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元スレ京太郎「俺が三年生?」ネリー「手、つないでもいい?」
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照「ひどい目にあった……」
菫「まったく……」
京太郎「すっかり叱り役が板についてるな」
菫「好きでこうなったわけじゃない」
京太郎「まぁ、わかってるよ」
京太郎(というかこれまでの苦労がしのばれるよ、ホント)
京太郎「ところでさ、弘世の家っていいとこだったりするのか?」
菫「さすがに龍門渕には負けるがね」
京太郎「さっきの運転手ってお抱えのだったんだろ?」
菫「ああ、彼も長野の実家に用事があると言っていたから、照の送り迎えをそのついでにな」
京太郎「一人で送り出したらどこ行くかわからないからな……」
菫「わかってくれるか……」
照「二人とも私にいろいろ失礼だと思う」
京太郎「で、これから直行するのか? できれば着替えたいんだけど」
照「私の荷物を取りに行く」
京太郎「じゃあついでに飯にするか。弘世もどうだ?」
菫「そうだな、せっかくだし」
淡「あっ、三人してどこ行くの?」
京太郎「……」
菫「……」
照「……」
淡「あわっ、どーしてみんなして微妙な顔してるの?」
京太郎「ああ、なんでもない。これから飯食いに行くところなんだ」
淡「お昼にはちょっと早いよ?」
京太郎「俺は朝飯食ってないからな」
淡「そーなんだ……よし、私も一緒に行く!」
照「ダメ」
淡「なんでさ!」
照「なんでも」
菫「こら、喧嘩するな」
淡「だってテルが!」
照「私はそんなつもりない」
京太郎「はいはい、みんなでいいから飯食いに行くぞ」
淡「やった! キョータローはなんだかんだ言って私のこと好きだもんね!」
照「……」ピキッ
菫「おい、大丈夫なのか?」ヒソヒソ
京太郎「……ダメかも」
誠子「え、みんなで海? いいなぁ、久しぶりに海釣りも」
尭深「海……暇だし、別に構いません」
京太郎「あはは、いつのまにか賑やかだな」
照「……」ムスッ
菫「いつまでもむくれているな。淡と遭遇した時点でこうなる未来は見えていただろ」
淡「私もキョータローと二人っきりが良かったけど、他の人がいるならみんなで行くのもアリアリでしょ?」
京太郎「そういうフレンドリーさはお前の良いとこだな」
淡「もっと好きになっちゃった?」
京太郎「アホか」
淡「待っててね、私の水着姿で悩殺しちゃうんだからっ」
照「淡には無理」
淡「えー? イケると思うんだけどなー?」ポヨン
照「……」ピキッ
京太郎「お前のそのナチュラルに煽っていくスタイル、なんとかなんないかな……」
誠子「あの人、たしかテレビにも出てたよね」ヒソヒソ
尭深「須賀京太郎……清澄の人らしいけど」ヒソヒソ
京太郎「とりあえず移動しようぜ」
菫「そうだな、今車を手配する」
京太郎「頼れるね、SSSさんは」
菫「ちょっ、その呼び名は……!」
京太郎「ああ悪い、つい」
照「SSS?」
淡「えっと……白糸台のシャープシューター菫……あれ、Sが一個多い」
菫「この話は終わりだ! さっさと移動するぞ!」
誠子「えっ、気になる……」
菫「命が惜しくはないのか?」ギロッ
誠子「ひっ」
尭深「触れちゃいけないとこってあるよね……」
京太郎「海かー、あっついな」
菫「さて、荷物を運び出すのは後にして……まずは着替えだな」
淡「じゃあ、行こっか」
京太郎「なんで俺の手を引っ張る」
淡「だって最初に水着姿見て欲しいし……」チラッ
京太郎「あー……」
京太郎(なんでこう乙女っぽい反応見せるかなぁ)
京太郎(くそっ、悔しいけどかわいい)
京太郎(てか一緒に着替えとか、水着以外も見えちゃうんですが)
京太郎(いや、それはそれでありなのか? こいつ胸大きいし……)
京太郎(いやでもしかしだけどやっぱり――)
照「京ちゃん」ギュッ
京太郎「――っと、危うく道を踏み外すとこだったぜ……」
照「大丈夫、一緒に着替えるのは私だから」
京太郎「えーっと、何が大丈夫なのかわかんないんだけど」
淡「そーだよ! 一緒に着替えるのは私!」
照「淡には荷が重い。京ちゃんの(筋肉)はすごいから」
淡「あわっ!?」
誠子「す、すごいってなにがすごいんだろう」
尭深「それはもちろん――」
誠子「ちょっ、言わなくていいから!」
菫「お前ら少しは自重しろ!」
照「わ、菫が怒った」
淡「おかたいよねー」
菫「いいから来い! 着替えるぞ!」
京太郎(なんか俺も緩くなってんなぁ)
京太郎(やっぱりインハイで色々肩の荷がおりたのかな)
誠子「……」
尭深「……」
京太郎「着替えに行かないの?」
誠子「あ、そうですね」
尭深「……」ジッ
京太郎「俺の顔になんかついてる?」
尭深「予想通りの人だなと」
京太郎「……女性関係にだらしないとか?」
尭深「おおむねそんなところです」
京太郎「そうか、そうだよな。ぶっちゃけ否定できなくなってきたし……」ズーン
誠子「えっと、落ち込んでるけど大丈夫かな」
尭深「大丈夫じゃないかな。あの二人と付き合えるぐらいだし」
誠子「そもそもどうしてあんなことを……」
尭深「仕返しかな。ほら、色々大変だし」
誠子「それはそうだけど……」
誠子(尭深、意外と腹黒い……)
京太郎「着替えは完了……でも、まだ誰も来てない」
京太郎「じゃあ先に準備しとくか」
京太郎「どこか空いてるスペースは……」キョロキョロ
京太郎「んー、さすがに人が多い」
京太郎「はは、知り合いもいたりしてな」
ネリー「あれ? どしたの、こんなとこで」
京太郎「って言ってるそばからお前か」
ネリー「ネリーはみんなと海水浴だよ」
京太郎「俺もだ」
ネリー「一人?」
京太郎「いいや、てか一人で来るもんじゃないと思うけど」
ネリー「だよね。サキ、元気? 来てるんでしょ?」
京太郎「今日は別のやつらだよ。ほら、白糸台の連中」
ネリー「? なんで?」
京太郎「まぁ、色々あって」
京太郎(拉致されたとか言えるわけないだろうが……)
ネリー「それよりどう?」
京太郎「ん、変に気取ってなくていいんじゃないか? かわいいし」
ネリー「やった」
京太郎「もう場所は取ったのか?」
ネリー「あっちだよ、ほら」
京太郎「なるほど……結構広く取ってんな」
「いたいた、勝手に消えたかと思えば」
ネリー「あ、監督」
「それで、これが噂の彼か」
ネリー「そうだよ。でも手を出しちゃダメだから」
「そんなに飢えてないつもりなんだけど……」
京太郎「……」
京太郎(水着姿のスレンダー美人だ)
京太郎(監督ってことは臨海の……)
京太郎(国際色豊かだとは思ってたけど、監督も外人さんか)
「ああ、自己紹介がまだだったね。Alexandra Windheim、臨海女子の監督をやってる」
アレク「サンドラでもサンディでも好きに呼んでいいよ」
京太郎「じゃあアレックスさんで」
アレク「いや、アレックスだと男っぽく聞こえるから勘弁してもらいたいんだけど」
京太郎「ならアレクさんで」
アレク「それも浮気男っぽいからなんか……」
京太郎「なんだか宝石っぽい名前だとは思いますけどね」
アレク「アレキサンドライトのことかな?」
京太郎「あれってたしか色変わりますよね」
アレク「ふむ、男っぽくもあり女らしくもあるこの名前みたいだね」
京太郎「美人でカッコイイ系だから、どの呼び方でも違和感ないと思いますよ」
アレク「おだて上手だね、キミは……よし、乗せられてあげよう。アレクでいいよ」
京太郎「須賀京太郎です」
アレク「知ってるよ。いろいろ聞いてるしね」
ネリー(……なんでこんな早く打ち解けちゃってるの?)
淡「あ、いた! キョータロー!」
淡「って、なんであんたがここにいるの?」
ネリー「遊びに来たに決まってるじゃん」
淡「べっつにどうでもいいけど。行こ、キョータロー」
京太郎「あー、そのことなんだけど……」
アレク「流れで引率者みたいなポジションに収まったわけだけど……」
智葉「……」
ハオ「……」
明華「おやおや」
メグ「……フム」
ネリー「……」
照「……また増えた」
菫「……」
尭深「……」
誠子「えっと……」
淡「むぅ」
アレク「他の人に迷惑かけないのと不純異性交遊はほどほどに、以上!」
京太郎「場所の確保のためとは言え、随分と大所帯になったもんだ」
京太郎「しっかしまぁ……」
明華「せっかくだし友好を深めちゃいましょう」ポヨン
尭深「さすがにここでお茶は暑いかな」ポヨン
淡「もう、人多すぎっ!」ポヨン
京太郎「正直、これだけでもここまで来た価値はあるな、うん」
京太郎「誰だよ、夏は終わったとか言った奴。むしろ始まったじゃねーか」
京太郎「危うく夏に忘れ物するとこだったよ」
照「鼻の下伸びてる」ジトッ
京太郎「て、照ちゃん」
照「せっかく京ちゃんに見せたくて新しいの買ったのに……」
京太郎「うん、似合ってるよ。かわいい」
照「本当? お持ち帰りしたい?」
京太郎「お持ち帰りってな……」
照「京ちゃんがしたいなら、構わないから」ギュッ
京太郎「ちょっ」
照「不純異性交遊、ほどほどならいいって」
京太郎(これ絶対ほどほどじゃ済まなくなるパターンだろ!)
淡「あー! ずるいずるいずーるーいー!」
淡「キョータローは私のなのに!」
照「淡は引っ込んでて」
ネリー「まったくだよね。少しは身の程知ったほうがいいよ」
照「あなたも。部外者は関わらない方がいい」
ネリー「ネリーは部外者じゃないよ? ね、そうだよね」
京太郎「お前ら騒ぐなよ……」
京太郎(だれかなんとかしてくれないかなぁ)チラッ
菫「なんかこっちを見てるような……」
智葉「気のせいだ」
菫「いや、あれはこっちに救いを求める目だ」
智葉「だとしても自業自得だ。放っておこう」
菫「……そうだな」
明華「あっちは楽しそうですねぇ」
尭深「こっちに飛び火しないなら、見てるのは楽しいかも」
ハオ「それは少々悪趣味では?」
明華「まぁまぁ、恋愛話は女の子にとって大好物ですし」
誠子「少なくとも四角関係以上って……」
メグ「それよりも! 私は海の家のラーメンに大いに興味があるのデスガ!」
京太郎(よし、孤立無援だな!)
アレク「……やれやれ、しかたないね」
アレク「あんたらー、ビーチバレーやるから準備するよー」パンパン
京太郎「ふぅ……どうにか脱出成功か」
京太郎「アレクさんのアシストに感謝だな」
京太郎「でもこうなったら後が怖いな……」
京太郎「……まぁ、ジュースでも買ってくか。多少のご機嫌取りにはなるだろ」
ネリー「手伝うよ?」
京太郎「ついて来てたのかよ」
ネリー「だってあんなの見え見えだもん」
京太郎「バレてしまってはしかたないか。よし、手伝わせてやる」
ネリー「お給料は前払いだから」
京太郎「じゃあ手でもつなぐか?」
ネリー「とりあえずね」
京太郎「とまぁ、こんなとこか」ズッシリ
ネリー「結構混んでたね」
京太郎「そんでもって高かった……さすがというかなんというか」
ネリー「ぼったくりだよね」
京太郎「こういうとこは仕方ないな。ほら、お駄賃」
ネリー「なにこれ? 口にガラス玉が詰まってるよ」
京太郎「中に押し込めば開くから」
ネリー「中に……」グッ
ネリー「むっ……えい」ググッ
ネリー「開け、開けってば!」ググググッ
ネリー「……開かないんだけど」
京太郎「そりゃ、こんな細くてぷにぷにの腕だったらな」ツンツン
ネリー「ふひゃっ」ビクンッ
京太郎「おっと、くすぐったかったか」
ネリー「せ、セクハラ!」
京太郎「そ、そこまで言うか」
ネリー「もう……慰謝料はきっちりもらうから」
京太郎「はいはい」
ネリー「――♪」
京太郎「ご機嫌だな」
ネリー「ラムネ、おいしいからかな」
京太郎「まったく、この甘えんぼうめ」
ネリー「だってこれは慰謝料だもん。もらえるものはちゃんともらわないとね」
京太郎「座り心地は?」
ネリー「悪くないね」
京太郎「そうか。就職先で困ったらこれで雇ってくれ」
ネリー「考えとく」
京太郎(椅子にされるとか人によってはすごいご褒美だけどな)
京太郎(一太だったら今頃昇天してるかもしれない)
京太郎(しかしまぁ――)
ネリー「?」ペタン
京太郎(もうちょっと起伏があったほうが、俺的には嬉しかったかもしれないな)
京太郎(いや、それはそれで下が大変なことになるか)
京太郎(こういうちっこいのを乗せる分には問題ないんだけどな)
京太郎(まぁ、かわいいもんだ)
ネリー「……ねぇ、なんか失礼なこと考えてない?」
京太郎「別に。お前はかわいいなって思ってた」
ネリー「えっ……そ、そう?」
ネリー「じゃあ、今のネリーたちって、他の人から見たらどう見えるかな?」
ネリー「こんなことしてるから恋人に――」
京太郎「んー、仲のいい兄と妹とか?」
ネリー「……」カチン
京太郎「にしてはあんまり似てない――」
ネリー「えいっ」ガン
京太郎「いって! お前、いきなりすねを蹴るとかなに考えてんの!?」
ネリー「椅子になに言われても知らなーい」プイッ
菫「……行くぞ?」
智葉「来い」
菫「――狙い撃つ!」ドシュ
アレク「1―0、それにしてもすごいサーブだね」
智葉「さすがというべきか……ハオ、いけそうか?」
ハオ「問題ありません、次は受けてみせます」
智葉「ふっ、頼もしいな」
菫「――はっ!」
ハオ「させません!」
智葉「今度はこちらの番だ……!」ザッ
アレク「1―1、さすがってところかな」
誠子「すいません!」
菫「まだまだだ、気を引き締めていくぞ」
誠子「はい!」
淡「もう、早く代わってよね!」
尭深「淡ちゃんはさっきやったばかりだよ?」
淡「まーちーきーれーなーいー!」
明華「私は傘を使ったら怒られちゃいました……」シュン
尭深「それは当然だと思いますけど」
メグ「ンン……麺が伸びてマスネ」ズルッ
照「……出来た!」
照「この城は会心の出来、写真に残さないと……!」グシャッ
菫「すまない、そっちに飛ばしてしまった。怪我はなかったか?」
照「……」
京太郎「おいしょっと」ドッサリ
アレク「お疲れ様。ネリーとはうまくやった?」
京太郎「抜け出すのわざと見逃したってとこですか」
アレク「三人から一人になったんだから随分楽になったんじゃない?」
京太郎「それはそうですね」
アレク「これ、一本もらうよ」
京太郎「どうぞ」
アレク「まぁ、みんな今は他のことに熱中してるから、休むなりするといいよ」
京太郎「と言われたけど、海まで来て休むのもな……」
京太郎「俺もビーチバレーに参加しようかな」
京太郎「左手だったらいいハンデになりそうだし」
照「私はかき氷が食べたい」ヒョコ
京太郎「遊んでなくていいのか?」
照「砂のお城作ってたら菫のボールに破壊されちゃった」
京太郎「おいシャープシューター、なにやってんだよ……」
照「それに、元々は二人きりの予定だったし……」
京太郎「そうだな……じゃあ二人で食べに行くか、かき氷」
照「頭痛い……」キーン
京太郎「あんなに慌てて食べるから」
照「イチゴシロップと練乳のせい……」
京太郎「どう見ても食い意地のせいだよ」
照「世界はこんなにも厳しい……」
京太郎「いや、何の話だよ」
京太郎(懐かしいな……前にもこんなことがあったっけ)
京太郎(あれは縁日の祭りだったけど)
京太郎(本当に、変わってない)
照「京ちゃん、頭さすって」
京太郎「別にいいけど……さすがに人目につきすぎるな」
照「私は気にしないから」
京太郎「俺が気にするんだよ」
京太郎(さっき膝の上に座られてた時もそうだったけど、なんか人目引いてんだよな)
京太郎(照ちゃんはわりと有名人だし……よからぬ噂を立てられる可能性もあるし)
京太郎(まぁ……今更感はあるけど)
京太郎「場所変えるか」
照「どこ行くの?」
京太郎「いいからこっち」グイッ
照「だれもいないね」
京太郎「ここなら思う存分頭さすってやれるけど」
照「正直もう痛くない」
京太郎「だよなぁ……ま、少しのんびりしてようぜ」
照「……意外と快適」
京太郎「いい感じに日陰になってるからな」
照「風も適度で涼しい」
京太郎「思えば、こうやって一緒に海に来たことはなかったな」
照「竹井久とはあるの?」
京太郎「あるけど、小学校の時だぞ?」
照「良かった……これで一歩リード」
京太郎「なにを競ってるんだよ」
照「わかってるくせに」
京太郎「やっぱりそういうことなのか……」
京太郎(思いっきりデリケートな問題だよな)
京太郎(原因の俺が言うのもなんだけど)
京太郎(俺が答えを出したら仲良く……はできないだろうな)
京太郎(そもそも口出すことでもないような気がするし)
照「私は京ちゃんが好き。竹井久よりもずっと」ギュッ
京太郎「……照ちゃん、これ以上はまずい」
照「知ってる。こうしてるだけでも京ちゃんの方に流れていってるし」
京太郎「やっぱり知ってたのか」
照「うん」
京太郎「じゃあわかってるだろ。下手したら麻雀できなくなるって」
照「麻雀は好きだけど、京ちゃんはもっと大事」
京太郎「……」
京太郎(結局は俺の問題か)
京太郎(でも、まだ……)
京太郎「悪い、この前と同じだ」
照「もしここで私の初めてあげたら、きっと責任とってくれるよね?」
京太郎「それは……」
照「でも、しない。なんかずるいし、京ちゃんも困ると思うから」
京太郎「そう、だな」
照「だからこれだけ……んっ」
照「……すごい、一気に持ってかれちゃった」
京太郎「もう十分困ってるんだけど」
照「焦らされてるお返し。竹井久とはした?」
京太郎「いや、久ちゃんとは」
照「淡とはしたんだよね?」
京太郎「……あれは一方的だったけどな」
照「やっぱり」
京太郎(思えば俺が自分からしたのは……小蒔の時だけなんだな)
京太郎「やめだやめ! こんなとこで考えたってどうにもなんねーよ」
照「開き直り?」
京太郎「そうとも言う。せっかくの大所帯だし、遊んどこうぜ」
照「うん、京ちゃんがそう言うなら」
アレク「夕食も済んだし、そろそろこっちは引き上げるわ」
京太郎「今日はお世話になりました」
アレク「やっぱり日本は治安がいいね。タチの悪い連中も絡んでこなかったし」
京太郎「ガイトや俺がにらみ効かせてましたからね」
アレク「おかげでだいぶ楽させてもらったよ」
京太郎「また機会があればってことで」
アレク「日本人の社交辞令かな? 他のとこじゃ本気に取られるよ」
京太郎「そうなっても構わないから言ってます」
アレク「そうか……ところでキミ、本格的に麻雀する気はある?」
京太郎「俺ですか?」
アレク「個人戦の牌譜を見せてもらったけど、中々に興味深いと思ってね」
京太郎「そういうことに関しては、絶賛燃え尽き中です。しばらくは考えられませんよ」
アレク「まぁ、機会は作ろうと思えばいくらでも作れるからね……これ、お近づきの印に」
京太郎「番号とアドレス……アレクさんの?」
アレク「気が向いたら連絡ちょうだい。麻雀以外でもいいから」
誠子「いやー、釣れた釣れた!」
尭深「疲れた……」
照「……」ウトウト
菫「全員……いないな、淡は?」
誠子「さっき海岸の方に歩いて行きましたけど」
菫「あいつはまた……須賀くんは?」
尭深「あの人ならさっき淡ちゃんを探しにいきました」
菫「そうか、なら心配ないな」
尭深「……部長はあの人のこと、信じてるんですね」
菫「照の迷子に私以上に振り回されてきたんだ。人探しの腕はたしかだろうさ」
尭深「そう言う意味じゃないんですけど」
菫「?」
照「ふふ、京ちゃん……」ムニャムニャ
淡「……」
京太郎「なんか空に面白いもんでもあんのか?」
淡「んーん、曇ってるからなんも」
京太郎「星でも出てりゃ良かったな」
淡「そしたらロマンチックだったかな?」
京太郎「さぁな」
淡「むぅ、せっかく二人っきりなのに」
淡「あーあ、これで花火でも上がってたらなぁ」
京太郎「これで花火でも上がってたらってか?」
淡「あわっ、やっぱり気持ちが通じ合っちゃってる?」
京太郎「お前がわかりやすいだけだろ」
淡「私のことが好きってことだよね?」
京太郎「それもさぁな」
淡「あ、否定しないってことは好きなんだー」
京太郎「お前はちょっと黙ってろ」
淡「むぎゅっ」
京太郎(認めるよ、好きか嫌いかで言えば当然好きだ)
京太郎(てか、あんなに好き好きオーラ出されて平気でいられるわけ無いだろうが)
京太郎「お前ってさ、麻雀好きか?」
淡「んー、昔はそうでもなかったけど、今は好きかな」
京太郎「ならさ、麻雀ができなくなるかもしれないって言われたらどうする?」
淡「なにそれ? 前も同じこと言ってたよね?」
京太郎「……ちょっとこっち来い」
淡「なになに?」
京太郎「じっとしてろよ?」ギュッ
淡「あわっ!?」
淡(なにこれ、なんかどんどん吸われてく……)
京太郎「これでわかったか?」
淡「……」
京太郎「もし俺とお前が恋人になったとしたら、多分今のより酷いことになるぞ」
淡「なに、それ……」
淡「――スゴイじゃん!」
京太郎「……は?」
淡「キョータローってばこんなの隠してたんだ! やっぱりこの淡ちゃんの目に狂いはなかったね!」
京太郎「お前、自分の力が取られてるんだぞ?」
淡「だからなに? そんなの全然問題ないし」
京太郎「……麻雀でボコボコにされてもか?」
淡「それは問題な……くはないけど、それでもきっと楽しいって思うから」
京太郎「勝てないと泣き出しそうなイメージあるけどな」
淡「そもそもさ、初めて麻雀楽しいって思ったの、テルーにボコボコにされたときだもん」
京太郎「あぁ、目に浮かぶな」
淡「そーゆーわけだから、キョータローはなんも心配しなくてもいいの!」
京太郎「そうか……ならこれやるか?」
淡「あ、花火だ」
京太郎「お前がやりたいとか言い出しそうだから、小さいの買っといた」
淡「やっぱりそーしそーあいってやつだよ!」
京太郎「だからお前が単純すぎるだけだって」
淡「もうこれで終わりだね……」
京太郎「線香花火……締めにはいいんじゃないか?」
淡「なんか寂しい」
京太郎「まぁ、花火が売ってる間だったらいつでもできるだろ」
淡「そういうことじゃないもん」
京太郎「……火、付けるぞ」
淡「ねぇ」
京太郎「ん?」
淡「キョータローって、私のこと好き?」
京太郎「なんだ、いつもの自信はどこいったんだ?」
淡「だって、なんか今日はいつもより優しいもん」
京太郎「優しくされて不安になるとかどういうことだよ」
淡「いーから!」
京太郎「……悪いけど、答えられないな」
淡「どうして?」
京太郎「どうしてだろうな」
淡「むぅ、はぐらかしてるでしょ」
京太郎「さぁな……おっと」ポトッ
淡「あっ……」ポトッ
淡「終わっちゃったね」
京太郎「だな。片付けて戻るか」
淡「でもその前に――んっ」
淡「えへへ、しちゃった……二回目」
京太郎「お前な……そういう安売りはやめろよ」
淡「安売りじゃないよ。だって好きな人としてるんだもん」
京太郎「好きな人ね……」
京太郎(すごい流れ込んできてるな……)
京太郎(照ちゃんのとこいつので、多分今ならプロとも戦えそうな気がする)
淡「それに、なんとなくわかっちゃったし」
京太郎「なにがだよ」
淡「キョータローが私のこと好きだってこと」
京太郎「言ってろ言ってろ、戻るぞ」
淡「はーい」
淡「ただいま戻りましたー」
菫「やっと戻ってきたか」
京太郎「悪い、ちょっと見つけるのに手間取って」
菫「なに、夏休み中だ。多少遅くなっても問題ない」
京太郎「そう言ってくれると助かるよ」
菫「早速だが出発しよう。淡、忘れ物はないか?」
淡「だいじょーぶだよ。思い出も作っちゃったし……ね?」
京太郎「そういうことにしといてやる」ワシャワシャ
淡「あわっ」
乙
ビーチ回とかあるとテニプリを思い出す
そして乾汁っぽいものが出てくるのではとハラハラする
ビーチ回とかあるとテニプリを思い出す
そして乾汁っぽいものが出てくるのではとハラハラする
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