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元スレ姫「もう半年か・・・」
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洞窟内
姫「魔王に連れ去られて…もう半年になるんだ・・・」
?「姫ちゃん、食事を持ってきたよ。」
姫「あ、スライムくん。ありがと・・・」
スライム「また、何か考えてたの?」
姫「まぁね・・・。勇者様はどうしてるんだろうってね・・・」
スライム「姫ちゃん・・・」
?「おやおや・・・姫、どうしたんだね?」
姫「あ、まほ爺(魔法使い)・・・。」
スライム「まほ爺・・・また、姫ちゃん元気がなくなっちゃったんだよ・・・。」
まほ爺「そうか・・・。こんな洞窟の牢屋の中にいれば、元気もなくなるじゃろ・・・」
遠くで何かの声が聞こえる・・・。
スライム「あっ、ドラゴンさんが呼んでるみたいだから、行ってくるね。」
まほ爺「姫・・・ワシ等も姫を悪いようにはせん。きっと魔王様もそう思ってらっしゃるはず。だから、気晴らしにまた魔法の練習でもしましょう・・・。」
姫「まほ爺・・・ありがと・・・。そうね。考えても考えても答えは出ないものね・・・。」
姫「魔王に連れ去られて…もう半年になるんだ・・・」
?「姫ちゃん、食事を持ってきたよ。」
姫「あ、スライムくん。ありがと・・・」
スライム「また、何か考えてたの?」
姫「まぁね・・・。勇者様はどうしてるんだろうってね・・・」
スライム「姫ちゃん・・・」
?「おやおや・・・姫、どうしたんだね?」
姫「あ、まほ爺(魔法使い)・・・。」
スライム「まほ爺・・・また、姫ちゃん元気がなくなっちゃったんだよ・・・。」
まほ爺「そうか・・・。こんな洞窟の牢屋の中にいれば、元気もなくなるじゃろ・・・」
遠くで何かの声が聞こえる・・・。
スライム「あっ、ドラゴンさんが呼んでるみたいだから、行ってくるね。」
まほ爺「姫・・・ワシ等も姫を悪いようにはせん。きっと魔王様もそう思ってらっしゃるはず。だから、気晴らしにまた魔法の練習でもしましょう・・・。」
姫「まほ爺・・・ありがと・・・。そうね。考えても考えても答えは出ないものね・・・。」
ドラゴン「スライムよ、姫の様子はどうだ?」
スライム「あまり元気がありませんでした・・・。」
ドラゴン「そうか・・・。確かに、半年も牢屋にいれば気も滅入るであろう・・・。」
スライム「まほ爺が気晴らしに魔法とか教えてるみたいですが、魔王様は何かお考えでもあるんですか?」
ドラゴン「それは・・・私にもよくわからん。勇者が少しずつではあるが、こちらに向かっているとの情報は入ったのだがな・・・。」
スライム「そうですか・・・。」
ドラゴン「洞窟内で勤務以外で暇なものがいれば、姫の暇つぶしにでも付き合ってやってくれ・・・。魔王様に合わせる前に死なれたら敵わんからな。」
スライム「わかりました。みんなにも伝えておきます。」
ドラゴン「頼んだぞ」
スライム「あまり元気がありませんでした・・・。」
ドラゴン「そうか・・・。確かに、半年も牢屋にいれば気も滅入るであろう・・・。」
スライム「まほ爺が気晴らしに魔法とか教えてるみたいですが、魔王様は何かお考えでもあるんですか?」
ドラゴン「それは・・・私にもよくわからん。勇者が少しずつではあるが、こちらに向かっているとの情報は入ったのだがな・・・。」
スライム「そうですか・・・。」
ドラゴン「洞窟内で勤務以外で暇なものがいれば、姫の暇つぶしにでも付き合ってやってくれ・・・。魔王様に合わせる前に死なれたら敵わんからな。」
スライム「わかりました。みんなにも伝えておきます。」
ドラゴン「頼んだぞ」
再び洞窟内・・・
姫「ギ、ギラッ!!」
一直線に岩に向かって炎が飛んでいった。
まほ爺「姫はやはり才能がありますな・・・。もう少し魔力がつけば、きっと上級魔法も使えるでしょう。」
姫「まほ爺のおかげよ。お城じゃ全然教えてくれなかったもの・・・。」
まほ爺「魔法は感性や感覚、ひらめきといった才能に左右されるのですよ・・・。きっと、もともと姫に才能があったのでしょう。」
姫「ありがと。」
?「ひめさまぁー、また稽古をつけにきたぞ。」
姫「リカント・・・」
リカント「姫も最近力をつけてきたからな・・・。気合を入れんとどっちが稽古してるんだかわからなくなる。」
姫「ありがと・・・。いいダイエットにもなるしね。」
こうして姫様は、勇者が来るまで洞窟内の魔物と魔法や武術の稽古を暇つぶしと称して行っていたのでした。
そう・・・
あの日まで・・・。
姫「ギ、ギラッ!!」
一直線に岩に向かって炎が飛んでいった。
まほ爺「姫はやはり才能がありますな・・・。もう少し魔力がつけば、きっと上級魔法も使えるでしょう。」
姫「まほ爺のおかげよ。お城じゃ全然教えてくれなかったもの・・・。」
まほ爺「魔法は感性や感覚、ひらめきといった才能に左右されるのですよ・・・。きっと、もともと姫に才能があったのでしょう。」
姫「ありがと。」
?「ひめさまぁー、また稽古をつけにきたぞ。」
姫「リカント・・・」
リカント「姫も最近力をつけてきたからな・・・。気合を入れんとどっちが稽古してるんだかわからなくなる。」
姫「ありがと・・・。いいダイエットにもなるしね。」
こうして姫様は、勇者が来るまで洞窟内の魔物と魔法や武術の稽古を暇つぶしと称して行っていたのでした。
そう・・・
あの日まで・・・。
勇者が来たぞぉ・・・・
洞窟内は魔物たちの声で溢れかえっていました。
ドラゴン「いよいよ、勇者がこの洞窟の中に入ってきたようだ・・・。」
姫「勇者様が・・・」
ドラゴン「姫に危害を加えることはしないが、こちらも魔王様の命により勇者を撃退せねばならん。」
姫「ドラゴンさん・・・」
ドラゴン「私とリカント、スライム、魔法使いの4人はこの牢の護衛だ。いいな!!」
スライム「はい。」
まほ爺「はい。」
リカント「ひめさまを思うと、ちと複雑だが・・・しょーがねーなー・・・。」
勇者の成長スピードは速く、洞窟内の魔物は誰も歯が立たなかった・・・。
そして、ついに・・・
洞窟内は魔物たちの声で溢れかえっていました。
ドラゴン「いよいよ、勇者がこの洞窟の中に入ってきたようだ・・・。」
姫「勇者様が・・・」
ドラゴン「姫に危害を加えることはしないが、こちらも魔王様の命により勇者を撃退せねばならん。」
姫「ドラゴンさん・・・」
ドラゴン「私とリカント、スライム、魔法使いの4人はこの牢の護衛だ。いいな!!」
スライム「はい。」
まほ爺「はい。」
リカント「ひめさまを思うと、ちと複雑だが・・・しょーがねーなー・・・。」
勇者の成長スピードは速く、洞窟内の魔物は誰も歯が立たなかった・・・。
そして、ついに・・・
並み居る強敵を討ち倒し、勇者はついに
姫が捕らわれた洞窟の奥までやってきた。
ピ! ドゴォォン!!
勇者の魔法だろうか、オレンジ色の閃光や轟音と共に
魔法の鍵で施錠された扉がはじけ飛び、洞窟内に
煙りと爆風が雪崩れ込んでくる。
まほ爺「おのれ!勇者か!」
はじけ飛んだ扉の向こうに勇者が居ると踏んだのか、
まほ爺は呪文を詠唱する・・・が、扉の向こうには
誰の姿も無かった。
まほ爺「?・・・うぉっ!」
突如、気配も音も無く背後から首を掴まれ
硬い洞窟の地面に引きずり倒され、昏倒する。
リカント「てきsy・・・・・」
パシュッ!
まほ爺が一瞬で手際よく倒され、リカントが
仲間達を呼ぼうと、声をあげようとした所、勇者の
手にした武器が小さな音を立てて、武器から発射された
小さな矢のようなものが、リカントの頭に突き刺さる。
姫が捕らわれた洞窟の奥までやってきた。
ピ! ドゴォォン!!
勇者の魔法だろうか、オレンジ色の閃光や轟音と共に
魔法の鍵で施錠された扉がはじけ飛び、洞窟内に
煙りと爆風が雪崩れ込んでくる。
まほ爺「おのれ!勇者か!」
はじけ飛んだ扉の向こうに勇者が居ると踏んだのか、
まほ爺は呪文を詠唱する・・・が、扉の向こうには
誰の姿も無かった。
まほ爺「?・・・うぉっ!」
突如、気配も音も無く背後から首を掴まれ
硬い洞窟の地面に引きずり倒され、昏倒する。
リカント「てきsy・・・・・」
パシュッ!
まほ爺が一瞬で手際よく倒され、リカントが
仲間達を呼ぼうと、声をあげようとした所、勇者の
手にした武器が小さな音を立てて、武器から発射された
小さな矢のようなものが、リカントの頭に突き刺さる。
リカント「うぐっ・・・Zzzzzzz・・」
眠りの魔法効果がある武器なのだろうか、矢を頭に受けると
リカントは瞬時に眠りについてしまう。
勇者「・・・・・・!!」
勇者は小さく息を吐くと、昏倒したまほ爺の足を持って
辺りを引き摺り回し、まほ爺の懐から落ちたポーションを
拾い上げ背中のバックパックに収納する。
おなじようにリカントの足を持って引きずり回す。
リカント懐からは、骨付きの乾いた肉が落下し、勇者は
迷う事なくその肉を拾い上げる。
ポーションと同じく背中のバックパックに入れようとするが、
しばし思案し、部屋の角にしゃがみ込んで、服の左胸に
装着していた小箱のダイヤルを回して、突起を押す。
ややあって、勇者の耳に着けられたものから、
その場に居ない仲間の声が聞こえる。
仲間『干し肉を手に入れたのね、
干し肉は動物の肉を塩やスパイスを塗りこんで
乾燥させ、腐敗を防ぎ保存性を高めた食物よ』
勇者「・・・・・そうか、で味は?」
仲間『って、まさか・・何の肉かも
わからないのに、食べる気?』
勇者「もちろんだ」
仲間『だってそれ、そこの化け物が持って居たのよ?』
勇者「わざわざ、肉を保存できるようにして持って居たんだ
観賞用って事はないだろう」
仲間『そうね・・えーと、何の肉かはわからないけど
食べてみればわかるんじゃないかしら』
もう用事は済んだと思ったのだろう、仲間の方から
通話は途切れ、勇者は手にした肉にかぶりつく。
勇者「・・・・・・・美味いっ!」
満足したのだろう、骨を残して干し肉を完食すると、
もう一つぐらい持って居るかと、期待したのだろうか
寝ているリカントの足を持って再び引きずり回す。
スライムA「こっちから、音がしたぞっ!」
勇者「・・・・・・・む!増援か!?」
スライムの声を聞きつけて、勇者はバックパックから
茶色い大きな紙の束を取り出して、手際よく組み立てていく。
ややあって、人が入れるぐらいの大きな箱が組みあがり、
勇者がその箱の中に隠れると同時にスライムが部屋に入って来る。
スライムB「誰も…いない!?」
スライムが部屋を見回すと、倒れたまほ爺と眠っているリカント
そして、見覚えの無い茶色い紙の大きな箱が置かれていた。
スライムC「どうした!」
スライムA「なんだ、この箱は」
スライムは全部で3体、2体のスライムがまほ爺やリカントを
起こし、のこりの一体が茶色い箱(ダンボールと書かれている)、
の様子を見る。
もう一つぐらい持って居るかと、期待したのだろうか
寝ているリカントの足を持って再び引きずり回す。
スライムA「こっちから、音がしたぞっ!」
勇者「・・・・・・・む!増援か!?」
スライムの声を聞きつけて、勇者はバックパックから
茶色い大きな紙の束を取り出して、手際よく組み立てていく。
ややあって、人が入れるぐらいの大きな箱が組みあがり、
勇者がその箱の中に隠れると同時にスライムが部屋に入って来る。
スライムB「誰も…いない!?」
スライムが部屋を見回すと、倒れたまほ爺と眠っているリカント
そして、見覚えの無い茶色い紙の大きな箱が置かれていた。
スライムC「どうした!」
スライムA「なんだ、この箱は」
スライムは全部で3体、2体のスライムがまほ爺やリカントを
起こし、のこりの一体が茶色い箱(ダンボールと書かれている)、
の様子を見る。
ガタ・・・。
スライムA「動いた!?」
気のせいだろうか、箱が僅かに動いたような気がする、見るからに
怪しげな箱であり、触るのも躊躇われるが、放置するもの気がかりだ。
スライムAは意を決すると、手の無い体で器用に箱を引っ繰り返す。
勇者「・・っ!」
箱の中に座っていた勇者と目が合う。
スライムの目が光ると同時に頭上に"!"マークが飛び出たような気がした。
・・・気のせいだったかもしれないが。
スライムA「居た!勇者だ!」
スライムB「勇者だ!」
スライムC「勇者だ!勇者だ!」
スライムAの声に釣られるようにして、他のスライム達も
騒ぎ出す。
まほ爺「っててて・・!」
リカント「・・ぬ・・ぅ。」
そればかりか・・・。
昏倒していたまほ爺と、リカントも目をさまし、さらに
声を聞きつけた魔物達がどんどん部屋に集まってくる。
勇者「・・しまった!」
スライムB「勇者が逃げた!」
スライムC「追え!追えーっ!」
どんどん終結する魔物達を見て、多勢に無勢だと思ったのだろうか
勇者は魔物を背にすると、全力で走り出す。
スライム、ドラゴン、まほう使い、さまよう鎧、
リカント、キメラ・・エトセトラ、エトセトラ。
幾多の種類の夥しい数の魔物がスライム達の声を聞きつけると、
洞窟の中から集まってくる。
しかし狭い洞窟の中、逃げ場を失った勇者が追い詰められるのは
時間の問題だった。
勇者「・・・・・・仕方がない。」
無数の魔物達を見て、勇者は覚悟を決めたような表情を見せ、
懐から薬の錠剤のようなものを取り出し、水も無くそのまま口に
含んで飲み込む。
勇者「・・・・・・ぐはぁっ!」
リカント「こいつ、何を!?」
リカントが疑問を口にすると同時に勇者は口から泡を吹いて
そのまま力無く倒れ・・・動かなくなる。
まほ爺「ちょいと御免よ」
まほ爺は、動かなくなった勇者の首筋に手を当て、脈が動いていない事を
確認する、そのまま瞳を覗き込むと瞳孔が開いている。
まほ爺「おろかな事よ、逃げられないと思ったのだろう
毒を呷って死によったわ」
リカント「やれやれ」
ドラゴン「ヒト騒がせな勇者だ」
まほ爺の言葉に納得したのだろうか、集まっていた魔物達が
口ぐちに文句を言いながら立ち去って行く。
後に残ったのは倒れた勇者だけだった。
死人と思われた勇者の指が動き、ゆっくりと立ち上がる。
勇者「・・・・あぶないところだった。」
立ち上がり頭を振ると、焦点の定まらないぼやけた視界が
戻ってくる、先ほど飲んだのは毒ではなく、仮死となる薬で
奥歯に仕込んだ蘇生薬を舐める事で無効化する事が出来る。
ただし、仮死となる時間が長かった場合、本当の死人と
なってしまう、危険な代物だ。
まさか、こんな所で切り札に頼る事になるとは。
勇者「・・・・奥・・か。」
勇者は地図を確認すると、姫の居る奥へと音も立てずに
進んで行った。
ドラゴン「ヒト騒がせな勇者だ」
まほ爺の言葉に納得したのだろうか、集まっていた魔物達が
口ぐちに文句を言いながら立ち去って行く。
後に残ったのは倒れた勇者だけだった。
死人と思われた勇者の指が動き、ゆっくりと立ち上がる。
勇者「・・・・あぶないところだった。」
立ち上がり頭を振ると、焦点の定まらないぼやけた視界が
戻ってくる、先ほど飲んだのは毒ではなく、仮死となる薬で
奥歯に仕込んだ蘇生薬を舐める事で無効化する事が出来る。
ただし、仮死となる時間が長かった場合、本当の死人と
なってしまう、危険な代物だ。
まさか、こんな所で切り札に頼る事になるとは。
勇者「・・・・奥・・か。」
勇者は地図を確認すると、姫の居る奥へと音も立てずに
進んで行った。
勇者「いざ、魔王!俺が来たからには貴様の命もこれまでだ!」
魔王「よく参ったな勇者。余が王の中の王、魔王だ。」
魔王「ほう、姫を連れて来てくれたのか。ご苦労であったな。」
魔王「もし余の味方になるなら、世界の半分を勇者にやろう。」
魔王「……どうだ?余の味方にならんか?」
勇者「黙れッ!俺はお前を斃せば、半分どころか世界が丸々貰えるんだ!」
魔王「……???お前の申す事がよく理解できぬのだが。」
魔王「……あっ!?お前!その姫様のお腹が大きいのは……まさか!?」
勇者「そう、そのまさかだ!」
姫様「妊娠8か月ですわ……ぽっ。」
魔王「身重の女連れで余の所に……勇者よ、貴様は余を舐めておるのか?」
勇者「いや、これには事情があったんだ。」
魔王「事情?」
魔王「よく参ったな勇者。余が王の中の王、魔王だ。」
魔王「ほう、姫を連れて来てくれたのか。ご苦労であったな。」
魔王「もし余の味方になるなら、世界の半分を勇者にやろう。」
魔王「……どうだ?余の味方にならんか?」
勇者「黙れッ!俺はお前を斃せば、半分どころか世界が丸々貰えるんだ!」
魔王「……???お前の申す事がよく理解できぬのだが。」
魔王「……あっ!?お前!その姫様のお腹が大きいのは……まさか!?」
勇者「そう、そのまさかだ!」
姫様「妊娠8か月ですわ……ぽっ。」
魔王「身重の女連れで余の所に……勇者よ、貴様は余を舐めておるのか?」
勇者「いや、これには事情があったんだ。」
魔王「事情?」
勇者「あの日……俺と姫様は出会ったんだ。」
――8か月前・とある洞窟
ドラゴンをやっつけた!▽
勇者「姫様~っ!ご無事ですかっ!?」
姫様「まあ!こんな所に助けに来て下さる方がいらっしゃるなん、て……!」
姫様「……あら、嫌だわ私ったら、名前も聞かずボーっとして……ぽっ。」
勇者「……まるで天使のような姫様だ……!」
――
姫様「まるで稲妻が走ったかのようで、一瞬で恋に落ちてしまいました。」
勇者「俺も姫様に一目惚れしてしまって。」
魔王「……だから何だ?やはり余を馬鹿にしておるのか!?」
勇者「まあ待て!話はまだ終わりじゃないんだぜ。」
魔王「何を!?まだ下らぬのろけ話に余を付き合わそうと言うのか!?」
――8か月前・とある洞窟
ドラゴンをやっつけた!▽
勇者「姫様~っ!ご無事ですかっ!?」
姫様「まあ!こんな所に助けに来て下さる方がいらっしゃるなん、て……!」
姫様「……あら、嫌だわ私ったら、名前も聞かずボーっとして……ぽっ。」
勇者「……まるで天使のような姫様だ……!」
――
姫様「まるで稲妻が走ったかのようで、一瞬で恋に落ちてしまいました。」
勇者「俺も姫様に一目惚れしてしまって。」
魔王「……だから何だ?やはり余を馬鹿にしておるのか!?」
勇者「まあ待て!話はまだ終わりじゃないんだぜ。」
魔王「何を!?まだ下らぬのろけ話に余を付き合わそうと言うのか!?」
――宿屋
姫様「まあ、勇者さまのお父様はもうこの世には……」
勇者「はい。魔王討伐の途中で火山の火口に落ちて帰らぬ人に……」
姫様「それは、さぞかし淋しい思いをしたんでしょうね」
勇者「……でもこうして姫様に出会った今はもう、淋しい事なんてありません」
姫様「まあっ、勇者さまったら!……ぽっ」
勇者「姫様っ!僕は、あなたを心から愛しています!」
姫様「勇者さまっ……!私も、あなたを心からお慕いしています!」
勇者「……姫様っ!!御免っ!!!」ガバッ!
姫様「きゃっ……!!勇者さま、そんな……っ!!」
勇者「姫様ぁっ!!姫様ぁ~~っ!!!」ズブズブ
姫様「ん、んぁっ……!ゆ、勇者さ、まぁ……っ!!」ギシギシ
ドピュッ!ドクッ!ドクドクッ!ビュルルルル!
――
宿屋「ゆうべはお楽しみでしたね」ニタニタ
姫様「まあ、勇者さまのお父様はもうこの世には……」
勇者「はい。魔王討伐の途中で火山の火口に落ちて帰らぬ人に……」
姫様「それは、さぞかし淋しい思いをしたんでしょうね」
勇者「……でもこうして姫様に出会った今はもう、淋しい事なんてありません」
姫様「まあっ、勇者さまったら!……ぽっ」
勇者「姫様っ!僕は、あなたを心から愛しています!」
姫様「勇者さまっ……!私も、あなたを心からお慕いしています!」
勇者「……姫様っ!!御免っ!!!」ガバッ!
姫様「きゃっ……!!勇者さま、そんな……っ!!」
勇者「姫様ぁっ!!姫様ぁ~~っ!!!」ズブズブ
姫様「ん、んぁっ……!ゆ、勇者さ、まぁ……っ!!」ギシギシ
ドピュッ!ドクッ!ドクドクッ!ビュルルルル!
――
宿屋「ゆうべはお楽しみでしたね」ニタニタ
――城
王様「勇者、よくぞ姫を助け出してくれた!心から礼を言うぞ!」
王様「さあ姫。わしの隣へ来るのだ!」
姫様「待って下さいませ!私は勇者さまのお供をしとうございます。」
王様「な、何じゃと!?!?突然何を言い出すのだ!?!?血迷うたのか姫!?!?」
勇者「王様!姫様を僕に下さい!」
王様「ゆ、勇者っ!?唐突に何を言い出すのだっ!!?」
姫様「……勇者さまを愛する私の心……。どうか分かって下さい、お父様っ!」
王様「……仕方がない。勇者よ、姫をよろしく頼むぞ……。」
王様「今日という日をわしは一生忘れないであろう。本当に心から礼を言うぞ!」
王様「……全てが片付いた暁には、姫の婿としてこの国を……ゴホン!」
――
勇者「こういう事情だ!これで分かっただろ!」
魔王「貴様らの馴れ初めが大半ではないか、無駄話を聞かせおって!!」
魔王「余を見縊った事を後悔するがいいわ。どこからでもかかって来い!」
王様「勇者、よくぞ姫を助け出してくれた!心から礼を言うぞ!」
王様「さあ姫。わしの隣へ来るのだ!」
姫様「待って下さいませ!私は勇者さまのお供をしとうございます。」
王様「な、何じゃと!?!?突然何を言い出すのだ!?!?血迷うたのか姫!?!?」
勇者「王様!姫様を僕に下さい!」
王様「ゆ、勇者っ!?唐突に何を言い出すのだっ!!?」
姫様「……勇者さまを愛する私の心……。どうか分かって下さい、お父様っ!」
王様「……仕方がない。勇者よ、姫をよろしく頼むぞ……。」
王様「今日という日をわしは一生忘れないであろう。本当に心から礼を言うぞ!」
王様「……全てが片付いた暁には、姫の婿としてこの国を……ゴホン!」
――
勇者「こういう事情だ!これで分かっただろ!」
魔王「貴様らの馴れ初めが大半ではないか、無駄話を聞かせおって!!」
魔王「余を見縊った事を後悔するがいいわ。どこからでもかかって来い!」
勇者「待たせたな。覚悟を決めとけよ魔王。」
姫様「勇者さまーっ!頑張って下さいねーっ!」キャピキャピ
魔王「フン、人間如きが余に敵う筈がないわ。」
魔王が現れた!▽
魔王はこごえる吹雪を吐いた!
魔王ははげしい炎を吐いた!
勇者に135ポイントのダメージ!▽
勇者「くっ!!流石は魔王だな……!」
勇者「俺のターンだ。喰らいやがれっ!」
勇者の攻撃!魔王に28ポイントのダメージ!▽
勇者「なっ、何だとぉ……ッ!?」
魔王「愚かな。余に勝てる筈が無かろう。」
魔王はイオナズンを唱えた!
魔王の攻撃!痛恨の一撃!
勇者に236のダメージ!▽
勇者「ぐああああっ!!」
姫様「ゆ、勇者さまぁーーっ!!!」
姫様「勇者さまーっ!頑張って下さいねーっ!」キャピキャピ
魔王「フン、人間如きが余に敵う筈がないわ。」
魔王が現れた!▽
魔王はこごえる吹雪を吐いた!
魔王ははげしい炎を吐いた!
勇者に135ポイントのダメージ!▽
勇者「くっ!!流石は魔王だな……!」
勇者「俺のターンだ。喰らいやがれっ!」
勇者の攻撃!魔王に28ポイントのダメージ!▽
勇者「なっ、何だとぉ……ッ!?」
魔王「愚かな。余に勝てる筈が無かろう。」
魔王はイオナズンを唱えた!
魔王の攻撃!痛恨の一撃!
勇者に236のダメージ!▽
勇者「ぐああああっ!!」
姫様「ゆ、勇者さまぁーーっ!!!」
魔王はマヒャドを唱えた!
魔王の攻撃!勇者は168ポイントのダメージを受けた! ▽
勇者「があああっ!ぐわあああっ……!」
姫様「勇者さまっ!もっと頑張って下さいっ!」
勇者「ハア、ハア……うおぉぉぉ!!」
勇者の攻撃!魔王に42ポイントのダメージ!
勇者「……まだだぁッ!俺は諦めるわけにはいかないんだァ……ッ!」
勇者の攻撃!会心の一撃!魔王に185ポイントのダメージ!▽
魔王「くっ……!だがこれしきのキズなど!!」
魔王「……無駄とは言わぬが、この程度で余は倒せぬ!」
魔王「勇者!これで貴様は終わりだ!」
魔王はバギクロスを唱えた!
魔王はメラゾーマを唱えた!
勇者は332ポイントのダメージを受けた!▽
勇者「ぐふッ……」ドサッ
魔王「フフフ……フハハハハ!」
姫様「嫌ァーーッ!!勇者さまァーーッ!!」
勇者「ッ……」ガクッ
魔王の攻撃!勇者は168ポイントのダメージを受けた! ▽
勇者「があああっ!ぐわあああっ……!」
姫様「勇者さまっ!もっと頑張って下さいっ!」
勇者「ハア、ハア……うおぉぉぉ!!」
勇者の攻撃!魔王に42ポイントのダメージ!
勇者「……まだだぁッ!俺は諦めるわけにはいかないんだァ……ッ!」
勇者の攻撃!会心の一撃!魔王に185ポイントのダメージ!▽
魔王「くっ……!だがこれしきのキズなど!!」
魔王「……無駄とは言わぬが、この程度で余は倒せぬ!」
魔王「勇者!これで貴様は終わりだ!」
魔王はバギクロスを唱えた!
魔王はメラゾーマを唱えた!
勇者は332ポイントのダメージを受けた!▽
勇者「ぐふッ……」ドサッ
魔王「フフフ……フハハハハ!」
姫様「嫌ァーーッ!!勇者さまァーーッ!!」
勇者「ッ……」ガクッ
魔王「フフフ……フハハハハ!愚かなり勇者よ!!」
魔王「魔の秘宝『闇の衣』をまとった余に敵う者なぞ居らぬ!」
魔王「率直に言うぞ勇者。初めからこの戦いの勝敗は決しておったのだ。」
勇者はベホイミを唱えた!
勇者「まだだッ……!」
姫様「ゆ、勇者さま……!!」
勇者「うおおおおお~~~っ!!」
勇者の攻撃!魔王はひらりと身をかわした!▽
魔王「まだそれ程の体力があるとは。勇者の称号を持つだけの事はあるな。」
魔王「勇者よ、何ゆえもがき生きるのか?滅びこそ我が喜び。死にゆく者こそ美しい。」
魔王はメラゾーマを唱えた!▽
勇者「ぐはあっ!!!」
魔王「冥途の土産に聞かせてやろう。さっきの『世界の半分』とは『闇の世界』の事でね。」
勇者「ぐっ……!それが……どうし、た……ッ。」
魔王「フッフッフ。今度こそ、貴様との今生の別れにしてくれようぞ。」
魔王「『闇の世界』は、余に刃向かう愚か者の流刑地なのだ。」
魔王「落ちたら最期、二度とこの上の世界へは戻っては来れぬ。」
魔王「魔の秘宝『闇の衣』をまとった余に敵う者なぞ居らぬ!」
魔王「率直に言うぞ勇者。初めからこの戦いの勝敗は決しておったのだ。」
勇者はベホイミを唱えた!
勇者「まだだッ……!」
姫様「ゆ、勇者さま……!!」
勇者「うおおおおお~~~っ!!」
勇者の攻撃!魔王はひらりと身をかわした!▽
魔王「まだそれ程の体力があるとは。勇者の称号を持つだけの事はあるな。」
魔王「勇者よ、何ゆえもがき生きるのか?滅びこそ我が喜び。死にゆく者こそ美しい。」
魔王はメラゾーマを唱えた!▽
勇者「ぐはあっ!!!」
魔王「冥途の土産に聞かせてやろう。さっきの『世界の半分』とは『闇の世界』の事でね。」
勇者「ぐっ……!それが……どうし、た……ッ。」
魔王「フッフッフ。今度こそ、貴様との今生の別れにしてくれようぞ。」
魔王「『闇の世界』は、余に刃向かう愚か者の流刑地なのだ。」
魔王「落ちたら最期、二度とこの上の世界へは戻っては来れぬ。」
魔王「姫様を連れてきて良かったな!愛する女と死に場を共に出来るのだ!」
魔王は不敵に笑っている。▽
勇者「ごめんな……さい、姫様……ッ、俺のせいで姫様ま、で……ッ。」
姫様「よろしいのですわ、死ぬまで私は勇者さまと一緒に参ります。」
魔王「さらばだ!もう二度と貴様らの顔を見る事もあるまい!」
魔王「さあ、身を引き裂くような激しい悲しみを余に捧げるがいい!!」
魔王の間の床に突如謎の大穴が開いた!▽
勇者「なっ!?うわあぁぁぁぁ~~ぁぁぁぁ~~ぁ……ぁ……ぁ……。」
姫様「きゃぁ~~ぁ~~ぁ~~ぁ……ぁ……ぁ……。」
――
魔王「ワッハッハッハッハ!我が野望はもはや誰にも邪魔できぬわ!」
魔王「……この世界の支配者は余を置いて他には無い!」
魔王は不敵に笑っている。▽
勇者「ごめんな……さい、姫様……ッ、俺のせいで姫様ま、で……ッ。」
姫様「よろしいのですわ、死ぬまで私は勇者さまと一緒に参ります。」
魔王「さらばだ!もう二度と貴様らの顔を見る事もあるまい!」
魔王「さあ、身を引き裂くような激しい悲しみを余に捧げるがいい!!」
魔王の間の床に突如謎の大穴が開いた!▽
勇者「なっ!?うわあぁぁぁぁ~~ぁぁぁぁ~~ぁ……ぁ……ぁ……。」
姫様「きゃぁ~~ぁ~~ぁ~~ぁ……ぁ……ぁ……。」
――
魔王「ワッハッハッハッハ!我が野望はもはや誰にも邪魔できぬわ!」
魔王「……この世界の支配者は余を置いて他には無い!」
――広野の一軒家
勇者「うーん……。ここは……どこだ……?」
姫様「お気が付かれましたわね、勇者さま」
老人「ここは『闇の世界』じゃ。お前さんたちも魔王に落とされたのじゃろう」
勇者「……このご老体は一体どちら様ですか、姫様……?」
姫様「このおじいさんが私達を助けてくださったんですのよ」
老人「わずか二人で魔王に挑みなさるとは無茶が過ぎるわい」
姫様「……私は全く何にもしませんでしたわ」
老人「何!?たった一人で挑んだと言うのか!?この大馬鹿者め!」
老人「よいか、まずは冒険の仲間を見つけることじゃ」
勇者「仲間と言われましても……」
老人「とにかくルイーダの酒場に行きなされ」
勇者「ルイーダの酒場?」
老人「旅人たちが仲間を求めて集まる、出会いと別れの酒場じゃ」
老人「とにかくルイダの町へ行きなされ!行ってみれば分かるわい!」
勇者「うーん……。ここは……どこだ……?」
姫様「お気が付かれましたわね、勇者さま」
老人「ここは『闇の世界』じゃ。お前さんたちも魔王に落とされたのじゃろう」
勇者「……このご老体は一体どちら様ですか、姫様……?」
姫様「このおじいさんが私達を助けてくださったんですのよ」
老人「わずか二人で魔王に挑みなさるとは無茶が過ぎるわい」
姫様「……私は全く何にもしませんでしたわ」
老人「何!?たった一人で挑んだと言うのか!?この大馬鹿者め!」
老人「よいか、まずは冒険の仲間を見つけることじゃ」
勇者「仲間と言われましても……」
老人「とにかくルイーダの酒場に行きなされ」
勇者「ルイーダの酒場?」
老人「旅人たちが仲間を求めて集まる、出会いと別れの酒場じゃ」
老人「とにかくルイダの町へ行きなされ!行ってみれば分かるわい!」
老人に別れを告げ、荒野を進むと
やがて城壁に囲まれた町へと辿り着いた。
町の入口にある朽ち果てた看板にはルイダの街と
書かれていた。
勇者「…大丈夫か?」
姫様「これぐらい、なんともありませんわ」
身重の姫には旅は辛いだろうが、一人だけ
老人の家に置き去りにする訳にもいかない。
だからと言って、町まで歩かせる訳にもいかず
老人から借りた馬に乗せてなんとか町まで来た。
勇者「どこか、休める所があれば良いんだが」
辺りを見回すが、寂れた町の中には人の姿は一人もいない。
勇者「おい!誰か!誰もいないのか?」
町の中に声を投げかけてみるが、返答は無い、
しかし、完全に破棄された廃墟言う訳でもなく、そこかしこの
家の中から勇者達を警戒するような視線を感じる。
姫様「様子がおかしいですわね」
勇者「…だな」
とりあえず、いつでも剣を抜けるように
警戒しながら、村の奥へと進む。
ガタン…。
姫様「っ!」
勇者「…!!」
何かが倒れる物音に振り替えると、そこには人の姿があった
───だが、ボロボロの服を纏い、全身から異臭を放ち、
皮膚は腐って半ば溶け落ちた人間だったが。
そんな人間達が大体20人ぐらいは居ただろうか、
辺りはすっかり囲まれてしまっていた。
姫様「腐った死体!?」
勇者「下がってろ!」
普段ではこの程度は物の数ではないが、
今は身重の姫を庇いながら戦わなければいけない。
腐った死体「うっぽー」
勇者「この町の住人…って所か
悪いけど、速攻で倒させてもらう」
言いざまに剣を抜き放ち、手近な腐った死体に斬り付ける、
そのまま振り向きざまに剣を返して、2体………さらに、
勢いに乗って3体の腐った死体を斬り捨てる。
腐った死体「うっぽー」
これで勇者と姫を完全に敵とみなしたのか、腐った死体達は
勇者に灰色の液のようなものを吐きかけてくる。
勇者「くっ…」
勇者はマントを翻して吐きかけて来た液から身を守る、
液が勇者のマントに掛ると、ジュッと音を立ててマントに大きな
穴を空ける。
姫様「ベギラマ!」
後ろに隠れていた姫が呪文を放ち、姫の手のひらから
炎の帯が荒れ狂い、腐った死体達を巻き込んでゆく。
腐った死体「ギャァァァァァ!!」
炎が苦手なのか、炎に巻き込まれなかった腐った死体達の
動きも止まる。
勇者「ウォオオオオオォオォオォッ!!」
勇者相手に動きを止めたのは致命的であり、残りの腐った死体達を
勇者の剣が次々と斬り伏せてゆく。
20体程居た腐った死体達は、勇者と姫の連携の前に
なす術もなく、倒されてゆく。
勇者の剣が最後の腐った死体を斬り倒し、死体が倒れた瞬間─。
背後から…鈍い音がした。
勇者「姫!!」
振り向くとそこには魔物の剣に貫かれ、倒れた姫の姿があった。
体長は3メートル程だろうか、服を着た人骨の剣士─しりょうの騎士─が
音もなく背後から忍び寄っていた。
勇者「野郎!!」
さらに姫に止めを刺そうとしたしりょうの騎士の剣を
勇者の剣が受け止め、その胴体に回し蹴りを放つ。
強烈な蹴りをその身の受けて、吹っ飛んだ死霊の騎士は
全身の骨がバラバラに飛び散る…。
勇者「姫!死ぬなよ!…ベホイ─────」
姫の傷を癒そうと勇者が呪文を唱えるが、
まるで時間を逆回ししたように、全身の骨が再び人の形に
組みあがり、死霊の騎士は復活し、呪文を唱えて居た
勇者の背中を蹴り飛ばす。
勇者「ぐっ!」
直撃を受けて苦痛に顔が歪むが、今はそれどころではない
早く傷を癒さなくては姫も、そして腹の中の子も命が
危ない。
勇者「ベホイミ!」
死霊の騎士の攻撃に耐えながらもなんとか、呪文を唱えきる
勇者、光が姫の体を包むが意識を取り戻さない。
ベホイミ一回分では、癒しきれないような深い傷だ。
さらに、戦いの音を聞きつけて腐った死体や死霊の騎士、
ゴーストや骸骨剣士など、町中に隠れていた魔物達が
集まってきた。
勇者「くそったれが!!」
バシャ!!
次の瞬間、勇者達に水が降りかかった、
水瓶をぶちまけたかのような大量の水を頭から被り、
全身が濡れ鼠になってしまう。
勇者「???」
??「何をぼーっとしているんだい!今のうちに
逃げるんだよ!」
見ると、飛び散った水をその身の受けた魔物達が
苦しんでいる。
勇者「こいつは…聖水か!?」
気を失ったままの姫を抱えて、逃げ出す勇者、
魔物達も勇者を追いかける。
??「こっち!」
声のする先へと逃げ出し、扉が開いている家の中に
飛び込む。
勇者が家に飛び込むと同時に、聖水を被せた本人だろうか
骨付き肉を扉から外に投げ込むと同時にドアを閉めて、
閂をかける。
勇者「済まない、助かった」
??「静かにおし!」
礼を言う勇者の口を押えたのはややキツイ目付きをした
青い長髪の女だった、歳にして大体20後半か
30前半ぐらいだろうか?
扉に耳を当てて魔物達が収まるのを確認して、ため息を付く。
??「全く、そんな妊婦を抱えて外を出歩くなんて
何を考えているんだい」
勇者「…アンタは?」
ルイーダ「アタシかい?アタシはルイーダ
この酒場の店主さね…もっとも、今となっては誰も
客なんていないけどね」
ルイーダ「そんな事より、
その娘をソファーに寝かしてやんな」
ルイーダがソファーの埃を軽く払い、シーツを
ソファーにかけ、勇者は姫をソファーに寝かせる。
勇者が何度か回復呪文を唱えると、姫の様子は
落ち着いたようだ。
勇者「…ここがルイーダの酒場…」
勇者が店の中を見回すが、店として使われていないのか
随分とボロボロになっているようだった。
ルイーダ「この世界じゃ、魔王に逆らおうなんて奴ぁ
そうそう居ないからね、客も居ないんじゃ
商売あがったりだよ……飲む?」
ルイーダは棚から酒の入っているであろうビンを取り出し、
勇者に見せるが、勇者は首を横に振った。
勇者「とにかく助かった」
勇者は装備を外してカウンターの椅子に腰を下ろす、
老人の家から長旅でルイダの街まで歩き、そのうえ魔物の群れ
と戦ったのだ、勇者の体力はすでに限界だった。
そして…それ故に勇者らしからぬ隙が生まれた。
ルイーダ「ザラキ!!」
突如ルイーダの放った死の呪文を受け、勇者はなす術もなく
死の言葉を受けて、命が絶たれてしまった。
勇者の体が力なく、酒場の床に倒れこんだ。
ルイーダは倒れた勇者の首筋に手を当て、脈が動いていない
事を確認する。
次に瞳を開き瞳孔が開いている事を確認する。
ルイーダ「………死んだ…わね。」
ルイーダは勇者の首筋を掴み、酒場の扉から外に放り出すと
ややあって、魔物達が勇者の体に群がり、勇者の
亡骸を始末して行く。
勇者は何度殺しても、蘇ると聞いた事がある、
しかし確実に亡骸を始末してしまえば、二度と蘇る事は
無いだろう。
ルイーダ「あっけないものね、勇者と言うのも」
ルイーダは冷たい目で骨も残さず、地面のシミと成り果てた
勇者を見据えると、再び扉を閉めてソファーで寝ている姫に
向き直る。
ルイーダはおもむろに姫の衣服を引き裂くと、
姫の大きなお腹が露わになった。
ルイーダ「少し、時期が早すぎたかしら
仕方ないわね」
ルイーダは姫の下腹部に手を当てて、怪しげな呪文を唱えると
姫の腹が急激に二回りほど大きくなる。
姫様「アァァァアアアアアアアアァァァァァ!!」
突如の激痛に姫は苦悶の声を上げ、ややあって赤子の頭が
見えてくる。
ルイーダ「………煩いわね…」
ルイーダは姫の叫び声に顔を歪ませながらも、呪文を唱え続け
やがて、臍の緒が付いた赤子が姿を現す…最初の男の子、
そして次に女の子が…。
ルイーダ「二人も居たとはね、魔王様もお喜びになるわ」
姫様「……うぅ……!」
ルイーダ「…お前も…もう要らないわ
お前の夫が地獄で待っているわよ
死ねっ!ザラキ!」
死の呪文が勇者の時と同じく襲い掛かり、姫の命を
あっさりと奪った。
同じく姫の亡骸を外に投げ出し、魔物達の群れが
亡骸を始末する。
魔物「……上手く、行ったようですな…側近様。」
魔物の一人がルイーダの前で首を垂れると、
ルイーダは服を脱ぎすて
ルイーダの体を白い煙が包み込む。
煙が晴れると、煙の中から魔物の姿が現れた。
側近「…ふん、勇者とて人間、いくら強くとも
油断さえしなければ、他愛もないものよ」
魔物「これで勇者と王族の血を引く者が
二人も手に入った訳ですな」
側近「予想以上の収穫よ。
アタシはこの子達を魔王様の元に届けに行くわ
後のことは任せたわ」
魔物「─────ハッ!」
───そして、15年後───
魔界の中央にそびえ立つ溶岩と岩山に囲まれた無気味な城、
魔物達の軍隊、魔王軍の本拠地となっている魔王城だった。
その天守にある、玉座の間…
年の頃は15ぐらいの、黒い軽装鎧を身にまとった若い娘が
玉座に座る城の主に傅いていた。
娘の顔にはどことなく、勇者と姫の面影があった。
魔王娘「……ただ今戻りました、父上」
魔王「すでに報告は聞いている、
南大陸侵攻の件、ご苦労だった」
魔王娘「─────ハッ!
詳しい報告書はこちらに」
魔王「うむ」
娘が差し出したノートを受け取り、魔王は数ページ捲ると
綺麗な字で細かく、しかし要点がわかり易くありながら詳細に
まさに、報告書のお手本のような報告書が記されていた。
魔王が近くに控えていた側近に、報告書を渡すと
側近は壁に貼り付けられている世界地図の前に立ち、
報告書に記されている箇所を赤く塗りつぶしていく。
側近の筆は既に6割程塗りつぶしている南側の大陸を
さらに大きく塗りつぶし、8割程塗りつぶした所で止まった。
その様子に魔王は満足げにうなずき、笑みを浮かべる。
魔王「久しぶりの魔界だな、今夜はゆっくりしていけるのか?」
魔王娘「3日程…こちらに滞在する予定です」
魔王「そうか連日の戦いで疲れただろう、少し部屋で休んでいると良い
じきに戦勝パーティーの準備が整う」
魔王娘「ハイ」
勇者と姫の子をわが子とし、幼少の頃から鍛え上げ手駒とする。
魔王の力だけでは他の魔王を抑えて世界の覇者となる事は難しかったが、
勇者の力を手駒に加える事により、魔王の勢力は急速に増大していった。
予想以上の成果だった
……───────半分に関してはだが。
◆◇◆◇ 魔王城の通路 ◆◇◆◇
??「よぉ、そこの悪魔の兄ちゃん…
今回の南大陸侵攻に一緒についていって、随分
懐が暖かくなったんだってなぁ」
悪魔A「……ぼ…坊ちゃん…」
魔王が自ら部屋に戻る途中、城の通路の奥から
見知った声が聞こえてくる、一人は娘の部下の悪魔と、
そして…もう一人は人の少年だった。
こちらも娘とおなじく、勇者と姫の面影があった。
子魔王「俺…先月、クソ親父にお小遣い止められちまってよぉ
悪いんだけど、少しだけ貸しちゃくれねーか?」
悪魔A「……す、すみません…
今、ちょっと持ち合わせ無いんです」
子魔王「あぁ~?本当かぁ?
フカシこいているんじゃねぇだろうなぁ?
ちょっと、ジャンプしてみろや、ジャンプ!」
いわれるままに悪魔Aがその場でジャンプすると、
悪魔Aの懐から小さな金属音が聞こえたような気がした。
子魔王「おい、今チャリンって音がしたじゃねーか
ナメてんのかぁ?」
魔王「やめんか!」
ごす。
魔王の大きな拳骨が子魔王の脳天に突き落とされ、
直撃を食らった子魔王は頭を抱えて、声も無く(声が出ないほど
痛かったらしい)蹲る。
子魔王「ってーな!クソ親父!
いきなり出てきて何をしやがる!」
魔王「うるっせぇ!馬鹿息子
お前こそ、妹の部下を相手にカツアゲなんて
何を考えてやがる!ちょっと来い!」
魔王はその太い腕で子魔王の耳をつかみ、
歩き出す。
子魔王「いででででで…
…離しやがれ!馬鹿親父!」
◆◇◆◇ 魔王城の空き部屋 ◆◇◆◇
魔王城は無意味に広く、適当な空き部屋は
そこかしこにあった、魔王は子魔王の耳を引っ張って
手近な部屋の中に放り込む。
魔王「ちょっと、そこに正座しろ!
馬鹿息子」
子魔王「それが人にモノを頼む態度……
………いででででで、やめろ!DV親父」
減らず口をたたく子魔王の頭こめかみを、魔王は
両手の拳で抉るように圧迫し、黙らせる。
観念したのか、子魔王は魔王の前に正座する。
魔王「ったくお前は、全く働きもせずに
城の金を持ち出しては遊んでばかり
あまつさえ、妹の部下にカツアゲまで
するとは」
魔王は懐から布の巻物を取り出すと、正座した
子魔王の前に広げてみせる、布に記されたのは
先ほどの世界地図を縮小表示したものだった。
魔王「見てみろ、アイツはもう
南大陸の8割近くを征服したんだぞ
お前も少しは、やる気をみせようとか
そういうのは無いのか!」
子魔王「マンドクセ」
魔王「その間お前と来たら、魔法学院に進学させても
勝手に中退して、あまった学費で豪遊するわ
根性を鍛えてやろうと、軍に編入してやっても
逃げ出して帰ってくるわ…。」
魔王は心の底からため息をつき、呆れた表情をするが
子魔王は全く意に返さないようだった。
魔王「…………お前には、愛想が尽きた」
子魔王「で?
今度はどこかの職場にでも組み込むつもりか?
親父よ」
魔王「そんなことをしたら、働いている連中に
迷惑がかかるからな」
魔王は左手を子魔王に向け、呪文を唱えると
左手に黒い闇の球体が生まれる。
すかさず子魔王が逃げ出そうとするが、右手から放った
見えない糸が子魔王の体を束縛する。
子魔王「体が…うごかねぇ!」
魔王「貴様を人間界に追放する…
国の一つでも落とすまで、その顔をワシに見せるな!」
子魔王「や…やめろぉぉおおぉぉっ!」
子魔王の叫びもむなしく、視界が歪み…
次の瞬間、子魔王は魔王城ではなく、地上世界に送り込まれていた。
意識を失っていたのだろうか、目を覚ますとそこは
見知らぬ場所だった、天井がある地下世界と違い見上げると
どこまでも空間が広がり、どれ程の高さか見当もつかない
所に白い綿のようなものが浮かんでいる。
白い綿のはるかな上方には青い天井が広がり、その高さは
見当も付かないほど高い。
天井には一点、眩い光を放つ球体が存在し、その球体が
世界全体を暖かな光で照らしているようにも見える。
子魔王「これが…空…それに太陽…
はじめて見た」
あの太陽が地上に生えた草木に生命を与え、
その草木を動物が食べ、動物を動物が食べ…やがて、動物が死骸になり
草木を育む糧となる、全ての生命の源であり、
歴代の魔王達がその手に収めるため、人と戦い続けてきたのだと言う。
生まれて15年、ずっと魔界で過ごして来たため、
話では聞いたことがあるものの、実物の太陽を見るのは初めてだった。
その太陽がある以上、この世界は魔界ではなく、地上世界と言う事になる。
子魔王「あのオヤジ…
マジで魔界から追放しやがった」
子魔王「クソオヤジ!とっとと戻しやがれ!!
これが可愛い息子にやる仕打ちかよ!」
おそらく魔王が様子を伺っているはずだろうと、空に向かって吠える。
ややあって、どこからともなく声が聞こえる。
魔王『うるさい、クソガキ
魔王城に戻りたかったら自力で戻ってくるか、
国の一つも支配するんだな』
子魔王「ざけんじゃねーっての
部下も金もないのにどうしろって言うんだ!」
魔王『現地調達だ…
金が無かったら自分で稼げ、
部下がほしかったら自分で集めろ』
魔王『貴様には特に期待していないが、頑張るなら適当に頑張れ
ではな、クソガキ、まかり間違って城の一つでも
落とせたらまた会おう。』
子魔王「おい!本気で行っちまうのかよ
待てよ!待てって…」
子魔王が慌てて引き留めようとするが、それっきり
声が聞こえなくなってしまう。
どうやら本気で捨てられたらしい。
魔王とは言え、息子をあっさり捨てるとは世も末だ。
子魔王「……クソったれが…
見渡す限りの草原のど真ん中に放り捨てられて
どうしろってんだよ」
途方に暮れるが、このままの何もしなかったら
空腹で行き倒れて死ぬだけ、と…言うよりすでに腹が減った。
子魔王「なんか、無ぇのかよ」
とりあえず、木陰に腰を下ろし手持ちの物を全部
並べてみる。
幸い、丁度友人の所に遊びに行くため、運良く鞄を
持っていた。
・護身用の魔剣(業物)
・悪魔Aから巻き上げた金貨の袋。
・フィギュア(限定品)
・エロ漫画3冊
・小型ゲーム機(と、ソフト数本)
・財布
・ポケットの中には板チョコが2枚
・ペットボトルに入ったコーラ(1.5リットル)。
とりあえず、すぐに役に立ちそうなのは
剣と板チョコとコーラぐらいだろうか、
漫画本もバラして焚火の火種にできるかもしれないが、
そもそも草原であるここは、枯木や枯草がそこいら中にあるので、
あまり役に立たないような気がする。
子魔王「どうしろっつーんだよ」
文句を言いながらも足を引きずって、とりあえず
適当に歩きやすい方向へ向けて歩くことにする。
土地勘も無い上に地図すら無い、不満を言いながらも
歩いていく子魔王。
草原を3時間程歩いたところで…………飽きる。
最初は初めての地上世界に物珍しかったが、3時間も
代わり映えしない世界を見せ続けられたら飽きもするだろう。
最初は歌いながら歩いたりもしていたが、もう持ち歌が
無くなってしまった。
子魔王「…………………………やってらんねー!」
荷物を放り出して、大の字になって草原に
寝っころがる。
よくある物語で、異世界に呼び出された
サバイバル経験も戦闘経験も無い一般人が国の為に戦って
勇者になるとかあるが、あれは絶対嘘だろう。
適当な所に転移した人間は、99%行き倒れて死ぬと思う。
子魔王「もしくは、そこらに居る魔物や怪物に食い殺されるのが
オチだっつーのろう、例えば…そこに居る
コイツみたいに。」
独り言を言いながら歩いていると、草原の真ん中に
無残にハラワタが食い散らかされた躯が転がっているのを
見つける。
怪物に食い殺された冒険者なのだろうか、全身が齧られて
バラバラになっている。
年齢は同じぐらいで15と言った所だろうか、
若い魔法使いの亡骸だった、恰好からすると魔法使いだろうか?
化け物に襲われたばかりの亡骸で、飛び散った血液も乾ききって
いなかった。
子魔王「お、ラッキー…
こいつ、結構色々持ってんじゃん?」
普通は魔王の息子なら魔王の息子らしく、魔術で生き返らせるなり
ゾンビにするなりした上、部下にする所だろうが、この息子には
そんな器用なマネは一切できなかった。
そんなわけで、有難く持ち物を有効活用させて頂く、
どうせ死んだ人間には物は使えないだろうし、気にする必要は
無い。
子魔王「干し肉とか、地図とか飲み物とか
結構いろいろあるな…ごっつぁんです!」
信仰心がある訳ではないが、とりあえず死体に手を合わせて合掌、
さらに死体を漁り続けていると、一枚のカードが出てくる。
生前の写真が張り付いた、冒険者の身分証みたいなカードで
冒険者カードと書かれている。
亡骸は顔がボロボロに食い散らかされていて、カードに貼り付けらた
写真もフードを被った写真であるため(身分証なのに)
結局は顔は分からなかったが。
子魔王「こいつ、Lv30かよ!?」
ボロボロの亡骸だが、残った部分の筋肉の付き方とかみてどうみても
化け物と戦えるようにも思わないが、人は見かけによらないもの
多分強力な魔術とか使えたんだろう…と思う。
子魔王「って…待てよ?」
この冒険者の亡骸がここに捨てられているってことは、
少なくとも、このLv30の冒険者を仕留められるような化け物が
この草原に徘徊している事になる。
もっとも、獣は腹いっぱいになると無意味に襲って来る事は無いと
言うし、この魔法使いを殺した張本人が襲っては来ないのだろうが。
子魔王「………………………。」
ふと、気配を感じて後ろを振り向く、今まで死体に気を取られていて
気が付かなかったが、いつの間にか、背後に忍び寄っていたらしい。
メタリックなボディに紫のモノアイ、二対の角に右手にイガイガの付いた
金属の棍棒、左手に刀を持ち、全身にイガイガのようなトゲがある。
以前、図鑑で見たことがある、確か名前は…
キラーマジンガとか言っただろうか。
子魔王「うぉわっ!?」
突然の事に驚いた子魔王の声に驚いたのだろうか、キラーマジンガも
僅かに後ずさる、その僅かな隙に子魔王は荷物を拾って背を向けて
全力で走り出す。
一瞬後に逃げ出す子魔王を追いかける事にしたのか、
キラーマジンガもまた、全力で逃げ出す子魔王を追いかけてくる。
子魔王「おい!親父!
クソ親父」
魔王『なんだ?クソガキ』
走りながら悪態をついてみると、意外な事に魔王からの
返答があった、どうやらずっと様子をみていたらしい。
子魔王「説明しやがれ!こいつは一体どういう事だ!
なんだって、あんなのがうろついているんだ!」
魔王『何もおかしい事は無いだろ
この辺りはあいつの担当エリアだ』
子魔王「いや、おかしーだろ
地上に追放させるとかだったら、最初は近くのスライムが
居たりするようなそこそこ安全な所だろうが」
魔王『お前の普通なんて知らんよ、
大体、ゲームみたいに敵国にわざわざ雑魚を配置する
バカは居ないだろ』
子魔王「それを差っ引いても
俺を襲って来るってのはどう言う事だ!」
魔王『そりゃ、そうやってランダムに人間を襲って殺すように
プログラムされているからな』
子魔王「止めろよ!今すぐ!
可愛い息子が殺されそうなんだぞ!?」
魔王『まー、死んだらその時はその時だろ』
背後のキラーマジンガは弓を引き絞り、走って逃げる
子魔王に向けて放つ、弓を放ったとは思えないようなそれは
まるで電磁加速砲(レールガン)の様に空間を裂き、
草原に自生していた木の幹を消し飛ばす。
魔王『HAHAHA…
攻撃力310は大したものだな』
子魔王「笑い事じゃねーだろ
あんなの当たったら一発で死んじまうぞ」
魔王『死にたくなかったら自力でなんとかしろ、
ではな、クソガキ、まかり間違って城の一つでも
落とせたらまた会おう。』
子魔王「マジで死んじまえ!クソ親父」
破棄されたスレを適当にsage進行してみたら
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