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    元スレあやせ「お兄さんに嫌われた…?」

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    101 :

    え…

    102 :

    oh…

    103 = 76 :

    ~事件から数日後



    京介「…………」

    大介「京介、入るぞ」

    京介「親、父…」

    大介「全く、仕方の無い奴だ…葬儀にも出ず部屋へ篭りっぱなしとは」

    京介「親父…」

    大介「何だ」

    京介「目が赤いぜ…ひでー面してら」

    大介「……」

    京介「………」

    104 = 76 :

    大介「あらかじめ言っておくが、今回の事件、お前に責任は無い」
    大介「犯人は未だ捕まらないが、恐らく脅迫メールの主と同一人物だろう」

    大介「俺はこの先犯人を捕まえるまで追いつづける、それが桐乃の、俺の自慢の娘が望んでいる事だろうからな」

    大介「お前も、お前の望まれた事をやってみろ」

    京介「……何だよ、それは」

    大介「まずは、母さんに顔を見せてみろ。そうすれば少しは分かるかもしれん」

    京介「………」

    105 = 76 :

    佳乃「京介…あんた、」

    京介「……」

    佳乃「あんた、…もう大丈夫なの?」

    京介「…!」

    京介「…うっ、…くぅ…ぅぅっ」

    佳乃「京介…、あんたが泣いた所見るなんて、何年ぶりかしらね…」

    京介「…ぅ、…悪ぃ…お袋」

    佳乃「…気にしないの、それより…お腹すいてんじゃないの?あれからろくに食事とりもしないで」

    京介「少し」

    佳乃「少し待ってなさい、軽いものならすぐ作ったげるから」

    京介「……サンキュー、お袋」

    京介(桐乃、お前はこれから…これからの俺に何を望んでるんだろうな…)

    106 = 76 :



    京介「あぁ…悪かったな、葬儀の時はろくに顔も見せないで…あぁ、うん」

    京介「また近い内に顔出すよ、またな、麻奈美」ピッ

    京介(一応黒猫や沙織、麻奈美には連絡つけといたが…あやせ)

    京介(こいつに連絡するのが一番怖いな…こいつは、俺をどう思ってるんだろうか)

    京介「……」

    京介「…!」プルル

    京介「あやせ、か?」

    あやせ「お兄さん、ですか?」

    京介「……あぁ、久しぶり」

    あやせ「………」

    京介「…」

    あやせ「あ、あの……あの…っ!」

    あやせ「………」

    あやせ「ごめんなさい、何から話して良いのか……」

    京介「…気にすんな、俺も同じだから」

    あやせ「……ごめんなさい」

    京介「あやせ?」

    あやせ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……ぅ、ぅぇっ、うぅ…」

    京介「お、お前は何も謝る事はしてないだろ」

    107 = 102 :

    重い

    108 = 76 :

    あやせ「だって…だってあの日…私桐乃に…桐乃から聞いてました…!お兄さんと桐乃が…」

    あやせ「私は止めた、危ないから辞めてって…でも桐乃、『京介にも同じ様な事言われたけど、絶対に止めない』って…凄く真剣で…怒ってて…」

    あやせ「こんな事なら、もっと強く止めておけばっ!!」

    京介「あやせ!それは違う!あやせは何も悪くないから!」

    京介「…俺も、俺も桐乃を止められた、守れたはずなんだ…それが、こんな…」

    あやせ「……お兄、さん…」

    あやせ「……あの、お兄さん」

    あやせ「今から、いつもの公園に来てもらっても良いですか?」

    京介「!!…危なくないか?」

    あやせ「大丈夫です、あそこ…すぐ裏が交番じゃないですか?…今は状況が状況ですし、犯人もおいそれと出てはこないはずです」

    あやせ「……駄目、ですか?」

    京介(…あやせ、不安なのかもな…)

    京介「…分かった、直ぐに出て待ってるから、気をつけて来いよ」

    あやせ「…!は、はい!」

    あやせ「それじゃ、また後で」プチッ

    109 = 76 :

    京介「……一応武装に家にあったバット持ってきちまった…」

    京介「パッと見、俺の方が不審者に見えるんじゃね?」

    京介「……おせーな、あやせの奴」

    京介「…!!」

    京介(まさか…おい嘘だろ?また前みたいに…あやせ!)

    京介「…!」プルル

    京介「あやせか!?」

    ???「………」

    京介「なぁ?あやせだよな?あやせなんだろ!?」

    ???「………」

    京介「お願いだから………あやせって言ってくれよ……頼むから……」













    ???「お願いだから………あやせって言ってくれよ……頼むから……」



    京介(え……受話器から…俺の、声?電話、近く、に)バチッ!!!

    110 = 76 :

    京介(え…力、はいんねー………スタン、ガン……?)

    京介(誰…………………………………………………………………)








    ???「………」

    111 = 76 :




    京介「……」

    あやせ「……ぅぅ、ん」

    京介「……うーん…」

    京介「え…ここ、あやせ…あやせか!?おい!!あやせっ!」

    あやせ「ううーん……ん?、お兄、さん?」

    京介「そうだよ…っ!無事だったのか!?」

    あやせ「私、なんで…と、言うか…今無事なんですか?」

    京介「…そういや、無事、じゃねーよな」

    あやせ「お兄さん、動けますか?」

    京介「……一応、手錠されちまってっけど、どうにか…あやせは?」

    あやせ「私もです…それより、ここは」

    京介「…さらわれ、たんだろうな」

    あやせ「…!!そうだ、私公園に行く途中に…スタンガンみたいなもので…それから…あれ、誰だったんだろう…」

    京介「俺もおんなじだ、気絶させられたからか顔まで見れなかった」

    あやせ「……私達、殺されなかったんですね…何で?」

    京介「そりゃ、犯人に直に聞かなきゃわかんねーよ」

    112 = 76 :

    京介「とにかく、こっから出なきゃな」

    あやせ「はい!当たり前です、…でも」

    あやせ「まずこの部屋から出てもここがどこなのか、どうやったら帰れるのかわからないと」

    京介「だよなぁ…とんでもない所に来させられてりゃマジにそれだけでアウトかもしれんが…やるだけやってみよーぜ」

    あやせ 「お兄さん…はい!!」

    京介「部屋の出口らしい扉は………」

    あやせ「お兄さん、どうしたんですか?」

    京介「見ろよ、あやせ…扉、別に鍵がかかってるとか無かったぜ」

    あやせ「えっ?でも…どうして…?」

    京介「何考えてんだろうな…」

    京介「手錠のせいで不自由でも十分歩き回れる…これを逃す手はないぜ」

    あやせ「はいっ!」

    京介「じゃあ、いくぞ」

    113 = 76 :

    京介「どっかの別荘みたいだな…」

    あやせ「気をつけて下さいよ、お兄さん…もし犯人が見てたら」

    京介「今度こそ殺されるかもな…」

    あやせ「そうしたら真っ先に桐乃の下へ行きますよ、私」

    京介「…ちょっとは調子出てきたじゃねーか」

    あやせ「は、はい!」

    京介「だな。こうなりゃ犯人が出てきたら桐乃の弔い合戦だ!桐乃の変わりに犯人をボコボコにしてやらー」

    京介(………、こうやってでもテンション保たないと、正直心が折れそうだ…)

    京介(あやせも…同じなんだろうな)

    京介(……くそっ!!)

    114 = 76 :

    京介「さっきの部屋所か玄関まで」

    あやせ「鍵、かかってませんでしたね」

    京介「……」

    あやせ「でも…ここ、どこですか?」

    京介「どー考えても…すんなり帰れそうにねーな」

    あやせ「はい…」

    京介(…何だよこれは!見渡せば背に崖と海、前は森、森!森!!)

    京介(これがあったから鍵もいらねーってか!!ふざけやがって!)

    あやせ「お、お兄さん…」

    京介「戻ろう、あやせ…これじゃ帰るに帰れねー」

    115 = 76 :

    京介「………」

    あやせ「………」

    あやせ「お兄さん、携帯は…ありませんよね…」

    京介「あぁ…そりゃいくら何でも、通信機器残す程甘かねーわな」

    あやせ「…はぁ」

    京介「…ここ、ライフラインは生きてんのか?」

    あやせ「さぁ…?」

    京介「……!テレビ!電気が通ってんなら…」

    テレビ「」

    京介「…駄目かぁ」

    あやせ「ガスや水道も駄目にみたいです、お兄さん」

    京介「やっぱ駄目かぁ…」

    京介「なぁ、いっそ一か八かにかけるか?」

    あやせ「え?」

    京介「明日の日の出と一緒に、ここをでてひたすら森を突っ切る」

    116 = 76 :

    あやせ「で、でも…歩いて助かる様な場所があるなら、こんな自由な状態にしないんじゃないですか?」

    京介「だから一か八かなんだろ?どうせこのままだと俺達、確実に死ぬぞ」

    あやせ「………そう、ですね」

    京介「よし、今日はたっぷり寝ておいて、明日ここを発とう」

    あやせ「………」

    117 = 76 :




    京介「一応、この建物の中を隈なく見てみたけど、誰もいないし」

    あやせ「こんな真夜中にいくらなんでもこないです、よね?」

    京介「そうである事を祈ろうぜ…寝るか」

    あやせ「じゃあ、部屋は最初にいた部屋で…あそこベッドもあったみたいだし」

    京介「俺は」

    あやせ「勿論お兄さんも一緒ですよ?」

    京介「」

    118 = 76 :

    あやせ「当たり前じゃないですか」

    京介「え…でもいくらなんでも」

    あやせは「こんな非常時になんでも、無いです。いくらお兄さんが変態でも…こんな非常時に何もしないでしょ?」

    京介「………」

    あやせ「…!?、ま、まさか…こんな非常時まで、い、嫌らしい事考えて…」

    京介「待て!!絶対無い、それだけは無いから!!」

    あやせ「…本当ですか?お兄さんは救い様の無いド変態のセクハラ……野郎……ですから」

    京介「あやせ?泣いてんのか…?」

    119 = 76 :

    あやせ「……こんなやり取り…凄く久しぶりですね」

    京介「…だったかな」

    あやせ「はい…このやり取りのせいでお兄さんを怒らせてしまて事があったけど…」

    京介「うっ…」

    あやせ「私にとっては、………」

    あやせ「お兄さん、私、お兄さんの事が大嫌いだったって覚えてますか?」

    京介「覚えてるよ…今は」

    あやせ「今も大嫌いです」

    京介「おいっ!」

    あやせ「いつもセクハラはしてくるし、その癖いつも子供扱いされるし、私から桐乃は盗るし」

    あやせ「変態だし、スケベだし……それなのに優しくて…いつも相談にのってくれて」

    あやせ「私の事を守ってくれて、………だから」

    あやせ「私、お兄さんの事大好きなんです」

    あやせ「大嫌いですけどね」


    あやせ「大嫌いだけど、大好きですよ」

    120 = 76 :

    京介(えっ…?今の台詞……)

    あやせ「まぁ勿論いかがわしい事をしたらぶち殺しますが、我慢してもらって一緒に寝ますよ」

    京介「………」

    あやせ「…?お兄、さん?」

    京介「あ!…あ、悪ぃ」

    京介(……)

    京介「そうだよな、少し離れた隙にあやせに何かあったら、もう俺駄目だわ」

    あやせ「お兄さん…」

    京介「桐乃の時も…」

    あやせ「あれはお兄さんのせいじゃありません、クレープ買いに行った隙をつかれて襲われるなんて…誰も考えませんよ」

    京介(!!?)

    121 = 76 :

    ぐわっ!ミスった!!
    書いて修正途中なのに書き込んでもーた!!最悪………無理かもしれんが>>120は忘れて…修正版の流れはそう変わらないから…
    えろうすんませんm(_ _)m

    122 = 76 :

    京介(えっ…?今の台詞……)

    あやせ「まぁ勿論いかがわしい事をしたらぶち殺しますが、我慢してもらって一緒に寝ますよ」

    京介「………」

    あやせ「…?お兄、さん?」

    京介「あ!…あ、悪ぃ」

    京介(……)

    京介「そうだよな、少し離れた隙にあやせに何かあったら、もう俺駄目だわ」

    あやせ「お兄さん…」

    京介「桐乃の時も…」

    あやせ「あれはお兄さんのせいじゃありません、桐乃が命令だって言ったからついて行けなかったんですよね?だったら…」

    京介(!!?)

    123 :

    >>71
    解禁これ多いな

    124 = 76 :



    あやせ「お休みなさい」

    京介「あ、あぁ…お休み」

    京介(………)

    京介(……俺、あやせにあの時の事細部まで言ったっけか?)

    京介(言って、ねーよな…)


    あやせ『あれはお兄さんのせいじゃありません、桐乃が命令だって言ったからついて行けなかったんですよね?だったら…』



    京介(……)

    京介(……つーか、ダレカにあの話した覚えは俺には無い)

    京介(もしかしてあやせ…あの場にいたのか?)

    京介(でも……あの場にいたんなら桐乃が襲われた時、あやせもいた事になるし)

    京介(そういえば、桐乃が危険承知で囮になってる時にこいつがいないのって…)

    京介(そうだよ!考えてみりゃいるよりいない方が違和感あるって!)

    京介(……でも、こいつは……聞いた話じゃ桐乃の死を知ったのも電話の連絡だったっとかで…)

    京介(…もしかして、嘘ついてたのか?嘘をつく理由…一番しっくり来るのは)



    京介(こいつが、桐乃を殺した犯人)

    125 = 76 :

    京介(何考えてんだよ!それじゃあこいつは親友を殺して、何食わぬ顔でその親友の兄を、こんな所に軟禁して一緒に暮らしてるって事になる)

    京介(んなキチガイじみた事する理由なんて…)

    京介(…今なら、ある…)

    京介(でも…今それを言っても……)

    京介(……今、このままの状況ってヤバいよな…)

    京介(とりあえず、トイレにでもいく振りして…)

    京介(……寝静まるまで、待とう)




    126 = 76 :

    京介(……)

    京介「あやせ、起きてるか?」

    あやせ「………」スゥスゥ

    京介(寝てる、よな?)

    京介(とりあえず、外に出て……)

    京介(少し明かりが出て来たら…)

    京介(森を抜けてみるか、もしかしたら歩いて助かる距離じゃないかもってのもこいつの狂言かもしれんし)

    127 = 76 :

    京介「うーん、……明かりが出るまでそんなに長くかからないかもな」

    京介(若干明かりが漏れてる感じだし)

    京介(しかし……あやせが本当に?)

    京介(……案外、前に貰ったストラップに盗聴器でも仕掛けられてたりしてな…ははは)

    京介(……桐乃をあいつが殺したなんて、考えたくないが、今あいつといるのはどうも危険な気がしてならねー)

    京介(……かなり明かりが、これなら大丈夫じゃねーか?)

    京介「森まで、行ってみるか?」














    あやせ「そうですね、お兄さん」

    128 = 76 :

    京介「うわぁっ!!?」

    あやせ「?」

    京介「あ、ああああああやせ!?いつからいたんだ!」

    あやせ「いつからって…最初からいましたよ?」

    京介「え…」

    あやせ「だって、お兄さんが起きてるか?って聞いたんじゃないですか。全くお兄さんたら…」

    京介「………」

    京介(だったら、何で返事を返さねーんだよ)

    あやせ「まだ少し暗い感じがしますけど、調度二人して出てるんですからもう行きますか?」

    京介(…怖い、昨日までのあやせの印象が、カケラもねー…ただ、怖い……)

    あやせ「ねぇ?お兄さん」

    京介(…下手な事は、言えない)

    京介「…だな」

    129 = 76 :

    あやせ「…………」

    京介「…………」

    あやせ「…………」

    京介「…………」

    あやせ「お兄さん?」

    京介「!?」ビクッ

    あやせ「どうしたんですか?お兄さん……」

    京介「別に、何でもないって……って、アレ?」

    あやせ「あ…森、もう終わりそうですね」

    京介「最初は真っすぐと思って横道にも入らないでいたら…」

    京介(…やっぱりあやせの狂言だったのか?)

    あやせ「…!お兄さん!ここ、海ですよ!?」

    京介「はぁ!?」

    130 = 76 :

    京介「海、だな…」

    あやせ「見て下さい、停船場もあります…」

    京介「まさか…ここ島だとか言うんじゃねーだろうな」

    あやせ「そ、そんな…」

    あやせ「…何なんですか、一体…もう、帰りたい」

    京介「あやせ…」

    京介(演技、にゃ見えない……でも、あやせが信用できねー…)

    京介(どうなっちまってんだよ!何もかも!)

    京介(脅迫めいた事されたかと思えば!桐乃が死んで、拉致られて…わけのわからん無人島みたいな場所で……)

    あやせ「……お兄さん、帰りましょう…ここにいても、もう」

    京介「…あぁ」

    131 = 76 :


    あやせ「……ふぅ」

    京介「…?もしかしてあやせ、お前殆ど寝れて無いんじゃないか?」

    あやせ「へ?ぇ、あ…そんな事は」

    京介「隠すなよ、実は俺もなんだ…もう一歩もあるけそ~にねーし、居間のソファーで良いから少し寝ておこうぜ」

    あやせ「…そう、ですね」

    京介「お休み、あやせ」

    あやせ「お休みなさい」

    132 = 76 :


    京介「……」

    京介(…この建物調べりゃ何か分かるかもな、あやせへの疑いもはっきりさせたい!)

    京介(……)

    京介「本当に寝ちまってたみたいだな、今度は」

    京介「誰もついて来てないみたいだし…調べてみるか」

    京介「……」

    133 = 76 :

    京介「この部屋は…確か子供部屋」

    京介「子供がいたんだろうけど…ここいつから使ってないんだよ…最初見回った時も思ったけど、明らかに廃墟だよってぐらい汚れ…」

    京介「あれ?そういや最初にいた部屋や居間は割と片付いてたよな?」

    京介「他の部屋は……やっぱり、きたねー…」

    京介「……最初の部屋!最初の部屋をもっと隈なく探してみよう!」

    134 = 76 :

    京介「あんだけ汚れてりゃ、何かしら手をつけりゃ後が残るはず、それもないなら…整頓された部屋は?」

    京介「………!?」

    京介「これ、あやせの携帯じゃねーか!!」

    京介「こんな所に…電源は…まだ生きてる」

    京介「アンテナも立ってるし、これなら!」








    京介「……」

    あやせ「………」

    京介「あ、あや…せ」

    あやせ「………」

    あやせ「お兄~さん、駄目ですよおイタは」バチッ

    135 = 76 :


    京介「……ぅ」

    あやせ「あ、気がつきましたか?お兄さん」

    京介「……今度は、手錠だけじゃねーんだな」

    あやせ「はい、こうしないと、お兄さん暴れちゃうと思ったから」

    京介「あぁ!!今にもお前をぶん殴りたくって仕方ねーよっ!全部、お前がやった事だったんだな、あやせ!?」

    あやせ「はい、そうですよ」

    京介(何で…そんな日常みたいな返事で返せるんだよっ!)

    あやせ「あぁ、安心して下さい」

    あやせ「後、何日もしない内に…お父さんの部下の方が迎えに来てくれますから」

    京介「!?」

    京介「親父さん…この事知ってんのか!?娘が親友殺した事も…今の現状も」

    あやせ「あ、いいえ。それは知りません…だって私、桐乃を殺してなんかいませんから」

    京介「はぁっ!?」

    136 = 76 :

    あやせ「少し語弊がありしたね。確かに私はお兄さんを監禁しました、脅迫メールを送ったり、お兄さんの動向を監視したり」

    あやせ「でも、桐乃を殺してなんかいないんです」

    京介「ふざけんな!!じゃあ誰が桐乃を」

    あやせ「本当に、通り魔的な、無差別殺人だったんですよ」

    あやせ「現にもう捕まってますよ、桐乃を殺した犯人」スッ

    京介「携帯…ニュースか」


    女子中学生通り魔事件
    〇月×日に、〇〇噴水近くで女子中学生が刺殺される事件が起こった。
    この容疑者として▲日、都内に住む無職の〇〇容疑者(30)が、同都内にて本部捜査員に確保され………

    137 = 76 :

    あやせ「……信じて頂けましたか?」

    京介「……」

    あやせ「因みにお兄さんのご家族には事態が落ち着くまで安全な場所で保護している、と伝えてます。」

    あやせ「ライフラインも実は故意に止めていただけで…今は普通に使えますから安心して迎えを待ってて下さいね?」

    あやせ「お兄さんを保護しているって辺りですね、だから」

    京介「……お前、本当にふざけんなよ」

    あやせ「お兄さん…?」

    京介「脅迫や監視?それが原因で俺や桐乃、親父やお袋がどれだけ………それに何なんだよこれは、桐乃を殺したのがお前じゃねーなら、こんな事やる意味」

    あやせ「ありますよ」

    あやせ「ほら、危機的状況は恋を芽生えさせるって言うじゃないですか」

    あやせ「調度こんな状況だし、お兄さんには私と危機的状況の共有による恋仲進展でベタ惚れになって貰ってからネタばらし、って思ったんです」

    京介「………」

    あやせ「でも、迎えより先にお兄さんにはばれちゃうし、仕方なくお兄さんは拘束させて頂きました」

    138 = 76 :

    京介「………お前、最低だわ…このキチガイ」

    あやせ「………」

    京介「やっぱりお前とは付き合いきれねー…迎えが来るなら調度良い、家に帰ったら今度こそ縁を切らせて」

    あやせ「ふふ……あは」

    あやせ「やっぱり、お兄さんは私が大嫌いなんですね」

    あやせ「あの時と同じ様に…いやあの時から」

    京介「?」

    あやせ「お兄さんに嫌われてから…私気づいちゃったんです」

    あやせ「私はお兄さんの事が大嫌い、でも同時にお兄さんの事が大好きだって」

    あやせ「お兄さんに嫌われて気づいた時は悲しくて悲しくて……でも、思ったんです」

    あやせ「私はお兄さんの事が大嫌いで大好き、ならお兄さんも…私の事を大嫌いで大好きなんだって」

    京介「…何の理屈だよ」

    京介(こいつ…本当に頭が…)

    139 = 76 :

    あやせ「だから私、お兄さんが私を大好きだって自覚してもらいたくて色々やったんですよ?」

    あやせ「桐乃の事に関しては…………」

    京介「?…」

    あやせ「でも、全部バレちゃいましたね」

    京介(話してる内容はキチガイそのものなのに……何でそんないつもと変わらない笑顔を向けられるんだ?)

    京介「あやせ…残念だよ」

    あやせ「残念がる必要なんかありませんよ」

    あやせ「だって、帰ってからもお兄さんには、私が大好きだって自覚して貰う様にするつもりですから」

    京介「……そのつもりは無い、お前とは、もう関わるつもりは無い」

    あやせ「いいえ、お兄さんは私とずっと一緒にいなきゃいけないんです」

    あやせ「誰が邪魔しようと、それは絶対なんですよ」

    京介「俺が望まなくても、か?」

    あやせ「お兄さんは望んでくれます、今は望まなくても、お兄さんは私の事を、大嫌いで大好きなんですから」

    あやせ「私も、お兄さんの事が大嫌いで、大好きなんですから」

    140 = 76 :


    事の顛末を少し話したいと思う。
    それから俺は、争う気も暴れる気も無くし、あやせもそれを感じとったのか拘束を解かれ、数日間をあやせとの奇妙た共同生活で過ごす事となった。
    ただし、その際あやせとは一切口を聞く事はなかった。
    最初から何日か過ごすつもりで、食料等は持参していた様で、生活には何の不都合もなかった。
    新垣議院が当初、避暑地にと保有していた元別荘は隠れ稔には持ってこいだったようで、
    世間的には俺は「殺人犯から身を匿われていた一般市民」と位置づけられた。
    内容はかなり違うのだが
    今回のケースは、娘の暴走とはいえ新垣議院のスキャンダルにも関わる事象な為、これに訴えを出すには相手はかなり大きく、スキャンダル隠蔽の為何をしてくるかわからない事を懸念した俺(や周りの意見)もあってあやせの行った事が明るみに出る事は無かった。
    しかし、これを機会に俺や俺の周りの人間はあやせとの関わりを極力絶っている。
    当のあやせが諦める事は無いのだが…

    141 = 76 :

    余談ではあるが、いつの間にか仕掛けられていた監視カメラを部屋で数点、やはりストラップに仕込まれていた盗聴器を後に回収した際は溜息とともに力が抜けたものだ。
    それから俺は事件のショックからも回復し、一年遅れで麻奈美の通う大学への合格を果たした。
    それを気に大学近くのマンション(セキュリティがそれなりに高い所)への転居も果たした。

    …………しかし

    142 = 76 :



    京介「………」

    ???「お……さん」

    ???「…兄さ…」

    京介「…うぅ…うわっ!!」

    京介「……夢、だよな?」

    京介(未だにあいつが夢に出てくるんだよな…今も、どっかで見られてる気が)

    京介「一人暮らし、早まったかな?」

    京介(……あれから大分たってるのに、まだあの悪夢から逃げられねー…あの時聞いた言葉もまだ、耳の奥に残ってる)

    143 = 76 :

    あやせ「桐乃の事に関しては…………」

    あやせ「桐乃の事に関しては、手間が省けました。一番邪魔だったあの娘があんな形で亡くなってくれて…」





    あやせ「お兄さんは大嫌いですけど、大好きなんです。
    だからお兄さんも、私が大嫌いですけど大好きなんです」


    end

    144 = 76 :

    ~epilogue~

    麻奈美「京ちゃ~ん」

    京介「おぉ、麻奈美…先輩」

    麻奈美「言いなれないなら別に麻奈美で良いんじゃないかな?」

    京介「そうだよな、何かお前が先輩って新鮮だからさ」

    麻奈美「えへへ」

    麻奈美「あぁ、それより桐乃ちゃんの一周忌が近いよね?」

    京介「あぁ、麻奈美も来てくれんのか?」

    麻奈美「うん、黒猫さんや赤城君も来てくれるって」

    京介「黒猫や赤城は聞いた、赤城の奴は妹も連れてくるらしい…瀬奈の奴、桐乃とは少しの面識しか無かったのにな」

    麻奈美「嬉しいね~、お兄ちゃん」

    京介「うっせ!」

    麻奈美「今日はどうする?ご飯作りに行こうか?」

    京介「んー、良いや。最近自分でも何とか自炊できてっし、バイトが遅番であるしな」

    麻奈美「そっかぁ、じゃあ頑張ってね。京ちゃん」

    京介「おぅ」

    145 = 76 :

    ………

    京介「ん?…気のせい、だよな?」


    京介「あれ?引っ越し業者」

    京介「誰か引っ越してきたのか」

    管理人「あぁ、高坂君」

    京介「ちわっす、管理人さん。誰か越してきたんですか?」

    管理人「おぅおぅ、調度君の隣の部屋、空いてただろ?あそこにねぇ」

    京介「へぇ…それなら挨拶来られるかもしれないんですね」

    ………さん

    京介(……!)ビクッ

    京介(……何か、気分が…)

    管理人「しっかし偉いもんだねぇ、女子高生らしいんだが自立心を育てる為に親元を離れての一人暮らしだと」

    京介「…えっ?」

    ……兄……

    京介「それって…どんな」

    管理人「あぁ、業者の人が呼んでるわ、じゃあ高坂君。お隣りが来られたらよろしくね」

    京介「………まさかな」

    146 = 76 :




















         お兄さん




    end

    147 = 76 :

    今日でこのSSは終わります。
    しかし何と言うか………自分で書いてて(苦笑)だわこりゃ
    因みに続かないんで悪しからず。

    でわ、お付き合い頂きありがとうございました。
    機会があればまた。

    148 :

    良かった
    次もがんばって

    149 :

    おつ
    おもしろかった


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