元スレ潤滑油「本日より入社する潤滑油です」社畜「油じゃねえか」
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1 :
<会社>
課長「えー……今日からウチの社に入社することになった、潤滑油君だ」
課長「自己紹介を」
潤滑油「はいっ!」
潤滑油「本日より入社する潤滑油と申します。よろしくお願いします!」ヌルンッ
社畜(……油じゃねえか)
課長「彼の教育係は……えー、君にお願いするよ」
社畜(俺かよ!)
2 :
一年先輩のスポンジがなんとかしてくれる
3 = 1 :
社畜『ハァ!? ふざけんなよ!』
社畜『ただでさえ、この課で一番忙しいのは俺なのに、なんで油の面倒なんか見なきゃいけねーんだ!』
社畜(……といえたらどんなに楽か)
社畜「分かりました」
課長「じゃあ後は任せたよ」
潤滑油「よろしくお願いします!」
社畜「はぁ……」
4 :
このひろい東京で~歯車と潤滑油が~であったぁ~(下條アトム)
5 = 1 :
角刈り「ガッハッハ、頑張って指導してやれよ!」
社畜「……はい」
青年「先輩……ぼくにも手伝えることがあれば……」
社畜「お前に手伝ってもらうことなんかねえよ」
OL「…………」
社畜(この女はいつも何考えてんのか分からねえ)
社畜「じゃあとりあえず、電話番しといてくれるか」
潤滑油「はい!」
6 :
青年は誰なんだ。潤滑油か?
8 = 1 :
プルルルルル…
潤滑油「!」
社畜「おい、電話だぞ、出てくれ」
プルルルルル…
潤滑油「はいっ!」ヌルッヌルッ
社畜「おい、電話はワンコール以内に出るのが基本だぞ! 早く出ろ!」
潤滑油「は、はいっ!」ヌルッヌルッ
プルルルルル…
社畜(潤滑しすぎて受話器を取れねえのか!)
社畜「あーもういい! 俺が出る!」サッ
9 :
粘度も言えて初めて潤滑油だ
10 = 1 :
社畜「やっぱり電話番はやめだ」
社畜「これコピー取ってきてくれ」サッ
潤滑油「分かりました!」
……
潤滑油「取ってきました!」
社畜「ご苦労――」
社畜「ってちょっと待て! この書類、油でベトベトじゃねえか!」
潤滑油「あ、すみません! 取り直してきます!」
社畜「もういい、俺が行くよ!」ガタッ
青年「あ、あの……先輩、ぼくが……」
社畜「いいっていってんだろ!」スタスタ
11 :
油売ってんじゃねえぞ!
12 :
社蓄「(こいつぬるぬるして気持ちよさそうだな)」
社蓄「(バレないように入れれば問題ないよね)」
潤滑油「(…うそっ!何かが僕の中に入ってきてる!!)」
13 = 1 :
社畜「課長!」
課長「……ん?」
社畜「あの潤滑油ってヤツはなんなんですか!?」
社畜「電話は取れないわ、コピーも取れないわ、そもそも人間じゃないわで、使い物になりませんよ!」
社畜「なんであんなのをウチの課で引き取っちゃったんです?」
課長「人事が物珍しさで採用したらしいが、どの部署も欲しがらず、ウチが引き取ることになったんだ」
社畜「なんですかそれ!? ちゃんと断って下さいよ! おかげで――」
課長「とにかく……私は君に任せたんだから、君がなんとかしてくれよ。私は知らんよ」
社畜「…………!」
社畜(くっ、この課長は……いつもいつも……!)
14 = 1 :
潤滑油「先輩、お茶入れてきました!」
社畜「お、気が利く――」
社畜「って、油が浮いてるじゃねえか、飲めるかこんなもん!」
潤滑油「すみません、入れ直してきます!」シュタタタッ
角刈り「ガッハッハ、苦労してるようだな」
社畜「角刈りさん……」
角刈り「ま、お前みたいな若造はどんどん苦労しなきゃならねえ!」
角刈り「これ、オレの仕事だけど、やっといてくれや!」ドサッ
社畜「……分かりました」
15 = 1 :
夜になり――
社畜「…………」カタカタカタカタ
潤滑油「あのー……もう10時ですけど、帰らないんですか?」
社畜「これ終わったら帰る」カタカタカタカタ
潤滑油「終わったらって、いつ終わるんです?」
社畜「分かるかよ、そんなもん。少なくとも終電までには終わらせるよ」カタカタカタカタ
潤滑油「もしも終わらなかったら?」
社畜「持ち帰るしかねえだろ。角刈りさん怖いし」カタカタカタカタ
潤滑油「毎日こんな遅いんですか?」
社畜「ああ」カタカタカタカタ
潤滑油「それじゃ体が――」
社畜「あーもう、うるせえな! とっとと帰れ! 仕事のジャマだ!」カタカタッ ターン
潤滑油「失礼します……」ヌルヌル…
潤滑油「…………」
16 = 1 :
翌日――
<会社>
社畜「今日は一緒に得意先に向かう」
潤滑油「はいっ!」
社畜「くれぐれも粗相のないようにな」
社畜「あと……応接室のソファなんかを油で汚すんじゃないぞ」
潤滑油「大丈夫です、任せて下さい!」
社畜(心配だ……)
17 = 1 :
<得意先>
得意先部長「ほう、油を入社させたのかね!」
社畜「はい、ウチの会社も変わったことをするもんで……」
得意先部長「いやいや、なかなか斬新で結構じゃないか!」
潤滑油「ありがとうございますっ!」
社畜(こいつ……新入りのくせに話に割り込んでくるんじゃねえよ……)
得意先部長「どうかね、ウチの社に来ないかね?」
潤滑油「そしたらまず、部長さんの御顔に配属させてもらいます!」ヌルヌル
得意先部長「ハッハッハ、これ以上ギトギトになったらかなわんよ!」
ハハハ…… ワハハハ……
社畜(この部長さんとここまで会話が弾むのははじめてだな……)
社畜(こいつ、潤滑油だけあって、人に好かれる性質があるのかもしれないな)
18 :
みてるぞ
19 = 1 :
社畜「さっきはなかなかよかったぞ。おかげで商談が少し進捗した」
潤滑油「ありがとうございます!」
社畜「バカとハサミは使いようっていうけど、油も使いようなんだな」
潤滑油「そうですよ! 油は潤滑も、燃料も、料理も、放火も、なんでもいけるんです!」ヌルヌル
社畜(放火はダメだろ)
潤滑油「きっと、あの青年さんって人もちゃんと使ってあげれば……」
社畜「あいつ? あいつはダメだ。営業に向いてない」
潤滑油「でも……」
社畜「さ、帰るぞ。今日も残業しなきゃいけないからな」
20 = 1 :
<会社>
社畜(さーて、今日のことを日報に書いて、と……)カタカタ
角刈り「おう! 今日も商談成立させてきたぜ!」
社畜「あ、角刈りさん……さすがですね」
角刈り「だろう? 営業はオレの天職よ! もっと褒めろ、ガッハッハッハ!」バシッ バシッ
社畜(いてっ!)
角刈り「ってわけで、オレの報告書、書いといてくれや! オレああいうの苦手なんだ!」
社畜「ま、またですか?」
角刈り「あん!?」ギロッ
社畜「あ、いや……書きます書きます」
角刈り「おめえ、顔色悪いぞ? もっとちゃんと寝ろよ、ガッハッハッハ!」
社畜「ハ、ハハ……」
社畜(また終電だな、こりゃ……)
21 :
放火とかさらっと危ないこと言うな
22 = 1 :
課長「じゃ、お先に」スタスタ
角刈り「ガッハッハ、帰ったら筋トレすっか!」スタスタ
OL「お先に失礼します」スタスタ
社畜「…………」カタカタカタカタ
青年「あ、あの先輩……ぼくも手伝いましょうか?」
社畜「いらねえよ。さっさと帰れ」カタカタカタカタ
青年「す、すみません……」
23 = 1 :
社畜「…………」カタカタカタカタ
潤滑油「もうすぐ夜の11時ですよ、先輩」
社畜「で?」カタカタカタカタ
潤滑油「なんで先輩ばかり、いつもこんなに残業してるんですか?」
社畜「仕事が残ってるからだよ」カタカタカタカタ
潤滑油「なんで一人でやってるんです? 他の人を頼ればいいじゃないですか」
社畜「頼れるのなんかいねえよ。お前を含めてな」カタカタカタカタ
社畜「俺に助けなんかいらねえんだ。怒鳴られたくなきゃ、とっとと帰れ」カタカタカタカタ
潤滑油「失礼します」シュタタタッ
社畜「あーあ……こりゃ休日も出ないと、とても間に合わないな」
潤滑油「…………」
24 = 1 :
そんなある日――
<会社>
社畜「んー……終わった」ググッ…
社畜(今日は久々に10時前に帰れるな……何ヶ月ぶりだろう?)
社畜(さて、家に帰るか)
潤滑油「先輩、一緒に帰りましょうよ!」
社畜「お前もまだいたのかよ……まあいいけど」
25 :
みてます
26 = 1 :
<電車>
ガタンゴトン…… ガタンゴトン……
社畜「お前、家どこなんだよ?」
潤滑油「今は会社近くのガソリンスタンドに下宿させてもらってます」
社畜(油に相応しい下宿先だな……)
社畜「ってちょっと待てよ。だったら、なんで電車に乗ったんだよ」
潤滑油「いや、せっかくなんで先輩の家にお邪魔しようかなって」
社畜「来るなよ! このままついてきても、家になんか入れねえからな!」
ガタンッ……
社畜「おっと、揺れたな」ヨロッ…
キャーッ!
社畜「……ん?」
27 = 1 :
女「痴漢よっ!」
女「今お尻さわられたわーっ!」
社畜「は……!?」
女「今、この人、私のお尻をさわったのよーっ! なで回したのよーっ!」
社畜(く……帰りの電車だからって油断してた! とんでもないことになっちまった!)
女「みなさーんっ! こいつを捕まえて下さい! こいつは痴漢でぇーっす!」
ザワザワ…… ドヨドヨ……
社畜(まずい……他の客もみんな俺が犯人だと思ってやがる!)
社畜(こんなことで……こんな下らないことで俺の人生終わりかよ……!)
28 = 1 :
潤滑油「待って下さい!」ベチャッ
社畜「!」
潤滑油「この人の手はこのとおり、油でベトベトです」
「ホントだ……」 「うわ、すげえ」 「ベトベトじゃん」
潤滑油「にもかかわらず、この女の人のスカートにはまったく油はついていない!」
潤滑油「これは明らかに矛盾しています!」
女「うっ!?」
潤滑油「よって、この人は無罪です!」ヌルンッ
女「ぐぐぐ……!」
「そうだそうだ!」 「無罪だ!」 「金欲しさの狂言だろ、このクソ女!」
女「ちくしょう……ちくしょおおおおおおおおお!!!」
29 :
わろた
30 :
クソ女ざまぁwwww
31 = 1 :
<駅>
社畜「……ありがとう、助かった」
潤滑油「いえいえ、とっさに先輩の手にボクの一部をぶつけて正解でした!」ヌルヌル
社畜「…………」
社畜「よし、俺の家に寄ってけよ。ビールくらいご馳走してやる」
潤滑油「いいんですか!?」
社畜「痴漢冤罪になるとこ助けられて、恩返ししないわけにはいかないだろ」
32 :
なんかちがうな
33 :
なんか良い話になりそう支援
34 = 1 :
<アパート>
社畜「ほれ、ビール」カシュッ
潤滑油「ありがとうございます!」
社畜「ところで、お前ってビール飲めるのか?」
潤滑油「こうやって体全体でビールを吸収すれば……」ジュルジュル…
潤滑油「そのうち混ざったビールがボクの体と同化して潤滑油になるんです」ジュルジュル…
社畜「へぇ~……(変わった生き物だ……いや生き物なのか?)」
潤滑油「ところで、先輩」
社畜「ん?」グビグビ
潤滑油「先輩はなんで、みんなに頼らず一人で仕事をしてるんですか?」
社畜「…………」グビグビ
35 = 30 :
どんな見た目なんだ?
モンスターファームのゲルみたいな感じか
36 = 1 :
社畜「…………」プハーッ
社畜「前にもいったろ? ウチの課に頼れる奴なんかいないだろ」
社畜「やる気のない課長に、威勢だけの体育会系、なに考えてんのか分からない女……」
潤滑油「でも、青年さんはあなたを助けたがってるみたいですけど」
社畜「あいつはダメだ」
潤滑油「どうして?」
社畜「どうしてって……あいつ、いつも自信なさそうにビクついてるじゃん」
社畜「ああいう奴に重要な仕事やらせたら、トチるに決まってるからな」
社畜「あいつはあのまま社内ニートさせときゃいいんだよ」
社畜「まだ新米だし、そのうちもっと適した部署に異動になるだろ」ゲフッ
潤滑油「でも、あの人があんな風にオドオドするようになってしまったのは……」
潤滑油「先輩、あなたのせいなんじゃないんですか?」ヌルンッ
社畜「なんだと?」ピクッ
37 = 33 :
決め擬音ヌルンッで笑う
38 :
潤滑油ファインプレー
39 = 1 :
社畜「聞き捨てならねえな。俺のせいってどういうことだよ」
潤滑油「あの人の教育をしたのは、多分あなたですよね」
社畜「まあな」
社畜「俺が課長や角刈り先輩からろくに指導されなかった分、丁寧に教えてやったよ」
潤滑油「丁寧に上から押さえつけてやったわけですか」
社畜「……どういう意味だよ?」
潤滑油「だって先輩、いつもあの人にきつく当たってるじゃないですか」
潤滑油「あれじゃどんな人だって委縮してしまいますよ」
潤滑油「先輩はあの人を褒めたことってあるんですか? ないでしょ?」
社畜「なんだとぉ!? 油ごときが偉そうに!」ガタッ
社畜「俺はちゃんと……!」
社畜「!」ハッ
社畜(潤滑油に、俺の顔が映ってる……)
社畜(俺は……俺はこんな疲れた顔をしてたのか……? イライラしてる顔をしてたのか……?)
40 = 1 :
~
社畜『いいか、学生気分を捨てろ! 社会ってのは荒波なんだ! 理不尽なんだ!』
社畜『なんだ今の電話の取り方は! もっとハキハキしろ、ハキハキと!』
社畜『なんだこの日報は! 朝顔の観察日記じゃねえんだぞ!』
~
社畜「…………」
社畜(そういや俺、あいつを褒めたことってあったっけ……)
社畜(あいつが成果上げた時も、俺ならもっと上手くやれた、なんていってたような……)
社畜(ふふふ……俺は“いい先輩”のつもりだったけど……どこがいい先輩だよ)
社畜(俺みたいな奴の下についたら、誰だって自信をなくすに決まってるじゃないか……!)
41 = 38 :
出オチかと思えばまさかの良スレ
42 = 1 :
潤滑油「先輩?」
社畜「……なぁ、潤滑油」
社畜「俺はどうしたらいい……?」
潤滑油「青年さんを使ってやって下さい、いっぱい褒めてあげて下さい」
潤滑油「そうすれば、きっと彼のためにも、先輩のためにもなりますから……」
社畜「…………」
社畜「分かった、やってみるか!」
43 = 1 :
翌日――
<会社>
社畜(……といったものの、どうも気まずい。散々冷たく扱ってきたからな)
社畜(とりあえず……少し仕事やらせてみるか)
社畜「あ、あのさ……」
青年「は、はい」
社畜「悪いんだけど……これの見積もり計算やっておいてくれない?」
青年「…………!」
青年「分かりました!」
社畜「もちろん俺がちゃんとチェックするけど、しっかり頼むぞ」
青年「はいっ!」
44 = 1 :
青年「できました!」
社畜「どれどれ……」
社畜「ほう……ふむ……いいじゃん」
青年「ありがとうございます!」
社畜「今までは俺も余裕なくて、色々きつく当たってたけど……」
社畜「これからはあてにするから、よろしく頼む」
青年「は、はいっ!」
社畜(おお……こいつ、こんなに大きい声出せる奴だったのか)
45 = 1 :
社畜「…………」カタカタ
青年「先輩!」
社畜「……ん?」
青年「今、ウチの部署って、業務内容を紙で管理してることが多いですよね」
社畜「まぁな。古い部署だから仕方ない部分もあるけど……場所もかさむし非効率的だな」
青年「実は……ぼく、パソコンでこういうのを管理するシステムを作りまして……」
青年「これを使えば、業務をもっと短縮できて、ミスも少なく……」
社畜「どれどれ……?」
社畜「おお……すごいな、これ」
社畜(こいつ、こんなことやってたのか……)
社畜(だけど、俺に『余計なことすんな!』って言われるのが怖くて言い出せなかったんだな……)
46 = 1 :
<居酒屋>
ワイワイ…… ガヤガヤ……
店員「ビールです……」コトッ
青年「そうだったんですか! 潤滑油君が!」
社畜「ああ、こいつに教えられたんだ。俺は全然いい先輩じゃなかったってな」
社畜「今まですまなかった……」
青年「いえ、ぼくの方こそ……」
潤滑油「さて、お二人が仲良くなったところで、次に進みましょう!」ヌルンッ
社畜「次?」
47 = 1 :
潤滑油「次はOLさんと仲良くなりましょう!」
社畜「え、あの女と? いきなりハードル高いな」
青年「ぼくもあの人は苦手ですね……なに考えてるか分からないんで」
社畜「だよな、俺ですら全然しゃべったことない」
社畜「どっかのゲームの主人公みたく『はい』『いいえ』しかいわないもんな」
社畜「自分の仕事はきっちりこなすから、それでいいか、と思ってたんだが……」
青年「でも、あの人がもっと協力的になってくれたら、すごい戦力になりますよ!」
社畜「ああ、それは間違いないな」
社畜「潤滑油、勝算はあるのか?」
潤滑油「ボクに任せて下さい!」ヌルルンッ
48 :
潤滑油くんをうちにも寄越せ
いややっぱいいや油だし
49 :
スポンジ先輩とスルメ部長は?
50 = 1 :
<会社>
OL「…………」カタカタ
社畜「相変わらず、無言で事務仕事をこなしてるな」
青年「ええ、笑ってるところを見たことないです」
潤滑油「OLさん」ヌルヌル
OL「…………?」
潤滑油「油が下着を見つけた。あ、ブラ!」
OL「…………」
OL「…………」ブフォッ
社畜&青年「えええええええええええええ!?」
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