［集中治療室］



真姫パパ「後は任せてください」

ほのママ「うちの子をお願いします……」

真姫「パパ……」

真姫パパ「お前の友達は必ずパパが助ける……約束するよ」

海未「穂乃果……」

雪穂「お姉ちゃんならきっと、きっと大丈夫……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

ほのパパ「……」ﾀﾞﾀﾞｯ

ほのママ「あなた……仕入先とのお話は」

ほのパパ「……」

ほのママ「穂乃果のためなら……そうね、あなたならそう言うと思ったわ」

真姫「病院、先に来てたのね」

海未「……穂乃果のお父さまが送ってくれました」

真姫「……さっきはごめんなさい」

海未「いえ……こうなったのは私の責任です」

雪穂「……」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

真姫「雪穂ちゃん……」

雪穂「やだ……やだ……お姉ちゃん……」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

正直真姫が乗ってもやることないし変わらんよね

黒ずんだ乳首はもう元には戻れないんだね

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～


真姫パパ「……」ｶﾞﾁｬ

真姫「パパ！」

ほのママ「うちの子は！？穂乃果は！？穂乃果は無事なんですか！？」

真姫パパ「……ひとまず峠は越しました、直に目を覚ますでしょう」

雪穂「ぁ……ああ、よかったぁ……」

真姫パパ「ただ、低酸素の状態が長時間続いたことにより脳の一部が損傷してる可能性があります……」

雪穂「え……」

真姫「ぱ、ぱぱ……？」

真姫パパ「言語か運動能力のいずれかに支障がでるかもしれません……」

ほのママ「ああ……ううぅ！！あなたぁ！」ｷﾞｭ

ほのパパ「……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

雪穂「うわあああぁ！！ああああぁ！」

真姫「パパ！なんとかして！穂乃果を……」

真姫パパ「真姫……」

真姫「ううっ……」

海未「……」

海未（私が……この惨事を……）

海未（穂乃果の幸せを……めちゃくちゃに）


あああああぁ……ううぅ……
……うっ……ぁあぁああああ……

穂乃果「……ん」

雪穂「目、覚めた？」

穂乃果「ここ……天国？」

雪穂「そんなわけないでしょ、病室だよ」

穂乃果「ってことは……また……」

雪穂「そのまたっていうのはこの前の練炭？」

穂乃果「……ちがうもん、サンマ焼こうとしただけだもん」

雪穂「はいはい、それだけ喋れるなら言葉は……大丈夫みたいだね」

穂乃果「……雪穂」

雪穂「なに？」



穂乃果「右手が痺れて動かないや」

雪穂「……」ﾋﾟｸ

穂乃果「……」

雪穂「……あ、ああ～、なんかね、起きてすぐはそうなっちゃうみたいなんだ」

穂乃果「へぇ……」

雪穂「だからもう少し寝てた方がいいよ……」


穂乃果「……だから止めないでほしかったのに」


雪穂「……！」

穂乃果「……」

雪穂「……なにさ」

雪穂「お姉ちゃんは私達の気持ちが……何もわからないの！？」

見てるからはよ！

雪穂「みんなお姉ちゃんのことが大好きだから！こうやって必死に止めるんだよ！」

穂乃果「私なんてしんだほうがいいのにね……」

雪穂「どうしてそんなこと言うの！お姉ちゃんの口からそんな言葉聞きたくない……」

雪穂「海未さんも来てくれたんだよ……？お姉ちゃんのために」

穂乃果「よろこんでた？」

雪穂「そんなわけないじゃん！！海未さんと真姫さんが首を吊ってるお姉ちゃんを見つけたんだから！」

穂乃果「……」

雪穂「お姉ちゃん……」

穂乃果「……もうねる、おやすみ」

真姫「……」

にこ「ちょっと……その話は本当なの」

花陽「穂乃果ちゃんが自殺未遂……2回も？」

凛「う、うそだよね真姫ちゃん！」

真姫「……本当よ」

にこ「っ！！」ｶﾞﾊﾞ

真姫「うっ……」ｸﾞｲ

凛「にこちゃん！」

にこ「どうして……どうしてそのことを私達に早く言わないのよ！！なんで！？」

真姫「今の穂乃果は……精神的にかなり不安定なの」

真姫「少しでも刺激を与えたらまたいつ自殺に走るかわからなくて……」

にこ「ぁ……」

《あんたそれ、本気で言ってる？》

《本気だったら許さないわよ》

《許さないって言ってるでしょ！！》

にこ「……っ」ﾊﾟｯ

真姫「……ごめんなさい」

にこ「……」

真姫「でも……穂乃果の現状をやっぱり知らせておく必要があると思って……」

真姫「穂乃果との別れがいつ来るかわからないから……」

いいぞアフィ

花陽「やだよ……穂乃果ちゃんがしんじゃうなんて」

凛「ううぅっ……」

にこ「穂乃果に会わせてもらうことは……できないの？」


真姫「家族以外の人とは面会謝絶よ……」


凛「そ、そんな……」

にこ「何よそれ……穂乃果が私達に会いたくないって……そう言ってるってことじゃない」

真姫「……あと、もう一つ」

にこ「……何よ」

花陽「もう聞きたくないよぉ……」

真姫「その、自殺に失敗した後遺症で……穂乃果の、穂乃果の右手は……」



真姫「もう動かないの……」

海未ちゃんのせいだ


海未「うっ……く」


海未ちゃんが私をはたくから


海未「はぁ……はぁ……」


海未ちゃんが私の人生をぐちゃぐちゃにしたんだよ


海未「ち、ちが……私はそんなつもりじゃ」


責任とってよ海未ちゃん


海未「……私が」


許さない、絶対に



海未「あああああああああああああああああああああああぁ！！！！」

海未「……ぅ」ﾑｸﾘ

海未「夢、ですか……」

海未ママ「おはようございます海未さん……」

海未「おはよう……ございます」

海未ママ「叫び声が聞こえましたが……」

海未「……」

海未ママ「そ、その、穂乃果ちゃんのことがやはり……」

海未「……」

海未「顔、洗ってきます……」

海未ママ「……はい」

ここまでことり無し

雪穂「お姉ちゃん、朝ごはんだよ」

穂乃果「……」

雪穂「何か食べないと……ほら」

穂乃果「……雪穂、もう帰った方がいいよ」

雪穂「帰ったらまたお姉ちゃん自殺するかもしれないでしょ……いいから」

穂乃果「……いらない」

雪穂「わかった……食べたくなったら言ってね」

穂乃果「……私の携帯とって」

雪穂「う、うん！はいこれ」ｽｯ

穂乃果「……ありがと」

穂乃果「少し……1人にさせてほしいな」

雪穂「……自殺しない？」

穂乃果「しないって……」

雪穂「……じゃあ、ドアの外に出てるから」ｶﾞﾀ

穂乃果「ん……」ｽｯ ｽｯ

［病院内 自さ］

穂乃果「……」



プルルルル！

穂乃果「……電話？」

［絵里ちゃん］ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

穂乃果「……」

絵里『もしもし……絵里です』

穂乃果「……」

絵里『ほ、穂乃果……真姫からとんでもない話を聞いたのだけれど……』

絵里『自殺って……本当なの？』

穂乃果「……」

絵里『穂乃果……聞こえてる？』

穂乃果「聞こえてるよ」

正直興奮する
苦しんでたときとか特に

これ完結してるし色んなところで見れるけど何でスレ立てしたの？

>>73
どこにあるん?

絵里『な、ならいいのだけど……その』

穂乃果「嘘だよって言ったら絵里ちゃんは信じてくれる？」

絵里『私も悪い冗談だと思いたい……でも穂乃果、もし本当に自殺なんて考えてるなら今すぐにやめて』

穂乃果「……どうして？」

絵里『どうしてって……当たり前じゃない……穂乃果に死んでほしくないから……』

穂乃果「……」ﾌﾞﾂ

ツー、ツー、ツー

穂乃果「……」

［病院内 自殺］ｽｯ ｽｯ

穂乃果「あっ……」ﾂﾙｯ

携帯「」ｺﾛﾝ

穂乃果「落としちゃった……」

穂乃果「……んっ」ｶﾞﾀ

穂乃果「うわあぁ！？」ﾄﾞｻ

穂乃果「う……く……右手が」

穂乃果「……死にたい、死にたいよぉ」

海未「……」ｶﾞﾁｬ

ことり「海未ちゃん、いらっしゃい」

海未「ことり……すいません、もう引越しまで日がないというのに」

ことり「……どうしたの？顔色がなんだか良くないような」

海未「少しばかり……悪い夢を見てしまって」

ことり「……穂乃果ちゃんのこと？」

海未「……」

黒乳首好きな人もいるからそんなに思いつめないで

ことり「ごめんね……私のせいであんな……」

海未「……違います」

ことり「違くないよ……あれは私が」


海未「違います！！！」


ことり「……え」

海未「違うんです……全部私のせいなんです」

海未「私が……私が……」ｶﾀｶﾀ

ことり「海未ちゃんしっかりして！何があったの！」

海未「……ことりにはなるべく知らなせないように、悟られないようにするつもりだったのですが……」

海未「穂乃果が……自殺を図りました」

ことり「えっ？」

海未「私と真姫で見つけ阻止したものの……失敗の影響で言語か運動能力になんらかの障害が出ることは間違いないようです」

ことり「……」

海未「ことりには……最後まで言わないつもりでした……親友の折角の旅立ちを……出来ることなら私は応援したかったからです」

海未「ですが……こうなってしまった以上は……言わないわけにも」

ことり「あ、あぁ……」

海未「……」

ことり「うっ嘘だよね！穂乃果ちゃんが自殺しようとするなんて……」

海未「……本当です」

ことり「障害って……穂乃果ちゃんどうなっちゃうの」

海未「それは……」



ことり「私……お母さんに言って海外いくのやめてもらう！それで穂乃果ちゃんとお話しする！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞ


海未「……やはり、そう言いますよね」


海未（遂にことりまで巻き込んで……海外留学のチャンスを……台無しに）

海未（しかも……それを私は心の底では喜んでいる……）

海未（最低です……私は最低です……）

海末「……ことりが悪い？……いいえ、違います……。」

海末「知っていて其れを話さずに居た、私が一番最初に悪かったのですから……」

海末「その結果……穂乃果がこうなったのですから……」

海末「ことりは自分の夢に、将来に素直になっただけ……」


海末「只一人……私だけが、秘密を作り、穂乃果を傷つけ、そして―――。」




[　　自殺　　方法　　]


―――検索。

海末「……耐え切れません……こんな、辛い事実にはもう……。」

海末「許してください……こうすることでしか逃げられない、私という人間を……」

海末「許してください……何もかもをめちゃくちゃにしておいて……こんな選択しか出来ない私を……。」


[　　自殺　　痛い　　]


海末「……せめてもの、贖罪です。楽に死のうだなんて……考えが甘すぎる……。」


[　　自殺　　苦しい　　]


海末「……窒息死……煙では意識が先にやられてしまって、痛みを感じる暇がありません……」

海末「……車に轢かれる？ 線路に飛び込む？　……そんな迷惑を掛けたら、贖罪になりません……。」

海末「……溺死。……確かに、これはひどく……辛そう、ですね。」


海末「死体を処理する方の気持ちになると……いえ、それはどれも同じ。」

海末「それに、手っ取り早い……」


海末「……雨が降っていて良かった。これなら、川に入るだけで、きっと……。」

>>74
穂乃果 自殺でググったら出てくるけど

そして最後は誰もいなくなるのか

海末「……土砂降り、ですね。」

海末「不思議なことに……気分がとても落ち着いています……」

海末「これから命を投げ出すというのに……どうしてでしょうか。少しも、怖くない……。」


海末「―――何もかも、変わってしまうのですね。この川は……、」





うみ「ほ、ほのかちゃん……や、やっぱりやめようよ！」

ことり「……そ、そうだよほのかちゃん！ あぶないよ、もしおっこちたりしたら―――、」

ほのか「えっへへへ！だいじょうぶ、だいじょうぶ！ここにはね、かにさんがいるんだよ！かにさんがおよげるんだから、ほのかも―――」

うみことり「あ、ほのか！」

「」ｻﾞｯﾊﾞｰﾝ

うみことり「あわわわわわわわわ！」

>>84
あり

海末「……三人そろって、びしょ濡れになりましたっけ。」

海末「……綺麗でした……あの時の、此処は……澄んだ水が流れて―――。」

海末「いいえ、ついこの間までだって……いつも、綺麗でした。……なのに、不思議ですね。」

海末「―――たった一度の雨で、こんなにも濁って。」

海末「……変わってしまった、のですね。いえ……私が、変えてしまった。」



――


海末「……っ、つめた……ぃ……。」

海末「（肌を貫く様な……この季節なのに、こんなに……っ。）」

海末「（ごめんなさい……ごめんなさい……。）」

海末「許してください……お母様、お父様、ことり、みんな、……穂乃果……ゆるして……ゆるして……っ、くだっ……」


「ゆるせんなあ、うちそういうの嫌いやし。」

海末「――――――……え……っ、わっ……！？」

希「よっ、こら―――しょっと！」


海末「……の、のぞみ……！？ なぜ此処がっ……、は、はなして、はなしてください！」

希「わっ、こらっ！ 暴れたらあかんよ、海末ちゃん。うち結構……精一杯ふんばってるから、」

海末「やめてください！……わたしは、もう……、だ、だれも巻き込む訳には、いかないんですっ！」

希「―――そういわれてもなあ。あー、いまあばれたらうちも一緒におぼれてまうよ～。こまったなあ～？」

海末「手を……手を、離してください！！ そうすれば巻き込みません、だいたい、私達はもう終わっ―――」

希「いい加減にしなさい。」


――――ﾊﾟｰﾝ


希「……μ’ｓがどうとか、穂乃果ちゃんがどうとか。そういうの、違うでしょ。」

希「今あなたがしようとしてること。年上として単に見過ごせるものじゃないよ。」


海末「……、……死ぬことすら、許してくれないんですか……。」

希「当たり前やん。……ま、その当たり前が分からなくなるから、こういうときって怖いんやけどね。」

希「いや～、びっしょりやね。お陰様でうちの魅惑のボディラインがすけすけやん？」

海末「……。」

希「高架下って、案外落ち着くもんやね。いつまでも居たら、警察さんに怒られちゃいそうやけど。」

希「こらー！雨の日に川にはいるなー！！―――って。……なんで、怒られるかわかる？」

海末「……死体の処理に困るからでしょう。」

希「そんなウィットな返事は期待してなかったんやけどなあ。元気出てきた？」

海末「……助けて欲しくなんて、なかったのに。」

希「……せやねえ。死にたいから、死のうとするんやもんね。」

海末「……なら、どうして……っ！！」

希「どうしてもこうしてもないよ。人が死んで良いことなんて、なーんもないからに決まってるやん？」

海末「……そんなこと、ありません。世の中には、死んだ方が為になる人間だって―――」

希「そんな人がおったとしても。やっぱり、死んだら悲しいよ。」

希「悪いことした人だから、殺す。悪いことしちゃったから、死ぬ。当たり前の様にそう言うけど。」

希「そんな人間だって、どんな人間だって……死んだら、悲しいむ人がおるもんやで。」

海末「……でも、そうだとしても……私には、もう……みんなに、ことりに、穂乃果に合わせる顔が……」

希「だから死のうとしたん？悪いことしちゃって。その重圧に耐え切れなくなって。」

海末「……許されることでは在りません。私が……私が、親友だった子を、自殺に追い込んだ張本人なんです……」

希「……そうやなあ。許されることやないかもねえ。」

海末「だからもう、終わりにしたいんです……！！こんな、こんな苦しみは、もう―――っ！」

希「じゃあさ、海末ちゃん。海末ちゃんを自殺に追い込んだのは、誰なんやろね？」


海末「―――……え……？」

希「うーん。この場合は、穂乃果ちゃんがそうなるんかなあ。」

海末「なっ……ち、ちがいます！！ 穂乃果はただ、私に追い詰められて―――」

希「でもその穂乃果ちゃんの自殺未遂が、海末ちゃんの自殺願望の直接の原因やもんなあ。」

希「……可愛そうやなあ。自殺に追い込まれた上、自殺に追い込んだ側の人間にもなってまうんやなあ。穂乃果ちゃん。」

海末「ちがっ―――」

希「違わないよ。」


希「……自分がどれだけひどいことしようとしたか。よーく、考えなあかんよ。海末ちゃん。」

希「……９人。」

海末「……、９人？」

希「……そう。９人。μ’ｓは９人そろった時、動き出す。」

希「……もうね。一人やないんやで。この９人は、ある意味運命共同体。」

希「誰かが死んで、誰かが喜んだりスッキリすることなんて、絶対にない。」

希「悲しんで……苦しんで。辛くて、悩んで。だーれも、前向けなくなっちゃうよ。」

希「誰に原因があるとか、そんなん関係ない。……この９人の誰かが、こんな形で命を落としたら。」

希「たとえどんな理由があっても、誰も納得しない。みんなで不幸になって、それでお仕舞い。」

希「皆が一緒に始めたこと。だから、皆で一緒に歩んできた。そんな仲間が、こんなことになって」

希「それで平然としていられる子が、いるわけないやん。」

海末「……。」

希「―――ね、触ってみて？」

海末「……？、のぞみ……どうして、手を―――」

希「ええから。やさしく、握ってみて。」


海末「……。」

海末「（……希……手が、こんなに……震えて……。）」

希「―――怖かったあ。どうしよう、って思ったよ。海末ちゃんが川に入ってくの見つけたとき、ゾッとしたわあ。」

希「……うちも危ないなあ、とか。色々考える暇も無かったよ。気がついたら川に飛び込んでた。」

希「……本当に怖かったんよ？ ……溺れるかどうかじゃなくて。海末ちゃんが死んだら、どうしようって。」

海末「……。」

希「たぶん、立ち直れないやろなあって。死んじゃったら、間の前が真っ暗になるやろなあ、って。」

希「……一瞬のうちに、色々浮かんで。うち、怖かったよ、海末ちゃん。」


希「……お願いだから。死のうとなんて、考えないで。」

希「辛いのは分かる。苦しいのも分かる。……分かってあげる。責めたりしない。」

希「―――せやから。お願い、海末ちゃん……うちはこの９人を絶対、失いたくないんよ……。」


海末「……っ、……。」

海末「―――ごめん、……なさい……っ、ひっぐ……！」



にこ「……っていうか。死んで許される罪なんてなんにもないから。そこんとこ、アンタも穂乃果も、勘違いすんじゃないわよ。」

海末「……！？ に、にこっ……あなたまで……！」

にこ「たまたまよ、たまたま。……たまたま、ことりから海末ちゃんを捜してってメールが来たからまさかと思って川に来てみただけ。」

にこ「……のぞみもそうでしょ？」

希「……せやね。偶然、ことりちゃんから皆宛に"海末ちゃんが消えちゃった"ってメールが送られてた、それだけやもんね♪」

にこ「まったく……いーい？　私も希も、たまたま此処に来ただけ、アンタとは偶然出会っただけ、わかったわね？」

海末「にこ―――」

にこ「なにも見なかった。なにも起こらなかった。―――そういうことにしないなら、本気でキレるわよ。」

海末「……。」

絵里「……海末！貴女、一体どこへ―――、」

にこ「はいはい、呼び出して悪かったけど海末なら臍曲げてゲーセンで遊んでただけ、そうよね希？」

希「せやでー。ついついホッケーで遊んでしまったんよね。」

にこ「希も結構強いのよね～、絵里もそうだけどあんた達ってなんでそんなに―――」

絵里「ちょっと！本当に大丈夫だったの！？大体、だとしたらなんで二人ともびしょ濡れ―――」

海末「そ、それはっ！！……その。」

にこ「ああ、簡単よ。二人ともゲームに夢中で漏らしたの、それで慌てて川で洗った、そうよね？」

海末「ええっ！？に、にこ！いくらなんでも、それは―――」

希「あれは乙女のピンチやったねえ。」

海末「希までっ！！も、もう……いい加減にしてください！」

花陽「な、なんだかわからないけど、無事でよかったよ～。」

凛「ほんとだにゃ～、凛もすっごく心配したにゃ～！」

ことり「……海末ちゃん、顔色悪いよ。大丈夫？暖かい飲み物、持って来ようか？」

海末「……ことり……、ごめんなさい。あ、いえ！……ありがとう、ございます。」

真姫「……ま、なにはともあれ、ってトコロかしら。……それより。折角八人集まったんだし。」

絵里「……ええ、そうね。私達には改めて、話し合わなくちゃいけないことがあると思うわ。」

海未「……私のせいです。穂乃果が自殺を図ろうとしたのは……私が、追い詰めてしまったせいです。」

海未「あんな風に、怒る必要なんて無かった……傷ついていたのは穂乃果なのに、私は……、私の手は……。」

海未「……動かなくなるなら、穂乃果の右腕ではなく、彼女を殴ったこの、汚い私の腕であれば良かった……！！」

花陽「……う、海未ちゃん……！」

凛「そんなこと言わないでよ！ ……冗談でも、ぜったいぜったい、言っちゃダメにゃ……。」

真姫「……けど。海未が穂乃果を、あそこまで追い詰めたのは事実でしょ。」

凛「っ……真姫ちゃん！！ やめてよ、そんな事いうの！」

真姫「本人が認めてるじゃない。じゃあ聞くけど、海未があそこで落ち着いてたら、穂乃果は自殺しようとしたかしら。」

凛「……、そ、れは……っ。」

真姫「……私はね。人工呼吸しながら、この手に感じたのよ。……段々、冷たくなっていく穂乃果の体温を。」

凛「……やめて！！ やめてよ真姫ちゃん！！」

真姫「もう駄目だって、手が震えて……動かない穂乃果を、触れて、見て、感じたのは私だけ。……わかる？」

真姫「……命こそ助かったけど……こんな事になって、穂乃果を救えなくて。それを、それを私だけが間近で―――！！」


にこ「―――そ。じゃあアンタ、私も詰りなさいよ。」

真姫「……っ、……な、なによいきなり……なんでにこちゃんが―――、」

にこ「殴ってこそいないけど。私だって穂乃果に冷たい言葉もキツイ言葉もぶつけてやったわ。」

にこ「穂乃果の事なんて考えもしないで。μ’ｓがどうなるかだけが心配で。イラついて。怒鳴った。怒った。」

にこ「……アンタが必死に私を止めなければ。海未より前に、私がアイツを張っ倒してたわよ。どう？ 詰りなさいよ。」


真姫「……。」

にこ「……だんまり？ ……穂乃果を追い詰めたと言うなら、此処に居る９人がみんな、共犯者みたいなもんでしょ。」

にこ「あの場で態度に出してなくとも。皆心のどこかで穂乃果を無責任だ、とか、自分勝手だ、とか思ったんじゃないの？」

にこ「……海未はそれを代弁しただけ。この場に居る人間の中で、本当に穂乃果の事を心から許せた人間なんて。……いるの？」

花陽「……花陽も、そう思う。部外者じゃないよ、誰かが誰かを責められる様な状況じゃ、無いと思う……。」

花陽「海未ちゃんも……、海未ちゃんだって、きっとあれから悩んだよね？」

凛「……喧嘩をしたら、胸がぎゅーって、辛くなるにゃぁ……。凛もこんなの、もう嫌だよ……。」

真姫「……そう、かもね。」

絵里「―――……。思うに、穂乃果を頼り過ぎたのよね。」

ことり「……。」

絵里「穂乃果が始めた事だから？……っふふ。だとしても、酷い状況よね。穂乃果が居ないだけで、この体たらくだもの。」

絵里「……どれだけ、私達が穂乃果を特別視していたのか……。身を以て味わった、そんな気がするわ。」

絵里「ねえ。私達って、穂乃果に何もかも背負わせ過ぎたんじゃないかしら。穂乃果が辞める、って言い出した時に」

絵里「皆が"自分勝手だ"って、そう感じてしまったのは―――心の中で穂乃果を、リーダーみたいに見てたからじゃないかしら。」

絵里「……確かにね。穂乃果はリーダーかもしれない。1人で突っ走って、転んで、立ち上がって、ぐんぐん進んで。」

絵里「私達を引っ張っていくだけの力がある、そんな強い娘。……だけど。それが彼女の全てだと、勝手に決め込んでいた。」

絵里「都合が良い、ってこういう事を言うのかもね。リーダーだから。しっかりしてるから。そんな彼女だから―――」

絵里「辞める、という言葉に、皆必要以上の反応を見せてしまった。本当は、辞めたいなら辞めたって、それでいい筈なのよ。」

絵里「理由が理由だっただけに、ちょっと面食らったけど―――抜けるのに無責任も何もない。だって、これはスクールアイドルだもの。」

絵里「―――やりたいからやる。やりたくないからやらない。そこに義務感も何もないわ。……きっと、あの時の私と同じ。」

絵里「責任、って言葉に押し潰されそうで……勘違いして。本当はそうじゃない。自分で決めて、自分でやりたいと思った事だから、」

絵里「―――だからこそ、見た人に凄いって思わせられる。本気で愉しそうにやってる事だから、誰かの心を動かせる。」

絵里「それを履き違えていた事を、私に教えてくれたのが……ことり、貴女のお母さん。理事長は、そういう事を言っていた。」

希「……せやね。だからこそ、辞めたいって言った時に、向き合ってあげるべきだった。皆でもっと、話しかけてあげるべきだった。」

希「穂乃果ちゃんは便利なリーダーでも、救世主でも、何でもない。穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃん。1人の、女の子なんやって。」

花陽「……辞めたらμ’ｓが駄目になっちゃう。花陽、そんな風に考えちゃってた。穂乃果ちゃんよりも、μ’ｓの心配、ばっかりで……。」

花陽「……そういう期待とか、雰囲気とかが……知らず知らずの内に、穂乃果ちゃんを追い詰めちゃってたんじゃないかな……。」

にこ「そういうこと。……誰か一人の責任でも無いし。……死ねばどうにかなる事でも無い。わかった、海未？」

海未「―――……、……はい。」

凛「ね、ねえ。……凛はおバカさんだから、あんまり難しい事は分かんないけど、……穂乃果ちゃんに、会いたいにゃ。」

絵里「……そうね。難しいけれど、私も皆でもう一度、穂乃果と話をしなくちゃいけないと思うわ。」

にこ「そうは言っても、面会拒絶状態なんでしょ？……大体、」

海未「私が……」

海未「……私が、行きます。断られても……私が、穂乃果に会いに行きます。」

雪穂「……どうして、死にたくなんてなったの。」

雪穂「お姉ちゃん……お姉ちゃんは、誰より頑張ってたじゃない。」

雪穂「沢山走って……風邪も引いて……けど、お姉ちゃんが走りださなかったら」

雪穂「何もかも始まらなかった……お姉ちゃん、頑張ってたじゃない……。」


雪穂「……なのに、どうして……」

雪穂「……どうして、"そんな事"をしてしまったの……？」




雪穂「――――可笑しいよ。こんなの。絶対……絶対。」

海未「……なぜ、にこが？」

にこ「決まってるでしょ、上級生の引率よ。」

海未「……いえ、それなら絵里や希が―――、」

にこ「何よ、文句あるっていうの。」

海未「……そういう、わけではないのですが……。」

にこ「……あの娘を直接責めたのは、私とアンタの二人でしょ。」

海未「……っ―――、」

にこ「勘違いしないでよ。さっきも言った通り、皆の責任なんだから。でも。」

にこ「……最初に謝るのは、私とアンタであった方が良い。そう思っただけ。」

海未「……。」

海未「―――にこ。」

にこ「……なによ。」

海未「……有難う、御座います。」

にこ「……しおらしくなっちゃって。―――でもでも～？ スーパーアイドルにこにーは～、皆のにこにーだからぁ、独り占めは～」

海未「ああいえ、そう言うのは別に。」

にこ「……調子取り戻したみたいで安心したわ。さっ、早く入っちゃいましょ。……断られるだろうけど。」


雪穂「―――なに、してるんですか？」