元スレカズマ「どうしたダクネス、もう限界か? ワレメが濡れてヒクついてきたぞ」 ダクネス「ああ……見ないでくれカズマ」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
1 :
ダクネス「汗に塗れた腹筋の割れ目など、まじまじと見ないでくれ!」
めぐみん「……朝っぱらから何をしているんですか二人して」
カズマ「おはようめぐみん。見て分からないか? ダクネスの筋トレを手伝っていたんだ」
めぐみん「分からないから聞いたんですが……てっきり特殊なプレイの最中かと思いましたよ」
ダクネス「そんな筈がなかろう。ここ暫くのゴタゴタで鍛錬を怠っていたから、遅れを取り戻すべく奮闘していたのだ」
めぐみん「はあ、そうですか。しかしそれならばもっと普通に出来ないのですか?」
ダクネス「いや、ただ漫然と鍛えても効果は薄いからな。より厳しいトレーニングを課す代わりに、カズマにご褒美を貰いながらやっていたのだ」
めぐみん「それは仲睦まじくて何よりですが……アクアはどうしました? 朝食の準備が出来たので、皆を呼びに来たのですが」
2 = 1 :
カズマ「あいつなら起きてすぐに、ギルドにクエストを探しに行ったぞ」
めぐみん「こんな時間にですか? まだ早朝ですし、受付も無人なのでは?」
ダクネス「ああ、だから掲示板に貼り出してある中から、好条件のクエストを探し出すと意気込んでいたぞ」
めぐみん「へえ、アクアがそんなにやる気を出すなんて珍しい。どんな心境の変化でしょう」
カズマ「しっかしあいつもバカだなあ。ちょっとぐらい条件の良いクエストを持ってきたからって、俺が働くとでも思ったのかねえ」
ダクネス「いや、馬鹿はお前だ」
めぐみん「働けクズニート」
3 :
つづけたまへ
4 = 1 :
カズマ「あーそうだな、明日から……いや、生まれ変わったら、来世では本気出すから!」
めぐみん「……まさに絵に描いた様な駄目人間ですね」
ダクネス「ふう、本当に仕方のない奴だな。やはり我等が責任をもって、この男を真人間に更生させねばならんな」
カズマ「それより、もう朝メシ出来たんだろ? アクアの奴いつ帰って来るか分かんねえし、先に食っちまおうぜ」
めぐみん「駄目ですよカズマ。ダクネスが実家から戻って久々に全員揃ったんですから、みんなで一緒に食べましょう」
ダクネス「うむ、そうだな。私も皆と食卓を囲むのは久方振りだ。やはり食事は気心の知れた仲間達と共に、楽しく過ごしたい」
カズマ「ちぇー、はいはい。悪うござんしたね」
5 = 1 :
ダクネス「さて、私はその前に浴場で軽く鍛錬後の汗を洗い流してくるとしよう……めぐみんはカズマが覗きに来ない様に、しっかりと見張っていてくれ」
めぐみん「分かりました。任せて下さいダクネス」
カズマ「おいコラお前達! 人様を性犯罪者扱いとはいい度胸だな。俺が覗きなどと卑劣な真似をすると思ったか?」
ダクネス「ほう、前科者が大層な口を利くではないか」
めぐみん「余計な嫌疑をかけられたくなかったら部屋でおとなしくしてて下さい。なにちゃっかり付いていこうとしてんですか」
カズマ「勘違いするな……僭越ながらこのサトウカズマ、ララティーナお嬢様のお背中を流して差し上げようかと思い至った次第でございます」
ダクネス「ラッ、ララティーナと呼ぶな! めぐみん、死なない程度に痛め付けて構わんから、この男を大人しくさせておいてくれ。頼んだぞ」
めぐみん「大丈夫ですよダクネス。死んでも後でアクアに蘇生させてもらいますから」
ダクネス「そうか、なら一安心だな」
カズマ「……ねえ、君達酷くない?」
6 :
書き終わってからスレ建てろ
7 = 1 :
めぐみん「ほらカズマ。やることが無くて暇なら、ちょむすけにブラッシングをしてあげて下さい。そろそろ抜け毛の季節ですから、こまめに手入れをしてやらないと屋敷が毛玉だらけになりますよ」
カズマ「こうして俺は、仲間達に虐げられながらも日々を強く生きるのであった……ちょむすけ、俺の味方はお前だけだよ」
ダクネス「人聞きの悪い事を言うな!」
めぐみん「自業自得です」
8 = 1 :
これにてプロローグ終了
こっから本編です
時系列はこのすば二期の四話と五話の間
ダクネスの見合いが破談になって 屋敷に帰還した直後を想定して書いてます
後半に少し真面目なシーンがありますけど 基本的にこの調子で進むのでノリの合わない方は回避推奨します
ちょっと長いんでガンガン投下しますが レスくれたら嬉しいです
実はさっき立てたスレがすぐに落ちて 新しく同じスレ立て直しました
9 :
痛い
10 = 1 :
―― 朝食後 ――
カズマ「真実の宝玉?」
めぐみん「アクア、何ですかそれは?」
アクア「クエストよクエスト。伝説の秘宝『真実の宝玉』を入手せよ! さっきギルドで探してきたの」
ダクネス「ほう、探索クエストとは珍しいな」
アクア「でしょー? カズマさんてば冒険者のくせに冒険嫌いなヒキニートだから、貧弱なカズマにもこなせるクエストを見つけるのに苦労したわ」
カズマ「おいコラ駄女神、貧弱って言うな。お前は頭が貧弱なくせに」
アクア「ひっどーい! カズマが私の事馬鹿って言ったー!」
カズマ「馬鹿だなんて一言もいってませーん」
アクア「じゃあ美人で素敵な女神様だって言ったー!」
カズマ「てめえ、どさくさに紛れて何図々しい事言ってやがる!」
11 = 1 :
めぐみん「まあまあカズマ。図星を指されてムキになるのは分かりますけど、大人気ないですよ」
カズマ「図星って何だよ! 俺は貧弱じゃねえ。胸が貧弱なお子様は黙っててもらおうか」
めぐみん「なっ!? 言うに事欠いてなんたる暴言! 訂正しなさいカズマ。私はまだ成長期なんですから、これから伸びるんです!」
カズマ「ほー、ありもしない未来の可能性に縋って必死だな。大体その理屈なら、同い年のゆんゆんはどうなんだよ」
めぐみん「せっ、成長には個人差があるんです!」
カズマ「個人差ねえ……」ニヤニヤ
めぐみん「ぐぬぬ……」
12 :
見下してんじゃねえええええええええ
13 = 1 :
ダクネス「まあまあ、落ち着け二人とも。せっかくアクアがクエストを探してきてくれたんだ、とりあえずギルドに行ってみよう」
カズマ「何だよダクネス、随分と乗り気だな」
ダクネス「ああ、久々のクエストだからな……正直胸が躍る」
カズマ(そっか、ダクネスが帰って来てから初のクエストになる訳か。そういや全員でクエストに行くのも久しぶりだな)
(胸が躍る、か。それにしてもこいつ、相変わらず凶悪なおっぱいしてやがるな。けしからん……ハアハア)
ダクネス「その、カズマ。あまり胸をジロジロ見ないでほしいのだが……」
カズマ「ごッ、ごめん! 悪気はないんだ」
カズマ(やべー、つい見入っちまった)
14 = 1 :
めぐみん「見ましたかアクア? カズマが血に飢えた野獣のような目でダクネスの胸を凝視する様を」
アクア「やだ、あんなインキュバスみたいないやらしい目つきで視姦されたら妊娠しちゃいそう。こわい、怖いわ」
カズマ(くっ、こいつら好き放題言いやがって……だが、この話を続けるのは分が悪い。いつまでもネチネチと嫌味を言われ続ける前に撤退しなくては)
カズマ「よーし、それじゃあギルドに行くとするか! モタモタしてたら他のパーティーに先を越されちゃうからな。みんな急ごうぜ!」
めぐみん「うわー、ここまで露骨な話題転換とか……必死すぎてキモイです」
アクア「カズマってば普段は強気なくせに、こういう時はヘタレるのよね。やーい、ヘタレー!」
カズマ(無視だ無視! 風になれ俺!!)
【 サ ト ウ カ ズ マ は に げ だ し た ! ! 】
めぐみん「ああカズマ! ちょっと待ってくださいよ!」
アクア「ちょっと二人とも、私を置いて行かないでー!」
ダクネス「……やれやれ」
15 = 1 :
―― 冒険者ギルド ――
受付嬢「あらカズマさん達、お揃いでどうしたんですか?」
カズマ「やあ、今日も可愛いね。君の顔が見たくて来ちゃったよ」
受付嬢「あら、嬉しい事を言ってくれますね。うふふ」
アクア「めぐみん聞いた? カズマさんの口から、顔に似つかないセリフがサラっと出てきたんですけど?」
めぐみん「きっと背伸びしたいお年頃なんですよ。生暖かい目で見守ってあげましょう」
カズマ「そこの二人うるさい!」
16 = 1 :
ダクネス「おいお前達、ギルドに来てまで騒ぐんじゃない……クエストの話を聞きたいのだが、いいかな?」
受付嬢「ええ、どのクエストでしょうか?」
ダクネス「真実の宝玉についてなのだが」
受付嬢「はい、承りました。ええと、クエストの達成条件は『迷いの森』にあるという『真実の宝玉』の入手。報酬金額は一千万エリスです」
カズマ「いッ、一千万!?」
めぐみん「素晴らしい、それなら是非我々で請け負うべきです!」
アクア「そうよそうよ!」
カズマ「ちょっと待て!」
17 = 1 :
ダクネス「どうしたカズマ?」
めぐみん「普段は楽して大金を稼ぎたいとかぬかしてるくせに、食いつきが悪いですね」
カズマ「あのなあ、良く考えてみろ。アイテム一つ手に入れるだけで一千万なんて、何か裏があるに決まってるだろ?」
アクア「例えば?」
カズマ「そのアイテムを守るガーディアンが凄く強かったり、道中凶暴なモンスターがわんさか湧いてきたりとか……」
ダクネス「その程度の危険は、当然織り込み済みだ」
めぐみん「そうですよカズマ。虎穴に入らずんば虎子を得ず。例えどんな敵だろうと、私の爆裂魔法で吹き飛ばしてやります!」
アクア「全くカズマってば臆病なんだから」
カズマ「うるさい黙れ。俺は慎重派なんだ」
ダクネス「ならカズマは、このクエストを受けるのに反対なのか?」
カズマ「そうじゃない、報酬金額だけで即決するのは駄目って事だ。決めるのはきちんと得られる情報を吟味してからにしよう」
めぐみん「ふむ、正論ですね」
ダクネス「なるほど、確かにそうだな。久々のクエストで少々気が逸ったか」
18 = 1 :
カズマ(大体そんな美味しい話がそうそう転がってるもんか。それで何度も酷い目に合ってきたから、いい加減に学習するわ)
(つーか、そもそもこいつ等が一番の不安要素なんだよ。あまりにも能力がピーキー過ぎて)
(魔王軍の幹部ですら倒せる反面、雑魚モンスター相手に全滅しかけるからな。俺がきちんとフォローしてやらないと)
(くっ、なぜ俺がこんな苦労をせねばならんのか。ああ、胃が痛くなってきた)
19 = 1 :
アクア「どったのカズマ?」
カズマ「何でもねーよ。お前は悩みがなさそうで、羨ましいって思っただけだ」
アクア「むー、失礼しちゃうわ。私にだって悩みぐらいあるんだから」
カズマ「ありゃ、意外だな。ちなみにどんな悩みだ? 試しに言ってみろ」
アクア「今日のお昼は何を食べようかなーとか、今夜の晩酌は何にしようかとか。悩みが多すぎて大変なんだから」
カズマ「ヘエ、ソイツハタイヘンデスネ……」
アクア「でしょー? 他にも欲しい服とかアクセサリーとか、悩みの種が尽きないのよ」
カズマ「……俺はお前という悩みの種のせいで大変だよ」
20 = 1 :
カズマ(何故だ!? 何故俺にだけ斯様な試練ばかりが降り掛かるのか!)
(ニートか? 生前ニートしてたのが悪かったのか? ニートとはそれ程罪深き所業だというのか?)
(おお神よ、我の罪を赦したまえ。ついでに働かずに遊んで暮らせる安寧な引き篭もり生活を与えたまえ!)
(つーか、よく考えたら神様はコイツじゃねーか……御利益なさそう。いや寧ろ貧乏神とか疫病神の類じゃねえのかコレ?)
21 = 1 :
アクア「ねえカズマ。さっきから私の顔をジロジロ見てどうしたの?」
カズマ「お前達はもう少し、俺の苦労の何割かでも味わうべきだと思ってな」
めぐみん「まあまあカズマ。貴方が居るから私達は安心して全力を出せるんですよ?」
ダクネス「うむ、その通りだ。頼りにしているぞ、リーダー」
カズマ「そ、そうか?」
アクア「やだ、カズマさんてばちょろーい!」
カズマ「お前はいっつも一言多いな!」
アクア「えっへん」
カズマ「褒めてねえよ!」
22 = 1 :
カズマ(まったく、コイツ等は卑怯だ。そんな期待に満ちた眼差しで見られたら、柄にもなくやる気になっちまうじゃねえか、チクショウ)
(まあ、しゃーねーか。寄せられた信頼に応える為にも、自分に出来る最善を尽くさないと……俺ってちょろいなあ)
カズマ「ところで『迷いの森』って初めて聞くけど、どんな所なんだ?」
ダクネス「知らないのかカズマ?」
カズマ「うん」
アクア「あ、私も知らない」
23 = 1 :
めぐみん「……迷いの森は、アクセルの街から程近い場所にある森林地帯です」
「それほど広くありませんが、年中霧がかかっていている為に、迷い込んだら出られないともっぱらの噂です」
カズマ「へー、そんな近くにあるのに、全く聞いた事なかったなあ」
ダクネス「まあ、アクセルからは街道が通っているし、森の中に迷宮や遺跡がある訳でもない。わざわざ足を踏み入れる物好きもいないだろう」
カズマ「アクセルから近いって事は、そんなに手強いモンスターはいないのか?」
めぐみん「ええ。ですが視界の効かない霧の中での戦闘となると、それなりに苦戦するでしょうね」
24 = 1 :
カズマ「なるほど……それじゃあ『真実の宝玉』ってのはどんな物か教えてもらえます?」
受付嬢「えーと、それが依頼主からの情報によりますと、使用者は相手の心を読む事が出来るそうです」
カズマ「相手の心を読む……というと、あの嘘を判別する魔道具みたいな?」
受付嬢「用途は似通ってるけど、完全な上位互換と言うべきでしょうか」
カズマ「上位互換?」
受付嬢「あの魔道具は『嘘を付いてるか否か』の判別しか出来ませんから、相手に沈黙されると効果がありません」
「でも真実の宝玉は例え相手が黙秘していても、心の奥底にある本心を見抜く事が出来るマジックアイテムなんだそうです」
カズマ「ほー、そりゃスゲー」
25 = 1 :
めぐみん「ちょっと待ってください。その話は本当なんですか?」
ダクネス「確かにそんな強力な魔道具があるとは、俄には信じがたいな」
カズマ「おい、どうしたんだよ二人とも? 確かに凄いとは思うけど、そこまで驚く程の物か?」
アクア「へ? なになに?」
ダクネス「いいかよく聞けカズマ。これから語る事はあくまで仮説にしかすぎないが、これがもし事実だとすればとんでもないことになるのだぞ」
カズマ「とんでもない事?」
26 = 1 :
ダクネス「例えば王国議会において、政敵となる貴族の真意を探ったり、弱味を握って優位に立つ、といった使い方が出来ればその影響力は国内外に及ぶ」
「ましてや同様の事を、国家間首脳会談の様なもっと大きな場で行使すれば、世界のパワーバランスすら崩しかねない」
カズマ「ま、マジか?」
ダクネス「無論、そのような場に魔道具を持ち込むのは御法度だが、もしその魔道具が魔力探知に対する耐性や隠密性を備えていたとしたらどうだ?」
カズマ「……裏で隠れて、やりたい放題って事か」
カズマ(権力者ってのは大抵どの世界でも例に漏れず、人に知られて困る秘密を沢山抱えてるもんだしな)
ダクネス「あくまで私の推考だが、読心能力が未知数な以上、最悪そういった使用方法も有り得る。杞憂であればいいが看過はできん」
27 = 1 :
めぐみん「ダクネスの言も確かにそうですが、他にも考えられる可能性は多々あります」
カズマ「というと?」
めぐみん「そうですね……窃盗団や盗賊団などの構成員を捕縛出来たなら、尋問や拷問の手間無くアジトやメンバーの詳細な情報を入手できるでしょう」
「また、敵国のスパイや魔王軍の幹部を生け捕りにすることができれば、そこから得られる情報の価値は万金に値します」
ダクネス「なるほど、使い方次第では万の軍勢にも匹敵する戦力となるな」
「特に、謎に包まれた魔王の詳細……もしその実態や弱点を探る事が出来たなら……」
めぐみん「大袈裟ではなく本当に、人類の命運を左右する切り札となるかもしれません」
「まあ、あくまでそういった可能性がある、というレベルの話ですが」
ダクネス「うむ。魔抵値でレジスト可能な魔道具であれば脅威度は下がるし、これ以上は実物を見ない事には判断しかねる」
28 :
おじゃる丸スレ
29 = 1 :
カズマ(スゲーなこいつら……俺なんかカジノで相手の手札を読むぐらいしか、使い方を思い付かなかったのに)
(この世界の住人の常識と照らし合わせても、規格外の強力なマジックアイテム、か)
(うーん、なんか引っ掛かるなあ……強力すぎる、チートアイテム……あれ!? それってまさか……)
30 = 1 :
アクア「でも実際にクエストとして依頼が来てるんだし、嘘って事はないんじゃない?」
受付嬢「はい。ギルドに対する不正行為が発覚すれば、相応のペナルティを受けますし、虚偽のクエストである可能性は低いと思います」
ダクネス「そのリスクを冒してまで、依頼を捏造するメリットはない、か……ならば魔道具の存在が明るみに出た経緯について思索すべきか」
めぐみん「考えられる可能性としては、高名な魔道具職人が作製に成功したか……」
ダクネス「あるいは何者かが極秘に隠匿していた物が流出したか……いずれにせよこの近年の話だろうな」
めぐみん「同感です。それ程強力な魔道具が、今迄人々の噂に挙がらなかったのは不自然ですからね……ところで」
受付嬢「なんでしょうか、めぐみんさん?」
めぐみん「依頼主の情報は聞けますか?」
受付嬢「すみません、ギルドの規約でお話するのは無理なんです」
ダクネス「ギルドには守秘義務があるからな。依頼主が情報の開示を許可していない以上、諦めるしかないだろう」
めぐみん「そう、ですね。出来れば依頼人から詳細な情報を得たかったのですが……」
31 = 1 :
カズマ(うーむ、めぐみんとダクネスの推論は理に適っていて、実に納得のいく内容だ)
(しかし誠に遺憾なのだが、俺には非常識な能力を持つチートアイテムについての心当たりがある)
カズマ「おいアクア、ちょっと来い」
アクア「何よもう、カズマってば」
カズマ「いーから来い……真実の宝玉って、お前が転生組に持たせた神器じゃないのか?」
アクア「へ? なんで?」
カズマ「今の説明聞いてたろ? 本来この世界に存在するはずのないチートアイテムったら、真っ先に神器が思い付くだろうが」
アクア「おお! 言われてみれば確かに」
カズマ「先に気付けよ! つーか神器はお前の管轄だろ、覚えてねーのか?」
アクア「だって今迄どれだけの転生者をこの世界に送り込んだと思ってるのよ。そんなの一々覚えてないわ!」
カズマ(そうだった……こいつはミツルギの事すら覚えてなかったし、三歩で忘れる鳥頭だ)
32 = 1 :
カズマ「悪い。お前に聞いた俺が馬鹿だったよ」
アクア「やーいバカズマ!」
カズマ「てめえッ! 今なんつったゴるァッ!!」 ← マジギレ
アクア「ひゃんっ、か、カズマが自分で馬鹿だって言ったんじゃない」
カズマ「己の不明を恥じただけで、お前にバカズマ呼ばわりされる謂れはないわボケェっ!!」
アクア「いたい! 痛い! カズマさんやめてえ~!!」
めぐみん「カズマ、女性に手を上げるのは感心しませんよ」
ダクネス「そうだぞカズマ、手荒な真似はよせ」
33 = 1 :
カズマ「お前らはすっこんでろ! いいか、俺はアクアに馬鹿にされたんだぞ? これがどれ程の屈辱か分かるか?」
めぐみん「まあ、分からなくはないですが」
ダクネス「ああ、うん。そうだな」
アクア「ちょっと二人とも! 何で私を擁護してくれないの!? やだ、暴力はんたいーー!!」
カズマ「うるせえ! 俺は真の男女平等主義者だ。例え相手が女だろうが悪女に掛ける情けはねえ!」
めぐみん「悪女って、さすがにそれは言い過ぎじゃないですか?」
カズマ「んなこたーない。こいつは頭の悪い女……略して悪女だ!」
ダクネス「またお前は、そんな屁理屈をこねて……」
アクア「なんか凄い侮辱された!? 謝って! 許さないけど謝って!!」
カズマ「やなこった」
34 = 1 :
アクア「あーんひどいよー、カ ズ マ が い じ め る ー 」
カズマ(うわっ、うぜーなコイツ……泣き出しやがった)
カズマ「……しょうがねえなあ。分かったよアクア、謝らないけど許してくれ」
アクア「そ、そうよ。そうやって素直に謝れば、慈悲深い女神様である私は許してあげるのに」
めぐみん「アクア……騙されてますよ」
ダクネス「しかも、謝っても許さないとか息巻いていたのに、なんて単純な……」
35 = 1 :
カズマ(さて、アクアをからかって気分も晴れたし、俺はどうするべきか考えよう)
(クエスト自体の危険度は低そうだが、依頼主の身元が不明なのが気になる。まさかアルダープの差し金……ってのは考えすぎか?)
(仮にそうだとしたら、尋問にでも使われたらヤバイ。後ろめたい事など何もないが、バレたら困る事は沢山あるからな)
(もし宝玉が神器なら、正規の所有者以外は使いこなせないから問題ない。だが不特定多数の誰にでも使用可能なアイテムだとしたらどうだ?)
(俺のスパイ疑惑はまだ晴れていないし、ここは慎重に立ち回らないと。後々のリスクを考えたら、キッチリと自分の目で見定める必要があるな……)
36 = 1 :
カズマ「なあアクア、神器を直接見れば判別出来るか?」
アクア「流石に実物を見れば分かるわよ」
カズマ「そっか、なら一安心だ。このクエスト受けよう」
ダクネス「いいのかカズマ?」
カズマ「ああ、熟考した上での決断だ。二言はねーよ」
めぐみん「流石はカズマです。決める時は決める男だと思っていました!」
カズマ「おいおい、そういうセリフはクエスト達成後に取っておけよ。まだクエストを受けるって決めただけだろう?」
めぐみん「それでも、です」
カズマ「なんか含みのある言い方だな?」
37 = 1 :
めぐみん「だって今回のクエスト……カズマはあんまり乗り気ではないのかと思って」
カズマ「そんなことねえよ。ただ、全員の安全を考えて(特に自分の)用心深くなってただけだ」
めぐみん「……私達の安全を?」
カズマ「当然だろ? なんか変か?」
めぐみん「そう……ですか」
カズマ「なんだよ、おかしなヤツだなあ」
めぐみん(カズマ……普段は憎まれ口を叩いても、仲間を大切に思ってくれてるんですね)
38 = 1 :
めぐみん「あの、カ、カズマ……」
カズマ「どうした、めぐみん?」
めぐみん「いえ、あの……」
カズマ「?」
ダクネス「あー、ごほん、ごほん!」
アクア「なーに見つめ合っちゃってるのかしらこの二人は? はい、離れて離れて!」
カズマ「おわ!? 何だよお前ら? おかしな邪推すんじゃねえ!」
めぐみん「そそそうですよ! 私とカズマは別にその、そ、そういった感情はごにょごにょ……」
39 = 1 :
ダスト「よう、相変わらずお前んトコは賑やかだな」
カズマ「お、おうダストか、久しぶり」
ダスト「もしかして、カズマ達もこのクエストを受けたのか? やめとけやめとけ」
カズマ「いや、今回はちょっと引けない理由があってな……って、お前たちもクエストを受けたのか?」
ダスト「おう、でも俺等は残念ながら失敗だ……いや、俺たちだけじゃねえ。他にも何組かのパーティーが挑戦したが、未だに達成した奴はいねえよ」
カズマ「そ、そんなに危険なクエストなのか?」
ダスト「ああ、思い出すだけでも恐ろしい……最悪パーティー崩壊の危機も有り得る。悪い事は言わねえ、今回は諦めな」
カズマ「ダ、ダスト……」
ダスト「じゃあな。一応、忠告はしておいたぜ」
40 = 1 :
カズマ「……えーと」 ← 超ビビってるカズマさん
アクア「……」 ← カズマに対する不信の眼差し
めぐみん「……」 ← ジト目
ダクネス「……」 ← 以下略
カズマ「なあみんな、やっぱり今回のクエストはなかったという事にしないか?」
ダクネス「駄目に決まってるだろう。二言はないんじゃなかったのか?」
カズマ「で、でもダストが危険だって言ってたよ?」
アクア「うっわー、なんて見事なヘタレっぷり。カズマさんてば、ちょーかっこ悪いんですけど!?」
めぐみん(こっ、こんな男にちょっとでもときめいてしまった自分が恥ずかしい!)
ダクネス「往生際が悪いぞカズマ! さあ、すぐに準備して出発だ」
カズマ「いやー! 誰か助けて―!!」
42 = 1 :
―― 迷いの森中心部 ――
カズマ「ふう、大分奥まで来たな」
ダクネス「まだ昼前だというのに良いペースだ」
アクア「今日はまだ一度もモンスターと遭遇してないもんね」
カズマ「この森のモンスターは基本的に群れて行動するから、戦闘を回避するには却って好都合だな」
ダクネス「霧の中での単独行動は危険だと、奴等も本能で分かっているんだろう」
カズマ「俺等はそれを逆手に取って、固まって動いてるモンスターを敵感知スキルで察知して迂回するだけでいい」
「霧で視界が悪いのは向こうも一緒だし、潜伏スキルを使うまでもない」
ダクネス「うむ、お陰で随分と順調に進んでいる。カズマの功績だな」
カズマ「もっと褒めていいぞ」
ダクネス「いや、お前はすぐ調子に乗って大ポカをやらかすからな。このぐらいに留めておこう」
カズマ「へいへい」
43 = 1 :
アクア「それで、今ってどの辺りなの?」
カズマ「えーと、朝から歩いてるし、森の中央付近じゃないかな」
めぐみん「ねえ、カズマカズマ」
カズマ「どうしためぐみん?」
めぐみん「そろそろ爆裂魔法が撃ちたいのですが」
カズマ「ちょ!? お前、ここになにしにきたか分かってんのか!?」
44 = 1 :
めぐみん「しかし、そろそろ私の爆裂欲が我慢の限界なのです」
「なあに、私の爆裂魔法でこの周辺一帯を更地にしてやりますから、見晴らしが良くなった所でアイテム探しと洒落込みましょう!」
カズマ「やめんかこの爆裂娘。目当てのお宝ごと一緒に吹き飛んだらどうすんだ!」
「それに今回は退治や討伐クエストじゃないんだから、無理に戦う必要はないんだぞ」
めぐみん「でも、もう少しでスキルポイントが貯まって、新しいスキルを習得出来るんです」
カズマ「おお、それじゃあ燃費のいい攻撃魔法を覚えてくれる気になったのか?」
めぐみん「は? 何を言っているんですかカズマ? 爆裂魔法の威力向上にスキルを全振りするに決まってるじゃないですか」
「これによって破壊力と効果範囲は現在の三割増し……正に一撃必殺です!」
45 = 1 :
カズマ「お前……ただでさえ過剰な火力なのに、これ以上パワーアップさせてどうすんだ。才能の無駄遣いはよせ」
めぐみん「そんな事はありません。我が爆裂魔法(改)は、真の強敵と相見えた時、必ずや仲間を守る力となってくれるでしょう」
カズマ「いや、強い相手とは戦わないのが、ウチの基本方針だから」
めぐみん「リスクがあるからこその必殺技……カズマも男の子ですから、このロマンを理解してくれると思っていたのですが」
カズマ「そりゃあ十分わかるけど、ロマンじゃご飯は食えないんだよ」
めぐみん「ふぅ……現実主義者と言えば聞こえは良いが、つまらない人間ですね」
ダクネス「小物だな」
アクア「狡っからい」
46 = 1 :
カズマ「おいお前ら、さり気なく割り込んで一緒にディスってんじゃねーよ」
「……いいかめぐみん。お前は俺達の切り札、謂わばリーサルウェポンだ。ジョーカーは最後に切るものだと相場が決まっている」
「だから今は魔力を高めて温存しておけ。来るべき最終局面へ向けてな」
めぐみん「リーサルウェポン……意味は分からないけど良い響きです。気に入りました!」
「では早速、そのリーサルウェポンをブチかましていいですか?」
カズマ「お前……俺の話聞いてた?」
めぐみん「ええ、もちろんです! カズマは私と爆裂魔法に、強い信頼を寄せてくれているんですよね?」
47 = 1 :
カズマ「あのなあ、爆裂魔法使用後に動けなくなったお前を誰が面倒見るんだよ? ただでさえ視界が悪い森の中、足手まといを増やしてる余裕は無い」
「幸い俺の敵感知スキルでエネミーの接近は分かるし、直接戦闘は避けてお宝だけをかっさらうべきだ」
「地の利を活かして上手く立ち回れば、戦わずしてクエストの達成も夢じゃない。やだ、俺ちょっとカッコイイ!」
めぐみん「ですが、姑息なカズマには性に合った作戦でしょうが、私にはストレスが溜まります」
カズマ「ほオ……言ってくれるじゃねえか、俺のストレス発生源が」
めぐみん「そちらこそ」
48 = 1 :
カズマ「なら久々に勝負と行くか?」
めぐみん「望む所です」
カズマ「後で泣きついても許さねえから覚悟しとけよ」
めぐみん「ふん、こっちのセリフです。カズマこそ謝るなら今の内ですよ」
カズマ「……上等だよ、行くぞッ!」
めぐみん「なんの! 受けなさいカズマ!」
ダクネス「おい、よさないか二人とも! ……こんな所でにらめっこをするんじゃない!」
49 = 1 :
めぐみん「しかしダクネス! 挑まれた勝負に背を向けるなど、紅魔族の名折れです!!」
ダクネス「めぐみんよ、年頃の少女が人前で変顔など晒すものではない。可愛い顔が崩れてしまうぞ、まったく」
「カズマもあまり、めぐみんに変な遊びを教えるな」
カズマ「失敬な、俺の故郷に伝わる由緒正しい勝負方法だぞ」
ダクネス「勝負ならば、ジャンケンやコイントスでもよかろう」
カズマ「運の絡む勝負だと、俺が圧倒的に有利すぎてな。そうだ、ダクネスもやるか?」
50 = 9 :
痛い
みんなの評価 : ○
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