8人しか来てなかった」
男「出席日数を今まで律儀に稼いでいた真面目な生徒が、入試直前になって今更ワアワア喋りだす実力不足の担任や教師に嫌気がさして、ほとんど家か予備校で自習してるんだよな」
男「真面目な学級崩壊とでも呼べばいいのか」
男「数十人の思春期の学生を束ねることなんて、やっぱり難しいことなんだよな」
男「俺はろくに勉強すらしてないけど」
男「…………」
男「なりたかった自分に本当になろうとすることの大切さこそ、毎日授業してもらいたかったよ」
男「けれど、それを教えられる自信を持っている大人の絶対数が、とても少ないんだろう」
男「メールはちゃんと送信できた。相手には届いているはずだ」
男「嫌だな。さっきから無意味なところをずっとあるきまわってる」
男「もう帰ろう。昼間から登校したとはいえ少し眠い。仮眠をとって夜中あの子に会いにいこう」
男「成功に終わっても、失敗に終わっても、あの子に尽くそう。そんな自分に生まれ変わろう」
男「今からやり直せるかな。まだ取り返しがつくのかな」
男「こんなに心が騒ぎながら人生について考えるのなんて、いつぶりだったかな」
男「嫌だな。さっきから無意味なところをずっとあるきまわってる」
男「もう帰ろう。昼間から登校したとはいえ少し眠い。仮眠をとって夜中あの子に会いにいこう」
男「成功に終わっても、失敗に終わっても、あの子に尽くそう。そんな自分に生まれ変わろう」
男「今からやり直せるかな。まだ取り返しがつくのかな」
男「こんなに心が騒ぎながら人生について考えるのなんて、いつぶりだったかな」
男「放課後の学校は、やっぱり青春って感じがするな」
男「校舎には吹奏楽部の練習の音が響き渡る。校庭ではサッカー部が走り回っていて、グラウンドでは野球部がノックをしてる」
男「俺は、この人達を見下していた。自分にとっては叶わぬ恋が人生の全てで、それ以外のものなんて無価値だと思ってたから。その無価値なものに熱中している人たちを見て、否定してあざ笑っていたんだろう」
男「いつの間に、そんな人間になっていたんだろうな。ちゃんと、自分に積み上げられるものを積み上げていればよかった」
男「どっちも、やってればよかったな。もっと早くにメールも送って、卓球も続けてればよかったな」
男「2つの選択肢があるときには、2つの選択肢をちゃんと追うべきだった」
男「二兎を追うものは一兎も得ないこともあるかもしれないけれど。一兎だけを追って捕まえた人だって、もう片方の兎も追っておけばよかったと後悔するかもしれない」
男「恋ともう一つの選択肢が与えられた時に、いつも自分に都合の良い方を選んでいた。今は○○があるからって言って、好きな人から向き合うことを避け続けた」
男「そうやって片方のものだけを積み重ねてきても、本当に一番欲しかったものに挑戦してこなかったことを思い出して、虚しくなって、今まで積み重ねてきたものの価値さえ否定してしまっていた」
男「両方のものを追えばよかった。ほしいもの全部を手に入れようとすればよかった」
男「仮に、2つの選択肢が与えられた時に、2つとも得る実力が自分にないことがわかっていたとしても。その時に諦めるものが、決して恋であってはならなかった」
男「ダメだ。一人だとズブズブ沈んでいきそうだ。はやく、かえって、お墓に行こう」
男「校舎には吹奏楽部の練習の音が響き渡る。校庭ではサッカー部が走り回っていて、グラウンドでは野球部がノックをしてる」
男「俺は、この人達を見下していた。自分にとっては叶わぬ恋が人生の全てで、それ以外のものなんて無価値だと思ってたから。その無価値なものに熱中している人たちを見て、否定してあざ笑っていたんだろう」
男「いつの間に、そんな人間になっていたんだろうな。ちゃんと、自分に積み上げられるものを積み上げていればよかった」
男「どっちも、やってればよかったな。もっと早くにメールも送って、卓球も続けてればよかったな」
男「2つの選択肢があるときには、2つの選択肢をちゃんと追うべきだった」
男「二兎を追うものは一兎も得ないこともあるかもしれないけれど。一兎だけを追って捕まえた人だって、もう片方の兎も追っておけばよかったと後悔するかもしれない」
男「恋ともう一つの選択肢が与えられた時に、いつも自分に都合の良い方を選んでいた。今は○○があるからって言って、好きな人から向き合うことを避け続けた」
男「そうやって片方のものだけを積み重ねてきても、本当に一番欲しかったものに挑戦してこなかったことを思い出して、虚しくなって、今まで積み重ねてきたものの価値さえ否定してしまっていた」
男「両方のものを追えばよかった。ほしいもの全部を手に入れようとすればよかった」
男「仮に、2つの選択肢が与えられた時に、2つとも得る実力が自分にないことがわかっていたとしても。その時に諦めるものが、決して恋であってはならなかった」
男「ダメだ。一人だとズブズブ沈んでいきそうだ。はやく、かえって、お墓に行こう」
男「家に帰ったけどそわそわがとまらない」
男「うううううう。携帯が手放せない」
男「まだ20時か。あと6時間って、半日もあるじゃないか」
男「いつもお墓にいったらあの子が先に待ってるよな。もっと早くから来てるのかな」
男「夜も危険だし、俺が先に着いているべきだったのかな。でもあの子に大切にしたい独りの時間もあっただろうし」
男「あああああああああ」
男「ダメだ。お墓に行こう」
男「将来コピーライターになったら、このセリフを広告にしよう」
男「うん。ダメだ。お墓に行こう」
男「うううううう。携帯が手放せない」
男「まだ20時か。あと6時間って、半日もあるじゃないか」
男「いつもお墓にいったらあの子が先に待ってるよな。もっと早くから来てるのかな」
男「夜も危険だし、俺が先に着いているべきだったのかな。でもあの子に大切にしたい独りの時間もあっただろうし」
男「あああああああああ」
男「ダメだ。お墓に行こう」
男「将来コピーライターになったら、このセリフを広告にしよう」
男「うん。ダメだ。お墓に行こう」
男「この時間だと真夜中ほど寒くないな。会社帰りの人なのか、通行人もちらほらいる」
男「もうお墓にいるんだろうか。そしてメールの返信はくるんだろうか」
男「昨日まで虚無の人生だったのにな。それはそれで楽だったな」
男「ああ嫌だな。嫌だ嫌だ」
男「幸せが目の前にある時が、1番苦しいな」
男「もうお墓にいるんだろうか。そしてメールの返信はくるんだろうか」
男「昨日まで虚無の人生だったのにな。それはそれで楽だったな」
男「ああ嫌だな。嫌だ嫌だ」
男「幸せが目の前にある時が、1番苦しいな」
男「着いた。さすがに民家から離れてるだけあって、この時間でもここには誰もいないな」
男「入口付近にはいないな。もしかしたら、あの子が祈っていた墓の所にいるかもしれない」
男「いろんなことをはなしたい。幸せの定義とか、恋と愛の違いとか、答えのない問題について一緒に考えて欲しい」
男「それとも。今の俺の恋が成就したら、そんなことどうでもよくなってしまうのかな」
男「あの子ならなんていうかな」
男「幸せとは、幸せについて考える必要のない状態ですよ。恋と愛の違いは、受け取ることを喜びとするか、与えることを喜びとするかの違いですよ」
男「うーん、なんだか俺っぽい答えかな」
男「メールの返事、まだかなぁ。ああ、そわそわするなぁ」
男「あの子もやっぱり。あと何時間待てば……ん?」
男「入口付近にはいないな。もしかしたら、あの子が祈っていた墓の所にいるかもしれない」
男「いろんなことをはなしたい。幸せの定義とか、恋と愛の違いとか、答えのない問題について一緒に考えて欲しい」
男「それとも。今の俺の恋が成就したら、そんなことどうでもよくなってしまうのかな」
男「あの子ならなんていうかな」
男「幸せとは、幸せについて考える必要のない状態ですよ。恋と愛の違いは、受け取ることを喜びとするか、与えることを喜びとするかの違いですよ」
男「うーん、なんだか俺っぽい答えかな」
男「メールの返事、まだかなぁ。ああ、そわそわするなぁ」
男「あの子もやっぱり。あと何時間待てば……ん?」
男「花だ。花が供えてある」
男「あの子が置いたのだとしたら、もうここには来ていたのか」
男「やっぱり、毎日お祈りしていたのかな。俺が来る前にいつもお祈りしていたのかな」
男「今夜聞いてみよう。わざわざ、俺が来てる時に隠してるなら、そんな必要ないって」
男「まだまだあの子についても知らないことが多いからな」
男「それでも。何年間も思い続けてきたあのひとよりも、今ではあの子のほうが……」
男「って、着信が来た。メールだ」
男「…………」
男「やばい。あの人から返信が来た」
男「あの子が置いたのだとしたら、もうここには来ていたのか」
男「やっぱり、毎日お祈りしていたのかな。俺が来る前にいつもお祈りしていたのかな」
男「今夜聞いてみよう。わざわざ、俺が来てる時に隠してるなら、そんな必要ないって」
男「まだまだあの子についても知らないことが多いからな」
男「それでも。何年間も思い続けてきたあのひとよりも、今ではあの子のほうが……」
男「って、着信が来た。メールだ」
男「…………」
男「やばい。あの人から返信が来た」
女「…………」
男「…………」
女「あの、何してるんですか?」
男「何してるって、墓ニーだよ」
女「何の略ですか」
男「お墓に寄生するニート」
女「寝袋の中でガサゴソしてたので」
男「あんたが想像してることも今してるかもな」
女「……そうだとしても、墓標にはかけないでくださいね」
男「墓標、には?」
女「にも」
男「…………」
女「あの、何してるんですか?」
男「何してるって、墓ニーだよ」
女「何の略ですか」
男「お墓に寄生するニート」
女「寝袋の中でガサゴソしてたので」
男「あんたが想像してることも今してるかもな」
女「……そうだとしても、墓標にはかけないでくださいね」
男「墓標、には?」
女「にも」
女「じゃあ、改めまして、こんばんは」
男「あんた3日も来なかった」
女「今夜も寒いですね」
男「おかげで寝袋まで準備して長時間待つ羽目になった」
女「風邪引いちゃいますよ」
男「あんたのせいだな」
女「男さんにだって責任はあります」
男「はじめて二人称以外で呼ばれた」
女「この間好きな人へのメールを作成する時に、冒頭にご自分の名前を書いてたじゃないですか」
男「俺はあんたの名前を知らないぞ」
女「話しましたよきっと」
男「聞いてたら忘れるか。好きな食べ物も、出身地も、心に残った映画さえも知らない」
女「私の友達はそれらを知っているかもしれませんね。でも、今夜私がここにくるであろうことは、全世界であなたしか知らなかったんですよ」
男「来なかったかもしれない」
女「来ますよ。気になりますから」
男「駄目だったよ」
女「駄目でしたか」
男「当たり前の結果だよな」
女「結果は予想できたことです。でも、勇気ある行動はご自身でも予期せぬ出来事だったんじゃないですか」
男「結果より過程か。聞き飽きたよその言葉」
女「でも本気で体験したのは初めてでしょう」
男「まぁ、そうだな」
男「あんた3日も来なかった」
女「今夜も寒いですね」
男「おかげで寝袋まで準備して長時間待つ羽目になった」
女「風邪引いちゃいますよ」
男「あんたのせいだな」
女「男さんにだって責任はあります」
男「はじめて二人称以外で呼ばれた」
女「この間好きな人へのメールを作成する時に、冒頭にご自分の名前を書いてたじゃないですか」
男「俺はあんたの名前を知らないぞ」
女「話しましたよきっと」
男「聞いてたら忘れるか。好きな食べ物も、出身地も、心に残った映画さえも知らない」
女「私の友達はそれらを知っているかもしれませんね。でも、今夜私がここにくるであろうことは、全世界であなたしか知らなかったんですよ」
男「来なかったかもしれない」
女「来ますよ。気になりますから」
男「駄目だったよ」
女「駄目でしたか」
男「当たり前の結果だよな」
女「結果は予想できたことです。でも、勇気ある行動はご自身でも予期せぬ出来事だったんじゃないですか」
男「結果より過程か。聞き飽きたよその言葉」
女「でも本気で体験したのは初めてでしょう」
男「まぁ、そうだな」
男「何度かメールを交わしてるうちに、返信がこなくなった」
男「いっそのことバサっと切ってくれればよかったのに」
女「これで片想い終了ですか?未練はありますか?」
男「俺、振られたら死ぬのかなって思ってたんだよ」
男「なのに、長年の片想いに終止符をうつってことが、こんなに清々しい気持ちになれるなんて」
女「よかったですね。墓ニーはしてますけど」
男「墓ニーぐらいさせろよ」
女「寝袋から顔だけ出して、凄くかっこいいことを言ってる姿って、かわいいですね」
男「どっちだよ」
女「どっちもです」
男「いっそのことバサっと切ってくれればよかったのに」
女「これで片想い終了ですか?未練はありますか?」
男「俺、振られたら死ぬのかなって思ってたんだよ」
男「なのに、長年の片想いに終止符をうつってことが、こんなに清々しい気持ちになれるなんて」
女「よかったですね。墓ニーはしてますけど」
男「墓ニーぐらいさせろよ」
女「寝袋から顔だけ出して、凄くかっこいいことを言ってる姿って、かわいいですね」
男「どっちだよ」
女「どっちもです」
男「ボロンッ」
女「キャッ!!」
女「って、ゲーム機ですか。窮屈にゲームやってたんですか」
男「墓ニーだって言っただろ。お菓子もあるぞ」
女「私はけっこうです。家でしてればよかったのに」
男「家出してあんたを待っていたんだよここで」
女「今行方不明者ですか?」
男「毎日夜中限定でな」
女「捜索願いは出されそうにもありませんね」
男「指名手配の方が出されそうだな。このビール瓶に、ピンときたらヒャクトウ番」
女「一体何の画像なんですかね」
女「キャッ!!」
女「って、ゲーム機ですか。窮屈にゲームやってたんですか」
男「墓ニーだって言っただろ。お菓子もあるぞ」
女「私はけっこうです。家でしてればよかったのに」
男「家出してあんたを待っていたんだよここで」
女「今行方不明者ですか?」
男「毎日夜中限定でな」
女「捜索願いは出されそうにもありませんね」
男「指名手配の方が出されそうだな。このビール瓶に、ピンときたらヒャクトウ番」
女「一体何の画像なんですかね」
女「こんなに今はふざけてるのに、よくやりましたよ」
男「ほんとだよ。よくやったよ、俺」
男「何年も前に置き去りにした勝率のない戦いによく挑んだよ」
男「携帯電話を1日操作するだけの戦いに、1000日近い俺が避け続けてきたのに。1001日目の俺は、ちゃんと勝負に出れたんだ」
女「本当に凄いです。それはそれとして、寝袋から出ないんですね」
男「一緒に入る?」
女「大きなビール瓶が入ってそうなので遠慮しておきます」
男「そんなことない!本当はピーナッツだよピーナッツ!」
女「あら、そうなんですね」ニヤニヤ
男「いや、うーん、やばいよ俺のビール瓶。寝袋今も裂けそうだよ」
女「ピュアな部分との落差が相変わらず激しいです」
男「ほんとだよ。よくやったよ、俺」
男「何年も前に置き去りにした勝率のない戦いによく挑んだよ」
男「携帯電話を1日操作するだけの戦いに、1000日近い俺が避け続けてきたのに。1001日目の俺は、ちゃんと勝負に出れたんだ」
女「本当に凄いです。それはそれとして、寝袋から出ないんですね」
男「一緒に入る?」
女「大きなビール瓶が入ってそうなので遠慮しておきます」
男「そんなことない!本当はピーナッツだよピーナッツ!」
女「あら、そうなんですね」ニヤニヤ
男「いや、うーん、やばいよ俺のビール瓶。寝袋今も裂けそうだよ」
女「ピュアな部分との落差が相変わらず激しいです」
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