私的良スレ書庫
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元スレ妖精「男さん! 今日の天気予報です!」
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男の自室。午後八時。
オキロー。オキロ―。ネテタラシヌゾー。オキロ―。オキ(ry
男「いやー。よく寝た」(むくり)
男「あれ? 胸に違和感が」
妖精「スー、スー……」
男「おおおおおおおお……!?」(小声)
男「なんだこれなんだこれ」(観察)
妖精「……」
男「羽もある。体長目測十センチ。ちっちゃい靴も履いてる。かわいい」
妖精「!」(耳がピクピク)
男「いやいやいやいやいや俺(の性癖)は正常だ……」(ブツブツ)
妖精「……んん」(パチクリ)
男「!?」
妖精「んー……ふー」(背伸び)
妖精 蒲団の上をてくてく歩くと、男の顔が以外に近い。
男「おおおおはようございます!」
妖精「きゃぁっ!」(尻もち)
男「大丈夫ですか?」(さっと手を伸ばす)
妖精「いえいえお構いなく……コホンッ!」(姿勢を正す)
男(いったい何が起こるんだ……。俺なんかやっちまったっけ?)
妖精 蒲団の上をてくてく歩くと、男の顔が以外に近い。
男「おおおおはようございます!」
妖精「きゃぁっ!」(尻もち)
男「大丈夫ですか?」(さっと手を伸ばす)
妖精「いえいえお構いなく……コホンッ!」(姿勢を正す)
男(いったい何が起こるんだ……。俺なんかやっちまったっけ?)
妖精 一番最初に寝てた付近に正座。
妖精「こんばんわ。今日の天気予報です」
男「妖精さん……?」
妖精「いかにも。私が妖精です」
男「あ、やっぱりそうなんだ。って実在したんだ!」
妖精「失礼ですね。非実在青年のくせに」
男「あ、ごめんなさい……」
男「じゃなくてさ。何をしに来られたのですか?」
妖精「少し黙ってもらえません? 今から話しますから」(ジトー)
男「申し訳ありませんでした」
妖精「こんばんわ。今日の天気予報です」
男「妖精さん……?」
妖精「いかにも。私が妖精です」
男「あ、やっぱりそうなんだ。って実在したんだ!」
妖精「失礼ですね。非実在青年のくせに」
男「あ、ごめんなさい……」
男「じゃなくてさ。何をしに来られたのですか?」
妖精「少し黙ってもらえません? 今から話しますから」(ジトー)
男「申し訳ありませんでした」
妖精「さて、気を取り直しまして、今日の天気予報です」
男「……」(時計ちらっ)
妖精「天気予報です」
男「え、いや、その……夜なのに今日の天気なの?」
妖精「ふふふっ。あなたのお仕事は夜勤の警備員ですよね」
男「ええ……そうですけど……なんでそれを」
妖精「妖精に分からないものはありません!」(人差し指ビシッ!)
男「そ、そうですか……」
妖精「では今晩から明日にかけての天気は……」
男「はい」
妖精「天気は……」
男「天気は……?」
男「……」(時計ちらっ)
妖精「天気予報です」
男「え、いや、その……夜なのに今日の天気なの?」
妖精「ふふふっ。あなたのお仕事は夜勤の警備員ですよね」
男「ええ……そうですけど……なんでそれを」
妖精「妖精に分からないものはありません!」(人差し指ビシッ!)
男「そ、そうですか……」
妖精「では今晩から明日にかけての天気は……」
男「はい」
妖精「天気は……」
男「天気は……?」
妖精「あ、あれ? おかしいな」(ポケットごそごそわたわたパタパタ)
男「え? どうしたんですか?」
妖精「――――たいです」(ジワァ――)
男「?」
妖精「どどっどど、ド忘れしたみたいです……ぅうぅ……」(メソメソ)
男「あの、ちょ、待って。な、泣かないで」
妖精「今日が……私の……大、舞台なのに……えぅぅ……」
男「あの、メモとかは……?」
妖精「そ、それもっ、忘れて来てて……ひっ、うぇええん!」
男「ま、まあまあ落ち着いて」
男(間に合うかなー。仕事)
数十分後。男の部屋のテーブルの上。
男「落ち着きました……?」
妖精「お見苦しいものをお見せしました……」
男「ティッシュもう一枚いる?」
妖精「ではお言葉に甘えて」(ズビーッ)
男「あのさ、事情を聞きたいんだけど」
妖精「事情……?」
男「そう。どうして妖精さんがここにいるのかって話」
妖精「通過儀礼です」
男「いにしえーしょん?」
妖精「はい。この世界で言うなら、成人式」
男(お酒飲めるのか、この娘)
男「わかった。先を続けて」
妖精「ええとですね……私達妖精は『一つだけ願い事を叶える力』を得ていれば一人前とみなされるんです」
男「へぇ……」
妖精「そしてその力を得るために、
私達は人間界……つまりあなた方の世界で善行を積むとその力が手に入るのです。」
男「それが妖精天気予報なの?」
男(それでいいのか)
妖精「ええ。私はあんまり願い事とかに興味が無いので、簡単な物を」
男(おお。ぶっちゃけたな)
妖精「街頭のテレビで天気予報を見て、これだ! って思ったんです」(エッヘン)
男「で、その結果を忘れた、と」
妖精「はい……」(シュン)
男「あー。あんまり気にしないでください。天気とか、たぶん晴れですし」
妖精「でも……それだと私……」
男(あ)
男「一人前に見なされない……とか?」
妖精「……」(コクン)
妖精「まいりました……」
男「そっか……」
男(どうすりゃいいのかな、ばあちゃん)
妖精「……」
男「……」
妖精「あ、あの……」
男「?」
妖精「何か私にできることはありませんか?」
男「できること?」
妖精「できればあなたにとって良い事を!」
男「切り替えはやいなー」(ボソッ)
妖精「なるべく手軽で……そのー」
男「…………」(ジトー)
妖精「あうあう」
男(この娘、昔の俺に似てるぞ)
妖精「……」
男「……」
男(会話が無いな)
男(涙目になってきてるし)時計チラッ
男(そろそろ飯喰いたいな)
ぐぎゅるる~
妖精「あっ」
男「……お腹減ってるんだね」
妖精「いや、そのっ!」
くきゅるる~~
妖精「……」
男「くっ……ふふふ……!」(腹を抱えて爆笑)
妖精「お、なか減ってます」(赤面+ちょい涙目)
男「わかった。お箸は使える?」
妖精 首を振る
妖精「あ! 手伝いましょうか?」
男「はいはい。そこで待っててねー」
数十分後。
男「はい。どうぞ」
妖精「こ、これは?」
男「鮭お握り」
妖精「お酒入ってるんですか!?」
男「違う違う」(中身を割る)
妖精「オレンジ色だぁ……」(キラキラ)
男(目の付けどころが違うねぇ)
妖精「こ、このオレンジっぽいものは何なんですか?」(ワクワク)
男「鮭っていう『魚』。って妖精界にもいるの?」
妖精「キシャー!!」(手足バタバタ!)
男「うわっ、いきなり何だァ!?」
妖精「りゅ、両親の仇ーッ!!」(ブンブン)
男(噛んだ!?)
お握りポロリ
男「あッ!」
ぐちゃァ……
午後九時ちょうど。
妖精「すいません。取り乱してしまいました……」(ぺこり)
男「何か、あー……事情が、あるんだろう?」
妖精「はい。実は……」
過去。妖精界。
チビ妖精「パパ! ママ! どこ!」
長老「おお×××よ……」
チビ妖精「ちょうろうさん!」(タッタッタ)
長老「すまん……すまんのォ……」
チビ妖精「どうしたの!? ねぇおしえて!」
長老「お前の両親はなァ……魚に、魚に喰われてしまったんじゃ」
チビ妖精「な、なんで! パパもママもわるいことしてないのに!」
長老「魚軍が……ちょうど偵察に来とってなァ……ワシらが行った時には……既に……ッ!」
チビ妖精「うそ! そんなの……うそ!」
長老「すまんのォ……すまんのォ……!」
チビ妖精「いや……! そんなのイヤ!」
チビ妖精「うぇぇぇえええええん! うぇええええええん!」
男「つまり」(グスッ)
男「き、君の両親は……敵対する魚軍の偵察兵に襲撃を受け、」
男「君だけが、い、生き残ったと」(鼻水チーン!)
妖精「はい……」
男「そっか……そっか……!」
妖精「いくら私達が願い事を叶えられると云っても、限度があります、妖精によっても違います」
妖精「この儀式でどれほど良い事をしても、例え誰かの命を救ったとしても」
妖精「私の両親は帰ってきません」
男「……」
妖精「ごめんなさい。食べ物。せっかく作ってくれたのに……」
男「いや、いいよ。鮭……具だって他のがあるから、それを食べよう」
妖精「男さん……」
男「どうぞ。梅だけど」
妖精「ウメ?」(パクッ)
男「木の実だよ」
妖精「むしゃむしゃむしゃ」
男「酸っぱいけどね」
妖精「……」(ピタリ)
男「あー、もしかして酸っぱいの苦手?」
妖精「キュー!」(バタン!)
男「わー! 見た目通りだよ可愛いなぁ! じゃなくて! 俺の馬鹿!」
午後九時三十分。
妖精「男さん……さっきの飲み物をください」
男「ココアのこと? いっぱい作ったからまだあるよ」
男「重ね重ね本当にごめん」
妖精「いえ、こちらこそ」
男「……」
妖精「……」(ココアごくごく)
妖精「ぷハァ―! おいしいです!」
男「そっか。気に入ってくれたようでなにより」
妖精「なんだか私ばっかり良くしてもらって……」
男「そんなことないって。大丈夫大丈夫」
妖精「そうでしょうか……?」
男「うんうん」
妖精「……」(ポケットゴソゴソ)
男「何それ?」
妖精「『善行玉(ぜんこうだま)』です」
男(空の砂時計にしか見えないな)
男「もしかして、その容器に善行が貯まらないと帰れないとか?」
妖精「ザッツライトです」(人差し指ピシッ!)
男「全然貯まって無いね」
妖精「ええ……。これが一番小さいサイズなのに……」
男(セコイナー。まあそれも当然っちゃ、当然なんだけどさ)
男「それを貯めるのに期限とかあるの?」
妖精「3日、です」
男「そっか……。それなら焦らなくても良いのかな」
妖精「で、でも……」
男「でも?」
妖精「一番小さいサイズの善行玉なのに帰る順番が最後になると……」
男(その先の生活に障害が……か)
妖精「『チョイ悪妖精』の汚名を被ることになります」
男「ブッ!ww」
男(ファンタジー! めっちゃファンタジー!)
妖精「わ、笑わないでください! 深刻なことなんです!」
男「……そ、ふふ、そんなに?」
妖精「はい。不良妖精と見なされて行く先は――」
男(ゴクリ……!)
妖精「性奴隷です」
男「」(ドッキーン!!)
男(えええええ!! 嘘ウソ嘘ウソ!!)
男(ヤバいぞ。これはヤバいぞ! 洒落にならねェ……それだけは阻止しねーと)キリッ!
男(でも……)ニヤァ……
男(いや考え直せ!)キリリッ!
妖精「男さん? どうされました?」
男「いや君が性奴隷になったとこなんて想像してないよそれだけは絶対に保障する!」
妖精「しましたね」
男「申し訳ない! 本当にごめんなさい!」
妖精「あれは……想像するだに恐ろしいものです……」
男「へ、へぇ……」(wktk)
妖精「見知らぬ他人に頬っぺたをツンツンされるなんて! 好きな人ならまだしも、ああ恐ろしい!」
男「俺の純情を返せー!!」(ガバッ!)
妖精「キャー!?」
男(ファンシーだな……妖精界)
男(でも、そんな社会にも暗黒面があって)
男(きちんとそれを悲しんでる人……いや、妖精がいて)
男(楽しい事だけじゃ……ないよな。どこの世界でも)
妖精「お、落ち着きましたか? 男さん」
男「ん。落ち着いた」
妖精「ところで」
男「ん?」
妖精「お仕事の方は?」時計ちらりずむ
男「うわぁッ!行ってくる!!」
午後九時四十五分。
午後十時二十九分。街角。
男「すいません! 遅れました!」
先輩「いや、遅れて無いよ」
男「本当ですか!? 危なかった……」
先輩「じゃあ引き継ぎねー。そんじゃ」(バイバイ)
男「はい。お疲れさまでした……」
先輩「ああ、そーだ」クルリ
男「はい?」
先輩「私今妖精さんが見えるよ」
男「くぁwsえlふじえりjdき」
先輩「疲れてんのかなー。なんてね」(テクテク)
男「ふ、ふふ、は……ハァ……」
妖精「あの人……すごい方ですね」
男「ナチュラルになんでついて来てんだよ!」
男「しかもそんな寒そうな格好でさ。家にいたときと変わんないじゃん」
妖精「私の事は良いんです。それよりもあの女の人は何者なんですか!?」
男「どうでも良くないって。……え?先輩のこと?」
男「説明しよう!」
男「曰く、合気道、剣道、柔道を嗜み」
男「一方では茶道、華道、盆栽、俳句にも通じ」
男「実態は俺が雇われてる警備会社の令嬢だよ」
妖精「わぁ……!」(キラキラ)
男「ついたあだ名は『妖精殺し(スイートドリームブレイカ―)』」
妖精「よ、『妖精殺し』!?」
妖精「あんなに綺麗なのに……」
男「そそ。誰も可愛い彼女に近づけない。だからだよ……ハァ……」
妖精「あ、男さん。あの方に惚れてますね?」(ニヤリ)
男「ぬわーっ!」
妖精「図星ですか」
男「そ……」
妖精「図星ですね?」
男「そそそそそのようなこともないこともない」
妖精「ふふふ。真っ赤ですよ?」
男「なッ!」
妖精「えへへ」(パタパタ)
男「……一度だけ」
妖精「え?」
男「一度だけ、あの人が書いてる日記、見たことあるんだよ……」
妖精「日記、ですか。よく見れましたね」
男「俺もそう思う。同僚と一緒に見たんだけどさ――」
男「可愛かった。めちゃくちゃ可愛かった……!」
妖精「……」
男「文武両道の権化とでも言うべきあの先輩がなァ!」
男「女子特有のちょい丸文字で!」
男「『けふもなにごともなし。おとこくんすこしおくれてきたり』と書いていたんだッ!」
男「俺はその時から真人間になった!」
男「仕事で遅刻はしない。仕事中に愚痴をこぼさない。顔の整形は無理だが雰囲気イケメンになろうとオシャレに気を使ってみたり!」
男「物を渡す時は両手で渡し! 話す時はひたすら爽やかな笑顔に見えるように!」
妖精「うわぁ……」
男「と、まぁ。こんな感じだよ」
妖精「そ、そうですか」
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