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    元スレ新入り「悪の組織に入ったけど想像してたのとなんか違う」ボス「アットホームな職場です!」

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    1 :

    ボス「ようこそ、悪の組織へ! えー、君が今日から新しく入る人?」

    新入り「はいっ! よろしくお願いします!」

    ボス「前科はあるのかな?」

    新入り「実は……ないんです」

    ボス「いいねえ! 我々は君のような人材を求めていたんだよ!」

    新入り「ホントですか!?」

    ボス「我が組織はアットホームなのがウリでねえ、今日から君も我々のファミリーだ!」

    新入り(ファミリー……! いい響きだ……!)

    2 = 1 :

    ボス「さっそく我が組織の≪四天王≫を紹介しよう」

    売人「ヒヒヒ……よろしく」

    包丁「よろしくお願いします」

    業者「ちわっす!」

    「ガッハッハ、俺様は厳しいぜぇ?」

    新入り「皆さん、よろしくお願いします!」

    ボス「しばらくはこの四人に付き従ってもらって、仕事を覚えてもらうよ」

    新入り「はいっ!」

    新入り(うひゃ~、どの人も凶悪そうだ! こりゃ期待できる!)

    3 = 1 :

    売人「今日はボクについてきてもらおうか」

    新入り「はいっ!」

    新入り「ところで、売人さんはいったいなにを売るんですか?」

    売人「ボクはヤクの売人だ……決まってるだろう?」ニタァ…

    新入り「ヤ、ヤク……!」

    売人「そう、お薬さ。君にはサポートをしてもらうよ」

    新入り(まだ研修なのに、いきなりこんな大仕事に立ち会えるなんて……)

    4 = 1 :

    売人「おばあちゃん、具合はどうだい?」

    老婆「神経痛がひどくなってねえ……」

    売人「おおっ、そりゃいけないねえ」

    売人「だったら……」ゴリゴリ

    売人「はい、これ。これを食後に飲めば、だんだん痛みが消えていくよ」

    老婆「ありがとうねえ。あんたのお薬飲むとすぐ楽になるんだよ。副作用もないし……」

    売人「ヒヒヒ、お体を大事にね。おばあちゃん」

    新入り「んん……?」

    5 :

    こういうのもういいから

    6 :

    やさしい世界

    7 = 1 :

    中年「医者から血圧が高めだといわれて……」

    売人「だったらこれだねえ。ただし、自分でも血圧を管理しないとダメだよ」


    会社員「二日酔いになっちまって……」

    売人「ヒヒヒ、飲みすぎちまったかい。これを飲みな。すぐ治まるから」


    ……

    ……


    売人「ふぅ、今日はこんなところかな。君もお疲れ様」

    新入り「いえ……」

    8 = 1 :

    新入り「あ、あのっ……!」

    売人「なんだい?」

    新入り「なんですかこれ? これじゃまるで、ただの薬局じゃないですか!」

    売人「だからいったろう? ボクはヤクの売人なんだって」

    新入り「はぁ……」

    新入り(ヤクはヤクでも、本当に健全なお薬じゃないか……!)

    9 :

    悪…?

    10 = 1 :

    新入り「うーん……」


    先輩『俺は悪の組織に入るぜ……そこで裏社会のトップに立ってやるのさ』

    新入り『マジかっけえっす!』


    新入り(かっこいいワルだった先輩に憧れて、俺も先輩とは違う悪の組織に入ってみたけど……)

    新入り(想像してたのと違う……)

    新入り(いや、きっと今日は初日だから、危険のない仕事をやらせてもらったんだろう!)

    新入り(裏の仕事は、もっと信用してもらわなきゃ任せてもらえないだろうし……)

    新入り(うん、そうに違いない!)

    11 = 1 :

    業者「今日はオレの仕事を手伝ってもらうよ」

    新入り「はいっ!」

    新入り「ところで、業者さんはいったいなにを……?」

    業者「輸入さ。いわゆるミツ輸ってやつ?」

    新入り「み、密輸!?」

    新入り(なにを密輸するんだろ? やっぱり武器や兵器か? それとも希少な保護動物とか?)

    新入り(俺、ワクワクしてきたぞ!)

    12 = 1 :

    業者「お、積み荷が来た」

    新入り「ずいぶん堂々と輸入するんですね。もっとコソコソやるのかと……」

    業者「コソコソやってたら、作業がはかどらないからね」

    新入り「あー、なるほど。堂々とやった方がかえってバレないといいますしね」

    新入り「で、商品はなんです?」

    業者「これを輸入したんだ」

    新入り「なんですかこれ?」

    業者「ハチミツだよ」

    新入り「は?」

    13 = 1 :

    新入り「あの……密輸じゃないんですか?」

    業者「だからミツ輸だよ。ハチミツを輸入したんだからミツ輸」

    新入り「はぁ……」

    業者「このハチミツは海外のごく一部の地域でしか採れないから、ものすごく貴重なんだ」

    新入り(なんだこのしょうもないオチは……)

    新入り(いや、もしかして、ヤバイ作用のハチミツだったり? 舐めると幻覚が見えるとか……)

    14 = 1 :

    業者「ちょっと舐めてみるかい?」

    新入り「え、いいんですか?」

    業者「自分が扱う商品の味を知っておくのも仕事のうちさ」

    新入り「……」ペロッ

    新入り「あまぁーい! うんまぁ~~~~~い!」

    業者「だろ?」

    新入り「はいっ! 濃厚な甘さと程よい酸味、それでいて後味はスッキリしてて……」

    新入り「これをパンに塗ったら最高の朝食になりますよ!」

    新入り(ってなに食レポしてんだ俺は)

    15 :

    蜂蜜は赤ちゃんには危険だから…

    16 = 1 :

    包丁「今日は私の仕事を手伝ってもらいます」

    新入り「いったいどんな仕事ですか?」

    包丁「死体を切ったり売ったりするお仕事です」

    新入り「えええっ!?」

    新入り「そんなの俺にできるかなぁ……」

    包丁「練習すればすぐできるようになりますよ」

    新入り「頑張ります!」

    17 = 1 :

    ザクッ! ザクッ! ザクッ!

    包丁「うん、引き締まったいい身ですね」

    新入り「あの……これは?」

    包丁「ご覧の通り、マグロですけど」

    新入り「たしかにすごい包丁さばきですけど……」

    包丁「さあ、お客が来ます。売りますよ。あなたも元気よく声を出して下さい」

    新入り「は、はいっ」

    18 = 1 :

    新入り「いらっしゃい、いらっしゃーい!」

    新入り「マグロおいしいよー! 今日のは特に身が引き締まってますよー!」

    新入り「そこの奥さん、ちょっと食べてってー!」

    包丁「よく声が出ていますし、ずいぶん手慣れてますね」

    新入り「実は魚屋でバイトしてたことがあって……」

    包丁「まぁっ、頼もしい。そのうち、あなたにも包丁を握ってもらうことになるでしょう」

    新入り「……楽しみにしてます」

    19 = 1 :

    「今日は俺様についてこいやァ!」

    新入り「はい……」

    新入り「大男さんは何をやるんです? 引越しの手伝い? それとも畑仕事ですか?」

    「バカいっちゃいけねえ! 土地をいただくのよォ!」

    新入り(おおっ、地上げ!? ついにそれっぽいの来た!)

    20 = 1 :

    「んじゃ、爺さん、ここにハンコ押してくんな」

    老人「こんな土地をこれほどの高値で買い取ってくれるなんて、ありがとう」ポンッ

    「いいってことよ!」

    新入り「……」

    「どした?」

    新入り「なんていうか、えらく平和的ですね」

    「あぁん? どんなの想像してたんだよ」

    新入り「たとえば、嫌がらせして立ち退かせるとか……」

    「んなやり方、まどろっこしすぎるぜえ! とっとと金払った方がよっぽどラクだ!」

    新入り「そんなもんですかね」

    21 = 1 :

    「それに、ここは立地条件がとてもいいんだ! この土地を買えば大儲けできる!」

    新入り「おおっ、いったいなにを建てるんです?」

    新入り「カジノ? それともキャバ? 闇の格闘技場なんてのも面白いかも……」

    「決まってんだろ? ……スポーツジムよ」ニヤッ

    新入り「超健全~!」

    22 = 1 :

    アハハハハ… ワイワイ… ワイワイ…

    ボス「じゃあ今日は、新入り君を歓迎して乾杯っ!」

    売人「ヒヒヒ、乾杯……」

    包丁「乾杯」

    業者「カンパーイ!」

    「うおっしゃあ!」

    新入り「えーと、乾杯!」

    23 = 1 :

    ボス「仕事には慣れてきたかね?」

    新入り「ええ、まあ」

    売人「キミには才能がある。ボクの仕事をどんどん覚えてくれるよ」

    業者「うん、将来有望! いい新人が入ってくれたよねえ」

    包丁「手先が器用なのか、包丁さばきもだいぶ手慣れてきました」

    「そのうち、ジムの経営も任せてやるからな!」

    ボス「こりゃ、数年も経てば、四天王が五人になっているかもしれんな」

    新入り「アハハ……」

    24 :

    五天王やんけ

    25 = 1 :

    新入り「ハァ……」

    新入り(たしかに今の仕事は面白い。みんないい人だし、やりがいもある)

    新入り(悪の組織どころか、悪い点が見当たらないくらいホワイトな職場だ)

    新入り(だけど……)

    新入り(先輩みたいなカッコイイ悪になるという夢も未だに忘れられない……)

    新入り(俺みたいな奴が、本当にあんないい人達と仕事をしてていいんだろうか?)

    新入り(こんな中途半端な気持ちじゃ、きっとそのうち迷惑をかけてしまう!)

    新入り「……決めた!」

    26 = 1 :

    新入り「……ボス。折り入って話があります」

    ボス「なんだね?」

    新入り「これを受け取って下さい」スッ

    ボス「これは……退職届!?」

    新入り「はい……」

    ボス「な、なぜ……!? 給料安かった!? それとも人間関係!? 仕事がつまらない!?」

    新入り「いえ、どれも違うんです」

    ボス「じゃあなぜ!?」

    新入り「それは……いえません」

    新入り「短い間でしたが、お世話になりました。どうもありがとうございました」

    ボス「ああっ……!」

    27 = 1 :

    新入り(これでよかったんだ……)

    新入り(俺はこれから初心に帰って……先輩のような悪を目指す!)

    新入り(さっそく先輩に連絡を取って――)


    「おーい!」


    新入り「!」

    新入り(この声は――)

    28 = 1 :

    新入り「せ、先輩!?」

    先輩「ちょうどいいところにいた……。まさに運命の再会ってやつだな」

    新入り「先輩こそ、ちょうどいいところに……」

    先輩「あのさ、お前……たしか俺みたいな悪になりたいっていってたよな?」

    新入り「ええ、いいました! 今でもなりたいです!」

    先輩「だったらさ、これから俺の仕事手伝ってくれねえか?」

    新入り「それってもしかして、先輩が所属してる……?」

    先輩「ああ、俺が所属してる悪の組織の仕事だ」

    新入り「やります! やらせて下さい!」

    先輩「マジ助かるぜ……ついてきてくれ!」

    30 = 1 :

    先輩「着いたぞ」

    新入り「ここは……どこかの倉庫ですか?」

    先輩「ああ、そうだ。あれが見えるか?」

    新入り「……?」

    新入り「うわっ!?」

    31 = 1 :

    新入り(人がいっぱい寝てる……いや、死んでるのか? まさか……)

    新入り「この人たちは……?」

    先輩「商品だよ」

    新入り「商品……!」

    先輩「臓器を抜き取って売るために、冷凍状態にして保存してあるんだ」

    新入り「え……ッ! そんなことできるんですか……?」

    先輩「ああ……闇の最新科学ってやつだ」

    新入り(俺はなにビビってんだ。こういうのを求めてたんじゃないのか!)

    新入り「それで……俺に手伝って欲しいことって?」

    先輩「いや……お前の仕事はもう終わってるんだ」

    新入り「へ?」

    32 = 1 :

    首領「その通り」ザッ

    先輩「首領!」

    首領「君の役割は、この倉庫まで来てくれることだったのだよ」

    新入り(こいつが先輩の組織のボスか……!)

    新入り「どういうことです?」

    首領「つまり、健康な若者の肉体を一つ確保できたということさ」

    新入り「は!? せ、先輩っ! これは……!」

    先輩「すまねえ……。俺、組織でヘマしちゃってさ……」

    先輩「損失埋めるためには死んで臓器売るしかねえぞっていわれて、それで……」

    新入り「俺を身代わりにしようとしたのか!」

    33 = 24 :

    先輩クズやん

    34 = 1 :

    新入り「冗談じゃない! 誰が臓器なんか渡すか!」

    首領「残念ながら、君はもう逃げられんよ」パチンッ

    ズラッ…

    新入り「うっ……!」

    首領「この通り、私の手下が大勢いるからね。ネズミ一匹逃げ出せはしないさ」

    先輩「ごめんな……恨まないでくれよ」

    新入り「先輩っ……!」

    首領「これで、健康な若者の肉体を“二体”確保できたというわけだ」

    先輩「え……?」

    35 = 1 :

    先輩「あの首領、“二体”ってのはどういう……?」

    首領「決まってるだろう。お前も今から商品になるんだよ」

    先輩「な、なんでぇ!? ちゃんと代わりに後輩を連れてきたじゃないですか!」

    首領「あんなヘマをやらかした奴を許すわけなかろう。それが“我々の世界”だ」

    先輩「ひぃぃっ! そ、そんなぁ……」

    新入り(憧れの先輩も……この世界じゃ下っ端に過ぎなかったってことか……)

    先輩「死にたくない……助けてぇ……」ガタガタ…

    新入り「……」

    新入り(俺はバカだった……生半可な覚悟で、こんな世界に入ろうとして……)

    新入り(こんな目にあうのも当然の報いだ……)

    新入り(だけど、ただじゃ死なない! せめて最後まで足掻いてやる!)

    36 = 1 :

    新入り「来い! 俺の臓器……取れるもんなら取ってみろ!」サッ

    先輩「お前、なにしてんだよ!? こんな人数相手に勝てるわけねえだろぉ!」

    新入り「どうせ負けるなら、参ったするより最後まで抵抗して負けたいですから」

    首領「ほう、カタギだろうに、隣で泣きべそかいてるバカよりもよっぽど肝が据わっている」

    首領「少々惜しい気もするが……お前たち、まずはあの青年を始末しろ」

    手下A「はっ!」





    「……惜しいのなら、それは待ってもらおうか」

    39 = 1 :

    首領「なんだ、お前は?」

    新入り「ボ、ボス……!?」

    ザワザワ…

    ボス「その新入り君は、我がファミリーの一員でね。死なせるわけにはいかない」

    ボス「大人しく返してもらえないか?」

    首領「ファミリー? お前もどこかの組織の者か……」

    首領「あいにく、それはできんな。彼の体はバラバラにして、闇ルートに流通させてもらう」

    ボス「返さないのなら、我が≪四天王≫が相手をすることになるが……」

    首領「四天王?」

    40 = 1 :

    ボス「彼らだ」

    売人「ヒヒヒ……はじめまして」

    包丁「新入り君を返して下さい」

    業者「ハチミツ舐めて、元気満タン!」ペロリ

    「ガハハ、俺らのファミリーに手ぇ出すとはいい度胸だな!」

    首領「なんだこいつらは……。同業者と思いきや、ただのごっこ遊びの集団か」

    首領「おい、せっかく商品が増えたんだ。全員、丁重に葬ってやれ」

    手下A「はい」

    新入り「ボス、みんな! 逃げて下さいっ! こいつらはマジな犯罪組織なんですっ!」

    41 = 1 :

    手下A「たっぷり可愛がってやるよ!」ダッ

    包丁「いきなり私ですか。あわよくば押し倒して――という下心が見え見えですね」

    包丁「ですが」

    ザシュッ!

    手下A「え……?」ブシュゥゥゥゥゥ…

    ドサッ…

    包丁「私も、そう簡単に体を許すつもりはございませんので」



    首領「な……!?」

    新入り「え……!?」

    42 = 1 :

    「俺様のパンチを受けてみやがれぇ!!!」

    グシャアッ!

    手下B「ぐばっ!」

    「あーあ、顔面がスイカみたいに砕けちまったよ」



    売人「ど、れ、に、し、よ、う、か、な。うん、決めた」

    売人「ヒヒヒ、なるべく苦しんで死ねる毒薬をプレゼント」チクッ

    手下C「うぐ!?」

    手下C「あがっ! ぐおおおっ! ぐぼおおおおおおおっ! あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……!」

    43 = 1 :

    ギャァァァ… グェェェ… ヒィィィ… タスケテェェェ…


    首領「なんだとぉ……!?」

    新入り(あの人たち、こんなに強かったのか……!)

    首領「くそっ、あんなふざけた連中相手になにをやっている!」

    首領「撃てっ! 撃ち殺せぇっ!」

    手下D「はいっ!」チャッ



    ボス「……業者」

    業者「オッケーでーす!」

    44 = 1 :

    業者「俺ら倒すんならさぁ……」ジャキッ

    業者「せめてロケランぐらい用意してくれよなぁ~」

    首領「わっ!?」

    業者「発射オーライ! なーんてね」バシュッ!

    首領「に、逃げっ――」





    ドゴォォォォォォォンッ!!!

    45 = 1 :

    シュゥゥゥゥゥ… プスプスプス…

    首領「あ、あぐぅぅぅ……」

    ボス「ほう、まだ生きていたか」

    首領「なん……なんだ……? なん、なんだ……お前、ら……?」

    ボス「冥土の土産に教えてやろう」

    ボス「悪の組織だよ」

    首領「……」ガクッ



    新入り(たった四人で……あんな大所帯を壊滅させてしまった……)

    46 :

    トドメが冥土の土産www

    47 = 1 :

    ボス「売買されるはずだった遺体は丁重に弔ってやるとして……残るはお前か」

    先輩「ひっ!」

    ボス「お前のやったことも万死に値する。とても許せるものではない。が……」

    ボス「新入り君に免じて、助けてやろう」

    先輩「あ、ありがとうございます!」

    ボス「だが、次はない」

    ボス「次我々と出会ったら、七日七晩たっぷり苦しめた後、殺してやる」

    ボス「そうなりたくなければ、せいぜい平身低頭、ひっそりと生きていくことだ」

    先輩「……は、はい」

    48 = 1 :

    新入り「まずはお礼を言わせて下さい……ありがとうございました」

    売人「ヒヒヒ、どういたしまして」

    包丁「ご無事でなによりです」

    業者「ロケランぶっ放すの久々だったから、ちょっと手元が怪しかったよ」

    「久々に暴れられて楽しかったぜ!」

    ボス「……」

    新入り「ボス……これは一体どういうことです?」

    ボス「すまん、実はもう一度君を説得しようと、こっそり後を尾けてて――」

    新入り「そうじゃなくて! この人たちの異常な強さはいったいなんなんです!?」

    新入り「眉一つ動かさず組織一つ壊滅させた、あなたの冷酷さはなんなんです!?」

    ボス「……」

    49 = 1 :

    ボス「私は……かつてあらゆる悪事を重ねてきた極悪人だ」

    ボス「もし、その罪状を並べたら、死刑に100回なったって到底足りぬだろう」

    ボス「他の四人も似たようなもの、と思ってくれていい」

    新入り「……!」

    ボス「しかしある時、我々は悪事を行うのがまっぴらになってしまった」

    ボス「罪悪感からか、単に悪事に飽いたからなのか、それはなんともいえん」

    50 = 1 :

    ボス「法で裁いてもらうことも考えた……」

    ボス「ところが、もはや法も我々を裁くことはできない」

    ボス「我々を公に裁こうとすれば、この国を揺るがすスキャンダルがごまんと出てくるからな」

    ボス「刺客が送られてきたこともあったが、全て返り討ちにしてしまった」

    新入り「……」

    ボス「死ぬことも考えた……が、我々も元は悪で生計を立てていた人間だ。生への執着心は人一倍あった」

    ボス「結局、死ぬこともできなかったのだ」

    新入り「それで……今のような組織を?」

    ボス「そうだ」


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